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特許7144168ポリエステル混繊糸、織編物、及びポリエステル混繊糸の製造方法
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  • 特許-ポリエステル混繊糸、織編物、及びポリエステル混繊糸の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ポリエステル混繊糸、織編物、及びポリエステル混繊糸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/04 20060101AFI20220921BHJP
   D02G 1/02 20060101ALI20220921BHJP
   D02G 3/24 20060101ALI20220921BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20220921BHJP
   D03D 15/37 20210101ALI20220921BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20220921BHJP
   D03D 15/49 20210101ALI20220921BHJP
   D03D 15/547 20210101ALI20220921BHJP
   D04B 1/16 20060101ALI20220921BHJP
   D04B 21/16 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
D02G3/04
D02G1/02 Z
D02G3/24
D03D15/283
D03D15/37
D03D15/47
D03D15/49
D03D15/547
D04B1/16
D04B21/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018054603
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019167637
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592197315
【氏名又は名称】ユニチカトレーディング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中川 皓介
(72)【発明者】
【氏名】冨路本 泰弘
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-023441(JP,A)
【文献】特開2001-200439(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217484(WO,A1)
【文献】特開2014-208932(JP,A)
【文献】特開平07-102436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 3/04
D02G 1/02
D02G 3/24
D03D 15/283
D03D 15/37
D03D 15/47
D03D 15/49
D03D 15/547
D04B 1/16
D04B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡してなるポリエステル混繊糸であって、
前記ポリエステルマルチフィラメントAおよび前記ポリステル仮撚捲縮糸Bの何れもが、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈するものであり、
前記ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度よりも低く、前記ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が20~60%の範囲にあり、かつ前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度が35~70%の範囲にあり、
前記ポリエステルマルチフィラメントAのL*値よりも、前記ポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の方が高く、かつ、前記ポリエステルマルチフィラメントAと前記ポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の差(ΔL*値)が、3.0以上であることを特徴とする、ポリエステル混繊糸。
【請求項2】
前記ポリエステルマルチフィラメントAおよび前記ポリステル仮撚捲縮糸Bの何れもが、6個の突起部を有する異形断面形状を呈することを特徴とする、請求項に記載のポリエステル混繊糸。
【請求項3】
前記ポリエステルマルチフィラメントAと前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bとの質量比が、30/70~70/30であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステル混繊糸。
【請求項4】
前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの捲縮率が30~70%であることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載のポリエステル混繊糸。
【請求項5】
交絡数が20~120個/mであることを特徴とする、請求項1~の何れか1項に記載のポリエステル混繊糸。
【請求項6】
請求項1~の何れか1項に記載のポリエステル混繊糸を、全構成繊維中20質量%以上含むことを特徴とする、織編物。
【請求項7】
請求項1記載のポリエステル混繊糸を製造する方法であって、以下の工程(イ)~(ニ)を含むことを特徴とする製造方法。
(イ)単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Aと、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Bと、を準備する工程
(ロ)前記ポリエステル高配未延伸糸Aをガラス転移点以下の温度、延伸倍率1.15~1.40倍で冷延伸し、ポリエステルマルチフィラメントAとする工程
(ハ)前記ポリエステル高配向未延伸糸Bを温度200~300℃、仮撚倍率1.40~1.80倍で延伸仮撚し、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとする工程
