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特許7144208クメンを製造するための触媒及びその適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】クメンを製造するための触媒及びその適用
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/58 20060101AFI20220921BHJP
   C07C 15/085 20060101ALI20220921BHJP
   C07C 5/03 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 23/652 20060101ALI20220921BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
B01J23/58 Z
C07C15/085
C07C5/03
B01J35/10 301G
B01J32/00
B01J23/652 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018117659
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019005746
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】201710473492.X
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710473479.4
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710473465.2
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】劉仲能
(72)【発明者】
【氏名】江興華
(72)【発明者】
【氏名】顧国耀
(72)【発明者】
【氏名】李則俊
(72)【発明者】
【氏名】袁東平
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第104151129(CN,B)
【文献】国際公開第2013/110995(WO,A1)
【文献】特開平11-010001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0056036(US,A1)
【文献】特表平08-510685(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1876231(CN,A)
【文献】特開2006-176492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07B 31/00-63/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体と活性成分を含むクメン製造用触媒であって、前記活性成分は、
パラジウム元素である成分(1)と、
モリブデン元素であるか、あるいは、モリブデン元素と、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素から選択される1種または2種以上である成分(2)と、を含む、クメン製造用触媒。
【請求項2】
元素質量換算で、前記成分(1)の含有量は0.01~10g/L、好ましくは0.05~5g/L、より好ましくは0.1~4g/Lであり、及び/又は、前記成分(2)の含有量は0より大きく且つ60g/L以下、好ましくは0.5~5g/L、より好ましくは1.0~3.5g/Lであり、g/Lは1リットルあたりの担体に担持される成分の質量を示すことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
成分(1)と成分(2)の質量比は(20~1):1、好ましくは(15~5):1、より好ましくは(12~8):1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記成分(2)はモリブデン元素であり、
あるいは、前記成分(2)はアルカリ金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、アルカリ金属元素とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、最も好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1であり、
あるいは、前記成分(2)はアルカリ土類金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、前記アルカリ土類金属元素とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、さらに好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1であり、
あるいは、前記成分(2)はアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、前記アルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素の和とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、さらに好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属元素はCa、Mg、Sr及びBaから選択される少なくとも1種であり、前記アルカリ金属元素はLi、Na及びKから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記担体はアルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化チタンと活性炭のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは、前記担体はアルミナを80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記担体のBET比表面積は60~200m/gであり、好ましくは80~150m/gであり、及び/又は、前記担体の細孔容積は0.2~0.7mL/g、好ましくは0.3~0.5mL/gであり、及び/又は、前記担体は最確孔径が10~30nmであり、好ましくは12~20nmであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記アルミナは、δ-アルミナ、θ-アルミナまたはδ-アルミナとθ-アルミナとの混合物を含み、好ましくは、前記アルミナは30wt%以上、好ましくは50wt%以上、より好ましくは75wt%以上のδ-アルミナ、θ-アルミナまたはδ-アルミナとθ-アルミナとの混合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の触媒。
【請求項9】
前記δ-アルミナとθ-アルミナとの混合物において、δ-アルミナとθ-アルミナとの質量比は(0.2~5.0):1、好ましくは(0.45~3):1、より好ましくは(0.5~2):1であることを特徴とする請求項8に記載の触媒。
【請求項10】
α-メチルスチレンを含む原料と水素ガスを、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒に接触させ、反応させクメンが生成される工程を備えるクメンの製造方法。
【請求項11】
