(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】通信装置、送信方法および集積回路
(51)【国際特許分類】
H04W 72/12 20090101AFI20220921BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20220921BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220921BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220921BHJP
H04W 52/54 20090101ALI20220921BHJP
【FI】
H04W72/12 150
H04W74/08
H04W72/04 136
H04W84/12
H04W52/54
(21)【出願番号】P 2018560346
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2017043908
(87)【国際公開番号】W WO2018128042
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2017001230
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(72)【発明者】
【氏名】松元 淳志
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0302185(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0360443(US,A1)
【文献】Evgeny Khorov (IITP RAS),Random Access RU Allocation in the Trigger Frame, IEEE 802.11-16/0582r3 ,2016年05月16日
【文献】Reza Hedayat (Newracom),Random Access CIDs, IEEE 802.11-16/1516r1 ,2016年11月04日
【文献】Simone Merlin (Qualcomm),CR - UL MU Operation, IEEE 802.11-16/0929r2 ,2016年07月25日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィールドを含むトリガーフレーム内のトリガータイプ情報を第1トリガータイプ又は第2トリガータイプに設定する、回路と、
前記トリガーフレームを送信する、送信部と、を具備し、
前記第1トリガータイプは、前記第1フィールドが1つ以上の端末を示すIDを含むことを示し、
前記第2トリガータイプは、前記第1フィールドが前記1つ以上の端末を示す前記IDを含まないことを示し、また、前記トリガーフレームの情報を示
し、
前記回路が、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は、端末がアップリンク応答信号を送信するか否かを判断するための、前記アップリンク応答信号の送信電力についての制限情報である、
通信装置。
【請求項2】
前記回路が、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、ランダムアクセス用のリソースユニットの割当である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記回路が、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、連続するリソースユニットの数である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記回路が、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、割当されないリソースユニットのサイズと開始位置である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記回路が、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、割当されないリソースユニットの開始位置と終了位置である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記1つ以上の端末を示す前記IDは、アソシエーションIDの一部である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
第1フィールドを含むトリガーフレーム内のトリガータイプ情報を第1トリガータイプ又は第2トリガータイプに設定する、
設定工程と、
前記トリガーフレームを送信する、工程と、を含み、
前記第1トリガータイプは、前記第1フィールドが1つ以上の端末を示すIDを含むことを示し、
前記第2トリガータイプは、前記第1フィールドが前記1つ以上の端末を示す前記IDを含まないことを示し、また、前記トリガーフレームの情報を示
し、
前記設定工程において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は、端末がアップリンク応答信号を送信するか否かを判断するための、前記アップリンク応答信号の送信電力についての制限情報である、
送信方法。
【請求項8】
前記設定工程において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、ランダムアクセス用リソースユニットの割当である、
請求項
7に記載の送信方法。
【請求項9】
前記設定工程において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、連続するリソースユニットの数である、
請求項
7に記載の送信方法。
【請求項10】
前記設定工程において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、割当されないリソースユニットのサイズと開始位置である、
請求項
7に記載の送信方法。
【請求項11】
前記設定工程において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は
また、割当されないリソースユニットの開始位置と終了位置である、
請求項
7に記載の送信方法。
【請求項12】
前記1つ以上の端末を示す前記IDは、アソシエーションIDの一部である、
請求項
