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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両用触覚通知システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220921BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220921BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20220921BHJP
   B60W 50/16 20200101ALI20220921BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20220921BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
G08G1/0962
B60W50/16
B60W40/02
G01C21/26 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019503284
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 US2017043238
(87)【国際公開番号】W WO2018017932
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/365,960
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マルティ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ディ センソ, ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーベック, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ボーランガー, アダム
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0207454(US,A1)
【文献】米国特許第9081651(US,B2)
【文献】米国特許第9290174(US,B1)
【文献】米国特許第8970358(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 40/00 ~ 50/16
G01C 21/26 ~ 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示する方法であって、前記方法が、コンピュータの処理装置によって実行され、前記方法が、
前記処理装置が、車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記処理装置が、前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、前記車両と関連するユーザに送達する触覚感覚の種類を決定することと、
前記処理装置が、前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に第1の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の前記種類に対応する触覚型出力を発生させる、ことと、
前記処理装置が、前記触覚型出力に対するユーザ反応に基づいて、前記ユーザに対する触覚感覚の前記種類の有効性を決定することと、
前記処理装置が、触覚感覚の前記種類の前記有効性に基づいて、第2の実世界の状態について前記ユーザに通知するために前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を決定することと、
前記処理装置が、前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第2の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、触覚感覚の前記種類に対応する第2の触覚型出力を、前記第2の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することが、
前記実世界の状態に関連する入力データを受信することと、
前記入力データに基づいて、前記実世界の状態の厳しさ、位置、及び種類のうちの1つ以上を決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入力データが、前記車両内のセンサからのデータ、前記車両の外部のセンサからのデータ、及びクラウドソースされたデータのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
実世界の状態の種類が、悪い道路状態、悪い天候状態、及び悪い交通現象のうちの1つ以上を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
触覚感覚の前記種類を決定することが、前記実世界の状態の前記特性の少なくとも1つを前記触覚感覚の前記種類にマッピングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
触覚感覚の前記種類が、強度、大きさ、形状、移動パターン、及び方向のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のパラメータに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の制御信号の組に基づいて、前記触覚感覚が定期的に位置を変更する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記処理装置が、前記ユーザの位置及び方向のうちの少なくとも1つをセンサデータ経由で受信することと、
前記処理装置が、前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を前記センサデータに基づいて決定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処理装置が、第3の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記処理装置が、前記第3の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定することと、
前記処理装置が、前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第3の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、前記第3の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
命令を記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されるとき、
車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、前記車両と関連するユーザに送達する触覚感覚の種類を決定することと、
前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に第1の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の前記種類に対応する触覚型出力を発生させる、ことと、
前記触覚型出力に対するユーザ反応に基づいて、前記ユーザに対する触覚感覚の前記種類の有効性を決定することと、
触覚感覚の前記種類の前記有効性に基づいて、第2の実世界の状態について前記ユーザに通知するために前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を決定することと、
前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第2の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、触覚感覚の前記種類に対応する第2の触覚型出力を、前記第2の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
により、触覚型出力を介して車両の態様を修正するよう前記プロセッサにユーザに指示させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することが、
前記実世界の状態に関連する入力データを受信することと、
前記入力データに基づいて、前記実世界の状態の厳しさ、位置、及び種類のうちの1つ以上を決定することと
を含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記入力データが、前記車両内のセンサからのデータ、前記車両の外部のセンサからのデータ、及びクラウドソースされたデータのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
実世界の状態の種類が、悪い道路状態、悪い天候状態、及び悪い交通現象のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
触覚感覚の前記種類を決定することが、前記実世界の状態の前記特性の少なくとも1つを前記触覚感覚の前記種類にマッピングすることを含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
触覚感覚の前記種類が、強度、大きさ、形状、移動パターン、及び方向のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のパラメータに関連付けられる、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記第1の制御信号の組に基づいて、前記触覚感覚が定期的に位置を変更する、請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令が前記プロセッサに、
