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特許7144458モバイル機器に組み込むための複数のカメラを有するモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】モバイル機器に組み込むための複数のカメラを有するモジュール
(51)【国際特許分類】
   G03B 19/07 20210101AFI20220921BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20220921BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220921BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G03B19/07
G03B5/00 J
G02B7/04 D
G02B7/04 E
H04N5/225 400
H04N5/225 700
H04N5/225 800
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019569234
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067510
(87)【国際公開番号】W WO2019002523
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】17179041.3
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511009547
【氏名又は名称】ポライト アーエスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】タラロン、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ハコラ、マヌ
(72)【発明者】
【氏名】クレイン、ピエール
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1648710(CN,A)
【文献】中国実用新案第202256995(CN,U)
【文献】特開2004-260787(JP,A)
【文献】特開2014-182368(JP,A)
【文献】特表2016-540417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 19/07
G03B 5/00-5/08
G02B 7/02-7/16
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話に組み込むための複数のカメラを有するモジュール(100)であって、前記モジュールは、
-第1イメージセンサと、第1レンズアセンブリ(103)と、を有する、第1カメラアセンブリ(102)であって、前記第1レンズアセンブリは、第1有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第1カメラアセンブリは、第1光軸および第1センサ軸を画定し、前記第1センサ軸は、前記第1イメージセンサに対して垂直である、第1カメラアセンブリと、
-第2イメージセンサと、第2レンズアセンブリ(105)と、を有する、第2カメラアセンブリ(104)であって、前記第2レンズアセンブリは、第2有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第2カメラアセンブリは、第2光軸および第2センサ軸を画定し、前記第2センサ軸は、前記第2イメージセンサに対して垂直であり、前記第1有効焦点距離は、前記第2有効焦点距離よりも短く(EFL<EFL)、前記第2カメラアセンブリは、前記第2レンズアセンブリと前記第2イメージセンサとの間で前記第2光軸を折り曲げるように適合された折り曲げミラー(106)を備える、第2カメラアセンブリと、
-前記第1光軸および前記第2光軸が対象空間内で平行になるように、前記第1カメラアセンブリおよび前記第2カメラアセンブリを支持するように構成された機械的フレームと、
を備え、
前記第1レンズアセンブリまたは前記第2レンズアセンブリは、調整可能な有効焦点距離を有するチューナブルレンズを備え、前記チューナブルレンズは、選択された可撓性を有する透明層と、前記透明層を曲げるように構成されたアクチュエータと、変形可能なレンズ本体の第1面において前記透明層と接触して配置される前記変形可能なレンズ本体とを含み、
前記第2カメラアセンブリは2つ以上の折り曲げミラーを含み、
前記第2カメラアセンブリ(104)の前記2つ以上の折り曲げミラー、前記第2カメラアセンブリの前記第光軸のセグメントが3次元空間にわたって広がるように配置され、
前記第2カメラアセンブリ(104)の前記2つ以上の折り曲げミラーは、前記第1カメラアセンブリの周囲および前記第1光軸の周りで前記第2光軸を折り曲げるように配置され、前記周囲は、前記第1光軸を取り囲み、
前記第1および第2センサ軸は、互いに垂直であるように配置される、
モジュール。
【請求項2】
前記変形可能なレンズ本体(3)は、
(a)前記透明層の通常の動作における重力による変形を回避する、300Paより大きい弾性率と、
(b)1.35を超える屈折率と、
(c)前記変形可能なレンズ本体の厚さ1ミリメートル当たり10%未満である、可視範囲における吸光度と、
を有し、
前記変形可能なレンズ本体は、架橋ポリマーまたは部分架橋ポリマーのポリマー網目組織を含み、混和性油または油の組み合わせをさらに含み、それによって、前記架橋ポリマーまたは部分架橋ポリマーのポリマー網目組織の屈折率を増加させる、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項3】
前記第1カメラアセンブリ(102)および前記第2カメラアセンブリ(104)の両方が、チューナブルレンズを備える
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項4】
前記第1カメラアセンブリ(102)は、ボイスコイルモータ(VCM)を含み、前記第2カメラアセンブリ(104)は、チューナブルレンズを含む、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項5】
前記第2レンズアセンブリ(10)または前記第1レンズアセンブリ(10)のいずれかが、固定された有効焦点距離を有する、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項6】
前記固定された有効焦点距離レンズは、前記第1レンズアセンブリ(10)であり、前記チューナブルレンズは、前記第2レンズアセンブリ(10)に含まれる、
請求項5に記載のモジュール(100)。
【請求項7】
前記第2カメラアセンブリ(104)の前記折り曲げミラーは、入射光の一部が前記折り曲げミラーを透過することを可能にするビームスプリッタを含み、前記折り曲げミラーは、さらに、前記ミラーの裏側に空間を画定するように配置され、前記裏側は、前記第2カメラアセンブリの光路とは反対側にあり、前記モジュール(100)は前記透過した光と相互作用するように前記空間内に配置された構成要素をさらに含む、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項8】
前記構成要素は、飛行時間質量分析装置、レーザ、位相検出装置、閉ループシステム、テレメータ、レンジファインダのグループから選択される、
請求項7に記載のモジュール(100)。
【請求項9】
前記第1カメラアセンブリ(102)または前記第2カメラアセンブリ(104)は、光学式手ぶれ補正(OIS)を提供するように構成される、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項10】
前記光学式手ぶれ補正アセンブリが、前記レンズ本体と前記第2カメラアセンブリ(104)の前記折り曲げミラーとの間の前記第2光軸上に配置される、
請求項9に記載のモジュール(100)。
【請求項11】
前記折り曲げミラー(106)は、前記第2カメラアセンブリ(104)の使用中に傾きを能動的に調整するために調整可能に取り付けられる、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項12】
前記モジュールは、第3カメラアセンブリを含む、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項13】
-前記第1有効焦点距離(EFL)は、少なくとも3mmであり、
および/または
-前記第2有効焦点距離(EFL)は、少なくとも9mmである、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項14】
