(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両の後部座席における自立していない同乗員の存在を検出するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2020037906
(22)【出願日】2020-03-05
(62)【分割の表示】P 2018500829の分割
【原出願日】2015-06-15
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】BR102015006784-4
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】517336050
【氏名又は名称】エフィセーアー フィアット クライスラー オートモベイス ブラジル リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス アルメイダ ジ アンドラーデ
(72)【発明者】
【氏名】トシザエモン ノセ
(72)【発明者】
【氏名】シド アラウージョ ソアレス
(72)【発明者】
【氏名】グライコン アルビン トヘス
(72)【発明者】
【氏名】ギリェルメ バジーリオ ソアレス テンテンポ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン パウロ ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド フェレイラ ド カルモ シルバ
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129231(JP,A)
【文献】特開2005-321888(JP,A)
【文献】特開2007-099173(JP,A)
【文献】特開2014-054968(JP,A)
【文献】特開2010-205063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0044126(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0009766(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0102169(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0050021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R25/00
G08B21/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部座席における自立していない同乗員または子供の存在を検出する方法であって、前記車両(1)は、前部ドア(2)および少なくとも1つの後部ドア(3)を備え、当該各ドア(2、3)は、ドア開き及びドア閉じの状態を示す機能を有する夫々のセンサ(S
M、S
D、S
E)を備え、
前記車両(1)は、さらに、ロックされたドアを示す1つのセンサ(S
T)と、始動センサ(S
P)と、少なくとも1つのプロセッサ(5)、少なくとも1つのメモリ(7)及び接続I/Oを備える、システムの処理ユニット(4)とを備えており、
前記方法は、
A)所定時間T1よりも長い時間に亙る後部ドアの開放状態を検出するステップであって、所定時間T1は3秒より長い、ステップと、
B)車両のエンジン点火を検出するステップと、
C)前記車両の作動停止を検出するステップと、
D)所定時間T2よりも長い時間に亙り前記後部ドアの開放状態を検出しないステップであって、所定時間T2は4秒より長い、ステップと、
E)運転者のドアの開放状態を検出するステップと、
F)前記車両のロック状態を検出するステップと、
F’)所定時間T
MAXより長い時間に亙って前記ドアがロックされていないことを検出するステップであって、時間T
MAXは10秒より長い、ステップと、
G)
前記運転者に警報を送信するように車両盗難防止警報システムとして前記車両内に構成された遠隔的追尾システムにより同乗員失念警報を起動するステップと、
H)ユーザによる車両のロック、ロック解除、および、再度のロックにより、前記同乗員失念警報を無効にするステップと、を備え、
ステップF)
及びステップG)、またはステップF’)及びステップG)の何れか一方が選択的に実行され
、かつ、
時間T1よりも長い時間に亙る1つの後部ドアの開放を検出したとき、前記システムの処理ユニット(4)を作動させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記時間T1、T2およびT
