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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】光透過性樹脂シート
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220921BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20220921BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20220921BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20220921BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G03B21/62
G02B5/02 B
C08J7/04 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018129406
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020008712
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 翔平
(72)【発明者】
【氏名】新井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 弘樹
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-096380(JP,A)
【文献】特開2016-081817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265072(US,A1)
【文献】特開2014-132127(JP,A)
【文献】特開2013-177714(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1680627(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G03B 21/62
G02B 5/02
C08J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に皮革調絞を有する樹脂層からなり、生地を積層していない光透過性樹脂シートであって、
樹脂層の厚み(t1)は、0.05~3.00mmであり、
樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合は、[(t2)/(t1)]×100=0.47~38.82(%)であることを特徴とする光透過性樹脂シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、入力側から少なくとも表皮材と透明導電基材が順に積層された光透過型導電積層体が提案されている。この光透過型導電積層体は、例えば車載用タッチスイッチの表面を覆うように光透過型導電積層体を用いると、スイッチを使用しないときには、表皮材にスイッチが隠れているためデザイン性が良好であり、一方で表皮材表面に触れるなどの動作を行うと、スイッチ背面から光が投影されて、表示部が浮かび上がりスイッチとして機能する。
【0003】
一方で、自動車の内装品は、商品の差別化やユーザーの嗜好の多様化に対応するため、より新しい内装品の表面加飾技術が求められている。
例えば、カーナビゲーションやオーディオなどの液晶ディスプレイに対して、その液晶ディスプレイの表面を加飾する技術の要望があり、具体的には、液晶ディスプレイを使用しないときには、皮革調シートの外観を呈し、液晶ディスプレイを使用するときには、液晶ディスプレイに映し出された静止画や動画などの映像を人が認識できる程度に視認できる技術が求められている。
そこで、特許文献1記載の光透過型導電積層体を、例えば液晶ディスプレイの表面を覆うように設けることが考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-165100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1記載の透過型導電積層体における表皮材には、織物、編物、不織布などの生地が含まれているため、バックライトなどの光の投影性が悪くなり、例えば液晶ディスプレイに映し出された静止画や動画などの映像について、透過型導電積層体を介して見ると、人が認識できる程度に視認できるものではなかった。
【0006】
また、液晶ディスプレイだけでなく、例えばプロジェクターにより映し出された静止画や動画などの映像についても、特許文献1記載の透過型導電積層体を介して見てみると、プロジェクター光の投影性が悪くなり、人が認識できる程度に視認できるものではなかった。
【0007】
そこで本発明は、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターを使用しないときには、皮革調の外観を呈し、液晶ディスプレイやプロジェクターを使用するときには、液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、人が認識できる程度に視認できる光透過性樹脂シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光透過性樹脂シートは、
表面に皮革調絞を有する樹脂層からなり、生地を積層していない光透過性樹脂シートであって、
樹脂層の厚み(t1)は、0.05~3.00mmであり、
樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合は、[(t2)/(t1)]×100=0.47~38.82(%)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光透過性樹脂シートは、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターを使用しないときには、皮革調の外観を呈し、液晶ディスプレイやプロジェクターを使用するときには、液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、人が認識できる程度に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例における視認性の評価方法を説明する図である。
図2】本発明の実施例における皮革調絞深さの測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について詳細に説明する。
