(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品によって処理するための方法、対応する処理アセンブリ、及び貯蔵アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20220921BHJP
A01F 25/00 20060101ALI20220921BHJP
A01F 25/14 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A01M1/20 F
A01F25/00 F
A01F25/14 A
(21)【出願番号】P 2019552075
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2018057143
(87)【国際公開番号】W WO2018172402
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514328492
【氏名又は名称】クセダ・アンテルナシオナル・エス・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・サルド
(72)【発明者】
【氏名】ステファーノ・サルド
(72)【発明者】
【氏名】ロラ・パイテル
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527897(JP,A)
【文献】実開昭61-118269(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00452512(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0251215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/20
A01F 25/00
A01F 25/14
A01N 25/18
A01P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
150から280℃の間の沸点を有する少なくとも1種
の殺生物及び/又は植物保護製品による処理方法であって、殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品混合物を含有する液体を蒸発させ且つ施設(2)の内部雰囲気に注入する処理工程を含み、前記液体を50℃よりも低い温度で蒸発させ、前記施設(2)の前記内部雰囲気中の製品蒸気濃度を、12時間よりも長い飽和時間にわたって前記温度で、前記雰囲気中に前記製品の前記蒸気の飽和濃度の10%よりも高く保持し、前記施設(2)が、200m
3よりも大きい内部容積を有し、前記液体が、充填塔(11)を有する蒸発器(10)を含む蒸発デバイス(8)において蒸発され、そこで前記液体が、前記充填塔(11)内の空気の流れと接触することによって蒸発し、前記製品蒸気を含有する空気流が前記施設(2)内に注入され、前記蒸発デバイス(8)は更に、
- 前記充填塔(11)を通じて流れる液体の流れを、充填塔(11)を有する蒸発器(10)内に注入するデバイス(12);
- 空気流を、前記充填塔(11)を有する蒸発器(10)内で循環させる部材(13)
を含む、方法。
【請求項2】
前記製品の少なくとも1種が、下記の殺生物又は植物保護製品のリスト:
精油;テルペン、飽和又は不飽和C6~C10短鎖アルコール、合成揮発性製品、
ペラルゴン酸又はパラベン酸、殺生物作用を有するエステル
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記施設が、貯蔵時間(DS)の間、植物生産物を含有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理工程が、前記貯蔵時間(DS)の50%よりも長く続く連続注入段階を含み、前記雰囲気中の前記製品蒸気濃度が、
前記温度での前記雰囲気における前記製品の蒸気の飽和濃度の10%から50
%の間で保持される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理工程が、12から240時間の注入時間(DI)を有する単一連続注入段階を含み、又は殺生物及び/又は植物保護製品の注入のない待機段階によって区切られたいくつかの連続注入段階を含み、各連続注入段階が、12から240時間の間の注入時間(DI)を有し、前記雰囲気中の前記製品蒸気濃度が、前記注入段階又は各注入段階中に
、前記温度での前記雰囲気における前記製品の蒸気の飽和濃度の50%から100
%の間で保持される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体が、周囲温度で互いに異なるそれぞれの蒸気圧を有する、いくつか
の殺生物及び/又は植物保護製品を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前
記殺生物及び/又は植物保護製品の前記それぞれの蒸気圧が、1.3×10
-5barから4.10
-3barの間の圧力範囲に及ぶ、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記施設(2)の前記内部雰囲気が、製品蒸気の注入中に、前記施設(2)の標準温度から前記標準温度に5℃をプラスした値の間の温度まで加熱される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記施設(2)が、外側に連通している空気入口(41)及び外側に連通している空気出口(43)を有する穀粒サイロであり、前記サイロが、前記空気入口(41)から穀粒(47)を経て前記空気出口(43)に至る空気の循環を確実にするように設計された強制換気装置(45)を含み、前記強制換気装置(45)が、殺生物及び/又は植物製品又はそのそれぞれの注入中にスイッチオフされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記施設(2)が実質的に気密であり、前記充填塔(11)を循環する空気の流れが、1時間当たり及び前記施設(2)の内部容積1m
3当たり、1から10m
3の間の流量を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記充填塔(11)を循環する空気の流れが、1時間当たり及び前記施設(2)の内部容積100m
3当たり、1から6m
3の間の流量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
アセンブリ(3)が、
- 150から280℃の間の沸点を有する、少なくとも1種
の殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品の混合物を含有する液体の、リザーバ(7)、
