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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ集合体
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/158 20170101AFI20220921BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20220921BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20220921BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C01B32/158
B65G49/07
B82Y30/00
H01L21/68 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018018910
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019140136
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 将太郎
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126697(JP,A)
【文献】特開2015-135963(JP,A)
【文献】特開2014-234338(JP,A)
【文献】QU, Liangti, et al.,SCIENCE,2008年10月10日,Vol. 322,pp. 238-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00-32/991
H01L 21/677
B65G 49/07
B82Y 30/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカーボンナノチューブがシート状に集合したカーボンナノチューブ集合体であって、厚み方向において2つの表面部と前記表面部の間の中間部を有し、前記中間部における配向度が15%以上84%未満であり、少なくとも一方の前記表面部における配向度が15%以上50%未満であり、前記中間部における配向度が少なくとも一方の前記表面部における配向度よりも高い
ここで前記配向度とは、前記カーボンナノチューブの全長さに対する、シート状の前記カーボンナノチューブ集合体の面方向に対する角度が70°~110°である部分の長さの合計の比をいう、カーボンナノチューブ集合体。
【請求項2】
厚みが300~2000μmである請求項に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項3】
少なくとも一方の表面のシリコンウェハに対する23℃における最大静止摩擦係数が4以上である請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項4】
少なくとも一方の表面部における密度が45%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項5】
少なくとも一方の表面の水に対する接触角が100°以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を備える搬送固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の製造工程において、材料、製造中間品、製品等の被加工物を搬送する際、該被加工物を移動アームや移動テーブルなどの搬送基材を用いて搬送することが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。このような搬送を行う際には、被加工物が載置される部材(搬送固定治具)には、被加工物が搬送中にずれないような強いグリップ力が要求される。また、このような要求は、製造工程高速化の要求とあいまって、年々、高まっている。
【0003】
しかしながら、従来の搬送固定治具は、樹脂等の弾性材料により被加工物を保持しており、被加工物に該弾性材料が付着残存しやすいという問題がある。また、樹脂等の弾性材料は、耐熱性が低く、高温環境下では、そのグリップ力が低下するという問題がある。
【0004】
セラミックスなどの材料を搬送固定治具に用いると、被加工物の汚染は防止され、また、グリップ力の温度依存性は低くなる。しかしながら、このような材料から構成される搬送固定治具は、本質的にグリップ力が低く、常温下でも十分に被加工物を保持し得ないという問題がある。
【0005】
また、高温環境下で被加工物を保持する方法としては、減圧吸着する方法、搬送固定治具の形状により被加工物を固定する方法(例えば、チャッキング、ザグリ固定等)等が挙げられる。しかしながら、減圧吸着する方法は、大気雰囲気下でのみ有効であり、CVD工程等における真空下では採用できない。また、搬送固定治具の形状により被加工物を固定する方法においては、被加工物と搬送固定治具との接触により、被加工物がダメージを受ける、パーティクルが発生する等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-351961号公報
