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特許7144425治療対象における活動を監視及び/または刺激するための電極装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】治療対象における活動を監視及び/または刺激するための電極装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20220921BHJP
   A61B 5/293 20210101ALI20220921BHJP
【FI】
A61N1/05
A61B5/293
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019539824
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 AU2018050048
(87)【国際公開番号】W WO2018136999
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】2017900226
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521168841
【氏名又は名称】イーピーアイ-マインダー・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エドワード・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン・バーンズ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0075680(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0177039(US,A1)
【文献】特開平07-163667(JP,A)
【文献】特表2004-538041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61B 5/291 - 5/293
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨や他の組織の中に少なくとも部分的に取り外し可能に埋め込み可能な電極装置が、
ヘッド、及び
ヘッドに接続されているシャフトを含み、
シャフトが
ヘッドからシャフトの軸方向に遠位に延びるシャフト本体と、
シャフトの遠位端に導電性表面を含む導電性素子と、
シャフト本体の外面からシャフトの横方向に突出する複数の別個のアンカー要素と、
を備え
導電性ワイヤーが、前記ヘッドを貫通して延在し、かつ、前記導電性素子と電気的に接続されており、
前記ヘッドの外側部分が、弾力性があり可撓性であり、かつ、前記シャフト本体から半径方向外側に前記ヘッドの外縁まで延在しており、前記ヘッドの前記外側部分が前記ヘッドの前記外縁に向かって延在するにつれて遠位方向に湾曲し、これにより、前記ヘッドが凹状の遠位向き外面を有し、
前記電極装置が、圧入によって前記シャフトの前記軸方向において凹部内に前記シャフトが挿入するように構成されている前記電極装置。
【請求項2】
前記アンカー要素が、前記電極装置の埋め込み位置からの取り外しの間に歪曲するように構成されている、請求項1に記載の電極装置。
【請求項3】
前記電極装置を凹部から取り外す間、及び取り外した後に、前記アンカー要素が無傷を維持するように構成されている、請求項1または2に記載の電極装置。
【請求項4】
前記シャフト本体が第1の材料で形成されており、前記アンカー要素が第2の材料で形成されており、
前記第2の材料が前記第1の材料より軟らかい、請求項1、2または3に記載の電極装置。
【請求項5】
記シャフト本体と一体品で一体形成されている前記アンカー要素;及び、
前記ヘッドと一体品で一体形成されている前記シャフト本体;
のうち少なくとも1つを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項6】
記シャフト本体の外面上に千鳥状で配置されている前記アンカー要素;
前記シャフトの軸方向で、前記複数のアンカー要素のうち少なくとも1つの他のアンカー要素よりも前記シャフトの遠位端により近くに配置されている、前記複数のアンカー要素のうち少なくとも1つのアンカー要素;及び、
前記シャフトの軸方向で、前記シャフトの前記遠位端からの第1の距離に配置されている前記複数のアンカー要素のうち第1の対のアンカー要素、並びに、前記シャフトの軸方向で、前記シャフトの前記遠位端からの第2の距離に配置されており、前記第1の距離と前記第2の距離とが異なっている、前記複数のアンカー要素のうち第2の対のアンカー要素;
のうち少なくとも1つを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項7】
前記第1の対の前記アンカー要素が前記シャフトの第1の横軸に沿って前記シャフト本体の両側に配置されており、前記第2の対の前記アンカー要素が前記シャフトの第2の横軸に沿って前記シャフト本体の両側に配置されており、前記第1の横軸と前記第2の横軸とが実質的に互いに直交している、請求項に記載の電極装置。
【請求項8】
前記複数のアンカー要素がそれぞれ楔形状を有し、前記楔形状が前記シャフトの遠位端に向けて厚さがテーパ状になっている、請求項1~のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項9】
前記楔形状が、前記電極装置の前記ヘッドに面する後面、及び前記後面の外縁から前記電極装置の遠位端に向かって延びる側面によって画定されている、請求項に記載の電極装置。
【請求項10】
記電極装置の横断面に対して5°以上の角度を有する平面を横切って延びる後面;及び、
湾曲している側面;
のうち少なくとも1つを有する、請求項に記載の電極装置。
【請求項11】
前記導電性素子が近位端面を有し、前記導電性ワイヤーが前記近位端面に接触し、電気的に接続している、請求項1~10のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項12】
前記導電性ワイヤーが前記近位端面に溶接、またははんだ付けされており、
前記導電性素子の前記近位端面が凹部を含み、そこで前記導電性ワイヤーが前記近位端面に接触し、電気的に接続しており、かつ、
前記凹部が溶接、またははんだ付けの間に溶融材料を保持する、請求項11に記載の電極装置。
【請求項13】
前記ヘッドから延びるリードと、前記リードを通って延びる前記導電性ワイヤーを含み、 前記リードが前記ヘッドのストレインリリーフ部分においてヘッドから延びており、 前記ストレインリリーフ部分が前記ヘッドの一部であり、前記ヘッドの一部が電極装置の横断面を横切り前記リードに向かって幅がテーパ状になっている、請求項1~12のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項14】