- 前記リザーバ(7)内に貯蔵された前記液体を蒸発させ、且つ蒸発した液体を施設(2)の内部雰囲気中に注入するデバイス(8)であり、50℃よりも低い温度で前記液体が蒸発するように構成された蒸発デバイス(8)、
- 前記施設(2)の前記内部雰囲気中の製品又は各製品の蒸気濃度が、12時間よりも長い飽和時間にわたり、前記雰囲気中で前記製品の蒸気の飽和濃度の10%よりも高く保持されるように構成された、前記蒸発デバイス(8)を制御する制御器(9)
を含む、処理アセンブリであって、前記施設(2)が、200m
3よりも大きい内部容積を有し、前記蒸発デバイス(8)が、充填塔(11)内の空気の流れと接触させることによって前記液体を蒸発させる、充填塔(11)を有する蒸発器(10)を含み、前記蒸発器(10)が、前記製品蒸気を含有する空気流を前記施設(2)内に注入するよう構成され、前記蒸発デバイス(8)は更に、
- 前記充填塔(11)を通じて流れる液体の流れを、充填塔(11)を有する蒸発器(10)内に注入するデバイス(12);
- 空気流を、前記充填塔(11)を有する蒸発器(10)内で循環させる部材(13)
を含む、処理アセンブリ。
【請求項13】
前記製品の少なくとも1種が、殺生物又は植物保護製品の下記のリスト、
精油;テルペン、飽和又は不飽和C6~C10短鎖アルコール、合成揮発性製品、
ペラルゴン酸又はパラベン酸、殺生物作用を有するエステル
から選択される、請求項12に記載の処理アセンブリ。
【請求項14】
前記施設(2)が、1カ月よりも長い貯蔵時間(DS)にわたって貯蔵される植物生産物、例えばジャガイモを含有し、前記制御器(9)は、前記貯蔵時間(DS)の50%よりも長い注入時間(DI)を有する連続注入段階を実施するように構成され、連続注入段階中に、前記雰囲気中の前記製品蒸気濃度は
、前記温度での前記雰囲気における前記製品の蒸気の飽和濃度の10%から50
%の間で保持される、請求項12又は13に記載の処理アセンブリ。
【請求項15】
前記施設(2)が、植物生産物、例えば穀物を含有し、前記制御器(9)が、12から240時間の注入時間(DI)を有する単一連続注入段階、或いは殺生物及び/又は植物保護製品の注入がない待機段階によって区切られたいくつかの連続注入段階を実施するように構成され、各連続注入段階が、12から240時間の注入時間(DI)を有し、前記雰囲気中の前記製品蒸気濃度が、前記注入段階又は各注入段階中に
、前記温度での前記雰囲気における前記製品の蒸気の飽和濃度の50%から100
%の間で保持される、請求項12又は13に記載の処理アセンブリ。
【請求項16】
前記液体が、互いに異なるそれぞれの蒸気圧を有するいくつか
の殺生物及び/又は植物保護製品を含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の処理アセンブリ。
【請求項17】
前
記殺生物及び/又は植物保護製品の前記それぞれの蒸気圧が、1.3×10
-5barから4.10
-3barの間の圧力範囲に及ぶ、請求項16に記載の処理アセンブリ。
【請求項18】
前記処理アセンブリ(3)が、製品蒸気の注入中に前記内部雰囲気を、前記施設(2)の標準温度から前記標準温度に5℃をプラスした値の間の温度まで加熱するように構成された、前記施設(2)の前記内部雰囲気の加熱器(51)を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の処理アセンブリ。
【請求項19】
植物生産物用の貯蔵アセンブリ(1)であって、
-
施設(2)と、
- 蒸発した液体を前記施設(2)の内部雰囲気中に注入するよう構成された、請求項12から18のいずれか一項に記載の処理アセンブリ(3)と
を含み、前記施設(2)が、200m
3よりも大きい内部容積を有する、貯蔵アセンブリ。
【請求項20】
前記施設(2)が実質的に気密であり、前記処理アセンブリ(3)が、充填塔(11)内の空気の流れと接触させることによって前記液体を蒸発させる、充填塔(11)を有する蒸発器(10)を含み、前記蒸発器(10)が、前記施設(2)内に製品蒸気を含有する空気流を注入するよう構成され、制御器(9)が、前記充填塔(11)を循環する前記空気流が、1時間当たり及び前記施設(2)の内部容積1m
3当たり、1から10m
3の間の流量を有するようにプログラムされる、請求項19に記載の貯蔵アセンブリ。
【請求項21】
前記施設(2)が、外側に連通する空気入口(41)及び外側に連通する空気出口(43)を有する穀粒サイロであり、前記サイロが、前記空気入口(41)から前記穀粒を経て前記空気出口(43)に至る空気の循環を確実にするように設けられた強制換気装置(45)を含み、前記強制換気装置(45)が、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの注入中にスイッチオフすることができ、前記制御器(9)が、前記充填塔(11)を循環する空気の流れが、1時間当たり及び施設(2)の内部容積100m
3当たり、1から6m
3の間の流量を有するようにプログラムされる、請求項19に記載の貯蔵アセンブリ。
【請求項22】
前記施設(2)が、植物生産物を含有する、請求項19から21のいずれか一項に記載の貯蔵アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、穀物等の植物生産物の貯蔵を改善するための又は施設を消毒するための、中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品による処理に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は第1の態様において、少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品による処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一部の合成揮発性製品、又はその天然由来のもの、例えば精油は、関心が持たれている殺生物性又は植物保護性を有することが公知である。特にそれらは、植物生産物の保存が改善されるようその生産物を処理するのに使用される。
【0004】
これらの製品を植物に適用するため、現在に至るまで使用されてきた技法は、下記の通りである:
- 製品を含有する高温又は低温水性分散体への、植物生産物の浸漬;
- 衛生化のための、施設、例えば植物貯蔵チャンバの噴霧;
- 植物生産物が貯蔵チャンバに進入するときの、マイクロミスチング。
【0005】
適用される製品の量は高く、植物生産物中に高濃度をもたらし得る。
【0006】
また、現在使用されている穀粒滅菌方法は、サイロ内に進入する際に、高い毒性の製品;一般には有機リン酸製品で、穀粒に噴霧することをベースにする。貯蔵中に大規模な昆虫被害があった場合、種子を、気体状製品又は燻蒸揮発性製品で処理する。この滅菌に通常通り使用される製品は、ホスフィン、臭化メチル、又はギ酸エチルである。貯蔵に入るとき又は貯蔵中に使用される処理製品は、高毒性であり、とりわけ耐性関連の問題に起因して時折りほとんど有効ではなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】FR 2 791 910
