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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】洗浄装置、及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220921BHJP
   B41J 2/085 20060101ALI20220921BHJP
   B41J 2/095 20060101ALI20220921BHJP
   B41J 2/185 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 101
B41J2/085
B41J2/095
B41J2/185 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018061475
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019171651
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔貴
(72)【発明者】
【氏名】有馬 崇博
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 明
(72)【発明者】
【氏名】岡野 守
(72)【発明者】
【氏名】溝口 翔
(72)【発明者】
【氏名】川口 祐一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051281(JP,A)
【文献】特開2013-177014(JP,A)
【文献】特開2017-159491(JP,A)
【文献】特開平07-076076(JP,A)
【文献】特開平11-157087(JP,A)
【文献】特開2007-245136(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104044349(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインクを偏向させる偏向電極と、印字に使用されないインクが回収されるガターとを有する印字ヘッドのための洗浄装置であって、
前記印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体の外部に配置され、
前記印字ヘッドの洗浄液を保持する空間部と、
前記洗浄液を回収する洗浄液回収部としての前記印字ヘッドからの前記洗浄液を通過させる回収口を有することを特徴とした洗浄装置。
【請求項2】
インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインクを偏向させる偏向電極と、印字に使用されないインクが回収されるガターとを有する印字ヘッドのための洗浄装置であって、
前記印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体の外部に配置され、
前記印字ヘッドの洗浄液を保持する空間部と、
前記洗浄液を回収する洗浄液回収部と、
前記印字ヘッドに合わせた着脱可能な内部アタッチメントを備え、
前記内部アタッチメントを取り付けることにより、前記内部アタッチメントと前記印字ヘッドとの間に生じる前記空間部の容積を調整可能であることを特徴とした洗浄装置。
【請求項3】
インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインクを偏向させる偏向電極と、印字に使用されないインクが回収されるガターとを有する印字ヘッドのための洗浄装置であって、
前記印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体の外部に配置され、
前記印字ヘッドの洗浄液を保持する空間部と、
前記洗浄液を回収する洗浄液回収部と、
前記空間部を形成する洗浄装置本体と、
前記印字ヘッドを取り付ける取り付け冶具と、
前記取り付け冶具と密着するシール部とを有し、
前記取り付け冶具は、前記シール部と密着する形状であるとともに、前記印字ヘッドを固定するスタンドに固定可能な形状であることを特徴とした洗浄装置。
【請求項4】
インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインクを偏向させる偏向電極と、印字に使用されないインクが回収されるガターとを有する印字ヘッドのための洗浄装置であって、
