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特許7144446エネルギ節約評価システムを備えたダイカストマシン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】エネルギ節約評価システムを備えたダイカストマシン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20220921BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B22D17/32 J
B22D17/22 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019561726
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2018054461
(87)【国際公開番号】W WO2018234968
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】102017000067908
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519258770
【氏名又は名称】イタルプレッセガウス・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ITALPRESSEGAUSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ペッツォーリ
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-280257(JP,A)
【文献】国際公開第2005/002035(WO,A1)
【文献】特開2000-052392(JP,A)
【文献】特開平07-167106(JP,A)
【文献】特開2001-004677(JP,A)
【文献】特開2016-087638(JP,A)
【文献】特開平02-211967(JP,A)
【文献】特開2005-297481(JP,A)
【文献】特開2009-226449(JP,A)
【文献】特開2013-006193(JP,A)
【文献】特開2015-077725(JP,A)
【文献】特開2015-112864(JP,A)
【文献】特開平07-096541(JP,A)
【文献】米国特許第04904913(US,A)
【文献】中国実用新案第204488001(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータを備えたダイカストマシンであって、
ダイに注入された鋳造金属を加圧するための射出ピストンを備える射出アセンブリと
射出ピストンを作動させるために射出ピストトンに作動可能に接続された油圧回路
供給ラインを通して油圧回路に供給するために油圧回路に作動可能に接続された油圧ポンプと、
油圧ポンプを作動させるために油圧ポンプに作動可能に接続された電動機と、
電動機を作動させるために電動機に作動可能に接続されたインバータと、
特定の処理動作を実行するときに、インバータを備えていない電動機を有する選択されたダイカストマシンモデルと比較して、インバータを備えたダイカストマシンのエネルギ節約を評価するための評価システムと、を備え、
前記評価システム(400)は、
a)時間間隔に亘ってポンプ送出圧力を検出するための送出圧力センサと、
b)インバータに作動可能に接続された電動機のエネルギ消費を時間間隔で検出するためのマルチメータを備える消費検出装置であって、前記消費検出装置は、インバータの上流に結合され、前記消費検出装置は、インバータの上流に結合されている送電網に結合されている、消費検出装置と、
c)メモリを備える記憶装置であって、送出圧力に対するインバータを備えていない電動機を有する選択されたダイカストマシンモデルによって吸収された電力に関するデータが記憶される、記憶装置と、
d)送出圧力センサに作動可能に接続され、送出圧力センサから送出圧力を取得し、処理装置に作動可能に接続された記憶装置から所定の送出圧力に対する選択されたダイカストマシンモデルに対応するインバータを備えていない所定の電動機の吸収電力を取得して時間間隔に亘る推定エネルギ消費を計算する処理装置と、
