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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】建設部材の接続構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
E04B1/58 602
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018192363
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2020060054
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-12-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 清志
(72)【発明者】
【氏名】津川 澄夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 亮太
(72)【発明者】
【氏名】増村 清人
(72)【発明者】
【氏名】江良 努
(72)【発明者】
【氏名】中島 将弘
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-107021(JP,U)
【文献】実開昭58-013309(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 5/40
E04B 5/02
E04G 5/04
E04F 15/02
E04F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の建設部材であり、当該一対の建設部材の端面同士を突き合わせるように設けられた一対の建設部材同士を接続するための接続構造であって、
前記一対の建設部材のいずれか一方に設けられた当接手段であって、前記一対の建設部材のいずれか他方と当接するように前記一対の建設部材のいずれか他方に向けて張り出された当接手段と、
前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持するための挟持手段と、を備え、
前記一対の建設部材のいずれか一方の端面であって、前記一対の建設部材のいずれか他方側に位置する端面を、前記一対の建設部材のいずれか一方の内側から外側に至るにつれて前記当接手段側に向けて傾斜するように形成し、
前記一対の建設部材のいずれか他方の端面であって、前記一対の建設部材のいずれか一方側に位置する端面を、前記一対の建設部材のいずれか他方の厚さ方向に沿うような平坦な面に形成し、
前記挟持手段は、
前記当接手段と当接可能な位置に設けられた第1挟持片と、
前記一対の建設部材のいずれか他方の側面のうち前記当接手段と当接する側面とは反対側の側面と当接可能な位置に設けられた第2挟持片と、
前記第1挟持片及び前記第2挟持片によって前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締め付けるための締付部と、を備え、
前記第1挟持片及び前記第2挟持片を、前記締付部に対して回動自在に取り付け、
前記第2挟持片を、側面形状がL字状である板状体に形成することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片によって前記当接手段と前記一対の建設部材の他方が挟持可能な位置から挟持不能な位置まで前記第1挟持片及び前記第2挟持片を180度回動させた際に、前記第2挟持片のL字の縦棒部分と前記一対の建設部材の他方の端面であってYZ平面と平行な端面とが当接可能とすると共に、前記挟持不能な位置から前記挟持可能な位置まで前記第1挟持片及び前記第2挟持片を180度回動させた際に、前記第2挟持片のL字の横棒部分と前記一対の建設部材の他方とが当接可能とした、
建設部材の接続構造。
【請求項2】
前記締付部は、
長尺なボルト本体と、前記ボルト本体の長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部とを有するボルトと、
前記ボルト本体に対して挿通可能なナットと、を備えた、
請求項1に記載の建設部材の接続構造。
【請求項3】
前記当接手段を、玉掛用器具と接続可能に構成した、
請求項1又は2に記載の建設部材の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設部材の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一対の建設部材を接続するための技術の一つとして、一対の鋼製の建設部材の端面同士を突き合わせるように配置し、これら端面の一部を溶接することによって一対の建設部材を接続する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-090223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、一対の鋼製の建設部材の端面の一部を溶接することによって一対の建設部材を接続するので、当該溶接する際に多大な作業手間(例えば、溶接作業の手間に加えて、準備作業(一例として、溶接機の搬入作業、キャブタイヤケーブルの配線作業、火気又は感電養生のための作業等)の手間を要すると共に、溶接時に発生する火花等によって火災や感電災害が発生するおそれがあった。