前記反応は0.2~3.0MPa、好ましくは0.25~1.5MPaの圧力下で行われ、前記反応は30~100℃、好ましくは40~60℃の温度で行われ、及び/又は、前記反応は1.0~10.0、好ましくは2.0~7.0の液体循環比で行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記α-メチルスチレンを含む原料の体積空間速度は0.3~3.0時間-1、好ましくは0.8~1.5時間-1であり、水素ガスとα-メチルスチレンのモル比は(0.5~8):1、好ましくは(1~5):1、より好ましくは(1.1~3.5):1であることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記α-メチルスチレンを含む原料中には、α-メチルスチレン1~25wt%、および溶媒75~99wt%を含有し、好ましくは、前記α-メチルスチレンを含む原料中には、α-メチルスチレン2~10wt%、および溶媒90~98wt%を含有することを特徴とする請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記α-メチルスチレンを含む原料は、クメンを用いてフェノールとアセトンを生産する装置に由来するものであることを特徴とする請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
α-メチルスチレンの水素化によるクメンの製造への請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒の適用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クメンを製造するための触媒に関する。本発明は、その触媒の適用、特に、α-メチルスチレンの水素化によるクメンの製造における適用にも関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年6月21日に提出された出願番号が201710473492.X、発明の名称が「クメンを製造するための触媒及びその製造方法」である中国特許出願、2017年6月21日に提出された出願番号が201710473479.4、発明の名称が「クメン触媒及びその製造方法」である中国特許出願、及び、2017年6月21日に提出された出願番号が201710473465.2、発明の名称が「水素化によるクメン製造のための触媒」である中国特許出願を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
【背景技術】
【0003】
現在、全世界のクメンの生産量は千万トンに近く、そのうち90%以上のクメンがフェノールとアセトンの製造に用いられているものである。そのプロセスにおいて、通常、副生成物としてのα-メチルスチレン(単にAMSという)が生成され、後続の精製プロセスにおいてAMSの分離除去が非常に困難である。ところが、水素化することにより原料であるクメンに変換して酸化工程に戻して利用することによって、クメンの単位消耗を低減させ、フェノールの収率を向上させ、原料費を節約することなどができる。こうして、原料であるプロピレンとベンゼンの消耗を低減できるだけではなく、また装置の技術的経済的指標を向上させることができる。
【0004】
年間生産量1万トンのフェノール/アセトンの生産装置では、AMSが500トン副生成され、海外のフェノール/アセトン生産装置ではいずれもAMS水素化手段が備えている。AMSを水素化することによってクメンが製造される従来の方法はスラリー法であって、Reneyニッケル触媒を用いたものであり、その方法は流れが複雑、触媒の選択性が低く、使用周期が短い等の欠点がある。スラリー法は次第に固定床法に取り替えられていく。そのうち、水素化触媒の性能が非常に重要である。AMSの水素化によるクメンの製造に用いられる触媒についても多く報告されている。斉藤氏は、白金触媒によるAMSの水素化実験について検討されている。Phenolchemie Co.は、CuCrNiを採用してAMSを水素化する試みがなされている。赫崇衡氏は、パラジウム/アルミナ触媒の高温焼結についての検討が行われている。Franco C氏などは、Pd/C触媒を採用してα-メチルスチレンの水素化に使用している。Little氏などは、それぞれ、Ni、Pt、Pd、Co、Cr及びいくつかの金属合金触媒のAMS選択水素化性能について研究がなされている。非パラジウム系触媒の活性や選択性が高くないため、近年では、パラジウムを主とするまたは唯一成分とする触媒がかなり注目されている。AMSは活性的な性質を有し、安定性が悪い。したがって、触媒の再生周期を増加させ、触媒の使用寿命を延長するために、水素化触媒が比較的高い低温活性と選択性及び適当な耐不純物性を有することが望ましい。
【0005】
米国特許US3646235には、ニッケル、白金、パラジウム、コバルト、クロム酸化物及び混合金属触媒をAMSの水素化用途に用いられ、24~50℃、0.17~0.45MPaの条件で、金属含有量が1~5%(重量)のPd触媒が好ましいことが開示されている。
【0006】
中国特許CN1793089Aには、ニッケル系触媒と貴金属触媒との組合触媒系によって、AMSをクメンに選択的に水素化する方法が開示されている。市販の触媒組合を用いて装填することで、第1の反応領域において70~95%のAMS変換、第2の反応領域において少なくとも95%のAMS変換が実現された。
【0007】
従来の方法で用いられる触媒は、AMS変換率とクメンの選択性の面において向上の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許US3646235
【文献】中国特許CN1793089A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の技術ではAMS水素化によってクメンを製造するにあたり、AMS変換率とクメンの選択性が低いという課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、担体と活性成分を含むクメン製造用触媒であって、前記活性成分は、パラジウム元素である成分(1)と、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素及びモリブデン元素から選択される1種または2種以上である成分(2)とを含むクメン製造用触媒が提供される。
【0011】
本発明によれば、前記パラジウム元素は、単体で、酸化物および/または塩の形態で前記触媒に存在することができる。
【0012】
本発明によれば、前記アルカリ金属元素は、酸化物および/または塩の形態で前記触媒に存在することができる。
【0013】
本発明によれば、アルカリ土類金属元素は、酸化物および/または塩の形態で前記触媒に存在することができる。
【0014】
本発明によれば、モリブデン元素は、酸化物および/または塩の形態で前記触媒に存在することができる。
【0015】
本発明者らは、意外なことに、前記成分(1)及び成分(2)は、AMS変換率とクメンの選択性を向上させることにおいて相乗効果があると見出した。
【0016】
本発明によれば、成分(1)と(2)の含有量は、g/Lを単位とすることができ、1リットルあたりの担体に担持される成分の質量を示すものであって、この分野で通常に使用されている質量%含有量との換算関係は次の通りである。
【0017】
【数1】
【0018】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、元素換算で、前記成分(1)の含有量は0.01~10g/L、好ましくは0.05~5g/L、より好ましくは0.1~4g/Lである。
【0019】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、元素換算で、前記成分(2)の含有量は0より大きく且つ60g/L以下、好ましくは0.5~5g/L、より好ましくは1.0~3.5g/Lである。
