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7144449塩素添加とフッ素添加との間のデコーキング工程による芳香族化触媒の再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】塩素添加とフッ素添加との間のデコーキング工程による芳香族化触媒の再生方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/44 20060101AFI20220921BHJP
   B01J 29/62 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 29/90 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 38/48 20060101ALI20220921BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20220921BHJP
   C10G 35/095 20060101ALI20220921BHJP
   C10G 35/10 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B01J38/44
B01J29/62 M
B01J29/90 M
B01J38/48 Z
B01J38/12 C
C10G35/095
C10G35/10
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2019563440
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018033150
(87)【国際公開番号】W WO2018213553
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】15/597,184
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スネル、ライアン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】アルベス - マノリ、ガブリエラ
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0160147(US,A1)
【文献】特開平01-231944(JP,A)
【文献】特開平05-096177(JP,A)
【文献】特表2015-510839(JP,A)
【文献】特表2020-520795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07B 31/00 - 61/00
C07B 63/00 - 63/04
C07C 1/00 - 409/44
C10G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属および触媒担体を含む使用済み芳香族化触媒を再生するための方法であって、前記遷移金属は8~11族の遷移金属を含み、
(1)前記使用済み芳香族化触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有ガス流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(2)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(3)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
工程(1)が、約20℃~約300℃の範囲の塩素化温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩素含有ガス流中の前記塩素含有化合物の量が、前記塩素含有ガス流中の約0.5~約7体積%の塩素(Cl)を提供する、請求項1~2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩素含有ガス流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩素含有化合物が、Cl、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
前記塩素含有ガス流が、Clおよび窒素を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
工程(2)の前に塩素パージ工程をさらに含み、前記塩素パージ工程が、前記塩素化使用済み芳香族化触媒を、不活性ガスを含む塩素パージ流と接触させることを含む、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
前記塩素パージ流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩素パージ流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記塩素パージ工程が、前記塩素化使用済み触媒と接触させた後、出て行く塩素パージ流出物流の塩素含有量を約100ppmw未満の塩素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、請求項7~9に記載の方法。
【請求項11】
工程(2)が、約300℃~約500℃の範囲のピークデコーキング温度で行われ、
前記デコーキングガス流が、不活性ガスおよび酸素を含む、請求項1~7に記載の方法。
【請求項12】
前記デコーキングガス流が、約0.5~約3モル%の範囲のモル%の酸素を含む、請求項1~7、11に記載の方法。
【請求項13】
前記デコーキングガス流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、請求項1~7、11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記デコーキングガス流が、100ppmw未満の水を含有する、請求項1~7、11~13に記載の方法。
【請求項15】
工程(2)が、工程(1)の塩素化温度と同じ初期デコーキング温度で開始される、請求項1~7、11~14に記載の方法。
【請求項16】
工程(3)が、約20℃~約50℃の範囲のフッ素化温度で行われる、請求項1~7、11~15に記載の方法。
【請求項17】
前記フッ素含有溶液中の前記フッ素含有化合物の量が、前記フッ素含有溶液中の約0.1~約10重量%のフッ素(F)を提供する、請求項1~7、11~16に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ素含有溶液が、前記フッ素含有化合物と、水または炭化水素溶媒とを含む、請求項1~7、11~17に記載の方法。
【請求項19】
前記フッ素含有溶液が、水と、フッ化アンモニウムおよびフッ化テトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つとを含む、請求項1~7、11~18に記載の方法。
【請求項20】
前記フッ素含有溶液が、100ppmw未満の塩素含有化合物を含有する、請求項1~7、11~19に記載の方法。
【請求項21】
工程(3)の後にエージング工程をさらに含み、前記エージング工程が、約20℃~約100℃の温度、ほぼ周囲圧力~約3.45MPaゲージ(約500psigの圧力、約1分~約10日の期間、および前記フッ素化触媒が静止または移動/混合する条件下で、前記フッ素化触媒を前記フッ素含有溶液中で保存することを含む、請求項1~7、11~20に記載の方法。
【請求項22】
工程(3)の後に、乾燥工程、焼成工程、または乾燥工程と焼成工程の両方をさらに含む、請求項1~7、11~21に記載の方法。
【請求項23】
前記乾燥工程が、前記フッ素化触媒の残留溶媒含有量を、前記触媒の重量に基づいて、15重量%未満の溶媒に低減するのに十分な条件に、前記フッ素化触媒を供することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒含有量を低減するのに十分な前記条件が、
約1~約48時間の範囲の乾燥時間と、
約15℃~約200℃の範囲の乾燥温度と、
大気圧に等しいか、または任意の適切な低大気圧に等しい乾燥圧力と、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥工程が、固定フッ素化触媒を乾燥すること、前記フッ素化触媒を流動化させること、または前記フッ素化触媒を回転乾燥機で乾燥させることを含む、請求項23~24に記載の方法。
【請求項26】
前記焼成工程が、前記フッ素化触媒を、約200℃~約800℃の範囲の焼成温度に、約30分~約48時間の範囲の焼成時間にわたって供することを含む、請求項23~25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、工程(2)の後に酸素パージ工程をさらに含み、前記酸素パージ工程が、前記デコーキングされた触媒を、不活性ガスを含む酸素パージ流と接触させることを含む、請求項1~7、11~22に記載の方法。
【請求項28】
前記酸素パージ流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記酸素パージ流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記酸素パージ工程が、前記デコーキングされた触媒と接触させた後、出て行く酸素パージ流出物流の酸素含有量を約100ppmw未満の酸素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、請求項27~29に記載の方法。
【請求項31】
工程(1)の前の
部分的デコーキング工程であって、前記使用済み芳香族化触媒を、酸素を含む部分的デコーキングガス流と接触させることを含む、部分的デコーキング工程と、
工程(1)の前の予備乾燥工程であって、前記使用済み芳香族化触媒を、不活性ガスを含む予備乾燥ガス流と接触させることを含む、予備乾燥工程とをさらに含む、請求項1~7、11~22、または27に記載の方法。
【請求項32】
前記遷移金属が、
白金を含み、
前記触媒担体が、KL型ゼオライトと、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む結合剤とを含み、
前記使用済み芳香族化触媒が、塩素およびフッ素をさらに含む、請求項1~7、11~22、27、または31に記載の方法。
【請求項33】
工程(3)の後の
焼成工程であって、前記フッ素化触媒を焼成して焼成触媒を生成することを含む、焼成工程と、
工程(3)の後の還元工程であって、前記焼成触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、還元工程と、をさらに含む、請求項1~7、11~22、27、31、または32に記載の方法。
【請求項34】
請求項1~7、11~22、27、31~33に記載の方法により製造された再活性化触媒または再生触媒。
【請求項35】
遷移金属および触媒担体を含む使用済み芳香族化触媒を再生するための方法であって、前記遷移金属は8~11族の遷移金属を含み、
(a)前記使用済み芳香族化触媒を、不活性ガスを含む予備乾燥ガス流と接触させることと、
(b)前記使用済み芳香族化触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有ガス流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(c)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(d)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、
(e)前記フッ素化触媒を乾燥するか、焼成するか、または乾燥と焼成の両方を行うことと、を含む、方法。
【請求項36】
前記予備乾燥ガス流が、
窒素から本質的になり、
前記デコーキングガス流が、窒素および酸素を含み、
前記フッ素含有溶液が、水と、フッ化アンモニウムおよびフッ化テトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つとを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記塩素含有化合物が、Cl、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
工程(b)の前に、前記使用済み芳香族化触媒を、約125℃~約450℃の範囲の部分的デコーキング温度で、酸素を含む部分デコーキングガス流と接触させる工程をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
改質プロセスであって、
(A)炭化水素供給原料を、8~11族の遷移金属を含む遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器システム中、改質条件下で接触させて、芳香族生成物を生成することと、
(B)工程(A)を、使用済み触媒を形成するのに十分な期間実行することと、
(C)前記使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有ガス流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(D)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(E)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項40】
前記改質プロセスが、in-situプロセスである、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
工程(E)が、工程(A)~(D)の前記反応器システムの外部で実施される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項42】
工程(E)の後に、前記触媒を還元する工程をさらに含む、請求項39に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用済み触媒の再生方法に関し、より詳細には、白金などの遷移金属および触媒担体を含有する使用済み触媒の再生に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば芳香族化または改質と称される、非芳香族炭化水素の芳香族化合物への触媒転換は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを製造するために使用され得る重要な工業プロセスである。芳香族化または改質プロセスは、遷移金属系触媒を含む1つ以上の反応器を含み得る反応器システムで行われることが多い。これらの触媒は、所望の芳香族化合物への選択性の向上および/またはその収率の向上をもたらし得る。しかし、商業的な反応条件下では、これらの触媒はゆっくりとその活性を失い、多くの場合同時に所望の芳香族化合物への選択性が失われる。このような触媒は、経済的または動作閾値を超えると「使用済み」触媒と呼ばれることが多い。
【0003】
それらの商業的重要性および使用済み触媒を置き換えるためのフレッシュ触媒の製造において生じる費用のために、触媒活性を使用済み触媒に回復させる改良された方法に対する継続的な必要性がある。したがって、本開示は、概して、これらの目的を達成することに関する。
【発明の概要】
【0004】
遷移金属および触媒担体を含む使用済み触媒を再生するための方法が、本明細書に開示および記載されている。使用済み触媒を再生するそのような方法の1つは、(1)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、(2)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、(3)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含み得る。
【0005】
本開示と一致する使用済み触媒を再生するための別の方法は、(a)使用済み触媒を、不活性ガスを含む予備乾燥ガス流と接触させることと、(b)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、(c)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、(d)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、(e)フッ素化触媒を乾燥するか、焼成するか、または乾燥と焼成の両方を行うことと、を含み得る。
【0006】
炭化水素を改質するための種々のプロセスもまた、本明細書に開示される。例示的なプロセスは、(A)炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器システム内で改質条件下において接触させて、芳香族生成物を生成することと、(B)工程(A)を、使用済み触媒を形成するのに十分な期間実行することと、(C)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、(D)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、(E)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含み得る。
【0007】
前述した概要および以下の詳細な説明は共に、例を提供し、そして説明のみを目的としている。したがって、前述の概要および以下の詳細な説明は、限定的であると解釈されるべきでない。さらに、本明細書に記載のものに加えて、特徴または変形例が提供され得る。例えば、ある特定の態様が、詳細な説明にて記載される種々の特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせを対象としてもよい。