したがって、作業性や安全性の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業性を高めながら作業現場の安全性を確保しやすくなる、建設部材の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の建設部材の接続構造は、一対の建設部材であり、当該一対の建設部材の端面同士を突き合わせるように設けられた一対の建設部材同士を接続するための接続構造であって、前記一対の建設部材のいずれか一方に設けられた当接手段であって、前記一対の建設部材のいずれか他方と当接するように前記一対の建設部材のいずれか他方に向けて張り出された当接手段と、前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持するための挟持手段と、を備え、前記一対の建設部材のいずれか一方の端面であって、前記一対の建設部材のいずれか他方側に位置する端面を、前記一対の建設部材のいずれか一方の内側から外側に至るにつれて前記当接手段側に向けて傾斜するように形成し、前記一対の建設部材のいずれか他方の端面であって、前記一対の建設部材のいずれか一方側に位置する端面を、前記一対の建設部材のいずれか他方の厚さ方向に沿うような平坦な面に形成し、前記挟持手段は、前記当接手段と当接可能な位置に設けられた第1挟持片と、前記一対の建設部材のいずれか他方の側面のうち前記当接手段と当接する側面とは反対側の側面と当接可能な位置に設けられた第2挟持片と、前記第1挟持片及び前記第2挟持片によって前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締め付けるための締付部と、を備え、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を、前記締付部に対して回動自在に取り付け、前記第2挟持片を、側面形状がL字状である板状体に形成することにより、前記第1挟持片及び前記第2挟持片によって前記当接手段と前記一対の建設部材の他方が挟持可能な位置から挟持不能な位置まで前記第1挟持片及び前記第2挟持片を180度回動させた際に、前記第2挟持片のL字の縦棒部分と前記一対の建設部材の他方の端面であってYZ平面と平行な端面とが当接可能とすると共に、前記挟持不能な位置から前記挟持可能な位置まで前記第1挟持片及び前記第2挟持片を180度回動させた際に、前記第2挟持片のL字の横棒部分と前記一対の建設部材の他方とが当接可能とした。
【0007】
請求項2に記載の建設部材の接続構造は、請求項1に記載の建設部材の接続構造において、前記締付部は、長尺なボルト本体と、前記ボルト本体の長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部とを有するボルトと、前記ボルト本体に対して挿通可能なナットと、を備えた。
【0008】
請求項3に記載の建設部材の接続構造は、請求項1又は2に記載の建設部材の接続構造において、前記当接手段を、玉掛用器具と接続可能に構成した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の建設部材の接続構造によれば、一対の建設部材のいずれか一方に設けられた当接手段であって、一対の建設部材のいずれか他方と当接するように一対の建設部材のいずれか他方に向けて張り出された当接手段と、当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持するための挟持手段と、を備えたので、挟持手段によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持することで一対の建設部材同士を接続できる。よって、従来技術(一対の建設部材を溶接によって接続する技術)に比べて、一対の建設部材同士を接続する際の作業手間を軽減でき、作業性を高めることができる。また、一対の建設部材同士を接続する際に火花等が発生しないので、当該火花等に伴って火災や感電災害が発生することを回避できることから、当該接続を行う作業現場の安全性を確保しやすくなる。
また、挟持手段が、第1挟持片及び第2挟持片によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で第1挟持片及び第2挟持片を締め付けるための締付部を備えたので、第1挟持片及び第2挟持片によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、締付部によって所定の圧力で第1挟持片及び第2挟持片を締め付けることができ、一対の建設部材同士を比較的強固に接続することが可能となる。
また、第1挟持片及び第2挟持片を、締付部に対して回動自在に取り付けたので、状況に応じて第1挟持片及び第2挟持片を締付部に対して回動させることができ、第1挟持片及び第2挟持片によって一対の建設部材の少なくともいずれか一方の設置が阻害されることを回避できる。
【0012】
請求項2に記載の建設部材の接続構造によれば、締付部が、長尺なボルト本体と、ボルト本体の長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部とを有するボルトと、ボルト本体に対して挿通可能なナットと、を備えたので、締付部を既製の部材を用いて簡易に構成でき、締付部の製造性を高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の建設部材の接続構造によれば、当接手段を玉掛用器具と接続可能に構成したので、当接手段と玉掛用器具とを接続することができ、一対の建設部材のいずれか一方に玉掛用器具を取り付けるための取付部材を別途設ける必要がなくなるため、一対の建設部材のいずれか一方の製造性を維持しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る第1建設部材と第2建設部材とを接続した状態を示す斜視図である。