前記ユーザの位置及び方向のうちの少なくとも1つをセンサデータ経由で受信することと、
前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を前記センサデータに基づいて決定することと
を実行するように、さらにさせる、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令が前記プロセッサに、
第3の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記第3の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定することと、
前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第3の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、前記第3の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
を実行するように、さらにさせる、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示するシステムであって、前記システムが、プロセッサを含み、前記プロセッサが、
車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、前記車両と関連するユーザに送達する触覚感覚の種類を決定することと、
前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に第1の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の前記種類に対応する触覚型出力を発生させる、ことと、
前記触覚型出力に対するユーザ反応に基づいて、前記ユーザに対する触覚感覚の前記種類の有効性を決定することと、
触覚感覚の前記種類の前記有効性に基づいて、第2の実世界の状態について前記ユーザに通知するために前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を決定することと、
前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第2の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、触覚感覚の前記種類に対応する第2の触覚型出力を、前記第2の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
を実行するよう構成される、システム。
【請求項20】
前記プロセッサが、
第3の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記第3の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定することと、
前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第3の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、前記第3の制御信号の組に基づいて発生させる、ことと
を実行するようさらに構成される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に援用される2016年7月22日出願の米国仮特許出願第62/365,960の利益を主張する。
【0002】
実施形態の分野
様々な実施形態は、一般にヒューマンマシンインターフェースに関し、より詳細には、車両用触覚通知システムに関する。
【背景技術】
【0003】
最新式の車両は、益々車両の外部にあるデータソース(例えば、クラウドベースのデータソース)にネットワーク接続されている。こうしたデータソースは、道路状態、天候パターン、及び交通現象についての情報を、車両内で動作する制御装置(例えば、車載インフォテインメントシステム)に提供することができる。例えば、運転者は、運転しようとしているルートをアップロードすることができる。それに応じて、制御装置は、道路状態、天候パターン、及び/または交通現象を分析し、運転者がルートに沿って悪い運転状態を経験するかどうか判定する。追加で、車両はセンサを装備して、運転者の視点から運転者の周りの他の車両によって運行を妨げられうる様々な道路状態を検出することができる。例えば、センサは、車両の制御装置によって分析されたとき、道路のポットホールの位置、大きさ、及び深さを示すセンサデータを生成することができる。制御装置はまた、運転者が現在の操舵方向及び加速速度を維持する場合、車両がポットホールを通るかどうかを判定することができる。
【0004】
従来、制御装置は、車両が悪い道路状態、悪い天候パターン、及び/または悪い交通現象を有する領域に入りうると決定するとき、運転者に視覚または聴覚に訴える通知を与える。例えば、制御装置は、車両のディスプレイ上に、現在のルートに沿って運転し続ける場合、運転者が遭遇しそうな悪い状態の種類を示す画像を表示することができる。追加で、制御装置は、運転者が悪い運転状態に遭遇しそうなとき、警報音を発することもできる。
【0005】
上述の方法の1つの欠点は、ユーザが運転中のとき、視覚に訴える通知を見ることや聴覚に訴える通知を聞くことは、運転者の注意をそらしうることである。例えば、視覚及び/または聴覚に訴える通知は、所与の状況で取るべき行動(複数可)を運転者にはっきり示さない場合がある。結果として、視覚及び聴覚に訴える通知を解釈することは、運転者にかかる認識の作業負荷を増やす可能性があり、運転者に、運転中道路から目を放すことを要求しうる。
【0006】
上記が示すように、運転者により効果的に伝達するための技術が有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示する方法を示す。その方法は、車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することを含む。その方法はさらに、実世界の状態の1つまたは複数の特性に基づいて、車両に関連するユーザに送達する触覚感覚の種類を決定することを含む。また、その方法は、1つまたは複数の制御信号をユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に伝送することを含む。触覚型出力装置(複数可)は、制御信号(複数可)に基づいて、触覚感覚の種類に対応する触覚型出力を発生する。
【0008】
さらなる実施形態は、数ある中でも、上述の技術を実施するよう構成されたシステム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0009】
本明細書に記載の技術の少なくとも1つの利点は、ユーザが、視覚ディスプレイを見ることなくまたは音響警報を聴くことなく、実世界の状態についての通知を受け取ることができることである。したがって、ユーザ(例えば、運転者)は、道路から視線を離すことなく様々な種類の実世界の状態を予期することができる。さらに、触覚感覚は、ユーザに伝達するための代替手段として実施されて、ユーザの視覚的及び聴覚的感覚が追加の情報に圧倒されることを防ぐことができる。その結果、本明細書に記載の技術は、様々な種類の情報がユーザに与えられたとき、ユーザが負う認識の作業負荷を低減する。
【0010】
1つまたは複数の実施形態の列挙された特徴が上述された方法が詳細に理解されうるように、上記に簡単に要約された1つまたは複数の実施形態のより詳細な説明は、ある特定の実施形態を例として持ってもよく、その一部は添付の図面に示されている。しかし、添付の図面は典型的な実施形態のみを図示し、それによって、いかなる方法においてもその範囲を制限することは考慮されていないことに留意されたい。というのも様々な実施形態の範囲は、他の実施形態も含包するからである。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示する方法であって、
車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、触覚感覚の種類を決定して、前記車両と関連するユーザに送達することと、
前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に第1の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の種類に対応する触覚型出力を発生する、前記送信することと、を含む前記方法。
(項目2)
前記実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することが、
前記実世界の状態に関連する入力データを受信することと、
前記入力データに基づいて、前記実世界の状態の厳しさ、位置、及び種類のうちの1つ以上を決定することと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記入力データが、前記車両内のセンサからのデータ、前記車両の外部のセンサからのデータ、及びクラウドソースされたデータのうちの少なくとも1つを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
実世界の状態の種類が、悪い道路状態、悪い天候状態、及び悪い交通現象のうちの1つ以上を含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
触覚感覚の前記種類を決定することが、前記実世界の状態の前記特性の少なくとも1つを前記触覚感覚の前記種類にマッピングすることを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