MAXは互いに独立である、
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、車両走行中における同乗員の存在の可能性を定義するために、
時間T1よりも長い時間に亙る1つの後部ドアの開放状態、および、
エンジンがかかっている、
という条件が満足されるまで、第1のチェックループを実施する、
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、車両走行の完了の後に同乗員が失念された可能性を示すために、
エンジン停止、
時間T2よりも短い時間に亙る後部ドアの開放状態、および、
運転者のドアの開放状態、
という条件が満足されるまで、第2のチェックループを実施する、
ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記時間T1は、3~6秒であり、
前記時間T2は、4~7秒であり、かつ、
前記時間T
MAXは、10~20秒である、
ことを特徴とする、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の車両の後部座席における自立していない同乗員の存在を検出する方法を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部座席における自立していない同乗者(non-self-sufficient passengers)を検出し、更に詳細には、車両における子供、特に幼児の存在を、間接的測定により、かつ、子供が乗用車の内部にいることの確率計算に基づいて検出するシステムおよび方法に関する。上記確率が所定限界値より大きいなら、子供が車両の内部にいるか否かを確認せずに車両から運転者が離れることを阻止する信号が起動される。
【背景技術】
【0002】
毎年、車両内に失念された小さな子供、ペットなどに関し、事故が起きている。失念は、とりわけ運転者のルーチンの変化に起因して生ずるものであり、運転者は車両内の同乗者の存在を思い出すことなく行動パターンに従うので、同乗者を連れ出さずに車両を離れてしまう。
【0003】
この種の事故を防止するために、同乗員の存在を運転者に喚起する幾つかのシステムが開発されてきた。斯かるシステムは概略的に、車両座席上に設置されて同乗者の存在を直接的に検出するセンサを使用する。
【0004】
当業界においては、車両に対する構成要素の付加を伴う解決策は既に知られているが、コスト増大を招くと共に、全ての範囲の出力機構に適用することはできない。これらの解決策は、種々の構成要素/センサにより座席において実施される直接的測定を用いた結果を提示する。
【0005】
上記の公知の解決策の中でも、以下の文献により開示されたものが引用することができる。車両座席に対して感熱センサが取付けられた特許文献1および特許文献2;車両座席に対して重量/圧力センサが取付けられた特許文献3、特許文献4、特許文献17および特許文献5;車両の後部座席上の締着シートベルト・バックルに対してロックセンサが取付けられた特許文献6および特許文献7;これに加え特許文献8および特許文献9は、運転者および/または子供によりキー・チェーンなどの上に担持されたセンサを開示している。同じ目的のための他の解決策は、ベビーキャリア・バスケット内にセンサが直接的に結合される特許文献10および特許文献11に認められると共に、特許文献12は、電圧変動により同乗者の存在を検出するセンサを開示する。最後に、特許文献13、特許文献14および特許文献15は、後部座席における同乗員の存在の検出を開示しているが、斯かる検出が実施される方法に対しては何らの言及が為されていない。
【0006】
特許文献18は、車両内に忘れられた人や物の警報システムを教示する。しかしながら、提案されたシステムは、システムが運転者を去ったことをシステムが検出した後、以前に通知された項目が忘れられたことを運転者に警告するだけである。特許文献19は、運転者に警告する人、ペットまたは物体検出システムを教示する。ここでの、人、ペット、または物体の存在の識別は、振動、音、および温度センサの複雑な組み合わせによって行われる。
上記の特許文献の全ては、直接的な検出により実施される監視システムに関するものであり、それらの全てが車両における実装のためのコストおよび変更を招く。
【0007】