図2図1のA領域の拡大図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図3】第1挟持片を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図4】第2挟持片を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図5】接続方法の取付工程を示す図であり、(a)は図2(a)に対応する領域を示す図、(b)は図2(b)に対応する領域を示す図である。
図6】接続方法の載置工程を示す図であり、(a)は図2(a)に対応する領域を示す図、(b)は図2(b)に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る建設部材の接続構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、一対の建設部材であり、当該一対の建設部材の端面同士を相互に間隔を隔てて突き合わせるように設けられた一対の建設部材同士を接続するための接続構造に関するものである。ここで、「建設部材」とは、建設物を構成する部材を意味し、例えば、床材、梁材、柱材、壁材等を含む概念である。また、「建設物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、オフィスビルや商業施設等の建築構造物や橋等の土木構造物等を含む概念である。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
(構成)
最初に、接続構造の構成と、この接続構造が適用される第1建設部材10及び第2建設部材20a、20bの構成とについて説明する。
【0021】
(構成-第1建設部材)
まず、第1建設部材10の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る第1建設部材と第2建設部材とを接続した状態を示す斜視図である。図2は、図1のA領域の拡大図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。以下の説明では、図1のX方向を第1建設部材10の左右方向(-X方向を第1建設部材10の左方向、+X方向を第1建設部材10の右方向)、図1のY方向を第1建設部材10の前後方向(+Y方向を第1建設部材10の前方向、-Y方向を第1建設部材10の後方向)、図1のZ方向を第1建設部材10の上下方向(+Z方向を第1建設部材10の上方向、-Z方向を第1建設部材10の下方向)と称する。
【0022】
第1建設部材10は、図示しない建築構造物(例えば、オフィスビル等)を構成する建設部材である。この第1建設部材10は、例えば公知の建築用床材(一例として、長尺な鋼製のデッキプレート)等を用いて構成され、平面形状が長方形状に設定されており、図1図2に示すように、第1建設部材10の長手方向が前後方向に略沿うように略水平に配置されている。
【0023】
また、第1建設部材10の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1建設部材10の左端面及び右端面が略傾斜状に形成されており、具体的には、図1図2(a)に示すように、左右方向の内側から外側に至るにつれて上方に傾斜するように形成されている。ただし、これに限らず、例えば、第1建設部材10の左端面及び右端面が上下方向に沿うような平坦な側面に形成されてもよい。
【0024】
(構成-第2建設部材)
図1に戻り、次に、第2建設部材20a、20bの構成について説明する。第2建設部材20a、20bは、建築構造物を構成する建設部材であって、第1建設部材10を支持するための建設部材である。この第2建設部材20a、20bは、例えば公知の建築用梁材(一例として、H形鋼からなる長尺な梁材)等を用いて構成されており、具体的には、図1に示すように、板状の上フランジ部21、板状の下フランジ部22と、これら上フランジ部21と下フランジ部22とを接続する板状のウェブ部23とをそれぞれ備えている。また、図1に示すように、第2建設部材20aは第1建設部材10の左側に設けられており、第2建設部材20bは第1建設部材10の右側に設けられており、具体的には、第2建設部材20a、20bの長手方向が前後方向に沿うように設置面(図示省略)に対して載置されている。
【0025】
また、第2建設部材20a、20bの具体的な大きさについては任意であるが、実施の形態では、以下の通りに設定している。すなわち、図1に示すように、第2建設部材20a、20bの左右方向の長さについては、第1建設部材10の左右方向の長さよりも短く設定している。また、第2建設部材20a、20bの前後方向の長さについては、第1建設部材10の前後方向の長さよりも長く(又は略同一)に設定している。また、第2建設部材20a、20bの上下方向の長さについては、第1建設部材10の上下方向の長さよりも長く設定している。より具体的には、第2建設部材20a、20bの上フランジ部21及び下フランジ部22の各々の上下方向の長さについては、第1建設部材10の上下方向の長さよりも短く設定しており、第2建設部材20a、20bのウェブ部23の各々の上下方向の長さについては、第1建設部材10の上下方向の長さよりも長く設定している。