前記印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体の外部に配置され、
前記印字ヘッドの洗浄液を保持する空間部と、
前記洗浄液を回収する洗浄液回収部と、
前記洗浄液を供給する供給部を有し、
前記洗浄液回収部から回収した前記洗浄液を保持する洗浄液容器が配置され、
前記洗浄液容器の前記洗浄液を供給する第1の洗浄液供給路が配置され、
前記供給部は、前記第1の洗浄液供給路から前記洗浄液の供給を受けることを特徴とした洗浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄装置において、
前記洗浄液容器とインクジェット記録装置本体に配置したインク容器との間に第2の洗浄液供給路が配置され、
前記第2の洗浄液供給路を介して前記インク容器に前記洗浄液を供給することを特徴とした洗浄装置。
【請求項6】
請求項1に記載の洗浄装置において、
前記回収口を開閉する回収弁を備え、
前記洗浄液を回収する回収容器を前記回収口と接続したことを特徴とした洗浄装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗浄装置を備えるインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置における印字ヘッドのための洗浄装置に関し、特に、印字ヘッドからの洗浄液の流出を防ぐのに好適な洗浄装置に関する。
する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置の洗浄に関する技術として、特許文献1がある。特許文献1では、ヘッド内部の洗浄ノズルから洗浄液を、ノズル吐出口に向けて噴出し、吸引経路から洗浄液を吸い込むことで洗浄を行い、乾燥工程を行うことにより、ノズル詰まりの発生原因を除去することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-136934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、洗浄ノズルから洗浄液をノズル吐出口に向けて噴出した際、吸引経路から全ての洗浄液を吸い込むことができず、ヘッド外部に洗浄液が流出する可能性がある。
【0005】
インクジェット記録装置は、食品、飲料水、薬品、化粧品など衛生面での管理が重要な生産ラインで使用されることが多い。そのため、インクジェット記録装置の内部や周辺の設備、床などに洗浄液やインクが流出しないことが求められている。
【0006】
本発明の目的は、洗浄液が流出することを回避することができる洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい一例は、インクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されて印字に使用されるインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインクを偏向させる偏向電極と、印字に使用されないインクが回収されるガターとを有する印字ヘッドのための洗浄装置であって、前記印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体の外部に配置され、前記印字ヘッドの洗浄液を保持する空間部と、前記洗浄液を回収する洗浄液回収部を有する洗浄装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄液が流出することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における印字ヘッド用の洗浄装置の断面図である。
図2】実施例1の外観斜視図である。
図3】インクジェット記録装置の外観斜視図である。
図4】インクジェット記録装置の使用状態を示す斜視図である。
図5】インクジェット記録装置の動作原理を示す斜視図である。
図6】インクジェット記録装置の経路構成を示す図である。
図7】実施例2における洗浄装置と内部アタッチメントの断面図である。
図8】実施例3における印字ヘッドを固定したスタンドの外観斜視図である。
図9】印字ヘッド用の洗浄装置の経路構成を示す図である。
図10】印字ヘッド用の洗浄装置の経路構成を示す別の図である。
図11】印字ヘッド用の洗浄装置を使用する手順についてのフローチャートである。
図12】実施例5における印字ヘッド用の洗浄装置の経路構成を示す図である。
図13】洗浄装置をインクジェット記録装置の外側に取り付けた場合の外観斜視図である。
