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特許7144147ポリグリコール及びポリグリコール誘導体を使用する、タングステンのための化学機械研磨法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ポリグリコール及びポリグリコール誘導体を使用する、タングステンのための化学機械研磨法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220921BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220921BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20220921BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20220921BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20220921BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20220921BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L21/304 621D
H01L21/304 622D
H01L21/304 622F
B24B37/00 H
B24B37/24 C
B24B37/22
B24B37/10
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018012179
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2018157195
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】62/452,796
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】リン-チェン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ-ウェン・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ピン・リー
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167580(JP,A)
【文献】特開2016-048777(JP,A)
【文献】特開2005-118982(JP,A)
【文献】特開2015-128135(JP,A)
【文献】特開2016-069465(JP,A)
【文献】特開2016-043479(JP,A)
【文献】特開2007-116090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0002026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
B24B 37/24
B24B 37/22
B24B 37/10
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;
初期成分として、
水;
1~3重量%の過酸化水素
少なくとも50ppmの量のポリエチレングリコールモノステアレート化合物及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択されるポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール誘導体;
0.2~5重量%のコロイダルシリカ砥粒;
130~1,350ppmのマロン酸;
250~400ppmの硝酸第二九水和物;
任意選択でpH調整剤;及び
任意選択でポリスチレンスルホネート
から構成され、2~3のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する工程;
研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;
前記化学機械研磨パッドと前記基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに
前記化学機械研磨パッドの前記研磨面上、前記化学機械研磨パッドと前記基材との間の前記界面又はその近くに前記化学機械研磨組成物を計量分配して前記タングステンの少なくともいくらかを除去する工程
を含む、タングステンを化学機械研磨する方法。
【請求項2】
提供される前記化学機械研磨組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minの化学機械研磨組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;前記化学機械研磨パッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリコール又はポリグリコール誘導体を使用して、タングステンのディッシングを抑制するとともに下層の絶縁体のエロージョンを抑制し、コロージョン速度を低減するためのタングステンの化学機械研磨の分野に関する。