【0026】
また、第1建設部材10及び第2建設部材20a、20bの設置方法については任意であるが、実施の形態では、第1建設部材10の端面と第2建設部材20a、20bの各々の端面同士を突き合わせるように設置している。具体的には、図1図2(a)に示すように、第1建設部材10の左端面と第2建設部材20aの上フランジ部21の右端面とが対向するように、第1建設部材10と第2建設部材20aとを相互に間隔を隔てて設置している。また、図1に示すように、第1建設部材10の右端面と第2建設部材20bの上フランジ部21の左端面とが対向するように、第1建設部材10と第2建設部材20bとを相互に間隔を隔てて設置している。なお、上述した「第1建設部材10」及び「第2建設部材20a」を含むものや、上述した「第1建設部材10」及び「第2建設部材20b」を含むものは、特許請求の範囲における「一対の建設部材」に対応する。
【0027】
(構成-接続構造)
図1に戻り、次に、接続構造について説明する。接続構造は、一対の建設部材同士を接続するための構造である。この接続構造は、実施の形態では、第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続するための第1接続構造と、第1建設部材10と第2建設部材20bとを接続するための第2接続構造とを備えている。ただし、第1接続構造及び第2接続構造の各々の構成はそれぞれ略同一であるので、以下では、第1接続構造の構成のみについて説明することとする。
【0028】
この第1接続構造の特徴については、図1図2に示すように、当接部30及び挟持部40を備えている。
【0029】
(構成-接続構造-当接部)
図1に戻り、当接部30は、第1建設部材10又は第2建設部材20aのいずれか一方と当接するための当接手段である。この当接部30は、略平坦な板状体(いわゆるフラットバー)にて形成されており、図2に示すように、第1建設部材10において略水平に設けられている。
【0030】
また、当接部30の形状及び大きさについては、第1建設部材10を当接部30を介して第2建設部材20aに載置できる限り任意に設定することができるが、実施の形態では以下の通りに設定している。すなわち、図1図2に示すように、当接部30の平面形状については、略長方形状に設定している。また、当接部30の左右方向の長さについては、第1建設部材10の左右方向の長さよりも短く設定している。また、当接部30の前後方向の長さについては、第1建設部材10の前後方向の長さと略同一に設定している。また、当接部30の上下方向の長さについては、第1建設部材10の上下方向の長さよりも短く設定している。
【0031】
また、当接部30の設置方法については任意であるが、実施の形態では、第2建設部材20aと当接するように第2建設部材20aに向けて張り出されることにより、設置している。具体的には、図2に示すように、第2建設部材20aの上フランジ部21の上面と当接するように、第1建設部材10の左端部の上側部分から第2建設部材20aに向けて張り出されることにより、設置している。
【0032】
また、当接部30の形成方法については任意であるが、実施の形態では、当接部30と第1建設部材10とを一体に形成している。これにより、当接部30を第1建設部材10に取り付ける手間を省略でき、第1接続構造の製造性を高めることができる。ただし、これに限らず、当接部30と第1建設部材10と別体に形成し、当接部30を第1建設部材10に対して固定具等によって固定してもよい。
【0033】
(構成-接続構造-挟持部)
図3は、後述する第1挟持片50を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。図4は、後述する第2挟持片60を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。図1に戻り、挟持部40は、当接部30と第2建設部材20aとを重ねて挟持するための挟持手段である。この挟持部40は、図1に示すように当接部30において相互に間隔を隔てて前後方向に沿って複数並設されており、図2に示すように第1挟持片50、第2挟持片60、及び締付部70を備えている。
【0034】
(構成-接続構造-挟持部-第1挟持片)
第1挟持片50は、挟持部40の基本構造体の一部である。この第1挟持片50は、略平坦な板状体にて形成されており、当接部30と当接可能な位置に設けられている。具体的には、図2に示すように、当接部30の上方側において、第1挟持片50の下面が当接部30の上面と当接可能な位置に配置されている。
【0035】
また、第1挟持片50の形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。すなわち、図2図3に示すように、第1挟持片50の平面形状については、略矩形状に設定している。また、第1挟持片50の左右方向の長さについては、当接部30の左右方向の長さと略同一(又は短く)に設定している。また、第1挟持片50の前後方向の長さについては、当接部30の前後方向の長さよりも短く設定している。また、第1挟持片50の厚さについては、当接部30の上下方向の長さと略同一(又は薄く)設定している。
【0036】
(構成-接続構造-挟持部-第2挟持片)