e)処理装置によって取得されたデータの表示のための処理装置に作動可能に接続されたディスプレイを備える表示装置と、を備える、ダイカストマシン。
【請求項2】
前記処理装置は、処理サイクル全体および/または前記サイクルの少なくとも1つのステップおよび/または前記少なくとも1つのステップの少なくとも1つのサブステップについて、インバータを備えているマシンの実際のエネルギ消費と、インバータを備えていないマシンの推定電力消費とを計算する、請求項1に記載のダイカストマシン。
【請求項3】
前記ダイカストマシンは、ダイを形成するダイハーフを開閉するための閉鎖アセンブリを備え、前記閉鎖アセンブリは、前記ポンプによって油圧で作動される、請求項に記載のダイカストマシン。
【請求項4】
前記ダイカストマシンは、ダイを形成するダイハーフを開閉するための閉鎖アセンブリを備え、前記電動機によって作動される追加の油圧ポンプによって油圧で作動される、請求項に記載のダイカストマシン。
【請求項5】
前記ダイカストマシンは、
ダイを構成するダイハーフを開閉するための閉鎖アセンブリであって、追加のインバータによって作動される追加の電動機によって作動される追加の油圧ポンプによって油圧で作動される、閉鎖アセンブリを備え、
追加の送出圧力センサは、追加のポンプの送出時の圧力を検出し、
追加の消費検出装置は、追加のインバータの実際のエネルギ消費を検出し、
前記処理装置は、追加の送出圧力センサから送出圧力と、記憶装置から所定の送出圧力に対するインバータを備えていない所定の追加の電動機の吸収電力とを取得し、時間間隔に亘って追加の推定エネルギ消費を計算する、請求項に記載のダイカストマシン。
【請求項6】
前記インバータは、送電網に接続するメインスイッチの下流に結合されている、請求項1に記載のダイカストマシン
【請求項7】
前記ダイカストマシンは、
供給ラインを通して油圧回路に供給するために油圧回路に作動可能に接続された第2の油圧ポンプと、
油圧ポンプを作動させるために第2の油圧ポンプに作動可能に接続された第2の電動機と、
第2の電動機を作動させるために第2の電動機に作動可能に接続された第2のインバータと、
をさらに備える、請求項1に記載のダイカストマシン
【請求項8】
前記消費検出装置は、処理装置に結合され、インバータを有する電動機のエネルギ消費に応じて消費信号を送信する、請求項1に記載のダイカストマシン
【請求項9】
前記選択されたダイカストマシンモデルは、インバータを備えていない所定の電動機を有する、請求項1に記載のダイカストマシン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、軽合金のダイカスト用の油圧作動ダイカストマシンに関する。特に、本発明の目的は、エネルギ節約評価システムを備えた、油圧ポンプを作動させる電動機を作動させるインバータを備えたダイカストマシンである。
【背景技術】
【0002】
知られているように、そのようなマシンは、作られる部品に対応するキャビティを形成する2つのダイ-ハーフの結合からなるダイ上で動作し、ダイ閉鎖アセンブリと、ダイに注入された溶融金属を加圧するための射出ピストンを備えた射出アセンブリで構成される。
【0003】
射出アセンブリと閉鎖アセンブリを作動させるため、さらにプロセス管理活動のために、多数のバルブによって調整され、油圧ポンプによって供給される油圧回路が提供される。
【0004】
いくつかの解決策は、単に、送電網に接続された電動機によって作動する油圧ポンプを提供し、他の解決策は、インバータによって作動する電動機を提供し、実行される処理のパラメータおよび後述する他の利点に応じて、かなりのエネルギ節約を保証する。
【0005】
しかし、通常、様々な半製品を製造するために多くのダイカストマシンが設置されている製造会社では、すべてのマシンがインバータによって作動するようになっているわけではない。
【0006】
そのような状況では、製造会社が利用可能なマシンの使用を最適化する、特に、エネルギ消費を最適化する必要性が非常に感じられる。しかしながら、現時点では、インバータを備えているマシンではなく、インバータを備えていないマシンでいくつかの処理操作を実行するという選択は、技術スタッフの経験に委ねられている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、インバータを備えていないマシンの使用と比較して、処理動作を実行する際に達成されるエネルギ節約を評価するためのシステムを備えたインバータを備えたダイカストマシンを提供することである。