図14】洗浄装置をインクジェット記録装置の内側に取り付けた場合の外観斜視図である。
図15】実施例5のインクジェット記録装置の外観斜視図である。
図16】実施例6の印字ヘッド用の洗浄装置の外観斜視図である。
図17】実施例6の印字ヘッド用の洗浄装置の外観斜視図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
<インクジェット記録装置外観の構成>
図3は、実施例1に係るインクジェット記録装置400の外観斜視図を示す。
図3において、401はインクジェット記録装置本体、402は印字ヘッド、403は操作表示部、404は導管である。インクジェット記録装置400は、インクジェット記録装置本体401に操作表示部403を備え、外部に印字ヘッド402を備え、インクジェット記録装置本体401と印字ヘッド402は導管404にて接続されている。
【0012】
<インクジェット記録装置の使用形態>
次に、インクジェット記録装置の使用状態について図4を用いて説明する。
図4において、401は、インクジェット記録装置本体、402は、印字ヘッド、404は、導管、13は、数字や文字を印字される印字対象物、15は、印字対象物13を搬送するベルトコンベア、16は、ベルトコンベア15の搬送距離を計測するロータリエンコーダ、17は、印字センサ、18は、印字ヘッドを任意の姿勢で固定するスタンド、19は、印字ヘッドをスタンド18に固定するための固定用冶具である。
【0013】
インクジェット記録装置400は、例えば、食品や飲料などが生産される工場内の生産ラインに据え付けられ、インクジェット記録装置本体401は、使用者が操作できる位置に設置され、印字ヘッド402は、ベルトコンベア15などの生産ライン上を給送される印字対象物13に近接できる位置に設置される。このとき印字ヘッド402に固定用冶具19を取り付けスタンド18に固定してもよい。ベルトコンベア15などの生産ライン上には給送速度に係わらず同じ幅で印字するために、給送速度に応じた信号をインクジェット記録装置400に出力するエンコーダ16や、印字対象物13を検出してインクジェット記録装置400に印字を指示する信号を出力する印字センサ17が設置されている。
【0014】
それぞれは、インクジェット記録装置本体401内の図示しない制御部に接続されている。エンコーダ16や印字センサ17からの信号に応じて制御部が、図5に示したように、ノズル8から吐出されるインク柱7Bへの帯電量や帯電タイミングを制御し、印字対象物13が印字ヘッド402近傍を通過する間に帯電、偏向されたインク粒子7Cを、印字対象物13へ付着させて印字を行うようになっている。
【0015】
<装置の動作原理>
次に、インクジェット記録装置の動作原理について図5を用いて説明する。
図5において、20は、主インク容器、7Aは、インク、24は、インクを加圧し、送り出すポンプ(供給用)、9は、電圧を印加すると所定の周波数で振動する電歪素子、8は、インクを吐出するノズル、7Bは、インク柱である。10は、インク粒子に帯電させる帯電電極、7Cはインク粒子である。11は、グランド偏向電極、12は、プラス偏向電極、13は、印字される印字対象物、14は、印字しないインク粒子を回収するガターである。
【0016】
主インク容器20内のインク7Aは、ポンプ(供給用)24に吸引、加圧されてインク柱7Bとなってノズル8から吐出される。ノズル8には、電歪素子9が備えられており、インクに所定の周波数で振動を加えてノズル8から吐出されるインク柱7Bを粒子化するようになっている。これにより生成されるインク粒子7Cの数は,電歪素子9に印加する励振電圧の周波数により決定され、その周波数と同数となる。インク粒子7Cは、印字情報に対応した大きさの電圧を帯電電極10にて印加することで電荷を与えられるようになっている。
【0017】
帯電電極10で帯電させられたインク粒子7Cは、グランド偏向電極11とプラス偏向電極12間の電界中を飛翔する。偏向電界は、1~7kVの高電圧が印加されたプラス偏向電極12と設置されたグランド偏向電極11との間に形成されており、帯電したインク粒子7Cは、その帯電量に比例した力を受けて偏向し、印字対象物13へ向かって飛翔して着弾する。
【0018】
その際、インク粒子7Cは帯電量に応じて偏向方向の着弾位置は変化し、さらに偏向方向と直交する方向に生産ラインが印字対象物13を移動させることで、偏向方向と直交した方向にも粒子を着弾させることが可能となり、複数の着弾インク粒子7Dによって文字を構成し印字を行う。印字に使用されなかったインク粒子7Cはプラス偏向電極12間を直線的に飛翔して、ガター14により捕捉された後に、ポンプ(回収用)25で吸引されて主インク容器20に回収される。
