(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】電池パック、制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20220921BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220921BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220921BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01M10/48 Z
H01M10/44 P
B64C39/02
B64D27/24
(21)【出願番号】P 2019539539
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2018031787
(87)【国際公開番号】W WO2019044842
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2017169409
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩
【審査官】羽鳥 友哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086234(WO,A1)
【文献】特開平11-040205(JP,A)
【文献】特表2008-535457(JP,A)
【文献】特開2014-230473(JP,A)
【文献】国際公開第2014/057538(WO,A1)
【文献】特開2013-074707(JP,A)
【文献】特開2016-222244(JP,A)
【文献】特開2015-091199(JP,A)
【文献】特開2018-007542(JP,A)
【文献】特開2016-116310(JP,A)
【文献】特開2001-102092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 10/44
B64C 39/02
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体に電力を供給する二次電池と、
前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定手段と、
前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させ、
前記制御手段は、前記飛行体が落下中である場合に、
前記飛行体が着地するまでに要するエネルギーを推定し、
前記二次電池の残存エネルギーから前記推定されたエネルギーを引いた値に基づいて、前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさを決定する、電池パック。
【請求項2】
飛行体に電力を供給する二次電池と、
前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定手段と、
前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させ、
前記制御手段は、前記飛行体が落下中である場合と前記飛行体が着地した後である場合との双方で、前記二次電池の電力を前記負荷へ出力させ、
前記飛行体が着地した後において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさは、前記飛行体の落下中において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさよりも大きい、電池パック。
【請求項3】
前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池又はその周辺に加わる圧力、衝撃、又は振動の大きさを推定し、前記推定の結果と基準値との差異に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体の姿勢を推定し、前記推定された姿勢に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体が落下中であるか否かを推定し、前記推定の結果に基づいて前記二次電池の危険度を特定する、請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項6】
前記制御手段は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、前記二次電池と当該電池パックの外部とを接続する電力線上に設けられているヒューズを切断する、請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項7】
前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、当該電池パックの外部に、前記二次電池が危険な状態であることを通知する通知手段を有する、請求項1乃至
6いずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
請求項1乃至
7いずれか一項に記載の電池パックが有する制御装置。
【請求項9】
電池パックを制御する制御装置によって実行される制御方法であって、
前記電池パックは、飛行体に電力を供給する二次電池と、前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、を有し、
前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定ステップと、
前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させ、
前記制御ステップは、前記飛行体が落下中である場合に、
前記飛行体が着地するまでに要するエネルギーを推定し、
前記二次電池の残存エネルギーから前記推定されたエネルギーを引いた値に基づいて、前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさを決定する、制御方法。
【請求項10】
電池パックを制御する制御装置によって実行される制御方法であって、
前記電池パックは、飛行体に電力を供給する二次電池と、前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、を有し、
前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定ステップと、
前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させ、