最後に、特許文献16は、一方の後部ドアの開放、及び、同乗者区画の後側部分に配備され、当該システムを使用不能とするボタンの実装の両方に基づき、車両の後部座席における同乗員に対する不用意な失念を確認するシステムを開示している。更に詳細には、後部座席における同乗員の存在の可能性を確認する論理は、車両の一方の後部ドアのみに対するドア開放時間に基づく一方、車両のエンジン点火および作動停止が検出された後、警報が起動される。上記警報は、車両の前部座席の同乗員がアクセスできない各後部ボタンが押圧されるまで、動作し続け、すなわち、鳴り続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第7,701,358号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0113797号明細書
【文献】米国特許第7,123,157号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0184404号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0268119号明細書
【文献】米国特許第7,325,870号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0075575号明細書
【文献】米国特許第8,643,493号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0079557号明細書
【文献】米国特許第8,232,874号明細書
【文献】米国特許第8,063,788号明細書
【文献】中国実用新案第201828790号明細書
【文献】米国特許第8,892,302号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0088426号明細書
【文献】米国特許第8,816,845号明細書
【文献】米国特許第8,493,201号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0044126号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0009766号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0050021号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
後部ドアの開放時間の検出を企図する着想は興味深くはあるが、開示されたシステムの実施は、深刻な動作上の問題を露呈する。第1に、もし運転者が後部座席に物体を載置すると共に、乗用車が活動停止したなら、該車両を再始動させる動作は、警報起動を引き起こし、故に、運転者は、自身の座席を離れ、後部ドアを開き、かつ、車両の後部フレーム上に配置された複数のボタンのうちの1つを押圧する必要がある。同様に、もし運転者が、自身の息子を後部座席に乗せると共に、自身の別の子供を迎えるために待機すべく学校の前に車両を駐車するなら、この動作もまた、警報起動を引き起こすと共に、運転者は、鳴り響くことで車両の内部に居る上記子供を可能的に目覚めさせる上記警報を作動停止させるために、自身の座席を離れ、後部ドアを開き、かつ、複数の後部ボタンのうちの1つを押圧する必要がある。
【0010】
本発明の第1の目的は、車両において既に存在するセンサおよび構成要素を利用して、同乗者の存在の間接的検出システムを提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、同乗員に対する安全機器を普及させるために、付加されるコストが低い解決手段を提供することである。
【0012】
本発明の第3の目的は、車両において既に存在する各構成要素を用いつつ、これら構成要素が検出器の機能を実施することを許容する方法により調整された、影響の少ない解決手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらのおよび他の目的は、車両の後部座席における自立していない同乗員または子供の存在を検出するシステムであって、当該各ドアはドア開き及びドア閉じの状態を示す機能を有する夫々のセンサ備える、前部ドアおよび少なくとも1つの後部ドアと、ロックされたドアを示す1つのセンサと、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリと接続I/Oとを備える処理ユニットと、を有する車両に実装されるようなシステムにより達成される。処理ユニットは、上記ドアが開放されたままの時間を測定することにより、ならびに、車両の各ドアの開きおよび閉じのシーケンスおよび/または頻度により、上記車両の内部に存在する自立していない同乗員の可能性を計算し、計算が車両の内部に自立していない同乗員が失念された可能性を示す場合に、警報の起動を制御する。