触覚感覚の前記種類が、強度、大きさ、形状、移動パターン、及び方向のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のパラメータに関連付けられる、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記第1の制御信号の組に基づいて、前記触覚感覚が定期的に位置を変更する、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記ユーザの位置及び方向のうちの少なくとも1つをセンサデータ経由で受信することと、
前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を前記センサデータに基づいて決定することと、をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
第2の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記第2の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定することと、
前記少なくとも1つの触覚型出力装置に第2の制御信号の組を送信することであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、前記第2の制御信号の組に基づいて発生する、前記送信することと、をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
プロセッサによって実行されるとき、
車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することと、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、触覚感覚の種類を決定して、前記車両と関連するユーザに送達することと、
前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に第1の制御信号の組を送信することとであって、前記少なくとも1つの触覚型出力装置が、前記第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の前記種類に対応する触覚型出力を発生する、前記送信することとにより、触覚型出力を介して車両の態様を修正するよう前記プロセッサにユーザに指示させる命令を保存する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目11)
前記実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別することが、
前記実世界の状態に関連する入力データを受信することと、
前記入力データに基づいて、前記実世界の状態の厳しさ、位置、及び種類のうちの1つ以上を決定することと、を含む、項目10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目12)
前記入力データが、前記車両内のセンサからのデータ、前記車両の外部のセンサからのデータ、及びクラウドソースされたデータのうちの少なくとも1つを含む、項目11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目13)
実世界の状態の種類が、悪い道路状態、悪い天候状態、及び悪い交通現象のうちの1つ以上を含む、項目11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目14)
触覚感覚の前記種類を決定することが、前記実世界の状態の前記特性の少なくとも1つを前記触覚感覚の前記種類にマッピングすることを含む、項目10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目15)
触覚感覚の前記種類が、強度、大きさ、形状、移動パターン、及び方向のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のパラメータに関連付けられる、項目10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目16)
前記第1の制御信号の組に基づいて、前記触覚感覚が定期的に位置を変更する、項目14に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目17)
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令が前記プロセッサに、
前記ユーザの位置及び方向のうちの少なくとも1つをセンサデータ経由で受信し、
前記ユーザに送達する触覚感覚の前記種類を前記センサデータに基づいて決定するように、さらにさせる、項目10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目18)
前記プロセッサによって実行されるとき、前記命令が前記プロセッサに、
第2の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別し、
前記第2の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定し、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、第2の制御信号の組に基づいて発生する、前記少なくとも1つの触覚型出力装置に前記第2の制御信号の組を送信するように、さらにさせる、項目10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(項目19)
触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示するシステムであって、
車両のルートに沿って位置する実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別し、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づいて、触覚感覚の種類を決定して、前記車両に関連するユーザに送達し、
第1の制御信号の組に基づいて、触覚感覚の前記種類に対応する触覚型出力を発生する、前記ユーザに近接する少なくとも1つの触覚型出力装置に前記第1の制御信号の組を送信するよう、構成されるプロセッサを含む、前記システム。
(項目20)
前記プロセッサが、
第2の実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別し、
前記第2の実世界の状態が前記実世界の状態と同様であると決定し、
前記実世界の状態の前記1つまたは複数の特性に基づき触覚感覚の前記種類と同様である触覚感覚の第2の種類に対応する触覚型出力を、第2の制御信号の組に基づいて発生する、前記少なくとも1つの触覚型出力装置に前記第2の制御信号の組を送信するよう、さらに構成される、項目19に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な実施形態による、本開示の1つまたは複数の態様を実施するよう構成されたシステムのブロック図を示す。
図2図2A図2Dは、様々な実施形態による、実世界の状態を示し、1つまたは複数の触覚型出力装置によって発生される様々な種類の触覚感覚を示す。
図3】様々な実施形態による、データ収集システムからのデータを分析することによって車両の現在のルートの区分に沿って起きている実世界の状態を検出する技術を示す。
図4】様々な実施形態による、1つまたは複数の触覚型出力装置を介して実世界の状態を示す触覚感覚を発生する技術を示す。
図5】様々な実施形態による、1つまたは複数のセンサ経由で実世界の状態を検出する技術を示す。
図6】様々な実施形態による、車両装置が、実世界の状態に応じて調節される方法を示す触覚感覚を発生する技術を示す。
図7】様々な実施形態による、触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示する方法のステップの流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、様々な実施形態による、本開示の1つまたは複数の態様を実施するよう構成された車両システム100のブロック図を示す。図示の通り、車両システム100は、コンピューティングデバイス105、センサ140、触覚型出力装置150、及び制御装置160を含む。動作の際には、コンピューティングデバイス105は、センサ140及び/または制御装置160から実世界の状態に対応する入力データを受信し、入力データを処理して実世界の状態に関連する通知を生成する。コンピューティングデバイス105は、車両システム100のユーザに通知を送達するよう触覚型出力装置150を構成する。
【0013】
センサ140は、視覚センサ(例えば、RGB画像センサ)、飛行時間型センサ(例えば、深度カメラ)、温度センサ、レーダベースのセンサ(例えば、近距離センサ及び長距離センサ)、レーザーベースのセンサ(例えば、ライダ)、超音波ベースのセンサ、マイクロ波ベースのセンサ、外部カメラ、運転者に面したカメラ、全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)、速度計、タコメータ、テレメトリセンサ、外部ネットワーク接続、ジャイロスコープ、気圧計、燃料レベルセンサ、タイヤ圧センサなどを含んでもよい。センサ140は、車両システム100の外部の環境の1つまたは複数の特性及び車両システム100の内部の環境の1つまたは複数の特性を示すセンサデータを生成するよう構成される。センサ140は、生成されたセンサデータをコンピューティングデバイス105に伝送する。センサ140は、コントローラエリアネットワーク、ローカル相互接続ネットワーク、FlexRay(登録商標)等経由で、データを伝送することができる。
【0014】