-前記第1光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも3mmであり、
および/または
-前記第2光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも9mmである、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項15】
-前記第1有効焦点距離(EFL)は、少なくとも5mmであり、
および/または
-前記第2有効焦点距離(EFL)は、少なくとも15mmである、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項16】
-前記第1光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも5mmであり、
および/または
-前記第2光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも15mmである、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項17】
前記第1光軸と前記第2光軸との間の距離は、8mm以下である、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項18】
前記第1光軸と前記第2との間の距離は、5mm以下である、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項19】
-前記第2有効焦点距離(EFL)が、15mm未満である、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【請求項20】
-前記第2光軸に沿った総トラック長(TTL)が、15mm未満である、
請求項1に記載のモジュール(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル機器に関し、より具体的には、そのような機器のためのカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話または他のタイプのモバイル機器のためのカメラまたはカメラモジュールは、過去10年間に急速に拡大してきた。そのようなカメラまたはモジュールは、より高い解像度、改善されたダイナミックレンジ、改善されたオートフォーカスや他の光学パラメータへと進んでいる。例えば、携帯電話製造業者は、より薄型の機器を製造しようとしているので、性能に対する要求が高まっている一方で、実際のカメラモジュールを小型化するための努力も高まっている。同時に、これらのカメラモジュールにおいてズーム機能を達成することが継続的に望まれている。
【0003】
国際公開第2015/058157号パンフレットは、同じ画像エリアの部分をキャプチャするために使用される異なる光学チェーンに対応するセンサからの画素値の行の読み出しを制御するための方法および装置を記載している。いくつかの実施形態では、読み出しは、ユーザ入力および/またはキャプチャされた画像もしくはキャプチャされた画像の一部分における動きの速度に関する決定に基づいて制御される。低速の動きの場合、より大きい焦点距離を有する1つまたは複数の光学チェーンに対応する1つまたは複数のセンサの画素行読み出し速度は通常の速度で進むことができるが、小さい焦点距離に対応するセンサの読み出し速度は低速化され得る。いくつかの実施形態では、高速の動きの場合、より小さい焦点距離を有する光学チェーンに対応するセンサの読み出し速度は、通常の速度で進むことができる。
【0004】
オートフォーカスやズームは、比較的長い距離にわたって、レンズスタック内のレンズの位置を高精度に調整する能力を必要とし、また複雑でかさばる解決策を必要とするもので、特にモバイル機器用のコンパクトカメラモジュールにとっては、技術的に困難であるか、または受け入れられないものである。レンズ構造において、レンズまたはレンズ群を移動させることによって光パワー変動を生成(ズーム機能を実現する古典的な方法)する代わりに、例えば、フランスのVarioptic社によって市販されているようなチューナブルレンズを用いてズームを生成する試みがなされてきたが、これらの解決策は依然としてかさばるものであり、より薄型にという携帯電話のモバイルトレンド要件に適合しない(すなわち、5Mピクセル、1/4インチセンサの場合、解決策は25~30mmもの長さであった)。デジタル画像処理の発展に伴い、ズーム機能を生成するための1つの実証された解決策は、短い有効焦点レンズおよび長い有効焦点レンズなどの異なる視野を有する2つのカメラそれぞれを組み合わせることであった。そのようなデュアルカメラデザインの一例は、Corephotonics(http://Corephotonics.com/news-posts/omnivision-Corephotonics-announce-dual-camera-zoom-reference-design-smartphones/)によって提示された。一般に、このようなカメラモジュールは、焦点の合った画像をキャプチャするために、また、一般に良好な画質を達成するために、フォーカス機能を必要とする。したがって、特に、長い有効焦点距離(EFL)カメラモジュールの場合、レンズの調整範囲、または「ストローク」は、長いEFLレンズ/カメラにとって十分でなければならない。良好なズーム比(すなわち、3または5×倍率ズーム)を生成する機能を提供する解決策を実現することは比較的容易であるが、特に、長い有効焦点レンズカメラは比較的かさばり、長いものになってしまう(すなわち、短いEFLは3mmの範囲内であり得るが、長い有効焦点距離は、典型的には1/3インチのセンサフォーマットに対して、9~15mmの範囲内の長さ)。短いEFLカメラは、実際の携帯電話のサイズまたは厚さの限界である5~6mmに適合する薄いカメラモジュールに対応するが、長い有効焦点距離は、これらの要件に適合しない。従来の望遠レンズ設計を使用することによって、長い有効焦点距離の総厚を減少させる方法はあるものの、このような解決策は複雑さを追加し、なおかつ5~6mmの必要な機械的長さを達成するものではない。
【0005】
5ジオプトリの対象空間における所与の焦点距離能力の場合、レンズ変位の同等のストロークは、1mmレンジの15mmのEFLの場合、EFL×EFL×5ジオプトリの範囲にあることが知られている。
【0006】
ボイスコイルモータ(VCM)技術を用いるカメラモジュールが、オートフォーカスを提供することが知られているが、(ミリメートルレンジの)ズーム機能に必要なストロークの達成については、いくつかの問題があり、それは例えば、長い必要なストロークのために、適切な光軸の安定性や十分な速さのフォーカス速度を達成することに関するものである。VCM技術は、本質的に磁気干渉を受けやすく、またストロークを増加させると電力消費が著しく増加する。
【0007】
したがって、改善されたカメラモジュールが有利である。特に、より効率的で、コンパクトで、かつ/または信頼性の高いズーム対応カメラモジュールが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、先行技術の代替物を提供することを目的とする。
【0009】
特に、モバイル機器に組み込むために、オートフォーカスやズーム機能の両方を提供する小型モジュールを実現することに関して、先行技術の上述の問題を解決するカメラモジュールを提供することが、本発明の更なる目的として理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、上述の目的およびいくつかの他の目的は、本発明の第1の態様において、携帯電話に組み込むための複数のカメラを有するモジュールを提供することによって達成されることが意図される。モジュールは、第1イメージセンサと、第1レンズアセンブリと、を有する、第1カメラアセンブリを備える。第1レンズアセンブリは、第1有効焦点距離(EFL)を有するように構成される。第1カメラアセンブリは、第1光軸および第1センサ軸を画定し、第1センサ軸は、第1イメージセンサに対して実質的に垂直である。モジュールは、第2イメージセンサと、第2レンズアセンブリと、を有する、第2カメラアセンブリをさらに備える。第2レンズアセンブリは、第2有効焦点距離(EFL)を有するように構成される。第2カメラアセンブリは、第2光軸および第2センサ軸を画定し、第2センサ軸は、第2イメージセンサに対して実質的に垂直である。第1有効焦点距離は、第2有効焦点距離よりも短い(EFL<EFL)。第2カメラアセンブリは、第2レンズアセンブリと第2イメージセンサとの間で第2光軸を折り曲げるように適合された折り曲げミラーを備える。最後に、モジュールは、第1光軸および第2光軸が対象空間内で実質的に平行になるように、第1カメラアセンブリおよび第2カメラアセンブリを支持するように構成された機械的フレームを備える。第1レンズアセンブリまたは第2レンズアセンブリは、調整可能な有効焦点距離を有するチューナブルレンズを備え、チューナブルレンズは、選択された可撓性を有する透明層と、透明層を曲げるように構成されたアクチュエータと、変形可能なレンズ本体の第1面において透明層と接触して配置される変形可能なレンズ本体とを含む。本明細書に記載されるようなチューナブルレンズ(以下において「透明光学デバイス素子」とも呼ばれる)は、非常にコンパクトなアクチュエータや光軸において得られる高い安定性があることから、この用途に非常によく適している。
