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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】探知具
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/00 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G01V3/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019060974
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159934
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-014393(JP,U)
【文献】特開2007-101451(JP,A)
【文献】特開2004-184287(JP,A)
【文献】特開昭63-238489(JP,A)
【文献】特開平10-048343(JP,A)
【文献】特開平10-221462(JP,A)
【文献】特開2008-051539(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0416162(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の隠蔽材の裏側に配設された被探知体を前記隠蔽材の表側から探知する探知具であって、
前記被探知体の探知の際に前記隠蔽材の表面に沿わす摺接面を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記隠蔽材の裏側に配設された前記被探知体を探知する探知部と、
前記探知部によって探知された前記被探知体の位置を前記隠蔽材の表面に表記するためのマーキング部と、
前記筐体に組付けられて前記マーキング部を覆う被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、前記マーキング部を覆う第1位置と、前記第1位置と異なる位置であって前記マーキング部を露出させる第2位置との間を、前記筐体に組付けられた状態で移動可能であり、
前記第2位置では、前記被覆部材は、前記摺接面と同一面上に位置する、又は前記摺接面よりも前記隠蔽材の表面から離れていることを特徴とする探知具。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記第1位置と前記第2位置との間を、前記摺接面の面方向に沿ってスライド移動可能に前記筐体に組付けられている請求項1に記載の探知具。
【請求項3】
前記筐体は、前記被覆部材がスライド移動するスライド方向に長手が延びるスライド溝と、前記被覆部材の前記第2位置において、前記摺接面よりも凹み前記被覆部材を収納する収容凹部と、を備え、前記スライド溝は、前記スライド方向の前記第1位置側に位置する溝部と、当該溝部よりも前記スライド方向の前記第2位置側において前記溝部に連続し、かつ前記摺接面と反対側に向けて広がり、前記溝部より幅広な拡張溝部とから構成され、
前記被覆部材は、前記スライド溝に挿入される掛止突部を備え、
前記被覆部材が前記第2位置に位置するとき、前記拡張溝部に前記掛止突部が入り込むことで、前記被覆部材は前記収容凹部に収納される位置に移動可能である請求項2に記載の探知具。
【請求項4】
前記筐体は、前記摺接面及び前記収容凹部を有する基部と、当該基部とともに前記探知部を収納するカバー本体と、を有するとともに、前記基部と前記カバー本体との間に前記スライド溝が位置し、前記基部と前記カバー本体は、前記スライド溝の短手方向に沿って溝幅を狭めるように相対的に移動可能であり、前記被覆部材が前記第1位置に位置するとき、前記マーキング部と前記摺接面との相対的な移動を規制する規制構造を有する請求項3に記載の探知具。
【請求項5】
前記基部と前記カバー本体の相対的な移動がない状態では、前記マーキング部は、前記摺接面よりも前記筐体の内側へ控えた位置にあり、前記基部と前記カバー本体の相対的な移動により、前記マーキング部と前記摺接面は、前記摺接面に交差する方向へ相対的に移動し、当該相対的な移動により前記マーキング部は前記摺接面よりも飛び出し可能であり、前記被覆部材が前記第1位置に位置するとき、前記溝部に前記掛止突部が入り込むことで前記規制構造を構成する請求項4に記載の探知具。
【請求項6】
前記筐体は、前記基部と前記カバー本体とを相対的に移動させるために軸支する軸支部を備え、前記カバー本体を前記隠蔽材の表面に向かって押し付けることで、前記軸支部を傾動中心として前記基部に対し前記カバー本体が相対的に傾動し、前記摺接面よりも前記筐体の内側へ控えた位置に設けられた前記マーキング部を前記摺接面よりも飛び出させる請求項5に記載の探知具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の隠蔽材の裏側に配設された被探知体を隠蔽材の表側から探知する探知具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の壁に取り付けられるスイッチ等の配線器具は、壁材の裏側に配設された配線用ボックスに取り付けられる。配線用ボックスは前面に開口する有底四角箱状である。配線用ボックスは、壁材が配線用ボックスの開口側に配置される前、当該開口側が、壁材の裏面に臨むように柱等の構造体に取り付けられる。配線用ボックスが構造体に取り付けられた後、配線用ボックスの開口側に壁材が設置され、配線用ボックスが壁材の裏側に隠蔽される。そして、配線用ボックスにスイッチ等の配線器具を接続する際は、壁材の表側から配線用ボックスの位置を探し、壁材において、探知された配線用ボックスの隠蔽されている位置に孔をあけて配線用ボックスを壁材の表側へ露出させ、その配線用ボックスに配線器具を取り付ける。