【0014】
更に詳細には、処理ユニットは、車両の内部に乗車させた同乗員の可能性を判定するために、少なくとも1つのドア開放センサにより検出された後部ドアの開放時間を第1の所定時間と比較し、車両の内部に乗車させている同乗員の可能性はメモリに記憶される。むしろ、処理ユニットは、メモリが車両の内部に同乗員を既に乗車させた可能性を示すときに、同乗員を車両の内部から降車させた可能性を確定するために、少なくとも1つのドア開放センサにより検出された後部ドアの開放時間を第2の所定時間と比較する。
【0015】
更に詳細には、処理ユニットは、センサが車両の作動停止を検出し、ドアロックセンサがドアのロック状態を示した後に、同乗員が車両の内部から連れ出された/内部に失念されたことの可能性を検出する。更に、処理ユニットは、センサが車両が作動停止したことを検出し、センサによるドアのロックの表示なしで、ドアの閉じ時間が第3の所定時間値よりも長くなった後に、同乗員が上記車両の内部から連れ出された/内部に失念された可能性を判定する。
【0016】
更に、上記警報・システム制御は、視覚的警報の起動、可聴警報の起動、車両盗難防止警報の起動、または、各警報の全体的もしくは部分的な組み合わせ、を制御する処理ユニットCPUにより実施される。
【0017】
更に、車両の後部座席における自立していない同乗員または子供の存在を検出する方法は、以下の各ステップを備える:
A)所定時間T1よりも長い時間に亙る後部ドアの開放状態を検出するステップ、
B)車両のエンジン点火を検出するステップ、
C)車両の作動停止を検出するステップ、
D)所定時間T2よりも長い時間に亙り後部ドアの開放状態を検出しないステップ、
E)運転者のドアの状況をチェックするステップ、
F)上記車両のロック状態を検出するステップ、および、
G)同乗員失念警報を起動するステップ。
【0018】
代替的に、ステップF)の代わりに、所定時間TMAXよりも長い時間に亙りドアのロック状態を検出しないステップF’)が実施される。
【0019】
更に、上記方法は、車両走行中における同乗者の存在の可能性を定義するために、時間T1よりも長い時間に亙る後部ドアの開放状態、および、エンジンを始動する、という条件が満足されるまで、第1のチェックループを実施するステップ、ならびに、車両走行の完了の後で同乗員が失念された可能性を示すために、エンジン停止、時間T2よりも短い時間に亙る後部ドアの開放状態、運転者のドアの開放状態、および、各ドアのロック状態、という条件が満足されるまで、第2のチェックループを実施するステップを備える。
【0020】
更に詳細には、上記目的は、ドアが開放されたままである時間、ならびに、車両ドアの開放およびロックのシーケンスおよび/または頻度を測定することにより動作するアルゴリズムを有するシステムにより達成される。10代および成人の同乗者は、自身が車両内に乗り込むために更に短い時間を使用することは理解される、と言うのも、これらの同乗者は、子供の同乗者により必要とされる準備(子供に対する椅子設備、ベビーキャリア・バスケット、および/または、斯かる機器内への小さな子供の収容)を必要としないからである。
【0021】
各ドアが開放されたままの時間が長いとき、上記システムは、各ドアの開放状態および閉じ状態の時間、頻度および/またはシーケンスを測定することにより、運転者が車両に小さな子供、動物または荷物を収容している確率を計算する。この測定は、車両に対し、該車両自体に既に存在する要素を用いることにより、概略的に影響の少ない検出法および低コストを提供するという目的を満足する。
【0022】
計算された確率が所定限界値よりも大きいとき、システムは、運転者が同乗員と共に車両内に居る可能性があるとの情報を記憶する。
【0023】
車両が駐車されかつ作動停止されたとき、制御操作の開始時においてドアの開放状態の間に記憶された確率が、同乗員が車内に居る可能性が高いことを示す場合、同乗員が車両内部に居るか否かをチェックすることを運転者に喚起する警報が発せられる。
【0024】
上記警報は、上記技術が適用される車両において利用可能な資源に依存して、音響、光、ドアロックの起動、運転者の携帯電話に対する通信を介したもの、または、他の形態であり得る。
【0025】
上記警報は、所定の時間、頻度およびシーケンスにおいてドアを開放し、かつ/又は、特定ボタンを起動することによってのみ、無効化される。上記警告に対して注意が払われないのであれば、上記システムは、新たな信号の生成に加え、ドアおよびウィンドウのロック動作を阻止し得る。