車両システム100の外部の環境に関連して、センサ140は、車両システム100の外部の1つまたは複数の実世界の状態を示すセンサデータを生成する。例えば、センサ140は、運転している路面から反射した光の強度に対応するセンサデータを生成する。反射光の強度のパターンは、ポットホールなどの運転している路面の変形を示すことができる。一実施形態では、センサ140は、車両システム100の状態に対応するセンサデータを生成する。例えば、センサ140は、車両システム100の加速度の大きさ及び方向を検出する。大きな下方向の加速度に素早く続く大きな上方向の加速度のパターンは、車両システム100が、道路中のポットホールを通ったことを意味しうる。
【0015】
車両システム100の内部の環境に関連して、センサ140は、車両システム100のユーザの位置に対応するセンサデータを生成する。こうしたセンサデータは、ユーザの位置及び/または方向ならびに/あるいはユーザの大きさを示すことができる。様々な実施形態では、センサ140は、ユーザの手、脚、前腕、手首、手のひら、首、胴などのユーザの特定の部分に関連した位置情報を示すデータを生成する。
【0016】
制御装置160は、テレメトリ制御装置、車載インフォテインメントシステム、ならびに/あるいは車両の外部にあるデータソース及び/またはデータレポジトリと相互作用する車両の他のシステムを含んでもよい。様々な実施形態では、制御装置160は、車両システム100のルートに沿って位置する実世界の状態を示すデータを受け取るよう構成される。例えば、制御装置160は、気象台から受け取ったデータに基づいて、寒冷前線が車両システム100のルートに沿って凍った道路状態を発生させていると決定することができる。実施形態によっては、制御装置160は、車両が遭遇する可能性がある危険の種類を示す通知を生成する。呼応して、制御装置160は、コンピューティングデバイス105のユーザに通知するためコンピューティングデバイス105に通知を伝送する。
【0017】
触覚型出力装置150は、超音波トランスデューサ、空気渦発生器、空気圧装置、空気のう、及び/または触覚型出力を発生するよう構成された任意の種類の装置を含んでもよい。様々な実施形態では、触覚型出力装置150は、コンピューティングデバイス105から、触覚型出力装置150の1つまたは複数のパラメータがどのように構成されるべきかを示す1つまたは複数の制御信号を受信する。これらのパラメータは、触覚型出力の強度を含む。超音波出力装置に対して、通知モジュール136はまた、触覚型出力の方向性を制御するため触覚型出力の位相を変更することができる。空気出力装置に対して、通知モジュール136はまた、1つまたは複数の方向に空気出力を発生するためパンチルト動作体制の1つまたは複数のパラメータを制御することができる。制御信号(複数可)に基づいて、触覚型出力装置150は、ユーザに特定の触覚感覚に対応する触覚型出力を発生する。例えば、触覚型出力装置150は、所定の周波数、位相、強度などで触覚型出力を発生することができる。こうした触覚型出力の結果が、所定の大きさ、強度、形状、方向等を有するユーザの特定の部位に生じた触覚感覚である。追加で、触覚型出力装置150は、ユーザに、ユーザの動きに追従する、かつ/またはユーザの位置に対して特定の方法で及び/もしくはユーザが移動している特定の方法で移動する触覚感覚を発生することができる。さらに、触覚型出力装置150は、触覚型出力を発生するとともに、発生した触覚感覚の種類を示すフィードバックデータを生成することができる。触覚型出力装置150は、フィードバックデータをコンピューティングデバイス105に送信することができる。
【0018】
コンピューティングデバイス105は、処理装置110、入力/出力(I/O)インターフェース120、及びメモリ130を含むが、これに限定されない。コンピューティングデバイス105は全体として、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)などであってもよい。図示のように、コンピューティングデバイス105は、制御装置160から独立していてもよい。代替の実施形態では、コンピューティングデバイス105は、制御装置160に組み込まれてもよく、かつ/または1つまたは複数の処理装置、I/Oインターフェース、及び/またはメモリデバイス(例えば、データベース)を制御装置160と共有してもよい。上述のように、様々な実施形態において、コンピューティングデバイス105は、センサ140、制御装置160、及び/または触覚型出力装置150からデータを受信する。さらに、コンピューティングデバイス105は、センサ140、制御装置160、及び触覚型出力装置150のいずれかまたはすべてに、制御信号及び/またはデータを送信することができる。例えば、コンピューティングデバイス105は、制御信号を発生して、センサ140の1つ以上を起動する、かつ/またはセンサ140及び/または制御装置160からデータ転送を開始することができる。さらに、コンピューティングデバイス105は、制御信号を発生して、触覚型出力装置150を構成し、ユーザに特定の種類の触覚感覚を送達することができる。
【0019】
入力/出力(I/O)インターフェース120は、センサ140、触覚型出力装置150、制御装置160、及び処理装置110の間のデータ、制御信号、及び通知の転送を調整する1つまたは複数のインターフェースを含んでもよい。追加で、I/Oインターフェース120は、データレポジトリ、センサ、及び総合データベース(例えば、交通及び道路状態についてクラウドソースされたデータ)からのデータ、遠隔データベースからのデータ(例えば、交通及び天候のデータベース)、様々な種類のデータ(例えば、ジオコード別交通事故率履歴及びジオコード別コグニティブ作業負荷水準履歴)を蓄積する遠隔サーバからのデータなどを含むがそれに限定されない車両の外部の通知システムからのデータの受信を調整することができる。
【0020】
処理装置110は、中央演算処理装置(CPU)、デジタル信号処理装置(DSP)、センサ処理装置、コントローラ装置などを含んでもよい。処理装置110は、車両システム100に物理的に組み込まれてもよく、クラウドベースのコンピューティング環境の一部であってもよく、かつ/またはモバイルデバイスもしくはウェアラブルデバイスでのように、ユーザによって車両システム100に物理的に導入されてもよい。実施形態によっては、処理装置110は、車載インフォテインメントシステムまたは運転者支援システム内のマイクロプロセッサなどの、制御装置160の構成要素であってもよい。様々な実施形態では、処理装置110は、メモリ130内に含まれるアプリケーションを実行するよう構成される。
【0021】
メモリ130は、データベース138と通信するよう構成される触覚通知アプリケーション132を含む。処理装置110は、触覚通知アプリケーション132を実行して、コンピューティングデバイス105の全体的な機能を実施する。処理装置110と同様の方法で、メモリ装置130は、制御装置160内に組み込まれてもよく、またはユーザによって車両システム100に導入されてもよい。さらに、メモリ装置130は、クラウドベースのコンピューティング環境に含まれてもよい。
【0022】
データベース138は、ユーザ設定データ(例えば、触覚感覚が発生されるユーザの部位)、センサ140及び触覚型出力装置150の1つ以上用に予め設定された様々な構成、ユーザによって設定された構成などを含む様々な種類のデータを保存することができる。例えば、データベース138は、特定の種類の実世界の状態に応じて送達される所定の種類の触覚感覚を識別する触覚型出力装置150のユーザ構成を保存することができる。データベース138はまた、車両が遭遇しうる様々な種類の実世界の状態を識別するためデータを分析するルックアップテーブル、機械学習(ML)アルゴリズムなどを保存することができる。追加で、データベース138は、ユーザに発生しうる1つまたは複数の種類の触覚感覚と様々な実世界の状態を関連付ける1つまたは複数のルックアップテーブルを保存することができる。こうしたルックアップテーブルは、データベース138に予め設定されて、ユーザが生成することができ、かつ/または様々な種類の触覚感覚及び実世界の状態に対する1つまたは複数の運転者の反応を反映するデータを分析することによって生成することができる。
【0023】
追加で、外部のレポジトリからのデータ(例えば、運転研究からの訓練データセット及び他の車両からの匿名データ)は分析されて、様々な種類の触覚感覚及び様々な種類の実世界の状態に対する典型的な運転者の反応を決定することができる。データは、処理装置110によって処理されて、データベース138内の1つまたは複数のルックアップテーブルを発生するかつ/または更新することに役立つ。さらに、データベース138は、別々にまたはルックアップテーブル(複数可)の一部として、様々な種類の実世界の状態、ユーザの様々なパラメータ(例えば、位置、方向、動き、大きさ、形状)、車両が実世界の状態に遭遇する前に残っている時間の量に関連する感覚を発生する時間、ならびに位置、方向、及びユーザに近接する触覚型出力装置の種類を保存することができる。
【0024】
触覚通知アプリケーション132は、イベント検出モジュール134及び通知モジュール136を含む。イベント検出モジュール134は、車両システム100が遭遇しうる実世界の状態の1つまたは複数の特性を決定するためI/Oインターフェース120を介して受信したデータを分析する。イベント検出モジュール134は、受信したデータを処理して、1つまたは複数のイベントを生成し、通知モジュール136に対応するイベントデータを送信する。イベント検出モジュール134は、センサ140からのセンサデータ、1つまたは複数の外部のレポジトリからのデータ(例えば、危険な交通及び道路状態についてのクラウドソースされたデータ)、及びI/Oインターフェース120を介して制御装置160からのデータを受信することができる。
【0025】