前記ヘッドが凸状の近位に向いた面を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の電極装置。
【請求項15】
前記ヘッドが前記ヘッドの前記外縁に枠部分を含み、前記枠部分が実質的に平坦な遠位に面した表面を有している、請求項1~14のいずれか一項に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月25日に出願のオーストラリア仮特許出願第2017900226号に対する優先権を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、てんかん事象、脳卒中または他の事象などの脳活動を監視するための電極装置を含む、治療対象内の活動を監視及び/または刺激するための電極装置に関する。
【背景技術】
【0003】
てんかんは、世界で最も一般的な深刻な脳障害と考えられており、世界中で推定5,000万人の発症者がおり、毎年240万人の新たな症例が発生している。てんかんは、短時間のかろうじて検出可能な発作から発症者が激しく揺れるより顕著な発作まで様々であるてんかん発作として特徴付けられる脳の状態である。てんかん発作は誘発されるものでなく、再発し、説明できない原因によるものである。
【0004】
虚血性脳卒中もまた、脳血流(CBF)が損なわれて脳機能の変化をもたらす非常に一般的な病状である。重度の場合、これは梗塞を引き起こすことになる。梗塞周辺には機能が低下している半影領域がある。これらが一緒になると、運動機能や感覚機能などの機能が失われることになる。
【0005】
安全で信頼でき、及び/または快適な脳活動監視手段を有することが望ましく、それは例えば、てんかん発作の発生を検出すること、てんかんの診断を観察することで発作頻度及び重症度を監視すること、及び/または適切な発作抑制方策を決定することを可能にすることを含み、及び/または、例えば、虚血性脳卒中の発症を検出することを含む。治療などを提供するための脳活動を刺激するための安全で信頼性があり、及び/または快適な手段を有することも望ましい。
【0006】
てんかん発作などの脳活動を監視するための現在の技術は、通常、頭皮の外面に取り付けられたEEG電極を使用して、または外科的に埋め込まれた頭蓋内EEG電極を介して行われるEEG記録に依存している。
【0007】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などのいずれの議論も、これらの事項の一部または全部が先行技術の基礎の一部を形成するか、または本出願の各請求項の優先日より前に存在していた本開示に関連する分野において一般常識であることを承認するものとしてみなされるべきではない。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本開示は、骨や他の組織内に少なくとも部分的に取り外し可能に埋め込み可能である電極装置を提供し、電極装置は、
ヘッド、及び
ヘッドに接続されているシャフトを含み、シャフトは、
ヘッドからシャフトの軸方向に遠位に延びるシャフト本体と、
シャフトの遠位端に導電性表面を含む導電性素子と、
シャフト本体の外面からシャフトの横方向に突出する複数の別個のアンカー要素と、を備えている。
【0009】
電極装置のシャフトは、骨や他の組織に形成された凹部内に配置するように構成され得る。凹部は、穿孔、切開、リーミング、または他の方法によって骨や組織に形成されている孔であり得る。アンカー要素は、シャフトを凹部に挿入すると歪曲することができ、シャフトと凹部を画定する表面との間の把持を補助することができる。アンカー要素は、例えば、一方向の棘として実質的に機能することができる。電極装置は、凹部内にシャフトの軸方向に、例えば、電極装置を凹部に圧入または差し込むことによって挿入されるように構成されることができる。従って、電極装置は、例えば、ねじ山を有していなくてもよい。
【0010】
アンカー要素は、電極装置を凹部から取り外す間に著しく歪曲するように構成され得る。アンカー要素は、電極装置を凹部から取り外す間、及びその後に、無傷を維持する(例えば、全体的に破損していない及び/または損傷していない)ように構成され得る。アンカー要素は、電極装置を凹部から取り外している間、及びその後にシャフト本体の外面に接続維持され得る。アンカー要素は、電極装置を凹部から取り外した後に、それらの元の形状及び構成(それらの埋め込み前の形状及び構成)を実質的に保持することができるか、またはそれらへ実質的に戻ることができる。シャフト本体は第1の材料から形成されてもよく、アンカー要素は第2の材料から形成されてもよく、第1及び第2の材料は異なる特性を有する。第2の材料は第1の材料よりも柔らかくてもよい。第1及び第2の材料の一方または両方はエラストマー材料であり得る。エラストマー材料は、シリコーンまたは他の種類のエラストマー材料であり得る。いくつかの実施形態では、第1の材料は第1のエラストマー材料であってよく、第2の材料は第2のエラストマー材料であってよく、第2のエラストマー材料は第1のエラストマー材料より低いデュロ硬度を有する。
【0011】
ヘッドは第3の材料から形成されてもよい。第3の材料は第2の材料と同じであってもよい。例えば、第3の材料はまた、例えば、シリコーン材料などのエラストマー材料であってよい。
【0012】
アンカー要素は、シャフト本体との一体品として一体形成されてもよい。同様に、シャフト本体は、ヘッドの全部または一部との一体品として一体形成されてもよい。
【0013】
アンカー要素は、シャフト本体の外面上に千鳥状に配置されることができる。従って、複数のアンカー要素のうちの少なくとも1つのアンカー要素は、シャフトの軸方向で、複数のアンカー要素のうちの1つ以上の他のアンカー要素よりもシャフトの遠位端の近くに配置され得る。いくつかの実施形態では、複数のアンカー要素のうちの第1の対のアンカー要素は、シャフトの軸方向において、シャフトの遠位端からの第1の距離に配置されることができ、複数のアンカー要素のうち第2の対のアンカー要素は、シャフトの軸方向において、シャフトの遠位端からの第2の距離に配置されることができ、これら第1の距離と第2の距離とは異なっている。第1の対のアンカー要素は、シャフトの第1の横軸に沿ってシャフト本体の両側に配置されることができ、第2の対のアンカー要素は、シャフトの第2の横軸に沿ってシャフト本体の両側に配置することができ、これら第1の横軸と第2の横軸とは互いに実質的に直交している。アンカー要素の千鳥状配置は、電極装置のシャフトを凹部内に挿入するために必要な挿入力を低減することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、4つのアンカー要素が設けられ得る。しかし、代替的な実施形態では、様々な異なる数のアンカー要素が使用され得る。
【0015】
各アンカー要素は楔形状を有することができる。楔形状は、シャフトの遠位端に向かって厚さがテーパ状になっていてもよい。楔形状は、装置のヘッドに面する後面、及び後面の外縁から装置の遠位端に向かって延びる側面によって少なくとも部分的に画定され得る。後面は、例えば、装置の横断面に対して5°以上の角度を有する平面を横切って延びてもよい。側面は湾曲していてもよい。