【0020】
本発明によれば、非限定的な例として、成分(1)の具体的な含有量としては、0.1g/L、0.2g/L、0.5g/L、1g/L、1.5g/L、2g/L、2.7g/L、3g/L、3.5g/L、4g/L、4.5g/L、5g/L、5.5g/L、6g/L、6.5g/L、7g/L、8g/L、9g/L等とすることができる。
【0021】
本発明によれば、非限定的な例として、成分(2)の具体的な含有量としては、0.01g/L、0.06g/L、0.12g/L、0.15g/L、0.18g/L、0.24g/L、0.30g/L、0.5g/L、1.0g/L、2.0g/L、3.0g/L、4.0g/L、5.0g/L、10g/L、15g/L、20g/L、25g/L、30g/L、35g/L、40g/L、45g/L、50g/L、55g/L等とすることができる。
【0022】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、成分(1)と成分(2)の質量比は(20~1):1、好ましくは(15~5):1、より好ましくは(12~8):1である。
【0023】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、前記成分(2)は、モリブデン、アルカリ金属元素あるいはアルカリ土類金属元素である。
【0024】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記成分(2)はアルカリ金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、アルカリ金属元素とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、最も好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1である。成分(1)の存在下で、アルカリ金属元素とモリブデン元素はAMS変換率とクメンの選択性の向上において相乗効果がある。
【0025】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記成分(2)はアルカリ土類金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、前記アルカリ土類金属元素とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、さらに好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1である。成分(1)の存在下で、アルカリ土類金属元素とモリブデン元素はAMS変換率とクメンの選択性の向上において相乗効果がある。
【0026】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記成分(2)はアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素とモリブデン元素からなり、好ましくは、元素換算で、前記アルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素の和とモリブデン元素の質量比は(0.1~10):1、好ましくは(0.2~5):1、より好ましくは(0.25~4):1、さらに好ましくは(1~4):1、例えば1:1、1.5:1、2:1、3:1または4:1である。成分(1)の存在下で、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素とモリブデン元素はAMS変換率とクメンの選択性の向上において相乗効果がある。
【0027】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、前記成分(2)はアルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素から選択されるものであって、また前記触媒にはIVA族から選択される金属元素が含まれない。
【0028】
本発明のいくつかの実施の形態によれば、前記活性成分は前記成分(1)と成分(2)からなり、すなわち、前記成分(1)と成分(2)以外、前記触媒には他の活性成分を含有しない。
【0029】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記アルカリ土類金属元素はCa、Mg、Sr及びBaから選択される少なくとも1種である。
【0030】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記アルカリ金属元素はLi、Na及びKから選択される少なくとも1種である。
【0031】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記担体はアルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化チタンと活性炭のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは、前記担体はアルミナを80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上を含む。
【0032】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記担体のBET比表面積は60~200m/gであり、好ましくは80~150m/gである。
【0033】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記担体の細孔容積は0.2~0.7mL/g、好ましくは0.3~0.5mL/gである。
【0034】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記担体は最確孔径(the most probable pore size)が10~30nmである。本発明者らは、意外なことに、担体の最確孔径は触媒の拡散性に影響があり、適当な最確孔径は原料の分子径及び材料の粘度にマッチすることができ、原料分子の拡散性が向上し、活性中心に接触するのにより一層有利になると見出した。前記担体の最確孔径は12~20nmであることが好ましい。
【0035】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記アルミナは、δ-アルミナ、θ-アルミナまたはδ-アルミナとθ-アルミナとの混合物を含み、好ましくは、前記アルミナは30wt%以上、好ましくは50wt%以上、より好ましくは75wt%以上のδ-アルミナ、θ-アルミナまたはδ-アルミナとθ-アルミナとの混合物を含む。本発明者らは、意外なことに、δ-アルミナとθ-アルミナとの混合物を担体とする本発明の触媒をα-メチルスチレンの水素化によるクメンの製造に使用すると、AMS変換率とクメンの選択性の向上において相乗効果があると見出した。
【0036】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記δ-アルミナとθ-アルミナとの混合物において、δ-アルミナとθ-アルミナとの質量比は(0.2~5.0):1、好ましくは(0.45~3):1、より好ましくは(0.5~2):1である。
【0037】
本発明の触媒のいくつかの好適な実施の形態によれば、パラジウム成分は単体の形態で担体に担持されている。発明者らは、パラジウム粒子が大きすぎると、パラジウムはバルク構造の性質を示し、水素化反応の活性が悪くなる。パラジウム粒子が小さすぎると、触媒活性が高くなりすぎて、選択性が悪くなり、そして活性減衰が速くなる。発明者らは、意外なことに、パラジウムの粒径が1.5~3nmである場合、触媒の性能が最も優れることを見出した。