【0026】
本発明は、添付図面から例証される好適で非限定的な実施例に関する以下の詳細な説明からより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明のシステム構成要素を含む車両の概略図である。
【
図2】本発明のシステム処理ユニットの主要ロジック接続関係を示す図である。
【
図3】本発明に係る方法のステップに関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述の
図1に依れば、参照番号1は概略的に、同乗者区画に対してアクセスするために、少なくとも1つの前部ドア2と、少なくとも1つの後部ドア3とを備える車両を表している。既知の方法によって、後部座席に対するアクセスを許容する後部ドア2、3の各々は、ドアセンサとしても知られた夫々のセンサS
D、S
Tにより表されるそれ自体の開放もしくは閉じ状態を有している。通常、斯かるS
D、S
Tセンサは、車両の室内灯を点灯するために使用されるが、他のシステムにおいて、たとえば、車両盗難警報を作動させるために使用され得る。
【0029】
車両1は更に、所定機能を実施するために使用かつプログラムされる汎用プロセッサもしくは処理ユニットであり得るプロセッサ5を含む。該プロセッサは更に、1つ又は複数のプロセッサで構成され得ると共に、複数の場合、各プロセッサは、1つ又は複数の特定演算を実施する役割を果たす。本明細書中で用いられる如く、“プロセッサ”という語句は、マイクロプロセッサ、処理ユニット、特定用途集積回路(ASIC)、論理回路、および/または、事前プログラムされた機能を実行し得る他の回路もしくはプロセッサを指している。特に、上記プロセッサ5は車両の処理ユニット4(ECU、TCUなど)に一体化され、更に詳細には、プロセッサ5は、たとえば、制御パネル、情報表示画面、各警報、ドアロックなどの車両の幾つかの内部機能を制御かつ指令すべく通常的に採用されるいわゆるボディコンピュータ(body computer)に一体化される。
【0030】
上記プロセッサは更に、(たとえば、時間T1、T2およびTMAXなどの)固定されたシステム・パラメータ、ならびに、車両状態(とりわけ、各々の個別的なドアの開放およびロック)に関する揮発性データを記憶し得るメモリ7に対して接続される。上記メモリ7、すなわち、記憶資源は、(たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出専用メモリ(ROM)、および/または、フラッシュ・メモリなどの)半導体メモリ、(たとえば、ハードディスクなどの)磁気的記憶デバイス、光学的記憶デバイスなどを含む。
【0031】
更に、上記処理ユニット4(
図2参照)は、CANネットワーク、イーサネット(登録商標)などの形態の(図示しない)内部通信ネットワークにより、車両1の他のセンサおよび処理システムと一体化される。代替的に、上記センサSD、SEは、特定の配線ハーネスにより上記処理ユニット4に対して接続され得る。
【0032】
処理ユニット4はまた、車両1のドア2、3のロックおよびロック解除に関する表示情報も受信する。最近の車両において、この情報は、本体コンピュータ自体において入手可能であり得る。コンピュータの増大が遅れている車両において、各ドアのロックの制御は、単純な電気機械的アセンブリ(アクチュエータ・ボタン、リレー、および、ソレノイド・ドライバ)により行われる。いずれにせよ、センサSTは、車両のドア2、3がロックされたか否かを示す。
【0033】
更に、上記処理ユニット4は、該処理ユニットが、ドライバがスタータ駆動(キーオン位置)により車両1の各システムを起動する前に動作し得るために、車両のバッテリ6により直接的に給電される。他方、始動センサSPは、上記システムが、運転者が車両を始動する時点、すなわち、キーが“キーオン”位置から“エンジン点火”位置へと移動される時点を特定することを許容する。斯かる始動センサSPは、車両のエンジン点火キーの角度的位置を示すセンサの如き適切なセンサとして実現され得ると共に、それはまた、たとえば、ゼロとは異なる回転速度を示すエンジンRPMセンサとして、間接的センサでもあり得る。
【0034】
最後に、処理ユニット4は、車両における子供の存在を運転者に対して警告する役割を果たす少なくとも1つの出力に対して接続される。故に、斯かる出力は、車両の警笛に対する可聴接続A2;ダッシュボード上の画面情報ディスプレイに対し、または、同様にダッシュボード上に配置された小型ライトに対する視覚接続A1;または、車両の盗難防止警報・システムに対する接続ALであって、ヘッドライト、方向指示器、上記警笛以外の音響器を同時的または代替的に起動すると共に、もし車両またはその警報・システムが斯かる通信システムを備えるならば、運転者の携帯電話に対してメッセージを送信し得るという、接続AL;を備えて成り得る。同様に、車両が遠隔的追尾システムを備える場合、該システムが起動されると共に、運転者に対し斯かる状況が検出されたことを伝え得る。