【文献】特開2013-138152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題を解決する手段として、カーボンナノチューブ集合体を備える粘着性構造体を搬送固定治具に用いることが考えられる。カーボンナノチューブ集合体は、通常、所定の基材の上に触媒層を形成し、熱、プラズマなどにより触媒を活性化させた状態で炭素源を充填し、カーボンナノチューブを成長させる方法(化学気相成長法)によって得られ得る。このような製造方法によれば、基材から略垂直に配向したカーボンナノチューブから構成されるカーボンナノチューブ集合体が得られる。
【0008】
しかしながら、本発明者が搬送固定治具にカーボンナノチューブ集合体を適用することについて鋭意検討を重ねたところ、特に高温環境下においてはカーボンナノチューブ集合体と被保持部材との間のグリップ力が急激に低下するという課題が見出された。したがって、例えば300℃などの高温環境下においても十分なグリップ力を発揮するカーボンナノチューブ集合体が望まれる。
【0009】
本発明は上記に鑑みて完成されたものであり、その課題は、室温及び高温環境下において優れたグリップ力を発揮するカーボンナノチューブ集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、さらに鋭意研究を重ねた結果、カーボンナノチューブ集合体において、その配向度を制御することにより上記課題を解決できることを見出した。
【0011】
即ち、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブがシート状に集合したカーボンナノチューブ集合体であって、中間部における配向度が84%未満であり、少なくとも一方の表面部における配向度が15%以上である。
【0012】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の一態様は、少なくとも一方の表面部における配向度が50%以下である。
【0013】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の一態様は、厚みが300~2000μmである。
【0014】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の一態様は、少なくとも一方の表面のシリコンウェハに対する23℃における最大静止摩擦係数が4以上である。
【0015】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の一態様は、少なくとも一方の表面部における密度が45%以下である。
【0016】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の一態様は、少なくとも一方の表面の水に対する接触角が100°以上である。
【0017】
また、本発明の搬送固定治具は、本発明のカーボンナノチューブ集合体を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、室温及び高温環境下において優れたグリップ力を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるカーボンナノチューブ集合体の概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるカーボンナノチューブ集合体の製造装置の概略断面図である。
図3】本発明のカーボンナノチューブ集合体の一実施例における中間部のSEM画像である。
図4】本発明のカーボンナノチューブ集合体の一実施例における表面部のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0021】
[カーボンナノチューブ集合体]
図1は、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の一部を模式的に表す概略断面図である。カーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブからシート状に形成される。
【0022】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体1は、その厚み方向(カーボンナノチューブの長さ方向)において、2つの表面部(端部)11及び12と、当該表面部の間の中間部2を有する。
ここで、表面部とは、カーボンナノチューブ集合体1の最表面から厚み方向に10μmまでの領域である。
また、配向度とは、カーボンナノチューブの全長さに対する、シート状のカーボンナノチューブ集合体の面方向(カーボンナノチューブ集合体の厚み方向に垂直な方向)に対する角度が70°~110°(以下、「略垂直」ともいう)である部分の長さの合計の比をいい、具体的には実施例の欄に記載の方法で測定することができる。
すなわち、シート状のカーボンナノチューブ集合体の配向度が高いことは、カーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブにおいて、シートの面方向に対して略垂直である部分が多いことを意味する。
【0023】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、中間部における配向度が84%未満であり、少なくとも一方の表面部における配向度が15%以上である。かかるカーボンナノチューブ集合体は以下の理由により室温及び高温環境下でのグリップ力に優れる。
【0024】