【0003】
配線用ボックスの位置を壁材の表側から探し出すため、配線用ボックスには磁石が配設され、その磁石を探知することで配線用ボックスの位置を探し出す探知具が使用されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の磁石探知機は、磁石から生じる磁束線をホール素子で検出し、そのホール素子の検出結果を表示手段によって使用者に示す。壁材の表側から磁石を探知した後は、探知した磁石の位置を壁材の表面に表記する。特許文献1の磁石探知機は、磁石の位置を壁材の表面に表記するためのスタンプを備える。このスタンプは、磁石探知機に未使用時は被覆部材によって覆われ、保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-101451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の磁石探知機においては、マーキングのためにスタンプを露出させたときに被覆部材を紛失する虞があった。
本発明の目的は、マーキング部を露出させたときに被覆部材が紛失することを抑制できる探知具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための探知具は、建築物の隠蔽材の裏側に配設された被探知体を前記隠蔽材の表側から探知する探知具であって、前記被探知体の探知の際に前記隠蔽材の表面に沿わす摺接面を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられ、前記隠蔽材の裏側に配設された前記被探知体を探知する探知部と、前記探知部によって探知された前記被探知体の位置を前記隠蔽材の表面に表記するためのマーキング部と、前記筐体に組付けられて前記マーキング部を覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、前記マーキング部を覆う第1位置と、前記第1位置と異なる位置であって前記マーキング部を露出させる第2位置との間を、前記筐体に組付けられた状態で移動可能であり、前記第2位置では、前記被覆部材は、前記摺接面と同一面上に位置する、又は前記摺接面よりも前記隠蔽材の表面から離れていることを要旨とする。
【0007】
また、探知具について、前記被覆部材は、前記第1位置と前記第2位置との間を、前記摺接面の面方向に沿ってスライド移動可能に前記筐体に組付けられていてもよい。
また、探知具について、前記筐体は、前記被覆部材がスライド移動するスライド方向に長手が延びるスライド溝と、前記被覆部材の前記第2位置において、前記摺接面よりも凹み前記被覆部材を収納する収容凹部と、を備え、前記スライド溝は、前記スライド方向の前記第1位置側に位置する溝部と、当該溝部よりも前記スライド方向の前記第2位置側において前記溝部に連続し、かつ前記摺接面と反対側に向けて広がり、前記溝部より幅広な拡張溝部とから構成され、前記被覆部材は、前記スライド溝に挿入される掛止突部を備え、前記被覆部材が前記第2位置に位置するとき、前記拡張溝部に前記掛止突部が入り込むことで、前記被覆部材は前記収容凹部に収納される位置に移動可能であってもよい。
【0008】
また、探知具について、前記筐体は、前記摺接面及び前記収容凹部を有する基部と、当該基部とともに前記探知部を収納するカバー本体と、を有するとともに、前記基部と前記カバー本体との間に前記スライド溝が位置し、前記基部と前記カバー本体は、前記スライド溝の短手方向に沿って溝幅を狭めるように相対的に移動可能であり、前記被覆部材が前記第1位置に位置するとき、前記マーキング部と前記摺接面との相対的な移動を規制する規制構造を有していてもよい。
【0009】
また、探知具について、前記基部と前記カバー本体の相対的な移動がない状態では、前記マーキング部は、前記摺接面よりも前記筐体の内側へ控えた位置にあり、前記基部と前記カバー本体の相対的な移動により、前記マーキング部と前記摺接面は、前記摺接面に交差する方向へ相対的に移動し、当該相対的な移動により前記マーキング部は前記摺接面よりも飛び出し可能であり、前記被覆部材が前記第1位置に位置するとき、前記溝部に前記掛止突部が入り込むことで前記規制構造を構成してもよい。
【0010】
また、探知具について、前記筐体は、前記基部と前記カバー本体とを相対的に移動させるために軸支する軸支部を備え、前記カバー本体を前記隠蔽材の表面に向かって押し付けることで、前記軸支部を傾動中心として前記基部に対し前記カバー本体が相対的に傾動し、前記摺接面よりも前記筐体の内側へ控えた位置に設けられた前記マーキング部を前記摺接面よりも飛び出させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マーキング部を露出させたときに被覆部材が紛失することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】壁材裏側の配線用ボックスの永久磁石を磁石探知機で探知する状態の斜視図。
図2】磁石探知機を被覆部材側から示す斜視図。
図3】磁石探知機を示す分解斜視図。
図4】筐体と被覆部材を示す分解斜視図。
図5】被覆部材が第2位置に位置し、マーキング部が飛び出した状態の斜視図。
図6】被覆部材が第1位置に位置する状態を示す側面図。
図7】被覆部材が第1位置に位置する状態を示す断面図。
図8】被覆部材が第2位置に位置する状態を示す側面図。
図9】マーキング部を摺接面より飛び出させた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、探知具を具体化した一実施形態を図1図9にしたがって説明する。なお、以下の説明において、配線用ボックス11及び磁石探知機20の「上」「下」「左」「右」「表(前)」「裏(後)」は、図1に示す矢印Z1の方向を上下方向とし、矢印Z2の方向を左右方向とし、矢印Z3の方向を表裏(前後)方向とする。
