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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】フライ用油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20220921BHJP
   A23D 9/013 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A23D9/00 506
A23D9/013
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018173801
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020043792
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛大
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-016052(JP,A)
【文献】特開2004-359784(JP,A)
【文献】特開平09-121765(JP,A)
【文献】特開2019-141007(JP,A)
【文献】特開2001-220595(JP,A)
【文献】特開平09-052865(JP,A)
【文献】特開2017-012167(JP,A)
【文献】国際公開第2004/016090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
A23L
C11C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル化率が75%以上であるジグリセリンオレイン酸エステルを0.05~0.5質量%含有することを特徴とするフライ用油脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライ食品の油ちょうに使用する油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コロッケ、カツレツ等、各種食品素材を食用油脂で油ちょうしてなるフライ食品は、高温の油脂を熱媒体とすることにより水分が急激に蒸発して得られるサクサクとしたクリスピーな食感が好まれている。しかし、一般にフライ食品は、油ちょうした直後は軽く、クリスピーな食感を呈していても、時間の経過とともに軟らかく、ふやけたような食感や、ゴムのような歯切れの悪い食感に変化してしまう傾向がある。
【0003】
フライ食品においてクリスピーな食感を維持する方法としては、例えば、フライ食品の油ちょうに使用する油脂組成物(フライ用油脂組成物)に各種の乳化剤を添加する方法が知られている。具体的には、例えば、動植物性油脂にジグリセリンモノ脂肪酸エステルを特定量添加する方法(特許文献1)、食用油脂に有機酸モノグリセリド及びポリグリセリン脂肪酸エステルを特定量溶解せしめる方法(特許文献2)、非芳香性油脂にHLBが6~11である乳化剤を特定量添加する方法(特許文献3)、食用油脂及び硬化油からなる油脂組成物に、構成脂肪酸として(A):炭素数が16~22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上、(B)炭素数が8~14の飽和脂肪酸及び炭素数が16~22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上を特定の比率で含有するポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法(特許文献4)等が提案されている。とりわけ、乳化剤として主構成脂肪酸がオレイン酸であるジグリセリンモノ脂肪酸エステル(即ち、ジグリセリンモノオレイン酸エステル)を添加した場合は、フライ食品のクリスピーな食感が長時間維持されるため好ましい。
【0004】
しかし、フライ用油脂組成物にジグリセリンモノオレイン酸エステルを添加した場合、乳化剤無添加の油脂を用いた場合に比べてフライ食品中に浸透する油脂分の量(言い換えれば、フライ食品の吸油量)が多くなる傾向があり、結果的に口当たりが油っぽくなる、摂取カロリーが高くなるなどの問題があった。そこで、このようなフライ食品の過剰な吸油による問題を生じさせずに、該フライ食品のクリスピーな食感を長時間維持できるフライ用油脂組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-131071号公報
【文献】特開平9-074999号公報
【文献】特開2004-313176号公報
【文献】特開2011-083229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フライ食品の油ちょうに使用することにより、該フライ食品の過剰な吸油を伴わず、該フライ食品のクリスピーな食感を長時間維持できるフライ用油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フライ用油脂組成物に対し、エステル化率が特定の範囲であるジグリセリンオレイン酸エステルを添加することにより、前記課題が解決されることを見出し、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、エステル化率が40%以上であるジグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とするフライ用油脂組成物からなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るフライ用油脂組成物を使用して油ちょうしたフライ食品は、油ちょう後時間が経ってもクリスピーな食感が維持される。