より具体的に、本発明は、タングステンを含有する基材を提供し;初期成分として、水;酸化剤;ポリグリコール又はポリグリコール誘導体;ジカルボン酸、鉄イオンの供給源;コロイダルシリカ砥粒;及び任意選択でpH調整剤を含有する研磨組成物を提供し;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供し;研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせ;並びに研磨面上、研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに研磨組成物を計量分配して、タングステンのいくらかが基材から研磨除去されることによる、タングステンのディッシングを抑制するとともに下層の絶縁体のエロージョンを抑制し、コロージョン速度を低減するためのタングステンの化学機械研磨の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの作製においては、導電材料、半導電材料及び絶縁材料の複数の層を半導体ウェーハの表面に堆積させたり、半導体ウェーハの表面から除去したりする。導電材料、半導電材料及び絶縁材料の薄層は、いくつかの堆積技術を使用して堆積させることができる。最新の加工において一般的な堆積技術としては、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法(ECP)がある。
【0003】
材料層が順次に堆積され、除去されるにつれ、ウェーハの最上面は非平坦になる。後続の半導体加工(例えばメタライゼーション)は、ウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。平坦化は、望まれない表面トポグラフィー並びに表面欠陥、例えば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去するのに有用である。
【0004】
化学機械平坦化又は化学機械研磨(CMP)は、半導体ウェーハのような基材を平坦化するために使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいては、ウェーハは、キャリヤアセンブリに取り付けられ、CMP装置中で研磨パッドと接する状態に配置される。キャリヤアセンブリは、制御可能な圧をウェーハに提供して、ウェーハを研磨パッドに押し当てる。パッドは、外部駆動力によってウェーハに対して動かされる(例えば回転させられる)。それと同時に、研磨組成物(「スラリー」)又は他の研磨溶液は、ウェーハと研磨パッドとの間に提供される。したがって、ウェーハ表面は、パッド表面及びスラリーの化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エレクトロニクス産業における基材は高い集積度を有し、その中では、半導体ベースが相互接続構造の多層を含む。層及び構造は、多種多様な材料、例えば単結晶シリコン、多結晶シリコン、オルトケイ酸テトラエチル、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タングステン、チタン、窒化チタン並びに様々な他の導電材料、半導電材料及び絶縁材料を含む。これらの基材は、最終的な多層化相互接続構造を形成するために、CMPを含む様々な加工工程を要するため、多くの場合、所期の用途に依存して特定の材料に関して選択的である研磨組成物及び加工を利用することが非常に望ましい。残念ながら、そのような研磨組成物は導電材料の過度なディッシングを引き起こし得、それが絶縁材料のエロージョンを招くおそれがある。さらには、そのようなディッシング及びエロージョンから生じ得るトポグラフィー欠陥が、基材表面からのさらなる材料、例えば導電材料又は絶縁材料の下に配置されたバリヤ層材料の不均一な除去を招き、集積回路の性能にマイナスの影響を及ぼし得る、望ましいとはいえない品質を有する基材表面を作り出すおそれがある。
【0006】
化学機械研磨は、集積回路設計におけるタングステン配線及びコンタクトプラグの形成中にタングステンを研磨するのに好ましい方法となっている。タングステンは、集積回路設計においてコンタクト/ビアプラグのために使用されることが多い。一般に、コンタクト又はビアホールは、下層の部品、例えば第一レベルメタライゼーション又は配線の領域を露出させるために、基材上の絶縁層中に形成される。残念ながら、タングステンを研磨するために使用される多くのCMPスラリーは、ディッシングの問題を引き起こす。ディッシングの深刻度は様々であり得るが、一般に、TEOSのような下層の絶縁材料のエロージョンを引き起こすのに十分深刻である。
【0007】
タングステンのような金属の研磨に伴う別の問題がコロージョンである。金属のコロージョンはCMPの一般的な副作用である。CMP加工中、基材の表面に残る金属研磨スラリーは、CMPの効果を超えて基材を侵食し続ける。コロージョンが望まれるときもあるが、大部分の半導体加工において、コロージョンは低減又は抑制されるべきである。コロージョンはまた、孔食及びキーホーリングのような表面欠陥に寄与し得る。このような表面欠陥は、半導体デバイスの最終的性質に有意に影響し、その有用性を損なう。したがって、タングステンのディッシング及び下層の絶縁材料、例えばTEOSのエロージョンを抑制し、かつコロージョン速度をも低減する、タングステンのためのCMP研磨法及び組成物の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;酸化剤;少なくとも50ppmの量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオンの供給源;及び任意選択でpH調整剤を含む化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンのいくらかが基材から研磨除去される、タングステンを化学機械研磨する方法を提供する。
【0009】
本発明は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;酸化剤;50ppm~1000ppmの量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオンの供給源;及び任意選択でpH調整剤を含む化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンのいくらかが基材から研磨除去され;提供される化学機械研磨組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minの化学機械研磨組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;化学機械研磨パッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、タングステンを研磨する化学機械法を提供する。
