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<図1>
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図1
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図2
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図3
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図4
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図5
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図6
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図7
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図8
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図9
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図10
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図11
  • 特許-半導体装置およびその製造方法 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20220921BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220921BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L21/56 D
H01L21/56 H
H01L23/50 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018042271
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019160882
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】門井 聖明
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067750(JP,A)
【文献】特開2003-332269(JP,A)
【文献】特開2011-216615(JP,A)
【文献】特開2003-158235(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0262919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0084435(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103681577(CN,A)
【文献】特開2010-192509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 21/56
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚肉部及び前記厚肉部の周囲に薄肉部が設けられたダイパッド、及び、前記ダイパッドの周囲に配置され、厚肉部及び前記厚肉部の周囲に薄肉部がそれぞれ設けられた複数のリードを有するリードフレームを準備する工程と、
前記ダイパッド上に半導体チップを載置し、前記半導体チップと前記リードを電気的に接続する工程と、
前記ダイパッドの前記厚肉部の下面、及び、前記リードの前記厚肉部の下面が露出するように、少なくとも前記ダイパッドと前記半導体チップと前記リードとを樹脂封止して一括封入ブロックを形成する工程と、
前記一括封入ブロックの底面に保護フィルムを貼り付ける工程と、
前記一括封入ブロックの底面と反対側の上面から前記リードの一部まで、第1の幅のダイシングブレードで切削して第1切削領域を形成する第1切削工程と、
前記第1切削工程で露出した前記リードの前記厚肉部を等方的にエッチングする第1エッチング工程と、
前記第1切削領域の底面から前記一括封入ブロックの底面まで、前記第1の幅よりも狭い第2の幅のダイシングブレードで切削する第2切削工程と、
前記保護フィルムを除去する工程と、
を備え、
前記第1切削工程と前記第1エッチング工程の間に、前記第2の幅よりも狭いダイシングブレードで切削する第3切削工程を設け、
前記第1エッチング工程において、前記リードの底面に達するエッチングを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護フィルムを除去する工程の後に、前記リードの表面にメッキをすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームの複数のダイパッドの上にそれぞれ半導体チップを搭載し、リードフレームと複数の半導体チップとを封止樹脂で一括して封入することにより、一括封入ブロックを形成する。この一括封入ブロックには複数の半導体チップがマトリックス状に配列されており、この一括封入ブロックを境界線でダイシング法にて切断するにより個片化された小型の半導体装置が得られる。