このようなレンズの例は、本出願人による国際特許出願PCT/EP2014/055391号にさらに記載されており、この出願は、本発明によるモジュールの一部として適している、変形可能なレンズ本体などのチューナブルレンズの詳細を説明する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。特に、この構成は、同じ視野方向を共有する、長い有効焦点距離レンズ(「ロングレンズ」)および短い有効焦点距離レンズ(「ショートレンズ」)がコンパクトな態様で配置され得ることを可能にし、これは、例えば、モバイル機器にとって非常に魅力的である。例えば、このような構成は、ショートレンズで撮影された広角画像と、ロングレンズで撮影された狭角画像との間の画像データを補間することでズーム機能を与えるよう、デジタル画像処理と共に用いられてもよい。すなわち、好ましくはロングレンズの視野が、完全にショートレンズの視野内にあるように、2つのカメラアセンブリは、同じ景色を共有する。チューナブルレンズは、非常にコンパクトな設置面積でオートフォーカスを提供するもので、これは、携帯電話内における2つのカメラの必要なスペースを制限するため、また2つのカメラ間の視差を制限するために、2つのカメラが互いに接近してスペースをとることができることを意味する。第2カメラアセンブリの光軸を折り曲げることで、カメラモジュールやこのような携帯電話の必要な厚み、を増大させることなく、長い有効焦点距離を使用できるように、第2イメージセンサを第2レンズアセンブリから十分に離して配置させ得ることを確実にする。
【0011】
より具体的には、本発明の第1の態様の実施形態によるような、本発明の第1の態様では、携帯電話に組み込むための複数のカメラを有するモジュールであって、前記モジュールは、
-第1イメージセンサと、第1レンズアセンブリと、を有する第1カメラアセンブリであって、前記第1レンズアセンブリは、第1有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第1カメラアセンブリは、第1光軸および第1センサ軸を画定し、前記第1センサ軸は、前記第1イメージセンサに対して実質的に垂直である、第1カメラアセンブリと、
-第2イメージセンサと、第2レンズアセンブリと、を有する第2カメラアセンブリであって、前記第2レンズアセンブリは、第2有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第2カメラアセンブリは、第2光軸および第2センサ軸を画定し、前記第2センサ軸は、前記第2イメージセンサに対して実質的に垂直であり、前記第1有効焦点距離は、前記第2有効焦点距離よりも短く(EFL<EFL)、前記第2カメラアセンブリは、前記第2レンズアセンブリと前記第2イメージセンサとの間で前記第2光軸を折り曲げるように適合された折り曲げミラーを備える、第2カメラアセンブリと、
-前記第1光軸および前記第2光軸が対象空間内で実質的に平行になるように、前記第1カメラアセンブリおよび前記第2カメラアセンブリを支持するように構成された機械的フレームと、
を備え、
前記第1レンズアセンブリまたは前記第2レンズアセンブリは、調整可能な有効焦点距離を有するチューナブルレンズを備え、前記チューナブルレンズは、選択された可撓性を有する透明層と、前記透明層を曲げるように構成されたアクチュエータと、変形可能なレンズ本体の第1面において前記透明層と接触して配置される前記変形可能なレンズ本体とを含み、前記第2カメラアセンブリは2つ以上の折り曲げミラーを含む、モジュールを提供する。
【0012】
2つの折り曲げミラーを有することの利点は、コンパクトなモジュールを達成するために、さらに長い有効焦点距離のカメラアセンブリを第1カメラアセンブリの周りを包むようにすることができることである。複数のカメラを有する、よりコンパクトなモジュールを実現することができる。
【0013】
代替の実施形態では、第2カメラアセンブリが1つ以上の折り曲げミラーを備える。そのような代替の実施形態は、従属請求項のいずれか1つに対応する特定の実施形態など、任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0014】
本出願の文脈において、カメラは、対象空間を画像空間(例えば、レンズ、対物レンズ、または開口)に結像するための光学アセンブリと、画像を記録するために光学アセンブリの画像空間に配置されたイメージセンサとを備える装置として理解されるべきである。カメラは、光学アセンブリとイメージセンサとの間の相互関係を維持するための機械的構造またはフレームをさらに備える。イメージセンサによって検出された生信号は一般に、専用プロセッサおよび汎用プロセッサのいずれか、または両方の組合せにおいて、電子処理によって画像情報に処理される。いくつかの専用プロセッサは、また、2つ以上のイメージセンサからの生信号を同時にまたは交互に処理することを可能にしてもよい。
【0015】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第2カメラアセンブリの前記2つ以上の折り曲げミラーは、前記第1カメラアセンブリの周りで前記第2光軸を折り曲げるように配置される。これは、複数のカメラを有する、よりコンパクトなモジュールを実現することができるので、有利であり得る。「周りで・・・折り曲げる」ことによって、第2カメラアセンブリの光軸の異なる部分の間に、第1カメラアセンブリと交差する線を引くことができることを理解することができる。これは、第2カメラアセンブリの内側の空間を、少なくとも部分的に、第1カメラアセンブリのために利用することができるので、コンパクトさを達成するために有利であり得る。
【0016】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第2カメラアセンブリの前記2つ以上の折り曲げミラーが、前記第2カメラアセンブリの前記光軸のセグメントが3次元空間にわたるように配置される。この利点は、3次元を利用することを可能にし、それによって、他の1~2次元の自由度を与え、よりコンパクトな設計を可能にすることである。
【0017】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記第2光軸と前記第2レンズアセンブリとの間の第1交点から、
-前記第2光軸と前記第2イメージセンサとの間の第2交点まで、
の最大距離は、
【数1】
によって与えられる距離の、例えば99%未満、例えば98%未満、例えば95%未満、例えば90%未満、例えば80%未満、例えば75%未満、例えば70%未満、例えば60%未満、例えば50%未満、例えば40%未満、例えば30%未満、例えば30%未満、例えば25%未満、例えば20%未満、例えば10%未満であり、前記第1交点は、光子が前記光軸に沿って前記第2レンズアセンブリの外部から前記第2レンズアセンブリ内に移動するための、前記光軸と前記レンズアセンブリとの間の第1接触点(前記光軸と前記第2レンズアセンブリの前記第1光学素子との間の第1接触点など)などである。第1交点は、一般に、第2光軸と第2レンズアセンブリとの間の任意の交点であってもよいが、第2交点までの距離が最大になる交点であることによって画定される。第1交点は、典型的には、光子が光軸に沿って第2レンズアセンブリの外部から第2レンズアセンブリ内に移動するための、光軸とレンズアセンブリとの間の第1接触点、例えば、光軸と第2レンズアセンブリの第1光学素子との間の第1接触点であってもよい。別の実施形態では、前述の最大距離は、第2レンズアセンブリ内の第2光軸上の2つの点の間の最大距離と置き換えることができる。
【0018】
この実施形態は、第2ミラー(望ましい折り曲げが行われる場合)の可能な利点を数量化するものと見なすことができるものであり、すなわち、例えば、光線の(レンズにおける)入口点と(イメージセンサにおける)終点との間の直線距離(bee-line distance)が、光線を曲げ「戻し」たりしない(したがって、光路の異なるセグメントに逆平行な成分がある)、または、面外に曲げたりしない、単一のミラーまたは多数のミラーによって達成することができる間隔よりも近いものとなる。これは、モジュール全体をコンパクトに保つことができるということを伴うものである。
【0019】