【0010】
本発明は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;酸化剤;50ppm~800ppmの量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体;コロイダルシリカ砥粒;マロン酸又はその塩;鉄(III)イオンの供給源;及び任意選択でpH調整剤を含む化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンのいくらかが基材から研磨除去され;提供される化学機械研磨組成物が、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minの化学機械研磨組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで≧1,000Å/minのタングステン除去速度を有し;化学機械研磨パッドが、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む、タングステンを研磨する化学機械法を提供する。
【0011】
本発明は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;過酸化水素である酸化剤0.01~10重量%;ポリグリコール又はポリグリコール誘導体100ppm~500ppm;コロイダルシリカ砥粒0.01~10重量%;マロン酸又はその塩100~1,400ppm;硝酸第二鉄九水和物である鉄(III)イオンの供給源100~1,000ppm;及び任意選択でpH調整剤を含み;1~7のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンのいくらかが基材から研磨除去される、タングステンを化学機械研磨する方法を提供する。
【0012】
本発明は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;過酸化水素である酸化剤1~3重量%;ポリグリコール又はポリグリコール誘導体50~500ppm;コロイダルシリカ砥粒0.2~5重量%;マロン酸120~1,350ppm;硝酸第二鉄九水和物である鉄(III)イオンの供給源250~400ppm;及び任意選択でpH調整剤を含み;2~3のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンのいくらかが基材から研磨除去される、タングステンを化学機械研磨する方法を提供する。
【0013】
本発明の前記方法は、特定量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体を含む化学機械研磨組成物を使用して、タングステンを研磨し、タングステンのディッシングを抑制するとともに下層の絶縁体のエロージョンを抑制する。方法はまた、コロージョン速度を低減する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書全体を通して使用される場合、文脈が別段指示しない限り、以下の略号は以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;μ=μm=ミクロン;kPa=キロパスカル;Å=オングストローム;mV=ミリボルト;DI=脱イオン;ppm=100万分の1=mg/L;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;min=分;rpm=毎分回転数;lb=ポンド;kg=キログラム;W=タングステン;HO=ヒドロキシル;PO=プロピレンオキシド;EO=エチレンオキシド;PEG=ポリエチレングリコール;Mw=重量平均分子量;ICP-OES=誘導結合プラズマ発光分光分析法;PS=研磨スラリー;CS=対照スラリー;wt%=重量百分率;及びRR=除去速度。
【0015】
用語「化学機械研磨」又は「CMP」とは、化学的及び機械的な力だけによって基材を研磨する方法をいい、電気バイアスを基材に印加する電気化学的機械研磨(ECMP)とは区別される。用語「TEOS」は、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC254)から形成される二酸化ケイ素を意味する。用語「ポリグリコール」は、一より多いエーテル結合を有し、そのエーテル結合の加水分解によって一つ以上のグリコールを生じさせる有機化合物を意味する。用語「ポリグリコール誘導体」は、ポリグリコールから誘導され、そのポリグリコールの一つ以上の水素原子が有機官能性部分で置き換えられている有機化合物を意味する。用語「アルキル」は、一般式:Cn2n+1で示される有機基を意味する(式中、「n」は整数であり、語尾の「イ(キ)ル」は、水素を除去することによって形成されるアルカンの残り部分を意味する)。式又は部分中の「―」は化学結合を示す。用語「部分」は、分子の一部分又は官能基を意味する。単数形不定冠詞(The terms “a” and “an”)は単数及び複数の両方を指す。別段記されない限り、すべての%値は重量%である。すべての数値範囲は包括的であり、そのような数値範囲が合計で100%となるように制約されることが論理的である場合を除き、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0016】
