(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】真空可変キャパシタおよび冷却方法
(51)【国際特許分類】
H01G 5/01 20060101AFI20220921BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220921BHJP
H01G 5/013 20060101ALI20220921BHJP
H01G 5/14 20060101ALI20220921BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01G5/01 Z
H05H1/46 R
H01G5/013 100
H01G5/14
H01G2/08 A
(21)【出願番号】P 2019556178
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2018059608
(87)【国際公開番号】W WO2018189402
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-09
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509337160
【氏名又は名称】コメット アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アルテンホーフェン,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ビグラー,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,ティモシー,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミルトナー,マルク
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02740920(US,A)
【文献】米国特許第03270259(US,A)
【文献】特開2007-232225(JP,A)
【文献】特表2009-523992(JP,A)
【文献】特表2010-539677(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103578745(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 5/01
H05H 1/46
H01G 5/013
H01G 5/14
H01G 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空可変キャパシタであって、
電流を前記真空可変キャパシタの可動電極に供給するベローズであって、前記ベローズによって囲まれた空間が伝熱流体によって満たされた前記ベローズと、
前記伝熱流体を冷却するように冷却剤が流れる熱交換導管を備える熱交換器と、
前記伝熱流体を、前記ベローズを通して推進させるように構成されているポンプと、
前記ポンプを駆動するためのポンプ駆動手段と、を備える、前記真空可変キャパシタであり、
前記ポンプが、前記伝熱流体を前記ベローズと前記熱交換器との間に推進させるように構成されて
おり、
前記ポンプ駆動手段は、前記熱交換器へのまたは前記熱交換器からの前記冷却剤の流れを用いて動力とするように構成されていることを特徴とする、真空可変キャパシタ。
【請求項2】
前記伝熱流体を前記ベローズおよび前記熱交換器を通って循環させる回路を備える、請求項1に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項3】
前記ベローズを延長または後退させるための第1軸を備え、前記第1軸は、前記空間を通って延在し、前記第1軸は、前記回路の一部を形成する内部導管を備え、前記内部導管は、前記空間の近位領域と前記空間の遠位領域との間に第1の方向において前記伝熱流体の第1の流体連絡路を提供する、請求項2に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項4】
前記第1軸の外面と前記ベローズの内面との間の前記空間によって、前記空間の近位領域と遠位領域との間に、前記第1の方向と対向する第2の方向において前記伝熱流体の第2の流体連絡路を形成する、請求項3に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項5】
前記第1軸は、前記内部導管と前記第2の流体連絡路との間の流体連絡用に、前記第1軸の近位および/または遠位領域に開口が設けられている、請求項4に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項6】
