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特許7144160アンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法
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  • 特許-アンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法 図1
  • 特許-アンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】アンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20220921BHJP
   C08G 59/32 20060101ALI20220921BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20220921BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20220921BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220921BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20220921BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20220921BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220921BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20220921BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220921BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220921BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C08G59/40
C08G59/32
C08L63/00 Z
C08K5/14
C08K3/013
C08L21/00
C09J7/35
C09J11/06
C09J163/00
H01L21/60 311S
H01L23/30 R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018046740
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019156997
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】森 大地
(72)【発明者】
【氏名】増渕 広和
(72)【発明者】
【氏名】江頭 桜太
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-098049(JP,A)
【文献】特開2015-105347(JP,A)
【文献】特開2017-155160(JP,A)
【文献】特開2017-197688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
C08K 3/00-13/08
C08L 21/00
C09J
H01L 21/60
H01L 23/29-23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、
前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み
前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、
前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、
前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、
レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sであるアンダーフィル材。
【請求項2】
前記フェノール化合物の含有量が、前記エポキシ化合物100質量部に対して40~60質量部である請求項1記載のアンダーフィル材。
【請求項3】
エラストマーと、無機フィラーとをさらに含有する請求項1又は2記載のアンダーフィル材。
【請求項4】
前記イミダゾール化合物の含有量が、前記エポキシ化合物100質量部に対して0.5~5質量部であり、
前記ホスホニウム塩の含有量が、前記エポキシ化合物100質量部に対して0.5~5質量部である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項5】
前記イミダゾール化合物が、ニトリル基を有し、
前記ホスホニウム塩が、第4級ホスホニウム塩である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項6】
前記イミダゾール化合物の含有量と前記ホスホニウム塩の含有量との質量比が、1:2~2:1である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項7】
前記イミダゾール化合物の含有量と前記ホスホニウム塩の含有量との質量比が、1:2~1:1である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項8】
前記エポキシ化合物が、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項9】
レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した250℃における弾性率が、100~300MPaである請求項1乃至8のいずれか1項に記載のアンダーフィル材。
【請求項10】
アンダーフィル材を、ハンダ付き電極が形成された半導体チップ側、又は前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品側に予め貼り合わせる工程と、
前記半導体チップ側の電極と前記電子部品側の対向電極とをハンダ接合させる工程とを有し、
前記アンダーフィル材は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、
前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み
前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、
前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、
前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、
レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sである半導体装置の製造方法。