【文献】FR1255999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、天然由来の中揮発性製品、例えば精油、又は同じ揮発性特性を有する合成製品であって、植物生産物の保護及び/又は施設の衛生化、特に植物生産物の貯蔵が意図される施設の衛生化に優れた効力を有するものを適用するのに使用することができる、処理方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明は、150から280℃の間の沸点を有する少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品による処理方法であって、殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品の混合物を含有する液体を蒸発させ、施設の内部雰囲気に注入する処理工程を含み、この液体を50℃よりも低い温度で蒸発させ、施設の内部雰囲気中の製品蒸気濃度を12時間よりも長い飽和時間にわたって前記温度での前記雰囲気における前記製品の蒸気の飽和濃度の10%よりも多い値で保持する、方法に関する。
【0010】
本出願人は、殺真菌性、殺菌性、及び殺虫性作用を特に有する中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品の蒸気のみが、活性であることを確信する。中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含有する液体は、蒸気供給源として活性であるだけである。
【0011】
その結果、殺生物及び/又は植物保護効果は、処理される施設の雰囲気において蒸気濃度が高い値で保持される場合に最大になる。
【0012】
最良の結果を得るために、これらの製品は、蒸気形態で使用されるべきであることが必須である。蒸気のみが即座に活性になり、ある体積の空気を処理して貯蔵された植物生産物(サイロ内の穀粒、パレットボックス内の果物、積み上げたジャガイモ)に進入し、且つ施設の壁の徹底した処理を得る能力を有することになる。
【0013】
雰囲気中の高い蒸気濃度に到達するための高温気化の使用が、軽率にも強力に推奨されている。飽和濃度に到達せず、又は施設の内部雰囲気への、特に冷たい表面への注入後に冷却された場合に得られる蒸気から液体への再凝縮で、飽和濃度を超える。したがって高い蒸気濃度を得るのを確実にするために、植物生産物に対して高濃度をもたらすことができる大量の製品を注入する必要があると考えられ、これが、これらの製品を植物に対して有害にすると考えられるが、同時に、低温蒸発の場合よりも非常に高い殺生物及び/又は植物保護製品の消費を必要とする。
【0014】
熱による霧化は、類似の問題を提起する。製品は、ミスト化された液滴の形で液体状態中に注入される。製品の一部は、施設の表面に堆積されるので失われる。別の部分は液体の形で植物生産物に堆積される。製品は、この形では有効ではない。蒸気に変換される製品のその部分のみ有効であるが、製品の蒸気濃度を制御することは極めて難しい。この場合も、揮発性殺生物及び/又は植物保護製品の消費は、低温蒸発の場合よりも非常に高い。
【0015】
本発明の方法では、蒸発は、施設の内部雰囲気中の製品の蒸気濃度の優れた制御が可能になる低温蒸発である。この濃度は、製品の効果を最大限にするように、必要に応じて飽和に近い高レベルで保持することができる。揮発性殺生物及び/又は植物保護製品の消費は、殺生物剤の合計量がその作用を発揮するので、熱による霧化又は高温蒸発と比較して中程度である。
【0016】
製品の消費は自己規制される。殺生物及び/又は植物保護製品は、50℃よりも低い室温で蒸発し、過飽和のいかなる危険性もない雰囲気飽和以下に到達するまで蒸発する。この最大値に到達すると、蒸発は、蒸発デバイスが動作し続ける場合であっても、いかなる外部作用もなしに自然停止に至る。
【0017】
処理効力は、雰囲気中の製品蒸気濃度が高レベルで、有意ないわゆる飽和時間にわたって保持されることにも起因し、この飽和時間は12時間よりも長い。処理は、大量の製品を急速に注入することによって、又は効力が保証されるよう十分な時間にわたり高濃度を維持するような間隔を空けた注入によって、適用することができる。
【0018】
したがって3つの好ましい適用形態が、短期間にわたる飽和濃度に近い製品蒸気濃度又は長期間にわたるより低い濃度での衝撃効果の原理に基づいて、考えられている。これらの製品の効力は、空気濃度及び植物生産物との接触時間に依存する。
【0019】
第1の適用形態は単回注入を介し、施設の内部雰囲気中の製品又は各製品の蒸気濃度は、植物生産物の完全滅菌の効果が得られるように、飽和濃度の50から100%の間で12から240時間の間の期間にわたって保持される。
【0020】
第2の適用形態は、飽和濃度の10から50%の間での、貯蔵期間のほとんど又は実質的に全体にわたる、施設の内部雰囲気中の製品又は各製品のより低い蒸気濃度の維持である。
【0021】
第3の適用形態では、高いリスクが視覚的に確認された場合又は所定のプログラムにしたがって、例えば貯蔵の月ごとに5日間の注入日に、第1の適用形態の場合と同じタイプの注入が周期的に行われる。
【0022】
これら3つの適用形態に関し、注入量の制御は種々の手法で得ることができる。
【0023】
第1の方法によれば、注入量の制御は、施設の内部雰囲気が飽和に達したら蒸発を自然に停止させることによって得られる。蒸発した液体の量は、接触して配置された空気及び液体の量、並びに蒸発デバイスの接触表面に依存する。
【0024】
第2の方法によれば、注入量の制御は、1日当たりの動作時間、及び前記動作時間中に施設の単位体積当たりで蒸発した液体の量を指示する、所定の動作プログラムに従うことによって得られる。
【0025】
第3の方法によれば、空気中の製品又は各製品の濃度が分析され、注入デバイスは、典型的には所定範囲内の製品又は各製品の濃度を維持するために、分析の結果を使用することによって駆動される。
【0026】
処理方法は、下記の特徴の1つ又は複数を、単独で又は任意の技術的に実現可能な組合せで有することもできる:
- 製品の少なくとも1種は、下記の殺生物又は植物保護製品のリスト:
精油;テルペン;飽和又は不飽和C6~C10短鎖アルコール、例えばオクタノール、2-エチルヘキサノール;揮発性合成製品、例えばヘキサナール、ジメチルナフタレン、及び3-デセン-2-オン;高沸点を有する液体有機酸、例えばペラルゴン酸及びパラベン酸;殺生物作用を有するエステル、例えばイソ吉草酸イソアミル
から選択される;
- 施設は一般に1カ月よりも長い貯蔵時間(DS)にわたり貯蔵される植物生産物、例えば、穀物を収容する;
- 処理工程は、貯蔵時間(DS)の50%よりも長く、好ましくは貯蔵時間(DS)の75%よりも長く、更に好ましくは貯蔵時間の90%よりも長く続く、連続注入段階を含む;