前記制御ステップは、前記飛行体が落下中である場合と前記飛行体が着地した後である場合との双方で、前記二次電池の電力を前記負荷へ出力させ、
前記飛行体が着地した後において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさは、前記飛行体の落下中において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさよりも大きい、制御方法。
【請求項11】
電池パックを制御する制御装置に、請求項
9または10に記載の制御方法の各ステップを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の状態の監視に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンのように、二次電池を動力として飛行する飛行体が開発されている。例えばこのような飛行体に関する技術を開示する文献として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、飛行体に電力を供給する二次電池の状態を把握する新たな技術を見出した。本願発明の目的は、飛行体に電力を供給する二次電池の状態を把握する新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電池パックは、1)飛行体に電力を供給する二次電池と、2)二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、3)制御装置と、を有する。
制御装置は、センサの計測値に基づいて、二次電池の危険度を特定する特定手段を有する。
【0006】
本発明の制御装置は、本発明の電池パックが有する制御装置である。
【0007】
本発明の制御方法は、電池パックを制御する制御装置によって実行される。電池パックは、飛行体に電力を供給する二次電池と、二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、を有する。
当該制御方法は、センサの計測値に基づいて、二次電池の危険度を特定する特定ステップを有する。
【0008】
本発明のプログラムは、電池パックを制御する制御装置に、本発明の制御方法が有するステップを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飛行体に電力を供給する二次電池の状態を把握する新たな技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
【
図1】実施形態1の電池パックをその利用環境と共に例示する図である。
【
図2】制御装置を実現するための計算機を例示する図である。
【
図3】制御装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】実施形態2の電池パックをその利用環境と共に例示する図である。
【
図6】電池パックにヒューズが設けられているケースを例示する図である。
【
図7】電池から電力供給可能な負荷を有する電池パックを例示する図である。
【
図8】実施形態2の制御装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】実施形態3の電池パックを例示するブロック図である。
【
図11】電池の状態を表す表示を含む危険通知を例示する図である。
【
図12】放電制御部による制御の内容を示す危険通知を例示する図である。
【
図13】実施形態3の制御装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、特に説明する場合を除き、ブロック図における各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。また、特に断らない限り、所定値又は基準値は、その値を利用する機能構成部に予め設定しておいてもよいし、その機能構成部からアクセス可能な記憶装置に記憶させておいてもよい。
【0013】
[実施形態1]
図1は、実施形態1の電池パック2000をその利用環境と共に例示する図である。電池パック2000は、二次電池2020を有する。二次電池2020は、任意の二次電池(例えばリチウムイオン電池)の単位セルであるか、又は二次電池の単位セルが複数接続された組電池である。以下、二次電池の単位セルのことを電池セルとも表記する。
【0014】
電池パック2000は飛行体10と接続されている。飛行体10は、電池パック2000から供給される電力で駆動する任意の飛行体である。例えば飛行体10は、ドローンなどである。電池パック2000は、飛行体10の内部に納められてもよいし、飛行体10の外周面などに固定されてもよい。
【0015】
電池パック2000はさらに、センサ2040及び制御装置2060を有する。センサ2040は、二次電池2020又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサである。
【0016】
制御装置2060は、二次電池2020に関する制御を行う装置である。具体的には、制御装置2060は特定部2062を有する。特定部2062は、センサ2040によって出力される計測値に基づいて、二次電池2020の危険度を特定する。
【0017】
<作用・効果>
本実施形態の電池パック2000によれば、二次電池2020又はその周辺に加わる力に関するセンサ2040の計測値に基づいて、二次電池2020の危険度が特定される。後述するように、センサ2040の計測値を利用することで、二次電池2020又はその周辺に加わる圧力、衝撃、若しくは振動の大きさ、飛行体10が落下しているか否か、飛行体10の姿勢が正常であるかどうかなど、様々な情報を把握することができる。そのため、本実施形態の電池パック2000によれば、これらの情報を利用することで、飛行体10に電力を供給する二次電池2020について、その状態が危険な状態であるか否かを把握することができる。
【0018】
<制御装置2060のハードウエア構成の概要>
制御装置2060は、ハードウエアのみ(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、制御装置2060がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0019】
図2は、制御装置2060を実現するための計算機1000を例示する図である。例えば計算機1000は、バッテリーマネージメントユニット(BMU: Battery Management Unit)である。計算機1000は、制御装置2060を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