【0019】
次に、インクジェット記録装置の経路構成について図6を用いて説明する。図6は、インクジェット記録装置400の全体の経路構成を示す図である。
【0020】
まず、本実施例のインクジェット記録装置400のインク供給経路について説明する。インクジェット記録装置本体401には、循環するインク7Aを保持する主インク容器20が備えられており、主インク容器20には、主インク容器20内の液体が内部に保持されるのに適正な量である基準液面レベルに達しているか否かを検知する液面センサ46が備えられている。
【0021】
主インク容器20は、主インク容器20内のインク7Aの粘度を把握するために、経路201を介して粘度測定器43に接続されている。粘度測定器43は経路202を介して経路の開閉を行う電磁弁(供給用)34に接続されており、電磁弁(供給用)34は経路203を介してインク7Aを吸引、圧送するために使用されるポンプ(供給用)24に接続されている。そして、ポンプ(供給用)24は経路204を介してインク7A中に混入している異物を除去するフィルタ(供給用)28に接続されている。
【0022】
フィルタ(供給用)28は、経路205を介してポンプ(供給用)24から圧送されたインク7Aを印字するために適正な圧力に調整する減圧弁33に接続されており、減圧弁33は経路206を介してノズルに供給されるインク7Aの圧力を測定する圧力計31が備えられている。圧力計31は、導管404内を通る経路207を介して印字ヘッド402内に備えられた切替弁42と接続されている。
【0023】
切替弁42は、経路208を介して、インク7Aを吐出する吐出口を備えたノズル8に接続されている。切替弁42は電磁弁であり、ノズル8からインクを噴出するかどうかの開閉制御を行っている。ノズル8吐出口の直進方向には、印字に使用されないために帯電、偏向されずに直進的に飛翔するインク粒子7Cを捕捉するためのガター14が配置されている。
【0024】
次に、図6において、インク回収経路について説明する。ガター14は、導管404内を通る経路212を介してインクジェット記録装置本体401内に配置されているインク中に混入している異物を除去するフィルタ(回収用)30と接続されており、フィルタ(回収用)30は、経路213を介して経路の開閉を行う電磁弁(回収用)35に接続されている。
【0025】
電磁弁(回収用)35は経路214を介してガター14により捕捉されたインク粒子7Cを吸引するポンプ(回収用)25と接続されている。ポンプ(回収用)25は、経路215及び経路216を介して主インク容器20と接続されている。また、主インク容器20は、排気経路217と接続されていて、排気経路217は、インクジェット記録装置本体401外部と連通した構成をとっている。
【0026】
次に、図6において、インク補給経路について説明する。インクジェット記録装置本体401には、補充用のインクを保持する補助インク容器22が備えられており、補助インク容器22は、経路221を介して経路の開閉を行う電磁弁36に接続されている。そして、電磁弁36は経路222を介して、インク供給経路203と接続された合流経路223に接続されている。
【0027】
次に、図6において、インク循環経路について説明する。印字ヘッド402内に備えられたノズル8には、インク供給用の経路208の他に導管404内を通る経路225を介してインクジェット記録装置本体401内に備えられ、流路の開閉を行う電磁弁37に接続されている。電磁弁37は、経路226を介してノズル8からのインクの吸引を行うポンプ(循環用)26に接続されている。そして、ポンプ(循環用)26は経路227を介して、インク回収経路215に接続された合流経路228に接続された構成となっている。
【0028】
次に、図6において、インク供給経路207に接続されたインク圧抜き経路について説明する。インク供給経路207と接続された分岐経路235は、圧抜き経路236と接続されていている。そして、圧抜き経路236は、流路の開閉を行う電磁弁39に接続されており、電磁弁39は経路237を介して、インク回収経路214と接続された合流経路238に接続されている。
【0029】
次に、図6のインクジェット記録装置400の溶剤補給経路について説明する。インクジェット記録装置本体401には、溶剤補給用の溶剤を保持する溶剤容器21が備えられており、溶剤容器21は、経路231を介して溶剤を吸引、圧送するために使用されるポンプ(溶剤用)27に接続されている。ポンプ(溶剤用)27は、経路232を介して流路の開閉を行うために電磁弁(溶剤用)38に接続されており、電磁弁(溶剤用)38は、経路233を介して主インク容器20と接続されている。