カーボンナノチューブ集合体と被保持部材との間に生じるグリップ力は、カーボンナノチューブ集合体を構成する各カーボンナノチューブと被保持部材との間に生じるファンデルワールス力に起因する。カーボンナノチューブと被保持部材との間に生じるファンデルワールス力の大きさは、これらの距離の6乗に反比例するため、これらが接触していないような場合には、急激に小さくなる。すなわち、被保持部材と接触しているカーボンナノチューブの数を増やすことで、カーボンナノチューブ集合体のグリップ力を大きくすることができる。
【0025】
カーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブは長さに微細なバラつきがあり、また、被保持部材の表面にも微細な凹凸が存在する。また、カーボンナノチューブは剛性であるため、長さ方向の伸縮性に乏しい。したがって、中間部の配向度の高いカーボンナノチューブ集合体は、被保持部材に接触させた場合に一部のカーボンナノチューブしか被保持部材に接触することができず、そのためグリップ力に劣る。
一方、カーボンナノチューブ集合体の大部分を占める中間部において配向度が84%未満と低い本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、個々のカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ集合体厚み方向の伸縮性に富む。そのため、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を被保持部材に接触させた際に、被保持部材に接触していないカーボンナノチューブの割合を減らすことができ、高いグリップ力を発揮する。
上記観点より、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体において、中間部における配向度は、84%未満であり、好ましくは82%未満、より好ましくは80%未満、さらに好ましくは74%未満である。
なお、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体において、中間部における配向度の下限は特には限定されないが、一般的には例えば15%以上であり、好ましくは20%以上である。
【0026】
また、被保持部材に接触する側の表面部の配向度が15%未満であると個々のカーボンナノチューブの先端部分の厚み方向の伸縮性がかえって低下し、被保持部材に接触するカーボンナノチューブの本数が減少するため、グリップ力の低下を招く。
したがって、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、少なくとも一方の表面部における配向度を15%以上とする。また、少なくとも一方の表面部における配向度は20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。
なお、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体において表面部の配向度の上限は特には限定されないが、上述のグリップ力の低下を生じない限りにおいては被保持部材に接触する側の表面部の配向度は低いほうがグリップ力が向上するため好ましく、具体的には少なくとも一方の表面部における配向度を50%未満とすることが好ましく、40%未満とすることがより好ましく、30%未満とすることがさらに好ましい。
本実施形態において、カーボンナノチューブ集合体の一方の表面部の配向度が上記の範囲内である場合には、後述するカーボンナノチューブ集合体の製造工程において、基板側であった方の表面部が上記の範囲内であることが好ましい。また、本実施形態において、カーボンナノチューブ集合体の両方の表面部の配向度が上記の範囲内であってもよい。
【0027】
上記のように中間部及び少なくとも一方の表面部における配向度を制御した結果、優れたグリップ力を発揮する本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、高温環境下でグリップ力が低下したような場合においても実用上十分なグリップ力を発揮できる。
【0028】
また、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は少なくとも中間部の配向度が低いことから、カーボンナノチューブ集合体を構成する各カーボンナノチューブの面方向のつながりが強化されている。その結果、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体においては各カーボンナノチューブがばらばらになりにくく、シート形状を維持することができる。
【0029】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の厚みは特に限定されないが、例えば10μm~5000μmであり、好ましくは50μm~4000μmであり、より好ましくは100μm~3000μmであり、さらに好ましくは300μm~2000μmである。カーボンナノチューブ集合体の厚みは、例えば、カーボンナノチューブ集合体層の面方向端部から0.2mm以上内側において、不作為に抽出した3点の平均値である。
また、特に搬送固定治具等のグリップ力が求められる用途に使用する際には、カーボンナノチューブ集合体の厚みは300μm~2000μmであることが好ましく、500μm~1500μmであることがより好ましい。
【0030】