図2に戻り、第2挟持片60は、挟持部40の基本構造体の他の一部である。この第2挟持片60は、X-Z平面に沿った断面形状がL字状である板状体にて形成されており、第2建設部材20aの側面のうち当接部30と当接する側面とは反対側の側面と当接可能な位置に設けられている。具体的には、図2(a)に示すように、当接部30の下方側において、第2挟持片60におけるL字状の横棒部分の上面が第2建設部材20aの下面と当接可能な位置に設けられている。
【0037】
また、第2挟持片60の大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。すなわち、図2(a)、図4に示すように、第2挟持片60の左右方向の長さについては、当接部30の左右方向の長さと略同一(又は短く)に設定している。また、第2挟持片60の前後方向の長さについては、当接部30の前後方向の長さよりも短く設定している。また、第2挟持片60の厚さについては、当接部30の上下方向の長さと略同一(又は薄く)設定している。
【0038】
また、第1挟持片50及び第2挟持片60の取付方法については任意であるが、実施の形態では、第1挟持片50及び第2挟持片60を、締付部70に対して回動自在に取り付けている。具体的には、第1挟持片50に形成された図3の挿通孔51及び第2挟持片60に形成された図4の挿通孔61をそれぞれ馬鹿孔にて形成し、これら挿通孔51及び挿通孔61に後述する締付部70のボルト本体71aを挿通することにより、締付部70に対して回動自在に取り付けている。これにより、状況に応じて第1挟持片50及び第2挟持片60を締付部70に対して回動させることができ、第1挟持片50及び第2挟持片60によって第1建設部材10又は第2建設部材20aの設置が阻害されることを回避できる。
【0039】
(構成-接続構造-挟持部-締付部)
図2に戻り、締付部70は、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当接部30と第2建設部材20aとが挟み込まれた状態で、所定の圧力で第1挟持片50及び第2挟持片60を締め付けるためのものであり、図2に示すように、ボルト71及びナット72を備えて構成されている。
【0040】
(構成-接続構造-挟持部-締付部-ボルト)
ボルト71は、ナット72を取り付けるためのものである。このボルト71は、例えば公知のボルト(一例として、鋼製のボルト)等を用いて構成されており、図2に示すように、長尺なボルト本体71aと、ボルト本体71aの長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部71bとを有する。また、このボルト71は、ヘッド部71bが第2挟持片60よりも下方側に位置し、且つボルト本体71aが第1挟持片50の挿通孔51、当接部30に形成された挿通孔(図示省略)、及び第2挟持片60の挿通孔61に挿通されるように配置されている。
【0041】
(構成-接続構造-挟持部-締付部-ナット)
ナット72は、第1挟持片50及び第2挟持片60を締め付けるためのものである。このナット72は、例えば公知のナット(一例として、鋼製のナット)等を用いて構成されており、図2に示すように、ナット72が第1挟持片50よりも上方側に位置し、且つボルト本体71aに挿通されるように配置されている。また、このナット72の取付方法については任意であるが、実施の形態では、ナット72の締め付けにより、ナット72によって第1挟持片50が所定の圧力で押圧され、且つヘッド部71bによって第2挟持片60が所定の圧力で押圧されるように、ボルト本体71aに対して取り付けている。
【0042】
このような締付部70の構成により、締付部70を既製の部材を用いて簡易に構成でき、締付部70の製造性を高めることができる。
【0043】
以上のような第1接続構造により、挟持部40によって当接部30と第2建設部材20aとを重ねて挟持することで第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続できる。よって、従来技術(一対の建設部材を溶接によって接続する技術)に比べて、第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続する際の作業手間を軽減でき、作業性を高めることができる。また、第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続する際に火花等が発生しないので、当該火花等に伴って火災や感電災害が発生することを回避できることから、当該接続を行う作業現場の安全性を確保しやすくなる。また、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当接部30と第2建設部材20aとが挟み込まれた状態で、締付部70によって所定の圧力で第1挟持片50及び第2挟持片60を締め付けることができ、第1建設部材10と第2建設部材20aとを比較的強固に接続することが可能となる。
【0044】
(接続方法)
続いて、第1建設部材10と第2建設部材20a、20bの各々とを接続する接続方法について説明する。
【0045】
図5は、後述する接続方法の取付工程を示す図であり、(a)は図2(a)に対応する領域を示す図、(b)は図2(b)に対応する領域を示す図である。図6は、後述する接続方法の載置工程を示す図であり、(a)は図2(a)に対応する領域を示す図、(b)は図2(b)に対応する領域を示す図である。
【0046】
(接続方法-取付工程)
まず、取付工程について説明する。取付工程は、第1建設部材10に挟持部40を取り付ける工程である。
