(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】金属被覆構造
(51)【国際特許分類】
B32B 15/095 20060101AFI20220921BHJP
C09D 5/18 20060101ALI20220921BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220921BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220921BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20220921BHJP
C09K 21/04 20060101ALI20220921BHJP
C09K 21/12 20060101ALI20220921BHJP
E04B 1/78 20060101ALI20220921BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B32B15/095
C09D5/18
C09D7/61
C09D7/63
C09D175/04
C09K21/04
C09K21/12
E04B1/78 Z
E04B1/94 T
(21)【出願番号】P 2018162893
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】510114125
【氏名又は名称】株式会社エフコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明
(72)【発明者】
【氏名】天野 良太郎
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321882(JP,A)
【文献】特表2016-532768(JP,A)
【文献】特表2010-535896(JP,A)
【文献】特開2008-285804(JP,A)
【文献】特開2004-254407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 9/00-9/42
C09D 1/00-201/10
C09K 21/00-21/14
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材に、被覆材から形成される被覆材層が積層された金属被覆構造であって、
該被覆材が、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、及びポリイソシアネート化合物を含むウレタン断熱材であり、
該難燃剤が、
リン酸エステル及びホスフィン酸塩化合物を含
み、
リン酸エステルとホスフィン酸塩化合物の混合比率(重量比)は、85:15~60:40である、
こと特徴とする金属被覆構造。
【請求項2】
前記リン酸エステルは、前記ポリオール化合物100重量部に対して、30重量部以上900重量部以下、
前記ホスフィン酸塩化合物は、前記ポリオール化合物100重量部に対して、10重量部以上200重量部以下、
であることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆構造。
【請求項3】
前記ホスフィン酸塩化合物は、アルキルホスフィン酸金属塩化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属被覆構造。
【請求項4】
前記被覆材は、さらに、エチレン性不飽和二重結合含有化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な金属被覆構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物、土木構築物等の構造物が火災等によって高温に晒された場合には、これら構造物を構成する鉄骨等の金属部材の物理的強度が急激に低下するという問題がある。これに対し、金属部材に被覆材を施し、火災時の金属部材の温度上昇を遅延させて、金属部材の物理的強度の低下を抑制する被覆構造が知られている。
このような被覆材としては、例えば、発泡性耐火塗料等が挙げられ、火災等の温度上昇に伴い塗膜が発泡し、炭素化して多孔質の炭化断熱層を形成し、火災時の金属部材の温度上昇を遅延させて、金属部材の物理的強度の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、金属部材の被覆として、従来技術と異なる視点からアプローチしたものであり、新規な金属被覆構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、難燃剤としてホスフィン酸塩化合物を用いたウレタン断熱材が、金属部材の耐熱保護性に優れていることを見出し、本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.金属部材に、被覆材から形成される被覆材層が積層された金属被覆構造であって、
該被覆材が、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、及びポリイソシアネート化合物を含むウレタン断熱材であり、
該難燃剤が、リン酸エステル及びホスフィン酸塩化合物を含み、
リン酸エステルとホスフィン酸塩化合物の混合比率(重量比)は、85:15~60:40である、
こと特徴とする金属被覆構造。
2.前記リン酸エステルは、前記ポリオール化合物100重量部に対して、30重量部以上900重量部以下、
前記ホスフィン酸塩化合物は、前記ポリオール化合物100重量部に対して、10重量部以上200重量部以下、
であることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆構造。
3.前記ホスフィン酸塩化合物は、アルキルホスフィン酸金属塩化合物を含むことを特徴とする1.に記載の金属被覆構造。
4.前記被覆材は、さらに、エチレン性不飽和二重結合含有化合物を含むことを特徴とする1.に記載の金属被覆構造。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属被覆構造は、軽量かつ耐熱保護性に優れ、既に断熱層が形成されているため日中や夏期の温度上昇、夜間や冬期の温度低下も緩和し、金属部材を長期に亘って保護することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
本発明の被覆構造は、金属部材に、被覆材から形成される被覆材層が積層されたものである。
【0010】
適用できる金属部材としては、公知のものであれば特に限定されず、例えば、角型鋼管、丸型鋼管、角鋼、丸鋼、H型鋼、I型鋼、平型鋼板、波型鋼板等が挙げられる。なお、金属部材は、防錆処理を施したものを使用することもできる。
【0011】
被覆材としては、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤及びポリイソシアネート化合物を含むウレタン断熱材を使用する。
【0012】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0013】
このうち、ポリエステルポリオールとしては、例えば、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、芳香族/脂肪族ポリエステルポリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