- 処理工程は、12から240時間の注入時間を有する単一連続注入段階を含み、或いは殺生物及び/又は植物保護製品が注入されない待機段階によって区切られたいくつかの連続注入段階を含み、各連続注入段階は、12時間から240時間の間の注入時間(DI)を有する;
- 液体は、室温で互いに異なるそれぞれの蒸気圧を有する、いくつかの中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含む;
- 揮発性殺生物及び/又は植物保護製品のそれぞれの蒸気圧は、1.3×10-5barから4.10-3barの間の圧力範囲に及ぶ;
- 施設の内部雰囲気は、製品蒸気の注入中に、施設の標準温度から、この標準温度に5℃をプラスした値の間の温度に加熱される;
- 施設は、外側に連通した空気入口と、外側に連通した空気出口とを有する穀粒サイロであり、このサイロは、空気入口から穀粒を経て空気出口に至る空気の循環を確実にするために設けられた強制換気装置を含み、この強制換気装置は、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれを注入するときにスイッチオフする;
- 施設の内部容積は、200m3よりも大きい;
- 液体は、充填塔内の空気の流れと接触させることによって蒸発し、製品蒸気を含有する空気流が、施設に注入される;
- 施設は、実質的に気密であり、充填塔を循環する空気流は、1時間当たり及び施設の内部容積1m3当たり、1から10m3の間の流量を有する;
- 充填塔を循環する空気流は、1時間当たり及び施設の100m3内部容積当たり、1から6m3の間の流量を有する。
【0027】
第2の態様では、本発明は、
- 150から280℃の間の沸点を有する少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品の混合物を含有する、液体リザーバ;
- リザーバに貯蔵された液体を蒸発させる、及び蒸発した液体を施設の内部雰囲気に注入するデバイスであって、50℃よりも低い温度で液体を蒸発させるように構成された蒸発デバイス;
- 施設の内部雰囲気の製品又は各製品蒸気濃度が、12時間よりも長い飽和時間にわたり、前記雰囲気中の前記製品の蒸気飽和濃度の10%よりも高く維持されるように構成された、蒸発デバイスを制御する制御器
を含む、処理アセンブリに関する。
【0028】
処理アセンブリは、下記の特徴の1つ又は複数を、単独で又は任意の技術的に実現可能な組合せで有することもできる:
- 製品の少なくとも1種は、殺生物又は植物保護製品の下記のリスト:
精油;テルペン;飽和又は不飽和C6~C10短鎖アルコール、例えばオクタノール、2-エチルヘキサノール;合成揮発性製品、例えばヘキサナール、ジメチルナフタレン、及び3-デセン-2-オン;高沸点を有する液体有機酸、例えばペラルゴン酸及びパラベン酸;殺生物作用を有するエステル、例えばイソ吉草酸イソアミルから選択される;
- 施設は、植物生産物、例えば1カ月よりも長い貯蔵時間にわたり貯蔵されるジャガイモを含有し、制御器は、貯蔵時間の50%よりも長い、好ましくは貯蔵時間の75%よりも長い、更に好ましくは貯蔵時間の90%よりも長い注入時間を有する連続注入段階を実施するように構成される;
- 施設は、植物生産物、例えば穀物を含有し、制御器は、12から240時間の注入時間を有する単一連続注入段階、又は殺生物及び/又は植物保護製品の注入がない待機段階によって区切られたいくつかの連続注入段階であって、各連続注入段階が12から240時間の注入時間を有する注入段階を実施するように構成される;
- 液体は、互いに異なるそれぞれの蒸気圧を有するいくつかの中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含む;
- 中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品のそれぞれの蒸気圧は、1.3×10-5barから4.10-3barの間の圧力範囲に及ぶ;
- 処理アセンブリは、施設の内部雰囲気の加熱器であって、製品蒸気の注入中に、施設の標準温度からこの標準温度に5℃をプラスした値まで間の温度に、前記内部雰囲気を加熱するように構成された加熱器を含む;
- 蒸発デバイスは、前記充填塔内の空気の流れと接触させることによって、液体を内部で蒸発させる充填塔を備えた蒸発器を含み、この蒸発器は、製品蒸気を含有する空気流を施設に注入するよう構成される。
【0029】
第3の態様では、本発明は、植物生産物用の貯蔵アセンブリであって、
- 好ましくは植物生産物を含有する施設と;
- 蒸発した液体を施設の内部雰囲気中に注入するように構成された、前述のような処理アセンブリと
を含む、貯蔵アセンブリに関する
【0030】
貯蔵アセンブリは、下記の特徴の1つ又は複数を、単独で又は任意の技術的に実現可能な組合せで有していてもよい:
- 施設の内部容積は200m3よりも大きい;
- 施設は実質的に気密であり、処理アセンブリは、前記充填塔内の空気の流れと接触させることによって液体を内部で蒸発させる充填塔を備えた蒸発器であって、製品蒸気を含有する空気流を施設内に注入するように構成された蒸発器、充填塔を循環する空気流が、1時間当たり及び施設の内部容積1m3当たり、1から10m3の間の流量を有するようにプログラムされた制御器を含む;
- 施設は、外側に連通する空気入口と、外側に連通する空気出口とを有する穀粒サイロであり、このサイロは、空気入口から穀粒を経て空気出口に至る空気の循環を確実にするように設けられた強制換気装置であって、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれを注入するときにスイッチオフすることができる強制換気装置、充填塔を循環する空気流が、1時間当たり及び施設の内部容積100m3当たり、1から6m3の間の流量を有するようにプログラムされた制御器を含む。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、単なる例示を目的に示され且つ如何様にも限定するものではない以下の記述から、下記を含む添付される図面を参照しつつ明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態に従う貯蔵アセンブリの、簡略化した概略図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に従う貯蔵アセンブリの、簡略化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に例示される貯蔵アセンブリは、施設2及び処理アセンブリ3を含む。
【0034】
処理アセンブリ3は、少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含有する液体を蒸発させるように、且つ蒸発した液体を施設2の内部雰囲気に注入するように構成される。
【0035】