(ニ)前記ポリエステルマルチフィラメントAと、前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bとを、流体噴射加工により複合し、ポリエステル混繊糸とする工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル混繊糸に関する。さらに本発明は、こうしたポリエステル混繊糸を含む織編物、及びポリエステル混繊糸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の衣料分野では、ウールのような暖かみのある外観の杢調を有する加工糸が広く用いられている(例えば、特許文献1)。杢調加工糸としては、例えば、カチオン染料に不染性のポリエステルマルチフィラメントと、カチオン染料に可染性のポリエステルマルチフィラメントとが混繊交絡されたものが挙げられる。こうした杢調加工糸を含む布帛をカチオン染料で染色すると、ウール調の外観が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-115140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いた場合は、糸条における染着差により杢調を発現させているために濃淡が強く出すぎてイラツキが生じたり、ギラツキ(光沢感)が過度に出たりして、ナチュラルかつ繊細な杢調が発現しない場合がある。また、ふくらみ感が出過ぎてしまい、シャリ感又はハリコシ感にも乏しい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の様な課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡してなるポリエステル混繊糸であって、構成繊維の単糸断面形状を特定のものとしたものは、ギラツキが抑制されたナチュラルかつ繊細な杢調が発現するとともに、構成繊維の充填率が高まるために流れ杢調にならないうえに、仮撚糸を用いることで嵩高性に優れるものであっても、シャリ感およびハリコシ感に富む織編物が得られるポリエステル混繊糸であることを知見し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下の(1)~(8)を要旨とする。
(1)ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡してなるポリエステル混繊糸であって、前記ポリエステルマルチフィラメントAおよび前記ポリステル仮撚捲縮糸Bの何れもが、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈するものであり、前記ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度よりも低く、前記ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が20~60%の範囲にあり、かつ前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度が35~70%の範囲にある。
(2)前記ポリエステルマルチフィラメントAのL*値よりも、前記ポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の方が高く、かつ、前記ポリエステルマルチフィラメントAと前記ポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の差(ΔL*値)が、3.0以上であることを特徴とする、(1)のポリエステル混繊糸。
(3)前記ポリエステルマルチフィラメントAおよび前記ポリステル仮撚捲縮糸Bの何れもが、6個の突起部を有する異形断面形状を呈することを特徴とする、(1)または(2)のポリエステル混繊糸。
【0007】
(4)前記ポリエステルマルチフィラメントAと前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bとの質量比が、30/70~70/30であることを特徴とする、(1)~(3)の何れかのポリエステル混繊糸。
(5)前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bの捲縮率が30~70%であることを特徴とする、(1)~(4)の何れかのポリエステル混繊糸。
(6)交絡数が20~120個/mであることを特徴とする、(1)~(5)の何れかのポリエステル混繊糸。
【0008】
(7)(1)~(6)の何れかのポリエステル混繊糸を、全構成繊維中20質量%以上含むことを特徴とする、織編物。
(8)以下の工程(イ)~(ニ)を含むことを特徴とする、ポリエステル混繊糸の製造方法。
(イ)単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Aと、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Bと、を準備する工程
(ロ)前記ポリエステル高配未延伸糸Aをガラス転移点以下の温度、延伸倍率1.15~1.40倍で冷延伸し、ポリエステルマルチフィラメントAとする工程
(ハ)前記ポリエステル高配向未延伸糸Bを温度200~300℃、仮撚倍率1.40~1.80倍で延伸仮撚し、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとする工程
(ニ)前記ポリエステルマルチフィラメントAと、前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bとを、流体噴射加工により複合し、ポリエステル混繊糸とする工程
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリエステル混繊糸は、特定の単糸断面形状を有するポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡されてなるために、構成繊維の充填率が高まるために流れ杢調にならないうえに、本発明のポリエステル混繊糸を製織編および染色して得られる布帛は、嵩高性に優れるものであっても適度なシャリ感、ハリコシ感があり、さらにカチオン染料を用いていないためにギラツキが抑制されたよりナチュラルかつ繊細な杢調を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の異形度の求め方を説明する模式図である。
図2】本発明のポリエステル混繊糸の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
図3】実施例1で得られた本発明のポリエステル混繊糸の断面写真(倍率:230倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリエステル混繊糸]
本発明のポリエステル混繊糸は、ポリエステルマルチフィラメントAと、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとが、混繊交絡してなるものである。
【0012】
(ポリエステルマルチフィラメントA)(ポリエステル仮撚捲縮糸B)
ポリエステルマルチフィラメントAは、単糸としてのポリエステル繊維からなり、このポリエステル繊維を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状である。ポリエステル仮撚捲縮糸Bも同様に、単糸としてのポリエステル繊維からなり、このポリエステル繊維を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状である。
【0013】
ポリエステルマルチフィラメントAの横断面形状の異形度は、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの横断面形状の異形度よりも低いものである。こうした異形度とするために、例えば後述のような製造方法が採用される。こうした製造方法においては、ポリエステルマルチフィラメントAの単糸断面は高配向未延伸糸を冷延伸することで得られ延伸同時仮撚のように熱・加撚による応力がかからない為、断面形態の崩れがいっそう抑制される一方で、ポリエステル仮撚捲縮糸Bは高配向未延伸糸を延伸同時仮撚することによって得られ、加撚により応力がかかるために、単糸断面形態はより崩れ易くなるという手法が採用される。