本発明によるモジュールの一実施形態では、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体が、非流体弾性材料から作製される。レンズ本体は非流体であるので、レンズ本体を保持するための密閉は必要とされず、漏れの危険はない。そのような一実施形態では、レンズ本体がシリコーン、ポリマーゲル、架橋ポリマーまたは部分架橋ポリマーのポリマー網目組織、および混和性油または油の組合せなど、いくつかの異なる材料を含むことができる軟質ポリマーから作製される。軟質ポリマーを使用することで、ポリマーが空気と接触するレンズを製造することができ、したがってレンズの焦点距離を調節する際に必要とされる力は、はるかに小さなものになる。また、たとえ異なる製造工程が、異なる場所または施設においてローカライズされている場合でも、ポリマーが適切に保持するので、製造が容易になる。これはまた、レンズを調整するために必要な力を低減するために、また環境における温度や圧力の変動によって起こる歪みを低減するために、圧縮性ガスの漏れチャネルまたは気泡を提供することを可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、変形可能なレンズ本体が架橋または部分架橋ポリマーのポリマー網目組織と、混和性油または油の組み合わせとを含み、それによって、架橋または部分架橋ポリマーの前記ポリマーネットワークの屈折率を増加させる。
【0021】
一実施形態では、
前記変形可能なレンズ本体は、
(a)前記透明光学デバイス素子の通常の動作における重力による変形を回避する、300Paより大きい弾性率と、
(b)1.35を超える屈折率と、
(c)前記変形可能なレンズ本体の厚さ1ミリメートル当たり10%未満である、可視範囲における吸光度と、
を有する。
【0022】
レンズ本体を所定の位置に保持し、その変形をカバー膜の直下の領域に集中させるために、レンズアセンブリは、カバー膜の反対の位置にあるレンズ本体の一部の形状の変化を抑制するように適合された構造要素をさらに備えてもよい。これらの構造要素は、バックウィンドウ上に配置され、レンズ本体と接触していてもよい。これらの構造要素は、レンズ本体と同一または類似の屈折率を有する材料の1つ以上のロッドまたはピラーであってもよい。しかしながら、構造要素は、異なる材料パラメータ、例えば、レンズ本体よりも高いヤング率を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、これらの構造要素が、レンズ本体内に、またはレンズ本体に隣接して、光軸上に配置される中央部材であってもよい。中央部材は、屈曲可能な透明カバー部材が第2方向に動かされるときに、レンズ本体からの反力の半径方向の変化をレンズ本体に提供させることができ、反力は、半径が増加するにつれて減少する。この半径方向の変化は、以下からの結果であってもよい。
-中央部材が、異なる物質パラメータ(例えば、ヤング率)を有するレンズ本体の一部であってもよい場合の、レンズ本体の硬さの変化。
-レンズ本体とは異なっていて、レンズ本体内に配置されており、光軸を中心とした、レンズ本体よりも硬い物体。
-レンズ本体よりも硬く、バックウィンドウに面するレンズ本体の端部に中心対称の凹形状を付与するようにレンズ本体の下に配置されている中央部材によって起こる、レンズ本体の厚さの半径方向の変化。
これら全ての実装の効果は、レンズ本体の中央部分が上方から押された際、より硬く感じられることであり、レンズ本体の、このより硬い「コア」は、レンズカバーの中央領域のための回転軸および支持である。
【0024】
アクチュエータは、フォーカス調節および画像安定化を提供するように屈曲可能な透明カバー部材を成形する機能を有する、異なるタイプのアクチュエータ、例えば圧電アクチュエータであってもよい。
【0025】
別のタイプのアクチュエータは、それぞれコイルおよび磁石を含むことが好ましく、アクチュエータの処理は、コイルを通して電流を引き込むことを含む。
バックウィンドウは、レンズ本体と接触している。
レンズ本体の反対側のバックウィンドウの表面は、凹面または凸面であってもよく、レンズの(デ)フォーカス効果を改善してもよい。
バックウィンドウは、高い光学品質であることが好ましく、また、ガラスまたはポリカーボネートのような通常の光学プラスチックから作られることが好ましい。
【0026】
バックウィンドウは、携帯電話カメラなどといった、レンズアセンブリを含む装置のためのカバーガラスを形成してもよい。これは、層の数を減らし、また、フレアを減らして透過率を改善することによって光学品質を改善する。バックウィンドウは、反射防止コーティング(ARC)を有してもよく、また、レンズ本体または屈曲可能な透明カバー部材のフィルタリング特性と組み合わせられたIRフィルタ機能を提供してもよい。
【0027】
バックウィンドウは、例えば、SiOまたはガラスの、平坦な透明基板であることが好ましい。バックウィンドウは、レンズ本体に面する平坦な表面を有することが好ましい。レンズ本体に面する側から離れた反対の表面は、平坦であってもよく、または、例えば、レンズの背面を構成するために球面形状であるなど、凸状または凹状であってもよい。しかしながら、他の実施形態においては、バックウィンドウは、非球面形状とともに球面部分もあるなどの、湾曲した基板であってもよい。
【0028】
別の実施形態では、バックウィンドウが、タッチスクリーンの透明基板の一部を形成する。そのようなタッチスクリーンは、携帯電話、タブレット、コンピュータモニタ、GPS、メディアプレーヤ、時計などの多くの電子機器において標準的なものである。
そのようなタッチセンシティブスクリーンは、抵抗システム、容量システム、弾性表面波システム、赤外システムなどの様々なタッチスクリーン技術に基づいてもよく、それらの全ては、そのベースに透明基板を含んでいる。
【0029】
透明光学装置要素は、前述の変形可能なレンズ本体を通過する電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段を含んでもよい。
電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、レンズ本体内にあってもよく、レンズ本体の表面上にコーティングされてもよく、カバー部材内にあってもよく、バックウィンドウにあってもよく、または一方もしくは両方にコーティングされてもよい。
【0030】
いくつかのさらなる実施形態では、電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体の第2面と接触し、第2面は、前述の第1面の反対側にある。
【0031】
したがって、変形可能なレンズ本体を通過する電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、第1面の反対側にある第2面上に配置されてもよい。
【0032】
いくつかの他の実施形態では、電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体の第1面と接触している。
【0033】
電磁放射を選択的に透過するための1つ以上の手段は、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体の第1面上に配置されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、屈曲可能な透明カバー部材は、電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段を備えており、例えば、電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段が、屈曲可能な透明カバー部材の1つ以上の表面上にコーティングされるなどといったものである。
【0035】
電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体の第1および/または第2面上、および/または屈曲可能で透明なカバー部材の1つ以上の表面上に形成されたコーティングであってもよく、またはそれに含まれるものであってもよい。
【0036】
少なくとも1つの変形可能なレンズ本体は、電磁放射を選択的に透過するための1つ以上の手段を含んでもよい。電磁放射を選択的に透過するための1つ以上の手段は、少なくとも1つの変形可能なレンズ本体の大部分内にあってもよい。
【0037】
電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、例えば、0.75から1.4μmの間の近赤外(N.I.R.)領域の、7μm未満などの赤外領域のフィルタとして作用してもよい。
【0038】
いくつかの他の実施形態では、電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、染料または顔料であるか、またはそれらを含むものである。
【0039】
いくつかのさらなる実施形態では、染料は、有機染料である。