本発明に係るフライ用油脂組成物を使用してフライ食品を油ちょうした場合、従来のフライ用油脂組成物(例えば、乳化剤無添加の油脂)を使用した場合と比較して、得られるフライ食品の吸油量が多くなりにくい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るフライ用油脂組成物は、油脂中に、エステル化率が40%以上であるジグリセリンオレイン酸エステル(以下「本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステル」ともいう)を含有するものである。
【0011】
前記油脂は、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油、ハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード、魚油、乳脂等の動物油脂、これら動植物油脂に分別、水素添加、エステル交換等の処理を施した加工油脂、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる他、グリセリンジ脂肪酸エステル及びプロピレングリコールジ脂肪酸エステルもこれらに含まれる。これらの中でも、常温(15~25℃)で液状である植物油脂(例えば、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油、ハイオレイックヒマワリ油等)が好ましく、菜種油が特に好ましい。これら油脂は、いずれか1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明においてジグリセリンオレイン酸エステルとは、グリセリン2分子が縮合してなる化合物であるジグリセリンと脂肪酸とのエステルであるジグリセリン脂肪酸エステルのうち、該エステルの主構成脂肪酸が炭素数18の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸であるものをいう。
【0013】
ジグリセリン脂肪酸エステルの「主構成脂肪酸」とは、ジグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸100質量%中、通常60質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占める脂肪酸をいう。即ち、本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルは、該エステルを構成する脂肪酸100質量%中、60質量%以上をオレイン酸が占めていれば、残部にその他の脂肪酸を含んでいてもよい。
【0014】
本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルは、該エステルのエステル化率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。なお、従来フライ用油脂組成物に使用されているジグリセリンモノオレイン酸エステルは、エステル化率が25%前後のものである。
【0015】
ここで、ジグリセリンオレイン酸エステルのエステル化率(%)は、下記数式1により算出される。なお、下記式中のエステル価及び水酸基価は、「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.3.3-1996 エステル価]及び[2.3.6-1996 ヒドロキシル価]に準じて測定される。
【0016】
【数1】
【0017】
本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルの製造方法に特に制限はなく、エステル化反応等、自体公知の方法で製造することができる。例えば、その好ましい製造方法の概略は以下のとおりである。
【0018】
即ち、撹拌機、加熱用のジャケット、邪魔板等を備えた通常の反応容器にジグリセリンとオレイン酸とを仕込み、所望により触媒を加えて撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で一定時間加熱する。
【0019】
このとき、ジグリセリンに対するオレイン酸の仕込み量は、得られるジグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が40%以上となるような範囲に調整することが好ましい。即ち、ジグリセリン1モルに対して脂肪酸が1.6~4.0モルであることが好ましい。
【0020】
前記ジグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸又はアルカリを触媒として添加し、窒素又は二酸化炭素等の任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られる、グリセリンの平均重合度が1.5~2.4、好ましくは平均重合度が約2.0のジグリセリン混合物が用いられる。また、ジグリセリンはグリシドール又はエピクロルヒドリン等を原料として得られるものであってもよく、反応終了後、必要であれば中和、脱塩、脱色等の処理を行ってもよい。