【0016】
導電性素子は、少なくとも部分的にシャフト本体に沿って軸方向に延びることができる。シャフト本体は、実質的に円筒形または円錐台形の外形を有することができる。シャフト本体は、導電性素子が少なくとも部分的に配置されている内部チャンバーを備えることができる。内部チャンバーは、シャフト本体の壁によって画定されてもよい。壁の内面は円筒形であり得る。壁の厚さは、シャフトの遠位端に向かってテーパ状になっていてもよい。内部チャンバーは、そこを通って導電性素子が延びる遠位端開口を有することができる。導電性素子は、遠位端開口の近位で内部チャンバー内に配置された第1の部分、及び遠位端開口の遠位で内部チャンバー外に配置された第2の部分を有することができる。第1の部分は、例えば円筒形であり得る。第2の部分は、例えば、ドーム形状及び/または半球形状であり得る。
【0017】
導電性素子の第1の部分は、シャフト本体を通って延びることができ、シャフト本体の軸方向寸法の少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、またはそのすべてに沿って延びることができる。導電性素子は、電極装置の製造中に(例えば、臨床医による電極装置の使用中とは対照的に)シャフト本体内に挿入されてもよく、及び/またはシャフト本体によって収容されてもよい。導電性素子は、本質的に剛性であり、シャフト本体に補強コアを提供し、そのことがシャフト本体の比較的低い圧縮でのシャフトの凹部への容易な挿入を可能にし得る。シャフトの横断面を横切って、導電性素子は、シャフト本体の直径の50%より大きい、シャフト本体の直径の60%より大きい、またはシャフト本体の直径の70%より大きい直径を有することができる。
【0018】
電極装置は、導電性素子に電気的に接続されている導電性ワイヤーを含むことができる。導電性ワイヤーは、電極装置のヘッドを通って延びることができる。導電性素子は近位端面を有してもよく、導電ワイヤーは近位端面に接触して電気的に接続する。導電性ワイヤーは、近位端面に恒久的に固定されてもよい。
【0019】
一態様では、本開示は、骨や他の組織内に少なくとも部分的に取り外し可能に埋め込み可能である電極装置を提供し、電極装置は、
ヘッド、及び
ヘッドに接続されているシャフトを含み、
シャフトは、
ヘッドからシャフトの軸方向に遠位に延びるシャフト本体と、
シャフト本体を通って軸方向に延びる導電性素子であって、導電性遠位端面と導電性近位端面とを含み、近位端面はヘッド内に、またはヘッドに隣接して配置されている導電性素子と、を備え、
導電性ワイヤーが近位端面に恒久的に固定されている。
【0020】
上述の態様のいずれにおいても、導電性ワイヤーを近位端面に恒久的に固定することによって、電極装置は密封配置で製造されることができ、起こり得る漏電または部品の損傷を低減する。導電性ワイヤーは、例えば、近位端面に溶接またははんだ付けされることができる。導電性素子の近位端面は、導電性装置のヘッドの内側に配置され得る。導電性素子の近位端面は、凹部を含むことができ、その中で導電性ワイヤーが近位端面に接触し電気的に接続する。凹部はチャネルであることができ、チャネルは近位端面の全直径を横切って延びることができる。凹部は1つ以上の機能を有することができる。例えば、凹部は、溶接またははんだ付けの間に溶融材料を保持することができる。さらに、電極装置のヘッドを形成する材料は、凹部内に延びることができ、例えば、製造中に流体状態にある間、導電性素子を定位置に固定することを補助し、導電性ワイヤーと導電性素子との間の接続を保護するのを補助する。
【0021】
電極装置は、電極装置のヘッドに接続されたリードをさらに備えてもよく、導電性ワイヤーもまた装置のヘッドからリードを通って延びてもよい。代替的な実施形態では、電極装置は導電性ワイヤーを別のリードに接続するためのポートを含み得る。
【0022】
リードは、ヘッドのストレインリリーフ部分においてヘッドから延びてもよい。ストレインリリーフ部分は、電極装置の横断面を横切ってリードに向かって幅がテーパ状となったヘッドの一部であり得る。ストレインリリーフ部分は、頭蓋骨の湾曲に合致するように湾曲していてもよい。電極装置の横断面を横切って、ストレインリリーフ部分を含むヘッドはティアドロップ形状を有することができる。
【0023】
リードは、ヘッドと一体品として一体形成されてもよい。従って、リードは、同様にシャフト本体と一体品として一体形成されてもよい。シャフト本体、ヘッド、及びリードは、恒久的に固定されてもよい。リードは、導電性ワイヤーを囲む第4の材料を含み得る。第4の材料は、ヘッドに使用される第3の材料、及び/またはシャフト本体に使用される第2の材料と同一であってもよい。例えば、第4の材料はまた、例えば、シリコーン材料などのエラストマー材料であってもよい。従って、エラストマー材料の連続体がリード、ヘッド及びシャフト本体を横切って延びる電極装置に設けられることができる。製造後、電極装置のこれらの部分のいずれも外科医などのユーザによって互いに接続される必要をなくすことができる。このことが、電極装置の強度及び清浄度を高めることができ、操作性を向上させることもできる。
【0024】
電極装置のヘッドは、凸状外面を有してもよく、凹状内面を有してもよい。
【0025】
一態様では、本開示は、骨または他の組織内に少なくとも部分的に取り外し可能に埋め込み可能である電極装置を提供し、電極装置は、
凸状外面及び凹状内面を有するヘッドと、
ヘッドの内面でヘッドに接続されたシャフトであって、ヘッドからシャフトの軸方向に遠位に延びるシャフト本体、及び導電性遠位端面を含む導電性素子を含むシャフトと、を含んでいる。
【0026】
上記態様のいずれにおいても、凸状外面は概して近位方向を向いていてもよく、凹状内面は概して遠位方向を向いていてもよい。ヘッドの外側部分は、シャフト本体の半径方向外側にヘッドの外縁まで延びることができる。外側部分は、外側縁部に向かって延びるにつれて遠位方向に湾曲してもよい。外側部分は、比較的薄く柔軟性があることができる。外側部分は、弾力性があり可撓性で、電極装置のシャフトが凹部内にあるときにアンカー要素に張力をかけるためのばねとして作用することができる。外縁は枠部を含むことができ、その枠部は、例えば、実質的に平坦な遠位面を有することによって、実質的に平坦であることができる。湾曲したヘッド構成は、例えば、電極装置が配置されている頭蓋骨など、組織の湾曲に適合することができ、著しい付着を伴わずに組織層がその外面上を滑動することを可能にし得る。ヘッドの枠部は、シャフトが配置されている凹部の周りを密封することができる。この密封は、組織を通る電気的漏出を減少させることができ、ヘッドの下で成長する組織を減少させ得る。ヘッドの可撓性外側部分は、シャフトがある範囲の深さまで凹部内に達することを可能にするように撓むことができる。
【0027】