【0003】
一括封入ブロックにおいては、リードは隣り合う半導体装置間に亘って延在するように封止樹脂内に埋め込まれている。そして、リードは個片化によって境界部において切断され、個々の半導体装置内にリードとして残され、半導体装置を実装基板に実装するときのリードとして機能する。このような半導体装置では封止樹脂とともにリードも一緒に切断されるためリード切断面は垂直で、切断された封止樹脂の側面にほぼ一致した断面を有する。切断の際には封止樹脂上に金属バリが発生することがある。この金属バリはリードフレームを構成する金属材料からなり、切断面に沿って延在し、複数のリード間のショートが発生することがある。また、何らかの原因により金属バリが落下した場合には、実装基板に実装する際に、半導体装置あるいは実装基板のいずれかの配線間のショートを引き起こす可能性がある。そのような金属バリの発生を抑制する技術が特許文献1、特許文献2に記載されている。
【0004】
さらに、ダイシングにより個片化された半導体装置の場合、リードの上面が樹脂に接しており、半田を介して接続することができないため、半導体装置の実装強度はリード底面と半田濡れ性の悪いリード側面に頼らなければならない。リードの半田濡れ性を改善する方法として非特許文献1のような半導体装置の外周に配置したリードの下面の一部を凹型にしてリードにメッキを施すという技術がある。凹型にしたことにより半導体装置の外周のリード面の一部がメッキされるので、リード底面だけではなくリード側面の一部が半田接続することができ、半導体装置の実装強度を改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-218469号公報
【文献】特開2011-216615号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Systematic Approach in Testing the Viability of Mechanical Partial-cut Singulation Process towards Tin-Plateable Sidewalls for Wettable Flank on Automotive QFN Technology,2016 IEEE EPTC,pp254-258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2および非特許文献1に記載の製造方法で得られる半導体装置を基板実装した場合、半田接続状態を容易に確認することができない。また、半導体装置のリードの上面が樹脂に接しており半田を介して接続することができないため、半導体パッケージの実装強度はリード底面と半田濡れ性の悪い側面だけに頼らざるを得ず、実装強度は限定的である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、基板実装性が良好で、半田接続状態の視認性も容易な半導体装置およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の手段を用いた。
【0010】
半導体チップを載置するダイパッドと、
前記ダイパッドの周囲に配置された複数のリードと、
前記リードの下面および前記リードの前記ダイパッドから遠い側のリードの外側を露出する封止樹脂と、を備え、
前記リードの外側の上部には凹部が設けられ、
前記凹部と面する前記リード凹面は少なくとも順テーパー形状の傾斜面からなり、
前記リードの外側の一部が前記封止樹脂の側面よりも突出することを特徴とする半導体装置とした。
【0011】
ダイパッドと前記ダイパッドの周囲に配置された複数のリードとを有するリードフレームを準備する工程と、
前記ダイパッド上に半導体チップを載置し、前記半導体チップと前記リードを電気的に接続する工程と、
少なくとも前記ダイパッドと前記半導体チップと前記リードとを樹脂封止して一括封入ブロックを形成する工程と、
前記一括封入ブロックの底面に保護フィルムを貼り付ける工程と、
前記一括封入ブロックの底面と反対側の上面から前記リードの一部まで、第1の幅のダイシングブレードで切削して第1切削領域を形成する第1切削工程と、
前記第1の切削工程で露出した前記リードを等方的にエッチングする第1エッチング工程と、
前記第1切削領域の底面から前記一括封入ブロックの底面まで、前記第1の幅よりも狭い第2の幅のダイシングブレードで切削する第2切削工程と、
前記保護フィルムを除去する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を用いた。
【発明の効果】
【0012】
