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特許7144189生物サンプルイメージの合成方法及び該方法を採用した光学システム
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  • 特許-生物サンプルイメージの合成方法及び該方法を採用した光学システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】生物サンプルイメージの合成方法及び該方法を採用した光学システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20220921BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220921BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G01N21/64 E
G01N21/64 F
C12M1/34 B
G06T1/00 295
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018093898
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019020385
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】106124193
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518170929
【氏名又は名称】アキュ ソリューションズ インク
【氏名又は名称原語表記】Acu Solutions Inc.
【住所又は居所原語表記】Vistra Corporate Services Centre, Ground Floor NPF Building, Beach Road, Apia, Samoa
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 建中
(72)【発明者】
【氏名】許 光裕
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507612(JP,A)
【文献】特開2017-122610(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103501(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0139391(US,A1)
【文献】国際公開第2010/011953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/73
C12M 1/00 - C12M 3/10
G06T 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験サンプルのグレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージを情報処理装置の第1メモリブロックに入力し、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、第1イメージ解析度を有し、該試験サンプルのグレースケール蛍光イメージを該情報処理装置の第2メモリブロックに入力し、該グレースケール蛍光イメージは、第2イメージ解析度を有し、且つ該第1イメージ解析度および該第2イメージ解析度は、同一又は異なるものであるステップと、
該情報処理装置を利用し、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージを、第1カラー変換演算を経て第1RGBイメージに変換し、該情報処理装置を利用し、該グレースケール蛍光イメージを、第2カラー変換演算を経て第2RGBイメージに変換するステップと、
該情報処理装置を利用し、該第1RGBイメージおよび該第2RGBイメージに対してイメージ融合演算および強度反転演算を行い、生物サンプルイメージを発生するステップと、
該生物サンプルイメージを表示ユニットに出力するステップと、
を含み
前記グレースケール干渉イメージは、光学干渉顕微鏡法の反射後に再干渉して生成されるイメージであり、
前記グレースケール反射イメージは、反射型コンジュゲーション顕微鏡法の直接反射で生成されるイメージであり、
前記グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、細胞質のイメージを呈し、
前記グレースケール蛍光イメージは、細胞核のイメージを呈する、
生物サンプルイメージの合成方法。
【請求項2】
前記第1カラー変換演算は、該第1RGBイメージの赤色強度値および青色強度値を何れも0に設定し、その緑色強度値を該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージのグレースケール値に加重値で乗算したものに等しくさせ、且つ該加重値は、0.5~1の間である請求項1に記載の生物サンプルイメージの合成方法。
【請求項3】
前記第1カラー変換演算は、該第2RGBイメージの緑色強度値を28m-1に設定し、mは正の整数であり、青色強度値を0に設定し、その赤色強度値を該グレースケール蛍光イメージのグレースケール値に加重値を乗算したものに等しくさせ、且つ該加重値は、0.5~1の間である請求項1に記載の生物サンプルイメージの合成方法。
【請求項4】