動作の際には、イベント検出モジュール134は、様々なソースから受信したデータを分類して、1つまたは複数の実世界の状態に対応するイベントの1つまたは複数のパラメータを決定する。イベント検出モジュール134は、データを分類するため、データベース138に保存されるルックアップテーブル、ユーザ設定、構成データ、及び/または処理アルゴリズムにさらにアクセスすることができる。例えば、イベント検出モジュール134は、ルックアップテーブルをスキャンして、道路の変形を示すデータが危険な道路状態を表すと決定できるのに対し、車両のルートの特定の区域に沿った寒冷前線の接近を示すデータは、危険な天候状態を表しうると決定できる。イベント検出モジュール134は、1つまたは複数の実世界の状態に対応するイベントの1つまたは複数のパラメータを含むイベントデータを生成する。これらのパラメータは、実世界の状態の種類、厳しさ、及び位置を含む。イベント検出モジュール134は、通知モジュール136にイベントデータを送信する。
【0026】
通知モジュール136は、イベント検出モジュール134から受信したイベントデータを処理し、それに応じて、触覚型出力装置150を構成する1つまたは複数の制御信号を発生する。触覚型出力装置150は制御信号に応答して、ユーザに特定の種類の触覚感覚を発生する。動作の際には、イベントデータに基づいて、通知モジュール136は、触覚感覚をユーザに発生するべきかどうかを判定する。例えば、通知モジュール136は、データベース138にアクセスしてルックアップテーブルをスキャンし、特定のイベントが任意の種類の触覚感覚と関連付けられているかどうかを判定することができる。追加でまたは代替で、通知モジュール136は、車両の事前設定及びユーザ設定にアクセスして、所定の種類の触覚感覚を、もしあれば、ユーザに発生するべきかどうかを判定することができる。さらに、通知モジュール136は、運転者の以前の運転経験に関連するデータを分析して、特定の種類の実世界の状態について運転者に通知するため使用されてきた触覚感覚の種類及びこれらの通知に対する運転者の反応を決定することができる。追加で、通知モジュール136は、外部データのレポジトリからの(例えば、クラウドソースされたデータ)データにアクセスして、それを分析して、様々な人口統計からユーザに特定の種類の実世界の状態に対して特定の方法で応答するようにさせる際に効果的な触覚感覚の種類を決定することができる。通知モジュール136は、こうしたデータを使用して、ユーザに生じる触覚感覚の種類を選択することができる。
【0027】
通知モジュール136はまた、ユーザに生じる触覚感覚の1つまたは複数のパラメータを決定する。これらのパラメータは、感覚を生じる時間を含む。例えば、時間は、車両が実世界の状態に遭遇する前に残っている時間の量に応じてもよい。これらのパラメータはまた、感覚を生じるユーザの体の一部及び感覚の形態及び大きさを含む。追加で、通知モジュール136は、ユーザの位置などの1つまたは複数の特性を示す運転者に面したセンサから受信するセンサデータを分析する。通知モジュール136は、こうした特性を分析して、ユーザに特定の種類の触覚感覚を発生するため触覚型出力装置150を構成する方法を決定する。例えば、通知モジュール136は、ユーザの特定の部位に所定の強度を有する触覚感覚を発生するため、触覚型出力の方向性及び強度を決定することができる。
【0028】
通知モジュール136はまた、ユーザに近接する触覚型出力装置150の位置、方向、及び種類を受信する。様々な実施形態では、触覚型出力装置150は、超音波トランスデューサを含んでもよい。超音波トランスデューサは、アレイ状に配置されてもよい(例えば、4×4、8×8、16×16など)。各超音波トランスデューサは、所定の周波数、位相、及び強度の超音波を発する。通知モジュール136は、2つ以上の超音波トランスデューサによって発生する触覚型出力が、特定の時間に空間の特定の位置を占有するような方法で、超音波トランスデューサを構成する。これが起きるとき、各超音波トランスデューサの触覚型出力は、1つまたは複数の他の超音波トランスデューサの触覚型出力と建設的に及び/または破壊的に干渉する。通知モジュール136は、建設的及び/または破壊的干渉が、触覚型出力がユーザに届く位置で発生するように、超音波トランスデューサを構成し、それによって、ユーザに特定の種類の触覚感覚を発生する。各超音波トランスデューサの触覚型出力の強度、位相、及び周波数を変更することによって、通知モジュール136は、強度のピーク位置を変える、強度のピークの数を増やすまたは減らす、かつ/または1つまたは複数の強度のピークの形状及び/または強度を調節する。この方法では、通知モジュール136は、一般に超音波トランスデューサ及び/または触覚型出力装置150を構成して、ユーザに特定の種類の触覚感覚を発生する。
【0029】
さらに、触覚型出力装置150が、空気渦発生器などの空気出力装置を含む場合、通知モジュール136は、ユーザに所定の種類の触覚感覚を発生するため(例えば、パンチルト動作を使用して)、空気出力装置を構成して1つまたは複数の方向に1つまたは複数の渦を発生することができる。
【0030】
通知モジュール136はさらに、センサデータを分析してユーザが移動しているかどうかを判定し、触覚型出力装置150を構成してユーザの移動を追跡する感覚をユーザに発生する。追加で、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、ユーザが移動している方法とは異なる移動パターン及び方向性を有する触覚感覚を発生することができる。さらに、通知モジュール136はまた、車両が実世界の状態に近づくと触覚感覚の大きさ、形状、強度、及び頻度を含む1つまたは複数のパラメータを変更してもよい。例えば、通知モジュール136は、ユーザが交通事故に近づいていることを示す感覚をユーザの手に発生してもよい。車両が交通事故に近づくにつれ、感覚の大きさはより大きくなってもよく、感覚がより激しくなってもよく、かつ/または触覚型出力装置150は、運転者が車両を減速すべきであることを示すことができる方法で、運転者の手の上で動く種類の感覚を発生してもよい。追加でまたは代替で、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、車両が遭遇しうる種類の実世界の状態をシミュレートする種類の触覚感覚を発生することができる。例えば、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、でこぼこの道路状態をシミュレートする一連の触覚感覚を発生することができる。
【0031】
さらに、センサ140及び/または制御装置160は、もしあれば、触覚感覚及び/または車両310と実世界の状態330との間の相互作用の1つまたは複数の特性に対するユーザの反応についてフィードバックデータを発生する。例えば、制御装置160は、触覚型出力装置150がユーザに触覚感覚を発生した後、ユーザが車両環境100のパラメータを変更したかどうかを判定することができる。追加でまたは代替で、センサ140は、触覚型出力装置150がユーザに触覚感覚を発生した後、車両の位置及び/または方向をどのように変更したかを示すフィードバックデータを生成することができる。通知モジュール136は、フィードバックデータを分析し、実世界の状態についてユーザに通知する際に特定の種類の触覚感覚が効果的であったかどうかを判定する。例えば、車両が実世界の状態を回避した場合、通知モジュール136は、実世界の状態についてユーザに通知することに触覚感覚は成功したと決定することができる。通知モジュール136は、ユーザに別の実世界の状態を通知するときに、触覚型出力装置150を構成して、ユーザに同様の種類の触覚感覚を発生することができる。しかし、車両が素早く加速したまたは減速した、かつ/または別の種類の安全でない動作を見せた場合、通知モジュール136は、その車両は、実世界の状態を回避しなかったと決定することができる。通知モジュール136は、ユーザに別の実世界の状態を通知するときは、別の種類の触覚感覚を使用してもよい。
【0032】
さらに、通知モジュール136は、運転研究からの訓練データセット及び他の車両からの匿名データをさらに分析して、実世界の状態について運転者に警告する際に効果的でありうる触覚感覚の種類を決定することができる。一実施形態において、通知モジュール136は、訓練データセット及び匿名データ上でMLアルゴリズムを実施して、それぞれの種類の実世界の状態についてユーザに通知する際に効果的でありうる触覚感覚の種類を決定することができる。
【0033】
本明細書に開示された様々な実施形態は、車両環境内で実施されるものとして説明されている(例えば、車両環境100)。一般に、車両は、自動車、トラック、モーターバイク、ボート、潜水艦、パーソナルウォータークラフト、スノーモービル、飛行機、宇宙船などを含むが、それに限定されない、任意の種類の輸送装置を含んでもよい。しかし、本明細書に開示される実施形態は、任意の種類の環境内で触覚型出力装置の機能を実施するよう構成された任意の技術的に実現可能なシステムを想定する。例えば、制限なく、本明細書に説明される技術は、自動車やドローンを制御するシステムなどの遠隔車両制御システムで実行することができる。追加で、様々な技術がユーザの手の上で実行されるものとして説明されているが、本明細書に開示されるいずれの技術も、ユーザの手、腕、脚、足首、指、指先などを含む、ユーザの任意の部位で触覚型出力を発生するために使用することができる。さらに、所定の技術が、所定の種類の触覚型出力装置によって実施されるものとして説明されているが(例えば、超音波トランスデューサ)、本明細書に開示されるそれぞれの技術は、任意の種類の触覚型出力装置を実現して、ユーザに触覚感覚を発生することができる。具体的には、ユーザと直接物理的接触を行わずにユーザに触覚感覚を発生する触覚型出力装置は、本明細書に開示された任意の実施形態で実行することができる。
【0034】
図2A~2Dは、様々な実施形態による、実世界の状態を示す1つまたは複数の触覚型出力装置150によって発生される様々な種類の触覚感覚を示す。図示のように、相互作用領域200は触覚感覚210~240を含む。
【0035】