【0020】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、及び入出力インタフェース1100を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、及び入出力インタフェース1100が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ1040は、MPU(Microprocessor)などで実現されるプロセッサである。メモリ1060は、RAM (Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現される補助記憶装置である。
【0021】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と他のデバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば計算機1000は、入出力インタフェース1100を介して、センサ2040と接続されている。
【0022】
ストレージデバイス1080は、制御装置2060が有する各機能(特定部2062など)を実現するためのプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、このプログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、制御装置2060の各機能を実現する。
【0023】
<<センサ2040について>>
センサ2040には、様々なものを採用することができる。例えばセンサ2040は、圧力センサや加速度センサなどである。センサ2040は、二次電池2020に接触する位置(例えば二次電池2020の外周面上)に設けられてもよいし、二次電池2020とは接触しない位置に設けられてもよい。後者の場合、センサ2040は、二次電池2020に加わる力を等価的に計測できる位置に設置されることが好ましい。なお、二次電池2020に加わる力を等価的に計測できる位置を運用前のテストなどによって特定する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0024】
<処理の流れ>
図3は、制御装置2060によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。特定部2062は、センサ2040から出力される計測値を取得する(S102)。特定部2062は、取得した計測値に基づいて、二次電池2020の危険度を特定する(S104)。
【0025】
特定部2062が危険度の判定を行うタイミングは様々である。例えば特定部2062は、センサ2040から計測値が出力されるたびに、その計測値を利用して、二次電池2020の危険度を特定する。
【0026】
その他にも例えば、特定部2062は、定期的に二次電池2020の危険度を判定してもよい。この場合、例えば特定部2062は、所定時間が経過するごとに、センサ2040の最新の計測値を利用して、二次電池2020の危険度を特定する。その他にも例えば、特定部2062は、所定時間が経過するごとに、前回二次電池2020の危険度の特定を行った時点以降に出力された計測値を複数用いて、二次電池2020の危険度を特定する。
【0027】
<二次電池2020の危険度について>
二次電池2020の危険度の表し方は様々である。例えば二次電池2020の危険度は、「危険である」又は「危険でない」のいずれか一つで定められる。その他にも例えば、二次電池2020の危険度は、3つ以上のランク(以下、危険度ランク)で定められる。例えば危険度ランクは、値が大きいほど危険であることを意味する数値「1」から「n」(nは3より大きい整数)のいずれかで表される。例えばn=5であれば、最も危険でないことを表す危険度ランクは1であり、最も危険であることを表す危険度ランクは5である。
【0028】
<特定部2062による制御の詳細:S104>
特定部2062は、センサ2040によって出力される計測値に基づいて、二次電池2020の危険度を特定する(S104)。以下、危険度の特定方法を具体的に説明する。
【0029】
<<危険度であるか否かを判定するケース>>
特定部2062は、センサ2040の計測値から得られる指標値を利用して、二次電池2020の状態が危険であるか否かを判定する。なお、二次電池2020の状態が危険であると判定することは、二次電池2020の危険度を「危険である」にすることを意味する。一方、二次電池2020の状態が危険でないと判定することは、二次電池2020の危険度を「危険でない」にすることを意味する。ここで、センサ2040の計測値から得られる指標値は、センサ2040の計測値そのものであってもよいし、センサ2040の計測値を用いて算出される値であってもよい。
【0030】
例えばセンサ2040が、二次電池2020又はその周辺に加わる圧力を検出するセンサであるとする。圧力を検出するセンサとしては、例えば圧力センサを用いることができる。また、指標値として、センサ2040の計測値を用いることができる。
【0031】
特定部2062は、指標値が基準値以上であるか否かを判定する。指標値が基準値以上ある場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険であると判定する。一方、指標値が基準値未満である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険でないと判定する。こうすることで、二次電池2020に対して大きな圧力が加わった状況を、二次電池2020が危険な状態にある可能性がある状況として検出することができる。
【0032】
その他にも例えば、センサ2040が、二次電池2020又はその周辺に加わる衝撃を検出するセンサであるとする。衝撃を検出するセンサとしては、例えば加速度センサを用いることができる。衝撃の大きさは、加速度センサの計測値の変化量と相関を有するといえる。そこで制御装置2060は、例えば、加速度センサの時系列データを用いて、加速度センサの計測値の単位時間値の変化量を算出し、算出された変化量を指標値として扱う。
【0033】
特定部2062は、指標値が基準値以上であるか否かを判定する。指標値が基準値以上である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険であると判定する。一方、指標値が基準値未満である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険でないと判定する。こうすることで、二次電池2020に対して大きな衝撃が加わった状況を、二次電池2020が危険な状態にある可能性がある状況として検出することができる。
【0034】