【0047】
具体的には、図5に示すように、第1建設部材10の左端部及び右端部にそれぞれ設けられた当接部30において、挟持部40を相互に間隔を隔てて前後方向に沿って複数並設するように取り付ける。ここで、各挟持部40の取付方法については任意であるが、例えば、第1挟持片50の挿通孔51、当接部30に形成された挿通孔、及び第2挟持片60の挿通孔61に締付部70のボルト本体71aを下方から挿通した後、ナット72をボルト本体71aに挿通させて締め付けることにより、取り付けてもよい。この場合において、例えば、載置工程において、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当該工程の作業が阻害されないように、第1挟持片50及び第2挟持片60を取り付けることが望ましい。一例として、図5(b)に示すように、第1挟持片50の長手方向が前後方向に沿うように、第1挟持片50を取り付けると共に、図5(a)に示すように、第2挟持片60におけるL字状の横棒部分が第1建設部材10側に向けて突出するように、第2挟持片60を取り付けてもよい。
【0048】
(接続方法-載置工程)
次に、載置工程について説明する。載置工程は、取付工程の後に、第1建設部材10を第2建設部材20a、20bに載置する工程である。
【0049】
具体的には、まず、設置面において、第2建設部材20a、20bを相互に間隔を隔てて配置する。次に、図6に示すように、図示しない吊り上げ装置(例えば、公知のクレーン等)やワイヤを用いて第2建設部材20a、20bを吊り上げ又は吊り下げすることにより、第1建設部材10の当接部30が第2建設部材20a、20bの各々の上フランジ部21に当接するように、第1建設部材10を第2建設部材20a、20bに載置する。
【0050】
この場合において、当接部30の具体的な構成については任意であるが、例えば、当接部30が、図示しない玉掛用器具(例えば、シャックル等)と接続可能に構成されてもよい。一例として、玉掛用器具がシャックルである場合には、当接部30(具体的には、当接部30のうち挟持部40が取り付けられる部分以外の部分)に図示しない挿通孔を複数形成して、これら複数の挿通孔の各々と、シャックルに接続された図示しない接続部材(例えば公知のアングル部材)に形成された挿通孔(図示省略)とに図示しないボルト部材を挿通した後、図示しないナット部材を上記ボルト部材に挿通して締め付けることにより、シャックルと接続できるように構成されてもよい。これにより、当接部30と玉掛用器具とを接続することができ、第1建設部材10に玉掛用器具を取り付けるための取付部材を別途設ける必要がなくなるため、第1建設部材10の製造性を維持しやすくなる。
【0051】
(接続方法-接続工程)
図2に戻り、次いで、接続工程について説明する。接続工程は、載置工程の後に、第1建設部材10と第2建設部材20a、20bの各々とを接続する工程である。
【0052】
具体的には、図2に示すように、各挟持部40を当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを重ねて挟持することにより、第1建設部材10と第2建設部材20a、20bの各々とを接続する。ここで、各挟持部40の挟持方法については任意であるが、例えば、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)が挟持可能な位置まで第1挟持片50及び第2挟持片60を回動させた後に、図示しない締付装置(例えば、公知のインパクトドライバ等)を用いて締付部70のナット72を締め付けることにより、挟持してもよい。
【0053】
以上のような接続方法により、従来技術(一対の建設部材を溶接によって接続する技術)に比べて、第1建設部材10と第2建設部材20a、20bの各々とを接続する際の作業手間を軽減でき、作業性を高めることができる。また、第1建設部材10と第2建設部材20a、20bの各々とを接続する際に火花等が発生しないので、当該火花等に伴って火災や感電災害が発生することを回避できることから、当該接続を行う作業現場の安全性を確保しやすくなる。
【0054】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第1建設部材10に設けられた当接部30であって、第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)と当接するように第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)に向けて張り出された当接部30と、当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを重ねて挟持するための挟持部40と、を備えたので、挟持部40によって当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを重ねて挟持することで第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続できる。よって、従来技術(一対の建設部材を溶接によって接続する技術)に比べて、第1建設部材10と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを接続する際の作業手間を軽減でき、作業性を高めることができる。また、第1建設部材10と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを接続する際に火花等が発生しないので、当該火花等に伴って火災や感電災害が発生することを回避できることから、当該接続を行う作業現場の安全性を確保しやすくなる。