カーボンナノチューブ集合体の表面の最大静止摩擦係数は、大きいほどグリップ性が優れるため好ましい。具体的には、例えば実施例の欄に記載の方法で測定したシリコンウェハ表面に対する23℃における最大静止摩擦係数が6以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、50以上であることがさらに好ましい。また、高温環境下においても十分なグリップ力を発揮するために、カーボンナノチューブ集合体の最大静止摩擦係数は高温においても大きいことが好ましい。具体的には、例えば実施例の欄に記載の方法で測定したシリコンウェハ表面に対する300℃における最大静止摩擦係数が0.3以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
なお、シリコンウェハ表面に対する摩擦係数の大きい上記カーボンナノチューブ集合体が、シリコン以外の材料から構成される部材(例えば、ガラス)に対しても、強いグリップ性を発現し得ることは言うまでもない。
【0031】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の密度は特に限定されないが、中間部において密度が低くなると、個々のカーボンナノチューブが伸縮しやすくなるため、グリップ力が向上する。したがって、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、中間部における密度が低いことが好ましく、具体的には例えば下記の方法で測定した中間部における密度が46%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、44%以下であることがさらに好ましい。
また、表面部において密度が低くなると、個々のカーボンナノチューブが凝集しにくくなり、被保持部材に接触していないカーボンナノチューブの割合を減らすことができるため、グリップ力が向上する。したがって、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、少なくとも一方の表面部における密度が低いことが好ましく、具体的には例えば下記の方法で測定した少なくとも一方の表面部における密度が46%以下であることが好ましく、44%以下であることがより好ましく、42%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
(密度の測定方法)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンナノチューブ集合体を面方向に垂直に切断した断面を観察し、2×3μmの領域の2万倍の断面図を取得する。得られた断面図に対して、WinROOF2015(三谷商事株式会社製)を用いて、下記手順で画像処理を行い密度を算出する。
1.バックグラウンド除去 物体サイズ0.248μm
2.フィルタ>メディアン フィルタサイズ3*3
3.ルックアップテーブル変換(ヒストグラム平均輝度補正) 補正基準値:90
4.単一しきい値による2値化 しきい値:96、透明度:53
5.モルフォロジー>クロージング 回数:1
6.総面積・個数>面積率
この面積率をカーボンナノチューブの密度とする。
【0033】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の表面における個々のカーボンナノチューブの先端は、カーボンナノチューブ集合体の面方向に平行(すなわち、倒れた状態)でないことが好ましい。個々のカーボンナノチューブの先端が倒れた状態だと、個々のカーボンナノチューブの先端と被保持部材が接触しにくくなり、グリップ力が低下する恐れがある為である。
【0034】
ここで、カーボンナノチューブ集合体の表面における個々のカーボンナノチューブの先端が向いている方向と相関性を持つ物性として、カーボンナノチューブ集合体の撥水性が挙げられる。カーボンナノチューブ集合体の表面における個々のカーボンナノチューブの先端がまっすぐ(すなわち、カーボンナノチューブ集合体の面方向に垂直)であるものの割合が高いほどカーボンナノチューブ集合体の撥水性は向上する。逆に、倒れた状態であるものの割合が高いほどカーボンナノチューブ集合体の撥水性は低下し、カーボンナノチューブ集合体の内部に水が浸透しやすくなる。
【0035】
上記より、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、少なくとも一方の面が撥水性に優れることが好ましく、より具体的には少なくとも一方の面の水に対する接触角が80°以上であることが好ましく、100°以上であることがより好ましく、120°以上であることがさらに好ましい。なお、水に対する接触角は、JIS R 3257:1999に準拠して測定することができる。
【0036】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体は、例えば搬送固定治具に適用され得る。該搬送固定治具は、例えば、半導体素子の製造工程、光学部材の製造工程等に好適に用いられ得る。より詳細には、上記搬送固定治具は、半導体素子製造における工程と工程との間、あるいは所定の工程内で、材料、製造中間品、製品等(具体的には、半導体材料、ウエハ、チップ、基板、セラミックス板、フィルム等)を移送するために用いられ得る。また、光学部材製造における工程間、あるいは所定の工程内で、ガラス基材等を移送するために用いられ得る。また、ほかにもグリップ力が求められる用途において好適に使用することができ、例えばロボットハンド等にも使用することができる。