【0014】
ポリエステルマルチフィラメントAの横断面形状の異形度は20~60%であり、20~55%であることが好ましく、25~40%であることがより好ましい。ポリエステル仮撚捲縮糸Bの横断面形状の異形度は35~70%であり、40~65%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。ポリエステルマルチフィラメントAおよびポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度の何れかが、一方でも上記範囲を外れると、ギラツキが抑制されたナチュラルかつ繊細な杢調が得られず、シャリ感が不足するものとなる。より具体的には、ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が20%未満であるとシャリ感および光沢(ギラツキ)抑制が乏しく、60%を超えるとシャリ感が過剰となってしまう。一方、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度が35%未満であるとシャリ感および光沢(ギラツキ)抑制が乏しく、70%を超えるとシャリ感が過剰となってしまう。さらに、本発明においては、よりシャリ感に優れ、光沢をいっそう抑制できる観点から、(ポリエステルマルチフィラメントAの異形度)/(ポリエステル仮撚捲縮糸Bの異形度)=0.50~1.0であることが好ましく、0.60~0.80であることがより好ましい。
【0015】
本発明における異形度について、図1を参照して説明する。すなわち異形度とは、異形断面形状における外接円の直径Rと内接円の直径rの比から、下記式より求める。ここで、異形断面形状において、形状の外部の点に接し(外接し)て描ける円のうち、最も多くの点に外接して描ける円であって、最も直径の小さい円を外接円とし、形状の内部に3点以上接し(内接し)て描ける円のうち、最も直径の大きい円を内接円という。本発明における異形度は、全構成繊維の平均値が採用される。
(異形度)(%)=[(R-r)/R]×100(%)
【0016】
本発明においては、ポリエステルマルチフィラメントAと後述のポリエステル仮撚捲縮糸Bとが、3~6個の突起部を有する異形断面形状であることにより、織編物とした場合に、適度なシャリ感、ハリコシ感、ギラツキが抑制されたナチュラルかつ繊細な杢調を発現させるという効果が奏される。なかでも、突起部の個数は5~6個であることが好ましく、6個であることがより好ましい。
【0017】
ここで、ポリエステル仮撚捲縮糸Bは、仮撚加工が施されている。仮撚加工が施されていることにより、原糸の状態と比較して、捲縮が付与され嵩高性に富むという効果が奏される。一方で、ハリコシ感に劣るものとなる傾向があるが、本発明においては、異形断面形状を有する繊維を用いているために構成繊維同士の充填性が高まることで流れ杢調にならず、さらにハリコシ感にも優れる。また、ポリエステル仮撚捲縮糸Bに仮撚加工が施されることで、仮撚加工が施されていないポリエステルマルチフィラメントAとの配向差が適切なものとなり、濃淡染着差が発現し、杢調に優れるものとなる。
【0018】
ここで、突起部が2個以下の断面形状である場合は、シャリ感が得られないうえに、繊維表面のぎらつきを抑制できずナチュラルな杢調を発現させることができない。さらに、構成繊維同士の充填性が低下するために、流れ杢調となり、ハリコシ感も得られない。また、突起部が7個以上の断面形状である場合は、シャリ感が過度となり風合いに劣るものとなる。
【0019】
さらに、本発明においては、ポリエステル仮撚捲縮糸Bが異形断面形状であることにより、仮撚捲縮糸であることと単繊維の断面形状との相乗効果により、後工程で撚糸を実施した際に単糸断面形状であることで構成繊維の充填性が高まり、よりシャリ感、ハリコシ感に優れ、染色した場合に流れ杢調とならず、杢調がいっそう良好な布帛を得ることができる。
【0020】
ポリエステルマルチフィラメントAを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。詳しくは、例えば、PET中では、繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが、全繰り返し単位に対し90モル%以上占めることが好ましい。本発明の目的を損なわない範囲で、第三成分(共重合成分)として、各種ジカルボン酸成分、各種脂肪族グリコールなどが共重合されていてもよい。
【0021】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bを構成するポリエステルとしては、上記ポリエステルマルチフィラメントAを構成するポリエステルと同様のものが挙げられる。
【0022】
ポリエステルマルチフィラメントAは、ポリエステル高配向未延伸糸Aを延伸してポリエステルマルチフィラメントAとする際の延伸条件を、後述の本発明のポリエステル混繊糸の製造方法の様に適切に選定することで、フィラメント強度の低下を抑制でき、後工程(例えば、製織編などの工程)における摩擦等を受けても、毛羽又は糸切れ等の発生を抑制することができる。一方、繊維の内部構造において配向が進行し過ぎず、中間的な配向性を有する糸条となる。そのため、後述のポリエステル仮撚捲縮糸Bよりも染色性が高まり濃染部となり、こうした濃淡染着性差とポリエステルマルチフィラメントAおよびポリエステル仮撚捲縮糸Bが混繊交絡されてなることにより、製織編および染色して得られる布帛は、杢調を発現することができる。
【0023】
従来技術においては、カチオン可染性ポリエステル繊維と、カチオン不染性ポリエステル繊維とを用いて複合糸を得た後、カチオン染料を用いて杢調を発現させるものであった。こうした従来技術においては、過度なイラツキまたはギラツキが発現してしまい、ナチュラルかつ繊細な杢調が発現しない。しかしながら本発明においては、例えば好ましい製造条件を採用することで構成繊維の配向をコントロールすることによる濃淡染着性差を発現することができ、カチオン染料を用いることなく、従来の方法で簡易に杢調を達成するものであり、イラツキがないものである。さらに、構成繊維として、特定の単糸断面形状を有するポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡されてなるために、構成繊維の充填率が高まるために流れ杢調にならないうえに、繊維の断面形状による光の屈折作用により、繊維表面のギラツキが抑制されるために、本発明のポリエステル混繊糸を製織編および染色して得られる布帛は、ナチュラルかつ繊細な杢調を発現することができる。
【0024】
ポリエステルマルチフィラメントAの単繊維繊度は、特に限定されるものではないが、1.0~5.0dtexであることが好ましく、1.5~4.5dtexであることがより好ましい。単繊維繊度が1.0dtex以上であると、後工程における毛羽が発生し難く、5.0dtex以下であると構成繊維の充填性が十分となりハリコシ感に優れるとともに流れ杢調となり難く、さらにシャリ感にもいっそう優れるものとなる。
【0025】
ポリエステルマルチフィラメントAの総繊度は、特に限定するものではないが、ポリエステル混繊糸とした際に総繊度が太くなりすぎると、杢調に乏しくなるうえ、シャリ感、清涼感を有する衣料に適さない為、50~250dtexであることが好ましく、60~150dtexであることがより好ましく、80~110dtexであることがさらに好ましい。
【0026】