なお、下記[1]から[42]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
遷移金属および触媒担体を含む使用済み触媒を再生するための方法であって、
(1)前記使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(2)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(3)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、方法。
[2]
工程(1)が、約20℃~約300℃の範囲の塩素化温度で行われる、[1]に記載の方法。
[3]
前記塩素含有流中の前記塩素含有化合物の量が、前記塩素含有流中の約0.5~約7体積%の塩素(Cl)を提供する、[1]~[2]に記載の方法。
[4]
前記塩素含有流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、[3]に記載の方法。
[5]
前記塩素含有化合物が、Cl 、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、またはこれらの任意の組み合わせを含む、[1]~[4]に記載の方法。
[6]
前記塩素含有流が、Cl および窒素を含む、[1]~[5]に記載の方法。
[7]
工程(2)の前に塩素パージ工程をさらに含み、前記塩素パージ工程が、前記塩素化使用済み触媒を、不活性ガスを含む塩素パージ流と接触させることを含む、[1]~[6]に記載の方法。
[8]
前記塩素パージ流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、[7]に記載の方法。
[9]
前記塩素パージ流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、[7]または[8]に記載の方法。
[10]
前記塩素パージ工程が、前記塩素化使用済み触媒と接触させた後、出て行く塩素パージ流出物流の塩素含有量を約100ppmw未満の塩素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、[7]~[9]に記載の方法。
[11]
工程(2)が、約300℃~約500℃の範囲のピークデコーキング温度で行われ、
前記デコーキングガス流が、不活性ガスおよび酸素を含む、[1]~[7]に記載の方法。
[12]
前記デコーキングガス流が、約0.5~約3モル%の範囲のモル%の酸素を含む、[1]~[7]、[11]に記載の方法。
[13]
前記デコーキングガス流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、[1]~[7]、[11]または[12]に記載の方法。
[14]
前記デコーキングガス流が、100ppmw未満の水を含有する、[1]~[7]、[11]~[13]に記載の方法。
[15]
工程(2)が、工程(1)の塩素化温度と同じ初期デコーキング温度で開始される、[1]~[7]、[11]~[14]に記載の方法。
[16]
工程(3)が、約20℃~約50℃の範囲のフッ素化温度で行われる、[1]~[7]、[11]~[1]5に記載の方法。
[17]
前記フッ素含有溶液中の前記フッ素含有化合物の量が、前記フッ素含有溶液中の約0.1~約10重量%のフッ素(F)を提供する、[1]~[7]、[11]~[16]に記載の方法。
[18]
前記フッ素含有溶液が、前記フッ素含有化合物と、水または炭化水素溶媒とを含む、[1]~[7]、[11]~[17]に記載の方法。
[19]
前記フッ素含有溶液が、水と、フッ化アンモニウムおよびフッ化テトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つとを含む、[1]~[7]、[11]~[18]に記載の方法。
[20]
前記フッ素含有溶液が、100ppmw未満の塩素含有化合物を含有する、[1~][7]、[11]~[19]に記載の方法。
[21]
工程(3)の後にエージング工程をさらに含み、前記エージング工程が、約20℃~約100℃の温度、ほぼ周囲圧力~約500psigの圧力、約1分~約10日の期間、および前記フッ素化触媒が静止または移動/混合する条件下で、前記フッ素化触媒を前記フッ素含有溶液中で保存することを含む、[1]~[7]、[11]~[20]に記載の方法。
[22]
工程(3)の後に、乾燥工程、焼成工程、または乾燥工程と焼成工程の両方をさらに含む、[1]~[7]、[11]~[21]に記載の方法。
[23]
前記乾燥工程が、前記フッ素化触媒の残留溶媒含有量を、前記触媒の重量に基づいて、15重量%未満の溶媒に低減するのに十分な条件に、前記フッ素化触媒を供することを含む、[22]に記載の方法。
[24]
前記溶媒含有量を低減するのに十分な前記条件が、
約1~約48時間の範囲の乾燥時間と、
約15℃~約200℃の範囲の乾燥温度と、
大気圧に等しいか、または任意の適切な低大気圧に等しい乾燥圧力と、を含む、[23]に記載の方法。
[25]
前記乾燥工程が、固定フッ素化触媒を乾燥すること、前記フッ素化触媒を流動化させること、または前記フッ素化触媒を回転乾燥機で乾燥させることを含む、[23]~[24]に記載の方法。
[26]
前記焼成工程が、前記フッ素化触媒を、約200℃~約800℃の範囲の焼成温度に、約30分~約48時間の範囲の焼成時間にわたって供することを含む、[23]~[25]に記載の方法。
[27]
前記方法が、工程(2)の後に酸素パージ工程をさらに含み、前記酸素パージ工程が、前記デコーキングされた触媒を、不活性ガスを含む酸素パージ流と接触させることを含む、[1]~[7]、[11]~[22]に記載の方法。
[28]
前記酸素パージ流が、100ppmw未満の酸素含有化合物を含有する、[27]に記載の方法。
[29]
前記酸素パージ流が、100ppmw未満のハロゲン含有化合物を含有する、[27]または28に記載の方法。
[30]
前記酸素パージ工程が、前記デコーキングされた触媒と接触させた後、出て行く酸素パージ流出物流の酸素含有量を約100ppmw未満の酸素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、[27]~[29]に記載の方法。
[31]
工程(1)の前の
部分的デコーキング工程であって、前記使用済み触媒を、酸素を含む部分的デコーキングガス流と接触させることを含む、部分的デコーキング工程と、
工程(1)の前の予備乾燥工程であって、前記使用済み触媒を、不活性ガスを含む予備乾燥ガス流と接触させることを含む、予備乾燥工程とをさらに含む、[1]~[7]、[11]~[22]、または[27]に記載の方法。
[32]
前記遷移金属が、
白金を含み、
前記触媒担体が、KL型ゼオライトと、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む結合剤とを含み、
前記使用済み触媒が、塩素およびフッ素をさらに含む、[1]~[7]、[11]~[22]、[27]、または[31]に記載の方法。
[33]
工程(3)の後の
焼成工程であって、前記フッ素化触媒を焼成して焼成触媒を生成することを含む、焼成工程と、
工程(3)の後の還元工程であって、前記焼成触媒を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含む、還元工程と、をさらに含む、[1]~[7]、[11]~[22]、[27]、[31]、または[32]に記載の方法。
[34]
[1]~[7]、[11]~[22]、[27]、[31]~[33]に記載の方法により製造された再活性化触媒または再生触媒。
[35]
遷移金属および触媒担体を含む使用済み触媒を再生するための方法であって、
(a)前記使用済み触媒を、不活性ガスを含む予備乾燥ガス流と接触させることと、
(b)前記使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(c)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(d)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、
(e)前記フッ素化触媒を乾燥するか、焼成するか、または乾燥と焼成の両方を行うことと、を含む、方法。
[36]
前記予備乾燥ガス流が、
窒素から本質的になり、
前記デコーキングガス流が、窒素および酸素を含み、
前記フッ素含有溶液が、水と、フッ化アンモニウムおよびフッ化テトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つとを含む、[35]に記載の方法。
[37]
前記塩素含有化合物が、Cl 、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、またはこれらの組み合わせを含む、[35]に記載の方法。
[38]
工程(b)の前に、前記使用済み触媒を、約125℃~約450℃の範囲の部分的デコーキング温度で、酸素を含む部分デコーキングガス流と接触させる工程をさらに含む、[35]に記載の方法。
[39]
改質プロセスであって、
(A)炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器システム中、改質条件下で接触させて、芳香族生成物を生成することと、
(B)工程(A)を、使用済み触媒を形成するのに十分な期間実行することと、
(C)前記使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(D)前記塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(E)前記デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、プロセス。
[40]
前記改質プロセスが、in-situプロセスである、[39]に記載のプロセス。
[41]
工程(E)が、工程(A)~(D)の前記反応器システムの外部で実施される、[39]に記載のプロセス。
[42]
工程(E)の後に、前記触媒を還元する工程をさらに含む、[39]に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フレッシュ触媒および使用済み触媒についての収率を調整した触媒温度対反応時間のプロットを示す。
図2】フレッシュ触媒および使用済み触媒についての芳香族選択性対反応時間のプロットを示す。
図3】フレッシュ触媒と比べた、実施例1の再生触媒についての収率を調整した触媒温度対反応時間のプロットを示す。
図4】実施例1の再生触媒についての芳香族選択性対反応時間のプロットを、フレッシュ触媒と比較して示す。
図5】比較例2の再生触媒についての収率を調整した触媒温度対反応時間のプロットを、フレッシュ触媒および使用済み触媒と比較して示す。
図6】比較例2の再生触媒についての芳香族選択性対反応時間のプロットを、フレッシュ触媒および使用済み触媒と比較して示す。
図7】比較例3の再生触媒についての収率を調整した触媒温度対反応時間のプロットを、フレッシュ触媒と比較して示す。
図8】比較例3の再生触媒についての芳香族選択性と反応時間のプロットを、フレッシュ触媒と比較して示す。
【0009】
定義
本明細書に使用される語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、適用される定義が、本明細書に適用されるいずれか他の開示もしくは定義と矛盾しない限り、またはその定義が適用されるいずれの請求項も不明瞭または不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)からの定義が適用されてもよい。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供される任意の定義または使用が、本明細書において提供される定義または使用と矛盾する限りにおいて、本明細書において提供される定義または使用が優先する。
【0010】
本明細書では、主題の特徴は、特定の態様内で、異なる特徴の組み合わせが想定されてもよいように説明される。本明細書に開示される各々のおよびあらゆる態様ならびに特徴について、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、または方法に悪影響を与えないすべての組み合わせが、特定の組み合わせの明白な記載を伴ってまたは伴うことなく企図される。さらに、そうでないと明示的に述べられていない限り、本明細書に開示されている任意の態様または特徴は、本開示と一致する本発明の設計、組成物、プロセス、または方法を説明するために組み合わされてもよい。
【0011】
本開示では、組成物および方法は様々な構成要素または工程を「含む」という語で説明されることが多いが、特に明記しない限り、組成物および方法は様々な構成要素または工程から「本質的になる」または「からなる」こともある。
【0012】
語「a」、「an」、および「the」は、その複数形、例えば、少なくとも1つを含むよう意図される。例えば、「遷移金属」または「塩素含有化合物」の開示は、別途記載のない限り、1つの、または2つ以上の遷移金属または塩素含有化合物の混合物もしくは組み合わせを包含することを意味する。
【0013】
本明細書では、「使用済み」触媒は、一般に、触媒活性、炭化水素供給転化率、所望の生成物(複数可)の収率、所望の生成物(複数可)の選択性、または最高動作温度または反応器全体の圧力低下などの作動パラメータのうちの1つ以上で許容できない性能を有する触媒を説明するために本明細書で使用されるが、ただし、触媒が「使用済み」であるという判定はこれらの特徴のみに限定されない。いくつかの態様では、「フレッシュ」触媒は活性Xを有し、「使用済み」触媒は活性Zを有し、「再生」触媒または「再活性化」触媒は活性Yを有し得、これによりZ<Y≦Xである。本明細書に開示されるある特定の態様では、再生触媒または再活性化触媒は、フレッシュ触媒のものと実質的に同じ触媒活性を有し得る。このような触媒活性の比較(および他の改質性能特性)は、同じ装置で、かつ同じ試験方法および条件で試験された、同じ触媒の生産運転(バッチ)を使用することを意味する。「再生」触媒は、最低限、本明細書に記載の塩素化工程、デコーキング工程およびフッ素化工程を使用して再生された触媒を包含し、一方「再活性化」触媒は、還元工程(例えば、水素を使用した)に供された「再生」触媒である。本開示を考慮して当業者によって認識されるように、「再生」触媒は総称であり、塩素化され、デコーキングされ、およびフッ素化された触媒を含むが、塩素化後の塩素パージ工程、デコーキング工程後の酸素パージ工程、フッ素化後の乾燥工程および/または焼成工程など、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの、本明細書に開示された他の任意の触媒再生工程のうちの1つ以上に供された触媒も包含する。
【0014】
本明細書に記載の触媒(例えば、フレッシュ触媒、使用済み触媒、再生触媒、または再活性化触媒)に存在する任意の成分または材料の量は、特に明記しない限り、重量基準で、例えば、重量%またはppmw(重量ppm)である。これらの成分または材料は、例えば、炭素の量、フッ素の量、塩素の量、白金の量などを含み得る。さらに、これらの量は、それぞれの触媒(例えば、フレッシュ触媒、使用済み触媒、再生触媒、または再活性化触媒)が、10重量%未満の溶媒/含水率まで乾燥された「乾燥」触媒に基づく。
【0015】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に公表された元素周期表の版に示されるナンバリングスキームを用いて示される。場合によっては、元素の族は、族に割り当てられた一般名を用いて、例えば、1族元素についてはアルカリ金属を、2族元素についてはアルカリ土類金属を、3~12族元素については遷移金属を、8~10族元素については貴金属、および17族元素についてはハロゲンまたはハロゲン化物を用いて示され得る。
【0016】
本明細書にて開示されたいずれかの特定の化合物または基については、提示されたいずれかの名称または構造は、別記されない限り、特定の一連の置換基から生じ得るすべての配座異性体、位置異性体、立体異性体、およびそれらの混合物を含むことが意図される。(一般または特定の)名称または構造は、別段の定めがない限り、当業者によって認識されるであろう、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびエナンチオマーまたはラセミ形態のいずれかの他の光学異性体(存在する場合)、ならびに立体異性体の混合物も包含する。例えば、ヘキサンへの一般的言及は、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、2,2-ジメチル-ブタン、および2,3-ジメチル-ブタンを含み、ブチル基への一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、およびt-ブチル基を含む。
【0017】
一態様において、化学的「基」は、その基がこの様式で文字通り合成されていない場合であっても、その基が参照または「親」化合物からどのように形式的に誘導されるかに従って、例えば、その基を生成するために親化合物から形式的に除去された水素原子の数によって記載される。これらの基は、置換基として利用されてもよく、または金属原子に配位もしくは結合されてもよい。例として、「アルキル基」は、形式上、アルカンから1個の水素原子を除去することにより誘導されてもよい。置換基、リガンド、または他の化学部分が特定の「基」を構成し得るという開示は、その基が記載されるように用いられる場合、化学構造および結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「から誘導される」、「によって形成される」、または「から形成される」と記載する場合、そのような語は形式的な意味で使用され、別段指定されない限り、あるいは文脈が別段必要としない限り、任意の特定の合成方法または手順を反映することを意図しない。
【0018】