【請求項11】
ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、
前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品と、
前記半導体チップと電子部品とを接着する接着層とを備え、
前記接着層は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、
前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み
前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、
前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、
前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、
レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sであるアンダーフィル材の硬化物である半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば半導体チップを実装するアンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップの実装方法において、工程短縮を目的に、半導体IC(Integrated Circuit)電極上にアンダーフィルフィルムを貼り付ける「先供給型アンダーフィルフィルム(PUF: Pre-applied Underfill Film)の使用が浸透しつつある。特に、メモリー製造用途のフリップチップ実装においては、TSV(Through Silicon Via)チップを用いた多段積層実装において、PUF技術が浸透しつつある。
【0003】
この先供給型アンダーフィルフィルムを使用した実装方法は、例えば、以下のように行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
工程A:ウエハにアンダーフィルフィルムを貼り付け、ダイシングして半導体チップを得る。
【0005】
工程B:アンダーフィルフィルムが貼り合わされた状態で、半導体チップを位置合わせして搭載する。
【0006】
工程C:半導体チップを熱圧着し、ハンダバンプの金属結合による導通確保、及びアンダーフィルフィルムの硬化による接着を行う。
【0007】
このような実装方法において、ハンダバンプを接合する接着剤としてエポキシ樹脂を用いた熱硬化接着剤が考案されている。この接着剤において、エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール、酸無水物、アミン系硬化剤等の様々な硬化剤を用いた配合組成が考案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0008】
しかしながら、チップ構成は、ファインピッチ化、多ピン化がますます進んでおり、PUFにおいては、ますます高い接続信頼性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-028734号公報
【文献】特開2010-010669号公報
【文献】特開2016-035066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本技術は、前述した課題を解決するものであり、高い接続信頼性を得ることができるアンダーフィル材、及びこれを用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本件発明者らは、鋭意検討した結果、硬化促進剤として、イミダゾール化合物とホスホニウム塩とを併用することにより、イミダゾール化合物による高い反応性、ホスホニウム塩による比較的穏やかな反応性及び粘度保持性が発現し、高い接続信頼性を得ることができるとの知見に基づき、本技術を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本技術に係るアンダーフィル材は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み、前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sである
【0013】
また、本技術に係る半導体装置の製造方法は、アンダーフィル材を、ハンダ付き電極が形成された半導体チップ側、又は前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品側に予め貼り合わせる工程と、前記半導体チップ側の電極と前記電子部品側の対向電極とをハンダ接合させる工程とを有し、前記アンダーフィル材は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み、前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sである
【0014】
また、本技術に係る半導体装置は、ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、前記ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品と、前記半導体チップと電子部品とを接着する接着層とを備え、前記接着層は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤と、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とを含有し、前記硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含み、前記エポキシ化合物が、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物であり、前記エポキシ硬化剤が、フェノール化合物であり、前記(メタ)アクリレートと前記有機過酸化物との合計質量と、前記エポキシ化合物と前記エポキシ硬化剤との合計質量との比が、6:4~4:6であり、レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度が、50000~100000Pa・sであるアンダーフィル材の硬化物である。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、硬化促進剤として、イミダゾール化合物とホスホニウム塩とを併用することにより、イミダゾール化合物による高い反応性、ホスホニウム塩による比較的穏やかな反応性及び粘度保持性が発現し、高い接続信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、搭載前の複数の半導体チップを模式的に示す断面図である。
図2図2は、搭載時の半導体チップ群を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.アンダーフィル材