一態様では、本開示は、電極装置を外科的に埋め込む方法を提供し、電極装置は、ヘッド、及びヘッドに接続されたシャフトを有しており、シャフトは、ヘッドからシャフトの軸方向に遠位方向に延びるシャフト本体、及びシャフトの遠位端に導電性表面を含む導電性素子を備えており、この方法は、シャフトが頭蓋内を延びるが頭蓋を貫通しないように頭蓋の凹部にシャフトを挿入することを含む。シャフトの導電性表面は、頭蓋骨の下部骨板内の位置まで凹部内に挿入することができる。頭蓋の凹部は硬膜に対して開いていなくてもよい。
【0028】
いずれの態様においても、電極装置は、てんかん性脳活動または虚血性脳卒中脳活動などの脳活動を監視するため、及び/または脳卒中からの回復、または慢性的な痛みの治療、発作抑制など様々な目的のために脳活動を刺激するために使用されることができる。
【0029】
一態様では、本開示は、前述の態様のいずれか1つに記載の少なくとも1つの電極装置、及び少なくとも1つの電極装置に接続された処理装置を含む電極アレイを提供する。
【0030】
少なくとも1つの電極装置は、複数の電極装置を含むことができる。少なくとも1つの電極装置は4つの電極装置を含むことができる。処理装置は埋め込み可能処理装置であり得る。
【0031】
電極装置は、それぞれのリード及び/またはケーブル部分を介して処理装置に接続されることができる。リード及び/またはケーブル部分は、電極装置が頭蓋などの骨または組織の所望の間隔をあけた位置に埋め込まれることができるように可撓性であってもよい。例えば、電気的活動を監視及び/または刺激するために2つの対で構成された4つの電極装置が設けられることができ、それらは例えば、脳の左半球及び右半径における電気的活動をそれぞれ監視及び/または刺激するためのものである。
【0032】
処理装置及び少なくとも1つの電極装置は、一体構造として電極アレイ内に形成されることができる。処理装置と少なくとも1つの電極装置は、共に恒久的に固定されることができる。製造後、電極アレイのいずれの部品も外科医などのユーザによって共に接続される必要をなくすことができる。このことが、電極アレイの強度及び清浄度を高めることができ、操作性も向上させることもできる。
【0033】
処理装置は皮膚組織の下に埋め込み可能であり得る。処理装置は、電気増幅器、電池、送受信機、アナログ-デジタル変換器、及び電極装置から受信されたか、または電極装置に送信された電気信号を処理するためのプロセッサのうちの1つ以上を含み得る。処理装置は、信号処理データを記憶するためのメモリを含むことができる。他の構成も可能であるが、処理装置は、人工内耳で一般的に使用されるタイプの処理装置と同様であり得る。処理装置によって処理され記憶されたデータは、データを分析するために処理装置から無線で、またはワイヤーを介して外部のコンピューティングデバイスに送信されることができる。
【0034】
上記の態様では、骨や他の組織のそれぞれの凹部内に配置するように構成されている電極装置が説明されている。図示されるように、凹部は、穿孔、切開、リーミングまたは他の方法で骨や組織に形成される孔であり得る。
【0035】
本開示の一態様によれば、
リーマーツールの長手方向軸に沿って延びるハンドルと、
骨や組織の位置をリーミングするためのハンドルの長手方向端部に隣接して配置されたリーマービットであって、ハンドルの回転がリーマービットの回転を引き起こすようにハンドルに対して固定されているリーマービットと、
ハンドル及びリーマービットに対して回転可能なフットであって、リーマーツールを骨や組織に対してリーマーツールを1つ以上のリーミング位置を囲む位置で固定するように構成されたフットと、
を含むリーマーツールが提供されている。
【0036】
固定することに加えて、フットはまた、リーミングのための深さ止めを提供することができる。
【0037】
フットは、ハンドル及びリーマービットに対して自在に回転可能であることができる。滑り軸受結合により、フットはハンドル及びリーマービットに対して自在に回転可能であることができる。滑り軸受結合は、フットとリーマーツールのロックナットとの間にあることができ、ロックナットはリーマービットをハンドルに固定する。
【0038】
フットは、リーマーツールの長手方向軸に沿ってリーマービットに対して移動不能または移動可能であってもよい。フットは、ハンドル及びリーマービットに対して回転可能であってよく、ねじ軸受結合によって、リーマーツールの長手方向軸に沿ってリーマービットに対して移動可能であってもよい。ねじ軸受結合は、フットとリーマーツールのロックナットとの間にあってもよく、ロックナットはリーマービットをハンドルに固定する。
【0039】
本明細書を通して、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数またはステップ、もしくは要素、整数またはステップの群を含むことを意味すると理解されるが、他の要素、整数またはステップ、もしくは要素、整数またはステップの群を除外することを意味するものではないと理解される。
【0040】
例示のためだけに、ここで図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1a及び1bは、本開示の一実施形態による電極装置の側面図及び上面図をそれぞれ示し、電極装置の内部に配置された装備は破線を使用して表されている。
図2図1a及び1bの電極装置の透視斜視図を示す。
図3図1aの領域Bにおける電極装置の拡大図を示す。
図4図1aの線A--Aに沿った電極装置の断面図を示す。
図5図1a及び1bの電極装置を受容するための凹部が形成されている頭蓋を含む頭皮の組織層の断面図を示す。
図6図1a及び図1bの電極装置を外科的に埋め込む方法におけるステップを示す。
図7】本開示の一実施形態による電極アレイの上面図を示し、電極アレイは図1a及び図1bの複数の電極装置を含んでいる。
図8】コンピューティングデバイスと組み合わせた図7の電極アレイの構成要素の概略図である。
図9図9a~図9dは、本開示の一実施形態によるリーミング装置の斜視図、分解斜視図、側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図10図10a~図10cは、本開示の別の実施形態によるリーミング装置の分解斜視図、第1の状態の側面図、及び第2の状態の側面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の実施形態は、電極装置を用いた治療対象の体組織内の電気的活動の監視及び/または刺激に関する。例えば、てんかん性脳活動などの脳活動を監視し、及び/または様々な異なる目的のために脳活動を刺激するために電極装置が使用され得る。例えば、一実施形態では、電極装置は、脳卒中に関連する脳活動を監視及び/または刺激するために使用され得る。電極装置は慢性疼痛の治療や発作の抑制にも使用され得る。
【0043】