処理は、消毒処理及び/又は植物保護処理である。
【0036】
第1の実施形態では、施設は実質的に気密である。施設は、閉鎖されたエンクロージャーであり、その内部では、施設の雰囲気と外側との間での交換、特に気体の交換が低減されて、例えばその内部に貯蔵される植物生産物の保存が脅かされないようにする。
【0037】
処理が消毒処理の場合、施設は、例えば植物生産物を意図した貯蔵庫であり、しかし処理時にはいかなる植物生産物も含有しないものである。変形例として、その空間は、病院、学校、産業設備、又は任意のその他のタイプの施設の一部である。槽、貯蔵若しくは輸送タンク、又は消毒される任意のその他のタイプのエンクロージャーであってもよい。
【0038】
植物保護処理の場合、その空間は、チャンバ、温室、又は穀物粒、果物、若しくは野菜等の植物生産物を貯蔵することが意図される任意の施設であってもよい。前記施設を
図1に示す。処理は、植物生産物5がその内部に貯蔵された場合に適用される。変形例として、施設が空のときに適用される。
【0039】
処理アセンブリ3は、大容積貯蔵の雰囲気を処理することが、特に意図される。この容積は、典型的には200m3よりも大きく、好ましくは500m3よりも大きく、より好ましくは1000m3よりも大きい。
【0040】
処理アセンブリ3は、
- 150から280℃の間の沸点、好ましくは150から260℃の間の沸点を有する、少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含有する液体を貯蔵するリザーバ7;
- リザーバ内7に貯蔵された液体を蒸発させ且つ蒸発した液体を施設2の内部雰囲気に注入するデバイス8であって、50℃よりも低い温度で液体を蒸発させるように構成された蒸発デバイス8、
- 蒸発デバイス8を制御する制御器9
を含む。
【0041】
蒸発デバイス8は、好ましくは、充填塔11内の空気の流れとの接触を介して液体を蒸発させる、前記充填塔11を備えた蒸発器10を含む。
【0042】
蒸発器10は、製品の蒸気を含有する空気流を施設2内に注入するように構成される。
【0043】
蒸発デバイス8は更に、
- 液体の流れを充填蒸発器10内に注入するデバイス12;
- 空気流を充填蒸発器10内で循環させる部材13
を含む。
【0044】
蒸発器は、適合タイプのものである。例えば蒸発器は、図示される実施例における縦軸の充填塔である。
【0045】
充填塔とは、本明細書では、液相と気相との間に広い接触表面が得られ、それによって液相と気相との間の交換が改善される、任意のタイプの構造を意味する。
【0046】
したがって充填塔は、バルク型の充填塔又は構造型の充填塔にすることができる。
【0047】
本明細書の場合、充填塔は、Raschigリング若しくはPallリング型のものであり、又はハニカム構造の充填塔である。
【0048】
典型的には、プラスチック材料で作製される。
【0049】
接触により、液体の流れと空気の流れとの間で特に効率的な伝達を得ることが可能である。
【0050】
有利には、蒸発デバイスは、施設内に配置される。循環部材13は、貯蔵空間の内部雰囲気を直接吸引し、それを充填塔内で循環させ、したがってこの雰囲気は空気流を形成する。
【0051】
本明細書では、貯蔵雰囲気は、施設を満たす、及び任意選択で植物生産物に浴びせる、気体の容積に該当する。
【0052】
この雰囲気は、典型的には空気を含み、任意選択で成熟時に植物生産物から放出される気体及び生成物を含む。水蒸気も含む。
【0053】
変形例として、雰囲気は、変性した雰囲気であり、例えば空気は酸素が激減している。これは特に、リンゴ等の一部の植物生産物の貯蔵に関して言えることである。
【0054】
リザーバ7は、典型的には充填塔11の下の垂直方向に配置されたバットである。
【0055】
注入デバイス12は、充填塔11の上方に液体を注入するように配置構成される。
【0056】
この目的のため、典型的には、充填塔の上方に位置決めされた1つ又は複数の噴霧ランプ17と、液体をリザーバ7から吸引しそれを1つ又は複数のランプ17に向けるポンプ等の移送部材19とを含む。
【0057】
循環デバイス13は、蒸発器10内で空気が上向きに移動する循環を創出するように配置構成される。
【0058】
これを実現するために、蒸発デバイス8は、充填塔の下で蒸発器10の内側に至る1つ又は複数の雰囲気入口21を含む。
【0059】
各入口21は、施設2の内側に流体連通している。
【0060】
蒸発デバイス8は、充填塔11の上方で蒸発器10の最上部に位置決めされた、蒸発した液体が投入された雰囲気の出口23を有する。出口23は、施設2の内側に流体連通している。
【0061】
循環デバイス13は、例えば充填塔11の上方に位置決めされた、典型的には蒸発デバイス10の最上部に位置決めされた、ファン又は送風器等の循環部材24を含む。
【0062】
循環部材24は、充填塔11の上方で、蒸発した液体が投入された雰囲気を吸引し、それを出口23の内部に又は出口23向けて誘導する。
【0063】
好ましくは蒸発デバイス8は、噴霧ランプ17の上方に、より詳細には噴霧ランプ17と循環部24との間に位置決めされた液滴分離器25を含む。
【0064】
実施形態の一実施例では、蒸発デバイス8は、実質的に一定の正方形の水平断面700×700mmを有する。リザーバ7は、同じ水平断面を有し、500から700mmの間の高さを有する。デバイスは、それぞれが側面の1つに配置構成された4つの入口21を有する。充填塔11の高さは約1mである。例えば充填塔は、液体入口の700m下に配置され、液滴分離器25は液体入口の300mm上方に位置決めされる。
【0065】
処理アセンブリ1は、好ましくは、雰囲気中の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品の濃度を測定するセンサ27、センサ27から情報を受信する制御器9を含む。
【0066】
制御器9は、注入デバイス12及び/又は循環部材24を駆動させるようにプログラムされる。
【0067】
例えば、制御器は、コンピュータ又はコンピュータの一部である。変形例として、電子制御デバイス29は、プログラマブルロジックコンポーネント(FPGA、フィールドプログラマブルゲートアレイ)の形をとり、又は専用集積回路(ASIC、特定用途向け集積回路)の形をとる。電子デバイス29は、処理戦略を実施するようにプログラムされる。
【0068】
製品が殺生物製品である場合、処理は、貯蔵空間を衛生化することが意図される。
【0069】
製品が、植物健康製品とも呼ばれる植物保護製品である場合、処理は、疾患及び/又は腐敗の発症を予防することによって、並びに昆虫、真菌、及び寄生虫を、特にマイコトキシンを引き起こす真菌を排除することによって、植物生産物を保護することが意図される。
【0070】
液体は、殺生物製品を含有するだけであり、又は植物保護製品を含有するだけであり、又は1種若しくは複数の植物保護製品と混合した1種若しくは複数の殺生物製品を含んでいてもよい。
【0071】