電磁放射を選択的に透過させるための1つ以上の手段は、アゾ化合物、シアニン染料、アントラキノン、ジヒドロジケトアントラセン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、カルボシアニン、クロコニウム染料、スクアリリウム染料、チオフェン系染料、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0040】
適切な染料または顔料は、Ni、Co、Ga、Ti、Mn、Zn、In、Cu、またはそれらの組み合わせなどの遷移金属または遷移後金属を含む有機金属錯体であってもよい。
例えば、適切な有機金属錯体は、ビス(ジチオベンジル)ニッケル錯体、またはビス((4-ジメチルアミノ)ジチオベンジル)ニッケル錯体であってもよい。
【0041】
染料および顔料は、例えば、レンズ本体のシリコーン系ポリマーへの適切な溶解性を可能にするなど、必要とされる溶解性を確保するように、レンズ本体の適切な必要とされる柔らかさを維持するように、改変されてもよい。
例えば、アゾビスシアノペンタンアミド、クロコニウム染料スクアリリウム染料が使用され、シアニン染料がシリコーンポリマー網目組織に組み込まれる可能性を示している。
【0042】
染料または顔料をシリコーンポリマーに組み込む際に最適化することは、高い屈折率、適切な柔らかさ、および必要とされるIR吸収を提供する溶液に向けることができる。
【0043】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1および第2センサ軸が、互いに実質的に垂直になるように配置される。このようにして、所与の第2有効焦点距離(EFL)の、最小の厚さを有するモジュールを達成することができる。これは、折り曲げミラーが第2光軸に対して実質的に45度の角で配置されることを必要とする。
【0044】
本発明によるモジュールの一実施形態では、第1カメラアセンブリおよび第2カメラアセンブリの両方が、チューナブルレンズを備える。このようにして、両方のカメラアセンブリは、コンパクトなモジュールを維持しながらオートフォーカス機能を備えることができる。
【0045】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1カメラアセンブリは、ボイスコイルモータ(VCM)を含み、前記第2カメラアセンブリは、チューナブルレンズを含む。
このようにして、これらの技術は、チューナブルレンズで得られるコンパクトなサイズの利点を獲得しながら、組み合わされてもよい。
【0046】
本発明によるモジュールの一実施形態では、第2レンズアセンブリまたは前記第1レンズアセンブリのいずれかが、固定された有効焦点距離を有する。このようにして、単純な固定レンズカメラアセンブリを、チューナブルレンズを有するカメラアセンブリと組み合わせて、少数の部品を有する単純化されたモジュールを提供することができる。
【0047】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記固定された有効焦点距離レンズは、前記第1レンズアセンブリであり、前記チューナブルレンズは、前記第2レンズアセンブリに含まれる。このようにして、短い有効焦点距離レンズは一般に、長い有効焦点距離レンズよりも深い被写界深度(DOF)を有するので、ロングレンズは、ショートレンズが固定されている一方で、オートフォーカスを提供されてもよい。したがって、2つのカメラアセンブリからの複合画像の許容可能な画質を、簡略化されたモジュールで達成することができる。
【0048】
別の実施形態では、ロングレンズが固定焦点レンズアセンブリであり、チューナブルレンズはショートレンズアセンブリに含まれる。特に、固定焦点レンズアセンブリは、無限遠(または過焦点距離)で焦点を合わせることができる。この構成は、遠くの対象をキャプチャするためにロングレンズが用いられる状況において使用されてもよく、その結果、レンズの近くに焦点を合わせる能力が省略されてもよい。このようにして、単純化されたカメラモジュールによって、許容可能な画質および性能を達成することができる。
【0049】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第2カメラアセンブリの前記折り曲げミラーは、前記入射光の一部が前記折り曲げミラーを透過することを可能にするビームスプリッタを含み、前記折り曲げミラーは、さらに、前記ミラーの裏側に空間を画定するように配置され、前記裏側は、前記第2カメラアセンブリの光路とは反対側にあり、前記モジュールは前記透過光と相互作用するように前記空間内に配置された構成要素をさらに含む。このようにして、折り曲げミラーの下方のデッドスペースを利用しながら、さらなる機能性をモジュールに適合させることができる。多数の折り曲げミラーを有するモジュールの場合、それぞれの折り曲げミラーは、同様の方法で構成要素のために使われてもよい空間を画定してもよい。
【0050】
一実施形態では、ビームスプリッタは空間ビームスプリッタであり、折り曲げミラーの特定の空間的広がり内に入る光の一部は、反射されるのではなく、折り曲げミラーの裏側に透過される。
【0051】
一実施形態では、ビームスプリッタは二色性ビームスプリッタであり、特定の波長範囲内に入る波長を有する光の一部は、折り曲げミラーの裏側に透過され、その特定の波長範囲外の波長を有する光は、折り曲げミラーによって反射される。
【0052】
一実施形態では、ビームスプリッタは偏光依存スプリッターであり、1つの偏光状態を有する光の一部は、反射されるのではなく、折り曲げミラーの裏側に透過される。
【0053】
本ビームスプリッタの特定の実施形態では、上記の様々な代替例に説明されるように、透過される光の割合は、約20%、あるいは約50%、さらには約90%である。
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記構成要素は、飛行時間質量分析装置(タイムオブフライトデバイス)、レーザ、位相検出装置、閉ループシステム、テレメータ、レンジファインダのグループから選択される。
【0054】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1カメラアセンブリまたは前記第2カメラアセンブリは、光学式手ぶれ補正(OIS)を提供するように構成される。
本発明に関連して有用なOISの一例は、本出願人による中国特許公開第101688976号に記載されている。この文献に開示されているOISシステムは、フレキシブルレンズ本体に取り付けられたアクチュエータを作動させることでフレキシブルレンズ本体を通る光軸の方向を変更することにより、チューナブルレンズに画像安定化を提供し、アクチュエータに印加される電圧の量は、ヨーイングおよびピッチング運動をそれぞれ感知するモーションセンサによって提供される信号に比例する。
より具体的には、この公報による光学画像安定化装置は、レンズ本体を通る光軸の向きをシフトさせるフレキシブルレンズ本体と接触してアクチュエータを設け、したがって、光軸とイメージセンサの表面との間の交差点の位置をシフトさせ、意図しない急激な運動の動きを打ち消すことによって、先行技術の解決策の複雑さを克服する。光軸の向きのシフトは、モーションセンサ、例えば、既知の発明として知られているジャイロスコープセンサシステムによって提供される制御信号に従ってアクチュエータを作動させることによって、フレキシブルレンズ本体を「絞る」ことにより得られる。
チューナブルレンズアセンブリの実施形態では、レンズアセンブリのチューナビリティを使用して、オートフォーカスなどのフォーカス機能を提供する。
いくつかの実施形態では、OISおよびピント合わせの両方は、それぞれ、画像安定化およびピント合わせに関連する透明層の必要な摂動を重ね合わせることによって同時に達成されてもよい。
他の実施形態では、ピント合わせおよびOIS機能は分割されており、(i)ピント合わせは、例えば、チューナブルレンズアセンブリの対象側にある透明層で作動するアクチュエータによって提供され、(ii)OISは、変形可能なレンズ本体の反対側の第2透明層で作動するアクチュエータによって提供される。
【0055】
本実施形態では、光学画像安定化アセンブリは、第2カメラアセンブリのレンズと折り曲げミラーとの間の光軸上に配置される。
【0056】
本実施形態では、折り曲げミラーは、第2カメラアセンブリの使用中に傾きを能動的に調整するために調整可能に取り付けられる。このようにして、光軸アライメントの微調整を達成することができる。これは、例えば、光学画像安定化を達成するために用いられてもよい。
【0057】
本発明によるモジュールの一実施形態では、第2カメラアセンブリが2つ以上の折り曲げミラーを備える。このようにして、さらに長い有効焦点距離のカメラアセンブリを第1カメラアセンブリの周りを包むようにして、コンパクトなモジュールを実現することができる。
【0058】