種々の数値範囲が本明細書に開示されている。本明細書で任意の種類の範囲が開示または請求されるとき、別段の定めがない限り、その範囲の端点ならびにその中に包まれる部分範囲および部分範囲の組み合わせを含み、そのような範囲が合理的に含み得るそれぞれの可能な数を個別に開示または請求することを意図する。代表的な例として、本出願は、ある特定の態様において、本明細書に提供される方法が、ClおよびFを、約0.5:1~約4:1の範囲のCl:Fのモル比で含有する触媒を使用または生成することができることを開示する。Cl:Fのモル比が約0.5:1~約4:1の範囲内であり得るという開示とは、そのモル比がその範囲内の任意のモル比であり得、かつ、例えば、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約2:1、約3:1、または約4:1に等しくあり得ることを述べることを意図する。さらに、Cl:Fのモル比は、約0.5:1~約4:1の範囲内(例えば、モル比は、約0.5:1~約2:1の範囲内)であり得、またこれは、約0.5:1~約4:1の範囲の任意の組み合わせも含む。同様に、本明細書に開示される他の全ての範囲は、この例と同様に解釈されるべきである。
【0019】
「約」という語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特性が、正確ではない、および正確である必要はないが、必要に応じて、より大きいまたはより小さいことを含む近似値であってもよく、許容誤差、換算係数、端数処理、測定誤差など、および当業者に既知の他の因子を反映することを意味する。一般的に、量、サイズ、配合、パラメータ、または他の量もしくは特徴は、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」または「およそ」である。語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件のために異なる量も含む。「約」という語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はその量の均等物を含む。語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味してもよい。
【0020】
「置換された」という用語は、化合物または基を説明するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換類似体を指す場合、その基中の水素を形式的に置換する任意の非水素部分を説明することを意図し、非限定的であることが意図される。1つまたは複数の基はまた、本明細書において、「非置換(unsubstituted)」として、または非水素部分がその基内の水素原子を置換しない元の基を指す「非置換(non-substituted)」などの同等の用語によって表すこともできる。別途記載のない限り、「置換された」は、非限定的であることを意図し、当業者によって理解されるように、無機置換基または有機置換基を含む。
【0021】
本明細書で使用されるとき、語「炭化水素」は、炭素および水素原子のみを含有する化合物を指す。存在する場合、炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0022】
「芳香族」化合物は、ヒュッケル(4n+2)則に従い、かつ(4n+2)のπ電子を含む(式中、nは1~5の整数である)環状共役二重結合系を含有する化合物である。芳香族化合物には、「アレーン」(芳香族炭化水素化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)、ならびに「ヘテロアレーン」(芳香族系に特徴的な連続パイ電子系とヒュッケル則(4n+2)に対応する面外パイ電子の数を維持するような方法で、正式には3価または2価のヘテロ原子との環状共役二重結合系の1個以上のメチン(-C=)炭素原子の置換によりアレーンから誘導される複素環式芳香族化合物)が含まれる。本明細書に開示されるように、用語「置換された」は、芳香族基、アレーン、またはヘテロアレーンを記述するために使用されもよく、ここで、非水素部分は、化合物中の水素原子を形式的に置換し、そして他に特定されない限り、非限定的であることが意図される。
【0023】
本明細書で使用されるとき、語「アルカン」は、飽和炭化水素化合物を意味する。存在する場合、アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。「アルキル基」という用語は、IUPACによって定められた定義に従って本明細書において使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される1価の基である。アルカンまたはアルキル基は、特に断らない限り、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。
【0024】
「シクロアルカン」は、側鎖を伴うかまたは伴わない、飽和環状炭化水素、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンである。存在する場合、シクロアルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子が利用されてもよい(例えば、ハロゲン化シクロアルカンは、シクロアルカン中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。
【0025】
「ハロゲン」という語は、その通常の意味を有する。ハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が含まれる。
【0026】
本明細書では、「接触する」という用語は、特に指定しない限り、任意の順序で、任意の方法で、および任意の長さで成分が接触または組み合わされる方法、プロセス、および組成物を説明するために使用される。例えば、構成成分は、配合または混合により、接触され得る。さらに、別段の定めがない限り、いずれかの成分の接触は、本明細書に記載の方法、プロセス、および組成物のいずれかの他の成分の存在下または不在下にて起こり得る。さらなる材料または構成成分を組み合わせることは、いずれかの好適な方法により、実施され得る。さらに、2つ以上の成分を「接触」させると、溶液、スラリー、混合物、反応混合物、または反応生成物が生じる場合がある。
【0027】
モル選択性は以下のように定義される:
【数1】
【0028】
転換率は、供給された「転換可能な」炭化水素1モル当たりに転換されたモル数として定義される。
【数2】
【0029】
これらの式において、
は、連続反応器におけるモル流量またはバッチ式反応器におけるモル数を示す。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「転換可能な炭化水素」、「転換可能なC種」、または「転換可能なC種」は、芳香族化プロセス条件下で容易に反応して芳香族炭化水素を形成する炭化水素化合物を指す。「非転換性炭化水素」は、芳香族化プロセス条件下では容易に反応して芳香族炭化水素を形成しない、高度に分岐した炭化水素である。「非転換性炭化水素」は、1個の内部四級炭素とともに6個もしくは7個の炭素原子を有する高度に分岐した炭化水素、または6個の炭素原子および2個の隣接する内部三級炭素を有する炭化水素、またはそれらの混合物を含み得る。「転換可能なC種」は、1個の内部4級炭素または2個の隣接する内部3級炭素を含まない6個の炭素を含む炭化水素、例えば、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロペンタンである。「転換可能なC種」は、内部四級炭素を含まない7個の炭素を含む炭化水素、例えば、n-ヘプタン、2-メチル-ヘキサン、3-メチル-ヘキサン、2,3-ジメチル-ペンタン、2,4-ジメチル-ペンタン、メチルシクロヘキサン、およびジメチルシクロペンタンである。6または7個の炭素原子および1個の内部4級炭素を有する高度に分岐した炭化水素は、例えば、2,2-ジメチルブタン、2,2-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、および2,2,3-トリメチルブタンを含み得る。6個の炭素原子および1個の隣接する内部三級炭素を有する高度に分岐した炭化水素は、例えば、2,3-ジメチルブタンを含み得る。転換不能な高度に分岐した炭化水素は、芳香族生成物に容易に転換せず、代わりに、芳香族化プロセス条件下で軽質炭化水素に転換する傾向がある。
【0031】
本明細書において開示されるものと同様のまたは等しい任意の方法および材料を、本発明の実施または実験において用いてもよいが、典型的な方法および材料は本明細書に記載される。
【0032】
本明細書に言及されたすべての刊行物および特許は、説明および開示を目的として、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、刊行物に記載されている構成物および方法論は、本発明と関連付けられて、用いられてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書には、使用済み触媒を再生する方法が開示されている。関連する改質プロセスもまた開示されている。有益なことに、使用済み触媒を再生する他の方法と比較して、本明細書に記載の方法、例えば、デコーキングまたは炭素燃焼工程前の気相塩素化工程、およびデコーキングまたは炭素燃焼工程後の液相フッ素化工程は、最小限の残留炭素、均一な塩素およびフッ素の分布、ならびに予想外に改善された触媒活性および選択性を有する再生触媒を結果としてもたらす。
【0034】
使用済み触媒の再生方法
遷移金属および触媒担体を含む使用済み触媒を再生するための様々な方法が、本明細書に開示および記載されている。使用済み触媒を再生するためのそのような方法の1つは、
(1)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(2)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(3)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことができる。
【0035】
一般に、本明細書に開示される方法のいずれかの特徴(例えば、使用済み触媒、遷移金属、触媒担体、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液、塩素含有化合物を含む塩素含有ガス流、フッ素化工程が実施される条件、塩素化工程が実施される条件、デコーキングガス流、およびデコーキング工程が実施される条件など)は、本明細書に独立して記載されており、これらの特徴は、開示される方法をさらに説明するために、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。さらに、別段の記載がない限り、開示される方法に列挙された工程のいずれかの前、最中、および/または後に、他のプロセス工程が行われてもよい。さらに、開示される方法/プロセスのいずれかに従って製造される再活性化触媒または再生触媒は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0036】
フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液を利用するこれらの方法の工程は、多くの場合、フッ素化工程と呼ばれ、塩素含有ガス流を利用するこれらの方法の工程は、塩素化工程と呼ばれることが多い。フッ素含有溶液(フッ素含有化合物を含む)および塩素含有ガス流(塩素含有化合物を含む)の組成属性は、特に明記しない限り、触媒と接触する前の、それぞれ入って来るフッ素含有溶液と入って来る塩素含有ガス流を指すことを意味する。当業者が容易に認識するように、出て行くフッ素含有溶液流出物流および出て行く塩素含有流出物流は、触媒と接触した後、それぞれの入って来るフッ素含有溶液および入って来る塩素含有溶液とは組成が著しく異なる場合がある。
【0037】
ここで工程(1)を参照すると、塩素含有流中の塩素含有化合物は、本明細書に開示される任意の適切な塩素含有化合物または任意の塩素含有化合物であり得る。例えば、例示的な塩素含有化合物としては、塩酸、塩素ガス(Cl)、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素-酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウムなど、またはこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。他の好適な塩素含有化合物としては、少なくとも1つの水素原子がCl原子で置き換えられているアレーンおよびアルキル置換アレーン(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)を挙げることができる。
【0038】
いくつかの態様では、塩素含有化合物は、塩酸;代替的に、塩素ガス(Cl);代替的に、四塩化炭素;代替的に、テトラクロロエチレン;代替的に、クロロベンゼン;代替的に、塩化メチル;代替的に、塩化メチレン;代替的に、クロロホルム;代替的に、塩化アリル;代替的に、トリクロロエチレン;代替的に、クロラミン;代替的に、酸化塩素;代替的に、塩素酸;代替的に、二酸化塩素;代替的に、一酸化二塩素;代替的に、七酸化二塩素;代替的に、塩素酸;代替的に、過塩素酸;代替的に、塩化アンモニウム;代替的に、塩化テトラメチルアンモニウム;代替的に、塩化テトラエチルアンモニウム;代替的に、塩化テトラプロピルアンモニウム;代替的に、テトラブチルアンモニウムクロリド;または代替的に、塩化メチルトリエチルアンモニウムを含み(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0039】
他の態様では、塩素含有化合物は、塩素ガス(Cl)を含む(またはそれから本質的になるか、もしくはそれからなる)ことができる。塩素に加えて、塩素含有流は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などの不活性ガス、またはこれらの材料の2つ以上の組み合わせをさらに含んでもよい。ある特定の態様では、塩素含有流は、塩素含有化合物および不活性ガスを含む(またはそれから本質的になるか、もしくはそれからなる)ことができ、不活性ガスは窒素であってもよく、または窒素を含んでもよい。さらなる態様では、塩素含有流は、塩素ガス(Cl)および窒素を含む(またはそれから本質的になるか、もしくはそれからなる)ことができる。
【0040】
それに限定されないが、塩素含有流中の塩素(Cl)の量は、多くの場合、約10体積%未満であり得る。例えば、塩素含有流中の塩素含有化合物の量は、塩素含有流中に約7体積%未満;代替的に、約5体積%未満;代替的に、約4体積%未満;または代替的に、約3体積%未満の量のClを提供するか(または結果として生じ)得る。いくつかの態様では、塩素含有流中の塩素含有化合物の量は、塩素含有流中に0.05~約7体積%、約0.05~約5体積%、約0.05~約3体積%、約0.05~約2体積%、約0.1~約10体積%、約0.1~約5体積%、約0.5~約7体積%、約0.5~約5体積%、約0.5~約3体積%、約1~約10体積%、約1~約5体積%、または約1~約3体積%などの範囲の量のClを提供するか(または結果として生じ)得る。
【0041】
塩素含有流は、酸素含有化合物(例えば、酸素(O)および水(HO))を実質的に含まない場合があり、すなわち、100ppmw(重量ppm)未満の酸素含有化合物を含有し得る。したがって、塩素含有ガス流中の酸素含有化合物の量は、ある特定の態様では、50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得ることが企図される。他の態様では、塩素含有流中の酸素含有化合物の量は、約0.1~100ppmw、約0.5~100ppmw、約1~100ppmw、約0.1~約50ppmw、約0.1~約25ppmw、約0.1~約10ppmw、または約0.1~約5ppmwの範囲であり得る。理論に拘束されることを望まないが、使用済み触媒を再生する方法の塩素化工程中に酸素を実質的に添加しないことが有益であり得ると考えられる。さらに、必須ではないが、塩素含有流は、フッ素含有化合物を実質的に含まなくてもよく、すなわち、100ppmw(重量ppm)未満のフッ素含有化合物を含有してもよい。上記のように、塩素含有流中のフッ素含有化合物の量は、例えば、50ppmw未満、10ppmw未満、約0.1~100ppmwの範囲、約0.1~約50ppmwの範囲、または約0.1~約10ppmwの範囲などであり得ることが企図される。
【0042】
塩素化工程は、様々な温度および期間で行われ得る。例えば、塩素化工程は、約20℃~約50℃;代替的に、約20℃~約300℃;代替的に、約25℃~約300℃;代替的に、約30℃~約250℃;代替的に、約30℃~約150℃;代替的に、約35℃~約300℃;代替的に、約35℃~約200℃;代替的に、約50℃~約250℃;代替的に、約50℃~約200℃;代替的に、約100℃~約300℃;代替的に、約100℃~約250℃;または代替的に、約150℃~約275℃の範囲の塩素化温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、塩素化工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われる状況を包含することを意味する。
【0043】
塩素化工程の持続時間は、いかなる特定の期間にも限定されない。したがって、塩素化工程は、例えば、30~45分という短い時間から12~24時間、36~48時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ期間に行われ得る。適切な塩素化時間は、他の変数の中でも、例えば、塩素化温度および塩素含有流中の塩素(Cl)の量に依存し得る。しかしながら、一般に、塩素化工程は、例えば、約1時間~約48時間、約45分~約24時間、約45分~約18時間、約1時間~約12時間、約2時間~約12時間、約4時間~約10時間、または約2時間~約8時間などの、約45分~約48時間の範囲であり得る期間で行われ得る。