ポリエステルマルチフィラメントAのフィラメント本数は、特に限定されるものではないが、繊維構成本数が多い方が、構成繊維の充填性がより高められることで、流れ杢調となり難く、シャリ感、ハリコシ感にいっそう優れるために、20本以上が好ましく、20~40本がより好ましい。
【0027】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bの単繊維繊度は、特に限定されるものではないが、1.0~5.0dtexであることが好ましく、1.5~4.5dtexであることがより好ましい。単繊維繊度が1.0dtex以上であると、後工程における毛羽が発生し難く、5.0dtex以下であると構成繊維の充填性が高まり、流れ杢調となり難く、シャリ感、ハリコシ感が得られ易くなる。
【0028】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bの総繊度は、特に限定されるものではないが、ポリエステル混繊糸とした際に総繊度が太い場合はシャリ感、清涼感にいっそう優れるために、50~250dtexであることが好ましく、50~200dtexであることがより好ましく、50~100dtexであることがより好ましいい。なお、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの総繊度は、ポリエステルマルチフィラメントAの総繊度より低いことが好ましい。これにより、加工糸の交絡状態がより良好となり、杢調の調整がいっそう容易になる。ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとの総繊度の比は、加工糸の交絡状態がより良好となり、杢調の調整がいっそう容易になることから、(ポリエステルマルチフィラメントAの総繊度)/(ポリエステル仮撚捲縮糸Bの総繊度)=1.0~1.5であることが好ましく、1.20~1.35であることがより好ましい
【0029】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bのフィラメント本数は、特に限定されるものではないが、繊維構成本数が多い方が、構成繊維の充填性をより高められることで、流れ杢調とならずにシャリ感、ハリコシ感にいっそう優れるために、20本以上が好ましく、20~40本がより好ましい。
【0030】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bは、例えば六個の突起部を有する断面形状を呈したマルチフィラメントに、高配向未延伸糸に延伸同時仮撚加工を施すことで得られる。延伸同時仮撚加工の手法としては、特に限定されるものではないが、一般にスピンドル方式とフリクション方式に分かれ、スピンドル方式とフリクション方式とで好ましい仮撚条件が若干異なるが、どちらの手法でも構わない。
【0031】
ポリエステル仮撚捲縮糸Bの捲縮率は、30~70%が好ましく、45~60%であることがより好ましい。捲縮率が30%以上であると嵩高性にいっそう優れるものとなり、捲縮率を70%以下であると過度に高捲縮とならないために、仮撚加工時の仮撚数やD/Y(ディスク周速と糸速との比)が適切に低い範囲となり、ナチュラルかつ繊細な杢調という本発明の効果にいっそう優れるうえに、加工糸の毛羽の発生など加工工程で問題をいっそう抑制できる。一方、ポリエステルマルチフィラメントAは実質的に捲縮を有しておらず、例えば捲縮率が5%未満である。なお、捲縮率の測定方法については、実施例において後述する。
【0032】
上記のポリエステルマルチフィラメントAおよびポリエステル仮撚捲縮糸Bには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化チタン等の艶消し剤、または各種添加剤(例えば、帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤等)が含有されていてもよい。
【0033】
(ポリエステル混繊糸)
本発明のポリエステル混繊糸は、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが、混繊交絡により複合されてなるものである。交絡させることで構成繊維を収束させて、織編物とした際の杢感を発現する。
【0034】
ポリエステル混繊糸の交絡状態は、混繊時のインターレースノズルへの供給エアー圧力や、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとを引揃えて混繊する際のオーバーフィード率を変更することにより、種々に変更することが可能である。
【0035】
本発明のポリエステル混繊糸において、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとの質量比が、30/70~70/30であることが好ましく、40/60~60/40であることがより好ましく、50/50であることがさらに好ましい。質量比がこの範囲であることで、濃染部と淡染部との杢感のバランスにいっそう優れる混繊糸となる。
【0036】
本発明のポリエステル混繊糸は、交絡数が20~120個/mであることが好ましく、30~100個であることがより好ましい。交絡数が20個/m以上であると、交絡状態が解け難くなり、杢調がより良好に発現し、さらに使用時に解舒不良等がいっそう発生し難くなる。また、交絡状態が解け難くなると、織編物の製造工程において必然的に受けるガイド摩耗によって、糸条内部にズレが発生することを抑制でき、織編物の欠点をいっそう抑制し易くなる。一方、交絡数が100個/m以下であると、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが絡まり過ぎず、染色斑をより抑制しナチュラルかつ繊細な杢調にいっそう優れるものとなり、さらに混繊時のインターレースノズルへの供給エアー圧力を上げ過ぎる必要がないために、単糸切れ、毛羽等をいっそう抑制できる。交絡数を上記範囲とすることにより、加工糸の絡み方を調整することができる為、織編物にした際の杢感を調整し、外観、風合いを向上させて、各種の製造トラブルを抑制することができる。
【0037】
交絡数を調整するためには、例えば、インターレースノズルへの供給エアー圧力、インターレースゾーンのオーバーフィード率を調整することができる。なお、本発明において、混繊交絡糸の交絡数は、JIS L1013 8.15フック法に基づいて測定して得られた値である。
【0038】
本発明のポリエステル混繊糸は、織編物とし、通常の染色工程を経ることで、ナチュラルかつ繊細な杢調を発現することができる。ここで、ナチュラルかつ繊細な杢調の指標として、筒編染色時のL*値およびK/S値を採用することができる。筒編染色時のK/S値が、ブルー染色時で25以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。
【0039】
上記のL*値、およびK/S値を特定の範囲とするために、特定の断面形状である構成繊維を用いたり、好ましい製造条件を採用したり、ポリエステル混繊糸の含有率を適切な範囲としたり、捲縮率を強過ぎない適切な範囲としたり、構成繊維の単繊維繊度を適切な範囲としたりすることができる。K/S値、L*値の測定方法については、実施例にて詳述する。
【0040】