7に記載の送信方法。
【請求項13】
第1フィールドを含むトリガーフレーム内のトリガータイプ情報を第1トリガータイプ又は第2トリガータイプに設定する、
設定処理と、
前記トリガーフレームを送信する、処理と、を制御し、
前記第1トリガータイプは、前記第1フィールドが1つ以上の端末を示すIDを含むことを示し、
前記第2トリガータイプは、前記第1フィールドが前記1つ以上の端末を示す前記IDを含まないことを示し、また、前記トリガーフレームの情報を示
し、
前記設定処理において、前記トリガータイプ情報を前記第2トリガータイプに設定した場合、前記第1フィールドで示される前記情報は、端末がアップリンク応答信号を送信するか否かを判断するための、前記アップリンク応答信号の送信電力についての制限情報である、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、送信方法および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11 Working GroupのTask Group axにおいて、802.11acの次期規格として、IEEE 802.11ax(以下、「11ax」と呼ぶ)の技術仕様策定が進められている。11axでは、OFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access)ベースのランダムアクセス(RA:Random Access)の導入が規定された。
【0003】
アクセスポイント(「基地局」とも呼ばれる)は、上りOFDMA信号の送信を指示する制御信号(以下、「Trigger frame」と呼ぶ)を、当該アクセスポイントが収容している複数の端末(「STA(Station)」と呼ばれることもある)へ送信する。
【0004】
Trigger frameでは、OFDMAにより送信信号を多重する複数の端末間で共通の情報を含めるCommon Info fieldと、OFDMAにより送信信号を多重する複数の端末の各々に固有の情報を含めるUser Info fieldが定義される(非特許文献1、非特許文献4)。
【0005】
Common Info fieldに含まれるTrigger Type subfieldでは、Trigger frameの種類(アクセスポイントが端末に送信させる信号種別)であるTrigger Typeを指示する(非特許文献2、非特許文献3)。
【0006】
User Info fieldに含まれるAID12 subfieldでは、アソシエーション時に端末に割り当てられる一意のIDであるAssociation ID(AID)を通知する。11axでは、未使用AIDの一つであるAID=0を設定することにより、User Info field中のRU Allocation subfieldで指示する周波数リソース (RU: Resource Unit)がRA用RUであることを各端末に指示することが合意されている。
【0007】
さらに、11axの会合において、RA専用の新たなTrigger frame(以下、「RA用変形Trigger frame」と呼ぶ)を導入することが新たに合意された(非特許文献5)。RA用変形Trigger frameを適用した場合には、User Info fieldで指示する全てのRUがRA用RUとなる。端末は、指示された複数のRA用RUの中から1つのRUをランダムに選択し、選択したRUを用いてUL応答信号(「UL(Uplink) response frame」と呼ばれることもある)を送信する。
【0008】
また、RA用変形Trigger frameを適用した場合、User Info fieldで指示するRUがRA用RUであることを、User Info fieldのAID12 subfieldを用いて指示する必要がなくなるので、AID12 subfieldが冗長なフィールドになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】IEEE 802.11-15/0132r17 “Specification Framework for TGax”
【文献】IEEE 802.11-16/0024r1 “Proposed TGax draft specification”
【文献】IEEE 802.11-16/0806r0 “HE Variant HT Control - Buffer Status Report”
【文献】IEEE 802.11-16/0617r1 “Remaining Topics in Power Control”
【文献】IEEE 802.11-16/1516r1 “CIDs for: Section 9.3.1.23 Random Access CIDs”
【発明の概要】
【0010】
RA用変形Trigger frameを適用した場合に、冗長なフィールドになるAID12 subfieldの使い方については十分に検討されていない。
【0011】
本開示の一態様は、Trigger frame中の冗長なフィールドの有効利用あるいは削減を図ることができる通信装置、端末および通信方法を提供する。
【0012】
本開示の一態様に係る通信装置は、上り信号の送信を指示するトリガー信号の種類を示すトリガー種別情報に基づいて、前記トリガー信号の端末IDフィールドに設定するための情報を生成するAID生成部と、前記トリガー種別情報に基づいて前記トリガー信号を生成し、前記端末IDフィールドに、前記AID生成部が生成した情報を設定するトリガー信号生成部と、前記トリガー信号生成部が生成したトリガー信号を送信する送信部と、を具備し、前記トリガー種別情報がランダムアクセスの送信を指示するものである場合、前記AID生成部は、端末IDとは異なる情報を生成する。
【0013】
本開示の一態様に係る端末は、上り信号の送信を指示するトリガー信号を送信する受信部と、前記トリガー信号の種類を示すトリガー種別情報がランダムアクセスの送信を指示するものである場合、前記トリガー信号の端末IDフィールドに設定された情報に基づいてランダムアクセス用のリソースユニットを決定する決定部と、前記決定部で決定したランダムアクセス用のリソースユニットを用いてランダムアクセス信号を生成する生成部と、を具備する。
【0014】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0015】
本開示の一態様によれば、冗長なフィールドの有効利用あるいは削減を図ることができる。
【0016】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係る通常Trigger frameのフォーマットを示す図