【0044】
他の態様では、塩素化工程は、触媒と接触した後、出て行く塩素含有流出物流中の塩素または塩素含有化合物の存在を監視することにより決定される期間に行われてもよい。したがって、塩素化工程は、触媒と接触した後、塩素含有流出物流中に、塩素含有化合物の存在が、0.5ppmvを超える、例えば、1ppmvを超える、または10ppmvを超えるのに十分な期間行われてもよい。
【0045】
使用済み触媒を再生する方法の工程(2)は、炭素燃焼工程、またはデコーキング工程と呼ばれることが多く、この工程では、塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガスストリームと接触させて、デコーキングされた触媒を生成することができる。酸素に加えて、デコーキングガス流は不活性ガスを含んでもよく、すなわち、デコーキングガス流は、酸素および不活性ガスを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。炭素燃焼工程において有用な典型的な不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などを包含することができ、これは、これらの材料の2つ以上の組み合わせを含む。ある特定の態様では、デコーキングガス流は、酸素および窒素、代替的に空気および窒素、または代替的に空気を含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0046】
デコーキングガス流は空気を含み得るので、デコーキングガス流は、約20~21モル%の酸素を含み得る。しかしながら、より多くの場合、デコーキングガス中の酸素の量は、約10モル%未満であり得る。例えば、いくつかの態様では、デコーキングガス流は、約8モル%未満、約5モル%未満、または約3モル%未満の酸素を含み得る。したがって、デコーキングガス流中の酸素のモル%の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約0.1~約25モル%、約0.1~約20モル%、約0.1~約10モル%、約0.2~約10モル%、約0.2~約5モル%、約0.3~約5モル%、約0.5~約5モル%、約0.5~約4モル%、約0.5~約2モル%、または約1~約3モル%などの範囲を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
一態様では、デコーキングガス流は、ハロゲンを実質的に含まない、すなわち、ハロゲン含有化合物を実質的に含まないものであり得る。これに関連して、「ハロゲンを実質的に含まない」とは、デコーキングガス流中の塩素含有化合物などのハロゲン含有化合物が、100ppmw(重量ppm)未満であることを意味する。したがって、デコーキングガス流中のハロゲン含有化合物の量は、ある特定の態様では、50ppmw未満、40ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得ることが企図される。他の態様では、デコーキングガス流中のハロゲン含有化合物の量は、約0.1~100ppmw、約0.5~100ppmw、約1~100ppmw、約0.1~約50ppmw、約0.1~約25ppmw、約0.1~約10ppmw、または約0.1~約5ppmwの範囲であり得る。理論に拘束されることを望まないが、使用済み触媒を再生する方法の炭素燃焼工程中に添加される塩素などのハロゲンまたはハロゲン含有化合物を実質的に添加しないことが有益であり得ると考えられる。
【0048】
別の態様において、デコーキングガス流は、必要に応じて、約500ppmw(重量ppm)を超える、約1000ppmwを超える、または約5000ppmwを超える量の水を含んでもよい。別の態様では、デコーキングガス流は、水を実質的に含まなくてもよく、これに関して「実質的に含まない」とは、デコーキングガス流中の100ppmw(重量ppm)未満の水を意味する。したがって、デコーキングガス流中の水の量は、ある特定の態様では、50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得ることが企図される。他の態様では、デコーキングガス流中の水の量は、約0.1~100ppmw、約0.5~100ppmw、約1~100ppmw、約0.1~約50ppmw、約0.1~約25ppmw、約0.1~約10ppmw、または約0.1~約5ppmwの範囲であり得る。理論に拘束されることを望まないが、使用済み触媒を再生する方法の炭素燃焼工程中に水を実質的に添加しないことが有益であり得ると考えられる。
【0049】
塩素含有流について上述したものと同様に、デコーキングガス流の任意の組成属性は、特に明記しない限り、塩素化された使用済み触媒と接触する前の、入って来るデコーキングガス流を指すことを意味する。当業者には容易に認識されるように、塩素化された使用済み触媒と接触した後の出て行くデコーキングガス流出物流は、入って来るデコーキングガス流とは組成が著しく異なり得る。例えば、塩素化工程中に吸着された塩素は、状況によっては、炭素燃焼工程中に触媒から溶出する可能性がある。さらに、炭素燃焼工程中に水が生成される可能性があり、したがって、出て行くデコーキング流出物流中に水が検出される可能性がある。
【0050】
炭素燃焼工程は、様々な温度および時間で行われ得る。例えば、炭素燃焼工程は、約150℃~約600℃;代替的に、約200℃~約500℃;代替的に、約300℃~約600℃;代替的に、約300℃~約550℃;代替的に、約300℃~約500℃;代替的に、約320℃~約480℃;代替的に、約340℃~約460℃;または代替的に、約350℃~約450℃の範囲のピークデコーキング温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、炭素燃焼工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期デコーキング温度、ピークデコーキング温度)で行われる状況を包含することを意味する。例えば、これに限定されないが、炭素燃焼工程は、塩素化温度と同じ初期デコーキング温度で開始されてもよい。したがって、例えば、炭素燃焼工程は、約20℃~約250℃、約50℃~約200℃、または約150℃~約260℃の範囲の初期デコーキング温度で開始することができる。続いて、炭素燃焼工程の温度は、例えば、約300℃~約600℃、または約350℃~約450℃の範囲のピークデコーキング温度まで上昇させることができる。
【0051】
炭素燃焼工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。したがって、炭素燃焼工程は、例えば、30~45分という短い時間から48~72時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間に行われ得る。適切なデコーキング時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピークデコーキング温度およびデコーキングガス流中の酸素の量に依存し得る。しかしながら、一般に、炭素燃焼工程は、例えば、約1時間~約72時間、約24時間~約72時間、約12時間~約60時間、約12時間~約48時間、または約1時間~約6時間などの、約45分~約72時間の範囲内であり得る時間内で行うことができる。
【0052】
代替的に、炭素燃焼工程は、塩素化使用済み触媒上の炭素の重量%を、約1重量%未満(デコーキングされた触媒)に低減するために十分な期間行われてもよい。いくつかの態様では、炭素燃焼工程は、塩素化使用済み触媒上の炭素の重量%を、約0.75重量%未満、約0.5重量%未満、または約0.2重量%未満に低減させるのに十分な期間行われてもよい。他の態様では、炭素燃焼工程は、触媒と接触した後、出て行くデコーキング流出物流中のCOレベルを監視することにより決定される期間に行われてもよい。したがって、炭素燃焼工程は、触媒と接触した後、出て行くデコーキング流出物流中のCOの量を、約100ppmv未満に、例えば、約50ppmv未満、または約20ppmv未満に低減させるために十分な時間行われ得る。
【0053】
代替的に、炭素燃焼工程は、フレッシュ触媒の活性の約50%~約100%、例えば、約60%~約100%、または約75%~約100%の活性を有するデコーキングされた触媒をもたらすために十分な期間行われてもよい。これに関して、デコーキングされた触媒の活性は、同じ装置で、同じ方法および条件下で試験された、同じ触媒生産のフレッシュ触媒活性の約50%~100%以内に戻ることに基づいている。
【0054】
使用済み触媒を再生するための方法の工程(3)において、デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することができる。一態様では、フッ素含有溶液は、フッ素含有化合物および水を含む(または本質的にからなるか、またはこれらからなる)ことができるが、別の態様では、フッ素含有溶液は、フッ素含有化合物および炭化水素溶媒を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことができる。炭化水素溶媒が使用される場合、シクロヘキサン、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなど、またはこれらの組み合わせなどの非極性脂肪族炭化水素が使用されてもよい。追加的または代替的に、芳香族炭化水素を使用することができ、その非限定的な例としては、トルエン、ベンゼン、キシレンなど、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0055】
フッ素化工程は、例えば、フッ素の均一な分布をもたらすために、任意の好適な技術および機器を使用して行うことができる。例えば、デコーキングされた触媒を容器またはタンクに入れ、次いで、容器またはタンク内の触媒のレベルを超えるために十分なフッ素含有溶液(フッ素含有化合物を含む)で充填してもよい。任意選択的に、フッ素含有溶液中の触媒とフッ素含有化合物との間の接触を増加させるために、容器およびタンク内に攪拌を提供してもよい。代替的に、デコーキングされた触媒を固定床または充填床に配置し、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液を、触媒床にフッ素含有溶液を流すことによって触媒と接触させてもよい。代替的に、デコーキングされた触媒は、フッ素含有溶液(フッ素含有化合物を含む)で初期湿潤に含浸されてもよく、ここで、使用される細孔充填または「初期湿潤」含浸技術は、デコーキングされた触媒の細孔容積に等しい量のフッ素含有溶液を、細孔が充填されるまでデコーキングされた触媒と混合する方法である。初期湿潤含浸技術では、デコーキングされた触媒を回転ドラムに入れ、フッ素含有溶液(フッ素含有化合物を含む)を触媒に注ぎ、噴霧または均一に添加してもよい。この方法の終点は、含浸された触媒は、凝集の最初の外観に対して自由流動性の乾燥した外観を持つことができるように、実験室によって多少異なる可能性がある。しかしながら、典型的には、初期湿潤法が採用されるときには、いかなる流動性液体も存在しないであろう。当業者によって認識されるように、他の好適な技術および機器がフッ素化工程に使用されてもよく、そのような技術および機器は本明細書に包含される。
【0056】
好適なフッ素含有化合物としては、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウムなど、およびこれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。他の好適なフッ素含有化合物としては、少なくとも1つの水素原子がF原子で置き換えられているアレーンおよびアルキル置換アレーン(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)を挙げることができる。
【0057】
別の態様では、フッ素含有化合物は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせ、代替的にフッ化水素酸、代替的に2,2,2-トリフルオロエタノール、代替的にテトラフルオロエチレン、代替的に四フッ化炭素、代替的に三フッ化炭素、代替的にフルオロメタン、代替的にヘプタフルオロプロパン、代替的にデカフルオロブタン、代替的にヘキサフルオロイソプロパノール、代替的にテトラフルオロプロパノール、代替的にペンタフルオロプロパノール、代替的にヘキサフルオロフェニルプロパノール、代替的にペルフルオロブチルアルコール、代替的にヘキサフルオロ-2-プロパノール、代替的にペンタフルオロ-1-プロパノール、代替的にテトラフルオロ-1-プロパノール、代替的に1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、代替的に2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、代替的にフッ化アンモニウム、代替的にフッ化テトラメチルアンモニウム、代替的にフッ化テトラエチルアンモニウム、代替的にフッ化テトラプロピルアンモニウム、代替的にフッ化テトラブチルアンモニウム、または代替的にフッ化メチルトリエチルアンモニウムを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。
【0058】
さらに別の態様では、フッ素含有溶液は、水およびフッ素含有化合物を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことができ、フッ素含有化合物は、フッ化アンモニウム;代替的に、フッ化テトラメチルアンモニウム;代替的に、フッ化テトラエチルアンモニウム;代替的に、フッ化テトラプロピルアンモニウム;代替的に、フッ化テトラブチルアンモニウム;または代替的に、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。さらに別の態様では、フッ素含有溶液は、水およびフッ化水素酸;代替的に、水およびフッ化アンモニウム;代替的に、水およびフッ化テトラメチルアンモニウムを含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことがでる。
【0059】
それに限定されないが、フッ素含有流中のフッ素(F)の量は、多くの場合、約15重量%未満であり得る。例えば、フッ素含有流中のフッ素含有化合物の量は、フッ素含有流中に約10重量%未満;代替的に、約8重量%未満;代替的に、約5重量%未満;または代替的に、約3重量%未満の量のFの量を提供するか(または結果として生じ)得る。いくつかの態様では、フッ素含有溶液中のフッ素含有化合物の量は、約0.01~約10重量%、約0.1~約10重量%、約0.5~約10重量%、約1~約10重量%、約0.01~約8重量%、約0.1~約8重量%、約1~約8重量%、約0.01~約5重量%、約0.1~約5重量%、約0.5~約5重量%、または約1~約5重量%などの範囲のフッ素含有溶液中のFの量を提供するか(または結果として生じ)得る。
【0060】
さらに、必須ではないが、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液は、塩素含有化合物を実質的に含まなくてもよく、すなわち、100ppmw(重量ppm)未満の塩素含有化合物を含有してもよい。フッ素含有流中の塩素含有化合物の量は、例えば、50ppmw未満、10ppmw未満、約0.1~100ppmwの範囲、約0.1~約50ppmwの範囲、または約0.1~約10ppmwの範囲などであり得ることが企図される。
【0061】
フッ素化工程は、様々な温度および期間で行われ得る。例えば、フッ素化工程は、約20℃~約95℃;代替的に、約20℃~約80℃;代替的に、約20℃~約50℃;代替的に、約25℃~約95℃;代替的に、約25℃~約80℃;代替的に、約25℃~約50℃;代替的に、約20℃~約35℃;代替的に、約30℃~約80℃;代替的に、約30℃~約50℃;代替的に、約35℃~約95℃;または代替的に、約35℃~約50℃の範囲のフッ素化温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、フッ素化工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0062】
フッ素化工程の持続時間は、いかなる特定の期間にも限定されない。したがって、フッ素化工程は、例えば、1~5分という短い時間から12~24時間、36~48時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ期間に行われ得る。適切なフッ素化時間は、他の変数の中でも、例えば、フッ素化温度およびフッ素含有流中のフッ素の量に依存し得る。しかしながら、一般に、フッ素化工程は、例えば、約15分~約48時間、約10分~約24時間、約30分~約18時間、約30分~約12時間、約30分~約6時間、約1時間~約10時間、または約2時間~約8時間などの、約1分~約48時間の範囲であり得る期間で行われ得る。
【0063】
いくつかの態様では、フッ素含有溶液で含浸させたデコーキングされた触媒をエージングすることが望ましい場合がある。熟成工程は、約20℃~約100℃の温度で、ほぼ周囲圧~約500psigの圧力で、約1分~約10日間の期間にわたって、かつ含浸された固体が静止または移動している条件下で実施され得る。しかしながら、一般に、エージング工程は、例えば、約5分~約12時間、約10分~約6時間、約30分~約2時間、または約30分~約1時間などの、約1分~約48時間の範囲であり得る期間にわたって行うことができる。
【0064】
本明細書で企図される様々な態様において、使用済み触媒を再生する方法は、塩素化工程の前に実行される1つ以上の任意の工程をさらに含んでもよい。例えば、使用済み触媒を再生する方法は、塩素化工程の前に部分的デコーキング工程をさらに含んでもよく、および/または塩素化工程の前に予備乾燥工程をさらに含んでもよい。これらの任意の予備塩素化工程は、本明細書で以下により詳細に論じられる。一態様では、これらの任意の工程のうちの少なくとも1つは、使用済み触媒を再生する方法で実行されてもよく、一方、別の態様では、これらの任意の工程の両方が実行されてもよい。予備塩素化工程は任意の順序で実行されてもよいが、特定の態様では、部分的なデコーキング工程が最初に実行され、その後に予備乾燥工程が続く。