【0030】
さらに、図6のインクジェット記録装置400の空気経路について説明する。インクジェット記録装置本体401には、印字ヘッド402内部から乾燥した空気を排出するため、経路234が備えられている。経路234は経路にエアポンプ73を備え、空気を供給してもよい。または、外部に備え付けられた空気圧縮機に接続し、空気を供給してもよい。
【0031】
<洗浄装置断面の構成>
図1は、実施例1に係る印字ヘッド用の洗浄装置500の断面図を示す。
図1において、1は洗浄装置本体、2は内部アタッチメント、3はシール部(取り付け冶具用)、4は、取り付け冶具、5はシール部(内部アタッチメント用)、402Aは、印字ヘッドベースである。
【0032】
洗浄装置500は、印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置本体401の外部に配置され、シール部(取り付け冶具用)3を備えた洗浄装置本体1の内部に内部アタッチメント2を取り付けたものを指す。印字ヘッドベース402Aは、印字ヘッド402の一部でありノズル8、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12を固定している。
【0033】
<洗浄装置の使用形態>
次に、洗浄装置500の使用状態について図1および図2を用いて説明する。
図1において、1Aは供給口(本体)、1Bは回収口(本体)、2Aは供給口(内部アタッチメント)、2Bは、回収口(内部アタッチメント)である。なお、以下に述べる洗浄液6はインクジェット記録装置400内の溶剤と同様な成分で構成されており、インクジェット記録装置内の溶剤と同義として表現する。
【0034】
洗浄装置500は、洗浄液6を供給口(本体)1Aから供給口(内部アタッチメント)2Aを通り洗浄装置内部に供給できる。また、洗浄装置500は、洗浄装置内部の洗浄液6を回収口(内部アタッチメント)2Bから回収口(本体)1Bを通り洗浄装置外部に流出できる形状で、着脱可能な内部アタッチメント2が取り付けられている。また、内部アタッチメント2は、洗浄装置500と印字ヘッド402と間で形成され、印字ヘッド内を洗浄する際に、洗浄液6を保持する空間の容積が小さくなるよう、印字ヘッド402の形状に合う形をしている。
【0035】
取り付け冶具を装着した印字ヘッド300が挿入された洗浄装置500は、シール部(取り付け冶具用)3と取り付け冶具4が密着し、回収口(内部アタッチメント)2Bと、回収口(本体)1B以外から洗浄液6が流出することを回避し、洗浄装置内部の雰囲気が外気と混ざらないようになっている。
【0036】
供給口(本体)1Aに、洗浄液6が供給されると供給口(内部アタッチメント)2Aを介して洗浄装置500内部に洗浄液6が供給される。または、インクジェット記録装置400内の溶剤が印字ヘッド402内部から洗浄装置500内部に供給される。
【0037】
このとき主にインクの噴出によって汚れたノズル8、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12、印字ヘッドベース402Aに洗浄液6が接触し、上述した部分を洗浄できる。洗浄後に上述した洗浄液6はガター14から吸引されインクジェット記録装置本体401内に回収される。または、上述した洗浄液6は回収口(内部アタッチメント)2Bから回収口(本体)1Bを通り洗浄装置外部に流出する。
【0038】
<実施例1の効果>
以上のように、本実施例によれば、取り付け冶具4を装着した印字ヘッド300を洗浄装置500に挿入し、内部で洗浄液6によって印字ヘッド402を洗浄することにより、ノズル詰まりの発生原因を除去することができる。
【0039】
また、シール部(取り付け冶具用)3と取り付け冶具4が密着していることによってインクジェット記録装置周辺に、印字ヘッドから洗浄液6が流出することを回避できる。さらに、内部アタッチメント2によって洗浄装置500と印字ヘッド402との間で形成される、洗浄時に洗浄液6を保持する空間部の容積が小さくなり、印字ヘッド洗浄時の洗浄液6の消費量をできるだけ少なくできる。さらに言うには、取り付け冶具4は寸法、形状の異なる印字ヘッド402に装着できるため、この効果を得るために専用のインクジェット記録装置400である必要がない。
【実施例2】
【0040】