上記手段を用いることで、実装基板に実装後の半導体装置の端子の接続状態を視認し易く、基板実装性も良好な半導体装置および製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明する斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
図3図2に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
図4図3に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
図5】第1の切断によりリードフレームの切断面に生じた金属バリを示す図である。
図6図4に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
図7】エッチングにより金属バリを除去した状態を示す断面図である。
図8図6に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
図9】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図10】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置のリード部の斜視図である。
図11】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の上面図である。
図12】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明する斜視図である。一括封入ブロック1は封止樹脂8の塊であって、中には半導体チップ等が封止されている。一括封入ブロック1に切断線1c,1dを格子状に図示しており、この切断線に沿って個々の半導体装置に個片化することになる。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。一括封入ブロック1はダイパッド6とリード構成部7を有するリードフレーム5と、ダイパッド6のダイパッド上面6c上に載置した半導体チップ10と、半導体チップ10上の電極とリード構成部7とを電気的に接続するボンディングワイヤ11とを封止樹脂8で被覆したものである。一括封入ブロック1の樹脂底面1aから、ダイパッド6の厚肉部のダイパッド底面6bとリード構成部7の厚肉部のリード底面7bとが露出する構成である。また、ダイパッド6の上面の周囲には薄肉部が設けられてダイパッド庇部6aを成し、リード構成部7の上面の周囲には薄肉部が設けられてリード庇部7aを成している。
【0017】
一括封入ブロックを形成するには、まず、ダイパッド6とダイパッド6の周囲に配置された複数のリード構成部7とを有するリードフレーム5を準備する。次いで、ダイパッド6に半導体チップ10を載置し、半導体チップ10とリード7とをボンディングワイヤ11を介して電気的に接続した後に、ダイパッド6と半導体チップ10とリード構成部7とボンディングワイヤ11を樹脂封止する。以上の工程を経て一括封入ブロックが得られる。
【0018】
図3は、図2に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図であり、樹脂底面1aに保護フィルム2を貼り付けた状態を示している。保護フィルム2はエッチング耐性のある有機材料などにより構成されており、ダイシングテープのように予めシート状に形成し一括封入ブロック1の底面に貼り付けるのでも良いし、一括封入ブロック1の底面にエッチング耐性のある有機材料を塗布した後に硬化させたものでも良い。
【0019】
次に、図4に示すように、樹脂上面1b側から切断線1dに沿って幅広の第1ダイシングブレード12を用いて一括封入ブロック1の一部を切削する。切断線1dはリード構成部7の中心を通り、リード構成部7を左右に等量に分割する線である。第1ダイシングブレード12は樹脂上面1dから切削を開始し、リード構成部7の途中の深さ、例えば、リード構成部7の薄肉部の厚さに相当する深さまで切削した後、第1ダイシングブレード12を一括封入ブロック1から抜く。ここで用いるダイシングブレードの厚さは厚いほうが良く、100μm厚以上が望ましい。なお、この切削は、図1に示す横列の各々の切断線1c、並びに、縦列の各々の切断線1dに沿ってそれぞれ行う。
【0020】
図4の紙面から奥行き方向に並んだ複数のリード構成部7の断面図を図5に示す。第1切削下面12bは第1ダイシングブレードによって切削された領域の下面を示している。第1ダイシングブレードが封止樹脂8およびリード構成部7の両方を切削する際、延伸性のあるリード構成部7表面の金属(ここでは、銅Cu)が回転するダイシングブレードによって引きずるように切削され、封止樹脂上に金属バリ3を形成することがある。金属バリ3が長く、隣接するリード構成部7に跨るように形成されると特性不良の原因となるため、金属バリ3を除去する必要がある。
【0021】