前記第1RGBイメージは、黒ベース暗緑色イメージであり、該第2RGBイメージは、黒ベース黄緑色イメージであり、該生物サンプルイメージは、白ベースのピンク色に青紫色を含むイメージである請求項1に記載の生物サンプルイメージの合成方法。
【請求項5】
前記第1RGBイメージ及び該第2RGBイメージの赤色強度値、緑色強度値及び青色強度値は、何れもバイナリのnビットで表し、そのうち、該nの値は、8の正の整数倍である請求項1に記載の生物サンプルイメージの合成方法。
【請求項6】
請求項1に記載の生物サンプルイメージの合成方法を実施するための光学システムであって、
前記第1メモリブロック、
前記グレースケール干渉イメージまたは前記該グレースケール反射イメージを、前記第1カラー変換演算により前記第1RGBイメージに変換する第1カラー変換演算ユニット、
前記第2メモリブロック、
前記グレースケール蛍光イメージを第2カラー変換演算により前記第2RGBイメージに変換する第2カラー変換演算ユニット、及び
前記第1RGBイメージ及び前記第2RGBイメージから生物サンプルイメージを生成するイメージ融合演算および強度反転演算ユニット、を備える情報処理装置を含む、光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システムの合成イメージ方法に関し、特に、生物サンプルイメージの合成方法及び該方法を採用した光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍切除手術を行う時、しばしば病理科の医師が冷凍セクション(frozen section)を用いて検査を行い、腫瘍がきれいに切除されているかを確定する必要がある。しかしながら、冷凍セクションを行う過程において、試験サンプルが水分の多いサンプルである場合、冷凍後に組織構造の結晶氷(crystal ice)を破壊し、試験サンプルが脂肪(fat)の多いサンプルである場合、一般の組織が何れも冷凍硬化される温度(~-20℃)において、その脂肪組織は、冷凍硬化されずにセクションから脱落し、セクション組織の不完全を招く。また、冷凍後の細胞は、安定して染色し難くなる。上記の理由により、冷凍セクションのイメージおよび新鮮な組織構造のイメージの間に異なるイメージ欠陥(artifact)を発生させ、従って、光学原理を利用して組織の即時のセクション検査を行う計器も応じて誕生しており、非破壊性の光学セクションを利用し、試験サンプルを冷凍固定する必要がない前提で、H&E類似イメージを迅速に獲得し、医療スタッフが判読を行い易くしている。
【0003】
しかしながら、一般の実験室で使用される光学セクションイメージ合成方法は、試験サンプルの複数のグレースケールイメージに対して線形組み合わせ演算を行って黒ベース(即ち、黒色背景)RGBイメージを生成し、該黒ベースRGBイメージが人の眼にマッピングされる時、人の眼にあたかも暗室中のカラーイメージをセンシングさせ、そのうち、前記複数のグレースケールイメージは、該試験サンプルに作用する複数の異なる結像方法によって生成され、該カラーイメージの各画素の色は、何れも三原色(赤、緑、青)で混合されてなり、且つ前記各画素の三原色の強度は、前記複数のグレースケールイメージの各画素の強度に対応する3つの線形組み合わせにより決定される。また、従来の結像技術、例えば、衛星イメージ、x線イメージまたは電子顕微鏡イメージは、単一のイメージ強度分布を提供することしかできないので、そのイメージは、グレースケールフォーマットで呈されることしかできない。イメージがカラー方式で呈されることができれば、可視性および識別性を向上できるだけでなく、更に多くの情報を提供することもできる。
【0004】
また、イメージのコントラストについて、赤と緑は、コントラストが最高の色調であるが、黒ベースの関係により、イメージを長く見るか、多く見る時、目が不快感を生じ易く、疲労し易いので、病理科の医師が病理セクションを大量に閲読する必要があるという要求を満たすことができない。従って、現在の病理イメージの作成は、一般に実体セクション(パラフィンセクションまたは冷凍セクション)に対して好塩基性染料ヘマトキシリン(Hematoxylin)および好酸球エオシン(Eosin)により染色を行い、更に、造影工程を経て柔らかい白ベース(即ち、白色背景)イメージを生成し、そのうち、ヘマトキシリン染色剤およびエオシン染色剤は、それぞれ細胞核(nucleus)及び細胞質(cytoplasm)は、青紫色およびピンク色に着色し、且つ細胞質中の異なる成分によりエオシンと異なる結合の程度によって異なる色調のピンク色を生成するので、H&Eセクション造影は、詳細な病理情報を提供することができる。従って、現有の光学セクション技術が常用する黒ベースRGBイメージをH&E類似の白ベースRGBイメージに変更することは、毎日大量のイメージを閲読する病理科医師にとって非常に補助となることができる。しかしながら、従来の実体セクションは、イメージ欠陥を作り出すだけではなく、造影に要する時間が長く、外科主述の要求に符合しない。
【0005】
従来技術として、例えば、米国US8269827B2「System and methods for mapping fluorescent images into a bright field color space?」特許は、蛍光画像を使用してH&E類似イメージを生成する方法を開示しており、それは、以下のステップを含む。試験サンプル上の固定領域の二種又は更に多くの蛍光画像を取得する。前記蛍光イメージの画像データをマッピングパラメータによりブライトフィールド色空間(bright field color space?)に変換する。ブライトフィールドタイプの画像を生成する。