本発明の基材研磨法は、酸化剤;50ppm以上の量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体;コロイダルシリカ砥粒;ジカルボン酸又はその塩;鉄(III)イオンの供給源;及び任意選択でpH調整剤を含有する化学機械研磨組成物を使用して、タングステンのディッシングを抑制し、下層の絶縁材料のエロージョンを抑制し、コロージョン速度を低減しながら、基材表面からのタングステンの除去を提供する。
【0017】
好ましくは、本発明のポリグリコール及びポリグリコール誘導体は一般式:
【化1】

を有する。式中、R1は、水素又は直鎖状もしくは分岐状(C1~C4)アルキルであり、好ましくは、R1は、水素又は(C1~C2)アルキルであり、より好ましくは、R1は水素であり;m及びnは整数であり、mは2~4の整数であり、好ましくは、mは2~3であり、より好ましくは、mは2であり、nは3以上の整数であり、好ましくは、nは3~200の整数であり、より好ましくは、nは3~150の整数であり、さらに好ましくは、nは3~100の整数であり、なおさらに好ましくは、nは3~50の整数であり、mが2であるとき、好ましくは、R1は、水素又は(C1~C2)アルキルであり、より好ましくは、R1は水素又はメチルであり、最も好ましくは、mが2であるとき、R1は水素であり;R2は、水素又は直鎖状もしくは分岐状(C1~C20)アルキルである、又は、R2は、式:
【化2】

(式中、qは1以上の整数であり、好ましくは、qは10~20の整数であり、より好ましくは、qは12~20の整数であり、さらに好ましくは、qは15~16の整数である)
を有する部分である、又は、R2は、式:
【化3】

(式中、R3は、直鎖状もしくは分岐状(C1~C20)アルキルであり、好ましくは、R3は、直鎖状もしくは分岐状(C1~C15)アルキルであり、より好ましくは、R3は、直鎖状もしくは分岐状(C2~C10)アルキルである)
を有する部分である、又は、R2は、一般式:
【化4】

(式中、R4は、10~20個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を有する脂肪酸であり、より好ましくは、R4はラウリン酸又はオレイン酸部分であり、さらに好ましくは、R4はオレイン酸部分であり、x、y及びzは、合計が20に等しい整数である)
を有する部分である。好ましくは、R2は、水素又は式(II)を有する部分もしくは式(IV)を有する部分であり、より好ましくは、R2は、水素又は式(II)を有する部分であり、さらに好ましくは、R2は、水素又は式(II)(qは15~16の整数である)を有する部分であり、なおさらに好ましくは、R2は、水素又は式(II)(qは16である)を有する部分であり、最も好ましくは、R2は水素である。
【0018】
本発明の好ましいポリグリコールは、150以上、好ましくは200以上、より好ましくは200~100,000、さらに好ましくは200~20,000、なおさらに好ましくは200~10,000、なおさらに好ましくは200~1000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。ポリグリコールは、200~100,000、より好ましくは200~10,000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールであることが最も好ましい。好ましいポリグリコールはまた、1000を超える、好ましくは10,000を超える、より好ましくは50,000を超える重量平均分子量を有するランダムEO/POコポリマーを含む。
【0019】
好ましいポリグリコール誘導体の例は、ポリアルキレングリコールエステルである。好ましいポリアルキレングリコールエステルの例は、一般式:
【化5】

(式中、nは10~100、好ましくは10~50の整数である)
を有するポリエチレングリコールモノステアレート化合物である。
【0020】
また、好ましいポリグリコール誘導体の例は、R2が上記部分(IV)であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート化合物)である。そのようなエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。
【0021】
ポリグリコール及びポリグリコール誘導体は、当技術分野及び文献において公知の方法によって調製することができる。ポリグリコール及びポリグリコール誘導体の多くは、例えばSIGMA-ALDRICH(登録商標)から購入することができる。
【0022】
任意選択で、本発明の化学機械研磨組成物は、ポリスチレンスルホネート又はその誘導体を含む。ポリスチレンスルホネートは一般式:
【化6】

(式中、tは、2以上の整数であり、Y+は、H+又はアルカリ金属イオン、例えばNa+もしくはK+である)
を有する部分をその構造中に含む化合物である。ポリスチレンスルホネート誘導体の好ましい例は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)である。好ましくは、ポリスチレンスルホネート及びその誘導体は、ポリエチレングリコールを含有する化学機械研磨組成物に含まれる。好ましくは、ポリスチレンスルホネート及びその誘導体は、本発明の化学機械研磨組成物に含まれ、化学機械研磨組成物は、ポリエチレングリコール及び(-)ゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含む。好ましくは、ポリスチレンスルホネート及びその誘導体は、100ppm以上、より好ましくは100ppm~3000ppm、さらに好ましくは200ppm~2500ppmの量で含まれる。
【0023】