【
図2】実施の形態1に係る通常Trigger frameのCommon Info fieldのフォーマットを示す図
【
図3】実施の形態1に係る通常Trigger frameのTrigger Typeを示す図
【
図4】実施の形態1に係る通常Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットを示す図
【
図5】実施の形態1に係るRA用変形Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットを示す図
【
図6】実施の形態1に係るRA用変形Trigger frameで指定されるRA用RUの一例を示す図
【
図7】実施の形態1に係るアクセスポイントの主要構成を示すブロック図
【
図8】実施の形態1に係る端末の主要構成を示すブロック図
【
図9】実施の形態1に係るアクセスポイントの構成を示すブロック図
【
図10】実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図
【
図11】実施の形態1に係るRA用変形Trigger frameで指定されるRA用RUの一例(具体例1-1)を示す図
【
図12】実施の形態1に係るRA用変形Trigger frameで指定されるRA用RUの一例(具体例1-2)を示す図
【
図13】実施の形態1に係るRA用変形Trigger frameで指定されるRA用RUの一例(具体例1-3)を示す図
【
図14】実施の形態2に係るRA用変形Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットを示す図
【
図15】実施の形態2に係る制約条件の一例(通知例1)を示す図
【
図16】実施の形態2に係る制約条件の一例(通知例2)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0019】
また、以下の説明では、11axで既に導入されているTrigger frameを、RA用変形Triggerframeと区別するために、「通常Trigger frame」と呼ぶ。また、通常Trigger frameとRA用変形Trigger frameとを併せて、「Trigger frame」と呼ぶ。
【0020】
(実施の形態1)
[通常Trigger frame]
図1は、通常Trigger frameのフォーマットを示す図である。通常Trigger frameでは、OFDMAにより送信信号を多重する複数の端末で共通の情報を含めるCommon Info fieldと、OFDMAにより送信信号を多重する複数の端末の各々の固有情報を含めるUser Info fieldが定義される(非特許文献1)。
【0021】
図2は、通常Trigger frameのCommon Info fieldのフォーマットを示す図である(非特許文献1)。Trigger Type subfieldでは、Trigger Typeを指示する。Trigger Typeとして
図3に示すものが定義されている(非特許文献2)。また、
図3の定義に加えて、端末の送信バッファ情報の報告を指示するTrigger Type(以下、Buffer Status Report Poll (BSRP)と呼ぶ)を追加することが検討されている(非特許文献3)。Trigger Dependent Common Info subfieldでは、Trigger typeに適した端末共通情報を含めることができる。
【0022】
図4は、通常Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットを示す図である(非特許文献1、非特許文献4)。
図4は、非特許文献1では未定であったTarget RSSI subfieldのサイズを、非特許文献4の提案に従って7bitsに反映したフォーマットである。AID12 subfieldではAIDを通知する。AID=0を設定することで、User Info fieldで指示したRUがRA用RUであることを指示する(非特許文献1)。また、Trigger Dependent User Info subfieldでは、Trigger typeに適した端末固有情報を含めることができる。
【0023】
[RA用変形Trigger frame]
上記の通り、11axの会合において、RA専用のRA用変形Trigger frameの導入が新たに合意された(非特許文献5)。
【0024】
通常Trigger frame(
図1)では、OFDMAで多重する端末の数に応じて、複数のUser Info fieldが設定される。一方、RA用変形Trigger frameでは、User Info fieldが1個のみ設定される。RA用変形Trigger frameの他のフィールドは
図1と同一である。
【0025】
RA用変形Trigger frameのCommon Info fieldのフォーマットでは、
図2に示したフォーマットからTrigger Dependent Common Info subfieldが削除される。RA用変形Trigger frameのCommon Info fieldの他のフィールドは
図2と同一である。
【0026】
また、RA用変形Trigger frameを適用するために、
図3のTrigger Type subfieldのReservedにRA送信を指示する新たなTrigger Type(以下、「RA trigger」と呼ぶ)を追加することが考えられる。
【0027】
図5は、RA用変形Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットを示す図である(非特許文献5)。
図5に示すように、RA用変形Trigger frameのUser Info fieldのフォーマットでは、Trigger Dependent Per User Info subfieldが削除される。
【0028】
RA用変形Trigger frameを適用した場合、
図6に示すように、User Info fieldのRU Allocation subfieldで通知される全てのRUがRA用RU(RU for RA)となる。また、RA用変形Trigger frameでは、Trigger frameサイズを削減するために、RA用RUの配置を一つの連続帯域に限定している。なお、全てのRA用RUのサイズは同一とする。
【0029】