製品の少なくとも1種は、下記のリスト:精油;テルペン;飽和又は不飽和C6~C10アルコール、例えばオクタノール、2-エチルヘキサノール;合成揮発性製品、例えばヘキサナール、ジメチルナフタレン、及び3-デセン-2-オン;高沸点を有する液体有機酸、例えばペラルゴン酸及びパラベン酸;殺生物作用を有するエステル、例えばイソ吉草酸イソアミルから選択される。
【0072】
例えば、精油は、スペアミント油、チョウジ油、バラ油、タイム油、オレガノ油、ユーカリ油、パイン油、シナモン油により形成された群から選択される。変形例として、液体は、L-カルボン、オイゲノール、ゲラニオール、チモール、カルバクロール、オイカリプトール、ピネン、シンナムアルデヒドにより形成された群から選択されるこれらの油の構成成分の1種を含む。
【0073】
各殺生物及び/又は植物保護製品は、典型的には、0.01mmHgから3mmHgの間の蒸気圧、即ち1.3から400Paの間の蒸気圧を有する。
【0074】
典型的には、液体は、溶媒又は添加剤なしで1種又は複数の製品を含むだけである。変形例として、液体は、製品及び1種又は複数の添加剤が内部に溶解している水性又は有機溶媒を含有する。例えば、水性溶媒は水である。例えば有機溶媒は、FR 2 791 910に記載されているタイプの溶媒、又はグリコール、ジグリコール、及び関連するエステルの溶媒である。例えば添加剤は、活性物質を運ぶことができる又は希釈効果を発揮することが可能な物質である。
【0075】
いずれにせよ、接触工程での液体は、50℃よりも低い温度で、好ましくは20℃よりも低い、特に-2℃から+12℃の間で、より詳細には0から10℃の間の温度で気化する。例えば、液体は室温で蒸発する。
【0076】
制御器9は、施設2の内部雰囲気中の製品蒸気濃度が、12時間よりも長い飽和時間にわたって前記雰囲気中の前記製品の蒸気の飽和濃度の10%よりも高く保持されるように、構成される。
【0077】
好ましくは制御器9は、施設2の内部雰囲気中の製品蒸気濃度が、12時間よりも長い飽和時間にわたり、前記雰囲気中の前記製品の蒸気の飽和濃度の30%よりも高く保持されるように、好ましくは50%よりも高く保持されるように、又は更に好ましくは80%よりも高く、理想的には90%飽和よりも高く保持されるように、構成される。
【0078】
各製品の飽和濃度は、施設内の製品の及び温度の関数である。雰囲気中の製品蒸気の可能な最大濃度に該当し、飽和に達すると、一定温度で製品の追加の蒸発は可能ではない。
【0079】
飽和時間は、濃度が目標限界よりも高いままである、即ち飽和濃度の10%、又は30%又は50%又は80%又は90%のままである、全ての期間の合計に等しい。この持続時間は、連続的であり、又は製品蒸気濃度が目標限界よりも低い期間によって、いくつかの期間に分割される。
【0080】
好ましくは、飽和時間は1カ月当たり2日よりも長く、更に好ましくは1カ月当たり5日よりも長い。
【0081】
制御は、種々の手法で得ることができる。
【0082】
第1の変形例では、制御器9は、蒸発デバイス8を連続動作に設定する。施設内の殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品の混合物の蒸気濃度は、飽和に達するまで急速に増大する。次いで蒸発は自然に停止するが、蒸発デバイスは動作し続ける。ごく少量の製品が蒸発して、植物生産物による吸収及び施設外への漏洩を補償する。殺生物及び/又は植物保護製品或いは製品の混合物の蒸気濃度は、100%飽和近くに永続的に保持される。
【0083】
第2の変形例では、制御器9は、センサ27により測定される濃度の関数として液体の流量を調節するように、プログラムされる。好ましくは、同じ手法で循環部材24も駆動させる。したがって、所望の処理戦略に対応する事前にプログラムされた時間ダイアグラムに準拠して、センサ27により測定された製品蒸気の濃度を維持するために、蒸発した殺生物及び/又は植物保護製品の量を制御する。時間ダイアグラムは、時間の関数として製品蒸気の濃度の所望の変化を示す。
【0084】
第3の変形例では、制御器9は、所望の処理戦略に対応する事前にプログラムされた時間ダイアグラムの関数として、液体の流量を調節するようにプログラムされる。好ましくは、同じ手法で循環部材24も制御する。したがって制御器9は、事前にプログラムされた時間ダイアグラムにしたがって、蒸発した殺生物及び/又は植物保護製品の量を制御する。時間ダイアグラムは、時間の関数として蒸発する製品蒸気の量の所望の変化を示す。
【0085】
いくつかの適用形態が、上述のように考えられる。
【0086】
第1の適用形態によれば、制御器9は、製品又は各製品の単一蒸気注入段階を実施するように構成され、50から100%飽和濃度の間の濃度は、施設の内部雰囲気中に、12から240時間の間の期間にわたって連続して維持されて、植物生産物又は貯蔵空間の完全な滅菌を得る。期間は、好ましくは24時間から120時間の間であり、より好ましくは24時間から72時間の間である。目標濃度は、好ましくは70%よりも高く、更に好ましくは90%飽和よりも高い。
【0087】
この適用形態では、時間ダイアグラムは、持続が短い単一時間枠を含む。
【0088】
第2の適用形態によれば、制御器9は、単一連続注入段階を実施するように構成される。
【0089】
施設が、植物生産物、例えば貯蔵時間DSにわたって貯蔵されるジャガイモを含有する場合、連続注入段階は、典型的には貯蔵時間DS注入の50%よりも長い、好ましくは貯蔵時間DSの75%よりも長い、更に好ましくは貯蔵時間DSの90%よりも長い時間DIにわたって続く。
【0090】
典型的には、貯蔵時間は1カ月よりも長く、例えば1から9カ月の間である。
【0091】
この適用形態では、時間ダイアグラムは、持続時間が長い単一連続時間枠を含む。施設の内部雰囲気中の殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの蒸気濃度は、10から50%の飽和の間で、実質的に全注入時間の全体を通して保持される。
【0092】
第3の適用形態によれば、制御器9は、殺生物及び/又は植物保護製品が注入されない待機段階によって区切られた、いくつかの連続注入段階を実施するように構成される。
【0093】
各連続注入段階は、第1の適用形態に関して記述されるタイプのものである。12時間から240時間の間、好ましくは1日から5日の間の注入時間DIを有する。したがって、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの蒸気濃度は、施設の内部雰囲気中に、12時間よりも長い、好ましくは1日から5日の間の飽和時間にわたり各注入段階で50%から100%飽和の間で維持される。
【0094】
待機段階は、10日から2カ月の間の期間、例えば好ましくは20日から40日の間続き、典型的には、注入段階の持続時間よりも30日少ない長さを有する。
【0095】
注入段階は、典型的には全て、同じ持続時間を有する。同様に、待機段階は、典型的には全て、同じ持続時間を有する。