【0008】
このような目的は、請求項1に記載のダイカストマシンにより達成される。従属請求項は、本発明のさらなる実施形態を記載している。
【0009】
本発明によるダイカストマシンの特徴および利点は、添付の図面に従って、非限定的な例として提供される以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るダイカストマシンを概略的に示す図である。
図2図1のダイカストマシンの射出アセンブリの図を示している。
図3】本発明の一実施形態に係るエネルギ節約評価システムの図を示している。
図4】評価システムによって提供される特性データを表示するためのグラフィカルインターフェースを表している。
図5】本発明の変形実施形態に係るダイカストマシンの機能図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ダイカストマシン1は、ダイホルダ502、504によって運ばれるダイハーフを閉じるための閉鎖アセンブリ500と、ダイハーフの結合によって形成されるダイに注がれた溶融金属を加圧するための射出ピストンを備える射出アセンブリ10とを備える。
【0012】
例として、射出アセンブリの好ましい実施形態を以下に説明する(図2)。
【0013】
射出アセンブリ10は、ヘッドエンド22と反対側のテールエンド24との間の並進軸Xに沿って延びる射出ピストン20を備える。射出ピストン20は、油圧駆動装置により、並進軸Xに沿ったコマンドで並進可能である。
【0014】
また、射出アセンブリ10は、射出ピストン20の外側への並進を意図した流体を収容および加圧するための、射出ピストン20の上流、すなわち、そのテールエンド24の上流に主圧力チャンバ26を有する。
【0015】
さらに、射出アセンブリ10は、主流体入口28と、主入口28と主チャンバ26との間に配置され、主チャンバ26から主入口28への流体の戻りを防止するのに適した遮断弁102とを備える。
【0016】
例えば、前記遮断弁102は、出願人の名義の文献欧州特許出願公開第2942127号明細書に含まれる教示に従って作られている。
【0017】
マシン1は、射出ピストン20の運動回路のための第1のアキュムレータ30(例えば、加圧された窒素を含む関連するシリンダから装填され得る)をさらに備える。前記第1のアキュムレータ30は、主入口28の上流に接続され、比例送出弁104は、前記アキュムレータ30と前記主入口28との間で作動する。
【0018】
前記送出弁104は、電子的に制御され、弁の開度の関数として信号を検出するのに適した位置トランスデューサ204によりフィードバック駆動される。
【0019】
主圧力チャンバ26はさらに、ドレンに接続された注入ドレン29に接続され、それに沿って注入戻りドレン弁105が作動する。
【0020】
射出アセンブリ10は、射出ピストン20の戻り並進のための加圧流体を供給するための戻り入口34に接続された、注入ピストン20のテールエンド24の下流に主背圧チャンバ32をさらに備える。
【0021】
戻り入口34は、典型的には電動機39により作動される油圧ポンプ38が配置されるポンプ送出部36に上流で接続される。
【0022】
好ましくは、射出アセンブリ10のポンプ38は、閉鎖アセンブリ500の油圧回路にも供給する。
【0023】
射出戻し弁106が、送出ポンプ36と戻し入口34との間に配置されている。
【0024】
さらに、ポンプ送出部36上に並列に配置され、ドレンに接続されており、ポンプ出口38の圧力を調整するために比例ポンプ最大圧力弁108が配置されている。
【0025】
さらに、主背圧チャンバ32は、ドレンに接続された戻りドレン40に接続され、それに沿って電子的に制御され、前記バルブの開度の関数として信号を発するのに適した位置変換器212を備えた比例噴射ドレン弁112が配置される。
【0026】
さらに、射出アセンブリ10は、主チャンバ26に含まれる流体の圧力をアキュムレータ30によって供給される圧力よりも高くするのに適した圧力増倍手段を備える。
【0027】
前記増倍手段は、増倍軸Yに沿って延び、例えば、射出ピストン20の並進軸Xと一致し、主チャンバ30内の圧縮で動作するのに適したヘッドエンド44と反対側のテールエンド46との間で、増倍ピストン42を備える。