【0006】
しかしながら、該特許構造では、多くの蛍光イメージでH&E類似イメージを生成し、それは、依然として以下の欠点が存在する。(1)試験サンプル内の構造が全て蛍光に染めることができず、該H&E類似イメージの色のコントラストに改善の余地がある。(2)蛍光イメージの生成に使用を要する他種の蛍光剤は、依然として試験サンプル自身に対して傷害を発生する。(3)多種の蛍光剤を用い、日光に曝すのに時間を浪費する。従って、本分野では、新規な生物サンプルイメージの合成方法が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-105708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、試験サンプルの干渉イメージまたは反射イメージおよび該試験サンプルの蛍光イメージによりカラー変換ステップ、イメージ融合ステップおよび強度反転ステップを経て白ベースRGBイメージを発生し、該試験サンプルに対して実体セクションを行う必要がない状況で色のコントラストが良好な生物サンプルイメージを提供する、生物サンプルイメージの合成方法を提供することにある。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較し、蛍光剤の使用を減少し、蛍光剤の試験サンプルに対する傷害を低減する生物サンプルイメージの合成方法を提供することにある。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較して蛍光剤の使用を減少し、染色時間を短縮し、生物サンプルイメージの完成を加速する生物サンプルイメージの合成方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更にもう1つの目的は、一般のH&Eイメージに比較し、発生する生物サンプルイメージが試験サンプル中の細胞質と細胞核のそれぞれのイメージ情報を更に詳細に提供でき、正常組織と異常組織の識別率を向上する生物サンプルイメージの合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明が提供する生物サンプルイメージの合成方法は、試験サンプルのグレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージを情報処理装置の第1メモリブロックに入力し、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、第1イメージ解析度を有し、該試験サンプルのグレースケール蛍光イメージを該情報処理装置の第2メモリブロックに入力し、該グレースケール蛍光イメージは、第2イメージ解析度を有し、且つ該第1イメージ解析度および該第2イメージ解析度は、同一又は異なるものであるステップと、
該情報処理装置を利用し、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージを、第1カラー変換演算を経て第1RGBイメージに変換し、該情報処理装置を利用し、該グレースケール蛍光イメージを、第2カラー変換演算を経て第2RGBイメージに変換するステップと、
該情報処理装置を利用し、該第1RGBイメージおよび該第2RGBイメージに対してイメージ融合演算および強度反転演算を行い、生物サンプルイメージを発生するステップと、
該生物サンプルイメージを表示ユニットに出力するステップと、
を含む。
【0013】
実施例において、前記グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、細胞質のイメージを呈する。
【0014】
実施例において、前記グレースケール蛍光イメージは、細胞核のイメージを呈する。
【0015】
実施例において、前記グレースケール干渉イメージは、光学干渉顕微鏡法の反射後に再干渉して生成されるイメージである。
【0016】
実施例において、前記グレースケール反射イメージは、反射型コンジュゲーション顕微鏡法の直接反射で生成されるイメージである。
【0017】
実施例において、前記第1カラー変換演算は、該第1RGBイメージの赤色強度値および青色強度値を何れも0に設定し、その緑色強度値を該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージのグレースケール値に加重値で乗算したものに等しくさせ、且つ該加重値は、0.5~1の間である。
【0018】
実施例において、前記第2カラー変換演算は、該第2RGBイメージの緑色強度値を28m-1に設定し、mは正の整数であり、青色強度値を0に設定し、その赤色強度値を該グレースケール蛍光イメージのグレースケール値に加重値を乗算したものに等しくさせ、且つ該加重値は、0.5~1の間である。
【0019】
実施例において、前記第1RGBイメージは、黒ベース暗緑色イメージであり、該第2RGBイメージは、黒ベース黄緑色イメージであり、該生物サンプルイメージは、白ベースのピンク色に青紫色を含むイメージである。
【0020】
実施例において、前記第1RGBイメージ及び該第2RGBイメージの赤色強度値、緑色強度値及び青色強度値は、何れもバイナリのnビットで表し、そのうち、該nの値は、8の正の整数倍である。
【0021】
前記目的を達成するため、本発明が提供する光学システムは、前記の生物サンプルイメージの合成方法を採用する。
【発明の効果】
【0022】
前記に開示する設計により、本発明は、以下の利点を有する。