図1a、図1b、及び図2を参照すると、一実施形態では、ヘッド110とシャフト120を含む電極装置100が提供されており、シャフト120はヘッド110に接続されている。シャフト120は、シャフト本体121、導電性素子122、及び複数の別個のアンカー要素124a~124dを含む。シャフト120は、ヘッド110からシャフト120の軸方向Lに遠位に延びる。導電性素子122は、シャフト120の遠位端Dに導電性面123を有している。要素124a~124dは、シャフト本体121の外面から軸方向Lに垂直であるシャフトの横方向Tに突出している。電極装置100はまた、電極装置100への電気的接続をもたらすリード130を含んでいる。電極装置は、リード130及びヘッド110を通って延びる導電性ワイヤー101を含み、導電性ワイヤー101は導電性素子122に電気的に接続されている。別の実施形態では、電極装置は別個のリードに接続するためのポートを含むことができる。
【0044】
図5を参照すると、本実施形態の電極装置100は、少なくとも部分的に治療対象の頭蓋204に埋め込まれるように構成されており、具体的にはそのようなシャフト120は頭蓋204に形成された凹部2042内に突出する。凹部2042は、例えば、硬膜205に露出されることなく、頭蓋204内に、例えば下部骨板の深さまでドリル加工及び/またはリーミングされ得る穿頭孔であり得る。図5は、頭蓋204に隣接する様々な組織層に対する装置100の位置決めを示す。図示された組織層は、皮膚201、結合組織202、頭蓋骨膜203、頭蓋(骨)204の下部骨板2041を含む頭蓋204、及び硬膜205を含む。図から分かるように、電極装置100のシャフト120の軸方向寸法のほぼ全体が凹部2042内に延び、同時にヘッド110の外縁の少なくとも縁部が頭蓋204の外面に頭蓋骨膜203の下のポケット内で当接する。シャフト120遠位端Dの導電性表面123は、頭蓋204の下部骨板2041内に配置されており、脳から発生する電気的脳信号を受信することができ、及び/または脳に対して電気的刺激信号を印加することができる。
【0045】
電極装置100は、シャフト120を少なくとも部分的に頭蓋204の凹部2042(または電気的監視及び/または刺激を行うことができる他の骨や組織構造の凹部)内に取り外し可能に固定するのを補助するためのいくつかの装備を含む。これらの装備は、とりわけ、アンカー要素124a~124dを含む。アンカー要素124a~124dは、一般に、可撓性及び/または圧縮可能な爪または棘の形態をしており、シャフト120が凹部2042内に挿入されるときに歪曲するように構成されており、アンカー要素124a~124dが凹部2042を画定する内面に対して強く押さえ付け、それを把持する。
【0046】
図1a及び図1bを参照すると、この実施形態では、複数の別個のアンカー要素124a~124dは、シャフト本体121の外面の周りに均等に分布しているが、シャフト本体の軸方向Lにオフセットまたは千鳥状に配置されている4つの間隔を空けたアンカー要素124a~124dを含んでいる。従って、いくつかのアンカー要素124a、124bは、軸方向Lにおいて、他のアンカー要素124c、124dよりもシャフト120の遠位端Dの近くに配置されている。より具体的には、この実施形態では、アンカー要素124a、124bの第1の対は、軸方向Lにおいて、シャフト遠位端Dから第1の距離に配置されており、アンカー要素124c、124dの第2の対は、軸方向Lにおいて、シャフトの遠位端Dから第2の距離に配置されており、第2の距離は第1の距離より長くなっている。アンカー要素124a~124dのこの配置は、アンカー要素124a~124dの対のうちの少なくとも1つが凹部2042の内面と接触することを確実にし、シャフトの凹部2042内へのより容易な挿入を可能にすることができる。図1bを参照すると、アンカー要素124a、124bの第1の対は、シャフト120の第1の横軸Tに沿ってシャフト本体121の両側に配置されており、アンカー要素124c、124dの第2の対は、シャフト120の第2の横軸Tに沿ってシャフト本体121の両側に配置されており、第1の横軸T及び第2の横軸Tは実質的に互いに直交している。
【0047】
図1aの領域Bにおける電極装置100の一部の拡大図を示す図3を参照すると、各アンカー要素124a~124dは楔形状を有している。楔形状は、シャフト120の遠位端Dに向かって厚さがテーパ状になっている。楔形状は、装置100のヘッド110に面する後面1241、及び後面1241の外縁からシャフト120の遠位端Dに向かって延びる湾曲した側面1242によって画定されている。後面1241は、装置の横断面に対して5°以上の角度を有する平面を横切って延びる。アンカー要素124a~124dのこの配置は、アンカー要素124a~124dと凹部2042の内面との間の把持を補助する。
【0048】
図1aの線A--Aに沿った装置100の断面図を示す図4を参照すると、シャフト本体121は、その中に導電性素子122が部分的に配置されている内部チャンバー1211を含んでいる。内部チャンバー1211は、シャフト本体121の壁1212の内面によって画成されており、壁1212の内面は円筒形であり、軸方向Lに延びるシャフト120の中心軸Lと同軸である。(シャフト本体121の外面を提供する)壁1212の外面は、中心軸線Lに対して傾斜している。この実施形態では、外面は中心軸Lに対して約2.7°で傾斜している。従って、壁1212の厚さは、シャフト120の遠位端Dに向けてテーパ状になっている。従って、シャフト本体121は、実質的に円錐台形の外形を有する。シャフト本体121の円錐台形状は、シャフト120の凹部2042内への挿入を補助し、シャフト120が凹部2042内に挿入されるにつれて、シャフト120と凹部2042の内面との間の漸進的により堅固な把持をもたらす。
【0049】
内部チャンバー1211は、それを通って導電性素子122が延びる遠位端開口1213を有する。導電性素子122は、遠位端開口1213の近位側でチャンバー1211内に配置された第1の部分122a、及び遠位端開口1213の遠位側でチャンバー1211の外側に配置された第2の部分122bを有する。この実施形態では、第1の部分122aは円筒形であり、第2の部分122bはドーム形状、またはより具体的には半球形状である。導電性素子122の第1の部分122aは、シャフト本体121の軸方向寸法に沿ってヘッド110の中に延びる。シャフト120の横断面では、導電性素子122は、直径Dを有しており、直径Dはシャフト本体121の直径Dの50%より大きく、この実施形態では具体的に、シャフト本体121の直径Dの約75%である。導電性素子122は、導電性金属で形成されており、この実施形態では具体的に白金金属で形成されている。導電性素子122は本質的に硬質であり、従ってシャフト本体121に補強コアを提供し、使用中にシャフト120が比較的均等な形状を維持することを確実にする。
【0050】