【0038】
本発明が提供する触媒は、例えば、よく見られる担体粉体の混合、混練、押出、乾燥、焼成、活性成分含浸、触媒乾燥、焼成及び活性化などの本分野での公知の方法によって調製される。
【0039】
一例として、本発明の触媒は次のような方法を採用して調製することができる。前記方法は以下の工程を含む。
工程A、担体を、活性成分を含有する化合物の溶液と混合する。
工程B、工程Aで処理された後の担体を焼成し、必要に応じて焼成前に乾燥させ、触媒前駆体が得られる。
工程C、工程Bで得られた触媒前駆体をパラジウム含有化合物の溶液と混合する。
工程D、工程Cで処理された後の触媒前駆体を焼成し、必要に応じて焼成前に乾燥させ、前記触媒が得られる。
【0040】
本発明によれば、前記活性成分を含有する化合物の溶液は、すなわち成分(2)の化合物を含む溶液であり、アルカリ金属含有化合物の溶液、アルカリ土類金属含有化合物の溶液及びモリブデン含有化合物の溶液から選択されるものである。
【0041】
本発明によれば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びモリブデン化合物は特に限定されない。水可溶性のものであれば、何れも本発明に利用することができる。例えば、硝酸塩、塩酸塩、C1~C4カルボン酸塩(難水溶性のため、シュウ酸塩を除く)が挙げられる。
【0042】
本発明によれば、パラジウム化合物は特に限定されなく、水可溶性のものであれば、何れも本発明に利用することができる。例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウム酸、塩化パラジウム酸アンモニウム及びパラジウムの可溶性錯体が挙げられる。
【0043】
本発明によれば、前記化合物を溶解可能な溶剤であればいずれも触媒の製造に使用することができるが、経済性、環境保全などから総合的に考えると、好ましく用いられる溶媒は水である。
【0044】
本発明の実施の形態によれば、工程Cにおいて、パラジウム含有化合物の溶液のpH値は2.0~4.0である。
【0045】
より強度が優れた触媒を得るために、工程B及び/又は工程Dの焼成工程の前に乾燥を行うことが好ましい。本発明の実施の形態によれば、工程Bにおいて、乾燥の時間は2~6時間、温度は80~120℃とする。本発明の実施の形態によれば、工程Dにおいて、乾燥の時間は2~6時間、温度は80~120℃とする。
【0046】
本発明によれば、焼成の雰囲気は特に限定されなく、いずれも比較可能な技術的効果を達成できるが、経済性を考えると空気雰囲気とする。比較を容易にするために、本発明の実施の形態ではいずれも空気雰囲気とする。本発明の実施の形態によれば、工程Bにおいて、焼成の時間は3~8時間、温度は400~600℃とする。本発明の実施の形態によれば、工程Dにおいて、焼成の時間は3~8時間、温度は400~600℃とする。
【0047】
上記の触媒中のPdは単体に還元し、そのままα-メチルスチレンの水素化によるクメン製造反応に用いられてもよいし、あるいは、Pdの酸化物として存在してもよい。こうして、貯蔵や輸送に便利となる。ただし、使用前に還元剤で活性化する必要がある。活性化させるための還元剤は水素ガスまたは水素ガスを含む材料とするようにしてもよい。比較を容易にするために、本発明の発明を実施するための形態では触媒中のPdはいずれもPdの酸化物の形態であり、使用前に0.4MPaの水素ガス雰囲気中で、50℃で4時間活性化する。
【0048】
本発明の第2の態様では、さらに、α-メチルスチレンの水素化によるクメンの製造への上記触媒の適用が提供される。
【0049】
本発明の第3の態様では、さらに、α-メチルスチレンを含む原料と水素ガスを、本発明で提供される上記の触媒に接触させ、反応させクメンが生成される工程を備えるクメンの製造方法が提供される。
【0050】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記方法は単一反応器又は直列接続された2段反応器で行われ、前記反応器は固定床反応器であることが好ましい。
【0051】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記反応は0.2~3.0MPa、好ましくは0.25~1.5MPaの圧力下で行われる。
【0052】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記反応は30~100℃、好ましくは40~60℃の温度で行われる。
【0053】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記反応は1.0~10.0、好ましくは2.0~7.0の液体循環比で行われる。液体循環比が低すぎると、反応器入口のα-メチルスチレンの濃度が高くなり、α-メチルスチレンが重合しやすくなり、生成された重合物が触媒表面を覆うようになり触媒性能の低下を招いてしまう。液体循環比が高すぎると、触媒による加工処理が必要な原料が増え、空間速度が大きくなり、滞留時間が短くなり、変換率が低下する。
【0054】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、α-メチルスチレンを含む原料の体積空間速度は0.3~3.0時間-1、好ましくは0.8~1.5時間-1、例えば、0.8時間-1、0.9時間-1、1.0時間-1、1.1時間-1、1.2時間-1、1.3時間-1、1.4時間-1、1.5時間-1等である。
【0055】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、水素ガスとα-メチルスチレンのモル比は(0.5~8):1、好ましくは(1~5):1、より好ましくは(1.1~3.5):1である。
【0056】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、重量換算で、前記原料中には、α-メチルスチレン1~25%、および溶媒75~99%を含有する。発明者らは、原料中のα-メチルスチレンの濃度が高すぎると、α-メチルスチレンが重合され、α-メチルスチレンオリゴマーまたはより高分子量の重合物が生成されることを見出した。好ましくは、前記原料中には、α-メチルスチレン2~10%、および溶媒90~98%を含有する。前記溶媒は不活性溶剤であることが好ましく、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クメン等から選択することができる。
【0057】
本発明方法のいくつかの好適な実施の形態によれば、前記α-メチルスチレンを含む原料は、クメンを用いてフェノールとアセトンを生産する装置に由来するものである。
【発明の効果】
【0058】
本発明で提供される触媒をα-メチルスチレンの水素化によるクメンの製造に用いると、高い活性と選択性を有する。本発明の触媒を用いてクメンを製造すると、AMS変換率が99.97%、クメンの選択性が99.60%に達することができ、効果が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下は、実施例を挙げながら本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0060】
以下の実施例および比較例で用いられる担体は、長さが2~8mm、直径が1.8~2.2mm、嵩密度が0.5~0.8g/mLのものである。
【0061】
担体の最確孔径の測定方法は窒素吸着BET法である。
【0062】
〔実施例1A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.30g含む硝酸カルシウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.30g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0063】