【0037】
<カーボンナノチューブ>
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブの形状、直径、および層数等は公知の方法で測定することができ、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)や、透過電子顕微鏡(TEM)によって測定することができる。例えば、カーボンナノチューブ集合体から10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出して、SEMまたはTEMにより観察し、形状、直径及び層数を測定することができる。
形状、直径、および層数について以下に例を示すが、本実施形態におけるカーボンナノチューブにおいてこれらは特に限定はされない。
【0038】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブの形状は特に限定されず、任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
【0039】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブの直径は、好ましくは3nm~20nmであり、より好ましくは6nm~15nmであり、さらに好ましくは7nm~9nmである。カーボンナノチューブの直径を上記範囲内に調整することにより、被保持部材との間のグリップ力に優れるカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
【0040】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブの層数は、好ましくは1~10層であり、より好ましくは2~7層であり、さらに好ましくは3~4層である。
【0041】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体を構成するカーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
【0042】
[カーボンナノチューブ集合体の製造方法]
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は特に限定されないが、例えば基材の上に触媒層を形成し、触媒層を微粒化し、熱、プラズマなどにより触媒を活性化させた状態で炭素源を供給し、カーボンナノチューブを成長させる、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)によって製造することができる。以下に、その詳細について説明する。
【0043】
カーボンナノチューブ集合体の製造方法で用い得る基材としては、任意の適切な基材を採用し得る。例えば、平滑性を有し、カーボンナノチューブの製造に耐え得る高温耐熱性を有する材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、ジルコニア、アルミナなどの金属酸化物、シリコン(シリコンウェハなど)、アルミニウム、銅などの金属、炭化ケイ素等の炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ガリウム等の窒化物などが挙げられる。
【0044】
カーボンナノチューブ集合体を製造するための装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図3に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
【0045】
基材と触媒層の間には中間層を設けることが好ましい。中間層を構成する材料としては、例えば、金属、金属酸化物等が挙げられるが、金属酸化物が好ましく、特にアルミナから構成されることが好ましい。
【0046】
触媒層は、中間層上に、もしくは基材上に設けられる、触媒からなる層である。触媒層の材料としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられるが、特に鉄が好ましい。
【0047】
また、触媒層の量は、後述の微粒化された触媒の個数密度を適切な範囲に制御するため、好ましくは50ng/cm~2000ng/cmであり、より好ましくは100ng/cm~1000ng/cmであり、特に好ましくは200ng/cm~500ng/cmである。
【0048】
触媒層の形成方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基材上に塗布する方法などが挙げられる。
【0049】
上記方法で形成された触媒層は、加熱などの処理により微粒化してカーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る。この際、中間層上又は基材上の微粒化された触媒の個数密度が大きすぎると、各カーボンナノチューブが隣接するカーボンナノチューブ集合体と干渉するため、略垂直に成長しやすくなり、カーボンナノチューブ集合体の中間部、及び表面部における配向度を小さくすることが困難となる。一方、中間層上又は基材上の微粒化された触媒の個数密度が小さすぎると、シート形状として取り扱うことが困難となる。上記観点より、中間層上又は基材上の微粒化された触媒の個数密度は好ましくは200個/μm以上であり、より好ましくは300個/μm以上であり、さらに好ましくは400個/μm以上である。また、好ましくは1000個/μm以下であり、より好ましくは750個/μm以下であり、さらに好ましくは500個/μm以下である。