このため、RU Allocation subfieldでは、連続帯域であるRA用RUの開始位置およびRA用RUのサイズを指示する。また、RA用変形Trigger frameを適用した場合、SS Allocation subfieldでは、RA用RAの送信時の空間多重ストリーム数を1に限定することにより、空間多重ストリーム数を指示する代わりに、RA用RUの数を指示する。また、Coding Type、MCS、DCM、Target RSSI subfieldに設定される情報は、複数のRA用RUで共通とする。
【0030】
このように、RA用変形Trigger frameは、機能を限定し、1つのUser info fieldで複数の連続したRA用RUを指示することにより、Trigger frameサイズを削減することができる。
【0031】
また、RA用変形Trigger frameは、Common Info fieldのTrigger Dependent Common Info subfield、および、User Info fieldのTrigger Dependent Per User Info subfieldを削除することで、さらにTrigger frameサイズを削減することができる。
【0032】
また、RA用変形Trigger frameを適用した場合、User Info fieldのAID12 subfieldにてRA用RUであることを指示する必要がなくなるので、AID12 subfieldが冗長なフィールドになる。発明者らは、この点に着目し、本開示に至った。
【0033】
[アクセスポイント、端末の主要構成]
本実施の形態に係る無線通信システムは、アクセスポイント(無線送信装置)100および端末(無線受信装置)200を備える。アクセスポイント100が端末200に対して、RA送信を指示するTrigger frameを送信し、端末200がTrigger frameを受信し、Trigger frameで指示されたリソースを用いてRAをアクセスポイント100へ送信する。
【0034】
図7は、本実施の形態に係るアクセスポイント100の主要構成を示すブロック図である。
図7に示すアクセスポイント100において、AID生成部103は、Trigger TypeがRA triggerの場合、AID12 subfield情報としてAIDとは異なる情報を生成する。Trigger frame生成部104は、Trigger TypeがRA triggerの場合には、RA用変形Trigger frameを生成し、AID12 subfieldにAID生成部103から出力された情報を設定する。無線送受信部106は、Trigger frame生成部104が生成したTrigger frameを端末200に送信する。
【0035】
図8は、本実施の形態に係る端末200の主要構成を示すブロック図である。
図8に示す端末200において、無線送受信部202は、アクセスポイント100から送信されたTrigger frameを受信する。RAリソース決定部205は、Trigger TypeがRA triggerの場合、RU Allocation subfieldの情報およびSS Allocation subfieldの情報によって指示された連続帯域の中から、AID12 field情報によって割り当て可能な複数のRA用RUを特定し、その中の1つをランダムに選択し、RA用RUを決定する。RA生成部206は、RAリソース決定部205で決定したRA用RUを用いてRA信号を生成する。無線送受信部202は、RAリソース決定部205が生成したRA信号をアクセスポイント100に送信する。
【0036】
[アクセスポイントの構成]
図9は、本実施の形態に係るアクセスポイント100の構成を示すブロック図である。
図9において、アクセスポイント100は、RAリソース制御部101と、Trigger Type決定部102と、AID生成部103と、Trigger frame生成部104と、送信信号変調部105と、無線送受信部106と、アンテナ107と、受信信号復調部108と、品質推定部109と、を有する。無線送受信部106は、送信部および受信部を含む。また、RAリソース制御部101、Trigger Type決定部102、AID生成部103、Trigger frame生成部104および品質推定部109は、アクセス制御(MAC:Media Access Control)部を構成する。
【0037】
RAリソース制御部101は、品質推定部109から出力された所定サイズのRU毎の受信品質に基づいて、システム帯域内でRA用RUを割り当てる帯域を決定する。例えば、他のサービスが利用する帯域と重複するRU、復調時ベースバンドのDC周波数に対応するRU、あるいは、干渉が比較的強いRU等の、受信品質が悪いRUがあった場合に、RAリソース制御部101は、そのRUへの割当を避けるため非連続帯域のRA用RUを割り当てる。そして、RAリソース制御部101は、RA用RUを割り当てる帯域を示すRA用RUの割当情報をAID生成部103およびTrigger frame生成部104に出力する。
【0038】
Trigger Type決定部102は、Trigger frameのTrigger Type(トリガー種別情報)を決定する。Trigger Type決定部102が決定するTrigger Typeの中には、RA用変形Trigger frameを適用するRA triggerがある。そして、Trigger Type決定部102は、Trigger Typeを示すTrigger Type subfield情報をAID生成部103およびTrigger frame生成部104に出力する。
【0039】
AID生成部103は、RAリソース制御部101から出力されたRA用RUの割当情報と、Trigger Type決定部102から出力されたTrigger Type subfield情報とに基づいて、Trigger frameのAID12 subfield情報(端末IDフィールドに設定する情報)を生成する。特に、AID生成部103は、端末200にRA送信を指示する場合であって、かつ、Trigger TypeがRA trigger以外の場合には、AID=0の情報を生成する。この場合、User Info field毎に1つのRA用RUが設定される。なお、複数のRA用RUを設定する場合には、複数のUser Info fieldをTrigger frameに設ける必要がある。
【0040】
また、AID生成部103は、Trigger TypeがRA trigger(ランダムアクセスの送信を指示するもの)の場合、AID12 subfield情報としてAIDとは異なる情報(RA用RUの割当に関する情報)を生成する。この場合のAID生成部103の動作の詳細(具体例)については後述する。