図6は、図4に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図であり、エッチング工程を示している。切削によって生じた金属バリ3の除去のために等方性エッチングを用いるが、本実施形態ではウェットエッチングを用いた。エッチング液は硫酸/過酸化水素溶液や塩化第2鉄水溶液であり、封止樹脂8をエッチングすることなく銅を選択的にエッチングできる。一括封入ブロック1をエッチング液に浸漬させると、切削によって形成された第1切削領域12aにエッチング液が入り込み、第1切削領域12aの底面および側面に露出するリード構成部7を等方的にエッチングし始める。そして、リード構成部7の深さ方向の一部を残す状態でエッチングを終了する。このようにリード構成部7にハーフエッチング処理をするのは、後に形成するリードの長さのばらつきを防止するためである。このエッチングによって第1切削領域12aとリード構成部7の表面であるリード凹面7dとの間にはエッチング領域14が形成される。リード凹面7dは順テーパー形状の傾斜面およびそれに連なる平面とからなる。平面はリード水平面7fおよびリード垂直面7iとからなり、それぞれ第1切削領域12aの底面および側面の形状を反映したものである。そして、順テーパー形状のリード傾斜面7hは凹んだ曲面をなす形状である。エッチングされずに残ったリード構成部7の厚さは全厚の1/3~1/10程度であることが望ましい。なお、本実施形態ではエッチングの際にダイパッド底面6bやリード底面7bは保護フィルム2で覆われているためそれらの箇所が窪むことなく平坦性を保つことができる。
【0022】
図7は、図6の紙面から奥行き方向に並んだ複数のリード構成部7の断面図である。図5で図示されていた金属バリ3は薄いものであるからリード構成部7のエッチングと同時に除去される。図中のリード構成部7の上部はエッチングされて形成されたリード凹面7dであり、リード構成部7の下部は切断されずに繋がっている。
【0023】
図8は、図6に続く、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図であり、第2ダイシングブレードを用いて一括封入ブロック1を完全切断して、個々の半導体装置4に個片化する工程を示している。ここで用いる第2ダイシングブレード13は第1ダイシングブレード12に比べ幅狭のブレード(ブレード厚30μm~80μm)であり、一括封入ブロック1の樹脂上面1b側から侵入させ、第1切削領域12aの中央部付近から切削を始め、封止樹脂8およびリード構成部7の残部を左右に等分するように切削する。このとき第2ダイシングブレード13の先端はリード底面7bに貼り付けられた保護フィルム2の途中まで達することになる。なお、この切削は、図1に示す横列の各々の切断線1c、並びに、縦列の各々の切断線1dに沿ってそれぞれ行う。この完全切断によって第2金属バリ(図示せず)が発生する場合は第2金属バリ除去のための軽い第2エッチング処理を行えば良いが、完全切断するリード構成部7の下部が薄く、第2金属バリの発生が少ないのであれば、第2のエッチング処理を不要としても良い。ここで使用するエッチング液は硫酸/過酸化水素溶液や塩化第2鉄水溶液であり、封止樹脂8をエッチングすることなく銅を選択的にエッチングする。
【0024】
その後、保護フィルム2を除去して電解メッキを施すと、リード凹面7dおよびリード底面7bの表面にNi/Pd/Au積層膜のメッキ膜が形成される。メッキ膜を設けることでリードの実装性は向上するが、メッキを行わなくても本発明の効果は得られる。なお、保護フィルム2の除去は一括封入ブロック1から剥がす方法でも保護フィルム2を溶解液で溶かすという方法でも良い。
上記工程を経て、本発明の半導体装置が得られる。
【0025】
図9は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の断面図である。半導体装置4は上部に薄肉部からなるダイパッド庇部6aを有するダイパッド6上に半導体チップ10を載置し、ダイパッド6の周囲にダイパッドと離間してリード9を設け、リード9と半導体チップ10とをボンディングワイヤ11で電気的に接続し、半導体チップ10とボンディングワイヤ11とダイパッド6とリード9を被覆する封止樹脂8とからなり、ダイパッドから遠い側のリード9の外側には凹部7eを設け、凹部7eと面するリード凹面7dがリード垂直面7iと順テーパー形状のリード傾斜面7hとその一方に連続するリード水平面7fとからなる構成である。また、リード水平面7fはリード底面7bと平行に形成され、そして、リード9の最外端に位置するリード切断面7gはリード水平面7fとリード底面7bにかけて形成されている。また、封止樹脂8の側面は階段状になっている。封止樹脂8の側面は上部の第1樹脂側面8aとリード切断面7gと同一面をなす下部の第2樹脂側面8bとからなり、第1樹脂側面8aよりもリード9の一部である先端が突出する構造となっている。
【0026】
図10は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置のリード部の斜視図である。封止樹脂8は第1樹脂側面8aと第2樹脂側面8bにより階段状になっている。リード9の外側に設けられたリード凹部7eは両側を封止樹脂8で囲まれており、凹部7eは封止樹脂8の下にアンダーカット状に形成されている。
【0027】