2、触媒の評価
触媒40mlを採取して固定床反応器に装填し、0.4MPaの水素ガス雰囲気中で、50℃で4時間活性化してから、反応を行う。反応条件は以下の通りである。反応温度が45℃、反応圧力が0.3MPa、反応原料中における水素ガスとAMSのモル比が1.2、反応原料(AMS21%とクメン79%を含む)の液空間速度が1.0h-1、反応時間が72時間とする。
【0064】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0065】
〔実施例2A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Moを0.30g含むモリブデン酸アンモニウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Moの含有量が0.30g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0066】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0067】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0068】
〔実施例3A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.24g含む硝酸カルシウム及びMoを0.06g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.24g/L、Moの含有量が0.06g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0069】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0070】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0071】
〔実施例4A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.18g含む硝酸カルシウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0072】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0073】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0074】
〔実施例5A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.15g含む硝酸カルシウム及びMoを0.15g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.15g/L、Moの含有量が0.15g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0075】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0076】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0077】
〔実施例6A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.12g含む硝酸カルシウム及びMoを0.18g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.12g/L、Moの含有量が0.18g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0078】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0079】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例7A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを0.06g含む硝酸カルシウム及びMoを0.24g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.06g/L、Moの含有量が0.24g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0081】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0082】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0083】
〔実施例8A〕
1、触媒の調製
円筒状の酸化チタン担体(最確孔径が16.8nm、比表面積が85m/g)1Lを、Caを0.18g含む硝酸カルシウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0084】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0085】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0086】
〔実施例9A〕
1、触媒の調製
円筒状のシリカ担体(最確孔径が21.8nm、比表面積が185m/g)1Lを、Caを0.18g含む硝酸カルシウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Caの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0087】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0088】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0089】
〔比較例1A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Pdを3.00g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が3.00g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が3.5nmとなる)が得られる。
【0090】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0091】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0092】
〔比較例2A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Caを3.00g含む硝酸カルシウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Caの含有量が3.00g/Lとなる)が得られる。
【0093】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0094】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0095】
〔比較例3A〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Moを3.00g含むモリブデン酸アンモニウム500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Moの含有量が3.00g/Lとなる)が得られる。