さらに本発明においては、よりナチュラルな杢調と繊細な杢感が発現することから、ポリエステルマルチフィラメントAのL*値よりも、ポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の方が高いことが好ましく、かつ、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の差(ΔL*値)が、3.0以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらに好ましい。ナチュラルかつ繊細な杢調を発現し、濃淡差が過度に出すぎずイラツキが抑制されるために、ΔL*値は、7.0以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましい。
【0041】
[織編物]
本発明の織編物は、上記のような本発明のポリエステル混繊糸を、全構成繊維中に20質量%以上含んでなることが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましく、100質量%含むことがさらに好ましい。
【0042】
本発明の織編物が織物である場合、そのカバーファクター(CF)は、特に限定されるものではないが1,500~3,000であることが好ましい。カバーファクター(CF)とは、織編物の粗密を数値化したものであり、以下の式により算出される。ここで、式中、Dは経糸の総繊度を示す。Eは緯糸の総繊度を示す。
CF=D1/2×経糸密度(本/2.54cm)+E1/2×緯糸密度(本/2.54cm)
【0043】
本発明の織編物が編物である場合、表面密度は、特に限定されるものではないが、10~60コース/2.54cmかつ45~100ウェール/2.54cmであることが好ましい。
【0044】
織編物の組織としては特に限定されず、適宜の組織(織物であれば平織、綾織、朱子織、必要に応じて多重組織、編物であれば丸編の天竺、スムース、経編のトリコット、必要に応じて多重組織)を採用することができる。
【0045】
本発明の織編物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の繊維(例えば、綿又は麻などの天然繊維、ナイロンなどの合成繊維、レーヨン等の再生繊維などを混用することができる。特に風合いの観点からは、綿又は麻との混用が好ましく、杢調をより向上させるためには弾性糸との混用が好ましい。また本発明の織編物には、柔軟剤、制電剤、又は撥水剤等を用いた各種の加工が施されてもよい。
【0046】
[ポリエステル混繊糸の製造方法]
本発明のポリエステル混繊糸の製造方法の一例について、以下に述べる。
本発明の製造方法は、以下の工程(イ)~(ニ)を含む。
(イ)単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Aと、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%であるポリエステル高配向未延伸糸Bと、を準備する工程
(ロ)前記ポリエステル高配未延伸糸Aを、ポリエステル高配未延伸糸Aを構成するポリエステルのガラス転移点以下の温度、かつ延伸倍率1.15~1.40倍で冷延伸し、ポリエステルマルチフィラメントAとする工程
(ハ)前記ポリエステル高配向未延伸糸Bを温度200~300℃、仮撚倍率1.30~1.80倍で延伸仮撚し、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとする工程
(ニ)前記ポリエステルマルチフィラメントAと、前記ポリエステル仮撚捲縮糸Bとを、流体噴射加工により複合し、ポリエステル混繊糸とする工程
【0047】
工程(イ)について、以下に述べる。
供給糸としてのポリエステル高配向未延伸糸Aは、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個(好ましくは5~6個、さらに好ましくは6個)の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%(好ましくは20~55%、さらに好ましくは25~40%)であるマルチフィラメントである。ポリエステル高配向未延伸糸Aは、得られるポリエステル混繊糸において、ポリエステルマルチフィラメントAとなるものである。
【0048】
ポリエステル高配向未延伸糸Aを得る手法としては特に限定されないが、例えばPETなどのポリエステルを用い、単糸断面が上記のような突起部を有する異形断面形状となる特殊ノズルを用い、紡糸温度270~300℃で紡糸し、冷却した後、その表面に油剤を付与し、紡速2,000~4,000m/分の速度で引き取りローラに引取るような紡糸方法により得られる。PETには、必要に応じて酸化チタン等の微粒子を含有させてもよい。
【0049】
ポリエステル高配向未延伸糸Aの単繊維繊度は、特に限定されるものではないが、ポリエステルマルチフィラメントAの単繊維繊度を上記範囲(1.0~5.0dtex)とするために、1.0~5.0dtexであることが好ましい。また、総繊度も特に限定されるものではないが、ポリエステルマルチフィラメントAの総繊度を上記範囲(50~250dtex)とするために、50~250dtexであることが好ましい。
【0050】
また、供給糸としてのポリエステル高配向未延伸糸Bについて述べる。ポリエステル高配向未延伸糸Bは、単糸を繊維の長手方向に対して垂直に切断した断面形状が、3~6個(好ましくは5~6個、さらに好ましくは6個)の突起部を有する異形断面形状を呈し、異形度が20~60%(好ましくは20~55%)であるマルチフィラメントである。ポリエステル高配向未延伸糸Bを得る手法または紡糸条件は特に限定されるものではないが、例えば上記のポリエステル高配向未延伸糸Aと同様の手法または紡糸条件が挙げられる。そして、ポリエステル高配向未延伸糸Bとしては、断面形状および糸質物性は、上記したポリエステル高配向未延伸糸Aと同様のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、供給糸としてのポリエステル高配向未延伸糸Aおよびポリエステル高配向未延伸糸Bの異形断面形状は、回転対称形であることが好ましい。
【0051】
ポリエステル高配向未延伸糸Aとポリエステル高配向未延伸糸Bとが同様の異形度または染着性を有していても、工程(ロ)および(ハ)の加工条件を適切に選択することで、得られるポリエステル混繊糸に含まれるポリエステルマルチフィラメントAおよびポリエステル仮撚捲縮糸Bとは、特定の異形度または染着性を呈するものとなり、ひいては本発明の効果を奏するものとなる。供給糸としての高配向未延伸糸Bは、得られるポリエステル混繊糸において、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとなる。
【0052】
ポリエステル高配向未延伸糸Bの単繊維繊度は、特に限定されるものではないが、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの単繊維繊度を上記範囲(1.0~5.0dtex)とするために、1.8~6.5dtexであることが好ましい。また、総繊度も特に限定されるものではないが、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの総繊度を上記範囲(50~250dtex)とするために、65~450dtexであることが好ましく、75~400dtexであることがより好ましい。
【0053】