【0055】
また、挟持部40が、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で第1挟持片50及び第2挟持片60を締め付けるための締付部70を備えたので、第1挟持片50及び第2挟持片60によって当接部30と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とが挟み込まれた状態で、締付部70によって所定の圧力で第1挟持片50及び第2挟持片60を締め付けることができ、第1建設部材10と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)とを比較的強固に接続することが可能となる。
【0056】
また、第1挟持片50及び第2挟持片60を、締付部70に対して回動自在に取り付けたので、状況に応じて第1挟持片50及び第2挟持片60を締付部70に対して回動させることができ、第1挟持片50及び第2挟持片60によって第1建設部材10と第2建設部材20a(又は第2建設部材20b)の設置が阻害されることを回避できる。
【0057】
また、締付部70が、長尺なボルト本体71aと、ボルト本体71aの長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部71bとを有するボルト71と、ボルト本体71aに対して挿通可能なナット72と、を備えたので、締付部70を既製の部材を用いて簡易に構成でき、締付部70の製造性を高めることができる。
【0058】
また、当接部30を、玉掛用器具と接続可能に構成したので、当接部30と玉掛用器具とを接続することができ、第1建設部材10に玉掛用器具を取り付けるための取付部材を別途設ける必要がなくなるため、第1建設部材10の製造性を維持しやすくなる。
【0059】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0060】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0061】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0062】
(第1建設部材、第2建設部材について)
上記実施の形態では、第1建設部材10及び第2建設部材20a、20bが、鋼製の建設部材であると説明したが、これに限らず、例えば、コンクリート製の建設部材であってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、第1建設部材10の左端面と第2建設部材20aの上フランジ部21の右端面とが対向するように、第1建設部材10と第2建設部材20aとを相互に間隔を隔てて設置していると説明したが、これに限らず、第1建設部材10の左端面と第2建設部材20aの上フランジ部21の右端面とが当接するように、第1建設部材10と第2建設部材20aとを間隔を隔てることなく設置してもよい(なお、第1建設部材10及び第2建設部材20bの設置についても略同様とする)。この場合には、当接部30の前後方向の長さを第1建設部材10の前後方向の長さよりも長く設定し、当接部30の前端部及びその近傍や後端部及びその近傍に挟持部40を設けることにより、第1建設部材10と第2建設部材20aとを接続してもよい。
【0064】
(当接部について)
上記実施の形態では、第1建設部材10に当接部30が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、第2建設部材20a、20bに設けられてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、第1接続構造において、当接部30が、第2建設部材20aの上フランジ部21の上面と当接するように、第1建設部材10の左端部から第2建設部材20aに向けて張り出されていると説明したが、これに限らない。例えば、第2建設部材20aの上フランジ部21の上面以外の側面(例えば、上フランジ部21の前面、後面、下面)と当接するように、第1建設部材10の左端部から第2建設部材20aに向けて張り出されてもよい。あるいは、第2建設部材20aの上フランジ部21以外の部分(例えば、下フランジ部22等)の側面と当接するように、第1建設部材10の左端部から第2建設部材20aに向けて張り出されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、当接部30が、玉掛用器具と接続可能に構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、玉掛用器具と接続できないように構成されてもよい。
【0067】
(第1挟持片、第2挟持片について)
上記実施の形態では、第1挟持片50及び第2挟持片60が、締付部70に対して回動可能に取り付けられていると説明したが、これに限らず、例えば、締付部70に対して回動できないように取り付けられてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、第2挟持片60が、X-Z平面に沿った断面形状がL字状である板状体にて形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、平坦な板状体にて形成されてもよい。