その他にも例えば、センサ2040が、二次電池2020又はその周辺で生じる振動を検出するセンサであるとする。振動を検出するセンサとしては、例えば加速度センサを用いることができる。振動は、加速度センサの計測値の時系列データにおける計測値の変化によって表される。そこで特定部2062は、例えば、加速度センサの計測値の時系列データを用いて、その時系列データで表される振動の大きさを算出し、算出された振動の大きさを指標値として扱う。
【0035】
特定部2062は、指標値が基準値以上であるか否かを判定する。指標値が基準値以上である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険であると判定する。一方、指標値が基準値未満である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険でないと判定する。こうすることで、二次電池2020が大きく振動した状況を、二次電池2020が危険な状態にある可能性がある状況として検出することができる。
【0036】
その他にも例えば、特定部2062は、センサ2040を用いて、飛行体10が落下しているか否か(二次電池2020が落下しているか否か)を判定してもよい。この場合、センサ2040として加速度センサを利用することができる。例えば、定常状態における計測値が重力加速度の値となるように加速度センサを設定しておけば、飛行体10が落下しているときの計測値はゼロ又はゼロに近い値となる。そこで特定部2062は、例えば、センサ2040の計測値と、飛行体10が落下していることを表す値(ゼロ又はゼロに近い値)との差分の絶対値を算出し、算出された値を指標値として扱う。
【0037】
特定部2062は、指標値が基準値以下であるか否かを判定する。指標値が基準値以下である場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険であると判定する。一方、指標値が基準値より大きい場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険でないと判定する。こうすることで、飛行体10が落下している状況を、二次電池2020が危険な状態にある可能性がある状況として検出することができる。
【0038】
その他にも例えば、特定部2062は、センサ2040の計測値を利用して飛行体10の姿勢を推定してもよい。飛行体10の姿勢が正常な姿勢でない場合、飛行体10が正常な姿勢で飛行していない蓋然性が高いため、二次電池2020が危険な状態にある蓋然性が高い。危険な姿勢は、例えば、上下逆さまの姿勢などである。
【0039】
飛行体10の姿勢を推定するためのセンサ2040としては、3軸加速度センサを用いることができる。3軸加速度センサを用いることにより、X 軸方向の傾き、Y 軸方向の傾き、及び Z 軸方向の傾きの組み合わせとして、飛行体10の姿勢を推定することができる。
【0040】
例えば、飛行体10が正常な姿勢であることを表す3軸加速度センサの計測値の範囲(以下、基準範囲)を予め定めておく。特定部2062は、センサ2040から各軸について得られる計測値の組み合わせを、指標ベクトルとして扱う。
【0041】
特定部2062は、指標ベクトルが基準範囲に含まれるか否かを判定する。指標ベクトルが基準範囲に含まれない場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険であると判定する。一方、指標ベクトルが基準範囲に含まれる場合、特定部2062は、二次電池2020の状態が危険でないと判定する。こうすることで、飛行体10の姿勢が正常でない状況を、二次電池2020が危険な状態にある可能性がある状況として検出することができる。
【0042】
なお、基準範囲は、例えば「X 軸方向の計測値の範囲、Y 軸方向の計測値の範囲、Z 軸方向の計測値の範囲」の組み合わせで表される。この場合特定部2062は、例えば、センサ2040から得られる X 軸方向の計測値、Y 軸方向の計測値、及び Z 軸方向の計測値のいずれもが、基準範囲で定められている範囲に含まれる場合に、センサ2040から得られる計測値が基準範囲に含まれると判定する。ただし、基準範囲は必ずしも3軸それぞれについての範囲を示す必要はなく、いずれか1軸以上についての範囲を示していればよい。
【0043】
なお上述の例では、指標値と基準値との比較を一回行った結果によって、二次電池2020の状態が危険であるか否かを判定している。しかしながら、特定部2062は、それぞれ異なる時点について算出された指標値を基準値と比較し、複数の比較結果に基づいて、二次電池2020の状態が危険であるか否かを判定してもよい。例えば指標値が基準値以上であるか否かによって二次電池2020の危険度を特定する場合、特定部2062は、それぞれ異なる時点について得られた指標値を基準値と比較し、指標値が基準値以上である回数が所定回数以上である場合のみ、二次電池2020の状態が危険であると判定する。指標値が基準値以下である場合に二次電池2020の状態が危険であると判定するケースや、指標ベクトルと基準範囲とを比較するケースについても同様である。
【0044】
また、上述の指標値は、それぞれ異なる時点について得られる指標値の統計値であってもよい。統計値としては、例えば平均値、最頻値、最大値、又は最小値などを利用することができる。例えば、複数の時点それぞれについて、二次電池2020に加わった振動の大きさを算出し、算出された複数の値の統計値を、二次電池2020に加わった振動を表す指標値として利用する。
【0045】
<<危険度ランクを特定するケース>>
特定部2062は、前述した種々の方法で得られる指標値の大きさに基づいて危険度ランクを決定する。前提として、予め、指標値がとりうる数値範囲を、危険度ランクの個数に基づいて分割しておく。具体的には、危険度ランクが1からnのn個である場合、上記数値範囲をn個に分割しておく。この分割で生成される各数値範囲を、部分範囲と呼ぶ。特定部2062は、センサ2040の計測値から得られた指標値が含まれる部分範囲を特定し、その部分範囲に対応づけられた危険度ランクを、二次電池2020の危険度として特定する。
【0046】
図4は、危険度ランクの定め方を例示する図である。
図4の上段の例は、指標値が大きいほど危険であることを表すケースである。そのため、大きな値を含む部分範囲ほど、危険度ランクが大きくなっている。
【0047】
図4の下段の例は、指標値が小さいほど危険であることを表すケースである。そのため、小さな値を含む部分範囲ほど、危険度ランクが大きくなっている。
【0048】