【0035】
図3は、フローチャートの形態にて、時間検出により、ならびに、ドア2、3を開ける頻度および/またはシーケンスにより、車両の内部における同乗員を失念する可能性を検出する本発明の方法の特に有効な実施例の各ステップを示している。
【0036】
上記システムは、ブロック100にて開始すると共に、ブロック101にては、同乗員が存在しないことが事前判定される。このステップにおいて、メモリ7内には、所定のシステム・パラメータを除き、何らの変数または読取値も記憶されていない。ブロック102においてセンサSDまたはSEの一方により後部ドアの開放が検出され、その場合、上記システムは、有効化されると共に、基本的に、上記後部ドア3の開放の時間カウントを開始する。故に、ドア開放時間が、予め記憶された時間T1よりも短い場合、上記システムは、車両の後部座席上に同乗員が載置されるためには時間が不十分であったと想定することから、システムは待機状態のままである。逆の場合、すなわち、ドアが開放状態に在る時間が時間T1よりも長いなら、上記システムは、車両内に同乗員を乗車させたかも知れないと想定する。故に、ブロック103において、上記システムは、同乗員の存在の表示(“同乗員が検出された”)を内部に記憶する。
【0037】
次に、ブロック104において、上記システムは、車両が作動開始したか否かをチェックする。もしそうでなければ、車両は、物体の取出しまたは搭載、すなわち、車両移動に結び付かない操作のためだけに開けられた可能性があることが想定される。故に、ブロック105は、車両が再びロックされたことを確認してから、ブロック101の初期条件に戻る。車両エンジンの始動の場合、上記システムは、好適には後部座席における子供である同乗員と共に移動する車両の状態を想定し(ブロック106)、かつ、車両が作動停止される時点を(ループにて)チェックし続ける(ブロック107)。
【0038】
上記車両が作動停止されたとき、上記システムは、走行の終了を想定してから、時間T2よりも長い時間のために、車両後部ドア3の少なくとも一方の開放時間を検出及びカウントを開始する。後部ドア3が時間T2よりも長い時間だけ開放されたままである場合、上記同乗員は連れ出されたことが理解されると共に(ブロック109)、上記システムは、その初期条件へと復帰する。ドア開放時間が、同乗員を連れ出すためには不十分であると見做された場合、運転者は、ボタンを介し、または、車両ディスプレイにタッチして、自身が注意して同乗員の存在を認識していることを示す(ブロック111)指令を行い得る(ブロック110)。次に、運転者が自身のドアを開くことで車両を持続的に離脱するとの意図を示すことにより、システムは運転者が乗用車を退出するのを待つ(ブロック112)。ブロック112において、運転者のドアの開放が検出されない場合、システムは閉ループにて(ブロック107、108、110および112)、(後部ドアの開放時間を介して)同乗員が連れ出されない状態、および、運転者が自身のドアを開けることにより車両を離脱する状態を定常的にチェックし続ける。
【0039】
更に詳細には、ドア開放時間T1およびT2は互いに等しくしてもよいが、好適には異なることは注目に値する。これは、車両同乗員の乗車および連れ出しの手順は異なることを考慮したものである。たとえば、ベビーキャリア・バスケット内における小さな子供の収容、または、その連れ出しは、詳細かつ特定の特性を以て、面倒なステップである。これに加え、もし必要であるなら、車両におけるベビーキャリア・バスケットの設置および固定は、連れ出し手順よりも複雑な手順である。いずれにせよ、時間T1およびT2は、経験的であるにすぎず、相互には関連していない。
【0040】
最後に、もしこれらの条件が満足されたなら、ブロック113において、上記システムは、運転者は同乗員を連れ出さずに車両を離脱すると共に、引き続き車両ドアをロックし(ブロック114)、運転者は間違いなく車両を駐車させたことを表していることを特定する。この状況において、上記システムは、運転者が車両の内部に同乗員を失念したことを該運転者に対して知らせるために、可聴接続A2、視覚接続A1の一方により、または、警報ALにより、運転者に対する警報を起動する。既に言及された如く、運転者の失念を示すべく、組み合わせて、スマート・キー・チェーンに対して信号を送信する、または、携帯電話に対し、もしくは、監視および追尾を行う車両の中枢に対し、メッセージを送信する如き、他の手段が使用され得る。