本発明の光透過性樹脂シートは、
表面に皮革調絞を有する樹脂層からなり、
樹脂層の厚み(t1)は、0.05~3.00mmであり、
樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合は、[(t2)/(t1)]×100=0.47~38.82(%)であることを特徴とする。
【0012】
[光透過性樹脂シート]
本発明の光透過性樹脂シートは、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターを使用しないときには、皮革調の外観を呈し、液晶ディスプレイやプロジェクターを使用するときには、液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、人が認識できる程度に視認できる。
【0013】
[樹脂層]
本発明の光透過性樹脂シートは、表面に皮革調絞を有する樹脂層からなる。
ここで「皮革調絞を有する」とは、「天然皮革に似せた皺を有する」ものをいう。
表面に皮革調絞を有する樹脂層を得るためには、例えば絞模様を有する離型紙上に、樹脂をコーティングして、適宜、加熱乾燥を行った後、離型紙を剥離することにより樹脂層の表面に皮革調の絞模様を転写する方法、或いは樹脂層形成後、得られた樹脂層に対してエンボス加工することにより、樹脂層の表面に皮革調の絞模様を付与する方法が挙げられる。
【0014】
本発明の樹脂層の厚み(t1)は、0.05~3.00mmである。
そして、厚み(t2)が3.00mmを超えると、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、光透過性樹脂シートを介して見ると、人が認識できる程度に視認するのが難しくなる。
また、厚み(t1)が0.05mm未満であると、光透過性樹脂シートで隠蔽されている、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターなどが見えてしまい、皮革調の外観を損ねてしまう。
【0015】
本発明の樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合は、[(t2)/(t1)]×100=0.47~38.82(%)である。
そして、樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合において、38.82(%)を越えると、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、光透過性樹脂シートを介して見ると、人が認識できる程度に視認するのが難しくなる。
また、樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合において、0.47未満であると、皮革調の外観を損ねてしまう虞がある。
【0016】
本発明の樹脂層を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂などが好ましい。
樹脂層を構成する樹脂として、塩化ビニル樹脂を採用した場合、樹脂層の厚み(t1)は、0.10~3.00mmとするのがよい。
また、樹脂層を構成する樹脂として、ウレタン樹脂を採用した場合、樹脂層の厚み(t1)は、0.05~0.12mmとするのがよい。
【0017】
(塩化ビニル樹脂)
塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニル,塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体,あるいはこれら樹脂のブレンドが使用できる。
また、上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン,プロピレン,酢酸ビニル,塩化ビニリデン,アクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル,マレイン酸,フマル酸アクリロニトリルなどが挙げられる。このような塩化ビニル系樹脂には可塑剤として、ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレート,ジオクチルフタレート,ジドデシルフタレート,ブチルベンジルフタレート,ジイソデシルフタレート,ジヘキシルフタレート,ジイソノニルフタレート,ジオクチルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジブチルセバケート,ジオクチルセバケート,トリブチルフォスフェート,トリクレジルフォスフェート,トリフェニルフォスフェート,トリクロルエチルフォスフェート,トリオクチルフォスフェート,ジフェニルクレジルフォスフェートが挙げられる。
また、塩化ビニル樹脂以外に、例えばトリメリット酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤などの可塑剤が、単独で又は複数混合して配合されてもよい。
これら可塑剤の配合割合は、可塑剤の種類に応じて適宜最適な割合が選定されるが、塩化ビニル樹脂100重量部に対して可塑剤50~90重量部、好ましくは60~80重量部程度とするのがよい。
なお、塩化ビニル樹脂と可塑剤の他に、必要に応じて顔料などの着色剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤などの添加剤を適量添加したものであってもよい。
【0018】
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂としては、1液型及び2液型のいずれでもよい。
1液型の場合、ポリエステル系芳香族イソシアネートウレタン、ポリエーテル系芳香族イソシアネートウレタン、ポリカーボネート系芳香族ウレタン、ポリエステル系脂肪族イソシアネートウレタン、ポリエーテル系脂肪族ウレタン、ポリカーボネート系脂肪族イソシアネートウレタンなどを用いることができる。
加えて、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物などの架橋剤、シランカップリング剤、有機溶剤などを含有することができる。
【0019】
また、2液型の場合、例えば、ポリオールを含む第1液と、イソシアネート化合物や、カルボジイミド化合物を含む第2液とからなるものとすることができる。第1液及び第2液のいずれか一方又は両方は、シランカップリング剤、有機溶剤、水溶媒などを含有することができる。
【0020】