中間層上又は基材上の微粒化された触媒の個数密度は、上述の触媒層の量、及び、微粒化の際の加熱温度や加熱時間を制御することにより制御することができる。個数密度を上記適切な範囲にするために、触媒の微粒化の際の加熱温度は、790℃以上であることが好ましく、815℃以上であることがより好ましく、840℃以上であることがさらに好ましい。また、940℃以下であることが好ましく、915℃以下であることがより好ましく、890℃以下であることがさらに好ましい。
また、触媒の微粒化の際の加熱時間は、好ましくは15分以上であり、より好ましくは30分以上であり、さらに好ましくは60分以上である。また、好ましくは180分以下であり、より好ましくは150分以下であり、さらに好ましくは120分以下である。
上記のような加熱処理などの方法で形成した触媒微粒子の大きさは、円相当径の平均粒子径が、好ましくは4nm以上であり、より好ましくは8nm以上であり、さらに好ましくは12nm以上である。また、好ましくは44nm以下であり、より好ましくは33nm以下であり、さらに好ましくは18nm以下である。
【0050】
続いて、上記のような方法で微粒化された触媒を、熱、プラズマなどにより活性化させた状態で炭素源を供給し、カーボンナノチューブを成長させる。
【0051】
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。用いる炭素源の種類により配向度を制御することができるが、例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素やメタノール、エタノールなどのアルコールなどを用いることができ、特にエチレンを用いることが好ましい。
【0052】
上記炭素源は、ヘリウム、水素および水蒸気とともに、混合ガスとして、供給される。当該ガスの組成を制御することにより、生成するカーボンナノチューブ集合体の配向度を制御することができる。特に、水素及び水蒸気の濃度を制御し、触媒微粒子の酸化還元状態を適切に制御することにより、適切な配向度を有するカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
上記観点より、混合ガス中の炭素源(好ましくは、エチレン)の23℃における濃度は、好ましくは1vol%以上、より好ましくは3vol%以上、さらに好ましくは5vol%以上である。また、好ましくは30vol%以下、より好ましくは20vol%以下、さらに好ましくは10vol%以下である。
また、混合ガス中の水素の23℃における濃度は、好ましくは40vol%以上、より好ましくは50vol%以上、さらに好ましくは60vol%以上である。また、好ましくは85vol%以下、より好ましくは80vol%以下、さらに好ましくは75vol%以下である。
また、混合ガス中の水蒸気の23℃における濃度は、好ましくは0.005vol%以上、より好ましくは0.01vol%以上、さらに好ましくは0.02vol%以上である。また、好ましくは0.3vol%以下、より好ましくは0.2vol%以下、さらに好ましくは0.1vol%以下である。
また、混合ガスの残部は不活性ガスとすることが好ましく、例えばヘリウムや窒素とすることが好ましい。上記組成の混合ガスを用いれば、適切な配向度を有するカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
【0053】
また、上記混合ガスにおいては、炭素源(好ましくは、エチレン)と水素との体積比(水素/炭素源)は、好ましくは3以上、より好ましくは8以上である。また、好ましくは40以下、より好ましくは12以下である。このような範囲であれば、適切な配向度を有するカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
【0054】
また、上記混合ガスにおいては、水蒸気と水素との体積比(水素/水蒸気)は、好ましくは280以上、より好ましくは750以上である。また、好ましくは8000以下、より好ましくは3000以下である。このような範囲であれば、適切な配向度を有するカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
【0055】
触媒はプラズマや熱により活性化することができるが、熱により活性化することが好ましい。具体的には、触媒の温度を、例えば690℃~840℃、好ましくは715℃~815℃、より好ましくは740℃~790℃とすることにより、触媒を活性化することができる。
【0056】
このように触媒を活性化した状態で、先述の混合ガスを供給することにより、カーボンナノチューブを成長させることができる。
【0057】
上記のようにして、基材上にカーボンナノチューブ集合体を形成させた後、該基材からカーボンナノチューブ集合体を採取することにより、本実施形態のカーボンナノチューブ集合体が得られる。採取の方法は特に限定されないが、例えばピンセットにより採取することができる。
【0058】
本実施形態のカーボンナノチューブ集合体の用途は特に限定されないが、例えば、搬送装置における粘着性搬送部材やロボットハンドにおけるグリップ材として好適に用いられ得る。
【実施例
【0059】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