【0041】
他方、車両ドアのロックが行われなければ、ブロック115においては、時間TMAXに関して時間カウントが始まり、そのときから上記システムは、運転者は同乗員を失念したかも知れず、かつ、運転者は車両のロックをし忘れたかも知れない、と想定する。この状況においては、ブロック116の警報も起動される。
【0042】
最後に、上記システムが無効化されるためには、たとえば車両のロック、ロック解除、および、再度のロックなどの動作、すなわち、ユーザからの意識的な動作であって単なる機械反応的ではない意識的な動作を示す動作などの、ユーザによる能動的な動作が必要とされる(ブロック117)。
【0043】
上記に示されたシーケンスの結果として、本発明の方法により提供される各ステップが定義され得る。これらは、以下の各ステップである:
A)所定時間T1よりも長い時間に亙る後部ドアの開放状態を検出するステップ;
B)車両のエンジン点火を検出するステップ;
C)車両の作動停止を検出するステップ;
D)所定時間T2よりも長い時間に亙り後部ドアの開放状態を検出しないステップ;
E)運転者のドアの状況をチェックするステップ;
F)車両のロック状態を検出するステップ;および、
G)子供失念警報を起動するステップ。
【0044】
更に詳細には、車両が駐車状態に在り、すなわち各ドアを閉めてエンジンが停止されている状態にあるとすると、ステップA)は、各後部ドア3の一方が、所定時間T1よりも長い時間に亙り開放されているか否かを判定しようとしている。時間T1は経験的なものであり、かつ、該時間は、“座席”への小さな子供の収容には若者もしくは成人の搭乗よりも相当に長い時間を要するという事実を考慮している。
【0045】
ステップB)において、車両を始動する動作は、子供の同乗者を車両1に乗せて該車両を駆動するものと想定され、この駆動は、ステップC)における車両の作動停止にて終了する。この時点において、後部ドアの一方が開放されると共に、後部座席からの子供の連れ出しを許容するために時間T2よりも長い時間に亙り、該開放が続くことが待たれる。この状況が確認されない場合(ステップD)、運転者が車両を離脱し乍らも、その中に同乗員が留まっていることが想定される(ステップE)。
【0046】
ステップF)において、車両ドアのロック状態の検出は、運転者が車両を駐車し、車両を駐めたままとすることを意図していることを示す。但し、子供の連れ出し(ステップD)が特定されていないとき、ステップG)においては子供失念警報が起動されることで、運転者に対する注意喚起が行われる。
【0047】
代替的に、運転者は、車両のロックを忘れることもあり得る。この場合、ステップF)においては、車両が時間TMAXの間にロックされること、または、車両状態が変化したこと(たとえば、車両エンジン点火)が待たれる。動作(特に、車両のロック状態)が検出されない場合、運転者の二重の忘却が想定され、これは、ステップG)における警報の起動に帰着する。他方、エンジンが作動開始され、前部ドア2が開放され、または、同様の動作が行われるなら、車両は、即時的な動作に対して一時的に停止されたことから、子供の同乗員の保全性を阻害しないことが想定される。
【0048】
本明細書において提案されたシステムの一部である時間的パラメータ(T1、T2、および、TMAX)に関し、本発明者等は、夫々の条件に対し、満足されると見做され得る実験的な最小値を判定するために、幾つかの実地試験を行った。故に、車両の内部に同乗員を載置するための時間T1は、3秒以上と予め定めることができる。同乗員の連れ出し時間T2に関しては、4秒以上と定めることができる。更に詳細には、時間T1は好適には、3~6秒と予め定められる一方、時間T2は好適には、4~7秒と定義される。
【0049】
最後に、運転者が車両を離れ続ける可能性がある時間、または、待機時間、もしくは、警報起動のための安全性として定義され得る時間TMAXは、10秒以上と予め決定され得ると共に、更に特に好適には、10~20秒と予め決定され得る。
【0050】
本発明の方法の大きな利点とは、本方法が車両に何らかの新たなハードウェア、デバイスまたはセンサを設置する必要なしに実施されることである。上記方法は容易に、限定的ではなく例示的に、上述のルーチンのように、ルーチンに変えることができると共に、車両の種々の処理ユニット4(ECU、TCUなど)のうちの1つにおいて、更に好適にはいわゆるボディコンピュータにおいて実現することができる。