1.本発明は、試験サンプルの干渉イメージまたは反射イメージおよび該試験サンプルの蛍光イメージによりカラー変換ステップ、イメージ融合ステップおよび強度反転ステップを経て白ベースRGBイメージを発生し、該試験サンプルに対して実体セクションを行う必要がない状況で色のコントラストが良好な生物サンプルイメージを提供する、生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
2.本発明は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較し、蛍光剤の使用を減少し、蛍光剤の試験サンプルに対する傷害を低減する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
3.本発明は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較して蛍光剤の使用を減少し、染色時間を短縮し、生物サンプルイメージの完成を加速する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
4.本発明は、一般のH&Eイメージに比較し、発生する生物サンプルイメージが試験サンプル中の細胞質と細胞核のそれぞれのイメージ情報を更に詳細に提供でき、正常組織と異常組織の識別率を向上する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】説明図であり、本発明の好適実施例の生物サンプルイメージの合成方法のフロー図である。
図2a】説明図であり、本発明の好適実施例の試験サンプルのグレースケール干渉イメージの説明図である。
図2b】説明図であり、本発明の好適実施例の試験サンプルのグレースケール蛍光イメージの説明図である。
図2c】説明図であり、本発明の好適実施例の図2aの第1カラー変換演算を経てRGB干渉イメージに変換する説明図である。
図2d】説明図であり、本発明の好適実施例の図2bの第2カラー変換演算を経てRGB蛍光イメージに変換する説明図である。
図2e】説明図であり、本発明の好適実施例の図2cおよび図2dのイメージ融合演算を行う説明図である。
図2f】説明図であり、本発明の好適実施例の図2eの強度反転演算を行ってH&E類似イメージを発生する説明図である。
図3】説明図であり、本発明の好適実施例の前記生物サンプルイメージの合成方法を採用した光学システム構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の構造、特徴及びその目的を更に理解できるようにするため、図面および好適具体実施例により詳細を説明する。
【0025】
図1を参照し、それは、本発明の好適実施例の生物サンプルイメージの合成方法のフロー図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の生物サンプルイメージの合成方法は、試験サンプルのグレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージを情報処理装置の第1メモリブロックに入力し、該試験サンプルのグレースケール蛍光イメージを該情報処理装置の第2メモリブロックに入力するステップaと、該情報処理装置を利用し、グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージを、第1カラー変換演算を経て第1RGBイメージに変換し、該情報処理装置を利用し、該グレースケール蛍光イメージを、第2カラー変換演算を経て第2RGBイメージに変換するステップbと、該情報処理装置を利用し、該第1RGBイメージおよび該第2RGBイメージに対してイメージ融合演算および強度反転演算を行い、生物サンプル似イメージを発生するステップcと、該生物サンプルイメージを表示ユニットに出力するステップdと、を含む。ステップaにおいて、該グレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージは、第1イメージ解析度を有し、該グレースケール蛍光イメージは、第2イメージ解析度を有し、且つ該第1イメージ解析度および該第2イメージ解析度は、同一又は異なるものである。
【0027】
以下に本発明の原理に対して説明を行う。
本発明の生物サンプルイメージの合成方法において、そのイメージソースは、グレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージ、およびグレースケール蛍光イメージにより構成される。そのうち、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、試験サンプル細胞組織中の細胞核以外の細胞質(cytoplasm)で形成される組織構造形態(morphology)のイメージを呈する。該グレースケール蛍光イメージは、該試験サンプルにおいて、細胞核内のDNAの集中する箇所、細胞核(nucleus)構造のイメージを呈する。
【0028】
本発明の生物サンプルイメージの合成方法において、該グレースケール干渉イメージは、光学干渉顕微鏡法(図示せず)の反射後に再干渉して発生されるイメージである。該光学干渉顕微鏡法(Optical Interference Microscopy,略称OIM)の空間解析度は、超音波より高い、主な各組織の光に対する反射能力の違いを利用し、光学干渉原理によって試験サンプルに対して結像及び識別を行う。それは、従来技術であるので、ここでは、詳細を記載しない。
【0029】