【0065】
一態様では、塩素化工程、続いて炭素燃焼工程、および次いでフッ素化工程を含む、使用済み触媒(例えば、遷移金属および触媒担体を含む)を再生する方法は、塩素化工程の前に、部分的なデコーキング工程をさらに含んでもよい。この部分的デコーキング工程は、一般に、使用済み触媒を、酸素を含む部分的デコーキングガス流と接触させることを含むことができる。
【0066】
分的なデコーキングガス流の組成は、炭素燃焼工程で使用されるデコーキングガス流について上述したものと同じ潜在的属性を包含し得る。したがって、酸素に加えて、部分デコーキングガス流は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、またはこれらの材料の2つ以上の組み合わせなどの不活性ガスを含んでもよい。一態様では、部分的デコーキングガス流は、酸素および窒素;代替的に、空気および窒素;または代替的に、空気を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことができる。別の態様では、部分的デコーキングガス流は、多くの場合、例えば、約0.1~約25モル%の酸素、約0.1~約20モル%の酸素、約0.2~約10モル%の酸素、約0.2~約5モル%の酸素、約0.3~約5モル%の酸素、約0.5~約5モル%の酸素、約0.5~約4モル%の酸素、約0.5~約3モル%の酸素、または約1~約3モル%の酸素などを含み得る。さらに別の態様では、部分的デコーキングガス流は、実質的にハロゲンを含まないか、または実質的にハロゲン含有化合物を含まなくてもよく、すなわち、部分的デコーキング流中に100ppmw(重量ppm)未満のハロゲン含有化合物、例えば、部分デコーキングガス流中に50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満などのハロゲン含有化合物を有してもよい。さらに別の態様では、部分的デコーキングガス流は、実質的に水を含まなくてもよく、すなわち、部分的デコーキング流中に100ppmw未満の水、例えば、部分デコーキングガス流中に50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満などの水を有してもよい。
【0067】
部分的なデコーキング工程は、はるかに低い温度で実行できるという点で炭素燃焼工程とは異なる。一般に、部分的デコーキング工程は、約125℃~約450℃;代替的に、約125℃~約350℃;代替的に、約150℃~約250℃;代替的に、約175℃~約250℃;代替的に、約150℃~約225℃;または代替的に、約175℃~約225℃の範囲の部分的なデコーキング温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、部分的デコーキング工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0068】
部分的デコーキング工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。典型的には、部分的なデコーキング工程は、30~45分という短い時間から48時間(またはそれ以上)という長い時間までの範囲の期間で行うことができるが、より典型的には、部分的デコーキング工程は、約1時間~約36時間、例えば、約2時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約18時間、または約2時間~約24時間などの範囲であり得る期間で行うことができる。
【0069】
代替的に、部分的デコーキング工程は、使用済み触媒上の炭素の重量%を、3重量%未満、または2重量%未満に低減するために十分な期間行われてもよい。代替的に、部分的デコーキング工程は、使用済み触媒上の炭素の重量%を、約0.1~約10重量%、例えば、約0.1~約6重量%、約1~約5重量%、約0.5~約4重量%、約1~約3重量%、または約0.5~約2重量%の範囲内に低減させるために十分な期間行われてもよい。理論に束縛されることを望まないが、使用済みの触媒を再生するか、芳香族化反応器を開く前に、炭化水素、特に芳香族炭化水素、および軽質オリゴマーを除去することによって、操作に係る健康上および安全上の利益が達成され得ると考えられる。
【0070】
一態様では、塩素化工程、続いて炭素燃焼工程、および次いでフッ素化工程を含む、使用済み触媒(例えば、遷移金属および触媒担体を含む)を再生する方法は、塩素化工程の前に、予備乾燥工程をさらに含んでもよい。この予備乾燥工程は、一般に、使用済み触媒を、不活性ガスを含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)予備乾燥ガス流と接触させることを含むことができる。不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、またはこれらの混合物;代替的に、ヘリウム;代替的に、ネオン;代替的に、アルゴン;または代替的に、窒素であり得る。さらに、いくつかの態様では、塩素化工程に関連して上述したように、予備乾燥ガス流は、酸素含有化合物(例えば、酸素または水)を実質的に含まなくてもよい。したがって、予備乾燥工程は、100ppmw未満、または50ppmw未満、または25ppmw未満、または10ppmw未満、または5ppmw未満、または3ppmw未満の酸素含有化合物の存在下で行うことができる。
【0071】
予備乾燥工程は、塩素化工程で使用される塩素化温度と同じ温度範囲を一般的に包含し得る予備乾燥温度で実施され得る。したがって、予備乾燥温度は、約20℃~約500℃;代替的に、約20℃~約400℃;代替的に、約25℃~約300℃;代替的に、約30℃~約250℃;代替的に、約30℃~約150℃;代替的に、約35℃~約300℃;代替的に、約35℃~約200℃;代替的に、約50℃~約250℃;代替的に、約50℃~約200℃;代替的に、約100℃~約500℃;代替的に、約100℃~約250℃;または代替的に、約180℃~約280℃の範囲の塩素化温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、予備乾燥工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0072】
予備乾燥工程の持続時間は、いずれか特定の時間に限定されない。典型的には、予備乾燥工程は、30~45分という短い時間から48~72時間(またはそれ以上)という長い時間までの範囲の期間で行うことができるが、より典型的には、予備乾燥工程は、約1時間~約72時間、例えば、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約2時間~約24時間、または約2時間~約18時間などの範囲であり得る期間で行うことができる。
【0073】
代替的に、予備乾燥工程は、使用済み触媒の含水率を、約4重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満に低減させるために十分な期間行うことができる。理論に束縛されることを望まないが、塩素化工程が反応器冶金上の塩素含有流の腐食性を低減し始めたときに水分が実質的に存在しないことが有益であると考えられる。例えば、乾燥ハロゲンおよび乾燥ハロゲン酸は腐食性がなく、炭素鋼環境で使用される場合があるが、水分が存在すると、ステンレス鋼でも十分ではなく、高合金鋼が必要になる場合がある。
【0074】
任意選択的に、塩素化工程、続いて炭素燃焼工程、および次いでフッ素化工程を含む、使用済み触媒(例えば、遷移金属および触媒担体を含む)を再生する方法は、炭素燃焼工程の前に、塩素パージ工程をさらに含んでもよい。このパージ工程は、塩素か使用済み触媒を、不活性ガスを含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)塩素パージ流と接触させることを含むことができる。不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、またはこれらの混合物;代替的に、ヘリウム;代替的に、ネオン;代替的に、アルゴン;または代替的に、窒素であり得る。
【0075】
さらに、いくつかの態様では、塩素化工程に関連して上述したように、塩素パージ流は、酸素含有化合物(例えば、酸素および水)を実質的に含まなくてもよい。したがって、塩素パージ工程は、100ppmw未満、または50ppmw未満、または25ppmw未満、または10ppmw未満、または5ppmw未満、または3ppmw未満の酸素含有化合物の存在下で行うことができる。
【0076】
さらに、いくつかの態様では、炭素燃焼工程に関連して上述したように、塩素パージ流はハロゲン含有化合物を実質的に含まなくてもよい。したがって、塩素パージ工程は、100ppmw未満、または50ppmw未満、または25ppmw未満、または10ppmw未満、または5ppmw未満、または3ppmw未満のハロゲン含有化合物の存在下で行うことができる。
【0077】
塩素パージ工程は、塩素化工程で使用される塩素化温度と同じ温度範囲を一般的に包含し得る塩素パージ温度で実施され得る。したがって、塩素パージ温度は、約20℃~約500℃;代替的に、約20℃~約400℃;代替的に、約30℃~約300℃;代替的に、約30℃~約250℃;代替的に、約25℃~約150℃;代替的に、約35℃~約300℃;代替的に、約35℃~約200℃;代替的に、約50℃~約250℃;代替的に、約75℃~約250℃;代替的に、約100℃~約300℃;代替的に、100℃~250℃、または代替的に、約150℃~約275℃の範囲の塩素化温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、塩素パージ工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0078】
塩素パージ工程の持続時間は、いかなる特定の期間にも限定されない。典型的には、塩素パージ工程は、30~45分という短い時間から48~72時間(またはそれ以上)という長い時間までの範囲の期間で行うことができるが、より典型的には、塩素パージ工程は、約1時間~約48時間、例えば、約1時間~約36時間、約2時間~約36時間、約2時間~約24時間、または約2時間~約18時間などの範囲であり得る期間で行うことができる。
【0079】
代替的に、塩素パージ工程は、塩素化使用済み触媒と接触させた後、出て行くパージ流出物流の塩素含有量を100ppmw未満の塩素含有化合物に低減する(すなわち、実質的に塩素を含まない)のに十分な期間にわたって行うことができる。本明細書の開示と一致するいくつかの態様では、塩素化使用済み触媒と接触した後の出て行く塩素パージ流出物流の塩素含有量は、50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得る。理論に束縛されることを望まないが、炭素燃焼工程中に塩素を触媒と密接に関連付けることが有益であると考えられるが、塩素化使用済み触媒を取り巻く大気の自由体積には(例えば、使用済み触媒が入っている容器内)、実質的に塩素が存在しない。
【0080】
本明細書で企図される様々な態様において、使用済み触媒を再生する方法は、炭素燃焼工程の後ではあるが、フッ素化工程の前に任意の酸素パージ工程をさらに含むことができる。この酸素パージ工程は、デコーキングされた触媒を、不活性ガスを含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)酸素パージ流と接触させることを含むことができる。不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、またはこれらの混合物;代替的に、ヘリウム;代替的に、ネオン;代替的に、アルゴン;または代替的に、窒素であり得る。
【0081】
さらに、いくつかの態様では、塩素化工程に関連して上述したように、酸素パージ流は、酸素含有化合物(例えば、酸素または水)を実質的に含まなくてもよい。したがって酸素パージ工程は、100ppmw未満、または50ppmw未満、または25ppmw未満、または10ppmw未満、または5ppmw未満、または3ppmw未満の酸素含有化合物の存在下で行うことができる。
【0082】
さらに、いくつかの態様では、塩素パージ工程に関連して上述したように、酸素パージ流はハロゲン含有化合物を実質的に含まなくてもよい。したがって、酸素パージ工程は、100ppmw未満、または50ppmw未満、または25ppmw未満、または10ppmw未満、または5ppmw未満、または3ppmw未満のハロゲン含有化合物の存在下で行うことができる。
【0083】
酸素パージ工程は、塩素パージ温度と同じ温度範囲を概して包含し得る酸素パージ温度で実施され得る。したがって、酸素パージ温度は、約0℃~約500℃;代替的に、約25℃~約400℃;代替的に、約30℃~約300℃;代替的に、約30℃~約250℃;代替的に、約35℃~約150℃;代替的に、約40℃~約300℃;代替的に、約45℃~約200℃;代替的に、約50℃~約250℃;代替的に、約75℃~約250℃;代替的に、約100℃~約300℃;代替的に、100℃~250℃、または代替的に、約150℃~約275℃の範囲の塩素化温度で行われ得る。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、酸素パージ工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を包含することを意味する。
【0084】
酸素パージ工程の持続時間は、いかなる特定の期間にも限定されない。典型的には、酸素パージ工程は、30~45分という短い時間から48~72時間(またはそれ以上)という長い時間までの範囲の期間で行うことができるが、より典型的には、酸素パージ工程は、約1時間~約48時間、例えば、約1時間~約36時間、約2時間~約36時間、約2時間~約24時間、または約2時間~約18時間などの範囲であり得る期間で行うことができる。
【0085】
代替的に、酸素パージ工程は、塩素化使用済み触媒と接触させた後、出て行くパージ流出物流の酸素含有量を100ppmw未満の塩素含有化合物に低減する(すなわち、実質的に酸素を含まない)のに十分な期間にわたって行うことができる。本明細書の開示と一致するいくつかの態様では、デコーキングされた触媒と接触した後の出て行く酸素パージ流出物流の酸素含有量は、50ppmw未満、25ppmw未満、10ppmw未満、5ppmw未満、または3ppmw未満であり得る。
【0086】
本明細書で企図される様々な態様において、使用済み触媒を再生する方法は、フッ素化工程の後に任意の乾燥および/または焼成工程をさらに含んでもよい。乾燥および焼成の両方が実施される場合、典型的にはフッ素化触媒を乾燥させ、次いで焼成する。
【0087】
乾燥工程が実施される場合、乾燥工程は通常、フッ素化触媒の溶媒(例えば、水)含有量を所望の残留溶媒含有量未満、例えば、触媒の重量に基づいて、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、または8重量%未満の溶媒に低減するために十分な条件にフッ素化触媒を供することを含む。乾燥後の残留溶媒の量の例示的かつ非限定的な範囲としては、触媒の重量に基づいて、約2~約15重量%、約4~約12重量%、約3~約8重量%、または約6~約12重量%が挙げられる。
【0088】
乾燥工程で使用される条件は、広範囲の乾燥時間、乾燥温度、乾燥圧力を包含する。例えば、乾燥時間は、約1~約48時間、約2~約24時間、または約2~約12時間の範囲であってもよく、乾燥温度は、約15℃~約200℃、約25℃~約150℃、または約50℃~約125℃の範囲であってもよい。乾燥圧力は大気圧または大気圧付近であってもよいが、多くの場合、乾燥工程は、100torr(13.3kPa)未満、50(6.67kPa)torr、または10torr(1.33kPa)未満などの低大気圧の真空条件下で行われ得る。
【0089】
乾燥工程は、バッチであろうと連続であろうと、任意の適切な技術および機器を使用して行うことができる。例えば、乾燥工程は、固定フッ素化触媒を乾燥させることを含んでもよく;代替的に、乾燥工程は、乾燥中にフッ素化触媒を流動化することを含んでもよく;または代替的に、乾燥工程は、フッ素化触媒を回転乾燥機で乾燥することを含んでもよい。当業者によって認識されるように、他の好適な技術および機器が乾燥工程に使用されてもよく、そのような技術および機器は本明細書に包含される。
【0090】
フッ素加工手の後に焼成工程が実施される場合、焼成工程は、様々な温度および期間で行われてもよい。典型的なピーク焼成温度は、約200℃~約800℃、例えば、悪250℃~約600℃、約300℃~約600℃、または約300℃~約500℃の範囲内にあることが多い。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、焼成工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期焼成温度、ピーク焼成温度)で行われ得る状況を含むことを意味する。例えば、焼成工程は、乾燥工程における乾燥温度と同じ初期温度で開始することができる。続いて、焼成工程の温度は、例えば、約250℃~約600℃の範囲のピーク焼成温度まで上昇させてもよい。
【0091】
焼成工程の期間は、いずれか特定の期間に限定されない。したがって、焼成工程は、例えば、30~45分という短い時間から36~48時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ期間に行われ得る。適切な焼成時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピーク焼成温度および乾燥工程が使用されるか否かに依存してもよい。しかしながら、一般に、焼成工程は、例えば、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、約2時間~約12時間、または約2時間~約8時間などの、約30分~約48時間の範囲であり得る期間で行うことができる。