本発明によるモジュールの一実施形態では、モジュールは、第3カメラアセンブリを備える。
【0059】
本発明によるモジュールの一実施形態では、第3カメラアセンブリは、第1カメラアセンブリおよび/または第2カメラアセンブリの視野から実質的に180度離れた視野を有するように配置される。このようにして、第3カメラアセンブリは、第1および第2カメラアセンブリとは反対側の携帯電話の画像を、例えば、自撮りやビデオ会議などのために、キャプチャするように構成されてもよい。
【0060】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、1cm以下である。
【0061】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、5.5mm以下である。
【0062】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、2cm以下である。
【0063】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、12.5mm以下である。
【0064】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1有効焦点距離(EFL)は、少なくとも3mmであり、および/または、前記第2有効焦点距離(EFL)は、少なくとも9mmである。
【0065】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも3mmであり、
および/または
-前記第2光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも9mmである。
【0066】
総トラック長(TTL)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている国際公開第2015/001440号パンフレットに定義されているように、当技術分野で一般的であると理解されることができるものであり、また、国際公開第2015/001440号パンフレットの2頁に定義されているように、TTLは、例えば、第1レンズ素子の対象側の表面とイメージセンサとの間の光軸上の距離として定義されるものである。
【0067】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1有効焦点距離(EFL)は、少なくとも5mmであり、および/または、前記第2有効焦点距離(EFL)は、少なくとも15mmである。
【0068】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記第1光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも5mmであり、
および/または
-前記第2光軸に沿った総トラック長(TTL)は、少なくとも15mmである。
【0069】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、5.5mm以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、12.5mm以下であり、
-前記第1有効焦点距離(EFL)が少なくとも5mmであり、および/または前記第2有効焦点距離(EFL)が少なくとも15mmである、
【0070】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、5.5mm以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、12.5mm以下であり、
-前記第1有効焦点距離(EFL)が少なくとも5mmであり、および/または前記第2有効焦点距離(EFL)が少なくとも15mmである。
【0071】
本発明によるモジュールの一実施形態では、モジュールが第3カメラアセンブリを含み、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、5.5mm以下であり、
-前記モジュールの、前記第1光軸に直交する第1方向の寸法は、12mm以下であり、
-前記モジュールの、前記第1光軸に直交し、前記第1方向に直交する第2方向の寸法は、18mm以下であり、
-前記第1有効焦点距離(EFL)が少なくとも5mmであり、および/または前記第2有効焦点距離(EFL)が少なくとも15mmである。
【0072】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、5.5mm以下であり、
-前記モジュールの、前記第1光軸に直交する第1方向の寸法は、12mm以下であり、
-前記モジュールの、前記第1光軸に直交し、前記第1方向に直交する第2方向の寸法は、18mm以下であり、
-前記第1光軸に沿った前記総トラック長(TTL)は少なくとも5mmであり、および/または、前記第2光軸に沿った前記総トラック長(TTL)が少なくとも15mmである。
【0073】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1光軸と前記第2光軸との間の距離は、8mm以下である。この特定の実施形態では、光軸は、距離を定義する目的で、それぞれのレンズアセンブリの第1レンズとの交点の光軸(これらの光軸が平行である場合など)と理解されてもよい。
【0074】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1光軸と前記第2光軸との間の距離は、5mm以下である。この特定の実施形態では、光軸は、距離を定義する目的で、それぞれのレンズアセンブリの第1レンズとの交点の光軸(これらの光軸が平行である場合など)と理解される。
【0075】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、例えば、1.80×EFLなどといった、2.70×EFL以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、3.75×EFL以下である。
【0076】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、例えば、1.80×TTLなどといった、2.70×TTL以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、3.75×TTL以下であり、
TTLは、前記第1光軸に沿った総トラック長を示す。
【0077】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、例えば、0.60×EFLなどといった、0.90×EFL以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、1.25×EFL以下である。
【0078】
本発明によるその他の一実施形態では、
-前記モジュールの、両方向のそれぞれのように、前記第1光軸と平行な少なくとも一方向の寸法は、例えば、0.60×TTLなどといった、0.90×TTL以下であり、
-前記モジュールの、互いに直交し、前記第1光軸に直交する二方向のそれぞれの寸法は、1.25×TTL以下であり、
TTLは、前記第2光軸に沿った総トラック長を示す。
【0079】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記第2有効焦点距離(EFL)が、15mm未満、例えば10mm未満、または[5;15]mm以内、例えば[6;12]mm以内、例えば[9;10]mm以内である。
【0080】
本発明によるモジュールの一実施形態では、
-前記第2光軸に沿った前記総トラック長(TTL)が、15mm未満、例えば10mm未満、または[5;15]mm以内、例えば[6;12]mm以内、例えば[9;10]mm以内である。
【0081】
本発明によるモジュールの一実施形態では、前記第1イメージセンサと前記第2イメージセンサのそれぞれの対角線は、少なくとも6mmである。
【0082】
本発明の異なる態様は、それぞれ、他の態様のいずれかと組み合わせることができる。本発明のこれらおよび他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本発明によるカメラを有するモジュールは、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。図面は、本発明を実施する1つの方法を示しており、添付の特許請求の技術的範囲に含まれる他の可能な実施形態を制限するものと解釈されるべきではない。
【0084】
図1】本発明によるモジュールの実施形態の一部として有用である、チューナブルレンズの概略図である。
図2】本発明によるモジュールからズーム画像を達成する方法を示す。
図3】本発明による2つのカメラを備えるモジュールの実施形態の概略図である。