具体的に、芳香族ポリエステルポリオールは、1分子中に芳香族炭化水素を有するポリオールのことで、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等の芳香族多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、ポリエチレンテレフタレート等のフタル酸系ポリエステル成形物を分解して得られるフタル酸系ポリエステルポリオール等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、2価以上のアルコール類及びその誘導体、2価以上のフェノール類、ポリオール類等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルポリオールは、1分子中に脂肪族炭化水素を有するポリオールのことで、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール等が挙げられる。
芳香族/脂肪族ポリエステルポリオールは、1分子中に脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を有するポリオールのことで、芳香族多塩基酸及び脂肪族多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール等が挙げられる。
本発明では、ポリオール化合物としてポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、芳香族ポリエーテルポリオール、リン含有ポリエーテルポリオール、グリセリン系ポリエーテルポリオール、アミノ基含有ポリエーテルポリオール等が挙げられる。具体的に、芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ビスフェノールAを開始剤としてアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を付加することで得られるビスフェノールA型ポリエーテルポリオール、芳香族アミン(例えば、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、p-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、トリエタノールアミン、マンニッヒ縮合物等)を開始剤としてアルキレンオキサイドを付加することで得られる芳香族アミン系ポリエーテルポリオール等が挙げられる。リン含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、リン酸エステル構造を有するジオールであるジアルキル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート等が挙げられる。グリセリン系ポリエーテルポリオールとしては、グリセリンを開始剤としてアルキレンオキサイドを付加することで得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。アミノ基含有ポリエーテルポリオールとしては、例えば、低分子量アミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン等)を開始剤としてアルキレンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。
【0015】
本発明におけるポリオール化合物の水酸基価は、特に限定されないが、50mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましい。
なお水酸基価は、試料1gに含まれる水酸基と等モルの水酸化カリウムのmg数によって表される値であり、JIS K 1557-1:2007 プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第1部:水酸基価の求め方に基づいて測定した値である。ポリオール化合物の水酸基価とは、全てのポリオール化合物の混合物で測定した値である。
【0016】
発泡剤としては、例えば、ハイドロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、水、液化炭酸ガス等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0017】
このうち、ハイドロカーボンとしては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等が挙げられる。ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)としては、例えば、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141B)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142B)、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)等が挙げられる。ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等が挙げられる。
【0018】
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、例えば、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye)等のペンタフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)等のテトラフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO1243zf)等のトリフルオロプロペン、テトラフルオロブテン(HFO1345)、ペンタフルオロブテン(HFO1354)、ヘキサフルオロブテン(HFO1336)、ヘプタフルオロブテン(HFO1327)、ヘプタフルオロペンテン(HFO1447)、オクタフルオロペンテン(HFO1438)、ノナフルオロペンテン(HFO1429)等、あるいはこれらの異性体(シス体、トランス体)等が挙げられる。ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)としては、例えば、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、ジクロロトリフルオロプロペン(HCFO1223)等、あるいはこれらの異性体(シス体、トランス体)等が挙げられる。
本発明における発泡剤としては、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、水から選ばれる1種または2種以上が好適であり、例えばハイドロフルオロオレフィンと水、ハイドロクロロフルオロオレフィンと水、ハイドロフルオロオレフィンとハイドロクロロフルオロオレフィンと水等、各発泡剤を組み合わせて使用することができる。
【0019】
発泡剤の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上200重量部以下、より好ましくは20重量部以上180重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上150重量部以下である。
【0020】