第1液に含まれるポリオールは、ヒドロキシ基を2個以上有するものであれば、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオールなどを、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,2,5-ヘキサントリオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ポリオキシテトラメチレンオキサイドなどから選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオールなどが挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、その他の低分子ポリオールなどから選ばれる少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の低分子脂肪族カルボン酸やオリゴマー酸などから選ばれる少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体が挙げられる。
【0023】
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどの低分子ポリオールが挙げられる。
【0024】
また、第2液に含まれるポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上有するものであれば、特に制限されず、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、ω,ω′-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン(TMP)及びトリレンジイソシアネート(TDI)のアダクト体、TMP及び4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)のアダクト体、TMP及びHDIのアダクト体、TMP及びIPDIのアダクト体、HMDIの三量体などの、低分子量のポリイソシアネート;、ポリオールと低分子量のポリイソシアネートとを、ヒドロキシ基に対してイソシアネート基が過剰となるように反応させることにより得られた反応生成物であるウレタンプレポリマーなどを、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、ポリオールやポリイソシアネートの他に、必要に応じて顔料などの着色剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤などの添加剤を適量添加したものであってもよい。
【0025】
本発明の光透過性樹脂シートは、織布、編布、不織布などの生地を積層させてはならない。その理由は、光の透過性が悪くなり、例えば液晶ディスプレイやプロジェクターを使用するときには、液晶ディスプレイやプロジェクターに映し出された静止画や動画などの映像について、人が認識できる程度に視認できなくなるためである。
【0026】
本発明の光透過性樹脂シートにおいて、皮革調絞を有する樹脂層の表面に、触感や摩耗性向上のために表面処理層を設けてもよい。また、必要に応じて、プライマー層を介して表面処理層を設けてもよい。
【0027】
[製造方法]
(光透過性樹脂シート)
本発明の光透過性樹脂シートは、例えばキャスティング法、カレンダー法によって製造することができる。また、得られた光透過性樹脂シートに、必要に応じて表面処理を行ってもよい。
【0028】
(キャスティング法)
キャスティング法とは、離型紙上に、樹脂層形成用樹脂塗工液をコーティングし、適宜、加熱乾燥して樹脂層を形成する。
次に、適宜、加熱乾燥した後、離型紙を剥離して、表面に皮革調絞を有する樹脂層からなる光透過性樹脂シートを得る方法。
【0029】
(カレンダー法)
カレンダー法とは、カレンダー成型機にて指定厚みとなるように樹脂層を形成する。
次に、得られた樹脂層を、エンボスロールに通して、表面に皮革調絞を有する樹脂層からなる光透過性樹脂シートを得る方法。
【0030】
(表面処理)
得られた光透過性樹脂シートの皮革調絞を有する表面上に、表面処理層用塗布液をコーティングし、適宜、加熱乾燥させて表面処理層を設けてもよい。
また、プライマー層を介して、表面処理層を設けてもよい。
具体的には、光透過性樹脂シート上に、プライマー層用塗布液をコーティングし、適宜、加熱乾燥させて、プライマー層を形成する。
次に、得られたプライマー層上に、表面処理層用塗布液をコーティングし、適宜、加熱乾燥させて、表面処理層を設けてもよい。
なお、表面処理層やプライマー層を形成する際、例えばリバースコーター、グラビアコーターなどのコーターを用いて、コーティングすることができる。
【0031】
本発明の光透過性樹脂シートは、例えば特開2002-67137号公報に記載されているような装置を用いてTOM(Three dimension Overlay Method)成型を行ってもよい。
そして、TOM成型する際、芯材(成型品)との密着性を向上させる目的で、本発明の光透過性樹脂シートにおける、芯材(成型品)と接触する側に、接着剤層や粘着剤層を設けてもよい。具体的には、本発明の光透過性樹脂シートに、接着剤や粘着剤をコーティングして接着剤層や粘着剤層を設けてもよいし、或いは接着フィルムや粘着フィルムを貼り合わせてもよい。
また、特開2002-67137号公報の図6に記載されているように、本発明の光透過性樹脂シートを芯材により一層密着させるために、圧空タンクにより上成型室内に圧縮空気を供給してもよいし、加熱された圧縮空気を上成型室内に供給してもよい。
【実施例
【0032】
[実施例1]
(光透過性樹脂シートの製造)
塩化ビニル樹脂 (新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST PQHPN)100質量部に対し、可塑剤(シージーエスター(株)製、商品名:PL-200(フタル酸ジアルキル(C9~C11))60質量部、着色剤(富士色素(株)製、商品名:FT54(カーボンブラック含有量20%))1.00質量部を添加し、混合攪拌脱泡してペースト混合液を得た。
そして、得られたペースト混合液を、離型紙(大日本印刷(株)製、商品名:DE-73)上に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.05mmとなるように塗布し、温度200℃で2分間加熱してゲル化(樹脂化)を行い、樹脂層を形成した。
次に、冷却後、離型紙を剥離させ、光透過性樹脂シートを得た。
【0033】
[実施例2]
着色剤を2.60質量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0034】
[実施例3]