【0092】
焼成工程は、不活性ガス(例えば、窒素)、酸素、空気、またはこれらの任意の混合物もしくは組合せを含む(またはこれらから本質的になるか、またはこれらからなる)焼成ガス流中で行われてもよい。いくつかの態様において、焼成ガス流は空気を含んでもよいが、他の態様において、焼成ガス流は空気と窒素との混合物を含んでもよい。さらに、ある特定の態様において、焼成ガス流は、窒素および/またはアルゴンなどの不活性ガスであってもよい。
【0093】
焼成工程は、バッチであろうと連続であろうと、任意の適切な技術および機器を使用して行うことができる。例えば、焼成工程は、ベルト焼成機、または代替的に回転焼成機で実施することができる。いくつかの態様では、焼成工程は、流動床を含むバッチまたは連続焼成容器で実施されてもよい。当業者によって認識されるように、他の好適な技術および機器が焼成工程に使用されてもよく、そのような技術および機器は本明細書に包含される。
【0094】
一態様では、使用済み触媒を再生する方法は、インサイチュプロセスであってもよく、すなわち、工程(1)~(3)は同じ容器システムで実施されてもよい。しかしながら、代替的態様では、フッ素化工程-工程(3)-は、塩素化およびデコーキング工程に使用されるものとは別の容器および/または場所で行われてもよい。
【0095】
一態様では、工程(1)は、使用済み触媒の移動床を塩素含有流と接触させることにより実施されてもよく、使用済み触媒の流れに対する塩素含有ガス流の流れの方向は、同時または向流であってもよい。代替的に、使用済み触媒の固定床または流動床を塩素含有ガス流と接触させてもよい。別の態様では、工程(2)におけるデコーキングガス流の流れ方向は、塩素含有ガス流のものと触媒に対して同じ方向であってもよく、またはデコーキングガス流の流れ方向は、反対であってもよい。さらに別の態様では、工程(3)におけるフッ素含有溶液の流れ方向は、デコーキングガス流のものと触媒に対して同じ方向であってもよく、またはフッ素含有溶液の流れ方向は、反対であってもよい。
【0096】
本明細書に開示される使用済み触媒の再生方法は、ハロゲン化工程の後に還元工程をさらに含み、それによって再活性化触媒を形成することができる。この還元工程は、フッ素化触媒(または焼成フッ素化触媒)を、分子状水素を含む還元ガス流と接触させることを含んでもよい。分子状水素に加えて、還元ガス流は不活性ガスを含むことができ、すなわち、還元ガス流は、分子状水素および不活性ガスを含む(またはそれらから本質的になるか、もしくはそれらからなる)ことができる。還元工程において有用な典型的な不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などを包含することができ、これは、これらの材料の2つ以上の組み合わせを含む。特定の態様では、還元ガス流は、分子状水素および窒素を含んでもよい(または本質的にそれらからなっても、またはそれらからなってもよい)。
【0097】
いくつかの態様では、分子状水素が還元ガス流の主成分であり得る一方、他の態様では、分子状水素が微量成分であり得る。例えば、還元ガス流は、少なくとも約25モル%の分子状水素、少なくとも約35モル%の分子状水素、少なくとも約50モル%の分子状水素、少なくとも約65モル%の分子状水素、少なくとも約75モル%の分子状水素、または100モル%の分子状水素を含み得る。したがって、還元ガス流中の分子状水素のモル%の好適な範囲としては、以下の範囲、すなわち、約25~100モル%、約50~100モル%、約25~100モル%、約35~100モル%、約55~100モル%、約25~約75モル%、約35~約65モル%、または約70~100モル%などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0098】
還元工程は、様々な温度および時間で行われ得る。例えば、還元工程は、約300℃~約600℃;代替的に、約300℃~約550℃;代替的に、約400℃~約600℃;代替的に、約350℃~約575℃;あるいは、約400℃~約550℃;または、代替的に、約450℃~約550℃の範囲のピーク還元温度で行うことができる。これらのおよび他の態様において、これらの温度範囲はまた、還元工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期還元温度、ピーク還元温度)で行われ得る状況を包含することを意味する。例えば、還元工程は、乾燥温度または焼成温度と同じ初期温度で開始することができる。続いて、還元工程の温度は、例えば、約400℃~約600℃の範囲のピーク焼成温度に調整されてもよい。
【0099】
還元工程の期間は、いかなる特定の期間にも限定されない。したがって、還元工程は、例えば、1時間という短い時間から48~72時間、またはそれ以上という長い時間に及ぶ時間内で行われ得る。例えば、還元工程は、約2時間~約48時間、約3時間~約36時間、約5時間~約36時間、約2時間~約30時間、または約10時間~約30時間の範囲内であってもよい期間に行われてもよい。
【0100】
いくつかの態様では、触媒を再生する方法は、工程(3)の後に触媒を還元する工程をさらに含むことができる。例えば、本明細書に記載の還元工程は、フッ素化工程の後に行われてもよく、還元工程は、工程(1)~(3)と同じ容器システムで実施されてもよい。代替的に、エクスサイチュプロセスでは、還元工程は、工程(1)~(2)と同じ容器システムで、またはフッ素化工程(3)と同じ容器システムで実施されてもよい。
【0101】
更なる態様では、再活性化触媒または再生触媒が、同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した場合、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の触媒活性の約50%~約100%、または約70%~約100%の触媒活性を有することができる。例えば、再活性化または再生された触媒は、フレッシュな参照触媒の活性と実質的に同じ活性を有し得る(すなわち、次に続く実施例で記載されるように、C+で63重量%の芳香族収率を達成するために、フレッシュ触媒が必要とする温度の10°F以内の温度)。さらに、いくつかの態様では、再生触媒は、C+で63重量%の芳香族収率を達成するために、フレッシュ触媒が必要とする温度の5°F以内の温度を有してもよい。
【0102】
追加的にまたは代替的に、再活性化触媒または再生触媒は、同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した場合、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の触媒選択性の約70%~約105%、約85%~約100%、または約98%~約105%の触媒活性を有することができる。
【0103】
必要に応じて、再生プロセス中の任意の段階で使用済み触媒をスクリーニングして、小さな触媒粒子などの微粒子、および触媒とコークスとの凝集などの塊を除去することができる。例えば、触媒のスクリーニングは、塩素含有流との接触前、デコーキングガス流との接触前、フッ素含有溶液との接触前、および/または工程(3)の後に行われてもよい。
【0104】
芳香族化触媒による改質プロセス
また、炭化水素を改質するための様々な方法も本明細書中に含まれる。このような改質プロセスの1つは、
(A)炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器システム内で改質条件下において接触させて、芳香族生成物を生成することと、
(B)工程(A)を、使用済み触媒を形成するのに十分な期間実行することと、
(C)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(D)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(E)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させることと、を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)ことができる。
【0105】
一般に、本明細書に開示される改質プロセスのいずれかの特徴(例えば、炭化水素供給原料、芳香族化触媒、遷移金属、触媒担体、改質条件、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液、フッ素化工程が行われる条件、塩素含有ガス流、フッ素化工程が実施される条件、塩素化工程が行われる条件、デコーキングガス流、およびデコーキング工程が行われる条件など)は、本明細書に独立して記載されており、これらの特徴は、開示される改質プロセスをさらに説明するために、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。さらに、別段の記載がない限り、開示される改質プロセスに列挙された工程のいずれかの前、最中、および/または後に、他のプロセス工程が行われてもよい。
【0106】
塩素化、炭素燃焼、およびフッ素化工程(工程(C)~(E))は、本明細書の上記で論じられている。本明細書に記載される塩素化工程および/または炭素燃焼工程および/またはフッ素化工程(ならびに、塩素化工程および/または炭素燃焼工程および/またはフッ素化工程の前、最中および/または後に実施され得る他の工程)のあらゆる側面と特徴を、炭化水素を改質するためのプロセスで利用してもよく、したがって、本明細書に包含される。
【0107】
これらの改質プロセスにおいて、工程(A)は、反応器システムにおいて改質条件下で、炭化水素供給原料を芳香族化触媒と接触させて、芳香族生成物を製造することを含み得る。改質のための反応器システムおよびそれぞれの改質条件は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第4,456,527号、同第5,389,235号、同第5,401,386号、同第5,401,365号、同第6,207,042号、および同第7,932,425号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0108】
同様に、典型的な炭化水素原料が、これらの参考文献に開示されている。多くの場合、炭化水素原料はナフサストリームまたはライトナフサストリームであってもよい。ある特定の態様では、炭化水素供給原料は、C~Cアルカンおよび/またはシクロアルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサン)を含み得る。
【0109】
改質プロセスの工程(B)は、工程(A)が、芳香族化触媒が「使用済み」になるために十分な時間実施され得ることを示している。本明細書で上述したように、「使用済み」触媒は、典型的には、触媒活性、炭化水素原料転換、所望の生成物(複数可)への収率、所望の生成物(複数可)への選択性、もしくは反応器全体の最大運転温度または圧力降下などの作動パラメータを含む触媒であるが、これらに限定されない。芳香族化触媒が「使用済み」になると、とりわけ再生工程(C)、(D)、および(E)を実施することができる。
【0110】
一態様では、改質プロセスは、インサイチュプロセスであってもよく、すなわち、工程(A)~(E)は同じ反応器システムで実施されてもよい。しかしながら、代替的態様では、触媒再生工程(C)~(E)を、改質反応器システムの外部で、例えば別の容器および/または場所で行ってもよい。例えば、塩素化、炭素燃焼、およびフッ素化の工程は、改質反応器システム内にない容器内で行ってもよい。さらに別の態様では、フッ素化工程(E)は、工程(A)~(D)のいずれかの反応器システムの外部で行ってもよい。例えば、フッ素化工程は、工程(A)~(D)のいずれかで使用される容器とは異なる容器で行われてもよい。
【0111】
一態様では、工程(C)は、使用済み触媒の移動床を塩素含有流と接触させることにより実施されてもよく、使用済み触媒の流れに対する塩素含有ガス流の流れの方向は、同時または向流であってもよい。代替的に、使用済み触媒の固定床または流動床を塩素含有ガス流と接触させてもよい。別の態様では、工程(D)におけるデコーキングガス流の流れ方向は、塩素含有ガス流のものと触媒に対して同じ方向であってもよく、またはデコーキングガス流の流れ方向は、反対であってもよい。さらに別の態様では、工程(E)におけるフッ素含有溶液の流れ方向は、デコーキングガス流のものと触媒に対して同じ方向であってもよく、またはフッ素含有溶液の流れ方向は、反対であってもよい。
【0112】
必要に応じて、再生工程中の任意の段階で使用済み触媒をスクリーニングして、小さな触媒粒子などの微粒子、および触媒とコークスとの凝集などの塊を除去することができる。例えば、触媒のスクリーニングは、塩素化工程の前、炭素燃焼工程の後、フッ素化工程の前、および/または工程(E)の後に行われてもよい。
【0113】
いくつかの態様では、改質プロセスは、工程(E)の後に触媒を還元する(再活性化する)工程をさらに含んでもよい。例えば、本明細書に記載の還元工程は、フッ素化工程の後に行われてもよく、還元工程は、工程(A)~(E)と同じ反応容器システムで実施されてもよい。代替的に、エクスサイチュプロセスでは、還元または再活性化工程は、工程(A)と同じ反応容器システムで、またはフッ素化工程(E)と同じ容器で実施されてもよい。
【0114】
本明細書に開示された方法によって再活性化または再生された触媒は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含されるとみなされる。いくつかの態様では、再活性化触媒または再生触媒が、同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の約50%~約100%、または約70%~約100%の触媒活性を有することができる。例えば、再活性化触媒または再生触媒は、フレッシュな参照触媒の活性と実質的に同じ活性を有し得る。
【0115】
追加的にまたは代替的に、再活性化触媒または再生触媒は、同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の触媒選択性の約70%~約105%、約85%~約100%、または約98%~約105%の触媒活性を有することができる。
【0116】
遷移金属系触媒
本明細書に開示される態様、および本明細書の上記および下記に記載される様々な方法と一致して、芳香族化触媒(フレッシュ、使用済み、再生、または再活性化)は、遷移金属および触媒担体を含み得る。触媒担体は、典型的には、無機酸化物を含んでもよく、その例には、結合媒体および/または大細孔ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、アモルファス無機酸化物、ならびにこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。大細孔ゼオライトは、しばしば、約7Å~約12Åの範囲の平均細孔径を有してもよく、大細孔ゼオライトの非限定的な例として、L型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、βゼオライトなどが挙げられる。中細孔ゼオライトは、しばしば、約5Å~約7Åの範囲の平均細孔径を有し得る。非晶質無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、チタニア、およびそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0117】
「ゼオライト」という用語は、一般的に、特定の群の水和結晶性金属アルミノケイ酸塩を指す。これらのゼオライトは、酸素原子を共有することによってアルミニウム原子とケイ素原子とが三次元骨格内で架橋されたSiOおよびAlO四面体のネットワークを示す。この骨格内では、アルミニウム原子およびケイ素原子の合計に対する酸素原子の比率は、2に等しい可能性がある。骨格は、典型的には、結晶内に金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および/または水素などのカチオンを含むことによって平衡状態を保つことができる負の電気原子価を示す。
【0118】
いくつかの態様では、触媒担体は、L型ゼオライトを含み得る。L型ゼオライト担体は、式:M2/nOAlxSiOyHOに従う酸化物のモル比を含み得るゼオライト担体のサブグループである。この式において、「M」は、バリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、セシウム、および/または亜鉛などの交換可能なカチオン(1つ以上)、ならびにヒドロニウムイオンおよびアンモニウムイオンのような非金属のカチオンを意味し、L型ゼオライトの基本結晶構造を実質的に変化させることなく、他の交換可能なカチオンで置き換えることができる。式中、「n」は「M」の原子価を表す;「x」は2以上である;「y」は、ゼオライトのチャネルまたは相互連結した空隙に含有される水分子の数である。
【0119】
一態様では、触媒担体は、K/L型ゼオライトとも称される結合カリウムL型ゼオライトを含み得るが、別の態様では、触媒担体は、バリウムイオン交換L型ゼオライトを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「K/L型ゼオライト」という用語は、ゼオライトに組み込まれる主なカチオンMがカリウムであるL型ゼオライトを指す。KL型ゼオライトは、陽イオン交換(例えば、バリウムまたはセシウムを用いて)または遷移金属と1つ以上のハロゲン化物を含浸させて、遷移金属含浸ハロゲン化ゼオライトまたはKL担持遷移金属ハロゲン化物ゼオライト触媒を生成し得る。
【0120】