その他にも例えば、前述したように、センサ2040として3軸加速度センサを利用することで、飛行体10の姿勢を推定するとする。この場合、3軸加速度センサの計測値の組み合わせで表される3次元空間を危険度ランクの数で分割し、各部分空間に危険度ランクを割り当てておく。例えば、最も正常な姿勢を表す部分空間には危険度ランク1を割り当て、最も危険な姿勢を表す部分空間には危険度ランクnを割り当てておく。そして特定部2062は、3軸加速度センサから得られる計測値で表される指標ベクトルが、どの部分空間に含まれるかを特定し、特定された部分空間に対応する危険度ランクを二次電池2020の危険度とする。
【0049】
[実施形態2]
図5は、実施形態2の電池パック2000をその利用環境と共に例示する図である。以下で説明する事項を除き、実施形態2の電池パック2000は、実施形態1の電池パック2000と同様である。
【0050】
実施形態2の電池パック2000において、制御装置2060は放電制御部2064を有する。放電制御部2064は、特定部2062によって特定された二次電池2020の危険度に応じて、二次電池2020による放電を制御する。例えば放電制御部2064は、特定部2062によって特定された二次電池2020の危険度が高い場合に、二次電池2020による放電を制御する。ここで、二次電池2020の危険度が「危険である」又は「危険でない」で表される場合、二次電池2020の危険度が高いとは、二次電池2020の危険度が「危険である」であることを意味する。一方、二次電池2020の危険度が危険度ランクを用いて表される場合、二次電池2020の危険度が高いとは、二次電池2020の危険度ランクが所定値以上であることを意味する。
【0051】
例えば放電制御部2064は、二次電池2020の危険度が高い場合に、二次電池2020から電池パック2000の外部に対して電流が流れないようにする。具体的には、二次電池2020から電池パック2000の外部へ向かう電力線上に、放電制御部2064によって切断可能なヒューズを設けておく。
図6は、電池パック2000にヒューズが設けられているケースを例示する図である。放電制御部2064は、二次電池2020の危険度が高い場合に、上記ヒューズ2080を切断する。こうすることで、二次電池2020から電池パック2000の外部へ電流が流れないようになる。
【0052】
なお、制御装置による制御によってヒューズを切断する技術には、既存の技術を利用することができる。例えば、ヒューズ2080を切断するための短絡回路を予め用意しておき、その短絡回路へ電流が流れるように制御することで、ヒューズ2080を切断する。
【0053】
放電制御部2064が二次電池2020を制御する方法は、ヒューズ2080を切断する方法に限定されない。例えば放電制御部2064は、二次電池2020の残存エネルギーを減少させるための制御を行う。ドローンの様な飛行体が飛行している最中に何らかの異常が生じた場合、飛行体に搭載されている電池の残存エネルギーを少なくすることが好適であるためである。
【0054】
例えば電池パック2000に、通常の運用時に二次電池2020が電力を供給する供給先(飛行体10など)とは別に、二次電池2020から電力を供給可能な負荷を設けておく。
図7は、二次電池2020から電力供給可能な負荷を有する電池パック2000を例示する図である。放電制御部2064は、二次電池2020の危険度が高い場合に、二次電池2020から負荷2100に対して電力を供給させる(二次電池2020を放電させる)。こうすることで、二次電池2020の残存エネルギーを少なくする。
【0055】
ただし、飛行体が飛行している最中に何らかの異常が生じた場合、飛行体を安全な場所へ移動させることも好適である。そこで放電制御部2064は、飛行体を安全な場所へ移動させるために要するエネルギーを考慮して、二次電池2020から負荷2100へ供給させる電力の大きさを制御してもよい。以下、具体的な方法を説明する。
【0056】
放電制御部2064は、二次電池2020の危険度が高いと判定されたら、飛行体10を着地させる地点(以下、着地目標地点)を決定する。ここで、着地目標地点を決定する方法については後述する。さらに放電制御部2064は、飛行体10の現在地点から着地目標地点までの距離や、現在時点と着地目標地点との高度差に基づいて、飛行体10が現在地点から着地目標地点へ移動するために要する時間及びエネルギーを推定する。放電制御部2064は、二次電池2020の残存エネルギーと上記推定されたエネルギーの差分を算出する。
【0057】
上記差分は、着地目標地点に到達した後に残存すると推定されるエネルギーである。そこで放電制御部2064は、二次電池2020が着地するまでの間に上記差分に相当する量のエネルギーを二次電池2020に放電させる。こうすることで、飛行体10が着地する時までに、二次電池2020の残存エネルギーを無くすことができる。例えば放電制御部2064は、上記差分を着地までに要する推定時間で割った値を、二次電池2020から上記負荷2100に対して供給する電力の大きさとする。
【0058】
ただし、着地までに要するエネルギーが推定量よりも多くなる可能性を考慮して、二次電池2020の放電量をコントロールしてもよい。例えば放電制御部2064は、二次電池2020の残存エネルギーと、飛行体10が着地までに要すると推定されるエネルギーとの差分を算出し、さらにその差分から所定のマージンを差し引いた値を、着地までの間に二次電池2020に放電させるエネルギーとする。
【0059】
その他にも例えば、放電制御部2064は、飛行体10の現在時点から着地目標地点までの移動に要するエネルギーと、その時点における二次電池2020の残存エネルギーとの差分を繰り返し算出し、その算出結果に基づいて、二次電池2020から負荷2100へ出力する電力の大きさを更新してもよい。
【0060】
その他にも例えば、放電制御部2064は、最初は二次電池2020の放電量を少なめに設定し、その後徐々に放電量を増やすという制御を行ってもよい。
【0061】
飛行体10の着地目標地点を決定する方法は様々である。例えば制御装置2060は、飛行体10の飛行区域の周辺の地図情報を用いて、飛行体10の現在地点から最も近い安全な場所を決定し、その決定した場所を着地目標地点とする。安全な場所は、例えば建物や樹木などの障害物が無い場所、人が立ち入ることが少ない場所などである。このような場所の属性は、予め地図情報に持たせておく。
【0062】
なお、着地目標地点を決定する機能は、飛行体10の内部に設けられている制御装置(飛行体10の飛行を制御する装置)が有していてもよい。この場合、電池パック2000は、制御装置2060が危険な状況にあることを飛行体10の制御装置に通知する(詳細は実施形態3で説明する)。飛行体10の制御装置は、その通知に対する応答として、着地目標地点を電池パック2000に通知する。電池パック2000は、飛行体10から取得した着地目標地点を利用して、二次電池2020の放電を制御する。
【0063】