【0014】
まず、配設体としての配線用ボックス11について説明する。
図1に示すように、合成樹脂製の配線用ボックス11は、矩形板状の底壁13と、底壁13の四側周縁から立設された周壁12とを有し、前面に開口する有底四角箱状である。配線用ボックス11は、上壁に、図示しないケーブルを配線貫通可能な配線貫通部12aを備える。配線用ボックス11は、底壁13から開口側へ突出する円筒状の支持部14を備える。配線用ボックス11は、支持部14に支持された永久磁石15を備える。永久磁石15は、配線用ボックス11の開口に向けて露出している。
【0015】
配線用ボックス11は、左側壁を貫通する取付孔16を複数備える。そして、建築物を構築するための構造体としての柱17に対して、取付孔16からねじ19をねじ込むことにより、配線用ボックス11が柱17に取り付けられる。柱17に取り付けられた配線用ボックス11の開口側には、隠蔽材としての壁材18が配置され、配線用ボックス11は壁材18の裏側に隠蔽される。
【0016】
次に、磁石探知機20について説明する。磁石探知機20は、壁材18の裏側に配設された被探知体としての永久磁石15を壁材18の表側から探知する探知具である。
図1又は図2に示すように、磁石探知機20は、外郭を構成する筐体21と、筐体21に組付けられる被覆部材22と、図3に示すように、筐体21の内部に設けられた探知部60とを備える。図1又は図2に示すように、筐体21は、合成樹脂材料により矩形箱状に形成されるとともに、永久磁石15の探知の際に壁材18の表面に沿わす摺接面34を後面に備える。被覆部材22は、摺接面34の面方向に沿う長手方向にスライド移動可能に筐体21に組付けられている。以下の説明において、被覆部材22がスライド移動する方向をスライド方向Sとする。スライド方向Sは、筐体21の長手方向と一致する。なお、摺接面34に沿い、かつスライド方向Sに直交する方向を、筐体21の幅方向Wとする。幅方向Wは、筐体21の短手方向と一致する。また、摺接面34に直交する方向を、筐体21の厚さ方向Dとする。
【0017】
図3に示すように、筐体21は、一面に開口する有底四角箱状の基部30と、一面に開口する有蓋四角箱状のカバー本体50と、から構成されている。筐体21は、基部30とカバー本体50の開口面同士を対向させて組み付けて構成されている。
【0018】
図3又は図4に示すように、基部30は、矩形板状の底板31と、底板31の一対の長縁部から立設された長側壁32と、底板31の一対の短縁部から立設された短側壁33とを備える。底板31は、外面に平坦面状の摺接面34を備える。摺接面34は、底板31の外面のうち、スライド方向Sの一端(上端)寄りの一部に設けられるとともに、スライド方向Sのほぼ中央から他端(下端)までに設けられている。このため、摺接面34は、スライド方向Sの両側に隔てられている。基部30は、スライド方向Sの両側に隔てられた摺接面34同士の間に収容凹部35を備え、収容凹部35は摺接面34よりも凹む。厚さ方向D外側から収容凹部35を見た場合、収容凹部35の内底面35aは矩形状である。収容凹部35は、摺接面34に平行な内底面35aと、スライド方向Sにおける内底面35aの両端縁から立ち上がる内側面35bとを有する。内底面35a及び内側面35bは平坦面状である。
【0019】
基部30は、スライド方向Sの一端寄りの摺接面34から凹む傾動用凹部36を備える。厚さ方向Dの外側から傾動用凹部36を見た場合、傾動用凹部36は矩形状である。傾動用凹部36の底面は、収容凹部35の内底面35aよりも凹んだ位置にある。基部30は、スライド方向Sの中央から他端までの略半分に設けられた摺接面34のほぼ中央に貫通孔37を備えるとともに、貫通孔37よりも収容凹部35寄りに位置決め凹部34aを備える。位置決め凹部34aは円穴状である。
【0020】
また、基部30は、各長側壁32に設けられたスライド溝38を備える。つまり、筐体21は幅方向Wの両端面にスライド溝38を備える。よって、筐体21は、スライド溝38と上記収容凹部35とを備える。各スライド溝38は、各長側壁32の外面から凹む。スライド溝38は、スライド方向Sに長手が延びる。スライド溝38は、スライド方向Sのほぼ中央から一端までを構成する拡張溝部39と、スライド方向Sのほぼ中央から他端までを構成する溝部40とから構成されている。
【0021】
図6に示すように、スライド方向Sへの拡張溝部39の寸法は、スライド方向Sへの収容凹部35の寸法と同じである。ここで、幅方向Wに沿って基部30を見た場合、スライド方向Sにおける拡張溝部39の各端縁を通過し、かつ厚さ方向Dに延びる仮想線L1を想定すると、この仮想線L1は、収容凹部35の各内側面35bを通過している。このため、拡張溝部39と収容凹部35とは、厚さ方向Dにおいて同じ位置に設けられている。
【0022】
厚さ方向Dに沿う拡張溝部39の寸法は、厚さ方向Dに沿う溝部40の寸法より大きい。つまり、スライド溝38の短手方向への寸法である溝幅は、拡張溝部39の方が溝部40より大きく、幅広である。拡張溝部39は、溝部40と比べると、厚さ方向Dに沿って摺接面34と反対側に向けて広がっている。スライド溝38の厚さ方向Dに対向する端縁のうち、摺接面34寄りの端縁を第1端縁38aとし、摺接面34から遠い端縁を第2端縁38bとすると、拡張溝部39が設けられることにより、第2端縁38bは、拡張溝部39と溝部40との境に段差を有する。一方、第1端縁38aはスライド方向Sへ一直線状に延び、拡張溝部39と溝部40との間に段差はない。
【0023】
図3に示すように、基部30は、各長側壁32の内面に回動軸32aを備える。各回動軸32aは、各長側壁32のスライド方向Sの一端側の内面から突出する。一対の回動軸32aは幅方向Wに対向している。基部30は、各長側壁32のスライド方向Sの他端側の内面に抜止突起32bを備える。一対の抜止突起32bは幅方向Wに対向している。各長側壁32において、底板31からの突出方向の先端を先端縁とすると、各長側壁32は、先端縁から底板31に向けて凹む切欠部32cを備える。