上述のように、様々な実施形態では、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、所定の種類の触覚感覚をユーザの特定の部位に発生する。図2A及び2Bに示すように、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、触覚感覚の強度を変更することができる。様々な実施形態では、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、強度ピークの数及び/または密度を増やすこと、強度ピークの振幅を増やすこと、強度ピークによって広げられた領域を減らすことによって強度ピークの密度を増やすことなどによって領域内の触覚感覚の強度を上げる。例えば、ユーザが実世界の状態に近づき、かつ/または実世界の状態がより厳しくなると、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、触覚感覚210の強度を上げることができる。具体的には、図2Bの触覚感覚220は、図2Aの触覚感覚210の2倍強い。
【0036】
図2C及び2Dに示すように、通知モジュール136は触覚型出力装置150を構成して、ユーザの触覚感覚の位置を変更することができる。具体的には、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、図2Cの触覚感覚230の位置と図2Dの触覚感覚240の位置との間を移動する触覚感覚を発生する。その特定の種類の触覚感覚は、実世界の状態に応じて車両パラメータを修正するため車両装置を右側に移動する必要があるとユーザに示すことができる。代替でまたは追加で、実世界の状態の厳しさが増加した、または減少したことを示すため、通知モジュール136は触覚型出力装置150を構成して、触覚感覚の位置を変更することができる。こうした実施形態では、触覚感覚の頻度、強度、及び/または大きさが増してもよい。追加で、通知モジュール136は触覚型出力装置150を構成して、相互作用領域200の周りを定期的にまたは無作為に移動する触覚感覚を発生することができる。例えば、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、ユーザが、実世界の状態に近づくまたは離れると、定期的な移動の頻度を、それぞれ、増やすまたは減らすことができる。
【0037】
図2A~2Dはまた、通知モジュール136が、ユーザに対する触覚感覚の大きさ及び形状を変える技術を示す。具体的には、触覚感覚210及び220は、相互作用領域200のいたるところに定期的に分布する。触覚感覚210及び220はまた、同様の大きさ及び形状の領域を満たす。図2C及び2Dでは、触覚感覚230及び240は、相互作用領域200内に非対称に分布し、リッジ形状になっている。追加で、触覚感覚230及び触覚感覚240は、触覚感覚210及び触覚感覚220で満たされた領域より小さい大きさの領域に集中している。通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、ユーザと実世界の状況との間の距離が増大していることをユーザに知らせるため触覚感覚の大きさを小さくすることができる。追加で、通知モジュール136は、触覚型出力装置150を構成して、触覚型出力装置150のエネルギーの使用を減らすとき、触覚感覚の大きさを小さくすることができる。
【0038】
図3は、様々な実施形態による、データ収集システム320からのデータを分析することによって車両310の現在のルートの区域に沿って起こっている実世界の状態330を検出する技術を示す。図示のように、システム環境300は、実世界の状態330、アップリンク350、データ収集システム320、ダウンリンク360、車両310、及び運転者の視線340を含む。図示のように、実世界の状態330は、運転者の視線340の外側である。したがって、運転者は、通知を受け取ることなく実世界の状態330を予期することはできない。
【0039】
様々な実施形態では、アップリンク350及びダウンリンク360は、衛星通信ネットワーク、携帯電話通信ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク)、車車間・路車間(V2X)通信ネットワーク、様々な無線通信ネットワーク、及び車両310とデータ収集システム320との間のデータの転送を容易にする通信ネットワークの組み合わせを含んでもよい。
【0040】
実世界の状態330は、悪い天候状態、悪い交通状態、及び/または悪路状態を含む、車両310が遭遇しうる任意の種類の状態としうる。例えば、実世界の状態330は、急カーブ、凍った路面、エンストした車両、事故、通行止め、及び/または豪雨、雪またはあられを含んでもよい。実世界の状態330についてのデータは、道路内のセンサ、道路の周りのセンサ、1つまたは複数の実世界の状態330に近い車両など、実世界の状態330に近接するセンサによって発せられうる。追加で、データは、高所作業車及び/または交通パターンを監視する空間のセンサによって発せられうる。追加でまたは代替で、実世界の状態330に近い車両内の1人または複数の個人は、種類、厳しさ、及び実世界の状態330の位置を示すデータを提供することができる。
【0041】
図示のように、データ収集システム320は、アップリンク350経由で実世界の状態330についてのデータを受信する。データ収集システム320は、実世界の状態330についてのデータを受信することができる任意の種類のデータレポジトリとしうる。データ収集システム320は、アップリンク350、ローカルエリアネットワーク、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク上のデータ転送などを介して、データを受信することができる。追加でまたは代替で、データ収集システム320は、実世界の状態330を反映するデータを発生する1つまたは複数のセンサを含んでもよい。例えば、データ収集システム320は、視覚センサ(例えば、RGB画像センサ)、赤外線ベースのセンサ、レーダーベースセンサ、合成開口レーダ干渉計(例えば、二重パスまたはシングルパス)、レーザーベースのセンサ(例えば、ライダ)、マイクロ波ベースのセンサなどを含んでもよい。様々な実施形態では、データ収集システム320は、実世界の状態330についてのデータに関して1つまたは複数の処理ステップを実施し、ダウンリンク360経由で車両310へそのデータを送信する。
【0042】
車両310は、上記で論じた車両環境100を含む。上述の通り、車両環境100は、車両310の中央コンピューティング環境であり、センサ140、触覚型出力装置150、制御装置160、及びコンピューティングデバイス105を含む。車両環境100は、データ収集システム320からダウンリンク360、ローカルエリアネットワーク、WiFi(登録商標)ネットワーク上のデータ転送などを介して、データを受信する。データは、制御装置160及び/またはコンピューティングデバイス105によって受信することができる。データを制御装置160が受信する場合、制御装置160はデータ上で1つまたは複数の処理ステップを実施してもよい。例えば、制御装置160はデータを分析して、実世界の状態330の種類、厳しさ、及び位置を決定することができる。制御装置160はまた、実世界の状態330についてユーザに通知し、ユーザが実世界の状態330に応じて修正可能なパラメータを示す、ユーザへの通知を決定することができる。システム環境300では、制御装置160は、車両310が右車線に移動し、実世界の状態330に応じて道路の分岐点を右に進むべきであると決定することができる。制御装置160は通知を発生し、コントローラエリアネットワーク、ローカル相互接続ネットワーク、FlexRay(登録商標)等経由でコンピューティングデバイス105にその通知を送信することができる。
【0043】
実施形態によっては、コンピューティングデバイス105は、ダウンリンク360、ローカルエリアネットワーク、WiFi(登録商標)ネットワーク上のデータ転送などを介して、データ収集システム320からデータを直接受信する。I/Oインターフェース120はデータを受信して、そのデータをイベント検出モジュール134に送信する。上述のように、イベント検出モジュール134は、実世界の状態330を示す通知及び/またはデータを受信する。イベント検出モジュール134は、その通知及び/またはデータを処理し、イベントデータを発生する。イベントデータは、種類、厳しさ場所などへの実世界の状態の分類化を含む。イベント検出モジュール134は、通知モジュール136にそのイベントデータを送信する。
【0044】
図4は、様々な実施形態による、触覚型出力装置420を介して実世界の状態330を示す触覚感覚を発生する技術を示す。図示のように、システム環境400は、センサ410、触覚型出力装置420、及び触覚型出力430を含む。
【0045】
上述のように、通知モジュール136は、実世界の状態330についてのデータを提供するイベント検出モジュール134からイベントデータを受信する。通知モジュール136は、センサ410からのセンサデータを分析して、1つまたは複数のユーザのパラメータを決定する。例えば、センサデータは、ユーザの位置、大きさ、寸法、方向、どのようにユーザが移動しているか、触覚型出力装置420に最も近いユーザの部位などを示すことができる。通知モジュール136はまた、触覚型出力装置430それぞれの位置、方向、及び種類を受信する。上述のように、触覚型出力装置420は、超音波出力装置、空気出力装置及び/またはユーザに触覚感覚を発生する他の種類の装置を含む。
【0046】
実世界の状態330、センサデータ、及び触覚型出力装置420に基づいて、通知モジュール136は、触覚型出力装置420がユーザに発生すべき触覚感覚の種類を決定する。具体的には、通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成して、特定の強度、大きさ、位置、形状、及び方向を備える触覚感覚を発生する。追加で、通知モジュール136は、触覚感覚がユーザ上で動く速度、頻度、及び経路を決定する。
【0047】