【0028】
増倍ピストン42は、増倍軸Yに沿ったコマンドで並進可能である。
【0029】
圧力増倍手段は、増倍ピストン42の上流の二次圧力チャンバ48と、加圧流体の入口のための、二次チャンバ100の上流の二次流体入口50とをさらに備える。
【0030】
マシン1は、二次入口50に接続可能な第2のアキュムレータ52(相対補充シリンダを備える)をさらに備え、増倍解放弁114は、第2のアキュムレータ52と二次入口50との間に配置される。
【0031】
二次圧力チャンバ48はまた、ドレンに接続された増倍戻りドレン54に接続され、それに沿って増倍戻りドレン弁116が配置される。
【0032】
さらに、増倍手段は、増倍ピストン42のテールエンド46の下流に、二次戻り入口58を介して第2のアキュムレータ52に接続可能な二次背圧チャンバ56を備える。
【0033】
第2のアキュムレータ52と二次背圧チャンバ56との間の前記二次戻り入口58に沿って、主増倍バルブ118が作動し、これは、比例し、電子的に制御可能であり、弁の開度に従って信号を発するのに適した位置変換器218を備える。
【0034】
最後に、第1の補助部分60が増倍戻りドレン弁116を主増倍弁118に接続してドレンに配置され、第2の部分62が増倍戻りドレン弁116を射出戻りドレン弁105に接続する。
【0035】
さらに、射出アセンブリ10は、
【0036】
-例えば、射出ピストン20の位置を検出するためのエンコーダである、射出ピストン位置センサ220と、
【0037】
-主背圧チャンバ32内の圧力を検出するための主背圧チャンバ圧力変換器232と、
【0038】
-主圧力チャンバ26内の圧力を検出するための主圧力チャンバ圧力変換器226と、
【0039】
-二次背圧チャンバ56内の圧力を検出するための二次背圧チャンバ圧力変換器256と、を備える。
【0040】
処理サイクルは、閉鎖アセンブリ500によってダイを閉じるステップと、注入装置(例えば、ロボットを備える)によって溶融金属をダイに注入するステップと、射出アセンブリ10によって射出するステップ、閉鎖アセンブリ500によってダイを開放するステップ、および射出アセンブリ10の油圧回路によってアキュムレータ内のオイルを再充填するステップと、を提供する。
【0041】
射出するステップは、第1のサブステップを提供し、ここで、射出ピストン20は、溶融金属がダイに設けられたアクセサリチャネルを満たすことを可能にするために減速された速度で前進する。
【0042】
第1のサブステップでは、送出バルブ104の制御された部分的開口のために、加圧流体は、例えば、150バールの公称圧力で主入口28に供給され、そこから主遮断弁102の開口に続く主チャンバ30に供給される。
【0043】
射出ドレン弁112の制御された開放により、主背圧チャンバ32が放出され、主圧チャンバ30内の流体の作用と主背圧チャンバ32内の流体の反対の作用により、所望の速度で、射出ピストン20に外向きの推力が生成される。
【0044】
続いて、好ましくは、前のステップから中断することなく、この方法は、第2のサブステップを提供し、射出ピストン20は、第1のステップの前進速度よりも高速で前進する。
【0045】
第2のサブステップでは、送出弁104のさらなる制御された開口、例えば、全開のために、加圧流体は、より大きな流量で主入口28に供給され、そこから主遮断弁102の開口に続いて主圧力チャンバ30に供給される。
【0046】
さらに、好ましくは、射出ドレン弁112のさらなる制御された開放のために、主背圧チャンバ32は、主チャンバ30内の流体の作用と主背圧チャンバ32内の流体の反対の作用により、所望の高速で、射出ピストン20に外向きの推力が生成されるように、放出される。
【0047】
さらにその後、好ましくは、前のサブステップから中断することなく、射出ステップは、第3のサブステップを提供する。ここで、射出ピストンは、ほぼゼロの速度で動作するが、溶融金属に高い推力を加えて、現在凝固している溶融金属を強制的に冷却し、冷却により生じる収縮を相殺する。
【0048】
第3のサブステップでは、圧力増倍手段が作動する。
【0049】
特に、加圧流体は、二次入口50に供給され、そこから、増倍放出弁114の制御された開放に続いて二次圧力チャンバ48に供給される。二次背圧チャンバ56には、主増倍圧弁118を介して制御された方法で加圧流体が供給され、増倍圧ピストン42が主圧チャンバ30に存在する流体に推力作用を及ぼし、その圧力を、例えば、500バールまで上昇させる。