工程(ロ)について、以下に述べる。つまり、上記のポリエステル高配未延伸糸Aに対して、ポリエステル高配未延伸糸Aを構成するポリエステルのガラス転移点以下の温度にて、延伸倍率1.15~1.40倍で冷延伸を施し、ポリエステルマルチフィラメントAとする。すなわち、本発明における冷延伸とは、ガラス転移点以下の温度での延伸をいう。ポリエステルのガラス転移点は、一般に69~80℃である。ポリエステル高配向未延伸糸Aを特定条件で冷延伸することにより、その単糸繊度をより好ましいものに微調整できると共に、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bの混率、および両者の杢調差(つまり、上記のΔL*値)をより好ましいものに微調整することもできる。
【0054】
工程(ロ)において、延伸温度は、ポリエステル高配未延伸糸Aを構成するポリエステルのガラス転移点以下の温度である。冷延伸温度がガラス転移点以下の温度であると、配向結晶化が過度に進むことがなく、ポリエステル仮撚糸Bとの濃淡染着性差が十分に発現し易くなるために、杢感がより強調される。また、加熱による応力の影響で断面形状が崩れ難く、ポリエステルマルチフィラメントAの異形度が上記範囲となり易い。
【0055】
工程(ロ)において、延伸倍率は1.15~1.40倍であり、1.20~1.30倍であることが好ましい。延伸倍率が1.15倍以上であると、ポリエステルマルチフィラメントAにおける未延伸部(残存未延伸部)が多くならず、後加工での熱セットで該残存未延伸部が硬化、脆化し難いために、風合いが硬くなり難く、強度の低下もいっそう抑制できる。一方、1.40倍以下であると、ポリエステルマルチフィラメントAの過度に配向が進行せず、ポリエステル仮撚糸Bとの染着性差が出やすく、杢調がいっそう出やすい。
【0056】
これにより、濃淡染着性差と、単糸の断面形状と、ポリエステルマルチフィラメントAおよびポリエステル仮撚捲縮糸Bが混繊交絡されてなることの相乗効果により、構成繊維の充填率が高まるために流れ杢調にならずギラツキが抑えられるために、製織編および染色して得られる布帛は、よりナチュラルかつ繊細な杢調を発現することができる。また、強度にも優れるものとなる。
【0057】
工程(ハ)について、以下に述べる。工程(ハ)は、上記のポリエステル高配向未延伸糸Bに延伸仮撚加工(延伸同時仮撚加工)を施すことでポリエステル仮撚捲縮糸Bとする工程である。
【0058】
工程(ハ)において、延伸倍率は1.30~1.80倍であり、1.40~1.70倍であることが好ましい。延伸倍率が1.30倍以上であると、仮撚捲縮糸の伸度が高くなり過ぎず、後加工(例えば、染色加工等を含む一連の加工)において、仮撚捲縮糸の物性が変動し難く、織編物の品位品質面でトラブル発生がいっそう抑制される。また、ポリエステルマルチフィラメントAとの染着性差も発現し易くなる。一方、延伸倍率が1.80倍以下であると、仮撚加工時の糸切れをいっそう抑制できる。
【0059】
ここで、延伸工程における延伸倍率とは、例えば図2における、第一供給ローラ1の表面速度と第一引取ローラ7の表面速度との比(延伸倍率=第一引取ローラ7の表面速度/第一供給ローラ1の表面速度)をいう。
【0060】
延伸仮撚加工の手法としては、一般にスピンドル方式とフリクション方式とに分かれ、スピンドル方式とフリクション方式とで好ましい仮撚条件が若干異なるが、ポリエステル仮撚捲縮糸Bどちらの手法でも構わない。
【0061】
スピンドル方式での加工速度は、特に限定されるものではないが、100~200m/分程度が好ましく、フリクション方式での加工速度は、特に限定されるものではないが、200~700m/分程度が好ましい。また、ヒーター温度は、特に限定されるものではないが、スピンドル方式では150~200℃程度が好ましい。一方、フリクション方式では、接触式ヒーターで170~200℃程度、点接触式ヒーターで200~300℃程度の範囲がそれぞれ好ましい。ヒーター温度が上記範囲を下回ると、いずれの方式であっても十分な捲縮が付与し難い場合があり、また、上記範囲を上回ると、いずれの方式であっても繊維同士が融着し易くなり、繊維が十分開繊しない場合があり、後に混繊交絡し難くなる場合がある。
【0062】
スピンドル方式とフリクション方式とでは、加撚・解撚の機構も若干異なる。スピンドル方式では、スピンドルの回転によってピンタイプの仮撚具が回転し、糸が加撚される。このときの加撚の度合い、すなわち仮撚係数を20,000~34,000とするのが好ましく、22,000~30,000とするのがより好ましい。
【0063】
仮撚係数とは、K=T×D1/2なる式で算出されるものである。なお、式中において、Kは仮撚係数、Tは仮撚数(T/M)、Dは複合仮撚糸の総繊度(dtex)である。
【0064】
仮撚数とは、T=スピンドル回転数(rpm)/第二引取ローラ7の表面速度(m/分)で算出されるものである。仮撚係数が20,000以上になると、捲縮がいっそう発現し、ポリエステル仮撚捲縮糸Bに十分な捲縮を付与できるために、嵩高性により優れる。一方、仮撚係数が34,000以下であると、糸切れ、毛羽をいっそう抑制できる。
【0065】
フリクション方式では、一般に、加撚の度合いを仮撚係数で管理するのではなく、K値及びディスク枚数で管理する。これは、両方式の加撚・解撚機構の違いによる。K値とは、解撚張力(T2)と加撚張力(T1)との比(T2/T1)をいい、T2とはディスクを通過した直後の糸張力を、T1とはディスクへ導入される直前の糸張力をいう。
【0066】
フリクション方式では、ディスクの回転により撚りが掛る。したがって、加撚の度合いは、ディスクスピードとディスク枚数とにより決定づけられることになる。ただし、ディスクスピードを直接的に管理することは、工程管理上あまり効率的とはいえないため、ディスクスピードの変動によりK値が変動する点に鑑み、K値を管理することが一般に効率的であるとされている。
【0067】
フリクション方式において、ディスクとしては、特に限定されるものではないが、一般にポリウレタン製のものが使用される。ディスク枚数としては、一般に5~7枚が好ましく、ディスクの厚さとしては5~10mmが好ましい。また、K値としては、0.6~1.2が好ましい。K値が0.6以上であると、糸切れ、毛羽をいっそう抑制することができる。一方、1.2以下であると、サージングが生じ難くなる。なお、サージングとは、加撚された撚りが解撚域で解かれず撚りが残った状態をいう。
【0068】
なお、工程(ロ)と工程(ハ)とは、何れが先に実行されてもよい。
【0069】
工程(ニ)について、以下に述べる。つまり、ポリエステルマルチフィラメントAと、ポリエステル仮撚捲縮糸Bとを、流体噴射加工により複合し、ポリエステル混繊糸とする。流体噴射加工を施すことにより、形態安定性を付与するとともに、交絡を付与して杢調を発現させて、目的とするポリエステル混繊糸とすることができる。
【0070】
流体噴射加工には、例えば、流体噴射ノズルを用いることができる。流体噴射ノズルとしては、インターレースタイプ又はタスランタイプなどが挙げられる。
【0071】
流体噴射加工の条件としては、インターレースゾーンのオーバーフィード率:1~5.0%、流体噴出装置への供給エアー圧を0.1~0.5MPaの範囲内で調整することで、交絡数を20~100個/mの範囲とすることが好ましい。
【0072】
本発明のポリエステル混繊糸の製造方法を、図面を用いて説明する。
図2は、本発明のポリエステル混繊糸の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
【0073】
図2に示すように、上記のポリエステル高配向未延伸糸A、BのパッケージYA、YBをそれぞれクリールに仕掛ける。次にポリエステル高配向未延伸糸Aを第一供給ローラ1へ導入する。そして、第一供給ローラ1と第一引取ローラ7との間で、ポリエステル高配向未延伸糸Aを延伸する延伸工程を行う。
【0074】