シャフト本体121は第1の材料から形成されており、第1の材料はエラストマー材料であり、この実施形態では、より具体的に第1のシリコーン材料である。アンカー要素124a~124dは第2の材料から形成されており、第2の材料はエラストマー材料であり、この実施形態では、より具体的に第2のシリコーン材料である。第1及び第2の材料は異なる性質を有している。特に、第2の材料は第1の材料よりも低いデュロ硬度を有している。従って、第2の材料は第1の材料よりも柔らかく、従ってアンカー要素124a~124dはシャフト本体121よりも柔らかい材料で形成される。シャフト本体121を比較的硬いエラストマー材料で形成することによって、シャフト本体は、可撓性かつ圧縮可能であることができるが、それでもなお、骨の凹部2042内への挿入時にその形状を実質的に維持する。導電性素子122によって提供される補強コアもまたこれに関して役立つ。一方で、アンカー要素124a~124dを比較的軟質のエラストマー材料で形成することによって、アンカー要素はより可撓性で、且つ圧縮可能となり、このことが電極装置100の使用後にシャフト120を凹部2042から容易に取り外すことができるようにする。実際、軟質材料は、シャフト120を凹部2042から取り外すとアンカー要素124a~124dが著しく歪曲するように提供され得る。
【0051】
アンカー要素124a~124dは、シャフト120を凹部2042から取り外す間、無傷のままであるように構成されている。従って、電極装置のどの部分も、取り外し後に体内に残されないようになっている。アンカー要素124a~124dは、取り外し中、及び取り外し後にシャフト本体121の外面に接続されたままである。さらに、アンカー要素は、電極装置を凹部2042から取り外した後も、それらの元の形状及び構成を実質的に保持する。
【0052】
図4から明らかなように、異なる特性を有する材料で形成されているにもかかわらず、アンカー要素124a~124dは、シャフト本体121と一体品として一体形成されている。さらに、シャフト本体121は、ヘッド110と一体品として一体形成されている。
【0053】
上述のように、電極装置は、電極装置100のヘッド110に接続されたリード130、及びリード130及びヘッド110を貫通して延び、導電性素子122に電気的に接続された導電性ワイヤー101を含む。図1a~図2を参照すると、導電性ワイヤー101は、らせん状に配置されており、導電性ワイヤー130及びヘッド110を含む電極装置が撓むと伸縮するようになっている。導電性ワイヤー101は、導電性素子122の近位端面125に接触して電気的に接続する。導電性ワイヤー101は、例えば、近位端面125に溶接されるか、はんだ付けされることによって、近位端面125に恒久的に固定されている。この実施形態では、導電性素子122の近位端面125は、電極装置100のヘッド110の内側に配置されている。導電性素子の近位端面125は、凹部1251を含み、その中では導電性ワイヤー101が近位端面125に接触して電気的に接続している。この実施形態では、凹部1251は、近位端面125の直径全体を横切って延びるチャネルである。凹部1251は、導電性ワイヤー101を近位端面125に溶接またははんだ付けしている間に溶融材料を保持することができる。さらに、電極装置のヘッド110を形成する材料は、チャネル内に延びることができ、例えば、製造中に流体状態にある間、導電性素子122を定位置に固定することを補助し、導電性ワイヤー101と導電性素子122との間の接続を保護することを補助する。
【0054】
この実施形態では、シャフト本体121がヘッド110と一体品として一体形成されていることに加えて、リード130もまたヘッド110と一体品として一体形成されている。従って、エラストマー材料の連続体が電極装置100内に設けられ、エラストマー材料の連続体がリード130、ヘッド110及びシャフト本体120を横切って延びている。エラストマー材料の連続体は、リード130及びヘッド110内の導電性ワイヤー101を覆い、ヘッド110内の導電性素子122の近位端面125を覆い、そしてシャフト120の導電性素子122の側面を囲む。この配置は、リード130、ヘッド110、及びシャフト120が共に恒久的に固定されており、通常の使用中に接続解除されないようになっている。製造後、電極装置100のいかなる部分も外科医などのユーザによって互いに接続される必要がないようにされ得る。電極装置100の一体型特性は、電極装置100の強度及び清潔さを増すことができ、操作性をも向上させることができる。
【0055】
図1a~図2を参照すると、リード130は、ヘッド110のストレインリリーフ部分111で電極装置のヘッド110に接続されている。ストレインリリーフ部分111は、ヘッド110のテーパ状部分であり、ヘッド110からリード130への比較的滑らかな移行をもたらす。具体的には、ストレインリリーフ部分111は、概して電極装置の横断面を横切ってリード13との接続部まで幅がテーパ状になっているヘッド110の部分である。図1bから明らかなように、ストレインリリーフ部分111を含むヘッド110はティアドロップ形状を有している。
【0056】
ストレインリリーフ部分111は湾曲している。この湾曲は、頭蓋204の湾曲と一致するように提供されており、電極装置が所定の位置に埋め込まれたときに、低減された圧力または無圧力がストレインリリーフ部分111によって頭蓋骨に加えられるようになっている。
【0057】
図1a及び図4から分かるように、ヘッド110は、凸状(近位に面した)外面112、及び凹状(遠位に面した)内面113を有する。シャフト本体121の半径方向外側に向かってヘッド110の外縁115まで延びるヘッド110の外側部分114は、外縁115に向かって延びるとともに遠位に湾曲している。それにもかかわらず、外縁115において、ヘッド110は、非外傷性当接及び組織との密封のための表面を提供する平坦化された枠部分116を含んでいる。ヘッド110の外側部分114は弾力性があり可撓性である。その弾力的な可撓性及び湾曲形状のために、ヘッド120の外側部分114は、シャフト120が凹部2042内にあるときにアンカー要素124a~124dに張力をかけるためのばねとして作用することができる。一般に、湾曲したヘッド配置は、例えば、電極装置100が配置されている頭蓋骨のような組織の湾曲に適合することができ、組織層が顕著な付着なしにその外側表面112上を滑動することを可能にすることができる。ヘッド110の枠部分116は、シャフト120が配置されている凹部2042の周りを密封することができる。この密封は、組織を通る電気の漏洩を低減することができ、ヘッド100の下で成長する組織を低減することができる。ヘッド110の可撓性外側部分116はまた、シャフト120がある範囲の深さへ、凹部内まで達することを可能にするように撓むことができる。
【0058】
電極装置100を外科的に埋め込む方法を、ここで図6a~図6fを参照して説明する。頭皮300において、解剖刀302を使用して切開部301を形成して組織の皮膚弁を形成し、頭蓋の頭頂骨303を露出させる(図6a)。第1の直径、(例えば直径3mmの)孔304aが下部骨板の深さまで切開用バー305を使用して頭頂骨303に穿孔される(図6b)。深さ止め3061を有するリーマ工具306を使用して、孔304aを拡大して、第2の直径の(例えば4.5mmの直径の)孔304bにする(図6c)。ピンセット307を用いて電極100のシャフト120を拡大した孔304bに挿入する(図6d)。シャフト120の導電性表面123が、頭蓋の下部骨板内の位置まで孔304b内に挿入されるが、孔304bは硬膜に対して開口していない。シャフトの挿入後、電極装置100は、ピンセット307を使用してその軸を中心に回転され、例えば、電極装置100のリード130のたるみを取るために約90~120度回転される(図6e)。次いで、例えば、縫合308を用いて、交互積層処理において頭皮300を閉じる(図6f)。図6fに示されるように、リード130は頭皮300の外面の下に配線することができる。