[カーボンナノチューブ集合体の製造]
下記方法により、実施例1~4、及び、比較例1~5のカーボンナノチューブ集合体を製造した。
【0061】
<実施例1>
(中間層・触媒層形成工程)
シリコンウェハ基材(バルカー・エフティ社製、厚み725μm)上に、スパッタ装置(芝浦メカトロニクス社製、商品名「CFS-4ES」)により、3922ng/cmのAl薄膜(到達真空度:8.0×10-4Pa、スパッタガス:Ar、ガス圧:0.50Pa、成長レート:18ng/sec)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(芝浦メカトロニクス社製、商品名「CFS-4ES」)にて、260ng/cmのFe薄膜を触媒層(スパッタガス:Ar、ガス圧:0.75Pa、成長レート:5.5ng/sec)として形成した。
(触媒微粒化工程)
次いで、この基材を30mmφの石英管内に搭載し、水分率1000ppmに保ったHe/H(65/120sccm)混合ガスを石英管内に流して管内を置換しながら、電気管状炉を用いて管内を45分かけて865℃まで昇温させた。
その後、混合ガスは流し続けたまま管内を865℃にて安定させて120分維持してFe触媒を微粒化した。得られたFe微粒子の密度は表1に示す通りであった。次いで混合ガスは流し続けたまま10分かけて管内を765℃まで降温させた。
(カーボンナノチューブ成長工程)
その後、765℃にて温度を保持したまま、H/HO/C/He(65vol%/0.10vol%/8vol%/残部)混合ガス(原料ガス)を合計で185sccmの流量で石英管内に流して管内を置換しながら、60分間維持してカーボンナノチューブを成長させた。
その後、原料ガスを止めてヘリウムガス(40sccm)を石英管内に流したまま室温まで冷却した。
上記の操作により、実施例1のカーボンナノチューブ集合体を得た。
カーボンナノチューブ集合体は、ピンセットを用いて、シリコン基材からシート状に剥
離することができた。
【0062】
<実施例2>
触媒微粒化工程において865℃にて安定させる時間を30分としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0063】
<実施例3>
中間層・触媒層形成工程において、形成したFe薄膜の量を550ng/cmとしたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0064】
<実施例4>
触媒微粒化工程及びカーボンナノチューブ成長工程を下記のように変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4のカーボンナノチューブ集合体を得た。
(触媒微粒化工程)
基材を30mmφの石英管内に搭載し、水分率1000ppmに保ったHe/H(65/120sccm)混合ガスを石英管内に流して管内を置換しながら、電気管状炉を用いて管内を35分かけて765℃まで昇温させた。
その後、混合ガスは流し続けたまま管内を765℃にて安定させて30分維持してFe触媒を微粒化した。得られたFe微粒子の密度は表1に示す通りであった。
(カーボンナノチューブ成長工程)
用いた混合ガスをH/HO/C/He(22vol%/0.10vol%/8vol%/残部)混合ガスとしたこと以外は実施例3と同様にして、カーボンナノチューブ成長工程を実施した。
【0065】
<比較例1>
(中間層・触媒層形成工程)
シリコンウェハ基材(バルカー・エフティ社製、厚み725μm)上に、スパッタ装置(芝浦メカトロニクス社製、商品名「CFS-4ES」)により、3922ng/cmのAl薄膜(到達真空度:8.0×10-4Pa、スパッタガス:Ar、ガス圧:0.50Pa、成長レート:18ng/sec)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(芝浦メカトロニクス社製、商品名「CFS-4ES」)にて、550ng/cmのFe薄膜を触媒層(スパッタガス:Ar、ガス圧:0.75Pa、成長レート:5.5ng/sec)として形成した。
(カーボンナノチューブ成長工程)
次いで、この基材を30mmφの石英管内に搭載し、水分率1000ppmに保ったHe/H(105/80sccm)混合ガスを石英管内に流して管内を置換しながら、電気管状炉を用いて管内を35分かけて765℃まで昇温させた。
その後、765℃にて温度を保持したまま、H/HO/C/He(43vol%/0.08vol%/8vol%/残部)混合ガス(原料ガス)を合計で185sccmの流量で石英管内に流して管内を置換しながら、60分間維持してカーボンナノチューブを成長させた。
その後、原料ガスを止めて、ヘリウムガス(40sccm)を石英管内に流したまま室温まで冷却した。
上記の操作により、比較例1のカーボンナノチューブ集合体を得た。
カーボンナノチューブ集合体は、ピンセットを用いて、シリコン基材からシート状に剥
離することができた。
【0066】
<比較例2>
カーボンナノチューブ成長工程において原料ガスを、H/HO/C/He(43vol%/0.03vol%/8vol%/残部)混合ガスとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例2のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0067】
<比較例3>