2.半導体装置の製造方法
3.実施例
【0018】
<1.アンダーフィル材>
本実施の形態に係るアンダーフィル材は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤とを含有し、硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含む。硬化促進剤として、イミダゾール化合物とホスホニウム塩とを併用することにより、イミダゾール化合物による高い反応性、ホスホニウム塩による比較的穏やかな反応性及び粘度保持性が発現し、高い接続信頼性を得ることができる。
【0019】
エポキシ化合物としては、例えば、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、テトラキス(グリシジルオキシメチルフェニル)エタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)メタン、トリキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリキス(グリシジルオキシフェニル)メタン等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、スピロ環型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、テルペン型エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、α-ナフトールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物などを挙げることができる。これらのエポキシ化合物は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0020】
これらのエポキシ化合物の中でも、高接着性、耐熱性の点から、エポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ化合物を用いることが好ましい。三官能エポキシ樹脂としてはトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ化合物、トリス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン型エポキシ化合物などが挙げられる。四官能エポキシ化合物としては、テトラキス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ化合物、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物、テトラキス(ヒドロキシフェニル)プロパン型エポキシ化合物などが挙げられる。これらの多官能エポキシ化合物は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0021】
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、架橋密度の観点から、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物を用いることが好ましい。市場で入手可能なテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型エポキシ化合物の具体例としては、三菱化学(株)の商品名「JER1031S」などが挙げられる。
【0022】
エポキシ硬化剤としては、フェノール類、イミダゾール類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類、ルイス酸-アミン錯体類などを用いることができる。これらの中でも、高い架橋密度が得られるフェノール化合物が好ましく用いられる。
【0023】
フェノール化合物としては、フェノールノボラック化合物、クレゾールノボラック化合物、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール化合物、ジシクロペンタジエンフェノール付加型化合物、フェノールアラルキル化合物などが挙げられる。これらのフェノール化合物は、単独でも2種類以上を併用してもよい。これらのフェノール化合物の中でも、耐熱性の観点からフェノールノボラック化合物が好ましく用いられる。市場で入手可能なフェノールノボラック化合物の具体例としては、DIC(株)の商品名「TD-2131」(ノボラック型フェノール樹脂、軟化点78-82℃)、商品名「TD-2106」、商品名「TD-2093」などが挙げられる。
【0024】
フェノール化合物の含有量は、例えばエポキシ化合物100質量部に対して好ましくは20~80質量部、より好ましくは40~60質量部とすることができる。フェノール化合物を2種以上併用する場合、アンダーフィル材中のフェノール化合物の含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0025】
硬化促進剤は、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含む。これにより、イミダゾール化合物による高い反応性、ホスホニウム塩による比較的穏やかな反応性及び粘度保持性が発現し、高い接続信頼性を得ることができる。
【0026】
イミダゾール化合物は、硬化を促進させ、接続信頼性に大きく影響する。イミダゾール化合物としては、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンなどが挙げられる。これらのイミダゾール化合物は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0027】
これらのイミダゾール化合物の中でも、溶解性の観点から、極性の高いニトリル基を有するイミダゾール化合物を用いることが好ましい。市場で入手可能なニトリル基を有するイミダゾール化合物の具体例としては、四国化成工業(株)の商品名「2PZ-CN」(1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール)、商品名「2MZ-CN」などが挙げられる。
【0028】
イミダゾール化合物の含有量は、例えばエポキシ化合物100質量部に対して好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部とすることができる。イミダゾール化合物を2種以上併用する場合、アンダーフィル材中のイミダゾール化合物の含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0029】
ホスホニウム塩は、穏やかな反応性及び粘度に寄与し、半導体装置側面へのアンダーフィル材付着の抑制効果を発現する。ホスホニウム塩としては、トリフェニルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムジシアナミド、n-ブチルトリフェニルホスホニウムジシアナミドなどが挙げられる。これらのホスホニウム塩は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0030】