図11は、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の上面図である。封止樹脂8の間にリード9を確認することができるため、半導体装置4を基板実装した場合、外観検査において半田濡れ性を容易に確認することができる。
【0028】
上記説明では、メッキ工程を保護フィルム除去後としているが、図6のエッチング工程後にメッキ工程を行っても良い。しかしながら、メッキが被着する箇所はリード凹面7dのみとなり、リード底面7bには被着しない。リード底面7bへのメッキ被着は保護フィルム2貼り付け工程前、もしくは保護フィルム2除去工程後に追加で行えば良い。
【0029】
以上のような第1の実施形態によれば、第1のダイシングブレード7による切断で切断面に生じた金属バリ3をエッチングにより除去することができる。よって、複数のリード間のショートの発生を抑制することができる。また、個片化後の半導体装置4を実装基板上に実装する際に、半導体装置4あるいは実装基板における何れかの導体間のショートの発生も抑制できる。また、エッチングで形成されたリードは順テーパーの形状であるため、実装基板への実装時のリード凹面7d上へ半田が這い上がりやすく、良好な接続強度を得ることができる。さらに、半田の接続状態を半導体装置の上面から観察することが可能となり品質確認ができる。また、這い上がった半田はリード側面の封止樹脂によって囲われているので隣接するリード間で短絡し難い。また、封止樹脂8やリード9の寸法は第1ダイシングブレードや第2ダイシングブレードでの切断によって決まるため寸法精度の高い半導体装置4が得られる。
【0030】
〔第2実施形態〕
図12は、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法の工程断面図である。第1実施形態の図6と対比すると、第1切削領域12aの先端に、細く深い第3切削領域12cを設け、第3切削領域12cに対応するエッチング領域14がリード底面7bに達する点で第1実施形態と異なる。第1切削領域12aと第3切削領域12cを形成するためには、まず幅広の第1ダイシングブレード(ブレード厚100μm以上)でリード構成部7の薄肉部の底面付近まで切削して第1切削領域12aを形成し、次いで、第2ダイシングブレードよりも幅狭の第3ダイシングブレード(ブレード厚20μm~30μm)で第1切削領域12aの中心部を掘り下げることで第3切削領域12cを形成する。これらの切削工程は、幅広の第1ダイシングブレード(ブレード厚100μm以上)の先端に極薄の第3ダイシングブレード(ブレード厚20μm~30μm)を設けたダイシングブレードを用いることで同時に1つの工程で行うこともできる。
【0031】
このような製造方法とすることでリードの外端に形成されるリード切断面(図9の符号7gを参照)が極めて小さくなるため半田の這い上がりが良好で基板実装時の半田濡れ性が一層良好となる。また、第2ダイシングブレードによる完全切断の際のリード構成部7の下部の切断が極小であるため、このときに生じる第2金属バリに対する第2エッチング処理が不要になる。
【0032】
上記説明した工程以外は第1実施形態に準ずる。そして、得られる半導体装置の構造も上記相違点を加味したものとなる。
【0033】
以上のような第2の実施形態によれば、第1のダイシングブレード7による切断で切断面に生じた金属バリ3をエッチングにより除去することができる。よって、複数のリード間のショートの発生を抑制することができる。また、個片化後の半導体装置4を実装基板上に実装する際に、半導体装置4あるいは実装基板における何れかの導体間のショートの発生を抑制できる。また、エッチングで形成されたリードを順テーパーの形状であるため、実装基板への実装時のリード凹面7d上へ半田の這い上がりやすく、良好な接続強度を得ることができる。本実施形態ではリード9の先端の切断面が極小であるため、より一層半田が這い上がりしやすく、良好な接続ができる。さらに、半田の接続状態を半導体装置の上面から観察することが可能となり品質確認ができる。また、這い上がった半田はリード側面の封止樹脂によって囲われているので隣接するリード間で短絡し難い。また、封止樹脂8の寸法やリード9の寸法は第1ダイシングブレードや第2ダイシングブレードによる切断によって決まるため寸法精度の高い半導体装置4が得られる。
【符号の説明】
【0034】
1 一括封入ブロック
1a 樹脂底面
1b 樹脂上面
1c 切断線
1d 切断線
2 保護フィルム
3 金属バリ
4 半導体装置
5 リードフレーム
6 ダイパッド
6a ダイパッド庇部
6b ダイパッド底面
6c ダイパッド上面
7 リード構成部
7a リード庇部
7b リード底面
7c リード上面
7d リード凹面
7e リード凹部
7f リード水平面
7g リード切断面
7h リード傾斜面
7i リード垂直面
8 封止樹脂
8a 第1樹脂側面
8b 第2樹脂側面
9 リード
10 半導体チップ
11 ボンディングワイヤ
12 第1ダイシングブレード
12a 第1切削領域
12b 第1切削下面
12c 第3切削領域
13 第2ダイシングブレード
14 エッチング領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12