【0021】
本発明においては、前記ジグリセリン混合物を、例えば蒸留又はカラムクロマトグラフィー等自体公知の方法を用いて精製し、ジグリセリンの含有量を50質量%以上、好ましくは85質量%以上に高濃度化した高純度ジグリセリンが好ましく用いられる。
【0022】
前記エステル化反応の反応温度は、通常180~260℃、好ましくは200~250℃である。また、反応における圧力条件は減圧下又は常圧下であり、反応時間は、通常0.5~15時間、好ましくは3~12時間である。反応の終点は、反応混合物の酸価を測定し、その酸価が12以下、好ましくは10以下であることを目安に決定することが好ましい。
【0023】
得られた反応液は、未反応のジグリセリン、未反応のオレイン酸、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル、ジグリセリントリオレイン酸エステル及びジグリセリンテトラオレイン酸エステル等を含む混合物である。該反応混合物のエステル化率が40%以上となっていれば、これを本発明で使用してもよい。
【0024】
エステル化反応終了後、所望により前記反応混合物中に残存する触媒を中和してもよい。その際、該反応混合物の温度が200℃を超える場合は、これを180~200℃に冷却してから中和処理を行うのが好ましい。中和後、得られた反応混合物を所望によりさらに冷却し、通常100~180℃、好ましくは130~150℃に保ち、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1~10時間放置して、下層に分離した未反応のジグリセリンを除去することが好ましい。
【0025】
本発明に係るフライ用油脂組成物の製造方法に特に制限はなく、前記油脂に対して本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルを添加し、所望により加熱して混合すればよい。
【0026】
本発明に係るフライ用油脂組成物中の油脂及び本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルの含有量に特に制限はないが、例えば、本発明に係るフライ用油脂組成物100質量%中、本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルの含有量が0.01~2.0質量%、好ましくは0.05~1.0質量%であり、その残余を油脂とすることができる。
【0027】
本発明に係るフライ用油脂組成物は、前記油脂及び本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステル以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の任意の成分を含有していてもよい。そのような成分としては、例えば、本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤、酸化防止剤(抽出トコフェロール、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル等)等が挙げられる。
【0028】
本発明に係るフライ用油脂組成物は、従来のフライ用油脂組成物と同様に、各種フライ食品の油ちょうに使用することができる。本発明に係るフライ用油脂組成物を使用して油ちょうできるフライ食品に特に制限はないが、例えば、素揚げ、から揚げ、竜田揚げ、カツレツ、コロッケ、フライ(エビフライ、アジフライ、カキフライ等)、ナゲット、フリッター、天ぷら、ドーナツ、揚げパン、アメリカンドッグ、ポテトチップス等が挙げられる。これらの中でも、とりわけ経時的な食感の変化が問題になりやすい、衣を有するフライ食品(から揚げ、竜田揚げ、カツレツ、コロッケ、フライ、ナゲット、フリッター、天ぷら等)の油ちょうに使用することが好ましく、特に衣としてパン粉を用いるフライ食品(カツレツ、コロッケ、フライ等)の油ちょうに使用することが好ましい。
【0029】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0030】
[ジグリセリンオレイン酸エステルの製造]
<製造例1>
まず、撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた反応釜にグリセリン20kgを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム20w/v%水溶液100mLを加え、窒素ガス気流中250℃で4時間グリセリン縮合反応を行った。得られた反応生成物を約90℃まで冷却し、リン酸約20gを添加して中和した後ろ過し、ろ液を160℃、250Paの条件下で減圧蒸留してグリセリンを除き、続いて200℃、20Paの高真空条件下で真空蒸留してグリセリン3%、ジグリセリン92%、トリグリセリン5%を含む留分(ジグリセリン混合物)約3.0kgを得た。次に、留分に対して1質量%の活性炭を加え、減圧下にて脱色処理した後ろ過した。得られたジグリセリンは、水酸基価が約1359、平均重合度が約2.0であり、ジグリセリンの含有量は98質量%であった。