また、放電制御部2064は、飛行体10が落下している間と飛行体10が着地した後とで、二次電池2020の放電の態様を異ならせてもよい。例えば放電制御部2064は、飛行体10が落下している最中に二次電池2020から負荷2100へ放電される電力の大きさよりも、飛行体10が着地した後に二次電池2020から負荷2100へ放電される電力の大きさを大きくする。こうすることで、飛行体10の飛行にどの程度のエネルギーを要するかが確定しない間、すなわち飛行体10が飛行している間は、二次電池2020から少しずつエネルギーを出力することで、エネルギー不足となる蓋然性を低くすることができる。そして、飛行体10が着地して二次電池2020に残っているエネルギーが不要となった後には、二次電池2020から出力される電力を大きくすることで、二次電池2020の残存エネルギーが早く無くなるようにすることができる。なお、飛行体10が着地したことを検出する技術には既存の技術を利用することができる。
【0064】
その他にも例えば、放電制御部2064は、ヒューズ2080を利用した制御と二次電池2020に放電をさせる制御とを組み合わせてもよい。例えば放電制御部2064は、飛行体10が落下している間はヒューズ2080を切断せずに二次電池2020から負荷2100への放電を行わせる。そして放電制御部2064は、飛行体10が着地したら、ヒューズ2080を切断し、さらに二次電池2020の残存エネルギーが無くなるまで二次電池2020から負荷2100へ放電させる。こうすることで、二次電池2020の残存エネルギーを減らしつつ、飛行体10が着地するまでは飛行体10の飛行を継続させることができる。
【0065】
<処理の流れ>
図8は、実施形態2の制御装置2060によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図8のS102及びS104はそれぞれ、
図3のS102及びS104と同一の処理である。
【0066】
S104で特定された二次電池2020の危険度が高い場合(S202:YES)、放電制御部2064は二次電池2020の放電を制御する(S204)。一方、S104で特定された二次電池2020の危険度が高くない場合(S202:NO)、
図8の処理は終了する。
【0067】
ただし、実施形態2の制御装置2060が行う処理は、
図8に示した処理に限定されない。例えば放電制御部2064は、二次電池2020の危険度ランクに応じ、異なる態様で二次電池2020の放電を制御してもよい。例えば放電制御部2064は、二次電池2020から負荷2100へ供給させる電力の大きさを、二次電池2020の危険度ランクが高いほど大きくするようにしてもよい。こうすることで、二次電池2020の危険度が比較的低いときには、二次電池2020の残存エネルギーを少しずつ減らすようにし、二次電池2020の危険度が比較的高いときには、二次電池2020の残存エネルギーを急速に減らすようにすることができる。
【0068】
<ハードウエア構成の例>
実施形態2の制御装置2060を実現する計算機のハードウエア構成は、実施形態1と同様に、例えば
図2によって表される。ただし、本実施形態の制御装置2060を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の制御装置2060の機能を実現するプログラムモジュールがさらに記憶される。
【0069】
<作用効果>
本実施形態によれば、二次電池2020の危険度に応じて、二次電池2020の放電が制御される。こうすることで、二次電池2020から飛行体10への電力の供給や、二次電池2020の残存エネルギーの量を適切に制御することができる。
【0070】
[実施形態3]
図9は、実施形態3の電池パック2000をその利用環境と共に例示する図である。例示するブロック図である。以下で説明する事項を除き、実施形態3の電池パック2000は、実施形態1の電池パック2000又は実施形態2の電池パック2000と同様である。
【0071】
実施形態3の電池パック2000において、制御装置2060は通知部2066を有する。通知部2066は、二次電池2020の危険度が所定の危険度である場合に、電池パック2000の外部に、二次電池2020が危険な状態であることを通知する。以下、通知部2066によって行われる通知を危険通知と呼ぶ。
【0072】
<危険通知を行うか否かの判定>
特定部2062によって特定される危険度が「危険である」及び「危険でない」のいずれかであるとする。この場合、通知部2066は、特定された危険度が「危険である」の場合に、危険通知を行う。一方、特定された危険度が「危険でない」の場合、通知部2066は危険通知を行わない。
【0073】
特定部2062によって特定される危険度が、危険度ランクで表されているとする。この場合、例えば通知部2066は、特定された危険度ランクが所定値以上である場合に危険通知を行う。一方、特定された危険度ランクが所定値未満である場合、通知部2066は危険通知を行わない。また、後述するように、危険度ランクに応じて、危険通知の態様を異ならせてもよい。
【0074】
<危険通知の送信先>
危険通知の送信先としては、様々なものを採用することができる。例えば危険通知は飛行体10(例えば、飛行体10が有する制御装置)に対して送信される。この場合、飛行体10と電池パック2000との間は、電力線に加え、信号線でも接続される。危険通知は、この信号線を介して飛行体10へ送信される。
【0075】
その他にも例えば、危険通知は、無線通信を利用して、飛行体10の管理者や所有者が所持する任意の計算機に対して送信される。この計算機は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯型の計算機であってもよいし、PC やサーバ装置などの据え置き型の計算機であってもよい。なお、飛行体10に搭載された計算機から外部の計算機へ情報を送信する技術には、既存の技術を利用することができる。なお、このように無線通信を利用する場合、計算機1000は、無線通信で情報を送信するためのハードウエア要素(無線通信可能なネットワークインタフェースなど)を有する。
【0076】
<危険通知の内容>
危険通知は、二次電池2020が危険な状態になることを示す任意の通知とすることができる。
図10は、危険通知を例示する図である。
図10の危険通知30は、携帯端末などのディスプレイ装置に表示されるメッセージである。
図10の上段の例において、危険通知30は、二次電池2020が危険な状態にある旨のメッセージである。一方、
図10の下段の例において、危険通知30は、危険度ランクを表す文字情報及びグラフィカルな表示を含むメッセージである。
【0077】