本発明の生物サンプルイメージの合成方法において、該グレースケール反射イメージは、反射共焦点顕微鏡(図示せず)の直接反射で生成されるイメージである。該反射共軛焦顯微鏡(Reflectance Confocal Microscopy、略称RCM)の結像原理は、レーザ光源により従来の蛍光系顕微鏡の水銀ランプであり、スキャナー(Scan mirrors)のガイドによって点接点(Point by point)方式で試験サンプルから連続反射信号を取得し、二次元アレイイメージに連結する。それは、従来技術であるので、ここでは、詳細を記載しない。
【0030】
また、本発明の生物サンプルイメージの合成方法において、該グレースケール蛍光イメージの蛍光は、エネルギー変換時に発生される冷光現象であり、その特性は、短波長の光を吸収した後、長波長の光を発散する。蛍光反応を利用した実験技術は、現代のバイオテクノロジーに相当な便利をもたらし、蛍光剤は、細胞形態のバイオマーカー(biomarker)としてしばしば用いられ、その原理は、短波光束を蛍光染料の試験サンプルに照射し、それに蛍光を放出させて感光素子に結像させる(図示せず)ものである。それは、従来技術であるので、ここでは、詳細を記載しない。
【0031】
また、光学セクション中の細胞質および細胞核イメージおよびH&E染色セクションのエオシン染料及びヘマトキシリン染料は、対応関係である。蛍光イメージが細胞核を呈する時、用いられる染料は、何れも膜透過性を有するので、短時間内に表層以下100~200μmの深さに浸透し、迅速な検査の目的を達成する。それは、従来技術であるので、ここでは、詳細を記載しない。
【0032】
図2a~図2fを併せて参照し、そのうち、図2aは、本発明の好適実施例の試験サンプルのグレースケール干渉イメージの説明図であり、図2bは、本発明の好適実施例の試験サンプルのグレースケール蛍光イメージの説明図であり、図2cは、本発明の好適実施例の図2aの第1カラー変換演算を経てRGB干渉イメージに変換する説明図であり、図2dは、本発明の好適実施例の図2bの第2カラー変換演算を経てRGB蛍光イメージに変換する説明図であり、図2eは、本発明の好適実施例の図2cおよび図2dのイメージ融合演算を行う説明図であり、図2fは、本発明の好適実施例の図2eの強度反転演算を行ってH&E類似イメージを発生する説明図である。
【0033】
図2aに示される該グレースケール干渉イメージは、情報処理装置(図示せず)の第1メモリブロック(図示せず)中に入力され、そのうち、該グレースケール干渉イメージは、黒ベースのイメージであり、且つグレースケール干渉イメージは、第1イメージ解析度を有する。
【0034】
図2bに示される該グレースケール蛍光イメージは、該情報処理装置(図示せず)の第2メモリブロック(図示せず)中に入力され、そのうち、該グレースケール蛍光イメージは、黒ベースのイメージであり、該グレースケール蛍光イメージは、第2イメージ解析度を有し、且つ該第1イメージ解析度および該第2イメージ解析度は、同一または異なるものであることができる。
【0035】
図2cに示される該第1RGBイメージは、該情報処理装置(図示せず)が該第1カラー変換演算を行った後に得られるイメージであり、そのうち、該第1RGBイメージは、黒ベース暗緑色イメージであり、該第1カラー変換演算は、該第1RGBイメージの赤色強度値及び青色強度値をいずれも0に設定し、その緑色強度値を該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージのグレースケール値に加重値を乗算し、且つ該加重値は、0.5~1の間である。
【0036】
図2dに示される該第2RGBイメージは、該情報処理装置(図示せず)が該第2カラー変換演算を行った後に得られるイメージであり、そのうち、該第2RGBイメージは、黒ベース黄緑色イメージであり、該第2カラー変換演算は、該第2RGBイメージの緑色強度値を28m-1に設定し、mが正の整数であり、青色強度値を0に設定し、その赤色強度値を該グレースケール蛍光イメージのグレースケール値に加重値を乗算し、且つ該加重値は、0.5~1の間である。
【0037】
図2eに示されるイメージは、該情報処理装置(図示せず)を利用して該第1RGBイメージ(図2c)及び該第2RGBイメージ(図2d)に対してイメージ融合演算を行った結果であり、黒ベースのイメージである。
【0038】
図2fに示されるH&E類似イメージは、該情報処理装置(図示せず)を利用して図2eに対して強度反転演算を行って生成されたイメージであり、それは、白ベースのピンク色に青紫色を含むイメージである。
【0039】
また、該第1RGBイメージ及び該第2RGBイメージの赤色強度値、緑色強度値及び青色強度値は、何れもバイナリnビットで表され、そのうち、該nの値は、8の正の整数倍である。
【0040】
また、図2aに示される該グレースケール干渉イメージは、グレースケール反射イメージに変更することもでき、且つ該グレースケール反射イメージは、該グレースケール干渉イメージと同じ処理工程を有することができる。
【0041】
また、本発明は、光学システムを開示しており、それは、前記生物サンプルイメージの合成方法を採用したものである。
【0042】
図3を参照し、それは、本発明の好適実施例が採用する前記生物サンプルイメージの合成方法の光学システムの構造の説明図である。
【0043】
図に示すように、該光学システムは、第1感光素子100、第2感光素子200、情報処理装置300および表示ユニット400を含む。
【0044】