【0024】
基部30は、スライド方向Sの他端側の短側壁33に基部側凹部33aを備える。基部側凹部33aは、幅方向Wに延びる短側壁33の端縁中央に設けられ、短側壁33の端縁から底板31に向けて矩形に凹む。
【0025】
基部30は、スライド方向Sの一端側の短側壁33に一対の水平器保持部33bを備える。一対の水平器保持部33bは、短側壁33の外面に設けられ、幅方向Wに間を空けて立設されている。そして、短側壁33の外面と一対の水平器保持部33bとで囲まれる空間に水平器42が保持されている。したがって、磁石探知機20は、水平器42を備え、水平器42は基部30に一体化されている。
【0026】
次に、カバー本体50について説明する。
図1又は図3に示すように、カバー本体50は、矩形板状のカバー板51と、カバー板51の一対の長縁部から立設されたカバー長側壁52と、カバー板51の一対の短縁部から立設されたカバー短側壁53とを備える。カバー板51は、スライド方向Sのほぼ中央から一端までの部分に複数の透孔51aを備える。複数の透孔51aは7行×7列のマトリックス状に配列されている。また、スライド方向Sに隣り合う透孔51a間の間隔及び、幅方向Wに隣り合う透孔51a間の間隔は等しい。カバー板51は、スライド方向Sの他端側に、スイッチ用貫通孔51bを備える。
【0027】
カバー本体50は、各カバー長側壁52の外面から幅方向Wに凹む把持用凹部55を備える。各把持用凹部55は、スライド方向Sの他端側に設けられている。各把持用凹部55は、各カバー長側壁52の外面から見て矩形状に凹む。カバー本体50は、把持用凹部55の縁に沿って延びる枠部56を備える。枠部56は、カバー長側壁52の外面に直交するようにカバー長側壁52の外面から突出する。各カバー長側壁52において、カバー板51からの突出方向の先端を先端縁とすると、各枠部56はカバー長側壁52の先端縁よりも突出する当接用端縁56aを備える。当接用端縁56aは、スライド方向Sへ直線状に延びる。
【0028】
カバー本体50は、各カバー長側壁52に軸孔52aを備える。各軸孔52aは、各カバー長側壁52のスライド方向Sの一端側に穿設されている。また、カバー本体50は、各カバー長側壁52に抜け止め孔52bを備える。各抜け止め孔52bは、厚さ方向Dに長手が延びる長孔である。一対の抜け止め孔52bは幅方向Wに対向している。図7に示すように、カバー本体50は、カバー板51の内面に一対のボス部54を備える。一対のボス部54は、カバー板51の内面のうち、スライド方向Sの他端側の内面において、幅方向Wの両側に配置されている。
【0029】
カバー本体50は、スライド方向Sの他端側のカバー短側壁53にカバー側凹部53aを備える。カバー側凹部53aは、幅方向Wに延びるカバー短側壁53の端縁中央に設けられ、カバー短側壁53の端縁から底板31に向けて矩形に凹む。スライド方向Sの一端側のカバー短側壁53には、カバー本体50の内側に向けて凹む水平器用凹部53bが設けられている。
【0030】
次に、筐体21内に収納される探知部60について説明する。図3に示すように、探知部60は、スライド方向Sに長手が延びる形状である。探知部60は、長手方向の一端側が図示しないねじによりカバー本体50に固定されるとともに、長手方向の他端側が、探知部60を貫通したカバー本体50のボス部54にねじが螺合されてカバー本体50に固定されている。
【0031】
図3に示すように、探知部60はスライド方向Sに長手が延びる基板61を備える。探知部60は、基板61の一面において、長手方向のほぼ中央から一端までの領域に配列された複数個のLEDランプLを備える。複数個のLEDランプLは、7行×7列のマトリックス状に配列されている。また、探知部60は、基板61の一面において長手方向の他端側に電源スイッチ62を備える。
【0032】
そして、図7に示すように、探知部60の各LEDランプLは、カバー本体50の透孔51aに各別に対応するように配置されている。このため、各LEDランプLは、透孔51aを介して視認可能となっている。また、探知部60の電源スイッチ62はスイッチ用貫通孔51bに挿入されている。このため、電源スイッチ62は、スイッチ用貫通孔51bを貫通して筐体21の外部に露出し、筐体21の外側から押下できるようになっている。
【0033】
探知部60は、基板61の他面において長手方向の他端側に円筒状の保持筒部64を備え、この保持筒部64の内側にマーキング部65が保持されている。マーキング部65は、スタンプである。探知部60は、長手方向の他端側に受電プラグ66を備える。
【0034】
上記構成の基部30とカバー本体50とが一体に組付けられ、筐体21が構成されるとともに、基部30とカバー本体50の間に、探知部60が収納されている。筐体21において、基部30の一対の長側壁32及び一対の短側壁33で形成される矩形枠の内側に、カバー本体50の一対のカバー長側壁52及び一対のカバー短側壁53で形成される矩形枠が入り込んでいる。
【0035】
図8に示すように、筐体21において、基部30の回動軸32aは、カバー本体50の軸孔52aに挿入され、回動軸32aと軸孔52aとから軸支部59が構成されている。また、筐体21において、基部30の抜止突起32bは、カバー本体50の抜け止め孔52bに挿入されている。そして、基部30とカバー本体50は、軸支部59の回動軸32aを傾動中心として相対的に傾動可能に構成されている。よって、基部30とカバー本体50は、相対的に移動可能である。
【0036】