好ましくは、本発明の基材研磨法は、タングステン及び絶縁体を含む基材を提供する工程;初期成分として、水;好ましくは少なくとも0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、さらに好ましくは1重量%~3重量%の量の酸化剤;少なくとも50ppm、好ましくは50ppm~1000ppm、より好ましくは50ppm~800ppm、さらに好ましくは100ppm~500ppmの量のポリグリコール又はポリグリコール誘導体;好ましくは0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.05重量%~7.5重量%、さらに好ましくは0.1重量%~5重量%、なおさらに好ましくは0.2重量%~5重量%、最も好ましくは0.2重量%~2重量%の量の、正又は負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒;好ましくは100ppm~1400ppm、より好ましくは120ppm~1350ppmの量のジカルボン酸、その塩又はその混合物;好ましくは硝酸第二鉄九水和物である鉄(III)イオンの供給源;及び任意選択でpH調整剤を含み、好ましくはそれらから構成され、1~7;より好ましくは1.5~4.5;さらに好ましくは1.5~3.5;なおさらに好ましくは2~3、最も好ましくは2~2.5のpHを有する化学機械研磨組成物を提供する工程;研磨面を有する化学機械研磨パッドを提供する工程;化学機械研磨パッドと基材との間の界面で動的接触を生じさせる工程;並びに化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに化学機械研磨組成物を計量分配する工程を含み;タングステンの少なくともいくらかが基材から研磨除去される。
【0024】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、基材はタングステン及び絶縁体を含む。より好ましくは、提供される基材は、タングステン及び絶縁体を含む半導体基材である。最も好ましくは、提供される基材は、TEOSのような絶縁体中に形成されたホール及びトレンチの少なくとも一つ内に堆積されたタングステンを含む半導体基材である。好ましくは、基材はニッケルリンを含まない。
【0025】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物中に初期成分として含有される水は、偶発的な不純物を制限するために、脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一つである。
【0026】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として酸化剤を含有し、酸化剤は、過酸化水素(H22)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、過硫酸塩、過酢酸、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩並びにそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸塩、過臭素酸塩;過ヨウ素酸塩、過硫酸塩及び過酢酸から選択される。最も好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。
【0027】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、0.01~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%、最も好ましくは1~3重量%の酸化剤を含有する。
【0028】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、鉄(III)イオンの供給源を含有する。より好ましくは、本発明の方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として鉄(III)イオンの供給源を含有し、鉄(III)イオンの供給源は、鉄(III)塩からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の方法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として鉄(III)イオンの供給源を含有し、鉄(III)イオンの供給源は硝酸第二鉄九水和物(Fe(NO33・9H2O)である。
【0029】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、1~200ppm、好ましくは5~150ppm、より好ましくは7.5~125ppm、最も好ましくは10~100ppmの鉄(III)イオンを化学機械研磨組成物に導入するのに十分な鉄(III)イオンの供給源を含有する。10~150ppmmの鉄(III)を化学機械研磨組成物に導入するように、鉄(III)の供給源が含まれることが特に好ましい。
【0030】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として鉄(III)イオンの供給源を含有する。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,000ppm、好ましくは150~750ppm、より好ましくは200~500ppm、最も好ましくは250~400ppmの鉄(III)イオンの供給源を含有する。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,000ppm、好ましくは150~750ppm、より好ましくは200~500ppm、最も好ましくは250~400ppmの鉄(III)イオンの供給源を含有し、鉄(III)イオンの供給源は硝酸第二鉄九水和物(Fe(NO33・9H2O)である。
【0031】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてポリグリコール又はポリグリコール誘導体を含有する。好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、少なくとも50ppm、好ましくは50ppm~1000ppm、より好ましくは50ppm~800ppm、さらに好ましくは100ppm~500ppmのポリグリコール又はポリグリコール誘導体を含有する。