なお、危険通知は、二次電池2020がどのような状態にあるかを表してもよい。例えば二次電池2020の危険度は、二次電池2020に加わる圧力などの大きさ、飛行体10が落下しているか否か、又は飛行体10の姿勢が正常な姿勢であるか否かなどを判定することによって行われる。そこで例えば、危険通知は、二次電池2020に大きな圧力などが加わっていることを表す通知、飛行体10が落下していることを表す通知、飛行体10の姿勢が正常でないことを表す通知などであってもよい。
【0078】
図11は、二次電池2020の状態を表す表示を含む危険通知を例示する図である。
図11において、危険通知30は、飛行体10が落下中であることを示している。
【0079】
ここで、上述の各例では、危険通知が視覚的な情報として出力されている。しかしながら、危険通知は、音声を利用した聴覚的な情報として出力されてもよい。音声で通知を行う具体的な技術には、既存の技術を利用することができる。
【0080】
危険通知が飛行体10の管理者等が有する計算機によって受信されると、その計算機によって危険通知が出力される。例えばこの出力は、その計算機に予めインストールされているアプリケーションによって実行される。例えばこのアプリケーションは、飛行体10の飛行を遠隔で制御するために利用されるアプリケーションである。以下、このアプリケーションを制御アプリケーションと呼ぶ。
【0081】
制御アプリケーションは、通知部2066によって送信された危険通知を受信する。危険通知を視覚的な情報として出力する場合、制御アプリケーションは、受信した危険通知の内容に基づいて、危険通知を表す画面データを生成する。そして、制御アプリケーションは、自身が動作している計算機に接続されているディスプレイ装置に、生成した画面データを出力させる。なお、受信した通知の内容に基づいて画面データを生成する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0082】
危険通知を聴覚的な情報として出力する場合、制御アプリケーションは、受信した危険通知の内容に基づいて、危険通知を表す音声データを生成する。そして、制御アプリケーションは、自身が動作している計算機に接続されているスピーカに、生成した音声信号を出力させる。なお、受信した通知の内容に基づいて音声データを生成する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0083】
<放電制御と危険通知の双方を行う場合について>
実施形態3の電池パック2000が、実施形態2で説明した放電制御部2064を有するとする。この場合、危険通知は、放電制御部2064による制御の内容を示してもよい。
図12は、放電制御部2064による制御の内容を示す危険通知を例示する図である。
図12の上段の例において、危険通知30は、ヒューズ2080が切断された旨を示している。
図12の下段の例において、危険通知30は、二次電池2020の放電を行っていることを示している。
【0084】
また、放電制御部2064が二次電池2020の放電の制御を行うか否かを判断する基準と、放電制御部2064が危険通知を行うか否かを判断する基準は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。前者の場合、危険度が「危険である」である場合又は危険度が所定値以上の危険度ランクであるとき、放電制御部2064による放電の制御と、通知部2066による危険度の通知の双方が行われる。
【0085】
次に、後者の場合について説明する。この場合、危険度は危険度ランクを用いて表される。そして、放電制御部2064が二次電池2020の放電の制御を行うか否かを判定するための第1所定値と、通知部2066が危険通知を行うか否かを判定するための第2所定値とを定めておく。第1所定値と第2所定値は互いに異なる値である。
【0086】
二次電池2020の危険度ランクが第1所定値以上である場合、放電制御部2064は、二次電池2020の放電の制御を行う。また、二次電池2020の危険度ランクが第2所定値以上である場合、通知部2066は、危険通知を行う。
【0087】
ここで、第1所定値の方が第2所定値よりも大きい値としてもよいし、第2所定値の方が第1所定値よりも小さい値としてもよい。ただし、第1所定値の方を第2所定値よりも大きくすることが好適である。こうすることで、二次電池2020が正常時とは少し異なるものの大きな異常があるとまではいえないような状況では、二次電池2020による放電については現状を維持しながら、二次電池2020が正常時とは少し異なる状態であることを外部に通知しておくことができる。こうすることで、例えば飛行体10の管理者等は、そのまま飛行体10を飛行させ続けると二次電池2020の状態が悪化する可能性があることなども考慮した上で、飛行体10の飛行を継続するか否かの判断をするといった対処が可能となる。また、危険通知を飛行体10に対して送信することにより、飛行体10は、危険通知を受信したことに応じて、近くにある安全な場所まで移動してから停止する動作や、飛行体10の管理者等がいる場所まで帰還する動作などを行うことができるようになる。
【0088】
<処理の流れ>
図13は、実施形態3の制御装置2060によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図13のS102及びS104はそれぞれ、
図3のS102及びS104と同一の処理である。
【0089】
S104で特定された二次電池2020の危険度が高い場合(S302:YES)、通知部2066は、危険通知を出力する(S304)。一方、S104で特定された二次電池2020の危険度が高くない場合(S302:NO)、
図13の処理は終了する。
【0090】
<ハードウエア構成の例>
実施形態3の制御装置2060を実現する計算機のハードウエア構成は、実施形態1と同様に、例えば
図2によって表される。ただし、本実施形態の制御装置2060を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の制御装置2060の機能を実現するプログラムモジュールがさらに記憶される。
【0091】
<作用効果>
本実施形態によれば、二次電池2020の危険度に応じて、危険通知が出力される。これにより、飛行体10の管理者等が、二次電池2020が危険な状況にあることを把握することができる。また、危険通知を飛行体10に対して出力することで、飛行体10の飛行が適切に制御されるようにすることもできる。
【0092】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態を組み合わせた構成、又は上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0093】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. 飛行体に電力を供給する二次電池と、