芳香族化触媒(フレッシュ、使用済み、再生、または再活性化)は、結合剤およびゼオライトを含んでもよい触媒担体を含む。結合剤の非限定的な例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、様々な粘土など、これらの混合酸化物、ならびにこれらの混合物が挙げられ得る。例えば、触媒担体は、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む結合剤を含み得る。他の態様では、触媒担体は、KL型ゼオライトと、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む結合剤とを含んでもよい。ゼオライトは、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて結合剤と結合させることができる。
【0121】
芳香族化触媒は、遷移金属を含むことができ、好適な遷移金属の非限定的な例としては、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、レニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、銅など、または2つ以上の遷移金属の組み合わせを挙げることができる。一態様において、遷移金属は、8~11族の遷移金属または8~10族の遷移金属(1つまたは複数)を含んでもよく、別の態様において、遷移金属は白金(Pt)を含んでもよい。
【0122】
別の態様では、触媒(フレッシュ、使用済み、再生、または再活性化)は、約0.1重量%~約10重量%の遷移金属を含み得る。別の態様では、触媒は、約0.3重量%~約5重量%の遷移金属を含み得る。さらに別の態様では、触媒は、約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、または約0.5重量%~約2重量%の遷移金属を含み得る。これらの重量パーセントは、「乾燥」触媒の重量に基づいており、炭素に起因するいかなる重量も除外する
【0123】
遷移金属が白金を含む状況では、触媒(フレッシュ、使用済み、再生、または再活性化)は、約0.1重量%~約10重量%の白金;代替的に、約0.3重量%~約5重量%の白金;代替的に、約0.3重量%~約3重量%の白金;または代替的に、約0.5重量%~約2重量%の白金を含み得る。本明細書で企図される特定の態様では、芳香族化触媒は、白金と、KL型ゼオライトを含む触媒担体とを含むことができる。
【0124】
それに限定されないが、触媒担体は、約5重量%~約35重量%の結合剤を含み得る。例えば、触媒担体は、約5重量%~約30重量%、または約10重量%~約30重量%の結合剤を含み得る。上記と同様に、これらの重量パーセントは、炭素に起因するいかなる重量も除外する触媒担体の重量に基づいている。
【0125】
一態様では、芳香族化触媒(フレッシュ、使用済み、再生、または再活性化)は、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などのハロゲン、または2つ以上のハロゲンの組み合わせをさらに含み得る。例えば、触媒は、塩素、またはフッ素を含んでもよく、または塩素とフッ素の両方を含んでもよい。塩素は、触媒中に、約0.01重量%~約5重量%、0.01重量%~約3重量%、または0重量%~約2重量%の量で存在し得る。同様に、触媒は、約0.01重量%~約5重量%のフッ素、約0.01重量%~約3重量%のフッ素、または0重量%~約2重量%のフッ素を含んでもよい。これらの重量パーセントは、乾燥触媒の重量に基づいており、炭素に起因するいかなる重量も除外する。いくつかの態様では、フレッシュ触媒、再生触媒、または再活性化触媒は、約0.5重量%~約3重量%の塩素およびフッ素のそれぞれを含有してもよい。しかし、使用済み触媒には、再生プロセスの前にハロゲンがほとんどまたは全く残っていない場合がある。
【0126】
触媒(フレッシュ、使用済み、または再生)が塩素とフッ素との両方を含む本発明の態様と一致して、典型的には塩素:フッ素のモル比は、約0.2:1~約4:1の範囲であり得る。Cl:Fの他の好適なモル比は、以下の非限定的範囲:約0.3:1~約4:1、約0.5:1~約4:1、約0.3:1~約3:1、約0.3:1~約2:1、または約0.5:1~約2.5:1を含んでもよい。
【0127】
本明細書に包含される代表的かつ非限定的な触媒の例としては、米国特許第5,196,631号、同第6,190,539号、同第6,406,614号、同第6,518,470号、同第6,812,180号、同第7,153,801号、および同第7,932,425号に開示されているものが挙げられ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0128】
本発明は、以下の例によってさらに説明されるが、それらは本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。本明細書の記載を読んだ後、それらの様々な他の態様、実施形態、修正形、および同等物が、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に想到され得る。
【0129】
各実施例において、以下の標準試験手順を利用した。触媒を粉砕し、約25~45メッシュに篩い分けし、1ccの篩い分けされた触媒を、温度制御された炉内の外径3/8インチのステンレス鋼反応器容器に入れた。分子状水素流下で触媒を還元した後、脂肪族炭化水素および分子状水素の供給流を100psigの圧力、モル比1.3:1のH:炭化水素、および12時間-1の液空間速度(LHSV)で反応容器に導入することにより、経時的な触媒性能データを取得した。脂肪族炭化水素原料は、約0.61モル分率の転換可能なC種および0.21モル分率の転換可能なC種を含有していた。残りは、転換不可能として分類されるC+芳香族化合物、および高度分岐異性体であった。反応器流出物の組成をガスクロマトグラフィーで分析して、全芳香族および芳香族選択性を決定した。
【0130】
触媒活性は、C で63重量%の定義された芳香族収率を得るために必要な温度によって定量化された。次いで、温度を時間に対してプロットし、経時的な触媒活性性能を評価した。したがって、温度が低いほど、触媒の活性が高くなる。芳香族化合物に対する選択性(mol/mol)を計算し、経時的な触媒選択性の比較にも使用した。
【0131】
実施例1~3
実施例1~3では、フレッシュ芳香族化触媒の性能を目標ベースラインとして用いて、使用済み触媒を再生する際の様々なプロセスおよび工程の有効性を実証するために実験を行った。フレッシュ芳香族化触媒は、約1重量%の白金、0.83重量%のCl、および0.84重量%のF(XRFで測定)を含有するPt/KL型ゼオライトであり、約177m/gの表面積、0.19cc/gの細孔容積、0.062cc/gの細孔容積を有していた。使用済み触媒の供給源はフレッシュ触媒であったが、芳香族化プロセスでの長期使用後に不活性化された後のものであった。これらの実施例で使用する前に、使用済み触媒は、使用済み触媒から未反応炭化水素および軽質炭素質堆積物を除去するために穏やかな部分デコーキング工程にかけられた。フレッシュ触媒および使用済み触媒の触媒活性ならびに触媒選択性データは、それぞれ図1および図2に要約されている。使用済み触媒は、不良な触媒活性を有し、63重量%の芳香族化合物の収率を達成するには、非常に高い温度が必要であった。また、使用済み触媒は、87%未満の許容できない芳香族選択性を有していた。
【0132】
実施例1
実施例1の再生手順は以下の通りであった。使用済み触媒を窒素下で、400°F(204℃)で16時間乾燥させた(GHSV=1500時間-1)。窒素ガス流で希釈した塩素(0.9体積%のCl)を、乾燥した使用済み触媒に300°F(149℃)で3時間かけて添加した。塩素化工程が完了した後、塩素化使用済み触媒を、窒素で400°F(204℃)で16時間パージした。パージ後、窒素ガスを空気と窒素との混合物(1体積%の酸素)に置き換えた。0.8°F/分の温度傾斜率(0.4℃/分)を使用して、触媒を750°F(340℃)まで44時間にわたって加熱した。炭素燃焼工程の後、フッ素を液相に添加した。まず、0.69gのフッ化アンモニウムを、13mLの脱イオン水に溶解し、次いで、38gの塩素化しデコーキングされた触媒に周囲温度でフッ素含有溶液を含浸させ、その後含浸触媒を4時間静置した。フッ素化触媒を95℃の最高温度で、真空下で3時間乾燥させ、続いて、空気中900°F(482℃)で1時間焼成した。次いで、再生された触媒を、上記手順を使用して芳香族化反応で試験し、結果を図3~4に示している。図3は、塩素含有化合物を気相に塩素ガスとして添加した再生手順を使用して、完全な触媒活性を触媒に戻し、続いて、水分の非存在下またはデコーキングガス流にハロゲンを添加せずにデコーキングし、続いて、フッ化アンモニウムとして液相に添加されたフッ素含有化合物を添加することを例解している。具体的には、図3は、40時間の実験を通して同じ芳香族化合物収率(c で63重量%)を達成するために、実施例1のフレッシュ触媒と再生触媒との両方に同じ温度が必要であり、実施例1のフレッシュ触媒および再生触媒が、実質的に同じ触媒活性を有していたことを示している。図4は、再生触媒の触媒選択性が、塩素含有化合物を気相に塩素ガスとして添加した再生手順を使用して、完全な触媒活性を触媒に戻し、続いて、水分の非存在下またはデコーキングガス流にハロゲンを添加せずにデコーキングし、続いて、フッ化アンモニウムとして液相に添加されたフッ素含有化合物を添加する再生手順を使用したフレッシュ触媒の選択性に匹敵したか、またはそれよりも良好であったことを例解している。具体的には、図4は、40時間の実験を通して実施例1の再生触媒について90~94%の範囲の芳香族選択性を示しており、これはフレッシュ触媒のものよりわずかに良好であった。
【0133】
実施例2
比較例2では、塩素化とフッ素化の両方の工程を、周囲温度の気相で実施した。実施例1と同様に、この手順は気相で塩素化が発生する固定床反応器を使用したが、塩素化温度は75°F(24℃)であった。温度を400°F(204℃)に上昇させ、16時間保持しながら、塩素化使用済み触媒を窒素でパージした。パージ後、窒素ガスを空気と窒素の混合物(1体積%の酸素)に置き換え、触媒を750°F(340℃)まで44時間加熱した。デコーキングされた触媒を、窒素ガス流中1体積%の酸素において室温まで冷却させた。窒素ガス流で希釈したフッ素(0.9体積%のF)を、デコーキングされた触媒に75°F(24℃)で3時間かけて添加した。フッ素化工程が完了した後、温度を400°F(204℃)に上昇させ、16時間保持しながら、フッ素化触媒を窒素でパージした。
【0134】
次いで、実施例2再生された触媒を、上記手順を使用して芳香族化反応で試験し、結果を図5~6に示している。図5は、一部の触媒活性が戻ったが、75°F(24℃)の気相で塩素含有化合物とフッ素含有化合物とを添加した再生手順を使用すると、触媒に完全な触媒活性は回復しなかったことを例解している。具体的には、図5は、40時間の実験を通してフレッシュ触媒と同じ芳香族収率(C で63重量%)を達成するために、実施例2の再生触媒にとってより高い温度が必要であることを示している。図6は、実施例2の再生手順を使用して、再生触媒の触媒選択性がフレッシュ触媒の選択性よりも優れていたことを例解している。具体的には、図6は、40時間の実験を通して実施例2の再生触媒についての93%の範囲の芳香族選択性を示しており、これはフレッシュ触媒の選択性よりも良好であった。
【表1】
【0135】
比較例2では、塩素化とフッ素化との両方の工程が気相で実施された。しかし、再生触媒を分析すると、固定床再生反応器の触媒床全体の塩素とフッ素との分布が均一ではないことが発見された(表Iを参照)。層1はガス状ハロゲン化物の入口点に最も近い触媒床の4分の1であって、層4は入口点から離れた触媒床の最も遠い4分の1であった。表Iは、気相で再生手順全体を実施することの重大な欠点を実証している。
【0136】
実施例3
比較例3では、塩素化とフッ素化との両方の工程が液相で実施された。まず、1.43gの塩化アンモニウムと1.82gのフッ化アンモニウムとを30mLの脱イオン水に溶解し、次いで、100gの使用済み触媒に、塩素/フッ素含有溶液を含浸させた。次いで、含浸した材料を最高温度95℃で真空乾燥した後、0.8°F/分の温度傾斜率(0.4℃/分)を使用して、空気中で、750°F(340℃)で44時間焼成した。次いで、比較例3の再生触媒を、上記手順を使用して芳香族化反応で試験した。図7~8は、選択性は触媒に戻ったが、活性は新鮮な触媒の活性よりもはるかに低く(約20~25°F 63重量%の芳香族の収率を達成するためには、より高い温度が必要であった)、実施例1の再生触媒の活性よりもはるかに低かったことを実証している。
【0137】
実施例1~3のフレッシュ触媒、使用済み触媒、および再生触媒の触媒特性を表IIに要約する。
【表2】
【0138】
本発明は、多数の態様および特定の実施例に関連して前述されている。上記の詳細な説明に照らして、多くの変形が当業者には自明であろう。すべてのそのような明白な変形例は、添付の特許請求の範囲の完全に意図された範囲内にある。本発明の他の態様は、以下を含んでもよいが、これらに限定されない(態様は、「含む」として記載されるが、代替的には、「から本質的になる」または「からなる」であってもよい)。
【0139】
態様1.改質方法であって、
(A)炭化水素供給原料を、遷移金属および触媒担体を含む芳香族化触媒と反応器システム内で改質条件下において接触させて、芳香族生成物を生成することと、
(B)工程(A)を、使用済み触媒を形成するのに十分な期間実行することと、
(C)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(D)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(E)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、方法。
【0140】
態様2.改質方法が、インサイチュプロセスであり、例えば、工程(A)~(E)が、同じ反応器システムで実行される、態様1に記載の方法。
【0141】
態様3.工程(E)が、工程(A)~(D)の反応器システムの外部で実行され、例えば、工程(E)が、改質反応器システムにない容器で実行される、態様1に記載の方法。
【0142】
態様4.工程(E)の後に触媒を還元する工程をさらに含む、態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0143】
態様5.遷移金属および触媒担体を含む使用済み触媒を再生する方法であって、
(1)使用済み触媒を、塩素含有化合物を含む塩素含有流と接触させて、塩素化使用済み触媒を生成することと、
(2)塩素化使用済み触媒を、酸素を含むデコーキングガス流と接触させて、デコーキングされた触媒を生成することと、
(3)デコーキングされた触媒を、フッ素含有化合物を含むフッ素含有溶液と接触させて、フッ素化触媒を生成することと、を含む、方法。
【0144】
態様6.フッ素含有溶液が、塩素含有化合物、および本明細書に開示されるいずれかの溶媒、例えば、水もしくは炭化水素溶媒を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)、態様1~5のいずれかに記載の方法。
【0145】
態様7.フッ素含有溶液が、水と、フッ化アンモニウムおよびフッ化テトラメチルアンモニウムのうちの少なくとも1つとを含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)、態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0146】
態様8.フッ素含有溶液中のフッ素含有化合物の量が、本明細書に開示されるいずれかの範囲、例えば約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のフッ素(F)の濃度を提供する、態様1~7のいずれかに記載の方法。
【0147】
態様9.フッ素含有溶液が、塩素含有化合物を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様1~8のいずれかに記載の方法。
【0148】
態様10.フッ素化工程が、本明細書に開示されるいずれかのフッ素化温度範囲におけるフッ素化温度、例えば、約20℃~約95℃、約30℃~約80℃、または約20℃~約50℃で行われる、態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0149】
態様11.フッ素化工程が、本明細書に開示されるいずれかのフッ素化期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1分~約48時間、約30分~約12時間、または約1~約10時間行われる、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0150】
態様12.塩素含有流が、塩素含有化合物、および本明細書に開示されるいずれかの不活性ガス、例えば、窒素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)、態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0151】
態様13.塩素含有流が、塩素ガス(Cl)および窒素を含む(またはこれらから本質的になる、もしくはこれからなる)、態様1~12のいずれかに記載の方法。
【0152】
態様14.塩素含有流中の塩素含有化合物の量が、本明細書に開示されるいずれかの範囲、例えば約10体積%未満、約5体積%未満の塩素(Cl)の濃度、約0.05~約5体積%の範囲、または約0.5~約3体積%の範囲の塩素含有流中の塩素(Cl)の濃度を提供する、態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0153】
態様15.塩素含有流が、酸素含有化合物および/またはフッ素含有化合物を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様1~14のいずれかに記載の方法。
【0154】