【0096】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Aを参照。
【0097】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
〔実施例1B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.30g含む炭酸カリウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.30g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0100】
2、触媒の評価
触媒40mlを採取して固定床反応器に装填し、0.4MPaの水素ガス雰囲気中で、50℃で4時間活性化してから、反応を行う。反応条件は以下の通りである。反応温度が45℃、反応圧力が0.3MPa、反応原料中における水素ガスとAMSのモル比が1.2、反応原料(AMS21%とクメン79%を含む)の液空間速度が1.0h-1、反応時間が72時間とする。
【0101】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0102】
〔実施例2B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Moを0.30g含むモリブデン酸アンモニウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Moの含有量が0.30g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0103】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0104】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0105】
〔実施例3B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.24g含む炭酸カリウム及びMoを0.06g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.24g/L、Moの含有量が0.06g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0106】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0107】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0108】
〔実施例4B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0109】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0110】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0111】
〔実施例5B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.15g含む炭酸カリウム及びMoを0.15g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.15g/L、Moの含有量が0.15g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0112】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0113】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0114】
〔実施例6B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.12g含む炭酸カリウム及びMoを0.18g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.12g/L、Moの含有量が0.18g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0115】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0116】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0117】
〔実施例7B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを0.06g含む炭酸カリウム及びMoを0.24g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.06g/L、Moの含有量が0.24g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0118】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0119】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0120】
〔実施例8B〕
1、触媒の調製
円筒状の酸化チタン担体(最確孔径が16.8nm、比表面積が85m/g)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0121】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0122】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0123】
〔実施例9B〕
1、触媒の調製
円筒状のシリカ担体(最確孔径が21.8nm、比表面積が185m/g)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が2.2nmとなる)が得られる。
【0124】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0125】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0126】
〔比較例1B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Pdを3.00g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が3.00g/L、TEM平均測定法によるPd結晶粒子径が3.5nmとなる)が得られる。
【0127】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0128】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0129】
〔比較例2B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Kを3.00g含む炭酸カリウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Kの含有量が3.00g/Lとなる)が得られる。
【0130】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0131】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0132】