【0032】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、正又は負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有する。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、永久的な負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、化学機械研磨組成物は、1~7、好ましくは1.5~4.5;より好ましくは1.5~3.5;さらに好ましくは2~3、最も好ましくは2~2.5のpHを有する。なおさらに好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、永久的な負のゼータ電位を有するコロイダルシリカ砥粒を含有し、化学機械研磨組成物は、-0.1mV~-20mVのゼータ電位によって示され、1~7、好ましくは1.5~4.5;より好ましくは1.5~3.5;さらに好ましくは2~3、最も好ましくは2~2.5のpHを有する。
【0033】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてコロイダルシリカ砥粒を含有し、コロイダルシリカ砥粒は、動的光散乱技術によって計測して≦100nm、好ましくは5~100nm;より好ましくは10~60nm;最も好ましくは20~60nmの平均粒子径を有する。
【0034】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、0.01~10重量%、好ましくは0.05~7.5重量%、より好ましくは0.1~5重量%、さらに好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.2~2重量%のコロイダルシリカ砥粒を含有する。好ましくは、コロイダルシリカ砥粒は負のゼータ電位を有する。
【0035】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、それらの塩又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、それらの塩及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、それらの塩及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分としてジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0036】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、1~2,600ppm、好ましくは100~1,400ppm、より好ましくは120~1,350ppm、さらに好ましくは130~1,100ppmのジカルボン酸を含有し、ジカルボン酸は、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、酒石酸、それらの塩又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、1~2,600ppmのマロン酸、その塩又はその混合物を含有する。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、初期成分として、100~1,400ppm、より好ましくは120~1,350ppm、さらに好ましくは130~1,350ppmのジカルボン酸であるマロン酸又はその塩を含有する。
【0037】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は1~7のpHを有する。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は1.5~4.5のpHを有する。さらに好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は1.5~3.5のpHを有する。なおさらに好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は2~3のpHを有する。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は2~2.5のpHを有する。
【0038】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は任意選択でpH調整剤を含有する。好ましくは、pH調整剤は、無機及び有機pH調整剤からなる群から選択される。好ましくは、pH調整剤は、無機酸及び無機塩基からなる群から選択される。より好ましくは、pH調整剤は、硝酸及び水酸化カリウムからなる群から選択される。最も好ましくは、pH調整剤は水酸化カリウムである。
【0039】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨パッドは、当技術分野において公知の好適な研磨パッドであることができる。当業者は、本発明の方法で使用するのに適切な化学機械研磨パッドを選択することを知っている。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨パッドは、織布及び不織布研磨パッドから選択される。さらに好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨パッドはポリウレタン研磨層を含む。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨パッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む。好ましくは、提供される化学機械研磨パッドは研磨面上に少なくとも一つの溝を有する。