【0041】
そして、AID生成部103は、生成した情報をTrigger frame生成部104に出力する。
【0042】
Trigger frame生成部(トリガー信号生成部)104は、Trigger TypeがRA trigger以外の場合には、通常Trigger frameを生成する。一方、Trigger frame生成部104は、Trigger TypeがRA triggerの場合には、RA用変形Trigger frameを生成する。
【0043】
また、Trigger frame生成部104は、Trigger frameのAID12 subfield(端末IDフィールド)に、AID生成部103から出力された情報を設定する。
【0044】
また、Trigger frame生成部104は、RA用変形Trigger frameを生成した場合、RAリソース制御部101から出力されたRA用RU割当情報に基づいて、RU Allocation subfieldに連続帯域であるRA用RUの開始RUの位置およびRUサイズを設定し、SS Allocation subfieldにRA用RUの連続RU数を設定する。
【0045】
そして、Trigger frame生成部104は、生成したTrigger frame(トリガー信号)を送信信号変調部105に出力する。
【0046】
送信信号変調部105は、Trigger frame生成部104から出力されたTrigger frameに対して符号化・変調処理を行う。そして、送信信号変調部105は、変調後の信号に対して、受信側(端末200)での周波数同期、タイミング同期に用いるパイロット信号、チャネル推定用信号等の制御信号(プリアンブルとも呼ばれる)を付加し、無線フレーム(送信信号)を生成し、無線送受信部106に出力する。
【0047】
無線送受信部106は、送信信号変調部105から出力された無線フレーム(送信信号)に対してD/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ107を介して端末200に送信する。また、無線送受信部106は、端末200から送信された信号を、アンテナ107を介して受信し、受信した信号にベースバンドへのダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を受信信号復調部108に出力する。
【0048】
受信信号復調部108は、無線送受信部106から出力された信号に対して自己相関処理等を行うことにより無線フレームを抽出し、品質推定部109に出力する。
【0049】
品質推定部109は、受信信号復調部108から出力された無線フレームに含まれるパイロット信号を用いて所定サイズのRU毎に受信品質を推定し、推定結果をRAリソース制御部101に出力する。
【0050】
[端末の構成]
図10は、本実施の形態に係る端末200の構成を示すブロック図である。
図10において、端末200は、アンテナ201と、無線送受信部202と、受信信号復調部203と、Trigger frame復号部204と、RAリソース決定部205と、RA生成部206と、送信信号変調部207と、を有する。無線送受信部202は、送信部および受信部を含む。また、RAリソース決定部205およびRA生成部206は、アクセス制御部(MAC)を構成する。
【0051】
無線送受信部202は、アクセスポイント100から送信されたTrigger frameを、アンテナ201を介して受信し、受信した信号にベースバンドへのダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を行い、無線受信処理後の信号を受信信号復調部203に出力する。また、無線送受信部202は、後述する送信信号変調部207から出力された信号に対してD/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナ201を介してアクセスポイント100に送信する。
【0052】
受信信号復調部203は、無線送受信部202から出力された信号に対して自己相関処理等を行うことにより無線フレーム(Trigger frame)を抽出し、Trigger frame復号部204に出力する。
【0053】
Trigger frame復号部204は、受信信号復調部203から出力されたTrigger frameを復号し、復号したTrigger frameをRAリソース決定部205へ出力する。
【0054】
RAリソース決定部205は、Trigger frame復号部204から出力されたTrigger frameのTrigger Type field、AID12 field、RU Allocation subfield、SS Allocation subfieldの情報に基づいてRA用RUを決定する。具体的には、Trigger TypeがRA trigger(RA用変形Trigger frame)の場合、RAリソース決定部205は、RU Allocation subfieldの情報およびSS Allocation subfieldの情報によって指示された連続帯域の中から、AID12 fieldの情報によって割り当て可能な複数のRA用RUを特定し、その中の1つをランダムに選択し、RA用RUを決定する。また、Trigger TypeがRA trigger以外(通常Trigger frame)で、かつ、AID=0の場合、RAリソース決定部205は、User Info fieldのRU Allocation subfieldに設定された1つのRUをRA用RUとして決定する。
【0055】
RA生成部206は、RAリソース決定部205で決定したRA用RUを用いて端末IDおよび端末の送信情報(データや制御情報等)を含むRA信号を生成し、送信信号変調部207へ出力する。
【0056】
送信信号変調部207は、RA信号に対して符号化・変調を行う。そして、送信信号変調部207は、変調後の信号に対して、アクセスポイント100での周波数同期、タイミング同期に用いるパイロット信号、チャネル推定用信号等の制御信号(プリアンブル)を付加し、無線フレーム(送信信号)を生成し、無線送受信部202に出力する。なお、RA信号は、RAリソース決定部205で決定した情報に示されるRA用RUに周波数マッピングされる。
【0057】
[AID生成部の動作]
次に、Trigger TypeがRA triggerの場合における本実施の形態のAID生成部103の動作について詳細に説明する。本実施の形態では、Trigger typeがRA triggerの場合、AID12 subfieldを、RA用RUの割当に関する情報の一部として用いる。以下、AID生成部103によるAID12 subfieldの生成方法の3つの具体例1-1~1-3について説明する。