前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、
制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定手段を有する、電池パック。
2. 前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池又はその周辺に加わる圧力、衝撃、又は振動の大きさを推定し、前記推定の結果と基準値との差異に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、1.に記載の電池パック。
3. 前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体の姿勢を推定し、前記推定された姿勢に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、1.に記載の電池パック。
4. 前記特定手段は、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体が落下中であるか否かを推定し、前記推定の結果に基づいて前記二次電池の危険度を特定する、1.に記載の電池パック。
5. 前記制御装置は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御手段を有する、1.乃至4.いずれか一つに記載の電池パック。
6. 前記制御手段は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、前記二次電池と当該電池パックの外部とを接続する電力線上に設けられているヒューズを切断する、5.に記載の電池パック。
7. 前記制御手段は、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させる、5.に記載の電池パック。
8. 前記制御手段は、前記飛行体が落下中である場合に、
前記飛行体が着地するまでに要するエネルギーを推定し、
前記二次電池の残存エネルギーから前記推定されたエネルギーを引いた値に基づいて、前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさを決定する、7.に記載の電池パック。
9. 前記制御手段は、前記飛行体が落下中である場合と前記飛行体が着地した後である場合との双方で、前記二次電池の電力を前記負荷へ出力させ、
前記飛行体が着地した後において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさは、前記飛行体の落下中において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさよりも大きい、7.又は8.に記載の電池パック。
10. 前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、当該電池パックの外部に、前記二次電池が危険な状態であることを通知する通知手段を有する、1.乃至9.いずれか一つに記載の電池パック。
【0094】
11. 1.乃至10.いずれか一つに記載の電池パックが有する制御装置。
【0095】
12. 電池パックを制御する制御装置によって実行される制御方法であって、
前記電池パックは、飛行体に電力を供給する二次電池と、前記二次電池又はその周辺に加わる力に関する計測値を出力するセンサと、を有し、
当該制御方法は、前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する特定ステップを有する、制御方法。
13. 前記特定ステップにおいて、前記センサの計測値に基づいて、前記二次電池又はその周辺に加わる圧力、衝撃、又は振動の大きさを推定し、前記推定の結果と基準値との差異に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、12.に記載の制御方法。
14. 前記特定ステップにおいて、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体の姿勢を推定し、前記推定された姿勢に基づいて、前記二次電池の危険度を特定する、12.に記載の制御方法。
15. 前記特定ステップにおいて、前記センサの計測値に基づいて前記飛行体が落下中であるか否かを推定し、前記推定の結果に基づいて前記二次電池の危険度を特定する、12.に記載の制御方法。
16. 前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に前記二次電池による放電を制御する制御ステップを有する、12.乃至15.いずれか一つに記載の制御方法。
17. 前記制御ステップにおいて、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、前記二次電池と前記電池パックの外部とを接続する電力線上に設けられているヒューズを切断する、16.に記載の制御方法。
18. 前記制御ステップにおいて、前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合、前記二次電池の電力を前記飛行体とは異なる負荷へ出力させる、16.に記載の制御方法。
19. 前記制御ステップにおいて、前記飛行体が落下中である場合に、
前記飛行体が着地するまでに要するエネルギーを推定し、
前記二次電池の残存エネルギーから前記推定されたエネルギーを引いた値に基づいて、前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさを決定する、18.に記載の制御方法。
20. 前記制御ステップにおいて、前記飛行体が落下中である場合と前記飛行体が着地した後である場合との双方で、前記二次電池の電力を前記負荷へ出力させ、
前記飛行体が着地した後において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさは、前記飛行体の落下中において前記二次電池から前記負荷へ出力させる電力の大きさよりも大きい、18.又は19.に記載の制御方法。
21. 前記二次電池の危険度が所定の危険度以上である場合に、前記電池パックの外部に、前記二次電池が危険な状態であることを通知する通知ステップを有する、12.乃至20.いずれか一つに記載の制御方法。
【0096】
22. 電池パックを制御する制御装置に、12.乃至21.いずれか一つに記載の制御方法の各ステップを実行させるプログラム。
【0097】
この出願は、2017年9月4日に出願された日本出願特願2017-169409号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。