図7に示すように、筐体21内において、カバー本体50に固定された探知部60の長手方向の他端側には、付勢バネ45が当接している。各付勢バネ45は、底板31と、基板61の他面との間に介装されている。付勢バネ45は、カバー本体50と基部30とを互いに離間する方向へ付勢している。一方、基部30とカバー本体50は、付勢バネ45の付勢力に抗して互いに近付くように傾動可能である。基部30及びカバー本体50のうちの一方に対する他方の傾動範囲は、抜け止め孔52bの長手方向への寸法である。
【0037】
図6に示すように、筐体21において、各長側壁32の切欠部32cには、各カバー長側壁52の枠部56の一部が入り込み、各切欠部32cは、カバー長側壁52の一部によって閉じられている。枠部56の一部は把持用凹部55を囲むため、各切欠部32cの内側には把持用凹部55の一部が入り込んでいる。スライド溝38の第2端縁38bのうち、溝部40に沿う部分には、枠部56の当接用端縁56aが沿うように並んでいる。このため、スライド溝38の溝部40は、溝部40に沿う第1端縁38aと当接用端縁56aによって区画されているとも言える。よって、スライド溝38は、厚さ方向Dにおいて、基部30とカバー本体50との間に位置しているとも言える。そして、溝部40に沿う第1端縁38aと当接用端縁56aとの間に傾動許容空間Mが区画されている。傾動許容空間Mについては後述する。
【0038】
磁石探知機20は、筐体21におけるスライド方向Sの一端部に水平器42を備える。この水平器42は、基部30の水平器保持部33bに保持されるとともに、水平器用凹部53bからカバー板51の前面に露出している。磁石探知機20は、筐体21におけるスライド方向Sの他端側に接続口44を備える。この接続口44は、基部30の基部側凹部33aと、カバー本体50のカバー側凹部53aとが組み合わさって矩形状に形成されている。接続口44には、探知部60の受電プラグ66が露出している。
【0039】
次に、被覆部材22について説明する。
図3又は図4に示すように、被覆部材22は、平板状の被覆本体23と、被覆本体23の長手方向の両端縁から延設された一対の取付片24と、各取付片24から互いの取付片24に向けて突出する掛止突部25とを有する。
【0040】
筐体21の厚さ方向Dへの被覆本体23の寸法を厚さとする。また、厚さ方向Dに沿う収容凹部35の寸法を深さとする。被覆本体23の厚さは、収容凹部35の深さと同じ又は僅かに小さい。被覆本体23は、基部30の摺接面34又は収容凹部35の内底面35aと対向する面に内面23bを備え、被覆本体23の厚さ方向における内面23bの反対面に外面23aを備える。被覆本体23は、内面23bに位置決め突起23cを備える。この位置決め突起23cは、後述する第1位置P1に被覆部材22が位置したときに、基部30の位置決め凹部34aに掛止して被覆部材22を第1位置P1に位置決めする。
【0041】
被覆本体23の一対の長縁のうち、一方の長縁寄りにおいて、被覆本体23と各取付片24とが交差する部分は、被覆本体23及び取付片24に亘って凹む形状である。被覆部材22は、被覆本体23及び筐体21に亘って凹む部分に指掛け部26を備える。指掛け部26は、被覆部材22を操作するときに指を掛ける部分である。また、被覆部材22は、被覆本体23の他方の長縁の中央部から突出する操作突片23dを備える。
【0042】
各掛止突部25は、各取付片24における被覆本体23からの突出方向の先端縁に設けられている。各掛止突部25は、被覆本体23の短手方向、つまり、取付片24の長手方向の全体に亘って設けられている。
【0043】
そして、被覆部材22は、各掛止突部25がスライド溝38に挿入されている。このため、被覆部材22をスライド方向Sに操作すると、スライド溝38によって掛止突部25がスライド方向Sに沿うようにガイドされ、被覆部材22がスライド方向Sへ移動する。
【0044】
図2又は図5に示すように、磁石探知機20において、被覆部材22は第1位置P1と第2位置P2の2位置の間でスライド移動可能に筐体21に組付けられている。第1位置P1は、マーキング部65を被覆する位置であり、スライド方向Sにおいて、軸支部59から離れた位置である。第2位置P2は、マーキング部65を露出させ、かつ被覆部材22の外面23aが摺接面34と同一面上に位置する位置である。よって、スライド溝38の溝部40はスライド方向Sの第1位置P1側に位置し、拡張溝部39は溝部40よりもスライド方向Sの第2位置P2側において溝部40に連続している。
【0045】
第1位置P1は、スライド溝38の長手方向の他端に、取付片24の長手方向の他端が当接した位置でもある。第1位置P1に位置する被覆部材22は、被覆本体23の全体が摺接面34上に位置している。被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、マーキング部65は摺接面34より筐体21の内側へ控えた位置にある。
【0046】
図6又は図7に示すように、被覆部材22が第1位置P1に位置しているとき、各掛止突部25は、溝部40の第1端縁38aと、カバー本体50の当接用端縁56aとの間に位置し、各掛止突部25は、第1端縁38aと当接用端縁56aに当接している。つまり、第1端縁38aと、当接用端縁56aとの間に掛止突部25が介在している。このため、厚さ方向Dに対向する基部30の一部とカバー本体50の一部に掛止突部25が当接し、この当接により基部30とカバー本体50の相対的な移動が規制されている。よって、被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、被覆部材22によって、基部30とカバー本体50の相対的な移動が規制されるようになっている。その結果、被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、マーキング部65と摺接面34との相対的な移動が規制される。したがって、溝部40と、その溝部40に入り込んだ掛止突部25とにより、マーキング部65と摺接面34との相対的な移動を規制する規制構造が構成されている。