図4】本発明による2つのカメラを備えるモジュールの別の実施形態の態様を示すワイヤフレームである。
図5】本発明による2つのカメラを備えるモジュールの第3の実施形態の概略図である。
図6】本発明による3つのカメラを備えるモジュールの第4の実施形態の概略図である。
図7】本発明による4つのカメラを備えるモジュールの第5の実施形態の概略図である。
図8】本発明による3つのカメラを備えるモジュールの第6の実施形態の概略図である。
図9】2つの折り曲げミラーを備えるレンズアセンブリを備えるモジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1は、本発明の実施形態の一部として有用な、チューナブルレンズの一例の断面図を示す。チューナブルレンズは、ポリマーを含む変形可能レンズ本体3と、連続または半連続の、剛性を有する側壁4によって支持された薄い可撓性ガラス表面2上に配置されたアクチュエータ1と、ここではバックウィンドウ5の形態の支持体とを備える。このレンズは、本出願人による国際特許出願PCT/EP2014/055391にさらに記載されている。チューナブルレンズの基本原理は、アクチュエータ1を作動させて薄い可撓性ガラス表面2を曲げることであり、それによって変形可能レンズ本体に間接的に形を与えて、チューナブルレンズの光パワーを変化させる。
【0086】
薄い可撓性ガラス表面2および/または支持体5は、レンズ本体に面する平坦な表面を有してもよい。ガラス表面2および支持体5の両方の、レンズ本体とは反対の側に面した表面は、平坦であってもよく、またはレンズの背面を構成するために凸状または凹状、例えば球状の形状を有してもよい。他の実施形態においては、バックウィンドウは、非球面形状とともに球面部分もあるなどの、湾曲した基板であってもよい。
【0087】
図2は、本発明によるモジュールからズーム画像を達成する方法200を示す。この方法は、(2つの画像間の動きを最小限に抑えるために)同じシーンの望遠画像210aおよび広角画像210bの両方を同時にまたはほぼ同時にキャプチャすることに依拠する。2つの画像は、次に、複合画像220を算定することによって結合される。光パワーの差のために、望遠画像は一般に、より小さい領域をカバーするが、より高い解像度を有する。このため、望遠画像からの画像データを用いて、重複部分における広角画像の解像度を補間により向上させることができる。結果として得られる複合画像は、望遠画像と広角画像の両方が重なり合う高解像度と、広角キャプチャのみがカバーする低解像度とを有する。次に、所望の画像部分に、一般にはデジタルズームとして知られるクロッピングをすることによって、ズーム画像240が、複合画像から達成される。
【0088】
図3は、光軸に沿って見た、本発明によるモジュール100の概略図を示し、モジュールは、第1カメラアセンブリ102と、第2カメラアセンブリ104とを備える。第1カメラアセンブリ102は、第1レンズアセンブリ103を備え、第2カメラアセンブリ104の第2有効焦点距離よりも短い第1有効焦点距離を有する。同様に、第2カメラアセンブリ104は、第2レンズアセンブリ105を備える。第2カメラアセンブリ104の第2光軸は、備えられているレイトレーシング110によっても示されるように、浅い深度を維持しつつ長い有効焦点距離を可能にするように折り曲げられる。この図面では、1つの折り曲げミラー106が、第1カメラアセンブリの周りで第2光軸を折り曲げ、他の折り曲げミラーは、第2レンズアセンブリ105の下方に隠れている。第1イメージセンサは、第1レンズアセンブリの下に隠れ、第2イメージセンサ108は、この図ではっきりと見えている。この図には、第1カメラアセンブリと第2カメラアセンブリとを互いに対して固定するための機械的フレームは示されていない。ここに示されるように、モジュールの両方のカメラアセンブリは、図1に示されるものと同様のチューナブルレンズを備える。しかし、本発明によれば、レンズアセンブリの一方のみがチューナブルレンズでなければならず、他方のレンズアセンブリは従来のタイプであってもよい。この選択については、コストや画質など、結果として得られるモジュールの所望の特性に応じて行われてもよい。
【0089】
図4(a)および図4(b)は、本発明によるモジュール400の別の実施形態のワイヤフレームモデルを示す。この実施形態は、図3に示される実施形態に対応するもので、同様の参照番号は同様の部分を指しており、したがって、ここでは、2つの実施形態の間の相違のみを説明する。図4(b)は、第2カメラアセンブリ404のレイトレーシング410を含むモジュールを示す。図を簡略化し、明確にするために、第1カメラアセンブリ402は、単にボックスとして示されている。第2カメラアセンブリ404に関して、図面は、第2レンズアセンブリ405と、第1折り曲げミラー406と、第2折り曲げミラー407と、第2イメージセンサ408とを示す。この実施形態によれば、折り曲げミラー406、407は、第2光軸に対して実質的に45度の角度で配置され、反射時に2つの90度の屈曲をもたらす。この構成は、モジュール400の全体的な設置面積を最小限に抑えるために、第1カメラアセンブリ402の周りに第2光軸を折り曲げるのに便利である。
【0090】
図5は、好ましくはモジュールの設置面積を増加させることなく、空間効率のよい方法で、本発明によるモジュール500にさらなる機能を含めるための異なる方法を示す。これらの実施形態は、図3および図4に対応するもので、同様の参照番号は同様の部分を指している。したがって、ここでは、相違点のみを説明する。これらの実施形態に共通して、構成要素512の形態の追加機能は、モジュール500に含まれ、より具体的には折り曲げミラー506、507のうちの1つの背後の「デッドスペース」内に含まれる。構成要素512は、例えば、飛行時間質量分析装置、レーザ、位相検出装置、または閉ループシステムであってもよい。このような構成要素からのデータは、次いで、チューナブルレンズを微調整するのに用いることができる。いくつかの実施形態では、構成要素512は、光学式手ぶれ補正(OIS)システムの一部である。図5(a)および図5(b)は、図3と同様の視点、すなわち光軸に沿った視点を示す。折り曲げミラー506は、ビームスプリッタとして設けられ、入射光の一部が第2イメージセンサ508に向かって反射されるのではなく、ミラーを透過することを可能にする。図5(a)では、透過光が構成要素512に直接的に結合される一方、図5(b)では、補助折り曲げミラー514が用いられている。図5(c)および図5(d)は、第2イメージセンサ508に実質的に垂直な平面図を示す。上述した図5(a)および5(b)と比較すると、これらの実施形態では、構成要素512は、他方の折り曲げミラーの背後に配置される。これ以外の場合、実施形態は類似していてもよく、特定の実装の要件に従って入れ替わってもよい。
【0091】
図6は、第1および第2カメラアセンブリ602、604に加えて、第3カメラアセンブリ660を備えるモジュール600の実施形態を示す。その他の点では、この実施形態は前述の実施形態に対応しており、同様の参照番号は同様の部分を指している。この実施形態では、第3カメラアセンブリ660からの光が第2イメージセンサ608に到達することを可能にするために、折り曲げミラー606が、上述の実施形態と比べて修正されなければならない。一変形例において、折り曲げミラー606は、調整可能な反射率および/または透過率を有するように適合され、その結果、第2カメラアセンブリまたは第3カメラアセンブリのいずれかからの録画が電子的方法によって選択され得る。あるいは、ミラー606が切り替えミラーとして選択されてもよい。本発明者は、第3カメラアセンブリが、Vis-IRまたはUV域などといった、異なる波長範囲の画像を記録するために使用されることがあると想定している。特定の実施形態では、第3カメラアセンブリが第1および第2光軸とは反対に面する、すなわちモジュールの反対側に延在する光軸に沿って記録するように適合されてもよい。携帯電話においては、第1及び第2カメラアセンブリが、例えば、電話の背面に向けられ、第3カメラアセンブリはインカメラである。可視範囲外の他の波長範囲に対する感光度と組み合わせた場合、そのようなインカメラは、例えば、虹彩スキャナなどとして、携帯電話をロック解除するためのセキュリティ対策として使用することができる。
【0092】
図7は、図6に示される実施形態に関連するもので、同様の参照番号は、同様の部分を指している。この実施形態は、設計をさらに押し進めたものであってもよいことを示すものであり、すなわち、第4レンズアセンブリ772を有する第4カメラアセンブリ770を備えている。この第4カメラアセンブリ770は、第1および第2カメラアセンブリ702、704と同じ方向に向いていてもよく、または反対方向に向いていてもよい。
【0093】