以下において、実施例2について、図面を用いて説明する。なお、上述した実施例と共通する部分についての説明は省略し、主に上述の実施例と異なる部分について説明を行う。図7(b)において、102は、図7(a)に示した内部アタッチメント2の変形例であり、412は、印字ヘッド402の変形例である。301は、取り付け冶具4を取り付けた寸法および/もしくは形状の異なる印字ヘッド412を示す。501は、内部アタッチメント102を取り付けた洗浄装置本体1である。ここで、「および/もしくは」は、寸法か形状のいずれか一方でも異なる場合でもよいし、両方とも異なる場合でもよいことを示す。
【0041】
図7(a)は、洗浄装置500の断面図である。図7(b)は、図7(a)における印字ヘッド402を寸法および/もしくは形状の異なる印字ヘッド412にし、図7(a)における内部アタッチメント2を寸法および/もしくは形状の異なる内部アタッチメント102にした、洗浄装置501の断面図である。図7(c)は、内部アタッチメント2の断面図で、図7(d)は、内部アタッチメント102の断面図である。
【0042】
印字ヘッド402は、インクジェット記録装置400の種類によって寸法・形状が異なる場合がある。寸法および/もしくは形状が異なる印字ヘッド402が洗浄装置500に挿入されたとき、洗浄装置500は、挿入された印字ヘッドの寸法および/もしくは形状に合う内部アタッチメント2が洗浄装置本体1に取り付けられているのが望ましい。
【0043】
例えば、印字ヘッド412は、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12からガター14までの距離が長くなっておりノズル8、帯電電極10が印字ヘッド402と比べて上位置に付いている。このとき、図7(b)におけるノズル8、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12に洗浄液6を接触させられるように、供給口(内部アタッチメント)102Aの位置は印字ヘッド412の形状に合う形をしている。
【0044】
また、図7(d)における内部アタッチメント102の底面部102Cは内部アタッチメント102と印字ヘッド412の間で形成される、洗浄時に洗浄液6を保持する空間部の容積が小さくなるよう、印字ヘッド412の形状に合う形をしている。また、内部アタッチメント2は寸法および/もしくは形状が変化しても供給口(内部アタッチメント)2Aと洗浄装置本体1の供給口(本体)1A、及び、回収口(内部アタッチメント)2Bと洗浄装置本体1の回収口(本体)1Bが接続できる形状である。
【0045】
例えば、図7(b)において、供給口(本体)1Aと供給口(内部アタッチメント)102Aは接続され、回収口102B(内部アタッチメント)と回収口(本体)1Bは接続されている。このとき、洗浄装置本体1には、供給口(内部アタッチメント)2Aがどんな位置でも供給口(本体)1Aと接続できるようにシール部(内部アタッチメント用)5が付いていても良い。
【0046】
<実施例2の効果>
本実施例によれば印字ヘッドの形状に応じて内部アタッチメント2、102を洗浄装置本体1に付け替えることにより、洗浄装置500と印字ヘッド402、412間の容積を調節でき、洗浄液6の消費量を抑えることができる。
【実施例3】
【0047】
以下において、実施例3について、図面を用いて説明する。なお、上述した実施例と共通する部分についての説明は省略し、主に上述の実施例と異なる部分について説明を行う。図1に記載の取り付け冶具4を、図4における固定用冶具19として使用した実施例を図8に示す。
【0048】
スタンド18に印字ヘッド402を固定する際は固定用冶具19を印字ヘッド402に取り付ける必要がある。このとき取り付け冶具4が、洗浄装置のシール部(取り付け冶具用)3と上述したように密着でき、スタンド18に固定できる形状であるなら、取り付け冶具4は、印字ヘッド402をスタンド18に固定する冶具としての機能を持つことができる。
【実施例4】
【0049】
以下において、実施例4について、図面を用いて説明する。なお、上述した実施例と共通する部分についての説明は省略し、主に上述の実施例と異なる部分について説明を行う。図9図10は、上述した洗浄装置500を採用した場合の経路図である。
【0050】
まず、図9の本実施例の洗浄装置500の洗浄液供給経路について説明する。洗浄装置500は、循環する洗浄液6を保持する主洗浄液容器51と供給経路62を介して接続できる。供給経路62には経路の開閉を行う電磁弁(供給用)55とポンプ(供給用)53を備えてもよい。
【0051】