カーボンナノチューブ成長工程において原料ガスを、H/HO/C/He(32vol%/0.10vol%/8vol%/残部)混合ガスとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例3のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0068】
<比較例4>
カーボンナノチューブ成長工程において原料ガスを、H/HO/C/He(65vol%/0.10vol%/19vol%/残部)混合ガスとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例4のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0069】
<比較例5>
実施例3と同様にして得られたカーボンナノチューブ集合体を、シリコンウェハを用いて平行になるように厚み方向に押圧し、厚みが0.2mmとなるよう圧縮することにより、比較例5のカーボンナノチューブ集合体を得た。
【0070】
上記実施例1~4及び比較例1~4のカーボンナノチューブ集合体の製造における各工程の概要を表1に示す。また、実施例1~4及び比較例5のカーボンナノチューブ集合体の製造における各工程の概要を表2に示す。なお、触媒微粒化工程におけるFe微粒子密度は、触媒微粒化工程後の基板をSEMにより観察して求めた。
また、実施例1~4及び比較例1~5のカーボンナノチューブ集合体の厚み、中間部における配向度、表面部における配向度、23℃及び300℃におけるグリップ力を下記の方法で測定した。これらの結果も表1及び表2に示す。さらに、実施例1~4及び比較例5のカーボンナノチューブ集合体については、下記の方法で水に対する接触角を測定した。結果を表2に示す。
【0071】
(カーボンナノチューブ集合体の厚み)
作製したカーボンナノチューブ集合体を、側面方向からSEMにより観察し、厚みを計測し、5点の平均値を厚みとした。
【0072】
(配向度)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンナノチューブ集合体を面方向に垂直に切断した断面を観察し、4×6μmの領域の2万倍の断面図を取得した。得られた断面図に対して、WinROOF2015(三谷商事株式会社製)の針状分離計測機能を用いて、下記手順で画像処理を行い、針状粒子の長さ、幅、及び方向を算出した。
1.バックグラウンド除去 物体サイズ0.248μm
2.フィルタ>メディアン フィルタサイズ3*3
3.ルックアップテーブル変換(ヒストグラム平均輝度補正) 補正基準値:90
4.単一しきい値による2値化 しきい値:90、透明度:53
5.モルフォロジー>クロージング 回数:1
6.針状分離計測 計測最小長さ:0.49630μm、最大計測幅:0.4963μm
次いで、算出された方向を10°ごとに区切り、区切りごとの針状粒子の総長さを求め、全針状粒子の総長さに対する70°~110°の針状粒子の総長さの比(70°~110°の針状粒子の総長さ/全針状粒子の総長さ)を配向度とした。
表面部の配向度の測定には、製造工程において基材側の面であった表面から2μmの位置、中間部の配向度の測定には、厚み方向の中間の位置を中心として測定して得られた断面図を用いた。
結果を表1に示す。また、実施例3について、得られた中間部のSEM像を図3に、表面部のSEM像を図4に示す。
【0073】
(23℃における最大静止摩擦係数)
最大静止摩擦係数は、製造工程において基材側の面であった面を測定面として測定した。9×9mmの大きさの各実施例、比較例のカーボンナノチューブ集合体を、10cm間隔で正三角形の形になるように、接着剤を用いて測定面の反対側の面をガラス板に接着し、評価サンプルとした。
水平に保った上記評価サンプルに重量128gのシリコンウェハを乗せ、3点に均一に重量がかかっている状態とした。その後評価サンプルを傾け、徐々に傾斜角度を増し、シリコンウェハが滑り落ちずに評価サンプルに保持される傾斜角度の最大値を測定し、これを限界すべり角(θ)とした。この限界すべり角より静止摩擦係数(μ)をμ=tanθに従い算出した。
なお、当該方法での最大静止摩擦係数の測定限界は57(θ=89°)であり、実施例1、2においては、最大静止摩擦係数は測定限界以上であった。
【0074】
(300℃でのグリップ力の評価)
あらかじめ45°、35°、17°の角度を付けた状態で、同様にサンプルを用意した。
この状態で温度を300℃まで上昇させ30min温度を保持し、下記の基準で300°でのグリップ力を4段階で評価した。
◎(非常に優れる):いずれのサンプルでもシリコンウェハが滑り落ちなかった。
○(優れる):45°のサンプルでのみシリコンウェハが滑り落ちたが、35°及び17°のサンプルでは滑り落ちなかった。
△(やや優れる):45°及び35°のサンプルでシリコンウェハが滑り落ちたが、17°のサンプルでは滑り落ちなかった。
×(不良):すべてのサンプルでシリコンウェハが滑り落ちた。
【0075】
(水に対する接触角)
水に対する接触角は、製造工程において基材側の面であった面を測定面として、接触角計 DMo-501(協和界面化学社製)を用いてJIS R 3257:1999に準拠して測定した。
なお、表2中の「測定限界以下」は、水がしみ込んでいくため接触角を測定できない状態であることを示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【符号の説明】
【0078】
1 カーボンナノチューブ集合体
2 中間部
11、12 表面部
図1
図2
図3
図4