図8は、図6の実施形態に対応する実施形態を示し、同様の参照番号は同様の部分を指す。しかし、この実施形態では、第3カメラアセンブリ880が、別個の第3イメージセンサ888を備える。したがって、折り曲げミラー806は、第2イメージセンサ808への2つの光路に沿った結像を可能にするように修正される必要がない。
【0094】
図9は、2つの折り曲げミラー(906、907)を有するレンズアセンブリを有するモジュールを示し、
(a)第2光軸と第2レンズアセンブリとの間の第1交点(922)から、
(b)第2光軸と第2イメージセンサとの間の第2交点(924)まで、
の最大距離(926)は、少なくとも以下によって与えられ、第1交点は、光子が光軸に沿って第2レンズアセンブリの外部から第2レンズアセンブリ内に移動するための、光軸とレンズアセンブリとの間の第1接触点(光軸と第2レンズアセンブリの第1光学素子との間の第1接触点など)などである。
【数2】
【0095】
折り曲げミラーが、第1交点と第2交点との間の光軸が直線を形成するように配置される場合、前述の最大距離926は、EFLによって与えられる。折り曲げミラーが、第1交点と第2交点との間の光軸が(直角コーナーに対して)等距離に配置された頂点を有する直角三角形の隣接する対向する辺を形成するように配置される場合、前述の最大距離926は、以下によって与えられる。
【数3】
【0096】
2つの折り曲げミラーが図4のように配置された場合、そして
(i)第2光軸と第2レンズアセンブリとの第1交点と第1折り曲げミラー407との間、
(ii)第1折り曲げミラー407と第2折り曲げミラー406との間、および
(iii)第2折り曲げミラー406と、第2光軸と第2イメージセンサ408との間の交点との間、
の距離が等しいと仮定すると、
(a)第2光軸と第2レンズアセンブリとの第1交点から、
(b)第2光軸と第2イメージセンサとの第2交点まで、
の最大距離は、辺長EFLを有する立方体の対角線によって与えられる。
【数4】
【0097】
代替実施形態E1~E15を以下に示す。
【0098】
(E1)携帯電話に組み込むための複数のカメラを有するモジュールであって、前記モジュールは、
-第1イメージセンサと、第1レンズアセンブリと、を有する第1カメラアセンブリであって、前記第1レンズアセンブリは、第1有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第1カメラアセンブリは、第1光軸および第1センサ軸を画定し、前記第1センサ軸は、前記第1イメージセンサに対して実質的に垂直である、第1カメラアセンブリと、
-第2イメージセンサと、第2レンズアセンブリと、を有する第2カメラアセンブリであって、前記第2レンズアセンブリは、第2有効焦点距離(EFL)を有するように構成され、前記第2カメラアセンブリは、第2光軸および第2センサ軸を画定し、前記第2センサ軸は、前記第2イメージセンサに対して実質的に垂直であり、前記第1有効焦点距離は、前記第2有効焦点距離よりも短く(EFL<EFL)、前記第2カメラアセンブリは、前記第2レンズアセンブリと前記第2イメージセンサとの間で前記第2光軸を折り曲げるように適合された折り曲げミラーを備える、第2カメラアセンブリと、
-前記第1光軸および前記第2光軸が対象空間内で実質的に平行になるように、前記第1カメラアセンブリおよび前記第2カメラアセンブリを支持するように構成された機械的フレームと、
を備え、
前記第1レンズアセンブリまたは前記第2レンズアセンブリは、調整可能な有効焦点距離を有するチューナブルレンズを備え、前記チューナブルレンズは、選択された可撓性を有する透明層と、前記透明層を曲げるように構成されたアクチュエータと、変形可能なレンズ本体の第1面において前記透明層と接触して配置される前記変形可能なレンズ本体とを含む。
【0099】
(E2) 前記変形可能なレンズ本体は、
(a)前記透明光学デバイス素子の通常の動作における重力による変形を回避する、300Paより大きい弾性率と、
(b)1.35を超える屈折率と、
(c)前記変形可能なレンズ本体の厚さ1ミリメートル当たり10%未満である、可視範囲における吸光度と、
を有し、
前記変形可能なレンズ本体は、架橋ポリマーまたは部分架橋ポリマーのポリマー網目組織を含み、混和性油または油の組み合わせをさらに含み、それによって、前記架橋ポリマーまたは部分架橋ポリマーのポリマー網目組織の屈折率を増加させる、
実施形態E1に記載のモジュール。
【0100】
(E3)前記第1および第2センサ軸が、互いに実質的に垂直になるように配置される、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0101】
(E4)前記第1カメラアセンブリおよび前記第2カメラアセンブリの両方が、チューナブルレンズを備える、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0102】
(E5)前記第1カメラアセンブリは、ボイスコイルモータ(VCM)を含み、前記第2カメラアセンブリは、チューナブルレンズを含む、
実施形態E1~E3のいずれかに記載のモジュール。
【0103】
(E6)前記第2レンズアセンブリまたは前記第1レンズアセンブリのいずれかが、固定された有効焦点距離を有する、
実施形態E1~E3のいずれかに記載のモジュール。
【0104】
(E7)前記固定された有効焦点距離レンズは、前記第1レンズアセンブリであり、前記チューナブルレンズは、前記第2レンズアセンブリに含まれる、
実施形態E6に記載のモジュール。
【0105】
(E8)前記第2カメラアセンブリの前記折り曲げミラーは、前記入射光の一部が前記折り曲げミラーを透過することを可能にするビームスプリッタを含み、前記折り曲げミラーは、さらに、前記ミラーの裏側に空間を画定するように配置され、前記裏側は、前記第2カメラアセンブリの光路とは反対側にあり、前記モジュールは前記透過光と相互作用するように前記空間内に配置された構成要素をさらに含む、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0106】
(E9)前記構成要素は、飛行時間質量分析装置、レーザ、位相検出装置、閉ループシステム、テレメータ、レンジファインダのグループから選択される、
実施形態E8に記載のモジュール。
【0107】
(E10)前記第1カメラアセンブリまたは前記第2カメラアセンブリは、光学式手ぶれ補正(OIS)を提供するように構成される、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0108】
(E11)前記光学式手ぶれ補正アセンブリが、前記レンズと前記第2カメラアセンブリの前記折り曲げミラーとの間の前記光軸上に配置される、
実施形態E10に記載のモジュール。
【0109】
(E12)前記折り曲げミラーは、前記第2カメラアセンブリの使用中に傾きを能動的に調整するために調整可能に取り付けられる、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0110】
(E13)前記第2カメラアセンブリは、2つ以上の折り曲げミラーを含む、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0111】
(E14)前記モジュールは、第3カメラアセンブリを含む、
先の実施形態のいずれかに記載のモジュール。
【0112】
(E15)前記第3カメラアセンブリは、前記第1カメラアセンブリおよび/または前記第2カメラアセンブリの視野から実質的に180度離れた視野を有するように配置される、
実施形態E14に記載のモジュール。
【0113】
上記の実施形態E1~E15について、先行する「実施形態」への言及は、実施形態E1~E15内の先行する実施形態を指し得ることが理解され得る。
【0114】
本発明は特定の実施形態に関連して説明されてきたが、提示された実施例に決して限定されるものとして解釈されるべきではない。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の技術的範囲によって規定される。特許請求の範囲の文脈において、「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」という用語は、他の可能な要素又はステップを排除するものではない。また、「a」または「an」などの参照の言及は、複数を排除するものとして解釈されるべきではない。図面に示される要素に関する特許請求の範囲における参照符号の使用はまた、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、異なる請求範囲に記載された個々の特徴は場合によっては有利に組み合わせることができ、異なる請求範囲におけるこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが可能でなく有利でないことを排除しない。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9