着色剤を5.00質量部とした以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0035】
[実施例4]
着色剤を0.28質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.18mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0036】
[実施例5]
着色剤を0.72質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.18mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0037】
[実施例6]
着色剤を1.39質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.18mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0038】
[実施例7]
着色剤を0.14質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.35mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0039】
[実施例8]
着色剤を0.37質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.35mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0040】
[実施例9]
着色剤を0.71質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.35mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0041】
[実施例10]
着色剤を0.10質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0042】
[実施例11]
着色剤を0.26質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0043】
[実施例12]
着色剤を0.50質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0044】
[実施例13]
着色剤を0.07質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.70mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0045】
[実施例14]
着色剤を0.19質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.70mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0046】
[実施例15]
着色剤を0.36質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.70mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0047】
[実施例16]
着色剤を0.05質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が1.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0048】
[実施例17]
着色剤を0.13質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が1.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0049】
[実施例18]
着色剤を0.25質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が1.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0050】
[実施例19]
着色剤を0.02質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が3.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0051】
[実施例20]
着色剤を0.04質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が3.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0052】
[実施例21]
着色剤を0.08質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が3.00mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0053】
[比較例1]
着色剤を2.50質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.02mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0054】
[比較例2]
着色剤を6.50質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.02mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0055】
[比較例3]
着色剤を12.50質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.02mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0056】
[比較例4]
着色剤を0.01質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が4.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0057】
[比較例5]
着色剤を0.03質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が4.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0058】
[比較例6]