【0096】
変形例として、注入段階及び/又は待機段階は、異なる期間を有する。
【0097】
この戦略では、時間ダイアグラムはいくつかの連続時間枠を含む。
【0098】
各注入段階で蒸発した各殺生物及び/又は植物保護製品の量、及び各注入段階の持続時間は、目標蒸気限界濃度に急速に到達させるために選択され、したがってこの濃度は、所望の殺生物及び/又は植物保護効果を得るのに十分な時間にわたり維持される。
【0099】
各待機段階の持続時間は、後に続く注入段階の前に、疾患、腐敗、昆虫、真菌、又は寄生虫が著しく発生することができなくなるよう十分に短くなるように選択される。
【0100】
上述のように、新しい注入段階は、リスクの増大が視覚的に確認された場合に決定される。変形例として、注入及び待機段階は所定のプログラムに従い、例えば貯蔵月ごとに5日間の注入の後、注入なしの25日を経る。
【0101】
したがって本発明は、蒸気濃度の目標限界への急速な到達を得ることを目指す。それによって、施設及びその内容物の完全な処理を、雰囲気を非常に急速に飽和させることによって得ようとし、製品蒸気は、施設のあらゆる点で即時の及び最適な効果を発揮する。
【0102】
この効果は、充填塔の存在に起因して液体と雰囲気との間の接触表面が広範にわたるので、得ることができる。本発明の処理アセンブリは、例えば300m2まで増大させることができる気体と液体との間の接触表面を提供する。
【0103】
これは非常に速い空気流及び液体流量の使用を可能にする。
【0104】
施設2が実質的に気密である場合、充填塔11内の空気流の循環は、1時間当たり及び施設の内部容積1m3当たり、1から10m3の間の流量を有し、好ましくは1時間当たり及び施設の内部容積1m3当たり、5から10m3の間の流量を有する。
【0105】
充填塔11内の液体の流量は、典型的には1から30m3/時である。
【0106】
したがって、大量の製品、例えば1日当たり製品20リットルを蒸発させ、雰囲気中の製品の飽和濃度に迅速に到達することが可能である。
【0107】
変形例として、充填蒸発器を、FR1255999号の下で提出された特許出願の対象である、商標名XEDAVAPで販売されている機械に置き換える。前記機械では、蒸発させる液体をキャンバス上に注入し、そこに空気流を通す。キャンバスは、1m2から4m2の間の展開した表面積を有する。空気流量は1000から3000m3/時の間である。前記機械により、1日当たり0.1から10リットルの間の液体を、例えば1.2リットル/日のスペアミント油を蒸発させることが可能である。前記機械は、充填蒸発器よりも狭い貯蔵空間に関して設計される。
【0108】
充填蒸発器を持つ処理アセンブリの動作は、下記の通りである。
【0109】
蒸発させる液体をリザーバ7内に入れる。移送部材19が液体を1つ又は複数のランプ17に導き、これらのランプが液体を充填塔11に向けて噴霧する。雰囲気循環部材24は、上向きに移動する気体流を創出する。雰囲気は、入口21を介して処理デバイス8に進入し、充填塔11を経て上向きに循環する。液体は充填塔11を経て下向きに循環し、液体の一部は気体流と接触して蒸発し、蒸気の形で雰囲気と一緒に取り込まれる。蒸発していない液体のその部分は、元のリザーバ7に落下する。その部分はリサイクルされる。蒸発した液体が投入された雰囲気は、液滴分離器25を通過し、循環部材24によって出口23に向かって誘導される。
【0110】
処理アセンブリ8は、この蒸気が投入された雰囲気を、出口23を介して貯蔵部に放出する。
【0111】
例えば、液体流量は3m3/時であり、空気流量は約2000m3/時である。
【0112】
本発明は、150から280℃の間の沸点を有する、少なくとも1種の中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品による処理方法にも関する。
【0113】
方法は、殺生物及び/又は植物保護製品、又は製品の混合物を含有する液体を蒸発させ、施設2の内部雰囲気に注入する処理工程であって、液体が50℃よりも低い温度で蒸発する処理工程を含む。
【0114】
施設2の内部雰囲気中の製品蒸気の濃度は、12時間又はそれよりも長い飽和時間にわたり、前記雰囲気中の製品の蒸気飽和濃度の10%よりも高く保持される。
【0115】
1種又は複数の製品は、処理アセンブリに関連して上記にて述べたタイプのものである。
【0116】
施設は典型的には、1カ月よりも長い貯蔵時間DSにわたり貯蔵される植物生産物、例えば穀物、又は温室の植物を含む。
【0117】
第1の適用形態によれば、処理工程は、製品又は製品の混合物の蒸気の単一注入を含み、施設の内部雰囲気中の製品又はそのそれぞれの濃度は、50から100%飽和濃度の間で、12から240時間の間の期間にわたって維持され、その結果、植物生産物の全体的な滅菌効果が得られる。
【0118】
第2の適用形態によれば、処理工程は単一注入を含み、10から50%飽和濃度の間の製品又は製品の混合物のより低い蒸気濃度が、ほとんどの及び更に実質的に全体の貯蔵期間にわたり、施設の内部雰囲気中で維持される。
【0119】
第3の適用形態によれば、処理工程は、リスクの増大が視覚的に確認された場合又は所定のプログラムにしたがって周期的に、例えば貯蔵月ごとに5日間の注入が行われる、第1の適用形態と同じタイプのいくつかの注入を含む。
【0120】
これらの処理形態は、処理アセンブリに関して上記にて述べた通りである。
【0121】
施設は、200m3よりも大きい内部容積を有する。それは処理アセンブリに関連して上記にて述べたタイプのものである。
【0122】
有利には、液体は、充填塔11内の空気の流れと接触させることによって蒸発し、製品蒸気を含有する空気流が施設2内に注入される。
【0123】
液体は、好ましくは、処理アセンブリに関して上記にて述べたタイプの蒸発デバイス内で蒸発させる。
【0124】
第1の実施形態では、施設2は実質的に気密であり、充填塔を循環する空気の流れは、1時間当たり及び施設の内部容積1m3当たり、1から10m3の間の流量を有する。
【0125】
第1の変形例によれば、液体を蒸発させるのに使用されるデバイスは、連続的に動作する。施設内の殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの蒸気濃度は、飽和に達するまで増加する。次いで蒸発は自然に停止するが、蒸発デバイスは動作し続ける。殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの蒸気濃度は、100%飽和近くに永続的に保持される。
【0126】
第2の変形例によれば、蒸発した殺生物及び/又は植物保護製品の量は、所望の処理戦略に対応する事前にプログラムされた時間ダイアグラムに従う。このことは、製品蒸気の量を時間の関数として蒸発させる所望のスケジュールを示す。
【0127】