【0059】
一実施形態では、ここで図7及び図8を参照して説明するように複数の電極装置100が電極アレイ400に設けられている。具体的には、この実施形態では、電極アレイ400が設けられており、電極アレイ400は、4つの電極装置100a、100b、100c、100dを含んでおり、それぞれのリード130a、130b、130c、130dを介して、そしてその先のケーブル部402を介して処理装置401に接続されている。
【0060】
リード130a~130d及びケーブル部分402の可撓性により、4つの電極装置100a~100dは頭蓋の間隔を空けた位置に埋め込まれることができる。4つの電極装置100a~100dは、例えば、脳の左右半球における電気的活動をそれぞれ監視及び/または刺激するためなど、電気的活動を監視及び/または刺激するために2つの対4031、4032で構成することができる。
【0061】
本実施形態では、処理装置401及び電極装置100a~100dは、(それらのそれぞれのリード130a~130d及びケーブル部分402と共に)一体構造として電極アレイ400内に形成される。この配置は、処理装置401と電極装置100a~100dが(通常の動作と使用の目的のために)共に恒久的に固定されるようになっている。従って、外科医などのユーザが埋め込み前にこれらの電極アレイ400の構成要素を互いに接続することを必要性はなく、その可能性も全くなく、従って電極アレイ400の強度、清浄度及び操作性が増している。
【0062】
処理装置401は皮膚組織の下に埋め込まれることができる。図8を参照すると、処理装置401は、電気増幅器4011、電池4012、送受信機4013、アナログ-デジタル変換器4014、及び電極装置100a~100dとの間で送受信される電気信号を処理するためのプロセッサ4015を含むことができる。処理装置401は、信号処理データを格納するためのメモリ4016を含み得る。他の構成も可能であるが、処理装置401は、人工内耳で一般的に使用されるタイプの処理装置と同様であり得る。
【0063】
処理装置401によって処理され記憶されたデータは、例えば、未処理のEEGデータか、または部分的に処理された(例えば部分的または完全に圧縮された)EEGデータであってもよい。EEGデータは、データのさらなる処理及び分析のために、処理装置401から無線で、またはワイヤーを介して外部コンピューティングデバイス500に送信されてもよい。コンピューティングデバイス500は、標的事象が発生したかどうかを判定するためにEEG信号を分析することができる。事象に関するデータは、分析を基準にしてコンピューティングデバイス500によって生成され得る。一例では、コンピューティングデバイス500は、てんかん事象または脳卒中などの標的事象が発生したかどうかを判定するために脳活動信号を分析することができ、分析に基づいて、てんかん事象または脳卒中に関するデータがコンピューティングデバイス500によって生成されることができる。
【0064】
例えば、コンピューティングデバイス500を使用して、電極アレイ400の外部でデータ分析を実行することによって、電極アレイ400内の電力消費が低減されることができ、電極アレイ400がより小さな幾何学的形状を維持することを可能にする。さらに、コンピューティングデバイス500は、電極アレイに含まれる任意のプロセッサで可能となるよりも著しく高い処理能力を有することができる。コンピューティングデバイス500は、電極アレイ400から受信した電気データを連続的に記録するソフトウェアを実行することができる。
【0065】
処理装置401及び/またはコンピューティングデバイス500は、信号処理を実行するためにデジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/または他の構成要素、及び/またはソフトウェアモジュールを備えることができる。一般に、使用される任意のプロセッサは、本開示の1つ以上の装備を制御するためのいくつかの制御または処理用モジュールを備えることができ、例えば、未処理、または処理済みのEEGデータなどの所望のデータを格納するための1つ以上の記憶素子も含むことができると理解される。モジュール及び記憶素子は、1つ以上の処理装置及び1つ以上のデータ記憶ユニットを使用して実装されることができ、これらのモジュール及び/または記憶装置は、一箇所にあっても複数箇所に分散されてもよい。電極アレイ400と共に使用されるコンピューティングデバイス500は、マイクロプロセッサ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯情報端末、及び本開示による方法を実行する目的で特別に製造されたデバイスを含む他の種類のデバイスを含むことができる。
【0066】
さらに、処理モジュールは、プログラム命令を含むコンピュータプログラムまたはプログラムコードによって実行されることができる。コンピュータプログラム命令は、ソースコード、オブジェクトコード、マシンコード、または説明されたステップをプロセッサに実行させるように動作可能な他の任意の記憶されたデータを含むことができる。コンピュータプログラムは、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述されることができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチンまたはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとして、を含む任意の形態で展開されることができる。データ記憶装置(複数可)は、揮発性(例えば、RAM)及び/または不揮発性(例えば、ROM、ディスク)メモリなどの適切なコンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0067】
図6b及び図6cを参照して上述したように、骨(または他の)組織に凹部を形成するプロセスにおいて、リーマーツールが使用されることができる。本開示の一実施形態によるリーマーツール600が、ここで図9a~図9dを参照して説明されている。リーマーツールは、ハンドル601、ロックナット602、フット603、コレット604、及びリーマービット605を含む。
【0068】