着色剤を0.05質量部とすると共に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が4.50mmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様の方法にて光透過性樹脂シートを得た。
【0059】
[比較例7]
塩化ビニル樹脂 (新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST PQHPN)100質量部に対し、可塑剤(シージーエスター(株)製、商品名:PL-200(フタル酸ジアルキル(C9~C11))60質量部、着色剤(富士色素(株)製、商品名:FT54(カーボンブラック含有量20%))1.00質量部を添加し、混合攪拌脱泡してペースト混合液を得た。
そして、得られたペースト混合液を、離型紙(大日本印刷(株)製、商品名:DE-73)上に、乾燥厚み(樹脂層の厚み(t1))が0.50mmとなるように塗布し、温度200℃で2分間加熱してゲル化(樹脂化)を行い、樹脂層を形成した。
次に、得られた樹脂層上に、接着剤層用のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日精化工業(株)製、商品名:セイカボンドV-519UP)を、乾燥厚みが50μmとなるように塗布し、直後に基布であるメリヤス生地を貼り合わせ、温度120℃で2分間加熱し、積層体を得た。
次に、冷却後、離型紙を剥離させ、光透過性樹脂シートを得た。
【0060】
(評価方法、評価基準について)
実施例1~21、および比較例1~7の光透過性樹脂シートに対して、樹脂層の厚み(t1)、皮革調絞深さ(t2)、絞割合、透過率、視認性、皮革調外観の評価を行い、その結果を表1に示す。なお、評価方法、評価基準は以下の通りである。
【0061】
[樹脂層の厚み(t1)]
得られた光透過性樹脂シートについて、((株)尾崎製作所製、商品名:R1-205)を用いて、厚み(t1)を測定した。
【0062】
[皮革調絞深さ(t2)]
得られた光透過性樹脂シートから縦20cm×横15cmの試験片を作成し、図2に示す試験片における1~9の各数字箇所において、表面粗さ計((株)ミツトヨ製、商品名:SJ-4000)を用いて、皮革調絞深さ(t2)を測定した。なお、測定条件は、走査距離:40mm、走査速度:1.0mm/sとした。
その結果、実施例1~21および比較例1~7の光透過性樹脂シートにおいて、皮革調絞深さ(t2)の最小値は14.26μmであり、最大値は19.41μmであった。
よって、皮革調絞深さ(t2)は、14.26~19.41μmという範囲とした。
【0063】
[絞割合(%)]
上記測定で得た「樹脂層の厚み(t1)」と「絞深さ(t2)」を用いて、「樹脂層の厚み(t1)」に対する「皮革調絞の深さ(t2)」の「絞割合」を、[(t2)/(t1)]×100の式で算出した。なお、「絞深さ(t2)」については、最小値と最大値それぞれを用いて、算出した。
例えば、実施例1~3の場合、「樹脂層の厚み(t1)=0.05mm(50μm)」と「絞深さ(t2)の最小値=14.26μm」を用いて、[絞深さ(t2)/樹脂層の厚み(t1)]×100=[14.26/50]×100=28.52(%)。
続いて、「樹脂層の厚み(t1)=0.05mm(50μm)」と「絞深さ(t2)の最大値=19.41μm」を用いて、[絞深さ(t2)/樹脂層の厚み(t1)]×100=[19.41/50]×100=38.82(%)。
よって、樹脂層の厚み(t1)に対する皮革調絞の深さ(t2)の絞割合は、28.52~38.82(%)という範囲であった。
また、実施例4~21および比較例1~7についても、同様の求め方で絞割合を算出した。
【0064】
[透過率]
得られた光透過性樹脂シートについて、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製、商品名:H2-V3)を用いて、全光線透過率を測定した。なお、光透過性樹脂シートの皮革調絞が形成されていない面側から光が入射する条件で測定を行った。
【0065】
[視認性]
先ず、図1(A)に示すように、プロジェクター(加賀電子(株)製のTAXAN KG-PL021X:300ルーメン)の焦点距離(34cm)に、得られた光透過性樹脂シートを固定する。
次に、図1(B)に示すように、プロジェクターから、背景:橙(R,G,B=255,192,0)、文字:黄緑(R,G,B=146,208,80)に調整した、5段階のサイズ毎の「B」と「E」の文字(
文字フォント:Arial、文字サイズ:15、20、22、25、30ポイント、スクリーン上の文字サイズ:5mm、5.5mm、6mm、7mm、8mm)を、光透過性樹脂シート上に投影する。
次に、図1(A)に示すように、光透過性樹脂シートから1m離れた位置から観測者が、文字の視認性を目視で評価した。
(評価基準)
・5:文字サイズ15で、「B」と「E」の文字を判別が付く
・4:文字サイズ20で、「B」と「E」の文字を判別が付く
・3:文字サイズ22で、「B」と「E」の文字を判別が付く
・2:文字サイズ25で、「B」と「E」の文字を判別が付く
・1:文字サイズ30で、「B」と「E」の文字を判別が付く
【0066】
[皮革調外観]
先ず、図1(A)に示すように、プロジェクター(加賀電子(株)製のTAXAN KG-PL021X:300ルーメン)の焦点距離(34cm)に、得られた光透過性樹脂シートを固定する。
次に、図1(A)に示すように、光透過性樹脂シートから1m離れた位置から観測者が、得られた光透過性樹脂シートの外観を目視で評価した。なお、プロジェクターを使用しない、すなわち、プロジェクター光による投影なしの状態で光透過性樹脂シートの外観を目視で評価した。
(評価基準)
○:プロジェクターを隠蔽し、かつ、皮革調の外観を呈していた。
×:プロジェクターを隠蔽できず、または、皮革調の外観を損ねていた。
【0067】
【表1】
【0068】
実施例1~21の光透過性樹脂シートは、視認性の評価が4以上であると共に、皮革調外観にも優れる結果であった。
比較例1~3の各シートは、各シート(樹脂層)の厚み(t1)が薄い上に絞割合が高過ぎ、その結果、視認性の評価が1~3で劣ると共に、プロジェクターを使用しない、すなわち、プロジェクター光による投影なしの状態において、各シートがプロジェクターを隠蔽できず、結果、皮革調の外観を損ねていた。
比較例4~6の各シートは、各シート(樹脂層)の厚み(t1)が厚い上に絞割合が低く過ぎ、均一な厚みの各シート(樹脂層)が得られなかったため、結果、視認性の評価が1~3で劣ると共に、皮革調の外観を損ねていた。
比較例7のシートは、皮革調の外観は呈していたが、視認性の評価が1で劣るものであった。
図1
図2