次に、上記ポリエステル高配向未延伸糸Bを所定条件下で仮撚する仮撚工程(工程(ハ))を行う。具体的には、図2に示すように、ポリエステル高配向未延伸糸Bを第二供給ローラ2へ導入後、第三供給ローラ3へ導入し、ヒーター4、クーリングプレート5、仮撚具6を経て、第一引取ローラ7から引き出すことで、ポリエステル仮撚糸Bを得る。また、第三供給ローラ3と仮撚具6との間が加撚域T1となり、仮撚具6と第一引取ローラ7との間が解撚域T2となる。一般に、仮撚具6としては、スピンドル方式の場合はピンタイプのものを使用し、フリクション方式の場合はディスクタイプのものを使用する。スピンドル方式とフリクション方式とでは、加撚・解撚の機構も若干異なる。スピンドル方式では、スピンドルの回転によってピンタイプの仮撚具6が回転し、糸が加撚される。
【0075】
仮撚工程においては、加工速度及び延伸倍率を各々特定することが好ましい。加工速度とは、第一引取ローラ7から糸を引き出すときの糸速をいい、すなわち、第一引取ローラ7の表面速度をいう。
【0076】
仮撚工程の後、ポリエステル仮撚捲縮糸Bは、ポリステルマルチフィラメントAとともに流体ノズル8へ導かれ、流体ノズル8を用い、ポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとを引揃えて混繊交絡し、ポリエステル混繊糸とする。
【0077】
流体ノズルとしては、特に限定されないが、一般にタスランノズル又はインターレースノズルが好適である。図2の場合では、インターレースゾーンのオーバーフィード率は、以下の式により求められる。
オーバーフィード率=(第一引取ローラ7の表面速度-第二引取ローラ9の表面速度)/第三引取ローラ9の表面速度×100(%)
【0078】
ポリエステル混繊糸は、第二引取ローラ9を通過した後、巻取ローラ10によりパッケージ11に捲き取られる。
【0079】
本発明のポリエステル混繊糸は、各々が特定の単糸断面形状を有するポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸Bとが混繊交絡されてなるために、構成繊維の充填率が高まるために流れ杢調にならないうえに、本発明のポリエステル混繊糸を製織編および染色して得られる布帛は、嵩高性に優れるものであっても適度なシャリ感、ハリコシ感があり、さらにカチオン染料を用いていないためにギラツキが抑制されたよりナチュラルかつ繊細な杢調を発現することができる。
【0080】
本発明のポリエステル混繊糸は、ナチュラルかつ繊細な杢調、シャリ感、ハリコシ感が要望されるような衣料分野(例えば、スポーツウェア、レディースのような一般衣料など)において好適に用いられ、特にレディース用途に好ましく用いられ、春夏物衣料用途に最も好適に用いられる。
【実施例
【0081】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。本発明の実施例における測定方法、又は評価方法は、以下の通りである。
【0082】
繊度
JIS L1013 8.3.1のB法(簡便法)に従って測定した。
【0083】
捲縮率
枠周1.125mの検尺機を用いて巻き数5回で試料をカセ取りした後、カセを室温下フリー状態でスタンドに一昼夜吊り下げた。次に、カセに0.000147cN/dtexの荷重を掛けたまま沸水中に投入し30分間湿熱処理し、その後カセを取り出し、水分を濾紙で軽く取り、室温下フリー状態で30分間放置した。そして、カセに0.000147cN/dtexの荷重及び0.00177cN/dtex(軽重荷)を掛け、長さXを測定する。続いて、0.000147cN/dtexの荷重は掛けたまま、軽重荷に代えて0.044cN/dtexの荷重(重荷重)を掛け、長さYを測定した。その後、捲縮率(%)=(Y-X)/Y×100なる式に基づき、算出した。捲縮率の測定は、試料の5本について行い、それぞれの平均をその糸の捲縮率とした。
【0084】
異形度
オリンパス株式会社製「BH2-UMF」を用いて、フィラメントの断面形状を観察した(倍率230倍)。異形断面形状において、形状の外部の点に接し(外接し)て描ける円のうち、最も多くの点に外接して描ける円であって、最も直径の小さい円を外接円とし、形状の内部に3点以上接し(内接し)て描ける円のうち、最も直径の大きい円を内接円とした。そして、下記式により異形度を求めた。全構成繊維の平均値を異形度とした。
(異形度)(%)=[(R-r)/R]×100
R:異形断面形状における外接円の直径、r:異形断面形状における内接円の直径
【0085】
<筒編生機作成法>
英光産業社製の筒編機(釜径:3.5インチ、針本数:260N)を用い、30cm程度の筒編生機を作成した。ついで、以下の条件で精練、染色をおこなった。
【0086】
(精練条件)
・精練剤:サンモールFL(日華化学株式会社製)1g/L
・温度×時間:80℃×20分
【0087】
(ブルー染色処方)
・染料:Dianix Blue UN-SE(DyStar製)1% omf
・助剤:酢酸0.2cc/L
・ニッカサンソルトSN-130 0.5g/L
【0088】
(その他染色条件)
・浴比: 1:50
・温度×時間:130℃×30分
【0089】
筒編染色後のK/S値
ポリエステル混繊糸を上記条件にて、筒編み、精練および染色して得られた筒編地を、光が貫通しない範囲になる様に折り重ね、マクベス社製の分光光度計「MS-CE3100型」を用いて、その反射率を測定し、CIE Labの色差式から濃度指標を求め、K/S値を得た。
筒編染色後のΔL*値
工程(ロ)後のポリエステルマルチフィラメントA、及び工程(ハ)後のポリエステル仮撚捲縮糸Bのそれぞれを採取した。そして、ポリエステルマルチフィラメントAのみを用い、上記条件にて、筒編み、精練および染色して筒編地を得た(筒編地A)。ポリエステル捲縮糸Bのみを用い、上記条件にて、筒編み、精練および染色して筒編地を得た(筒編地B)。
筒編地AおよびBの各々について、マクベス社製の分光光度計「MS-CE3100型」を用い、その反射率を測定し、CIE Labの色差式から濃度指標を求め、各々についてL*値を求めた。それぞれ、n=4本とし、平均値を採用した。筒編地Aと筒編地BとのL*値の差を求め、これをポリエステルマルチフィラメントAとポリエステル仮撚捲縮糸BのL*値の差(ΔL*値)とした。
【0090】
官能評価(ハリコシ感)
上記のようにして得られた筒編地に対し、触感により、以下の基準で判断した。
○:ハリコシ感に優れる。
△:ハリコシ感が普通である。
×:ハリコシ感に劣る。
【0091】
官能評価(シャリ感)
上記のようにして得られた筒編地に対し、触感により、以下の基準で判断した。
○:シャリ感に優れる。
△:シャリ感が普通である。
×:シャリ感を感じない、またはシャリ感が強すぎて風合いに劣る。
【0092】
官能評価(杢調)
上記のようにして得られた筒編地を目視で観察し、以下の基準で判断した。
○:杢感が 繊細でナチュラルである。
△:杢感が若干繊細でナチュラルである。
×:杢感が激しく粗い。
【0093】
官能評価(光沢感)
上記のようにして得られた筒編地を目視で観察し、以下の基準で判断した。
○:生地のギラツキが抑えられている。
△:生地に若干のギラツキがある。
×:生地のギラツキがある。
【0094】
(実施例1)
まず、供給糸としてのポリエステル高配向未延伸糸A、ポリエステル高配向未延伸糸Bを準備した。極限粘度が0.65、ガラス転移点が75℃のポリエチレンテレフタレート(PET)を常法によりチップ化し、乾燥したものに対して、無機酸化物微粒子として酸化チタン微粒子(TiO)を0.02質量%の割合となるように含有させた。