【0047】
第1位置P1にある被覆部材22を、スライド方向Sの一端に向けてスライド移動させることで、被覆部材22を第1位置P1から第2位置P2に向けて移動させることができる。図5又は図8に示すように、第2位置P2は、被覆本体23全体が収容凹部35に収容された位置である。被覆部材22の第2位置P2は、スライド溝38の長手方向の一端に、取付片24の長手方向の一端が当接した位置でもある。
【0048】
図5に示すように、被覆部材22が第2位置P2に位置しているとき、操作突片23dは、傾動用凹部36に入り込んでいる。そして、被覆部材22が第2位置P2に位置しているとき、図8に示すように、被覆本体23の外面23aは摺接面34と同一面上に位置している。また、被覆部材22が第2位置P2に位置しているとき、各掛止突部25はスライド溝38の拡張溝部39に入り込み、拡張溝部39の第2端縁38bに当接している。被覆部材22が第2位置P2に位置しているときの掛止突部25の位置は、被覆部材22が第1位置P1に位置しているときの掛止突部25の位置よりも摺接面34から離れた位置である。
【0049】
上述したように、拡張溝部39を摺接面34から離れる方向へ拡張し、厚さ方向Dへの寸法を溝部40より拡張溝部39を大きくするとともに、摺接面34から収容凹部35を凹ませている。これにより、拡張溝部39に掛止突部25を入り込ませることで、被覆部材22を収容凹部35に収納させる位置に移動可能であり、被覆部材22の全体を摺接面34よりも控えた位置に位置させ、被覆本体23の外面23aを摺接面34と同一面に位置させることができる。
【0050】
また、溝部40と異なり、拡張溝部39にはカバー本体50の端縁が沿って配設されておらず、拡張溝部39に配置された掛止突部25に対しカバー本体50は当接していない。このため、第2位置P2に被覆部材22が位置しているとき、掛止突部25は、溝部40に入り込んで折らず、掛止突部25によって基部30とカバー本体50の相対的な移動が規制されることはない。つまり、被覆部材22が第2位置P2に位置するときは、軸支部59を中心とした基部30及びカバー本体50の傾動が可能になっている。そして、被覆部材22が第2位置P2に位置するとき、拡張溝部39に掛止突部25が入り込むことで、スライド溝38の溝幅を狭めるように基部30とカバー本体50は相対的に移動可能となる。したがって、溝部40は傾動許容空間Mを構成することになる。
【0051】
なお、被覆部材22が第2位置P2に位置しているとき、操作突片23dを押下すると、図8の2点鎖線に示すように、傾動用凹部36の凹みを利用して操作突片23dを押し下げることができる。すると、被覆部材22を傾けることができ、被覆本体23においてマーキング部65寄りの端縁を、摺接面34よりも立ち上がらせることができる。そして、このまま被覆部材22を第1位置P1に向けて押すと、被覆本体23と収容凹部35の内側面35bとの当接が回避され、被覆本体23を摺接面34上に乗り上げさせることができる。さらに、被覆部材22を第1位置P1に向けて押すことで、被覆部材22を第1位置P1に位置させることができる。
【0052】
したがって、被覆部材22は、マーキング部65を被覆する第1位置P1と、マーキング部65を露出させる第2位置P2との間を移動可能である。また、被覆部材22の一対の掛止突部25はそれぞれスライド溝38の第1端縁38aに当接する。この当接により、筐体21の厚さ方向Dに沿って被覆部材22が筐体21から外れることが規制されている。また、スライド溝38のスライド方向Sの各端縁への掛止突部25の当接により、筐体21のスライド方向Sへの被覆部材22の外れが規制されている。
【0053】
次に、磁石探知機20の使用方法を作用とともに説明する。なお、図1に示すように、柱17には配線用ボックス11が取り付けられるとともに、配線用ボックス11の開口側には壁材18が配置され、配線用ボックス11は壁材18の裏側に隠蔽されている。また、図2に示すように、被覆部材22は、第1位置P1に位置し、マーキング部65は被覆部材22の被覆本体23によって被覆されている。
【0054】
まず、使用者は、電源スイッチ62を押下して探知部60を駆動させる。次に、使用者は、第1位置P1に位置する被覆部材22に対し、指掛け部26に指を掛けて被覆部材22をスライド方向Sの一端に向けて押す。被覆部材22の位置決め突起23cを、位置決め凹部34aから外し、被覆部材22をスライド方向Sの一端に向かわせる。
【0055】
すると、掛止突部25がスライド溝38の溝部40に沿って移動するため、被覆部材22がスライド方向Sの一端に向けてスライド移動する。このとき、被覆本体23の内面23bが摺接面34に摺接する。
【0056】
そして、被覆部材22がスライド方向Sの一端にまで移動し、掛止突部25が、スライド溝38におけるスライド方向Sの一端縁に当接する。ここで、拡張溝部39の溝幅を利用して、掛止突部25の長縁部が第2端縁38bに当接するまで被覆部材22を収容凹部35に向けて押下する。すると、図8に示すように、被覆本体23が収容凹部35に入り込むとともに、操作突片23dが傾動用凹部36に入り込む。被覆本体23の外面23aが摺接面34と同一面上に位置するとともに、被覆部材22が第2位置P2に位置する。被覆部材22が第2位置P2に位置することにより、マーキング部65が摺接面34の貫通孔37から露出する。ただし、マーキング部65は、摺接面34よりも筐体21の内側へ控えた位置にあり、摺接面34より飛び出していない。
【0057】
そして、両方の把持用凹部55に指を入れて磁石探知機20を挟持し、摺接面34を壁材18の表面に摺接させながら、探知部60によって配線用ボックス11の永久磁石15を探知させる。探知部60によって永久磁石15が探知されると、永久磁石15の位置がLEDランプLの表示によって表示される。なお、永久磁石15の探知方法は詳述しないが、49個のLEDランプLの中心のLEDランプLが点灯すると、マーキング部65が対向する位置に永久磁石15が位置している。