次に、洗浄液回収経路について説明する。洗浄装置500は、上述した主洗浄液容器51と回収経路61を介して接続できる。回収経路61にはポンプ(回収用)52を備えてもよい。次に、排気経路について説明する。洗浄装置500は排気経路63と接続でき、本体の外気及び外部の排気手段と連通できる。上述した排気経路63には経路の開閉を行う電磁弁(排気用)56を備えてもよい。また、主洗浄液容器51は排気経路64と接続でき、容器の外気及び外部の排気手段と連通できる。
【0052】
さらに、図10の経路図について説明する。図10の補助供給経路65は、洗浄装置500に供給されていない洗浄液6を保持する補助洗浄液容器54と供給経路62を接続でき、洗浄装置500に上述した洗浄液6を供給することができる。補助供給経路65には経路の開閉を行う電磁弁(補助供給用)57を備えてもよい。
【0053】
図9及び図10の経路を採用した際の洗浄装置の使用手順を、図11のフローチャートに示す。図11において、はじめにステップS81は、インクジェット記録装置400に備えられたノズル8からインクが吐出しないように、上述した図6の経路構成のポンプ及び電磁弁の動作によって経路内のインクの流動を止める工程である。
【0054】
次に、ステップS82で洗浄装置500に印字ヘッド402を挿入する。そして、洗浄工程S83では、主洗浄液容器51、もしくは補助洗浄液容器54に保持されている洗浄液6が上述した洗浄液供給経路62及び補助供給経路65を経由し洗浄装置500内部に供給され、印字ヘッドの洗浄が実行される。
【0055】
このとき、図9及び図10の経路を採用するなら、ポンプ(供給用)53を動かし、電磁弁(供給用)55及び電磁弁(補助供給用)57を開くことによって洗浄工程S83を行ってもよい。または、洗浄工程S83では、インクジェット記録装置400内の溶剤が印字ヘッド402内部から洗浄装置500内部に供給され、印字ヘッド402の洗浄が実行されてもよい。
【0056】
さらに、回収工程S84では、洗浄装置500に保持されている洗浄液6が上述した回収経路61を経由し主洗浄液容器51に回収され、洗浄液の回収が実行される。このとき図9及び図10の経路を採用するなら、ポンプ(回収用)52を動かすことによって回収工程S84を行ってもよい。または、回収工程S84で洗浄装置500に保持されている洗浄液6はガター14から吸引されインクジェット記録装置400内に回収されてもよい。また、回収工程S84は上述した洗浄工程S83と交互に繰り返しても、同時に処理をしてもよい。
【0057】
ステップS85の乾燥工程は、回収工程S84で除去しきれなかった印字ヘッド402に残った洗浄液6及び洗浄装置500内の洗浄液6を、ポンプ(回収用)52を動かし洗浄装置500内の雰囲気を吸い込むことによって乾燥させる工程である。
【0058】
このとき洗浄装置500内は上述によれば密閉されているため排気経路63に備え付けられた電磁弁(排気用)56を開けるもしくは洗浄装置500にある逆止弁によって洗浄装置500内が負圧になることを回避する。または、図1の印字ヘッド402内部に備えられた経路234から、乾燥した空気を供給することで乾燥工程を行っても良い。
【0059】
さらに、印字ヘッド402に含まれる部品の汚れを検知する機能がインクジェット記録装置400に備わっていれば、前述の検知機能の制御を洗浄工程S83、回収工程S84、乾燥工程S85の動作制御に組み込んでもよい。汚れを検知する機能として、例えば、帯電電極10、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12のリークを検知する構造及び制御がある。さらに、ヘッド内の部品に付着した異物の検知する光センサ及びその制御がある。微少電荷を帯びたインク粒子7Cが、グランド偏向電極11、プラス偏向電極12による偏向ではなく、ノズル8の詰まりや汚れの付着によって、ガター14で回収されていないことを検知するように、微少電圧を検出するセンサ及びその制御がある。
【0060】
<実施例4の効果>
本実施例によれば図9図10の経路図のように洗浄装置500を使用すれば、一度、印字ヘッド402の洗浄に使った洗浄液6を循環させ、繰り返し使用することができる。そのため洗浄液6の消費量を減少させることができる。
【実施例5】
【0061】
以下において、実施例5について、図面を用いて説明する。なお、上述した実施例と共通する部分についての説明は省略し、主に上述の実施例と異なる部分について説明を行う。
【0062】
図12の経路図は、上述した図6の本体の循環経路と上述した洗浄装置の経路構成50が、供給経路239及び回収経路240によって接続可能であることを示す。