【0095】
上記のPETに酸化チタン微粒子を含有させたものを用い、単糸断面が、6個の突起部を有する断面となる特殊ノズルを用い、常用の紡糸装置を用いて、紡糸温度295℃でマルチフィラメントを紡出した。そして、紡出したマルチフィラメントを冷却し、その表面に油剤を付与し、3,000m/分の速度で引取ローラにて引き取り、断面形状が図1に示すような六個の突起部を有する異形断面であるポリエステル高配向未延伸糸(121.4dtex/24フィラメント)(ポリエステル高配向未延伸糸A、ポリエステル高配向未延伸糸B)を得た。
【0096】
そして、ポリエステル高配向未延伸糸A、ポリエステル高配向未延伸糸Bを図2に示すようなポリエステル混繊糸の製造工程に供した。工程(ロ)のポリエステルマルチフィラメントAとする工程、工程(ハ)のポリエステル仮撚捲縮糸Bとする工程、工程(ニ)のポリエステル混繊糸とする工程の加工条件は下記の通りとし、187.5dtex/48フィラメントのポリエステル混繊糸を得た。なお、実施例1での工程(ハ)の仮撚方式にはフリクション方式を用いた。
【0097】
<工程(ロ):延伸工程>
第一供給ローラ1の表面速度:400m/分
第一引取ローラ7の表面速度:500m/分
ポリエステル高配向未延伸糸Aの延伸倍率:1.25倍
【0098】
<工程(ハ):同時延伸仮撚工程>
第二供給ローラ2の表面速度:324.7m/分
第二供給ローラ3の表面速度:324.7m/分
第一引取ローラ7の表面速度:500m/分
ポリエステル高配向未延伸糸Bの延伸倍率:1.54倍
ヒーター4の温度:300℃
加撚/解撚の張力比(K値):0.72
撚方向:Z方向
仮撚具6(ディスク)の構造:1-6-1
仮撚具6(ディスク)の厚さ:9mm
【0099】
<工程(二):流体噴射加工>
第一引取ローラ7の表面速度:500m/分
インターレースノズル8:ヘヴァライン製P-212
インターレースノズル8のエアー圧力:0.34MPa
第二引取ローラ9の表面速度:485.0m/分
インターレースゾーンのオーバーフィード率:3.0%
【0100】
巻き取りローラは以下の条件とした。
巻取ローラ10の表面速度:480.5m/分
巻取ゾーンのオーバーフィード率:3.9%
【0101】
上記の加工条件で得たポリエステル混繊糸の断面写真を図3に示す。なお、実施例1のポリエステルマルチフィラメントAの平均異形度は29%であり、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの平均異形度は44%であった。
【0102】
(実施例2)
工程(イ)におけるポリエステル高配向未延伸糸として、84.3dtex/24フィラメントである以外は、実施例1と同じポリエステル高配向未延伸糸を準備した。これを表1に示した条件で実施例1と同様の加工を施し、ポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を得、各種評価に付した。なお、実施例1のポリエステルマルチフィラメントAの平均異形度は33%であり、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの平均異形度は50%であった。実施例1と比較すると、嵩高性にはやや乏しかったが、十分に実用に耐えうるものであった。
【0103】
(実施例3)
工程(イ)におけるポリエステル高配向未延伸糸の代わりに、断面形状が突起部の個数が3個である回転対称形である以外は、実施例1と同様のポリエステル高配向未延伸糸(125.2dtex/24フィラメント)を準備し、これを表1に示した条件で実施例1と同様の加工を施し、ポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を評価に付したところ、実施例1と比較して、シャリ感、ハリコシ感にやや乏しく、またギラツキがやや残る杢感となったが、十分に実用に耐えうるものとなった。
【0104】
(実施例4)
実施例1において、工程(ロ)のポリエステルマルチフィラメントAを得る際の延伸倍率を1.15とし、他工程を実施例1と同一としたポリエステル混繊糸を得た。実施例1と比較すると、若干イラツキが出て、ナチュラルかつ繊細な杢調に、やや乏しいものであった。しかし十分に実用に耐えうるものであった。
【0105】
(実施例5)
実施例1において、工程(ロ)のポリエステルマルチフィラメントAを得る際の延伸倍率を1.40とし、他工程を実施例1と同一としたポリエステル混繊糸を得た。
【0106】
(比較例1)
実施例1において、工程(ロ)のポリエステルマルチフィラメントAを得る際の延伸温度を100℃とし、他工程を実施例1と同一としたポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を評価に付した。実施例1と比較すると、濃淡差が顕著に小さくなり杢感を得られなかった。
【0107】
(比較例2)
実施例1において、工程(イ)の突起部を6個有する異形断面を呈するポリエステル高配向未延伸糸の変わりに、丸断面形状のポリエステル高配向未延伸糸(122.5dtex/24フィラメント)を準備し、これを表1に示した条件で実施例1と同様の加工を施し、ポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を常法にて筒編、分散染料にて染色行い、杢感を実施例1と比較したところ、シャリ感、ハリコシ感に乏しく、またギラツキがある杢感となった。
【0108】
(比較例3)
実施例1において、工程(ロ)のポリエステルマルチフィラメントAを得る際の延伸倍率を1.55とし、他工程を実施例1と同一としたポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を常法にて筒編、分散染料にて染色行い、杢感を実施例1と比較したところ、濃淡差が顕著に小さくなり杢感を得られなかった。
【0109】
(比較例4)
工程(イ)におけるポリエステル高配向未延伸糸として、123.1dtex/24フィラメント、平均異形度12%と異形度の小さい以外は、実施例1と同じポリエステル高配向未延伸糸を準備した。これを実施例1と同一の加工を施し、ポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を得、各種評価に付した。なお、実施例1のポリエステルマルチフィラメントAの平均異形度は19%であり、ポリエステル仮撚捲縮糸Bの平均異形度33%であった。実施例1と比較したところ、シャリ感に乏しく、ギラツキのある杢調となった。
【0110】
(比較例5)
工程(イ)におけるポリエステル高配向未延伸糸の代わりに、断面形状が突起部の個数が8個である回転対称形である以外は、実施例1と同様のポリエステル高配向未延伸糸(123.1dtex/24フィラメント)を準備し、これを表1に示した条件で実施例1と同様の加工を施し、ポリエステル混繊糸を得た。このポリエステル混繊糸を評価に付したところ、実施例1と比較して、シャリ感が強く出すぎて風合いに劣るものとなった。
【0111】
実施例および比較例における加工条件、評価結果等を表1および表2にまとめて示す。
【表1】
【0112】
【表2】
【符号の説明】
【0113】
YA ポリエステル高配向未延伸糸Aのパッケージ
YB ポリエステル高配向未延伸糸Bのパッケージ
1 第一引取ローラ
2 第二引取ローラ
3 第三供給ローラ
4 ヒーター
5 クーリングプレート
6 仮撚具
7 第一引取ローラ
8 流体ノズル
9 第二引取ローラ
10 巻取ローラ
11 パッケージ
図1
図2
図3