【0058】
次に、図9に示すように、使用者は、カバー本体50を壁材18の表面に向かって押し付ける。すると、軸支部59の回動軸32aを傾動中心として基部30に対しカバー本体50が相対的に傾動する。つまり、基部30とカバー本体50が相対的に移動する。このとき、付勢バネ45の付勢力に抗して、カバー本体50とともに探知部60が基部30に向けて押し付けられるが、貫通孔37に挿入されているマーキング部65は、貫通孔37内において壁材18に向けて押し出される。すると、摺接面34よりも筐体21の内側へ控えた位置に設けられたマーキング部65が、貫通孔37から摺接面34の外に飛び出し、マーキング部65によって壁材18にマーキングされる。
【0059】
次に、磁石探知機20による永久磁石15の探知及びマーキングが終了した後、使用者は、磁石探知機20を壁材18から離し、その磁石探知機20において、操作突片23dを押下し、傾動用凹部36の凹みを利用して操作突片23dを押し下げる。すると、被覆本体23におけるマーキング部65寄りの端縁が摺接面34よりも立ち上がるとともに、拡張溝部39の第2端縁38bに当接していた掛止突部25も立ち上がり、掛止突部25の先端が、溝部40の第2端縁38bの高さにまで立ち上がる。
【0060】
そのまま被覆部材22を第1位置P1に向けて押すと、掛止突部25が拡張溝部39から溝部40に移動し、その溝部40に沿って移動するため、被覆部材22がスライド方向Sの他端に向けてスライド移動する。このとき、被覆本体23の内面23bが摺接面34に摺接する。
【0061】
そして、図6に示すように、掛止突部25が、スライド溝38におけるスライド方向Sの他端縁に当接するとともに、被覆部材22の位置決め突起23cが位置決め凹部34aに入り込む。すると、マーキング部65が被覆本体23によって覆われ、被覆部材22が第1位置P1に位置する。被覆部材22が第1位置P1に位置しているとき、各掛止突部25は、溝部40における第1端縁38aと、枠部56の当接用端縁56aに当接する。このため、第1位置P1に位置する被覆部材22により、厚さ方向Dへの基部30とカバー本体50の傾動が規制される。また、マーキング部65は、摺接面34よりも控えた位置にあり、摺接面34から飛び出していない。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)磁石探知機20は、筐体21に組付けられた被覆部材22を備える。被覆部材22は、マーキング部65を被覆する第1位置P1と、マーキング部65を露出させる第2位置P2との間で移動可能である。このため、磁石探知機20の使用時、被覆部材22を第2位置P2に位置させることで、筐体21に被覆部材22を組付けたままマーキング部65を摺接面34から露出させることができ、被覆部材22が紛失することを抑制できる。
【0063】
(2)被覆部材22が第1位置P1に位置しているとき、マーキング部65は、摺接面34よりも筐体21の内側へ控えた位置にある。このため、マーキング部65を摺接面34から露出させるため、被覆部材22を第2位置P2に移動させるとき、マーキング部65と被覆部材22の干渉を抑制できる。また、被覆部材22を第2位置P2に位置させても、マーキング部65が壁材18に接触することを抑制でき、磁石探知機20を壁材18に沿って移動させるとき、マーキング部65によって壁材18を汚すことを抑制できる。そして、被覆部材22を第2位置P2に位置させた状態で、摺接面34を壁材18の表面に当てたままカバー本体50を壁材18の表面に向かって押し付けることで、マーキング部65を摺接面34から飛び出させ、壁材18にマーキングできる。
【0064】
(3)被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、被覆部材22の掛止突部25は、スライド溝38の第1端縁38aと、カバー本体50が備える枠部56の当接用端縁56aに当接する。この当接により、基部30とカバー本体50の相対的な移動を規制でき、カバー本体50と一体の探知部60が移動することを規制できる。その結果、マーキング部65が摺接面34から飛び出すことを抑制できる。
【0065】
(4)軸支部59によって、基部30とカバー本体50とは相対的に傾動可能に支持されている。そして、基部30の摺接面34を壁材18に当接させ、カバー本体50を壁材18の表面に向かって押し付けることで、基部30に対しカバー本体50が相対的に傾動し、摺接面34より控えた位置にあるマーキング部65が摺接面34から飛び出る。よって、カバー本体50を壁材18に押し付ける動作により、マーキング部65を摺接面34に押し付けることができ、マーキングを容易に行うことができる。
【0066】
(5)スライド溝38は、拡張溝部39と溝部40を有し、被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、被覆部材22の掛止突部25は溝部40に位置し、溝部40に位置する第1端縁38aと、枠部56の当接用端縁56aとに当接する。この当接により、基部30とカバー本体50の相対的な傾動を抑制でき、マーキング部65が摺接面34から飛び出ることを抑止できる。
【0067】
(6)スライド溝38は、拡張溝部39と溝部40を有し、被覆部材22が第2位置P2に位置するとき、被覆部材22の掛止突部25は拡張溝部39に位置し、拡張溝部39の拡張した幅を利用して、被覆部材22を収容凹部35に入り込ませることができる。その結果、被覆本体23の外面23aと摺接面34を同一面上に位置させることができ、磁石探知機20を壁材18の表面に摺接させやすい。
【0068】