通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成する制御信号を発生する。制御信号は、特定の種類の触覚感覚を発生するため、それぞれの触覚型出力装置420からの触覚型出力の強度、位相、及び/または方向を特定する。例えば、通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成して、多くの触覚型出力装置420があるときは、ユーザに複雑な触覚感覚を発生してもよく、触覚型出力装置420が少ないときは、より単純な触覚感覚を発生してもよい。実施形態によっては、通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成して、車両310が実世界の状態330から離れているとき、静的触覚感覚を発生する。しかし、車両310が実世界の状態330に近いとき、通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成して、触覚感覚が定期的に振動するようにユーザへの触覚感覚の位置を変える。通知モジュール136は、定期的な動きの頻度を決定する。例えば、通知モジュール136は、触覚型出力装置420を構成して、実世界の状態330と車両310との間の距離が短くなるにつれ増加する振動の頻度を備える触覚感覚を発生することができる。
【0048】
さらに、センサ140及び/または制御装置160は、もしあれば、触覚感覚に対するユーザの反応及び車両310と実世界の状態330との間の相互作用の1つまたは複数の特性についてのフィードバックデータを発生する。例えば、システム環境300及びシステム環境400では、制御装置160は、運転者が左車線から右車線に移動したかどうかを判定できる。追加でまたは代替で、センサ140は、車両310が右に加速したかどうかを示すデータを発生する加速度計を含んでもよい。こうした加速は、運転者が車線を変更したことを示しうる。実施形態によっては、道路に面したセンサ140が、1つまたは複数の車線区分線に対して車両310の位置を示すフィードバックデータを発生することができる。さらに、全地球測位センサは、車両310の横方向位置が右または左に移動したことを示すデータを発生することができる。全地球的航法衛星システム(GNSS)はデータを分析して、車両310が車線区分線を横切ったかどうかを判定する。GNSSは、車両が車線区分線を横切ったかどうかを示すフィードバックデータを発生することができる。GNSS、センサ140、及び/または制御装置160は、通知モジュール136にフィードバックデータを送信する。
【0049】
通知モジュール136は、フィードバックデータを処理して、触覚感覚が実世界の状態330をユーザに通知することが効果的であったかどうかを判定する。例えば、車両310が右車線に移動した場合、通知モジュール136は、触覚感覚は、ユーザの行動を修正することに成功したと決定する。触覚感覚が成功したので、その後の実世界の状態をユーザに通知するとき、通知モジュール136はさらに、実世界の状態330をユーザに通知するために使用された触覚感覚の種類が、実行されるべきであると決定することができる。別の方法として、車両310が左車線に留まった場合、通知モジュール136は、触覚感覚は、ユーザの行動を修正することに成功しなかったと決定する。触覚感覚が成功しなかったので、その後の実世界の状態をユーザに通知するとき、通知モジュール136はさらに、別の種類の触覚感覚が実施されるべきだと決定することができる。例えば、通知モジュール136は、その後の実世界の状態を運転者に通知するとき、触覚型出力装置420を構成して、触覚感覚の強度を上げる、触覚感覚の大きさを大きくする、かつ/または別の種類の触覚感覚を使ってもよい。
【0050】
追加で、通知モジュール136は、フィードバックデータを処理するとき、データベース138に保存された機械学習(ML)アルゴリズムにアクセスして、これらのアルゴリズムをフィードバックデータに適用することができる。さらに、通知モジュール136は、運転研究からの訓練データセット及び他の車両からの匿名データをさらに分析して、実世界の状態について運転者に通知する際に効果的でありうる触覚感覚の種類を決定することができる。
【0051】
さらに、様々な実施形態では、通知モジュール136は、実世界の状態について特定の種類の実世界の状態に対してのみユーザに通知する際に、特定の種類の触覚感覚の有効性と関連づけることができる。例えば、通知モジュール136は、特定の種類の触覚感覚が交通事故についてユーザに通知することに効果的であるが、危険な道路状態についてユーザに通知することに効果的ではないと決定することができる。こうした実施例では、通知モジュール136は、交通事故についてユーザに通知するとき、その特定の種類の触覚感覚を発生し、危険な道路状態についてユーザに通知するとき、別の種類の触覚感覚を実施してもよい。
【0052】
図5は、様々な実施形態による、センサ520経由で実世界の状態530を検出する技術を示す。図示のように、システム環境500は、車両510、センサ520、実世界の状態530、センサの視界550、運転者の視線540、及び視覚障害物560を含む。車両510は、上記で論じた車両環境100を含む。
【0053】
様々な実施形態では、実世界の状態530は、道路状態、交通パターン、及び/または天候パターンであってもよい。システム環境500では、実世界の状態は、運転者が見ることができない道路のポットホールである。とういうのも、視線540は、視覚障害物560によって制限されているからである。しかし、実世界の状態530は、センサ520のセンサの視界550の中である。センサ520は、車両510の車両環境100内に位置づけられ、車両510の前で実世界の状態についてのデータを発生する。センサ520は、実世界の状態530に関するデータを発生し、コンピューティングデバイス105にそのデータを送信する。コンピューティングデバイス105内のI/Oインターフェース120はデータを受信し、イベント検出モジュール134にデータを送信する。イベント検出モジュール134は、データを処理して、実世界の状態530の1つまたは複数の特性を決定する。イベント検出モジュール134は、種類、厳しさ、及び/または実世界の状態530の位置を示すイベントデータを発生し、通知モジュール136にそのイベントデータを送信する。
【0054】
図6は、様々な実施形態による、車両装置が実世界の状態530に応じて調節されるべき方法を示す触覚感覚を発生する技術を示す。図示のように、システム環境600は、車両装置610、センサ620、及び触覚型出力装置630を含む。
【0055】
上述のように、通知モジュール136は、イベント検出モジュール134からイベントデータを受信する。通知モジュール136は、イベントデータを処理し、触覚感覚の種類を決定して、ユーザに発生する。センサ620は、ハンドル610上のユーザの両手の位置及び/または方向を示すセンサデータを発生する。様々な実施形態では、1つまたは複数の手がハンドル610の上または周りに位置づけられうる。通知モジュール136はセンサデータを分析して、センサ620の視界内のそれぞれの手の位置を追跡する。様々な実施形態では、センサ620は、ユーザの前腕、肩、顔、トラックなどを含む、ユーザの様々な他の部位の位置を反映するセンサデータを発生することができる。
通知モジュール136はセンサデータを分析して、センサ620の視界内のユーザの体の様々な部位の位置を追跡する。
【0056】
通知モジュール136は、触覚感覚を発生するユーザの体の一部を選択する。追加で、通知モジュール136は、触覚感覚の種類を選択して、ユーザに発生する。通知モジュール136はさらに、触覚型出力装置630を構成して、触覚型出力にユーザの体の選択された部位と相互作用させる、振幅及び位相を有する触覚型出力を発生し、それによりユーザに決められた種類の触覚感覚を発生する。触覚感覚の種類は、実世界の状態530に応じて、ユーザが車両装置610の位置をどのように変えるべきかを示す。例えば、通知モジュール136は、運転者の手に左の部分から運転者の手の右の部分に移動する触覚感覚を発生することができる。その特定の触覚感覚は、ポットホールに向けて走ることを回避するため右に車両を向けるべきであると運転者に示すことができる。
【0057】
実施形態によっては、通知モジュール136は、触覚型出力装置630を構成して、実世界の状態530の触覚表象を与える触覚感覚を発生する。例えば、通知モジュール136は、走ろうとしている道路の特定の部分に数多くの小さなわだちがあることをユーザに示すために位置を頻繁に変える一連の触覚感覚をユーザの手に発生することができる。そして、通知モジュール136は、触覚型出力装置630を構成して、減速するべきであるとユーザに示す第2の触覚感覚をユーザの手に発生することができる。
【0058】
追加で、通知モジュール136は、データベース138内及び/または外部のデータレポジトリ内のデータを分析して、特定の種類の実世界の状態について運転者に通知する際に効果的な触覚感覚の種類を決定することができる。例えば、通知モジュール136は、外部のデータレポジトリにアクセスして、ポットホールについて運転者に通知する際に効果的な触覚感覚の種類を決定することができる。通知モジュール136は、触覚型出力装置630を構成して、運転者の手に特定の種類の触覚感覚を発生することができる。
【0059】
さらに、通知モジュール136は、触覚型出力装置630を構成して、ユーザに触覚感覚を発生する際に、時間遅延を実施してもよい。通知モジュール136は、車両の現在の状態、運転者の位置、及び/または車両510が実世界の状態530に遭遇しそうになる前に残っている時間の量に基づいて、時間遅延を設定することができる。時間遅延により、運転者は、車両510に関して別の状況を解決している可能性がある間、触覚感覚によって気をそらされることが確実にない。例えば、通知モジュール136は、車両510に近いポットホールについて通知を与える間、ルートの後の部分で起こる天候状態について運転者に通知する前に時間遅延を実施することができる。