第3の変形例によれば、施設の雰囲気中の製品又は各製品の蒸気濃度は、永続的に測定される。蒸発した殺生物及び/又は植物保護製品の量は、センサ27により測定された製品蒸気濃度を、所望の処理戦略に対応する事前にプログラムされた時間ダイアグラムに準拠して維持するように選択される。時間ダイアグラムは、時間の関数として、製品蒸気濃度に関する所望のスケジュールを示す。
【0128】
方法は、上述の処理アセンブリ8によって実現するように設計される。逆に、上述の処理アセンブリ8は、方法の実施のために特に適合される。
【0129】
次に本発明の貯蔵アセンブリの第2の実施形態について、
図2を参照しながら記述する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点のみ、以下に詳述する。同じである又は同じ機能であることが確実な要素は、両方の実施形態において同じ参照符号で指示される。
【0130】
第2の実施形態では、施設2は、外側に連通する空気入口41及び外側に連通する空気出口43を有する穀粒サイロである。
【0131】
サイロは、空気入口41から穀粒47を経て空気出口43に至る空気の循環を確実にするのに提供される強制換気装置45を含む。
【0132】
強制換気装置45は、穀粒47の乾燥及び/又は冷却を確実にするのに提供される。
【0133】
空気分布収集器49は、サイロ2内で穀粒の下に配置構成される。強制換気装置45は、空気入口41に接続された吸入口及び収集器49に接続された放出口を備えたファン等の空気循環部材53を含む。
【0134】
空気出口43は、サイロの上方部に典型的には位置決めされる。
【0135】
通常動作の下、循環部材51は外部空気を引き込み、この空気を収集器49内に放出し、その空気を、収集器49から47を通して空気出口43にまで循環させる。
【0136】
強制換気装置45は、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの注入中にスイッチオフすることができる。
【0137】
蒸発デバイス8は、サイロ2の外側に位置決めされる。このデバイスは、外部空気を引き込み、製品蒸気が投入された空気を、空気入口41に近い領域から空気出口43に向けて誘導するように配置構成される。
【0138】
例えば注入は、穀粒47を保持するチャンバの下方部で、収集器49内で行われる。
【0139】
注入は、低い空気流量で実施される。
【0140】
例えば、充填塔11内の空気流循環は、1時間当たり及び施設の内部容積100m3当たり、1から6m3の間の流量を有し、好ましくは、1時間当たり及び施設の内部容積100m3当たり、2から4m3の流量を有する。
【0141】
充填塔11内の液体の流量は、典型的には10から20ml/m3空気の間である。
【0142】
注入される空気は、空気中の前記製品の蒸気の50%飽和濃度よりも高い、好ましくは80%飽和よりも高い、更に好ましくは90%飽和よりも高い、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの蒸気濃度を有する。
【0143】
製品又は各製品の蒸気は、空気よりも重く、サイロの底部に蓄積される傾向がある。
【0144】
蒸気は、蒸発デバイス8から連続的に到達する空気流により、空気出口43に向かって推進される。製品又は各製品の蒸気によるサイロ充填の期間後、蒸気濃度は、所望限界よりも高くサイロ内で維持され、蒸気と穀粒との間の連続接触が可能になる。この拡張された接触は、所望の殺生物及び/又は植物保護効果をもたらす。
【0145】
好ましくは、ネット51がサイロの各空気出口に位置決めされ、その結果、穀粒の処理後に、存在する昆虫は逃げることができなくなり且つ設備の他の部分を汚染することができなくなる。このネットは、空気を通すが昆虫を遮断するように選択される。
【0146】
次に貯蔵アセンブリの第2の実施形態に該当する処理方法について記述する。方法が、貯蔵アセンブリの第1の実施形態におけるものと異なるような点のみについて、以下に詳述する。同じ要素又は同じ機能を確実にする要素は、同じ参照符号で指示する。
【0147】
この方法において、サイロの強制換気装置45は、殺生物及び/又は植物保護製品又はそのそれぞれの注入中にスイッチオフされる。
【0148】
注入デバイス8の充填塔11内の空気流循環は、1時間当たり及び施設の内部容積100m3当たり、1から6m3の間の流量を有する。
【0149】
処理戦略は、処理工程が単一連続注入段階を含み、或いは殺生物及び/又は植物保護製品の注入がない待機段階によって区切られたいくつかの連続注入段階を含む、いずれかのタイプのものである。どちらの場合も、各連続注入段階は、12時間よりも長い注入時間DIを有する。
【0150】
典型的には、各注入段階は、1から15日の間、好ましくは2から5日の間続く。
【0151】
全ての実施形態に適用可能な一変形例では、液体は、室温で互いに異なるそれぞれの蒸気圧を有する、いくつかの中揮発性殺生物及び/又は植物保護製品を含む。
【0152】
有利には、室温での揮発性殺生物及び/又は植物保護製品のそれぞれの蒸気圧は、1.3×10-5bar及び4.10-3barの圧力範囲に及ぶ。
【0153】
本出願人は、最大限の所望の殺生物及び/又は植物保護作用を得るのに、蒸気圧の最適な範囲が存在することを観察したので、理想液体の蒸気圧は周囲圧力で0.01から3mmHg(1.3×10-5barから4.10-3bar)の間の範囲内になければならないと考えられる。蒸気圧が低過ぎる場合、製品はゆっくり蒸発し、施設の内部雰囲気中の蒸気濃度は、所望の効果を得るのに十分な値に到達することができない。蒸気圧が高過ぎる場合、施設外への多量な損失が生じる可能性がある。
【0154】
段階的な蒸気圧を有するいくつかの製品を使用することにより、室温を廻る広範な温度区間にわたって所望の蒸気圧範囲内のままにあることが可能であり、各製品単独で得られる活性に比べてより広い範囲の活性を得ることが可能である。
【0155】
全ての実施形態に適用可能な一変形例では、処理アセンブリ8は、施設2の内部雰囲気を加熱する加熱器51を含む。この加熱器は、製品蒸気の注入中に前記内部雰囲気を、施設2の標準温度からこの標準温度に5℃をプラスした値の間の温度に加熱するよう構成される。
【0156】
標準温度は、処理がない施設2の温度である。
【0157】
温度は、製品又は各製品の蒸気の飽和濃度が増大するように、注入段階中に上昇させる。したがって、製品又は各製品の蒸気濃度を増大させることが可能であり、処理のより大きな効力がもたらされる。標準温度の値は、待機段階中に蒸気注入をせずに加熱器をスイッチオフすることによって回復される。
【符号の説明】
【0158】
2 施設
3 処理アセンブリ
5 植物生産物
7 リザーバ
8 蒸発デバイス
9 制御器
10 蒸発器
11 充填塔
12 注入デバイス
13 循環部材
17 ランプ
19 移送部材
21 入口
23 出口
24 循環部材
25 液滴分離器
27 センサ
29 電子制御デバイス
41 空気入口
43 空気出口
45 強制換気装置
47 穀粒
49 空気分布収集器
51 循環部材