【0050】
その結果、主入口40と主圧力チャンバ30との間の圧力差に敏感な遮断弁102は、閉じた構成になり、主入口40と主圧力チャンバ30とを流体的に分離する。
【0051】
したがって、より高い圧力にされた主圧力チャンバ30内の流体は、射出ピストン20上で作動し、その結果、前記ピストンはダイ内の金属に所望の作用を及ぼして収縮を相殺する。
【0052】
3番目のサブステップの完了後、増倍手段は無効になる。特に、増倍ピストン42は、二次背圧チャンバ56に供給された加圧流体と、増倍戻りドレン弁116の開放による二次圧力チャンバ48のドレンへの接続により、戻り行程を行う。
【0053】
さらに、射出ピストン20は、射出戻し弁106を開き、射出戻りドレン弁105を開くことにより主圧力チャンバ30のドレンに接続することによって、戻り入口34および送出ポンプ36を介して主背圧チャンバ32に供給される加圧流体により戻りストロークを実行する。
【0054】
マシン1は、例えば、それらを命令するために射出アセンブリおよび閉鎖アセンブリに動作可能に接続された、例えば、電子制御ユニットまたはプログラム可能なPLCまたはマイクロプロセッサを備える管理手段をさらに備える。
【0055】
さらに、マシン1には、電動機の動作パラメータを変更するため、入力電流に対する交流出力の電圧および周波数を変化させるのに適した、交流電流が供給される電動機39、すなわち、電子整流器-インバータアセンブリを制御するインバータ300が設けられている。
【0056】
インバータ300は、好ましくは、主スイッチ304によって、送電網302に明らかに接続されている。
【0057】
本発明に係るマシンは、エネルギを節約するための評価システム400も備えている。
【0058】
前記評価システム400は、ポンプ38の送出時の流体の圧力を検出するように接続された送出圧力センサ402、すなわち、圧力変換器を備える。
【0059】
さらに、評価システム400は、入力信号を処理するための、例えば、プログラム可能なPLCまたはマイクロプロセッサまたは電子制御ユニットを備える電子処理手段404を備える。
【0060】
送出圧力センサ402は、処理手段404に動作可能に接続され、ポンプ38の送出時の圧力Pmの関数として送出圧力信号Spmを処理手段404に供給する。
【0061】
評価システム400は、電動機39の瞬間的なエネルギ消費を検出するように適合された電子消費検出手段406をさらに備える。
【0062】
前記消費検出手段406は、例えば、電動機によって消費される瞬間エネルギを検出するのに適したマルチメータを備える。
【0063】
前記消費検出手段406は、処理手段404に動作可能に接続され、インバータを備えている電動機によって消費されるエネルギに応じて消費信号Scを送信し、例えば、インバータを備えているマシンのエネルギ消費を検出するために、インバータ300(主スイッチ304の下流であることが好ましい)の上流で電力網302に動作可能に接続される。
【0064】
評価システム400は、ポンプ送出時の圧力値の関数としてインバータを備えていない電動機によって吸収された電力Paに関する消費データが記憶される記憶手段408をさらに備える。
【0065】
前記記憶手段は、例えば、ハードディスクまたはRAMメモリまたはROMメモリを備える。
【0066】
前記記憶手段408は、処理手段404に動作可能に接続され、前記処理手段404に、ポンプの供給時の所定の圧力値に従ってインバータを備えていない所定の電動機によって吸収される電力に対する瞬間吸収電力Paの値を利用可能にする。
【0067】
前記評価システム400は、例えば、グラフィカルインターフェースを介してエネルギ節約を表示するためのモニタまたはディスプレイを備える表示手段410をさらに備える。
【0068】
好ましくは、インバータを備えているダイカストマシンのユーザは、最初に、例えば、会社で利用可能な別のダイカストマシンのインバータを備えていない電動機に対応する、インバータを備えていない所定の電動機を直接または間接的に選択する。その結果、記憶手段408については、インバータを備えていない所定の電動機が選択されたままである。
【0069】