触媒としては、特に限定されないが、例えば、ヌレート化触媒、樹脂化触媒、泡化触媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0021】
ヌレート化触媒としては、イソシアヌレート化に有効な触媒であれば、特に限定されず、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドまたはその有機酸塩(有機酸として、例えば、酢酸、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、オクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、ミリスチン酸、乳酸等)、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のトリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドまたはその有機酸塩(有機酸として、例えば、酢酸、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、オクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、ミリスチン酸、乳酸等)、アルキルカルボン酸(例えば、酢酸、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、オクチル酸(2-エチルヘキサン酸)、ミリスチン酸、乳酸等)の金属塩、アルミニウムアセチルアセトン、リチウムアセチルアセトン等のβ-ジケトンの金属キレート化合物、塩化アルミニウム、三フッ化硼素等のフリーデル・クラフツ触媒、チタンテトラブチレート、トリブチルアンチモン酸化物等の有機金属化合物、ヘキサメチルシラザン等のアミノシリル基含有化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0022】
樹脂化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の3級アミンまたはその有機酸塩、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)、ビスマストリス(ネオデカノエート)、ビスマストリス(パルミテート)、ビスマステトラメチルヘプタンジオエート、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の有機金属、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール、または、N-メチル-N′-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチルピペラジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0023】
泡化触媒としては、例えば、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-N’’-(2-ヒドロキシルエチル)トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-(2-ヒドロキシルプロピル)トリエチレンジアミン等の3級アミンまたはその有機酸塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0024】
触媒の混合量はポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上50重量部以下、より好ましくは5重量部以上48重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上45重量部以下、最も好ましくは20重量部以上40重量部以下である。なお触媒に活性水素含有成分が含まれる場合、触媒に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。
本発明では特に、ヌレート化触媒とともに、樹脂化触媒及び/または泡化触媒を含むことが好ましく、施工性とともにウレタン断熱材形成性等に有利である。なお触媒に活性水素含有成分が含まれる場合、触媒に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。
【0025】
難燃剤としては、ホスフィン酸塩化合物を含むことを特徴とする。ホスフィン酸塩化合物を含むことにより、金属部材の耐熱保護性を付与することができる。
【0026】
ホスフィン酸塩化合物としては、例えば、ホスフィン酸ナトリウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸亜鉛、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
本発明では、特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等のアルキルホスフィン酸金属塩化合物を用いることが好ましく、この中でも特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウムから選ばれるトリス(アルキルホスフィン酸)アルミニウムが好適である。
【0027】
難燃剤として、上記ホスフィン酸塩化合物以外の難燃剤を含むこともできる。例えば、ハロゲン系難燃剤、有機臭素系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水和物系難燃剤、アンチモン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、シリコン系難燃剤等、また、リン酸エステル、ポリリン酸塩化合物、ハロゲン化ホスファゼン、赤燐、三塩化リン、五塩化リン等のリン系難燃剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0028】
具体的に、リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリスノニルフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2、3-ジブロモプロピル)-2、3-ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ハイドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェート、ジフェニル-4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート、ジフェニル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート等が挙げられる。
【0029】
ポリリン酸塩化合物としては例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メレム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メロン等が挙げられる。
【0030】