【0058】
<具体例1-1>
具体例1-1では、AID生成部103が、
図11(a)に示すように、AID12 subfieldの上位6bitsで部分割当帯域1(連続帯域の1番目のブロック)のRU数を設定し、AID12 subfieldの下位6bitsで非割当帯域のRU数を設定する、あるいは、
図11(b)に示すように、AID12 subfieldの上位6bitsで部分割当帯域1のRU数を設定し、AID12 subfieldの下位6bitsで部分割当帯域2の先頭RUまでのRU数を設定する。なお、上位6bitsと下位6bitsで通知する情報は上述したものを入れ替えてもよい。
【0059】
ここで、AID12 subfieldの上位/下位6bitsによるRU数は、RA用変形Trigger frameのSS allocation (6bits)と同様に、RU allocationで通知されたRUサイズと同じRUを繰り返す数とする。ただし、RU数=0の通知を含める。非割当とするRU数、あるいは、部分割当帯域2までのRU数を「0」に設定することにより、従来のRA用変形Trigger frameと同様に連続帯域のRA用RUを指示できる。
【0060】
このように、具体例1-1では、1つのUser Info fieldで、2つの帯域のRA用RUを指示することができる。これにより、受信品質が悪い一部のRUへの割当を除外でき、性能を改善できる。また、RA用変形Trigger frameのSS allocationと同様の定義を適用することで、簡易に実装が可能となる。
【0061】
<具体例1-2>
具体例1-2では、AID生成部103が、連続帯域割当時には、AID12 subfield のMSBを「0」とし、残りの11bitsは未使用とする。また、AID生成部103が、非連続帯域割当時には、
図12に示すように、AID12 subfield のMSBを「1」とし、残りの11bitsので、RU allocation (8btis)を、非割当RUの開始位置とサイズとする。
【0062】
このように、具体例1-2では、1つのUser Info fieldで、2つの帯域のRA用RUを指示することができる。これにより、受信品質が悪い一部のRUへの割当を除外でき、性能を改善できる。また、Trigger frameのRU allocationと同様の定義を適用することで、簡易に実装が可能となる。
【0063】
<具体例1-3>
具体例1-3では、AID生成部103が、
図13に示すように、非連続帯域割当時にはAID12 subfield のMSBを「1」に設定し、残りの11bitsによって、非割当RUの開始と終了のパターン情報を設定する。なお、連続帯域割当時にはAID12 subfield のMSBを「0」に設定し、残りの11bitsは未使用とする。
【0064】
非割当RUのパターンは、RUサイズによって変更される。具体的には、RUサイズが26 toneの場合、非割当RUとして通知しうる最大RU数は「35」となる。「35」とは、80MHz、26-toneでのRU割り当てパターン数である「37」から、2つの部分割当帯域の最小割り当てRU数である「2」を引いたものである。よって、以下の式(1)により10bitsで、1つの非割当RUの開始とRU数を指示することができる。
【0065】
【0066】
また、RUサイズが52 toneの場合、非割当RUとして通知しうる最大RU数は「14」となる。「14」とは、80MHz、52-toneでのRU割り当てパターン数である「16」から、2つの部分割当帯域の最小割り当てRU数である「2」を引いたものである。よって、以下の式(2)により11bitsで、2つの非割当RUの開始とRU数を指示することができる。
【0067】
【0068】
このように、具体例1-3では、1つのUser Info fieldで、3つまでの帯域のRA用RUを指示することができる。これにより、受信品質が悪い一部のRUへの割当を除外でき、性能を改善できる。また、Trigger frameのRU allocationと同様の定義を適用することで、簡易に実装が可能となる。
【0069】
なお、上記式で指示する情報はRUの開始とRU数ではなく、非送信帯域の前後のRU位置という定義でもよい。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、Trigger typeがRA triggerの場合、AID12 subfieldを、RA用RUの割当に関する情報の一部として用いる。これにより、AID12 subfieldを有効利用することができ、Trigger frameサイズを増加させることなく、機能(スケジューリング性能等)の向上を図ることができる。具体的には、RAの周波数スケジューリングの自由度向上や、干渉制御の性能向上といった効果を得ることができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、AID12 subfieldの内、一部をBuffer Status Report Poll (BSRP)専用のRA用変形Trigger frameであることを通知(例えば、LSB=0: 送信情報に制限なし、LSB=1:BSRPのみ送信可)してもよい。
【0072】
以上、実施の形態1について説明した。
【0073】
(実施の形態2)
RA用変形Trigger frameを適用する場合、様々な状態の端末を一律に扱うと性能の劣化につながるおそれがある。例えば、距離のばらつきが大きく信号電力の制御が不十分な場合、マルチユーザ干渉で性能が劣化する。Trigger frameによって指示される上りOFDMA信号には、送信電力制御が適用される(非特許文献4)。11axに対応した端末の中には送信電力を数段階しか変更できない端末や、送信電力制御の機能を有しない端末が存在するなど、端末によって送信電力制御の精度が異なる。よって、各端末では、アクセスポイントから通知されたTarget RSSIなどから送信電力を算出するにも関わらず、端末の最大送信電力、最小送信電力の制限から、Target RSSIを満たす送信電力で、信号を送信できない可能性がある。この場合、端末間の信号の受信電力差によるマルチユーザ間干渉が発生し、受信性能が劣化する可能性がある。
【0074】
これらの点に鑑み、実施の形態2では、Trigger frameサイズ(AID12 subfield)をoctet (8bits)単位で削減し、さらにその端数となるビットを、Trigger frameを送信する端末の制約情報に読み替えることで、マルチユーザ間干渉によるRAの性能劣化を低減する場合について説明する。