前記ポンプおよび前記ポンプ駆動手段は、第2軸が前記ポンプおよび前記ポンプ駆動手段を通って延在するように、前記第1軸と同軸上に配置されている、請求項
3乃至5のいずれか一項に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項7】
前記ポンプ駆動手段および/または前記ポンプがジェロータを備える、請求項
6に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項8】
前記ポンプ駆動手段および前記ポンプが各々ジェロータを備え、前記ポンプ駆動手段のロータは、磁気結合手段によって前記ポンプのロータに回転結合されている、請求項
7に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項9】
前記回路が、ゴムベローズによって囲まれた補償容積への接続部を備える、請求項2乃至
8のいずれか一項に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項10】
前記熱交換器が、前記伝熱流体用の1つ以上の第1のチャネルおよび前記冷却剤用の1つ以上の第2のチャネルを備える伝熱本体を備える、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項11】
前記伝熱本体が、前記真空可変キャパシタの真空室の外面の周りに形成されている、請求項
10に記載の真空可変キャパシタ。
【請求項12】
真空可変キャパシタのベローズを冷却する方法であって、
伝熱流体を前記ベローズを通してポンピングすることと、
前記伝熱流体を前記ベローズと熱交換器との間にポンピングすることと、
冷却剤を前記熱交換器を通して通過させることと、を備え、
前記ポンピングすることは、前記熱交換器へのまたは前記熱交換器からの前記冷却剤の流れを用いてポンプを駆動することを備えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、例えばプラズマ発生器に供給されるRF電力の動的インピーダンス整合といった無線周波数(RF)電力用途に用いるのに適した真空可変キャパシタの分野に関する。発明は、詳細には、そうしたキャパシタを冷却するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
真空可変キャパシタは、通常互いに対して機械的に移動させることによって大なり小なり重なるようになされた平行電極のセットを一般に備える。一般的な構成では、電極の一方は固定され、他方は、軸方向に内外に移動される。金属ベローズは、通常、可動電極が所望の変位範囲を移動するのを可能にしつつ可動電極に電流路を提供するのに用いられる。この種の真空可変キャパシタは、例えば半導体製造工程における材料の表面処理またはプラズマエッチングなどの産業プロセスに用いられるもののようなプラズマ室を駆動させるための回路に用いられ得る。処理またはエッチングされる面積が大きい程、より大きな電力が必要とされる。有意により高い電力で、かつ/または、現在利用可能なものよりも有意に長い動作寿命で動作し得る真空可変キャパシタが必要とされる。
【0003】
高電力に対応可能かつ何万または何十万のデューティサイクルにわたって確実に動作可能である真空可変キャパシタが開発されている。ここで、1デューティサイクルは、可動電極の任意の1つの位置から任意の他の位置までおよび戻りの移動として規定される。高電力真空可変キャパシタの例を
図1に示す。これは、PCT出願WO2009033501A1に記載された可変キャパシタと同様のものである。
図1のキャパシタは、真空室4に配置された重なり合う電極2、3の2セットを有する。真空室は、デバイスの外壁によってかつベローズ21によって形成される。電極が重なり合う面積は、この例では、駆動軸の、軸方向に可動だが回転方向に固定された部分14と螺合する、駆動軸の軸方向固定部12、13を回転させることによって変えられる。軸は、通常、電気モータ(例えばステッピングモータ)および機械駆動機構によって回転される。ベローズ21は、複数の機能を果たす。すなわち、電流を可動電極2に搬送し;不透過性バリアを提供して真空室の真空を維持し;軸14が延長されたとき電極2の下方移動を可能にし;軸14が後退されたとき電極2を上方移動するように付勢するスプリング力を提供する。ベローズ内部は、油などの伝熱液体で満たされる。可動電極2が上下に移動されるにしたがってベローズの内部容積は変化するので、軸14が後退されたとき余剰の油を収容し得る補償容積10が設けられる。この油は、軸14が再度延長されたとき主ベローズ21に戻る。補償容積10は、内部外部ともに実質的に大気圧にあり、したがって単純なゴムベローズ11として構成され得る。補償容積10の基部近傍にパイプ6を通して水を通過させることによって水冷却が提供され、主ベローズ21の油から水の回路6の近傍に熱を伝達する熱パイプ5を用いてベローズ21から熱が奪われる。ベローズ21内の油を冷却することによって、デバイスの動作電力を拡大することができる。しかしながら、近年のプラズマ加工の需要は著しく増大しており、長寿を犠牲にすることなく、はるかにより大きな電力で動作することができる真空可変キャパシタが必要とされる。WO2009033501A1のキャパシタは450AのRF電流で動作し得るが、例えば、デバイス寿命の短縮というペナルティを被ることなく有意により高い電流または電力(例えば650AのRF電流)で動作し得るキャパシタが必要である。