【0040】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、提供される化学機械研磨パッドの研磨面上、化学機械研磨パッドと基材との間の界面又はその近くに計量分配される。
【0041】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨パッドと基材との間の界面で、研磨される基材の表面に対して垂直に0.69~34.5kPaのダウンフォースで動的接触を生じさせる。
【0042】
好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minのタングステン除去速度を有する。より好ましくは、本発明の基材研磨法において、提供される化学機械研磨組成物は、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minのタングステン除去速度;及び≧5のW/TEOS選択比を有する。さらに好ましくは、本発明の基材研磨法において、タングステンは、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minの除去速度;及び5~15のW/TEOS選択比で基材から除去される。最も好ましくは、本発明の基材研磨法において、タングステンは、200mm研磨機上、毎分80回転のプラテン速度、毎分81回転のキャリヤ速度、125mL/minの化学機械研磨組成物流量、21.4kPaの公称ダウンフォースで、≧1,000Å/min;好ましくは≧1,500Å/min;より好ましくは≧2,000Å/minの除去速度;及び6~14のW/TEOS選択比で基材から除去され、化学機械研磨パッドは、ポリマー中空コア微粒子を含有するポリウレタン研磨層及びポリウレタン含浸不織布サブパッドを含む。
【0043】
以下の実施例に示すように、本発明のポリグリコール及びポリグリコール誘導体CMP法は、タングステンのディッシングを抑制するとともに下層のTEOSのエロージョンを抑制し、さらにコロージョン速度を抑制する。
【実施例
【0044】
実施例1
スラリー調合
表1に記された量の成分を合わせ(残余はDI水)、組成物のpHを45重量%水酸化カリウムによって表1に記された最終pHに調整することにより、本実施例の化学機械研磨組成物を調製した。
【0045】
【表1】

1 The Dow Chemical Companyから市販されている、AZ Electronics Materials製のKLEBOSOL(商標)1598-B25(-)ゼータ電位砥粒スラリー;及び
2 SIGMA-ALDRICH(登録商標)から市販されているポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)、Mw=7000
【0046】
実施例2
ポリエチレングリコールCMPスラリーのコロージョン速度性能
Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)をスラリーサンプル15g中に浸漬することによってコロージョン試験を実施した。10分後、Wウェーハを試験スラリーから取り出した。その後、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離処理してスラリー粒子を除去した。上清をICP-OESによって分析してタングステン重量を測定した。4cm2のエッチングウェーハ表面積を仮定して、Wの質量からコロージョン速度(Å/min)を換算した。コロージョン試験の結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
コロージョン速度試験の結果は、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールとPSSとの混合物を含有する化学機械研磨スラリーがW含有ウェーハにおけるコロージョンを対照スラリー(CS-1)よりも効果的に低減することを示した。
【0049】
実施例3
スラリー調合
表3に記された量の成分を合わせ(残余はDI水)、組成物のpHを45重量%水酸化カリウムによって表3に記された最終pHに調整することにより、本実施例の化学機械研磨組成物を調製した。
【0050】
【表3】

1 The Dow Chemical Companyから市販されている、AZ Electronics Materials製のKLEBOSOL(商標)1598-B25(-)ゼータ電位砥粒スラリー;及び
3 SIGMA-ALDRICH(登録商標)から市販
【0051】
実施例4
化学機械研磨- ポリエチレングリコールCMPスラリーのディッシング及びエロージョン性能
Applied Materialsの200mm MIRRA(登録商標)研磨機に設置した200mmブランケットウェーハ上で研磨実験を実施した。研磨除去速度実験は、200mmブランケット15kÅ厚のTEOSシートウェーハ並びにSilicon Valley Microelectronicsから市販されているW、Ti及びTiNブランケットウェーハ上で実施した。別段指定しない限り、すべての研磨実験は、SP2310サブパッドと合わせたIC1010(商標)ポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販)を使用して、一般的な21.4kPa(3.1psi)のダウン圧、125mL/minの化学機械研磨組成物流量、80rpmのテーブル回転速度及び81rpmのキャリヤ回転速度で実施した。Kinik PDA33A-3ダイアモンドパッドコンディショナ(Kinik Companyから市販)を使用して研磨パッドをドレッシングした。