これらのホスホニウム塩の中でも、穏やかな反応性及び粘度の観点から、潜在性を有する第4級ホスホニウム塩を用いることが好ましい。市場で入手可能な潜在性を有する第4級ホスホニウム塩の具体例としては、北興化学工業(株)の商品名「TPP-MK」(テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート)、商品名「TPP-K」などが挙げられる。
【0031】
ホスホニウム塩の含有量は、例えばエポキシ化合物100質量部に対して好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部とすることができる。ホスホニウム塩を2種以上併用する場合、アンダーフィル材中のホスホニウム塩の含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0032】
イミダゾール化合物の含有量とホスホニウム塩の含有量との質量比は、好ましくは1:2~2:1であり、さらに好ましくは1:2~1:1である。このような質量比でイミダゾール化合物及びホスホニウム塩を併用することにより、高い接続信頼性を得ることができる。
【0033】
また、アンダーフィル材は、(メタ)アクリレートと、有機過酸化物とをさらに含有することが好ましい。硬化反応の比較的遅いエポキシ系と、硬化反応の比較的速いアクリル系とを併用することにより、さらに高い接続信頼性を得ることができる。本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステル(アクリレート)とメタクリル酸エステル(メタクリレート)とを包含する意味である。
【0034】
(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリレート、2官能以上の(メタ)アクリレートを使用可能である。単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールFEO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAEO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0035】
これらの(メタ)アクリレートの中でも、2以上の(メタ)アクリロキシ基を有するイソシアヌル酸誘導体が好適に用いられる。市場で入手可能な2以上の(メタ)アクリロキシ基を有するイソシアヌル酸誘導体の具体例としては、東亞合成(株)の商品名「M-315」(イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、ジアクリレート3-13%)、商品名「M-313」などが挙げられる。
【0036】
有機過酸化物としては、例えば、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等を挙げることができる。これらの有機過酸化物は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0037】
これらの有機過酸化物の中でも、パーオキシケタールが好適に用いられる。市場で入手可能なパーオキシケタールの具体例としては、日油(株)の商品名「パーヘキサV」(n-ブチル4,4-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)バーレイト)などが挙げられる。
【0038】
有機過酸化物の含有量は、例えば(メタ)アクリレート100質量部に対して好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.5~3質量部とすることができる。有機過酸化物を2種以上併用する場合、アンダーフィル材中の有機過酸化物の含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0039】
(メタ)アクリレートと有機過酸化物との合計質量と、エポキシ化合物とエポキシ硬化剤との合計質量との比は、好ましくは7:3~3:7、より好ましくは6:4~4:6である。これにより、ボイドの発生を抑制することができる。
【0040】
また、アンダーフィル材は、エラストマーと、無機フィラーとをさらに含有することが好ましい。これにより、フィルム形状としたときの膜形成性を向上させることができる。
【0041】
エラストマーとしては、例えば、アクリル系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。これらのエラストマーは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0042】
これらのエラストマーの中でも、接続信頼性の観点から、エポキシ基を有するアクリル系エラストマーを用いることが好ましい。市場で入手可能なエポキシ基を有するアクリル系エラストマーの具体例としては、ナガセケムテックス(株)の商品名「SG-P3」などが挙げられる。
【0043】
エラストマーの含有量は、例えばアンダーフィル材の組成物全体の100質量部に対して好ましくは1~50質量部、より好ましくは5~20質量部とすることができる。エラストマーを2種以上併用する場合、アンダーフィル材中のエラストマーの含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0044】
無機フィラーは、圧着時における樹脂層の流動性を調整する目的で用いることができる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。無機フィラーは、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0045】
無機フィラーの含有量は、例えばアンダーフィル材の組成物全体の100質量部に対して好ましくは10~70質量部、より好ましくは20~60質量部とすることができる。無機フィラーを2種以上併用する場合、アンダーフィル材中の無機フィラーの含有量の合計は、上述した範囲内が好ましい。
【0046】
また、アンダーフィル材は、必要に応じて、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などのシランカップリング剤を添加してもよい。
【0047】
このような組成からなるアンダーフィル材において、レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した50℃における粘度は、好ましくは20000~150000Pa・s、より好ましくは50000~100000Pa・sである。これにより、ボイドの発生を抑制することができるとともに、半導体装置のチップ端部へのアンダーフィル材の付着を抑制することができる。
【0048】