態様16.塩素化工程が、本明細書に開示されるいずれかの塩素化温度範囲における塩素化温度、例えば、約20℃~約300℃、約30℃~約250℃、または約50℃~約200℃で行われる、態様1~15のいずれかに記載の方法。
【0155】
態様17.塩素化工程が、本明細書に開示されるいずれかの塩素化期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1分~約48時間、約1~約12時間、または約2~約8時間で行われる、態様1~16のいずれかに記載の方法。
【0156】
態様18.デコーキングガス流が、本明細書に開示される不活性ガス(1つ以上)と酸素との任意の組み合わせ、例えば、窒素と酸素との混合物、空気、または空気と窒素との混合物を含む(またはこれら本質的になるか、もしくはこれらからなる)、態様1~17のいずれかに記載の方法。
【0157】
態様19.デコーキングガス流が、本明細書に開示されるいずれかの最大量未満、またはいずれかの範囲よりも少ない酸素のモル%、例えば約5モル%未満、または約0.5~約3モル%の範囲のモル%の酸素を含む、態様1~18のいずれかに記載の方法。
【0158】
態様20.デコーキングガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(例えば、実質的にハロゲンを含まない、実質的に塩素を含まない)、例えば、100ppmw未満である、態様1~19のいずれかに記載の方法。
【0159】
態様21.デコーキングガス流が、水を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様1~20のいずれかに記載の方法。
【0160】
態様22.炭素燃焼工程が、本明細書に開示されるいずれかのピークデコーキング温度範囲におけるピークデコーキング温度、例えば、約150℃~約600℃、約200℃~約500℃、または約300℃~約500℃で行われる、態様1~21のいずれかに記載の方法。
【0161】
態様23.炭素燃焼工程が、本明細書に開示されるいずれかの塩素化温度と同じである初期デコーキング温度、例えば、約20℃~約300℃、約30℃~約250℃、または約50℃~約200℃で開始される、態様1~22のいずれかに記載の方法。
【0162】
態様24.炭素燃焼工程が、本明細書に開示されるいずれかのデコーキング期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1~約72時間、約12~約48時間、または約1~約6時間で行われる、態様1~23のいずれかに記載の方法。
【0163】
態様25.炭素燃焼工程が、塩素化使用済み触媒上の炭素の重量%を、本明細書に開示されるいずれかの最大重量パーセント未満の炭素に、例えば、約1重量%未満に減少させるのに十分な期間にわたって行われる、態様1~24のいずれかに記載の方法。
【0164】
態様26.方法が、塩素化工程の前に部分的デコーキング工程をさらに含み、部分的デコーキング工程が、使用済み触媒を、酸素を含む部分的デコーキングガス流と接触させることを含む、態様1~25のいずれかに記載の方法。
【0165】
態様27.部分的デコーキングガス流が、本明細書に開示される不活性ガス(1つ以上)と酸素との任意の組み合わせ、例えば、窒素と酸素との混合物、または空気を含む(またはこれらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)、態様26に記載の方法。
【0166】
態様28.部分的デコーキングガス流が、本明細書に開示されるいずれかの最大量未満、またはいずれかの範囲よりも少ない酸素のモル%、例えば約5モル%未満、または約0.5~約3モル%の範囲のモル%の酸素を含む、態様26~27のいずれかに記載の方法。
【0167】
態様29.部分的デコーキングガス流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(例えば、実質的にハロゲンを含まない)、例えば、100ppmw未満である、態様26~28のいずれかに記載の方法。
【0168】
態様30.部分的デコーキングガス流が、水を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様26~29のいずれかに記載の方法。
【0169】
態様31.部分的デコーキング工程が、本明細書に開示されるいずれかの部分的デコーキング温度範囲、例えば約150℃~約250℃の部分的デコーキング温度で行われる、態様26~30のいずれかに記載の方法。
【0170】
態様32.部分的デコーキング工程が、本明細書に開示されるいずれかのデコーキング期間の範囲における期間にわたって、例えば、約2~約24時間で行われる、態様26~31のいずれかに記載の方法。
【0171】
態様33.部分的デコーキング工程が、使用済み触媒上の炭素の重量%を、本明細書に開示されるいずれかの重量パーセントの範囲の炭素に、例えば、約1~10重量%、または約0.5~約3重量%まで低減するのに十分な期間にわたって行われる、態様26~32のいずれかに記載の方法。
【0172】
態様34.塩素化工程の前に予備乾燥工程をさらに含み、予備乾燥工程が、使用済み触媒を、本明細書に開示されるいずれかの不活性ガス、例えば窒素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)予備乾燥ガス流と接触させることを含む、態様1~33のいずれかに記載の方法。
【0173】
態様35.予備乾燥ガス流が、酸素含有化合物を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様34に記載の方法。
【0174】
態様36.予備乾燥工程が、本明細書に開示されるいずれかの予備乾燥温度範囲における予備乾燥温度、例えば、約100℃~約500℃、約20℃~約400℃、または約180℃~約280℃で行われる、態様34~35のいずれかに記載の方法。
【0175】
態様37.予備乾燥工程が、本明細書に開示されるいずれかの予備乾燥期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1~約48時間で行われる、態様34~36のいずれかに記載の方法。
【0176】
態様38.予備乾燥工程が、使用済み触媒含水率を、本明細書に開示される使用済み触媒のいずれかの最大含水率未満に、例えば約4重量%未満、または約1重量%未満に減少させるのに十分な期間にわたって行われる、態様34~37のいずれかに記載の方法。
【0177】
態様39.方法が、炭素燃焼工程の前に塩素パージ工程をさらに含み、塩素パージ工程が、塩素化使用済み触媒を、本明細書に開示されるいずれかの不活性ガス、例えば窒素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)塩素パージ流と接触させることを含む、態様1~38のいずれかに記載の方法。
【0178】
態様40.塩素パージ流が、酸素含有化合物を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様39に記載の方法。
【0179】
態様41.塩素パージ流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(実質的にハロゲンを含まない)、例えば、100ppmw未満である、態様39~40のいずれかに記載の方法。
【0180】
態様42.塩素パージ工程が、本明細書に開示されるいずれかの塩素パージ温度範囲における塩素パージ温度、例えば、約20℃~約400℃、約30℃~約300℃、または約30℃~約250℃で行われる、態様39~41のいずれかに記載の方法。
【0181】
態様43.塩素パージ工程が、本明細書に開示されるいずれかの塩素パージ期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1~約48時間で行われる、態様39~42のいずれかに記載の方法。
【0182】
態様44.塩素パージ工程が、塩素化使用済み触媒と接触させた後、出て行く塩素パージ流出物流の塩素含有量を本明細書に記載のいずれか最大塩素含有量未満に、例えば、約100ppmw未満の塩素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、態様39~43のいずれかに記載の方法。
【0183】
態様45.方法が、フッ素化工程の後にエージング工程をさらに含み、エージング工程が、任意の適切な条件、例えば約20℃~約100℃の温度、ほぼ周囲圧力~約500psigの圧力、約1分~約10日の期間、およびフッ素化触媒が静止または移動/混合する条件下で、フッ素化触媒をフッ素含有溶液中で保存することを含む、態様1~44のいずれかに記載の方法。
【0184】
態様46.方法が、フッ素化工程の後に、乾燥工程をさらに含み、乾燥工程が、フッ素化触媒を、ハロゲン化触媒の溶媒含有量を、本明細書に開示されるいずれかの残留溶媒含有量未満に、例えば、触媒の重量に基づいて、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、または8重量%未満の溶媒に減少させるのに十分な条件に供することを含む、態様1~45のいずれかに記載の方法。
【0185】
態様47.溶媒含有量を減少させるのに十分な条件が、任意の好適な乾燥時間、乾燥温度、および乾燥圧力を含む、態様46に記載の方法。
【0186】
態様48.溶媒含有量を減少させるのに十分な条件が、約1~約48時間、または約2~約24時間の範囲の乾燥時間、約15℃~約200℃、または約25℃~約150℃の範囲の乾燥温度、および大気圧に等しいか、または任意の好適な低大気圧に等しい乾燥圧力を含む、態様46に記載の方法。
【0187】
態様49.乾燥工程が、固定フッ素化触媒を乾燥すること、フッ素化触媒を流動化させること、またはフッ素化触媒を回転乾燥機で乾燥させることを含む、態様46~48のいずれかに記載の方法。
【0188】
態様50.方法が、フッ素化工程の後に焼成工程をさらに含み、焼成工程が、フッ素化触媒を任意の好適な焼成条件に供することを含む、態様1~49のいずれかに記載の方法。
【0189】
態様51.焼成工程が、本明細書に開示されるいずれかの焼成温度範囲における焼成温度、例えば、約200℃~約800℃、約250℃~約600℃、または約300℃~約500℃を含む、焼成条件で行われる、態様50に記載の方法。
【0190】
態様52.焼成工程が、本明細書に開示されるいずれかの焼成期間の範囲における焼成時間、例えば、約30分~約48時間、約1時間~約12時間、または約2時間~約8時間を含む、焼成条件で行われる、態様50~52のいずれかに記載の方法。
【0191】
態様53.方法が、炭素燃焼工程の後に酸素パージ工程をさらに含み、酸素パージ工程が、デコーキングした触媒を、本明細書に開示される任意の不活性ガス、例えば窒素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)酸素パージ流と接触させることを含む、態様1~52のいずれかに記載の方法。
【0192】
態様54.酸素パージ流が、酸素含有化合物を実質的に含まず、例えば、100ppmw未満である、態様53に記載の方法。
【0193】
態様55.酸素パージ流が、ハロゲン含有化合物を実質的に含まず(実質的にハロゲンを含まない)、例えば、100ppmw未満である、態様53~54のいずれかに記載の方法。
【0194】
態様56.酸素パージ工程が、本明細書に開示されるいずれかの酸素パージ温度範囲における酸素パージ温度、例えば、約25℃~約400℃、約30℃~約300℃、または約30℃~約250℃で行われる、態様53~55のいずれかに記載の方法。
【0195】
態様57.酸素パージ工程が、本明細書に開示される任意の酸素パージ期間の範囲における期間にわたって、例えば、約1~約48時間で行われる、態様53~56のいずれかに記載の方法。
【0196】
態様58.酸素パージ工程が、デコーキングされた触媒と接触させた後、出て行く酸素パージ流出物流の酸素含有量を本明細書に記載のいずれかの最大酸素含有量未満に、例えば、約100ppmw未満の酸素含有化合物に低減するのに十分な期間にわたって行われる、態様53~57のいずれかに記載の方法。
【0197】
態様59.方法が、フッ素化工程の後に還元工程をさらに含み、還元工程が、フッ素化触媒を、分子状水素を含む(またはこれから本質的になるか、もしくはこれからなる)還元ガス流と接触させることを含む、態様1~58のいずれかに記載の方法。
【0198】
態様60.還元ガス流が、本明細書に開示されるいずれかの最小量未満、またはいずれかの範囲よりも多い分子状水素のモル%、例えば、約25モル%超、または約75モル%超を含む、態様59に記載の方法。
【0199】
態様61.還元工程が、本明細書に開示されるいずれかのピーク還元温度におけるピーク還元温度で、例えば、約400℃~約600℃で行われる、態様59~60のいずれかに記載の方法。
【0200】
態様62.還元工程が、本明細書に開示されるいずれかの乾燥温度またはいずれかの焼成温度と同じ初期還元温度で開始される、態様59~61のいずれかに記載の方法。
【0201】
態様63.還元工程が、本明細書に開示されるいずれかの還元工程期間の範囲における期間にわたって、例えば、約10~約30時間で行われる、態様59~62のいずれかに記載の方法。
【0202】
態様64.触媒担体が、ゼオライト、非晶質無機酸化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様1~63のいずれかに記載の方法。
【0203】
態様65.触媒担体が、L-ゼオライト、Y-ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、および/またはベータゼオライトを含む、態様1~64のいずれかに記載の方法。
【0204】
態様66.触媒担体が、カリウムL-ゼオライト、またはバリウムイオン交換L-ゼオライトを含む、態様1~65のいずれかに記載の方法。
【0205】
態様67.触媒担体が、アルミナ、シリカ、これらの混合酸化物、またはこれらの混合物を含む、態様1~66のいずれかに記載の方法。
【0206】
態様68.遷移金属が、8~10族の遷移金属を含む、態様1~67のいずれかに記載の方法。
【0207】
態様69.遷移金属が、白金を含む、態様1~68のいずれかに記載の方法。
【0208】
態様70.触媒が、本明細書に開示されるいずれかの重量%の範囲の遷移金属、例えば、炭素を除く触媒の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、または約0.3重量%~約5重量%の遷移金属を含む、態様1~69のいずれかに記載の方法。
【0209】
態様71.触媒が、本明細書に開示されるいずれかの重量%の範囲の白金、例えば、炭素を除く触媒の重量に基づいて、約0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約2重量%の白金を含む、態様1~70のいずれかに記載の方法。
【0210】
態様72.触媒が、KL型ゼオライト上の白金を含む、態様1~71のいずれかに記載の方法。
【0211】
態様73.触媒が、塩素およびフッ素をさらに含む、態様1~72のいずれかに記載の方法。
【0212】
態様74.触媒が、本明細書に開示されるいずれかの重量%の範囲の塩素および/またはいずれかの重量%の範囲のフッ素、例えば、炭素を除く触媒の重量に基づいて、約0.01重量%~約5重量%、または約0~約2重量%のフッ素、および/または約0.01重量%~約5重量%、または0~約2重量%の塩素を含む、態様73に記載の方法。
【0213】
態様75.触媒が、本明細書に開示される塩素:フッ素のいずれかのモル比、例えば約0.3:1~約4:1を含む、態様73~74のいずれかに記載の方法。
【0214】
態様76.塩素含有化合物が、塩酸、塩素ガス(Cl)、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素-酸、二酸化塩素、一酸化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様1~75のいずれかに記載の方法。
【0215】
態様77.塩素含有化合物が、塩素ガス(Cl)、四塩化炭素、またはテトラクロロエチレンを含む、態様1~76のいずれかに記載の方法。
【0216】
態様78.フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、態様1~77のいずれかに記載の方法。
【0217】
態様79.フッ素含有化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組み合わせを含む、態様1~78のいずれかに記載の方法。
【0218】
態様80.態様1~79のいずれかに記載の方法によって生成された再活性化触媒または再生触媒。
【0219】
態様81.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示されたいずれかの範囲の活性を有し、例えば、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の触媒活性の約70%~約100%の活性、または同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した場合、フレッシュな参照触媒のものと実質的に同じ触媒活性を有する、態様80に記載の触媒。
【0220】
態様82.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示されたいずれかの範囲の選択性を有し、例えば、同じ装置で、かつ同じ方法および試験条件下で試験した場合、触媒の同じ生産運転のフレッシュな参照触媒の触媒選択性の約80%~約105%、または約98%~約105%の触媒選択性を有する、態様80~81のいずれかに記載の触媒。
【0221】
態様83.再活性化触媒または再生触媒が、本明細書に開示されるいずれかの選択性範囲における、例えば約0.88~約0.94、または約0.90~約0.94の芳香族選択性によって特徴付けられる、態様80~82のいずれかに記載の触媒。
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