例えば、このような最初の選択は、インバータを備えていない特定の電動機に対応するダイカストマシンモデルを選択することによって間接的に行われる。
【0070】
所望の処理操作が設定されると、インバータを備えているダイカストマシンは、前述のステップ:ダイを閉じるステップと、溶融金属を閉じたダイに注入するステップと、金属をダイに射出するステップと、ダイを開放するステップと、オイルを再充填するステップに従って処理サイクルを実行する。
【0071】
処理サイクルの間、処理手段404は、好ましくは、連続的に、送出圧力センサ402から送出圧力Pmに対応する送出圧力信号Spmと、消費エネルギΔEcに対応する消費信号Scを、所定の時間間隔Δtを参照する消費検出手段406から取得する。
【0072】
さらに、前記処理手段404は、記憶手段408から、前記時間間隔Δtにおいて、送出圧力Pmで、前もって選択されたインバータを備えていない電動機によって吸収された電力に対する瞬間吸収電力Paに関するデータを取得する。
【0073】
処理手段404は、瞬間吸収電力Paに従って、間隔Δtにおいて、インバータを備えていないマシンの推定エネルギ消費量ΔEを、次式で計算する。
【0074】
ΔE=Pa×Δt
【0075】
サイクル全体、またはサイクルの前述の各ステップ、または前記ステップのサブステップの場合、合計推定消費量Eは、サイクル全体または各ステップまたは各サブステップの時間間隔Δtにおいて、現在の推定消費量ΔEの合計によって与えられる。
【0076】
処理手段404は、表示手段410に、サイクル全体および/または個々のステップおよび/またはサブステップに対する、インバータを備えているマシンの実際のエネルギ消費量に関するデータ、ならびにサイクル全体および/または個々のステップおよび/またはサブステップに対する、インバータを備えていないマシンの推定消費量に関するデータを提供する。
【0077】
例えば、好ましくは、グラフィカルインターフェースは、N番目のサイクルについて、インバータを備えたマシンの実際の消費量およびインバータを備えていないマシンの推定消費量を、サイクル全体および/または各ステップについて(例えば、インターフェースの上部に)表示する。
【0078】
有利なことに、そのような表示により、オペレータは、インバータを使用せずにマシンで同じ処理を実行できるかどうかを評価し、場合によっては限られた高いエネルギ消費を受け入れることができる。
【0079】
有利なことに、さらに、このような表示により、処理サイクルのすべてのステップが適切に較正されているかどうか、またはパラメータを改善できるステップがあるかどうかを理解できるため、インバータを備えていないマシンに比べて大幅なエネルギ節約を実現できる。
【0080】
さらに、好ましくは、グラフィカルインターフェースは、マシンによって実行されるNサイクルについて、サイクル時間およびインバータを備えているマシンの実際のエネルギ消費を表示する(例えば、インターフェースの下部に)。
【0081】
有利なことに、そのような表示は、サイクル時間の変動がエネルギ節約の観点から利益をもたらすかどうかをオペレータが理解できるようにする。
【0082】
変形実施形態(図5)によれば、マシン1は、いくつかの油圧ポンプ、例えば、それぞれがそれぞれのインバータによって制御されるそれぞれの電気モータ39a、39bによって作動する2つの油圧ポンプ38a、38bを備える。
【0083】
あるいは、油圧ポンプは、インバータによって制御される単一の電動機によって作動する。
【0084】
さらなる実施形態によれば、油圧ポンプ38a、38bは、閉鎖アセンブリおよび射出アセンブリの油圧回路に供給し、単一の圧力変換器は、ポンプ38a、38bの送出時に流体の圧力を検出する。
【0085】
あるいは、第1の油圧ポンプ38aは閉鎖アセンブリ用の油圧回路を供給し、第2の油圧ポンプ38bは射出アセンブリ用の別個の油圧回路を供給する。
【0086】
そのような変形例および代替例も本発明の範囲内に含まれる。
【0087】
革新的に、本発明に係るダイカストマシンは、従来技術を参照して引用される要件が満たされることを可能にする。
【0088】
特に、上記のエネルギ節約評価システムは、インバータを備えているマシンではなく、インバータを備えていないマシンでいくつかの処理操作を実行する可能性を客観的に評価することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5