次に、撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、前記方法で得たジグリセリン91.2g(約0.55モル)及びオレイン酸308.8g(約1.10モル)を仕込み、常圧下、窒素ガス気流中、230℃で4.5時間エステル化反応を行った。得られた反応混合物を冷却してジグリセリンオレイン酸エステル(試作品1)約375gを得た。該エステルのエステル化率は51%であった。
【0031】
<製造例2>
前記製造例1におけるジグリセリン及びオレイン酸の仕込み量を、それぞれジグリセリン66.0g(約0.40モル)、オレイン酸334.0g(約1.18モル)とし、エステル化反応の反応時間を10.5時間としたこと以外は製造例1と同様に実施して、ジグリセリンオレイン酸エステル(試作品2)約375gを得た。該エステルのエステル化率は76%であった。
【0032】
[コロッケによる評価]
(1)フライ用油脂組成物の原材料
1)ジグリセリンオレイン酸エステル1(試作品1;エステル化率51%)
2)ジグリセリンオレイン酸エステル2(試作品2;エステル化率76%)
3)ジグリセリンオレイン酸エステル3(市販品;商品名:ポエムDO-100V;ジグリセリンモノオレイン酸エステル;エステル化率25%;理研ビタミン社製)
4)ジグリセリンステアリン酸エステル(商品名:ポエムDS-100A;理研ビタミン社製)
5)グリセリンオレイン酸エステル(商品名:ポエムOL-200V;理研ビタミン社製)
6)プロピレングリコールオレイン酸エステル(商品名:リケマールPO-100V;理研ビタミン社製)
7)トリグリセリンベヘン酸エステル(商品名:ポエムTR-FB;理研ビタミン社製)
8)菜種油(商品名:日清菜種サラダ油(S);日清オイリオグループ社製)
【0033】
(2)フライ用油脂組成物の原材料の配合
前記原材料を用いて調製したフライ用油脂組成物1~10の配合組成を表1に示した。このうち、フライ用油脂組成物1~3は本発明の実施例であり、フライ用油脂組成物4~9は本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステル以外の乳化剤を添加した比較例、フライ用油脂組成物10は乳化剤無添加の対照である。
【0034】
【表1】
【0035】
(3)コロッケの製造方法
1)表1に示した配合割合に従い、フライ用油脂組成物の原材料を合計900gとなるようにフライヤー(型式:EFK-A10;象印マホービン社製)に入れ、これを加熱しながら必要に応じて撹拌し、フライ用油脂組成物1~10を調製した。
2)前記フライ用油脂組成物1~10の温度を175~180℃に保ちつつ、ここに市販の冷凍コロッケ(1個当たり60g)を2個入れて6分間油ちょうした。
3)前記2)の操作を2度繰り返し、コロッケ1~10を計4個ずつ得た。
【0036】
(4)吸油量の評価
前記(3)においてコロッケを油ちょうする前と、油ちょう後30分放冷した後の各時点で、フライ用油脂組成物の入ったフライヤーの全体重量を測定し、それらの差から油ちょうにより減少したフライ用油脂組成物の重量を算出した。この重量は即ち、各フライ用油脂組成物使用時のコロッケの吸油量を意味する。該吸油量を下記数式2に当てはめ、対照のフライ用油脂組成物(フライ用油脂組成物10)使用時のコロッケの吸油量を100%とした場合の相対的な吸油量を表す「吸油量の相対比率」を算出した。その後、下記の基準に従って吸油量の評価を記号化した。結果を表3に示す。
〔記号化基準〕
○:良好 吸油量の相対比率105%未満
△:やや悪い 吸油量の相対比率105%以上、120%未満
×:悪い 吸油量の相対比率120%以上
【0037】
【数2】
【0038】
(5)官能評価
前記(3)で得られたコロッケ1~10を室温(25℃)で2時間静置した後、これらの食感及び口当たりについて官能評価を行った。評価は表2に示す評価基準に従って10名のパネラーで行い、結果は10名の評点の平均値を下記の基準に従って記号化した。結果を表3に示す。
〔記号化基準〕
○:良好 平均値2.5以上
△:やや悪い 平均値1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均値1.5未満
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
表3の結果から明らかなように、本発明に係るジグリセリンオレイン酸エステルを含有するフライ用油脂組成物1~3を使用して油ちょうしたコロッケ1~3は、対照のフライ用油脂組成物10を使用して油ちょうしたコロッケ10と吸油量が同等でありながら、クリスピーな食感を維持しており、口当たりも良好であった。
一方、エステル化率の異なるジグリセリンオレイン酸エステルを含有するフライ用油脂組成物4又は5を使用して油ちょうしたコロッケ4及び5、並びにジグリセリンステアリン酸エステルを含有するフライ用油脂組成物6を使用して油ちょうしたコロッケ6は、いずれも対照と比較して吸油量が多く、口当たりが悪かった。
その他、フライ用油脂組成物7~9を使用して油ちょうしたコロッケ7~9は、吸油量については対照と同等又はそれ未満であっても、クリスピーな食感が失われていた。より具体的には、コロッケ7はゴムのような歯切れの悪い食感、コロッケ8及び9はふやけたような食感で、いずれもサクサクとした軽い歯ごたえとは言えなかった。