研磨パッドを、コンディショナにより、80rpm(プラテン)/36rpm(コンディショナ)で、9.0lb(4.1kg)のダウンフォースを使用して15分間、7.0lb(3.2kg)のダウンフォースを使用して15分間、ならし運用した。研磨の前に、7lb(3.2kg)のダウンフォースを使用して24秒間、研磨パッドをエクスサイチューでさらにコンディショニングした。研磨の前後でKLA-Tencor FX200計測ツールを使用して膜厚さを計測することにより、TEOSエロージョン深さを測定した。KLA-Tencor RS100C計測ツールを使用してW除去及びディッシング速度を測定した。ウェーハは、表4A及び4Bに示すような異なる標準ライン幅形体を有するものであった。この実施例の表中、分子がWを表し、分母がTEOSを表す。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
全体として、ポリエチレングリコールを含むスラリーは、Wのディッシングの抑制及びTEOSのエロージョンの低減において改善された性能を示した。
【0055】
実施例5
W、TEOS除去速度及びW、TEOS選択比
実質的に実施例4に記載されているように、同じ装置及びパラメータを使用して、W及びTEOS除去速度の研磨実験を実施した。ウェーハは、Silicon Valley Microelectronicsのものであった。結果を表5に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
本発明の化学機械研磨組成物は、1700Å/minよりも高い良好なW除去速度及び良好なW/TEOS選択比を示した。
【0058】
実施例6
スラリー調合
表6に記された量の成分を合わせ(残余はDI水)、組成物のpHを45重量%水酸化カリウムによって表6に記された最終pHに調整することにより、本実施例の化学機械研磨組成物を調製した。
【0059】
【表7】

4 Fuso Chemical Co., LTD製のFUSO HL-3(+)ゼータ電位砥粒スラリー
【0060】
実施例7
ポリエチレングリコールCMPスラリーのコロージョン速度性能
Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)をスラリーサンプル15g中に浸漬することによってコロージョン試験を実施した。10分後、Wウェーハを試験スラリーから取り出した。その後、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離処理してスラリー粒子を除去した。上清をICP-OESによって分析してタングステン重量を測定した。4cm2のエッチングウェーハ表面積を仮定して、Wの質量からコロージョン速度(Å/min)を換算した。コロージョン試験の結果を表7に示す。
【0061】
【表8】
【0062】
コロージョン速度試験の結果は、ポリエチレングリコールを含有する化学機械研磨スラリーがW含有ウェーハにおけるコロージョンを対照スラリー(CS-3)よりも効果的に低減することを示した。
【0063】
実施例8
スラリー調合
表8に記された量の成分を合わせ(残余はDI水)、組成物のpHを45重量%水酸化カリウムによって表8に記された最終pHに調整することにより、本実施例の化学機械研磨組成物を調製した。
【0064】
【表9】

4 Fuso Chemical Co., LTD製のFUSO HL-3(+)ゼータ電位砥粒スラリー
5w=1228; 6w=1277; 7w=1309; 8w=1310
【0065】
実施例9
ポリソルビタンCMPスラリーのコロージョン速度性能
Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)をスラリーサンプル15g中に浸漬することによってコロージョン試験を実施した。10分後、Wウェーハを試験スラリーから取り出した。その後、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離処理してスラリー粒子を除去した。上清をICP-OESによって分析してタングステン重量を測定した。4cm2のエッチングウェーハ表面積を仮定して、Wの質量からコロージョン速度(Å/min)を換算した。コロージョン試験の結果を表9に示す。
【0066】
【表10】
【0067】
スラリーPS-16を除き、コロージョン速度試験の結果は、ポリソルビタンを含有する化学機械研磨スラリーがW含有ウェーハにおけるコロージョンを対照スラリー(CS-4)よりも効果的に低減することを示した。
【0068】
実施例10
スラリー調合
表10に記された量の成分を合わせ(残余はDI水)、組成物のpHを45重量%水酸化カリウムによって表10に記された最終pHに調整することにより、本実施例の化学機械研磨組成物を調製した。
【0069】
【表11】

4 Fuso Chemical Co., LTD製のFUSO HL-3(+)ゼータ電位砥粒スラリー
9 一般式:
【化7】

を有するポリエチレングリコールエステル(n及びqは表10に定義される)
【0070】
実施例11
ポリエチレングリコールエステルCMPスラリーのコロージョン速度性能
Wブランケットウェーハ(1cm×4cm)をスラリーサンプル15g中に浸漬することによってコロージョン試験を実施した。10分後、Wウェーハを試験スラリーから取り出した。その後、溶液を9,000rpmで20分間遠心分離処理してスラリー粒子を除去した。上清をICP-OESによって分析してタングステン重量を測定した。4cm2のエッチングウェーハ表面積を仮定して、Wの質量からコロージョン速度(Å/min)を換算した。コロージョン試験の結果を表11に示す。
【0071】
【表12】
【0072】
スラリーPS-24及びPS-35を除き、コロージョン速度試験の結果は、式(V)のポリエチレングリコールエステルを含有する化学機械研磨スラリーがW含有ウェーハにおけるコロージョンを対照スラリー(CS-5)よりも効果的に低減することを示した。