リーマービット605は近位端6051と遠位端6052を有する。骨や他の組織を切開するための周辺切開エッジ6053は、リーマービット605の遠位端6052に隣接する領域でリーマービット605の周りに延在する。リーマービット605の遠位端6052はこの実施形態では比較的平坦であり、骨や組織への不要な損傷を引き起こすリスクを低減する。シャフト6054がリーマービット605の近位端6051に隣接して設けられている。シャフト6054は、コレット604の遠位端開口6041内に受容される。コレット604のテーパ状近位端領域6042は、ハンドル601のテーパ状遠位端開口6011内に着座しており、ロックナット602によってハンドル開口6011内の適所に締め付けられている。締め付けを達成するために、ロックナット602はコレット604の近位端6042を囲み、ハンドル601の周囲のねじ山6012との係合を介してハンドル601の遠位端開口6011に結合する。ロックナット602の近位外面は、ロックナット602とハンドル601との間のねじ係合を有効にするときにユーザが握るための、及び/またはリーミングステップを実行する間にリーマーツール600を保持するときに握るためのナーリング6021を含む。リーマーツール600の構成要素の配置は、ハンドル601を回転させると、リーマービット605(及びそれに直接または間接的に固定されている他の構成要素602、604)が回転するようになっている。
【0069】
しかし、リーマーツールのフット603は、ハンドル601、リーマービット605、及びリーマーツール600の他の構成要素602、604に対して回転可能である。フット603は、リーミング中、骨や他の組織に対して堅固に固定することができ、静止したままであることができる。このことが、周囲の組織を傷つけたり損傷を与えたりすることなく、骨や他の組織に対するリーマーツール600の安定性をもたらす。フット603はまた、リーミングのための深さ止めを提供することができる。本実施形態では、フット603は、滑り軸受結合によって、具体的には、フット603の滑らかな近位側内面6032とロックナット602の滑らかな遠位側外面6022との回転可能な結合によって、リーマーツール600の他の構成要素に対して自在に回転可能である。
【0070】
フット603は、リーミングされた領域を囲む点で骨や他の組織と接触するように構成されている。フット603は、多脚のフットであり、具体的には、本実施形態では、骨や他の組織と接触することになる3本の脚部6031を含む3本脚のフットである。脚部6031は間隔を空けており、脚部6031間のリーマービット605を視覚化することを可能にしている。
【0071】
本実施形態では、リーマーツール600の様々な構成要素が組み立てられると、リーマービット6052は、リーミングされる孔の所望の深さに対応する距離だけフット603(図9c参照)から突出する。従って、フット603は、リーマービットが全リーム深さにあるか、またはその直ぐ近くにあるときに、リーミングされる孔を囲む骨や他の組織に対してだけを固定する。この深さにおいて、フット603は深さ止めを提供する。
【0072】
代替的な実施形態では、フットは、異なるリーム深さ、またはリーマービットの全リーム深さで骨や他の組織を固定するように構成され得る。例えば、本開示の一実施形態では、ここで図10a~図10cを参照して説明すると、ハンドル701、ロックナット702、フット703、コレット704、及びリーマービット705を含むリーマーツール700が提供されており、フット703とロックナット702との間の回転可能結合を除いては、上述のリーマーツール600とほぼ同一のものである。本実施形態では、フット703とロックナット702の滑らかな表面との間に滑り軸受結合を設けて、これら部品の自由回転を可能にするのではなく、ねじ軸受結合が設けられている。ねじ軸受は、相補的なフット703のねじ山7032とロックナット702のねじ山7022との間の係合によって得られる。ねじ軸受は、フット703が最初にねじ軸受上でロックナット702の遠位端に向かって位置決めされ得るようになっている。この初期位置では、図10bに示すように、フット703の脚部7032の端部は、リーマービット705の遠位端部7052と実質的に同一平面上にある。従って、リーミングの開始時点でさえ、フット703は、リーマーツール700を骨や他の組織に対して堅固に固定することができる。この配置はまた、その後、ハンドル701を回転させることによってリーミングが進行すると、フット703が自動的にロックナット702の近位端に向かって引き寄せられ、リーマービット705がフット703からより遠位に突出することを可能にし、フット703がリーマーツール700を骨や他の組織に対して固定し続けている間に、リーム深さを増加させるようになっている。フット703は、図10cに示すように、ロックナット702のショルダー部7023に当接するまでロックナット702の近位端に向かって移動を継続することができ、その点でフット703は深さ止めをもたらす。
【0073】
代替的な実施形態では、ねじ軸受の代わりに、フットとロックナットとの間の相対運動が、ばね機構またはカム機構を使用することで制御されることができる。
【0074】
本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に対して多数の変形及び/または修正がなされてもよいことが当業者には理解されるであろう。従って、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり限定的ではないと見なされるべきである。
【符号の説明】
【0075】
13 リード
100 電極装置
101 導電性ワイヤー
110 ヘッド
111 ストレインリリーフ部分
112 凸状(近位に面した)外面
113 凹状(遠位に面した)内面
114 外側部分
115 外縁
116 枠部分、可撓性外側部分
120 シャフト
121 シャフト本体
122 導電性素子
123 導電性表面
124 アンカー要素
125 近位端面
130 リード
201 皮膚
202 結合組織
203 頭蓋骨膜
204 頭蓋
205 硬膜
300 頭皮
301 切開部
302 解剖刀
303 頭頂骨
304 孔
305 切開用バー
306 リーマ工具
307 ピンセット
308 縫合
400 電極アレイ
401 処理装置
402 ケーブル部分
500 コンピューティングデバイス
600 リーマーツール
601 ハンドル
602 ロックナット
603 フット
604 コレット
605 リーマービット
700 リーマーツール
701 ハンドル
702 ロックナット
703 フット
704 コレット
705 リーマービット
1211 チャンバー
1212 壁
1213 遠位端開口
1241 後面
1242 側面
1251 凹部
2041 下部骨板
2042 凹部
4011 電気増幅器
4012 電池
4013 送受信機
4014 アナログ-デジタル変換器
4015 プロセッサ
4016 メモリ
6011 開口
6012 山
6021 ナーリング
6022 遠位側外面
6031 脚部
6032 近位側内面
6041 遠位端開口
6042 近位端
6051 近位端
6052 遠位端
6053 周辺切開エッジ
6054 シャフト
7022 ねじ山
7023 ショルダー部
7032 脚部、ねじ山
7052 遠位端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10