【0004】
冷却剤をキャパシタの冷却回路を通して循環させるのにポンプを用いることが中国の実用新案CN205230821Uにおいて既知である。しかしながら、この文書に記載された冷却回路は、真空キャパシタに用いるのには適さない。真空キャパシタは、高真空(例えば10-7トールまたはそれ以上)で動作し、CN205230821Uには、どのようにその冷却回路をそうした環境で用いるのに適合させ得るかの示唆がない。さらに、CN205230821Uは、固定キャパシタ用の冷却回路を記載しており、冷却回路を真空可変キャパシタの可動ベローズを冷却するのに適合させる示唆がない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術の真空可変キャパシタの上記欠点の少なくとも一部を克服することを目的とする。このため、本発明による真空可変キャパシタを添付の請求項1に記載し、本発明による方法を請求項13に記載する。発明のさらなる変形を従属請求項に記載する。
【0006】
伝熱液体(例えば油)を、ベローズを通して熱交換器までポンピングすることによって、キャパシタは、ベローズをはるかにより低い温度でかつ/またははるかにより大きな電流を搬送する状態で動作することができ、それによって、デバイスの最大電力および/またはデバイスの寿命が著しく延長される。ベローズを通しての油のポンピングによる冷却のさらなる利点は、ベローズのポンプによる冷却が、従来技術のキャパシタで可能であった温度範囲よりも広い温度範囲にわたって作用することである。従来技術のキャパシタでは、熱パイプを用いる伝熱は、熱パイプの設計によって規定される、より狭い温度範囲にわたって有効であった。発明のアクティブな(ポンプによる)冷却はまた、例えば動作中に大きく変化し得るベローズの温度またはベローズの電流次第で、冷却率を変えることを可能とする(例えば、伝熱流体の流速を変えることによって)。従来技術のキャパシタの冷却構成は、このようには制御可能ではなかった。
【0007】
本発明は、添付図面を参照して詳細に記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】上述のような従来技術の真空可変キャパシタの概略図である。
【
図2】発明の第1の実施形態による真空可変キャパシタの例の概略図である。
【
図3】発明の第2の実施形態による真空可変キャパシタの例の概略図である。
【
図4】発明の第3の実施形態による真空可変キャパシタの例の概略図である。
【
図5】発明の第3の実施形態を実装するのに用いられ得る例示的な駆動部-ポンプ構成の概略断面図である。
図5は、
図6の軸B-Bの概略平面断面図である。
【
図6】発明の第3の実施形態を実装するのに用いられ得る例示的な駆動部-ポンプ構成の概略断面図である。
図6は、
図5の軸A-Aの鉛直断面図である。
【0009】
図は単に、本発明の基礎となる原則を理解する助けとして提供されるものであり、対象としている保護の範囲を限定するとして把握されるべきではないことに留意すべきである。同一の参照番号が異なる図で用いられる場合、これらは、同様のまたは同等の特徴を示すことが意図される。しかしながら、異なる参照番号の使用が、参照する特徴の間の特定の差異を示すことを意図すると推測されるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、発明の第1の実施形態による真空可変キャパシタの非常に単純化された概略断面図を示す。油などの伝熱流体が、
図1に示す従来技術のキャパシタのように、主ベローズ21および拡張ベローズ11を満たす。水などの冷却剤が、冷却剤入口7から1つ以上の冷却剤熱交換チャネル6を通って冷却剤出口7’まで冷却剤回路を通過する。熱が油から水に伝達されるように、伝熱流体(例えば油)を熱交換器の熱交換チャネル8を通して循環させる伝熱流体回路が設けられる。
【0011】