【0075】
[アクセスポイントの構成]
本実施の形態に係るアクセスポイントの構成は、
図9に示した実施の形態1のアクセスポイント100の構成と同一である。ただし、本実施の形態に係るアクセスポイントは、実施の形態1で説明したアクセスポイント100と比較して、RAリソース制御部101の動作と、Trigger TypeがRA triggerの場合のAID生成部103の動作が異なる。
【0076】
RAリソース制御部101は、品質推定部109から出力された所定サイズのRU毎の受信品質に基づいて、端末200の制約方法を決定する。例えば、RAリソース制御部101は、受信品質が所定閾値より高い場合には、端末200のRA送信に制約を設けず、受信品質が所定閾値より低い場合には端末200のRA送信に制約を設けるようにすることで受信性能の向上を図る。そして、RAリソース制御部101は、決定した端末200の制約方法をを示す端末制約情報をAID生成部103およびTrigger frame生成部104に出力する。
【0077】
AID生成部103は、Trigger TypeがRA triggerの場合、AID12 subfieldの12bitsの内、1 octet (8bits)を削減し、残り4bitsにはAID情報とは異なる情報(端末の制約情報)を生成する。この場合のAID生成部103の動作の詳細(具体例)については後述する。
【0078】
[端末の構成]
本実施の形態に係る端末の構成は、
図10に示した実施の形態1の端末200の構成と同一である。ただし、本実施の形態に係る端末は、実施の形態1で説明した端末200と比較して、Trigger TypeがRA triggerの場合のRAリソース決定部205の動作が異なる。
【0079】
RAリソース決定部205は、Trigger TypeがRA trigger(RA用変形Trigger frame)の場合、RU Allocation subfield、SS Allocation subfieldの情報から複数のRA用RUを特定し、さらに、AID12 fieldの端末の制約条件に関する情報に基づいて、自端末がRA送信可能か否かを判断する。なお、制約条件の詳細については後述する。RAリソース決定部205は、自端末がRA送信可能と判断した場合、特定した複数のRA用RUの中の1つをランダムに選択し、RA用RUを決定する。一方、RAリソース決定部205は、自端末がRA送信不可と判断した場合、RA用RUが無いと決定する。
【0080】
[AID生成部の動作]
次に、Trigger TypeがRA triggerの場合における本実施の形態のAID生成部103の動作について詳細に説明する。本実施の形態では、AID生成部103は、Trigger frameサイズを減らし、octet単位の端数となるビットを、RA用変形Trigger frameを送信する端末200の制約情報に読み替える。以下、AID生成部103によるAID12 subfieldの残りの4bitsの生成方法の2つの具体例2-1~2-2について説明する。
【0081】
<具体例2-1>
具体例2-1では、AID生成部103が、
図14に示すように、AID12 subfieldの12bitsの内、1 octet (8bits)を削減し、残りの4bitsをReserved情報とする。なお、
図14ではAID12と表記しているが、AID4やReservedのように異なる表記にしてもよい。また、すでに確保されているUser Info fieldの最後のReserved subfieldと残りの4bitsを合わせて、5bitsの一つのReserved subfieldとする構成でもよい。
【0082】
これにより、Trigger frameの冗長なフィールドを1 octet (8bits)を削減することができ、Trigger frame送信による制御信号のオーバヘッドを削減することができる。また、Reserved subfieldのサイズを大きくすることで、未使用な領域を増やすことができ、将来の仕様変更に対応しやすくなる。
【0083】
<具体例2-2>
具体例2-2では、AID生成部103が、
図14に示すように、AID12 subfieldの12bitsの内、1 octet (8bits)を削減し、残り4bitsで端末の制約情報を指定する。なお、
図14ではAID12と表記しているが、AID4や制約情報のように異なる表記にしてもよい。制約情報とは、IDと制約条件がマッピングされた情報である。制約条件は、例えば、アクセスポイントから通知されたTarget RSSIを満たすために必要な送信電力(以下、「要求送信電力」と呼ぶ)が端末の最小送信電力以上か否かという条件である。なお、端末の最小送信電力が要求送信電力以上とは、アクセスポイント側の受信電力が、Target RSSIよりも大きくなる条件、つまりユーザ間干渉が発生しやすい条件である。端末は、AID12 subfieldの4bitsで送信されるIDから、端末の制約条件を読み取り、要求送信電力を計算した後に要求送信電力が制約条件を満たしているか否かを判断し、制約条件を満たしている場合にはRAの送信を行い、制約条件を満たしていない場合にはRAの送信を行わない。
【0084】
以下、4bitsでの通知例1、2について説明する。
【0085】
<通知例1>
通知例1では、AID12 subfieldの4bitsと制約条件を
図15のように割り当てる。「0」から順番に割り当てることで、端末の制約条件の判別処理が容易になる。
【0086】
また、Trigger TypeがRA trigger以外(通常Trigger frame)のAID12 subfieldにおいても同様に制約情報を示すAIDを追加してもよい。例えば、従来未使用であった2008以降のAIDの中から下位4bitsが「1」および「2」となる2017, 2018をRA用の制約情報として使用する。
【0087】
このように、Trigger TypeがRA trigger以外の場合において、制約情報として使用される可能性が高いAIDの下位ビットと、RA用変形Trigger frameの制約情報として使用するAID12 subfieldを合わせることで、制約情報の判定処理を簡易化できる。
【0088】
<通知例2>
通知例2では、AID12 subfieldの4bitsと制約条件を