〔比較例3B〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(最確孔径が15.8nm、比表面積が125m/g、細孔容積が0.46mL/g、δ-アルミナとθ-アルミナを75wt%含み、δ-アルミナとθ-アルミナの質量比が1:1、残部が他の結晶相のアルミナである)1Lを、Moを3.00g含むモリブデン酸アンモニウム500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Moの含有量が3.00g/Lとなる)が得られる。
【0133】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Bを参照。
【0134】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表2に示す。
【0135】
【表2】
【0136】
〔実施例1C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを52wt%、θ-アルミナを48wt%含み、最確孔径が15.3nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0137】
2、触媒の評価
触媒40mlを採取して固定床反応器に装填し、0.4MPaの水素ガス雰囲気中で、50℃で4時間活性化してから、反応を行う。反応条件は以下の通りである。反応温度が45℃、反応圧力が0.3MPa、反応原料中における水素ガスとAMSのモル比が1.2、反応原料(AMS21%とクメン79%を含む)の液空間速度が1.0h-1、反応時間が72時間とする。
【0138】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0139】
〔実施例2C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを100wt%含み、最確孔径が17.9nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0140】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0141】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0142】
〔実施例3C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(θ-アルミナを100wt%含み、最確孔径が18.4nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0143】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0144】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0145】
〔実施例4C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを65wt%、θ-アルミナを35wt%含み、最確孔径が16.2nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0146】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0147】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0148】
〔実施例5C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを35wt%、θ-アルミナを65wt%含み、最確孔径が15.8nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0149】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0150】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0151】
〔実施例6C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを50wt%、θ-アルミナを50wt%含み、最確孔径が14.7nmである)1Lを、Kを0.18g含む炭酸カリウム及びMoを0.12g含むモリブデン酸アンモニウムの水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成し、そして、Pdを2.7g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が2.7g/L、Kの含有量が0.18g/L、Moの含有量が0.12g/Lである)が得られる。
【0152】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0153】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0154】
〔比較例1C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(γ-アルミナを100wt%含み、最確孔径が10.2nmである)1Lを、Pdを3.00g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が3.00g/Lである)が得られる。
【0155】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0156】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0157】
〔比較例2C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(δ-アルミナを70wt%、γ-アルミナを30wt%含み、最確孔径が18.6nmである)1Lを、Pdを3.00g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が3.00g/Lである)が得られる。
【0158】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0159】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0160】
〔比較例3C〕
1、触媒の調製
円筒状のアルミナ担体(α-アルミナを100wt%含み、最確孔径が131.7nmである)1Lを、Pdを3.00g含み塩酸でpH=3.2に調節された塩化パラジウム水溶液500mLに混合し、80℃にて4時間乾燥し、450℃で4時間焼成することによって、所望の触媒(Pdの含有量が3.00g/Lである)が得られる。
【0161】
2、触媒の評価
触媒の評価方法は実施例1Cを参照。
【0162】
比較しやすくするために、触媒の組成及び評価結果を表3に示す。
【0163】
【表3】
【0164】
以上は、いくつかの実施例を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から離脱することなく種々の変更を行うことができ、また等価物でそのうちの要素を置き換えることができる。特に、構造上に矛盾がなければ、本発明に開示された各実施例での各特徴はいずれも任意の方式によって相互に結合して用いることができ、本明細書においてこれらの組み合わせの様態の全てを記載しなかったのは、あくまでも文面の省略や資源の節約に対する考慮によるものである。したがって、本発明は明細書に開示された具体的な実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の全ての技術方案に入っている。