図12の経路図を採用するなら、図11の洗浄工程83で溶剤容器21に保持されている溶剤を洗浄液6として使用し、溶剤が供給経路239を経由し、洗浄装置500内部に供給され、印字ヘッドの洗浄が実行される。このときポンプ(供給用)53を動かし、電磁弁(補助供給用)57を開くことによって洗浄工程83を行ってもよい。
【0063】
また、図9の主洗浄液容器51が主インク容器20と回収経路240を介して接続していることによって、主洗浄液容器51に保持されている洗浄液6を主インク容器20に供給することができる。
【0064】
このときポンプ(回収用)71を動かし、電磁弁(回収用)72を開くことによって主洗浄液容器51に保持されている洗浄液6を主インク容器20に供給してもよい。または、回収経路240をインクジェット記録装置400内の経路に接続し、インクジェット記録装置400に備えられているポンプ及び電磁弁を使用して上述の洗浄液6を主インク容器20に供給してもよい。
【0065】
また、図15は、洗浄装置500をインクジェット記録装置に内蔵した構成、つまり、洗浄装置500の構造を持つホルダを備え、図11の手順で印字ヘッドを洗浄する手段を備えたインクジェット記録装置450を示す。
【0066】
<実施例5の効果>
本実施例によれば、主洗浄液容器51に保持されている洗浄液6を使用し主インク容器20に保持されているインク7Aの濃度を調整することができる。従来は、溶剤容器21に保持されている溶剤をインク7Aの濃度調整に使用していたが、本実施例を採用することによって濃度調整による上述の溶剤の消費量を減少させることができる。
【実施例6】
【0067】
以下において、実施例6について、図面を用いて説明する。なお、上述した実施例と共通する部分についての説明は省略し、主に上述の実施例と異なる部分について説明を行う。
【0068】
図16は、前述した洗浄装置500の回収口付近に回収弁59を取り付けた洗浄容器511の使用例を示す。回収弁59は回収口(本体)1Bを開閉することができる弁である。洗浄容器511内部の洗浄液6を回収口(本体)1Bから排出する際、外部回収容器66の口66Aと回収口(本体)1Bが連通するように配置する。このとき外部回収容器66と回収口(本体)1Bの間にシール性のある冶具67を設け、洗浄液6が周辺に流出するのを防いでも良い。回収弁59を開くと回収口(本体)1Bから洗浄液6が自由落下によって流出し、外部回収容器66内に回収される。
【0069】
図17(a)は、前述した洗浄容器511に、回収容器151を取り付けた洗浄容器512の外観斜視図を示す。また、図17(b)は、洗浄容器512の断面図を示す。洗浄容器512は、回収口(本体)1Bと、回収容器151の回収口(容器)151Aが連通するように、洗浄容器511と回収容器151が取り付けられた構造である。
【0070】
洗浄容器511内部の洗浄液6が回収される際、回収弁59が開かれ、洗浄液6は自由落下によって回収口(本体)1Bから回収口(容器)151Aを通り、回収容器151に回収される。
【0071】
<実施例6の効果>
以上のように、本実施例によれば、洗浄装置500の回収口付近に回収弁59を取り付けることによって回収口の開閉ができるようになり、洗浄容器511内に洗浄液を溜め、印字ヘッド402を洗浄液6に浸し、洗浄を行うことが可能になった。
【0072】
また、印字ヘッド402の洗浄後の洗浄液6は外部動力を必要とせずに外部回収容器66または、回収容器151に回収できる。また、洗浄容器511と外部回収容器66及び回収容器151はシール性を持つことによって洗浄液6の回収時に装置周辺に洗浄液6が流出することを回避できる。
【0073】
さらに回収容器151を取り付けた洗浄容器512は、図13のようにインクジェット記録装置400の外側に取り外し可能な状態で取り付けることができる。または図14のように、インクジェット記録装置400の内側に取り外し可能な状態で取り付けることができる。
【0074】
なお、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…洗浄装置本体、2…内部アタッチメント、1A…供給口(本体)、1B…回収口(本体)、2A…供給口(内部アタッチメント)、2B…回収口(内部アタッチメント)、18…スタンド、19…固定用冶具、300…取付冶具を装着した印字ヘッド、400…インクジェット記録装置、401…インクジェット記録装置本体、402…印字ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17