【0069】
(締付部について)
上記実施の形態では、締付部70が、ボルト71及びナット72を備えて構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、ネジ切りされた軸部と、軸部に挿通可能な一対のナットとを備えて構成されてもよい。
【0070】
(接続方法について)
上記実施の形態では、接続方法においては、取付工程後に載置工程を行うと説明したが、これに限らず、例えば、取付工程前に載置工程を行ってもよい。
【0071】
(付記)
付記1の建設部材の接続構造は、一対の建設部材であり、当該一対の建設部材の端面同士を突き合わせるように設けられた一対の建設部材同士を接続するための接続構造であって、前記一対の建設部材のいずれか一方に設けられた当接手段であって、前記一対の建設部材のいずれか他方と当接するように前記一対の建設部材のいずれか他方に向けて張り出された当接手段と、前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持するための挟持手段と、を備える。
【0072】
付記2の建設部材の接続構造は、付記1に記載の建設部材の接続構造において、前記挟持手段は、前記当接手段と当接可能な位置に設けられた第1挟持片と、前記一対の建設部材のいずれか他方の側面のうち前記当接手段と当接する側面とは反対側の側面と当接可能な位置に設けられた第2挟持片と、前記第1挟持片及び前記第2挟持片によって前記当接手段と前記一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で前記第1挟持片及び前記第2挟持片を締め付けるための締付部と、を備えた。
【0073】
付記3の建設部材の接続構造は、付記2に記載の建設部材の接続構造において、前記第1挟持片及び前記第2挟持片を、前記締付部に対して回動自在に取り付けた。
【0074】
付記4の建設部材の接続構造は、付記2又は3に記載の建設部材の接続構造において、前記締付部は、長尺なボルト本体と、前記ボルト本体の長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部とを有するボルトと、前記ボルト本体に対して挿通可能なナットと、を備えた。
【0075】
付記5の建設部材の接続構造は、付記2から4のいずれか一項に記載の建設部材の接続構造において、前記当接手段を、玉掛用器具と接続可能に構成した。
【0076】
(付記の効果)
付記1に記載の建設部材の接続構造によれば、一対の建設部材のいずれか一方に設けられた当接手段であって、一対の建設部材のいずれか他方と当接するように一対の建設部材のいずれか他方に向けて張り出された当接手段と、当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持するための挟持手段と、を備えたので、挟持手段によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とを重ねて挟持することで一対の建設部材同士を接続できる。よって、従来技術(一対の建設部材を溶接によって接続する技術)に比べて、一対の建設部材同士を接続する際の作業手間を軽減でき、作業性を高めることができる。また、一対の建設部材同士を接続する際に火花等が発生しないので、当該火花等に伴って火災や感電災害が発生することを回避できることから、当該接続を行う作業現場の安全性を確保しやすくなる。
【0077】
付記2に記載の建設部材の接続構造によれば、挟持手段が、第1挟持片及び第2挟持片によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、所定の圧力で第1挟持片及び第2挟持片を締め付けるための締付部を備えたので、第1挟持片及び第2挟持片によって当接手段と一対の建設部材のいずれか他方とが挟み込まれた状態で、締付部によって所定の圧力で第1挟持片及び第2挟持片を締め付けることができ、一対の建設部材同士を比較的強固に接続することが可能となる。
【0078】
付記3に記載の建設部材の接続構造によれば、第1挟持片及び第2挟持片を、締付部に対して回動自在に取り付けたので、状況に応じて第1挟持片及び第2挟持片を締付部に対して回動させることができ、第1挟持片及び第2挟持片によって一対の建設部材の少なくともいずれか一方の設置が阻害されることを回避できる。
【0079】
付記4に記載の建設部材の接続構造によれば、締付部が、長尺なボルト本体と、ボルト本体の長手方向の一方の端部に設けられたヘッド部とを有するボルトと、ボルト本体に対して挿通可能なナットと、を備えたので、締付部を既製の部材を用いて簡易に構成でき、締付部の製造性を高めることができる。
【0080】
付記5に記載の建設部材の接続構造によれば、当接手段を玉掛用器具と接続可能に構成したので、当接手段と玉掛用器具とを接続することができ、一対の建設部材のいずれか一方に玉掛用器具を取り付けるための取付部材を別途設ける必要がなくなるため、一対の建設部材のいずれか一方の製造性を維持しやすくなる。
【符号の説明】
【0081】
10 第1建設部材
20a、20b 第2建設部材
21 上フランジ部
22 下フランジ部
23 ウェブ部
30 当接部
40 挟持部
50 第1挟持片
51 挿通孔
60 第2挟持片
61 挿通孔
70 締付部
71 ボルト
71a ボルト本体
71b ヘッド部
72 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6