また、レオメータを用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件にて測定した250℃における弾性率は、好ましくは100~500MPa、より好ましくは100~300MPaである。これにより、半導体装置の接続信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、アンダーフィル材の形状としては、フィルム状、ペースト状などが挙げられる。ハンダ付き電極が形成された半導体チップ側に予め貼り合わせる場合、又は半導体チップのハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品側に予め貼り合わせる場合、フィルム状であることが好ましい。
【0050】
上述したアンダーフィル材によれば、粘度が適度であり、硬化不良も生じないため、半導体装置の製造において、ラミネート性、ボイド排除性、這い上がり、及び接続信頼性に対して優れた評価を得ることができる。
【0051】
<2.半導体装置の製造方法>
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、アンダーフィル材を、ハンダ付き電極が形成された半導体チップ側、又はハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品側に予め貼り合わせる工程と、半導体チップ側の電極と前記電子部品側の対向電極とをハンダ接合させる工程とを有する。本実施の形態では、上述したアンダーフィル材を用いることにより、高い接続信頼性を得ることができる。
【0052】
以下、図1及び図2を用いて、半導体チップを4段積層実装させる具体例を説明する。図1は、搭載前の複数の半導体チップを模式的に示す断面図であり、図2は、搭載時の半導体チップ群を模式的に示す断面図である。
【0053】
図1に示すように、配置工程において、インターポーザ10上に、中間層の第1~第3の半導体チップ11~13と、最上層の第4の半導体チップ14とを、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24を介して積層配置させる。
【0054】
ステージ1は、インターポーザ10を保持する機能を有するとともに、インターポーザ10を含む積層体を加熱する機能を有する。ステージ1の温度は、ハンダ付き電極aのハンダcの溶融温度未満、且つアンダーフィルフィルムの最低溶融粘度到達温度と略同一であることが好ましく、具体的には50℃~150℃であることが好ましく、60℃~100℃であることがより好ましい。
【0055】
インターポーザ10は、半導体チップを機械的に支持する機能と、半導体チップ上の端子を再配線してパッケージの端子(例えば、プリント基板実装用のハンダボール)に電気的に接続する機能とを有する。
【0056】
中間層の第1~第3の半導体チップ11~13は、シリコン貫通電極(TSV:through silicon via)と、一方の面に形成されたハンダ付き電極aと、他方の面に形成された電極bとを有する。シリコン貫通電極は、半導体チップの内部を垂直に貫通する電極であり、上下のチップ同士の接続を行う。ハンダ付き電極aは、例えばCuピラー頂上にハンダをメッキしたものである。ハンダ付き電極aのハンダcは、所謂Pbフリーハンダであり、ハンダcとしては、例えば、Sn/Ag/Cuハンダ(融点:220℃~240℃)、Sn/Agハンダ(融点:220℃)などが挙げられる。電極bは、他の半導体チップのハンダ付き電極と接続されるものであり、電極bとしては、例えばCuピラーなどが挙げられる。
【0057】
最上層の第4の半導体チップ14は、一方の面に形成されたハンダ付き電極aを有する。ハンダ付き電極aは、中間層の第1~第3の半導体チップ11~13と同様、例えばCuピラー頂上にハンダをメッキしたものである。
【0058】
また、第1~第4の半導体チップ11~14のハンダ付き電極aが形成された一方の面には、それぞれ熱硬化性接着剤である第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24が予め貼り合わされている。これにより、半導体チップ11~14を積層配置する工程数を削減することができる。
【0059】
これらの第1~第4の半導体チップ11~14は、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24に流動性は生じるが、本硬化は生じない程度の所定の温度、圧力、時間の条件で積層配置される。
【0060】
次に、図2に示すように、具体例として示す硬化工程において、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24と第1~第4の半導体チップ11~14とが複数積層配置された半導体チップ群を例えば100℃~400℃の温度の熱圧着ツールにて押圧し、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24を硬化させる。
【0061】
この硬化工程では、例えば第1の温度から第2の温度まで所定の昇温速度で昇温させるボンディング条件で、ハンダ付き電極のハンダを溶融させて金属結合を形成させるとともに、120℃~200℃の温度条件でキュアし、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24を完全硬化させる。
【0062】
第1の温度は、第1~第4のアンダーフィルフィルム21~24の最低溶融粘度到達温度と略同一であることが好ましく、50℃以上150℃以下であることが好ましい。これによりアンダーフィル材の硬化挙動をボンディング条件に合致させることができ、ボイドの発生を抑制することができる。
【0063】
また、昇温速度は、50℃/sec以上150℃/sec以下であることが好ましい。また、第2の温度は、ハンダの種類にもよるが、200℃以上280℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以上270℃以下である。これにより、ハンダ付き電極aと電極bとをハンダcにより結合させるとともに、アンダーフィルフィルム21~24を完全硬化させ、インターポーザ10と、第1~第4の半導体チップ11~14とを電気的、機械的に接続させることができる。
【0064】
このような半導体装置の製造方法によれば、インターポーザ10と、中間層の第1~第3の半導体チップ11~13と、最上層の第4の半導体チップ14とを一括圧着した際の実装ズレを抑制し、良好な接合性を得ることができる。
【0065】
上述した具体例では、アンダーフィルフィルム21~24を介して、インターポーザ10上に第1~第4の半導体チップ11~14を複数積層配置させ、一括圧着させたが、本技術は、これに限定されるものではなく、半導体チップを1段ずつ圧着実装してもよい。
【0066】
また、上述した具体例では、アンダーフィル材を、ハンダ付き電極が形成された半導体チップ側に予め貼り合わせたが、これに限定されるものではなく、ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品側に予め貼り合わせてもよい。
【0067】
また、本実施の形態に係る半導体装置は、ハンダ付き電極が形成された半導体チップと、ハンダ付き電極と対向する対向電極が形成された電子部品と、半導体チップと電子部品とを接着する接着層とを備え、接着層は、エポキシ化合物と、エポキシ硬化剤と、硬化促進剤とを含有し、硬化促進剤が、イミダゾール化合物と、ホスホニウム塩とを含むアンダーフィル材の硬化物である。これにより、硬化不良が生じないため、ボイド排除性、這い上がり、及び接続信頼性に対して優れた評価を得ることができる。