油は、ポンプ15または同様の流体推進手段により、伝熱流体回路を通して循環される。ポンプ15から、油は、供給導管17を通って循環し、キャパシタ駆動軸13、14の近位領域における―好ましくは、軸方向可動部14と係合する、軸の軸方向静止部13における1つ以上の開口を通過する。軸は、軸の近位領域から遠位領域まで延在する長手方向流体導管16を備え、そこでは、油は、導管からベローズ21の内部容積内へと1つ以上の遠位開口を通って出ていく。軸の外面とベローズ21の内面との間の空間20は、油がベローズ21の内面に沿って、ポンピングされる推進力の下で循環するように、油を軸の遠位端からベローズ21の上部まで運搬するもう1つの導管として機能する。伝熱流体がベローズ21の内部容積20から熱交換器の熱交換チャネル8内へ通過することを可能にする1つ以上の流体路が、ベローズ21の上部に設けられる。熱交換器から、油は、戻し導管18を通って流れ、ポンプ15の入口に戻る。
【0012】
例示するように、伝熱流体は、冷却剤チャネルと伝熱流体チャネル8の温度差が最大化されるように、ベローズ21から熱交換器に直接流れることが好ましい。しかしながら、ポンピングされる冷却構成は、流れ方向が反転されたとしてもなお有効であり得、かつ利点を有しさえし得る(以下の圧力降下の論述を参照)。
【0013】
図3は、ベローズを通って循環されながら加熱される伝熱流体が、より広範囲の熱交換マトリクスを通ってポンピングされる、発明の第2の実施形態を示す。マトリクスの冷却剤(例えば水)チャネルは、正方形セクションチャネル6として例示され、伝熱流体チャネルは、円形セクションチャネル8として例示される。これらの形状は、2つの別々の熱交換回路の区別を助けるために単なる例示的な目的で選択されたものであり、すなわち、そうした差異は、通常、実際の実装に存在しない。
図3に例示された広範囲の熱交換マトリクスは、
図2に例示された単純な熱交換器構成よりも巨大であり、示すように、キャパシタの真空室の外面周りにジャケットとして有利に形成され得る。このことは、キャパシタの物理的な専有面積を増大させずに、はるかにより優れた冷却能力、したがってキャパシタのはるかにより高い動作電力を可能にする。このことは、隣接する回路要素の再構成を必要とせずに、既存のキャパシタの、本発明のキャパシタによる置換を可能とする。真空キャパシタは、通常、非常に高い電圧で用いられ、構成要素間の距離は重大なので、構成要素の再構成は重要なタスクである。
【0014】
熱交換器は、チャネル8が形成される本体と接触する油の表面積を最大化し、一方で熱交換チャネル8の流れ抵抗による圧力降下を最小化するように構成される。大きな圧力降下は、ベローズの油の圧力を大気圧より高く上昇させ得、それによって、ベローズの材料(例えばステンレス鋼、青銅)の圧力差を1バールより大きく上昇させ得る。ベローズの動作寿命は、動作における圧力差に強く影響される。圧力差ゼロにおける100万回の移動のデューティサイクルを有するベローズは、例えば3バールの圧力差における約20,000のデューティサイクルを有し得る。圧力差を少し低減させることにより、ベローズの動作寿命は大きく延長され得る。
【0015】
熱交換器の抵抗による圧力降下は、好ましくは0.5バール未満であり、より好ましくは0.3バール未満であり、さらにより好ましくは、0.15バール未満である。熱交換チャネル8の表面積は、好ましくは少なくとも100cm2であり、より好ましくは少なくとも500cm2であり、さらにより好ましくは少なくとも1000cm2である。
【0016】
ベローズ21で加熱された油がまずポンプ15にそしてそこから熱交換器に通過した結果、ベローズにおける流体が熱交換器に比べて低い圧力側となるように、油の流れの方向を反転することによって、圧力降下の影響は有利に低減され得る。
【0017】
図4は、
図3のポンプまたは推進手段15が電気インペラーポンプといった一般的な流体推進デバイスであり得るのに対して
図4のポンプは冷却剤の流れを動力とする点以外は、第2の実施形態と同様である、発明の第3の実施形態を示す。液体駆動ポンプ構成をより全般的に検討すると、第1の流体/液体(例えば、例示的な真空キャパシタの場合は水)の流れによるエネルギーを用いて、第2の流体/液体(例示的な真空キャパシタの場合は伝熱油)をポンピングする。第1の液体の流れを第2の液体をポンピングするのに用いるそうした2液駆動部/ポンプ構成はまた、真空キャパシタの冷却以外の分野にも用途を有する。
【0018】
駆動ユニット9は、7において冷却剤入口ラインで接続され(または7’において出口ラインで接続され得)、駆動部結合手段22を介して機械式ポンプ15を駆動する。この構成は、冷却剤ライン以外に冷却に他の供給接続部を必要としないという利点を有し、キャパシタ冷却の確実なかつあまり手のかからない動作を可能とする。非常に高い電圧が存在する回路環境において、油ポンプへの電力供給部といった、キャパシタへのさらなる電気接続を回避することは、一般に有利である。水を動力とする動作は、駆動部9を通る水の流れが駆動部に対して、そして間接的にポンプ15に対して冷却を提供するというさらなる利点を有する。
【0019】
図4に示すように、ポンプ駆動手段9、駆動部結合手段22、および/またはポンプ15は、キャパシタの駆動軸と同軸上に配置され得る。駆動軸12とポンプ/駆動部構成要素9、22、15の間に機能的な相互作用はないが、この配置は、後者が、キャパシタの全体的なサイズおよび形状を整わせかつコンパクトにするように位置決めされることを可能にする。