図16のように割り当てる。「8」および「9」は従来のAIDでは未使用であった番号(2008, 2009)の下位4bitsである。Trigger typeがRA trigger以外の場合に上記と同様の制約情報を通知する際に未使用のAIDを使用する可能性が高いことから、Trigger typeがRA trigger以外の場合において、制約情報として使用される可能性が高いAIDの下位ビットと、RA用変形Trigger frameの制約情報として使用するAID12 subfieldを合わせることで、制約情報の判定処理を簡易化できる。
【0089】
以上のように、本実施の形態によれば、Trigger frameの冗長なフィールドを1 octet (8bits)を削減することができ、Trigger frame送信による制御信号のオーバヘッドを削減することができる。また、AID12 subfieldの4bitsで通知される制約条件を満たしているか否かにより、RAを送信できる端末を制限することで、アクセスポイントのRAの受信おいて、ユーザ間干渉を低減させることができる。
【0090】
なお、制約情報の4bitsの内の一部をBuffer Status Report Poll (BSRP)専用のRA用変形Trigger frameであることを通知してもよい。例えば、4bitsの内の1bitを割り当て、その1bitが「0」の場合には端末がRA送信する送信情報に制限がないとし、「1」の場合には端末がBSRPに限定してRA送信を行うとする。
【0091】
以上、実施の形態2について説明した。
【0092】
なお、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせて使用してもよい。例えば、AID12 subfieldの一部のビット(例えば8bits)を、RA用RUの割当に関する情報とし、残りのビット(例えば4bits)を端末の制約情報としてもよい。
【0093】
また、上記各実施の形態で使用した連続・非連続帯域とは、物理的な周波数リソースが連続・非連続という意味でもよいし、システム帯域およびRU type毎に割り振られているRUのインデックスが連続・非連続という意味でもよい。
【0094】
(他の実施の形態)
上記各実施の形態では、Trigger typeとしてRA triggerを1つ追加する構成について説明したが、本発明はこれに限られず、通常データをRA用変形Trigger frameで送信させるBasic RA triggerや、送信バッファ状態をRA用変形Trigger frameで送信させるBSRP RA Trigger等、複数のRA triggerを定義してもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、本開示の一態様をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
【0096】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0097】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0098】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0099】
本開示の通信装置は、上り信号の送信を指示するトリガー信号の種類を示すトリガー種別情報に基づいて、前記トリガー信号の端末IDフィールドに設定するための情報を生成するAID生成部と、前記トリガー種別情報に基づいて前記トリガー信号を生成し、前記端末IDフィールドに、前記AID生成部が生成した情報を設定するトリガー信号生成部と、前記トリガー信号生成部が生成したトリガー信号を送信する送信部と、を具備し、前記トリガー種別情報がランダムアクセスの送信を指示するものである場合、前記AID生成部は、端末IDとは異なる情報を生成する。
【0100】
本開示の通信装置において、前記AID生成部は、前記端末IDとは異なる情報として、ランダムアクセス用のリソースユニットの割当に関する情報を生成する。
【0101】
本開示の通信装置において、1つの連続帯域であるランダムアクセス用のリソースユニットから一部を除外する場合に、前記AID生成部は、前記端末IDとは異なる情報として、連続する部分割当帯域のリソースユニットの数および非割当帯域のリソースユニットの数を示す情報を生成する。
【0102】
本開示の通信装置において、1つの連続帯域であるランダムアクセス用のリソースユニットから一部を除外する場合に、前記AID生成部は、前記端末IDとは異なる情報として、非割当帯域のリソースユニットの開始位置とサイズを示す情報を生成する。
【0103】
本開示の通信装置において、1つの連続帯域であるランダムアクセス用のリソースユニットから一部を除外する場合に、前記AID生成部は、前記端末IDとは異なる情報として、非割当帯域のリソースユニットの開始と終了のパターンを示す情報を生成する。
【0104】
本開示の通信装置において、前記AID生成部は、前記端末IDとは異なる情報として、端末の制約情報を生成する。
【0105】
本開示の通信装置において、前記AID生成部は、前記端末IDフィールドに設定するための情報の内、1 octetを削除する。
【0106】
本開示の端末は、上り信号の送信を指示するトリガー信号を送信する受信部と、前記トリガー信号の種類を示すトリガー種別情報がランダムアクセスの送信を指示するものである場合、前記トリガー信号の端末IDフィールドに設定された情報に基づいてランダムアクセス用のリソースユニットを決定する決定部と、前記決定部で決定したランダムアクセス用のリソースユニットを用いてランダムアクセス信号を生成する生成部と、を具備する。
【0107】
本開示の通信方法は、上り信号の送信を指示するトリガー信号の種類を示すトリガー種別情報に基づいて前記トリガー信号を生成し、前記トリガー種別情報がランダムアクセスの送信を指示するものである場合、前記トリガー信号の端末IDフィールドに端末IDとは異なる情報を設定し、前記トリガー信号を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示の一態様は、冗長なフィールドの有効利用あるいは削減を図ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0109】
100 アクセスポイント
200 端末
101 RAリソース制御部
102 Trigger Type決定部
103 AID生成部
104 Trigger frame生成部
105,207 送信信号変調部
106,202 無線送受信部
107,201 アンテナ
108,203 受信信号復調部
109 品質推定部
204 Trigger frame復号部
205 RAリソース決定部
206 RA生成部