【実施例
【0068】
<3.実施例>
以下、本技術の実施例について説明する。本実施例では、アンダーフィルフィルムを作製し、ラミネート性、ボイド排除性、フィルム這い上がり、及び接続信頼性について評価した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
[アンダーフィルフィルムの作製]
下記材料を用いてアンダーフィルフィルムを作製した。
アクリルゴム:SG-P3(ナガセケムテックス(株))、エポキシ価0.21eq/kg
シリカフィラー:SE-1050(アドマテックス(株))、平均粒子径0.3μm
アクリルモノマー:M-315(東亞合成(株))、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、ジアクリレート3-13%
有機過酸化物:パーヘキサV(日油(株))、n-ブチル4,4-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)バーレイト、1分間半減期温度172.5℃
エポキシ化合物:JER1031S(三菱化学(株))、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂(4官能)、エポキシ当量200eq/g
硬化剤:TD-2131(DIC(株))、ノボラック型フェノール樹脂、軟化点78-82℃
硬化促進剤A(イミダゾール):2PZ-CN(四国化成工業(株))、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール
硬化促進剤B(ホスホニウム塩):TPP-MK(北興化学工業(株))、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート
【0070】
表1に示す配合比(質量部)となるように秤量し、これを常温のボールミルで混合・分散し、均一に溶解混合された樹脂組成物を得た。そして、樹脂組成物を、シート厚が20μmとなるようギャップ調整されたコンマコーター(登録商標)で塗布し、溶剤残分が2wt%以下になるように乾燥させ、アンダーフィルフィルムを作製した。
【0071】
[粘度及び弾性率の測定]
各アンダーフィルフィルムについて、レオメータ(TA社製ARES)を用いて、5℃/min、1Hzの条件にて、50℃における粘度、及び250℃における弾性率を測定した。表1に、各アンダーフィルフィルムの50℃における粘度、及び250℃における弾性率を示す。
【0072】
[半導体装置の作製]
アンダーフィルフィルムを、厚み7μmのCuからなる電極の先端に厚み5μmのハンダ(Sn-3.5Ag、融点221℃)が形成されたウエハ上に貼り付け、真空式ラミネータを用いて60℃の温度でラミネートした。
【0073】
次に、アンダーフィルフィルム付きウエハをダイシングして、アンダーフィルフィルム付きチップ(大きさ6mm□、厚み200μm、ピラー(φ20μm、1000ピン、ペリフェラル配置))を作製した。
【0074】
そして、アンダーフィルフィルム付きチップを、フリップチップボンダーにて下チップヘ搭載した後、最大260℃の温度にてハンダ接合させ、半導体装置を作製した。
【0075】
[ラミネート性の評価]
アンダーフィルフィルムを、厚み7μmのCuからなる電極の先端に厚み5μmのハンダ(Sn-3.5Ag、融点221℃)が形成されたウエハ上に貼り付け、真空式ラミネータを用いて50℃又は60℃の温度でラミネートし、ボイドを観察した。50℃のラミネートでボイドが観察されなかった場合の評価を「A」とし、60℃のラミネートでボイドが観察されなかった場合の評価を「B」とした。表1に、実施例及び比較例のラミネート性の評価を示す。
【0076】
[ボイド排除性の評価]
半導体装置のチップ間のボイドを、SAT(Scanning Acoustic Tomograph, 超音波映像装置)を用いて非破壊観察し、ボイド直径からボイド体積を算出した。そして、チップに付着したアンダーフィルフィルム(大きさ6mm□、厚み20μm)体積に対するボイド体積の割合(%)を算出した。ボイド体積が0%以上5%未満の場合の評価を「A」とし、ボイド体積が5%以上10%未満の場合の評価を「B」とした。表1に、実施例及び比較例のボイド排除性の評価を示す。
【0077】
[這い上がりの評価]
半導体装置のチップ端部へのアンダーフィルフィルムの付着を、顕微鏡を用いて観察し、チップ底部からのアンダーフィルフィルムの付着高さを測定した。付着高さが50μm未満の場合の評価を「A」とし、付着高さが50μm以上100μm未満の場合の評価を「B」とし、付着高さが100μm以上の場合の評価を「C」とした。表1に、実施例及び比較例の這い上がりの評価を示す。
【0078】
[接続信頼性の評価]
半導体装置を温度85℃、湿度85%、168時間の条件で吸湿させ、最大260℃のリフロー炉で加熱した。その後、さらに、温度130℃、湿度85%、水蒸気圧0.23MPa、300時間の条件のHAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)を行った。そして、信頼性試験後の半導体装置のチップ間のデラミネーション(剥離)を、SAT(Scanning Acoustic Tomograph, 超音波映像装置)を用いて非破壊観察した。また、半導体装置について、信頼性試験前の導通抵抗、及び信頼性試験後の導通抵抗を測定し、信頼性試験前の導通抵抗を基準に信頼性試験後の導通抵抗の変化率(%)を算出した。非破壊観察にてデラミネーションが無く、導通抵抗の変化率が10%未満の場合の評価を「A」とし、非破壊観察にてデラミネーションが有り、導通抵抗の変化率が10%未満の場合の評価を「B」とし、非破壊観察にてデラミネーションが有り、導通抵抗の変化率が10%以上の場合の評価を「C」とした。表1に、実施例及び比較例の接続信頼性の評価を示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示すように、比較例1では、硬化促進剤がイミダゾールのみであるため、アンダーフィルフィルムの粘度が低く、チップ端部のアンダーフィルフィルムの這い上がりが大きかった。また、比較例2では、硬化促進剤がホスホニウム塩のみであるため、アンダーフィルフィルムの硬化不良が生じ、チップ端部のアンダーフィルフィルムの這い上がりが大きく、また、デラミネーションを生じ、導通抵抗の変化も大きかった。
【0081】
実施例1~3では、硬化促進剤としてイミダゾールとホスホニウム塩とを併用しているため、アンダーフィルフィルムの粘度が適度であり、硬化不良も生じず、ラミネート性の評価、ボイド排除性の評価、這い上がりの評価、及び接続信頼性の評価が良好であった。
【符号の説明】
【0082】
1 ステージ、10 インターポーザ、11 第1の半導体チップ、12 第2の半導体チップ、13 第3の半導体チップ、14 第4の半導体チップ、21 第1のアンダーフィルフィルム、22 第2のアンダーフィルフィルム、23 第3のアンダーフィルフィルム、24 第4のアンダーフィルフィルム

図1
図2