【0020】
ポンプ15は、ジェロータなどの容積式ポンプとして有利に実装され得る。ジェロータは、従来技術において既知であり、例えば、車両エンジンの油ポンプに用いられる。真空可変キャパシタの冷却への適用において、ジェロータは、ベローズ21に圧力を加えそれによってキャパシタの動作寿命を短縮し得る著しい圧力変動または衝撃なしに、均一な油の循環を可能にする。中央空孔を有するジェロータはまた、
図4に示すようにキャパシタの駆動軸周りで同軸上に取り付けるのに便利な形状である。
【0021】
同様に、ポンプ駆動手段9は、ポンプに対して上述されたものと同様の利点を有するジェロータ油圧モータとして実装され得る。ジェロータ駆動部9は、動作において簡潔かつ確実なので、ポンプ15に動力を供給するために、水の貫流を回転エネルギーに変換し得る。
【0022】
ジェロータ駆動部9は、従来の機械式駆動部結合部であり得るまたは磁気回転結合部を有利に備え得る結合部22によって、ジェロータポンプ15に回転接続される。そうした結合部では、第1のリングベアリング磁石が、ジェロータ駆動部9によって回転され、それによって、第2のリングベアリング磁石を付勢して回転させ、ポンプジェロータのロータを回転させる。磁気結合部により、ポンプおよび駆動部の動作寿命の制限因子となり得る回転シールの使用が低減または排除される。
【0023】
駆動部9およびポンプ15の両方がジェロータとして実装されている駆動部-ポンプアセンブリの例が
図5および6に例示される。
図6は、
図5の軸A-Aの鉛直断面図を示す。
図5は、
図6の軸B-Bの概略的な平面断面図を示す。駆動部9は、ハウジング30に配置された外部回転リング31および内部回転リング32を備える第1のジェロータとして実装される。ポンプ15は、やはりハウジング30に配置された外部回転リング31’および内部回転リング32’を備える第2のジェロータとして実装される。結合部22は、協働する磁石リング33および33’として実装される。駆動部回転室は、駆動部回転室からの流体がポンプ回転室に入り込むことおよびその逆を防ぐように構成されている密封壁部36によって、ポンプ回転室から分離される。真空可変キャパシタの駆動軸12は、ハウジング30の内部空孔を通って延在する。磁石リング33、33’は、密封壁部36の対向側部に配置されかつ磁石リングの一方を回転させると他方が回転するように磁気的に結合された相互に引き合う磁石34、34’を備える。例示された例では、磁石リングは、それぞれ、ピン35、35’で示されるように、内部ロータ32および32’に回転固定される。代替として、磁石リング33、33’は、外部ジェロータリング31、31’に回転固定され得る。
【0024】
冷却剤は、入口7を介してジェロータ9内に導入され、出口7’を介して出ていく。ジェロータのサイドシールは、回転リング31、32の上面と係合する上部ハウジング壁部30の内面によってかつ磁石―リング33の上面と係合する回転リング31、32の下面の間に設けられる。代替としてまたは追加して、別々の密封要素をこれらの接触面に用いることができる。
【0025】
真空キャパシタを通して伝熱流体をポンピングするための、ここで記載されている流体駆動ポンプ技術は、第1の流体または液体の流れが第2の流体または液体をポンピングするためのエネルギーを提供するのに利用可能である任意の用途で用いられ得る。駆動流体および被駆動流体は、同一または異なるものであり得る。例えば、排水流または塩水流が、異なる流体(例えば清浄水)をポンピングするのに用いられ得、または、車両の様々なポンプ(例えば、エンジン冷却剤、油圧、ステアリングなど)が、例えば油ポンプからの油の流れによって駆動される液体動作ポンプによって駆動され得る。単一の駆動部9が、例えば異なる流速および圧力でポンピングを行う異なるジェロータ形状を有する、複数の流体をポンピングするように構成され得る複数のポンプ15を駆動するのに用いられ得る。ポンプは、駆動流体および被駆動流体が分離されたままで互いと接触しないように、
図4~6の例のように有利に構成され得る。2つは、異なる圧力、温度であり得、または、異なる化学組成、濃度、流速もしくは粘度を有し得る。
【0026】
上述の冷却構成は、例えばセンサ手段の出力次第で、伝熱流体の流速を変える制御手段を備え得る。センサは、例えば温度センサまたは電流センサであり得る。真空可変キャパシタにおいて、ベローズの冷却速度は、ベローズを流れる流れ、またはベローズの油の温度、または何らかの他のパラメータにしたがって変わり得る。被駆動液体の流速は、駆動液体の流速を変えることによって、または、ジェロータ9、15のうちの1つの形状を変えることによって、または歯車付きもしくはその他の可変結合部22を用いることによって変えられ得る。