該第1感光素子100は、試験サンプルのグレースケール干渉イメージまたはグレースケール反射イメージを入力することに用いられ、該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージは、細胞質のイメージを呈する。そのうち、該グレースケール干渉イメージは、これに制限するものではないが、例えば、光学干渉顕微鏡法(図示せず)の反射後に再干渉して生成されるイメージであり、該グレースケール反射イメージは、これに制限するものではないが、例えば、反射型コンジュゲーション顕微鏡法(図示せず)の直接反射で生成されるイメージである。
【0045】
該第2感光素子200は、試験サンプルのグレースケール蛍光イメージに入力することに用いられ、該グレースケール蛍光イメージは、細胞核のイメージを呈する。
【0046】
該情報処理装置300の一端は、該第1感光素子100、該第2感光素子200と接合し、且つ第1メモリブロック310及び第2メモリブロック320を有し、そのうち、該第1メモリブロック310は、第1感光素子100から入力された該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージを保存することに用いられ、該第2メモリブロック320は、第2感光素子200から入力される該グレースケール蛍光イメージを保存することに用いられる。
【0047】
該情報処理装置は、第1カラー変換演算ユニット330、第2カラー変換演算ユニット340、及びイメージ融合演算および強度反転演算ユニット350を更に有する。
【0048】
該第1カラー変換演算ユニット330は、該第1メモリブロック310と接合し、該第1メモリブロック310に保存した該グレースケール干渉イメージまたは該グレースケール反射イメージを、第1カラー変換演算を第1RGBイメージに変換することに用いられ、そのうち、該第1カラー変換演算は、該第1RGBイメージの赤色強度値及び青色強度値をいずれも0に設定し、その緑色強度値を該グレースケール反射イメージまたは該グレースケール干渉イメージのグレースケール値に加重値を乗算したものに等しくし、且該加重値は、0.5~1の間であり、且つ該第1RGBイメージは、黒ベース暗緑色イメージである。
【0049】
該第2カラー変換演算ユニット340は、該第2メモリブロック320と接合し、該第2メモリブロック320に保存した該グレースケール蛍光イメージを、第2カラー変換演算を経て第2RGBイメージに変換することに用いられ、そのうち、該第2カラー変換演算は、該第2RGBイメージ之緑色強度値を28m-1に設定し、mは正の整数であり、青色強度値を0とし、その赤色強度値を該グレースケール蛍光イメージのグレースケール値に加重値を乗算したものに等しくさせ、且つ且該加重値は、0.5~1の間であり、且つ該第2RGBイメージは、黒ベース黄緑色イメージである。
【0050】
また、該第1RGBイメージ及び該第2RGBイメージの赤色強度値、緑色強度値及び青色強度値は、いずれもバイナリnビットで表され、そのうち、該nの値は、8の正の整数倍である。
【0051】
該イメージ融合演算および強度反転演算ユニット350は、それぞれ該第1カラー変換演算ユニット330及び該第2カラー変換演算ユニット340と接合し、該第1RGBイメージ及び該第2RGBイメージを、イメージ融合演算及び強度反転演算して生物サンプルイメージを生成することに用いられ、該生物サンプルイメージは、白ベースのピンク色に青紫色を含むイメージである。
【0052】
該表示ユニット400は、該情報処理装置300の他端と接合し、該情報処理装置300が出力する該生物サンプルイメージを表示することに用いられる。
【0053】
前記に開示する設計により、本発明は、以下の利点を有する。
1.本発明は、試験サンプルの干渉イメージまたは反射イメージおよび該試験サンプルの蛍光イメージによりカラー変換ステップ、イメージ融合ステップおよび強度反転ステップを経て白ベースRGBイメージを発生し、該試験サンプルに対して実体セクションを行う必要がない状況で色のコントラストが良好な生物サンプルイメージを提供する、生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
2.本発明は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較し、蛍光剤の使用を減少し、蛍光剤の試験サンプルに対する傷害を低減する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
3.本発明は、従来の多くの蛍光イメージを加える方法に比較して蛍光剤の使用を減少し、染色時間を短縮し、生物サンプルイメージの完成を加速する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
4.本発明は、一般のH&Eイメージに比較し、発生する生物サンプルイメージが試験サンプル中の細胞質と細胞核のそれぞれのイメージ情報を更に詳細に提供でき、正常組織と異常組織の識別率を向上する生物サンプルイメージの合成方法を提供する。
【0054】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態を示したものであり、本発明を限定するものではない。従って、本発明の主旨を逸脱しない範囲における修飾または変更は、全て、本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
100 第1感光素子
200 第2感光素子
300 情報処理装置
310 第1メモリブロック
320 第2メモリブロック
330 第1カラー変換演算ユニット
340 第2カラー変換演算ユニット
350 イメージ融合演算および強度反転演算ユニット
400 表示ユニット
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3