ハロゲン化ホスファゼンとしては、例えば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン、ヘキサブロモシクロトリホスファゼン、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン、オクタフルオロシクロテトラホスファゼン、デカフルオロシクロペンタホスファゼン、ドデカフルオロシクロヘキサホスファゼン、ヘキサメトキシシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、プロポキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ブトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等が挙げられる。
【0031】
本発明では、難燃剤の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、10重量部以上1000重量部以下(好ましくは30重量部以上600重量部以下、さらに好ましくは50重量部以上400重量部以下)含むことを特徴とする。
本発明では特に、難燃剤として、ホスフィン酸塩化合物を用いることが好ましく、より優れた耐熱保護性、さらに、施工性を示す。
さらに本発明では、リン酸エステルとホスフィン酸塩化合物を併用することが好ましい。リン酸エステルとホスフィン酸塩化合物を併用する場合、ポリオール化合物100重量部に対して、リン酸エステルは30重量部以上900重量部以下(好ましくは40重量部以上600重量部以下、さらに好ましくは50重量部以上400重量部以下)、ホスフィン酸塩化合物は10重量部以上200重量部以下(より好ましくは20重量部以上120重量部以下、さらに好ましくは25重量部以上100重量部以下、最も好ましくは30重量部以上70重量部以下)であることが好ましい。また、リン酸エステルとホスフィン酸塩化合物の混合比率(重量比)は、リン酸エステル:ホスフィン酸塩化合物比率で、90:10~50:50、さらには85:15~55:45、さらには80:20~60:40であることが好ましい。このような範囲であることにより、耐熱保護性、施工性をより向上させることができる。
【0032】
ポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知の各種ポリイソシアネート化合物が使用できる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が挙げられる。本発明では、取扱の容易性、反応の速さ、得られるウレタン断熱材の物理特性、コスト面での優位性等の点から、MDIが好ましい。MDIとしては、例えば、モノメリックMDI、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)等が挙げられる。
【0033】
また、イソシアネート指数が250以上500以下(さらには280以上480以下、さらには300以上450以下)であることが好ましい。
このような範囲で上記ポリオール化合物と上記ポリイソシアネート化合物等を混合することにより、優れた耐火性を得ることができる。なお、イソシアネート指数とは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量数を、活性水素含有成分(ポリオール化合物、及び水等)の活性水素の総当量数で除した数値の100倍で表されるものである。
【0034】
本発明のウレタン断熱材では、上述の成分に加え、整泡剤を含むことができる。整泡剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン化合物等のシリコーン系整泡剤や、含フッ素化合物系整泡剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサンとポリオキシエチレングリコールまたはポリオキシエチレン-プロピレングリコールとのグラフト共重合体等が挙げられる。整泡剤の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上40重量部以下、より好ましくは0.5重量部以上30重量部以下である。
【0035】
また本発明のウレタン断熱材は、上述の成分に加え、エチレン性不飽和二重結合含有化合物を含むことができる。エチレン性不飽和二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基等が挙げられる。本発明では、このようなエチレン性不飽和二重結合含有化合物の使用により、耐火性、貯蔵安定性、施工性等を一層高めることができる。
【0036】
エチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、上述の効果等の点から、1分子中のエチレン性不飽和二重結合濃度が0.5mmol/g以上20mmol/gであるものが好ましく、5mmol/g以上15mmol/g以下であるものがより好ましい。なお、分子中のエチレン性不飽和二重結合濃度は、分子内のエチレン性不飽和二重結合のモル数で表されるものであり、分子内のエチレン性不飽和二重結合の数を分子量で除した数値の1000倍(mmol/g)で表わされるものである。
【0037】
エチレン性不飽和二重結合含有化合物の具体例としては、例えば、多価アルコール(例えば2価以上のアルコール類及びその誘導体、2価以上のフェノール類、ポリオール類等)と不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸等)との反応物、アミン(例えば、2価以上のアミン類、アルカノールアミン類等)と不飽和カルボン酸との反応物、チオールの不飽和カルボン酸チオエステルまたは不飽和アルキルチオエーテル、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物と不飽和カルボン酸との反応物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0038】
このうち、多価アルコールと不飽和カルボン酸との反応物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0040】
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、アルキレンオキシド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
エチレン性不飽和二重結合含有化合物の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部以上100重量部以下、より好ましくは5重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下である。なおエチレン性不飽和二重結合含有化合物に複数の水酸基が含まれる場合は、ポリオール化合物とみなす。またエチレン性不飽和二重結合含有化合物に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。
【0042】
本発明のウレタン断熱材には、上記成分の他に、例えば、着色剤、界面活性剤、重合禁止剤、繊維等を混合することができる。
着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤は、貯蔵安定性、分散安定性を付与することができる。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン系重合禁止剤、ベンゾキノン系重合禁止剤、カテコール系重合禁止剤、ピペリジン系重合禁止剤等が挙げられる。このような重合禁止剤は、長期貯蔵安定性を付与するとともに、ポリオール製造過程で添加した場合は、製造安定性にも寄与する。