(7)スライド溝38により、被覆部材22の掛止突部25を筐体21のスライド方向Sへ移動させることができ、被覆部材22をスライド方向Sへスライド移動するようにガイドさせることができる。
【0069】
(8)被覆部材22は、被覆本体23の長手方向の両端から取付片24に亘って凹む指掛け部26を備える。この指掛け部26に指を掛けることで、被覆部材22を押してスライド移動させる操作が行いやすい。
【0070】
(9)被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、被覆部材22の掛止突部25は、スライド溝38の第1端縁38aと枠部56の当接用端縁56aに当接する。この当接により、基部30及びカバー本体50の相対的な移動を規制でき、カバー本体50と一体の探知部60が基部30に対し移動することを規制できる。このため、基部30及びカバー本体50の相対的な移動によって、接続口44が閉じるように変形することを抑制でき、受電プラグ66に接続した充電ケーブルが損傷を受けることを抑制できる。
【0071】
(10)水平器42は、筐体21における軸支部59側に配置されている。このため、カバー本体50を壁材18に向けて押し付け、カバー本体50を傾動させたとき、軸支部59寄りの水平器42は傾動の影響が僅かであり、水平器42を用いて水平出しをしながらマーキングするときの影響を僅かにできる。
【0072】
(11)被覆部材22は位置決め突起23cを備え、筐体21は摺接面34に位置決め凹部34aを備える。このため、被覆部材22を第1位置P1に位置させたとき、位置決め突起23cが位置決め凹部34aに掛止し、被覆部材22を第1位置P1に位置決めできる。よって、第1位置P1に位置している被覆部材22が第1位置P1から位置ズレすることを抑制できる。
【0073】
(12)被覆部材22は操作突片23dを備え、基部30は摺接面34から凹む傾動用凹部36を備える。第2位置P2に位置する被覆部材22を第1位置P1に移動させるとき、傾動用凹部36の深さを利用して操作突片23dを押下することで、被覆部材22を立ち上がらせることができる。このため、被覆部材22の端縁が収容凹部35の内側面35bに干渉することを抑制し、被覆部材22を第1位置P1に向けて移動させやすい。
【0074】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 被覆部材22の操作突片23dは無くてもよく、この場合、基部30の傾動用凹部36も無くてもよい。
【0075】
○ 被覆本体23の位置決め突起23cは無くてもよく、この場合、摺接面34の位置決め凹部34aも無くてもよい。
○ 被覆本体23の内面23bに位置決め凹部を設け、摺接面34に位置決め突起を設けてもよい。
【0076】
○ 磁石探知機20は水平器42を備えなくてもよい。
○ 被覆部材22の指掛け部26は無くてもよい。
○ スライド溝38は、拡張溝部39と溝部40で溝幅が異なるように形成せず、スライド溝38全体に亘って拡張溝部39と同じ幅広な溝幅であってもよい。実施形態では、溝部40を第1端縁38aと、基部30の当接用端縁56aで区画していたが、スライド溝38全体を拡張溝部39と同じ溝幅にする場合は、当接用端縁56aは無くてもよい。
【0077】
○ 筐体21において、軸支部59をスライド方向Sの中央付近に配置して傾動可能にしてもよい。
○ 筐体21の軸支部59は無くし、基部30とカバー本体50とを全体的に厚さ方向Dへ相対的に移動可能としてもよい。
【0078】
○ 収容凹部35の深さを示す内側面35bの短手方向への寸法を、被覆本体23の厚さより大きくしてもよい。そして、被覆部材22が第2位置P2に位置するとき、被覆本体23の外面23aを摺接面34よりも筐体21の内側へ控えた位置に位置させてもよい。
【0079】
○ カバー本体50及び探知部60において、厚さ方向Dにマーキング部65と対向する位置に透孔を形成し、その透孔に指を挿入してマーキング部65を摺接面34から飛び出すように押し出し、マーキング部65と摺接面34を相対的に移動可能にしてもよい。
【0080】
○ 被覆部材22は、筐体21に対しスライド移動ではなく、傾動可能に組付けられていてもよい。例えば、被覆部材22の各取付片24の内面に回動軸を突設するとともに、基部30の各長側壁32に軸穴を設け、その軸穴に回動軸を支持させる。そして、回動軸を回動中心として被覆部材22を第1位置P1と第2位置P2に移動可能にしてもよい。
【0081】
○ 実施形態では、被覆部材22の掛止突部25を溝部40に入り込ませることで規制構造を構成したが、規制構造はこれに限らない。例えば、基部30の長側壁32又はカバー本体50のカバー長側壁52に規制部材を移動可能に設け、被覆部材22が第1位置P1に位置するとき、溝部40に規制部材に入り込むように移動させて、マーキング部65と摺接面34との相対的な移動を規制させてもよい。
【0082】
○ 被探知体は、静電気を帯びた部品であり、探知具は、探知部によって静電気を壁材18の表側から探知する探知具であってもよい。
○ 筐体21は、相対的に移動可能な2部材(基部30とカバー本体50)から構成されていなくてもよく、ボックス状の筐体の1部材で構成されていてもよい。
【0083】
○ 隠蔽材は壁材18でなく、床材や天井板であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
S…スライド方向、P1…第1位置、P2…第2位置、15…被探知体としての永久磁石、18…隠蔽材としての壁材、20…探知具としての磁石探知機、21…筐体、22…被覆部材、25…規制構造を構成する掛止突部、30…基部、34…摺接面、35…収容凹部、38…スライド溝、39…拡張溝部、40…規制構造を構成する溝部、50…カバー本体、59…軸支部、60…探知部、65…マーキング部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9