【0060】
通知モジュール136はまた、データベース138内のデータを分析して、特定のユーザ及び/または一般のユーザが、通常実世界の状態530についての通知に応じなければならない時間の閾値量を決定することができる。通知モジュール136は、車両510の速度を計算して、車両510が実世界の状態530と接するのに期待される時間を決定することができる。通知モジュール136は、実世界の状態530に遭遇する前に通知に応じるための時間の閾値量をユーザが持つように通知を発生する時間を決定する。追加でまたは代替で、時間の閾値量は、予め設定されてもよい、かつ/または通知モジュール136が触覚型出力装置630を構成してユーザに触覚感覚を発生することにより、車両510が実世界の状態530に遭遇する前に、ユーザが所定の時間の閾値量を選択してもよい。
【0061】
図7は、様々な実施形態による、触覚型出力を介して車両の態様を修正するようユーザに指示する方法のステップの流れ図を示す。その方法のステップは、図1~6と共に説明されているが、その方法のステップを実施するよう構成された任意のシステムが、本開示の範囲内に含まれることは当業者ならば理解するであろう。
【0062】
図7に示すように、方法700は、ステップ710で始まり、そこではイベント検出モジュール134が、車両のルートに沿って位置する実世界の状態に対応するデータを受信する。実施形態によっては、ステップ710で、イベント検出モジュール134が、実世界の状態近くに位置する1つまたは複数のセンサ、車両システム100に含まれる1つまたは複数のセンサ、クラウドソースされたデータ、データ収集システム320などからデータを受信することができる。ステップ720で、イベント検出モジュール134は、データを処理して、実世界の状態の1つまたは複数の特性を識別する。その特性は、位置、厳しさ、及び/または実世界の状態の種類を含みうる。例えば、実世界の状態は、交通事故、悪い道路状態、及び/または悪い天候パターンを含んでもよい。イベント検出モジュール134は、通知モジュール136に実世界の状態の特性を送信する。
【0063】
方法700は、ステップ730に進み、そこでは、通知モジュール136が触覚感覚の種類を決定して、実世界の状態の識別された特性に基づいて発生する。通知モジュール136は、触覚感覚の強度、大きさ、形状、及び方向を決定する。追加で、通知モジュール136は、触覚感覚が静的かどうか、または触覚感覚が移動するかどうかを決定する。例えば、触覚感覚は、特定の頻度で、ユーザ上の点で振動することができる。さらに、触覚感覚は、実世界の状態の1つまたは複数の特性をシミュレートすることができる。
【0064】
方法700は、ステップ740に進み、そこでは、通知モジュール136が、ユーザの近くに位置づけられた1つまたは複数のセンサ(例えば、センサ410及びセンサ620)からのセンサデータを分析して、触覚型出力装置150の1つ以上に対するユーザの位置を決定する。
【0065】
方法700は、ステップ750に進み、そこでは、通知モジュール136が触覚型出力装置150を構成して、通知モジュール136及びユーザの位置によって決定された触覚感覚の種類に基づいて、触覚感覚を発生する。車両が実世界の状態に遭遇するとき、通知モジュール136は、データベース138に保存された1つまたは複数のMLアルゴリズムを実施して、車両が実世界の状態と相互作用した方法を示すフィードバックデータを分析することができる。例えば、通知モジュール136が、相互作用は成功であったと決定した場合、別の実世界の状態についてユーザに通知するとき、通知モジュール136は同様の種類の触覚感覚を実施することができる。通知モジュール136が、相互作用は成功ではなかったと決定した場合、別の実世界の状態についてユーザに通知するとき、通知モジュール136は別の種類の触覚感覚を実施することができる。追加で、通知モジュール136は、運転研究からの訓練データセット及び他の車両からの匿名データをさらに分析して、実世界の状態について運転者に通知する際に効果的でありうる触覚感覚の種類を決定することができる。
【0066】
要約すると、イベント検出モジュールは、車両のルートに沿って実世界の状態を示すデータを受信する。イベント検出モジュールは、実世界の状態の1つまたは複数の特性を決定し、通知モジュールにこれらの特性を送信する。通知モジュールは、実世界の状態の特性に基づいて、ユーザに発生する触覚感覚の種類を決定する。通知モジュールは、触覚型出力装置を構成して、ユーザに特定の種類の触覚感覚を発生する触覚型出力を生成する。
【0067】
本明細書に記載される技術の少なくとも1つの利点は、ユーザに視覚表示を見るようにまたは音響警報を聴くように要求することなく、ユーザが実世界の状態についての通知を受け取ることである。したがって、ユーザ(例えば、運転者)は、道路から視線を離すことなく様々な種類の実世界の状態を予期することができる。さらに、触覚感覚は、ユーザに伝達するための代替手段として実施され、ユーザが追加の情報に圧倒されることを防ぐことができる。その結果、本明細書に記載の技術は、様々な種類の情報がユーザに与えられたとき、ユーザが負う認識の作業負荷を低減する。
【0068】
様々な実施形態の説明は、例示目的でなされたものに過ぎず、開示された本実施形態ですべてを網羅することまたはそれに限定することを意図するものではない。多くの変更形態及び変形形態が、説明された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。
【0069】
本実施形態の態様は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として具現化されうる。したがって、本開示の態様は、全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)またはすべて概して本明細書で「回路」、「モジュール」または「システム」と呼ばれうるソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態を採ってもよい。さらに、本開示の態様は、中に組み込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(複数可)に組み込まれたコンピュータプログラム製品の形態を採ってもよい。
【0070】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせが、使用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、電子の、磁気の、光学の、電磁の、赤外線の、あるいは半導体のシステム、装置、またはデバイス、もしくは前述の任意の適切な組み合わせであってもよいが、それに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な実施例(完全に網羅しているわけではない一覧)として、1つまたは複数の線を有する電気接続、ポータブルコンピュータのフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、または前述の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本文書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスで使用するまたはそれと共に使用するプログラムを含有する、または保存することができる任意の有形媒体であってもよい。
【0071】
本開示の態様は、本開示の実施形態による、方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品の流れ図及び/またはブロック図を参照して上述されている。流れ図及び/またはブロック図の各ブロック及び流れ図及び/またはブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに与えられて、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサ経由で実行される命令が、流れ図及び/またはブロック図のブロック(複数可)に明示された機能/行為を実施できるように機械を製造することができる。こうしたプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、またはフィールドプログラマブルプロセッサもしくはゲートアレイであってもよいが、それに制限されない。
【0072】
図中の流れ図及びブロック図は、本開示の様々な実施形態による、システム、方法及びコンピュータプログラム製品の考えられる実行の構造、機能、及び動作を示す。これに関して、流れ図またはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実施する1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、またはポーションを表すことができる。代替の実施態様によっては、ブロック内で言及される機能が、図面で言及される順序と異なる場合があることにも留意されたい。例えば、連続して図示される2つのブロックが、実際は、実質的に同時に実行されることがありえる、またはブロックが、関係する機能に応じて、逆の順序で実行される場合がある。ブロック図及び/または流れ図の各ブロック及びブロック図及び/または流れ図のブロックの組み合わせが、指定された機能または行為を実施する専用ハードウェアベースのシステム、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実施することができることにも留意されたい。
【0073】
前述は、本開示の実施形態に関するが、本開示のその他の及びさらなる実施形態が、以下の特許請求の範囲によって決定される本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、考案されてもよい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7