繊維としては、例えば、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、木材繊維、ポリアミド繊維等の有機繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維等の無機繊維等が挙げられる。このような繊維は、施工性、ウレタン断熱材形成性、寸法安定性等を付与することができる。本発明では、繊維を用いなくてもよいが、繊維を混合した場合は、少量の繊維で効果を発揮することができる。
【0043】
本発明の被覆構造は、上記金属部材に、上記ウレタン断熱材を塗付して被覆材層を積層することができる。
【0044】
ウレタン断熱材は、例えば、流通時に2液型の形態としておき、使用時に混合して使用することが好ましい。このような2液型の形態においては、例えば、第1液が、ポリオール化合物(発泡剤、触媒、及び難燃剤)を含む形態、第2液がポリイソシアネート化合物を含む形態とすることができる。
【0045】
上記第1液の粘度は、第1液の貯蔵安定性、ハンドリング性、ウレタン断熱材形成時の施工性等の点より、好ましくは20mPa・s以上500mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以上350mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以上250mPa・s以下である。なお、粘度は、温度20℃において、BH型粘度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)である。このような粘度であることにより、貯蔵安定性を十分に確保しつつ、比較的低い粘度に設定できる。これにより、施工時の撹拌作業等が軽減され、ハンドリング性、施工性、ポリイソシアネート化合物との混和性等においても有利な効果が得られる。
また上記第2液の粘度は、好ましくは20mPa・s以上500mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以上350mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以上250mPa・s以下である。
【0046】
ウレタン断熱材を金属部材に塗付する際には、例えば、吹付け工事用のスプレー発泡機等(例えば、二液先端混合型吹付け塗工機等)を使用して、上記第1液と第2液との混合物を吹付け施工すればよい。この場合、第1液、第2液は、それぞれ、20℃以上60℃以下、より好ましくは30℃以上50℃以下となるように温度設定しておくことが好ましい。このように所定温度に設定された第1液と第2液は、スプレーガン先端にて混合され、金属部材に向けて吹付けられ、金属部材上で被覆材層を形成する。吹付け環境としては、好ましくは5℃以上45℃以下で施工することができる。
第1液と第2液との混合は、体積比で1:1程度とすることが好ましい。このようなウレタン断熱材は、耐熱保護性において優れた性能を発揮することができ、耐火被覆材として使用することもできる。ウレタン断熱材による被覆材層の厚みは、特に限定されず、要求性能等に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上500mm以下程度である。
【0047】
本発明の効果を損なわない程度に、金属部材には、予め防錆処理やプライマー処理を施しておいてもよいし、ウレタン断熱材表面には、着色処理を施してもよい。また、ウレタン断熱材の片面あるいは両面には耐火発泡塗料、耐火発泡シート等が積層されていてもよい。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0049】
第1液として、表1に示す重量割合にて下記原料を均一に混合したポリオール組成物を用意した。第2液として、ポリメリックMDIからなるものを用意した。
・ポリオール化合物1:芳香族ポリエステルポリオール(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、粘度1900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:250mgKOH/g)
・ポリオール化合物2:芳香族/脂肪族ポリエステルポリオール(フタル酸/アジピン酸系ポリエステルポリオール、粘度900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:350mgKOH/g)
・ポリオール化合物3:脂肪族ポリエステルポリオール(フマル酸系ポリエステルポリオール、粘度6000mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:150mgKOH/g)
・発泡剤1:ハイドロクロロフルオロオレフィン
・発泡剤2:水(水酸基価:6233mgKOH/g)
・触媒1:ヌレート化触媒(2-エチルヘキサン酸テトラアルキルアンモニウムのグリコール溶液)
・触媒2:樹脂化触媒(オクチル酸ビスマスのオクチル酸溶液)
・難燃剤1:ホスフィン酸塩化合物(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、平均粒径4μm、密度1.35g/cm3)
・難燃剤2:ホスフィン酸塩化合物(ホスフィン酸ナトリウム、平均粒径8μm、密度1.39g/cm3)
・難燃剤3:有機リン酸エステル化合物(トリス(クロロプロピル)ホスフェート、密度1.29g/cm3)
・二重結合化合物1:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度10mmol/g、水酸基価:0mgKOH/g)
・整泡剤:シリコーン系整泡剤
【0050】
(実施例1~9、比較例1)
第1液、第2液をそれぞれ40℃に加温し、これらを表1に示すイソシアネート指数となるように混合し、得られた混合液を、5℃雰囲気下で平型鋼板(300mm×300mm、厚み6mm)にスプレーガンで吹き付け、発泡させて、基材の片面全体がフォームで被覆された試験体(厚み50mm)を得た。得られた試験体について下記の方法で各試験を実施した。結果は表1に示す。
【0051】
(1)フォーム形成性
形成されたフォームの状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎:均質なフォームが形成された。
○:ほぼ均質なフォームが形成された。
△:フォームに一部異常(脆化、不均一発泡、付着不良等)が認められた。
×:フォームに異常が認められた。
【0052】
(2)熱伝導率
試験体のフォーム部分を切り出し、熱伝導率計を用いて、熱伝導率を測定した。評価基準は以下のとおりである。
○:熱伝導率が0.03W/(m・K)以下
×:熱伝導率が0.03W/(m・K)超
【0053】
(3)耐熱保護性
第1液、第2液をそれぞれ40℃に加温し、これらを表1に示すイソシアネート指数となるように混合し、得られた混合液を、平型鋼板(300mm×300mm、厚み6mm)に吹付け、ウレタン断熱材による被覆材層を形成し、試験体を得た。被覆材層の厚みは60mmであった。得られた試験体について下記の方法で耐熱保護性試験を実施した。結果は表1に示す。
この試験体について、ISO834の標準加熱曲線に準じて60分の加熱試験を行い、60分後の試験体裏面の温度を熱電対にて測定し、評価した。評価結果は次のとおりである。結果は表1に示す。
◎:500℃未満
○:500℃以上、550℃未満
△:550℃以上、600℃未満
×:600℃以上
【0054】