(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20220921BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/521 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20220921BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/516
H01M50/521
H01M50/562
H01M50/262 Z
(21)【出願番号】P 2020129511
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 知実
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬
(72)【発明者】
【氏名】神足 昌人
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175818(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158450(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027734(US,A1)
【文献】国際公開第2019/082956(WO,A1)
【文献】特開2011-034821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50 - 50/598
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列方向に沿って積層され、前記配列方向に沿って拘束された複数の蓄電セルと、
前記複数の蓄電セルを電気的に接続する複数のバスバーとを備え、
前記複数のバスバーは、前記配列方向に交差する方向に沿って前記複数の蓄電セルが互いに変位したときに互いに異なる負荷が作用する第1の位置および第2の位置にそれぞれ設けられた第1バスバーおよび第2バスバーを含み、
前記複数の蓄電セルは、溶接により前記第1バスバーおよび前記第2バスバーとそれぞれ接合される第1端子および第2端子を含み、
前記第1の位置および前記第2の位置における前記負荷の違いに対応して、前記第1バスバーおよび前記第1端子の溶接強度と前記第2バスバーおよび前記第2端子の溶接強度とが互いに異なる、蓄電モジュール。
【請求項2】
前記第1バスバーと前記第1端子との溶接部は第1のパターンを有し、
前記第2バスバーと前記第2端子との溶接部は、前記第1のパターンとは異なる第2のパターンを有する、請求項
1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第1のパターンおよび前記第2のパターンは、溶接部の幅、長さ、深さ、および条数からなる群のうち少なくとも1つについて互いに異なる、請求項
2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第1バスバーと前記第1端子との溶接部は同種材により構成され、
前記第2バスバーと前記第2端子との溶接部は異種材により構成される、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電モジュール、ならびに溶接方法およびそれを用いた蓄電モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池セルとセパレータとを交互に積層した電池積層体の両端面に配置されるエンドプレートと、エンドプレート同士を締結する締結部材と、積層体の中間部分に配置される中間ブラケットとを備えた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池などの蓄電装置の大容量化に伴ない、セルの数が多くなり、モジュールがセルの配列方向に長尺化する傾向にある。この結果、蓄電セルが変位したときにバスバー接合部に作用する力が大きくなる箇所が生じる。このような状況下においても、バスバー接合部の破損を防止する必要がある。
【0005】
他方、バスバー接合部の過度の大型化ならびに過剰設計は、蓄電モジュール全体としての大型化や製造コスト増大に繋がる。
【0006】
本開示の目的は、過度な大型化および過剰設計を抑制しながらバスバー接合部の破損を防止することが可能な蓄電モジュール、ならびに溶接方法およびそれを用いた蓄電モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る蓄電モジュールは、配列方向に沿って積層され、配列方向に沿って拘束された複数の蓄電セルと、複数の蓄電セルを電気的に接続する複数のバスバーとを備える。
【0008】
1つの局面では、複数のバスバーは、配列方向に交差する方向に沿って複数の蓄電セルが互いに変位したときに互いに異なる負荷が作用する第1の位置および第2の位置にそれぞれ設けられた第1バスバーおよび第2バスバーを含み、複数の蓄電セルは、溶接により第1バスバーおよび第2バスバーとそれぞれ接合される第1端子および第2端子を含み、第1の位置および第2の位置における負荷の違いに対応して、第1バスバーおよび第1端子の溶接強度と第2バスバーおよび第2端子の溶接強度とが互いに異なる。
【0009】
他の局面では、複数の蓄電セルのうちの一部の蓄電セルを固定する固定部をさらに備え、複数のバスバーは、配列方向に沿った固定部からの距離が互いに異なる第1の位置および第2の位置にそれぞれ設けられた第1バスバーおよび第2バスバーを含み、複数の蓄電セルは、溶接により第1バスバーおよび第2バスバーとそれぞれ接合される第1端子および第2端子を含み、第1バスバーおよび第1端子の溶接強度と第2バスバーおよび第2端子の溶接強度とが互いに異なる。
【0010】
本開示に係る溶接方法は、配列方向に沿って積層された複数の蓄電セルの複数の電極端子と複数のバスバーとを溶接する溶接方法であって、複数の電極端子は、配列方向に沿って異なる位置にある第1の位置および第2の位置にそれぞれ配置された第1端子および第2端子を含み、複数のバスバーは、第1端子および第2端子にそれぞれ溶接により接合される第1バスバーおよび第2バスバーを含み、溶接方法は、第1バスバーと第1端子とを第1の方法を用いて溶接する工程と、第1の方法とは異なる第2の方法を用いて、第2バスバーと第2端子とを溶接する工程とを備える。
【0011】
本開示に係る蓄電モジュールの製造方法は、複数の電極端子を含む複数の蓄電セルを配列方向に沿って積層する工程と、複数の電極端子上に複数のバスバーを配置する工程と、上述した溶接方法を用いて複数の電極端子と複数のバスバーとを溶接する工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、過度な大型化および過剰設計を抑制しながらバスバー接合部の破損を防止することが可能な蓄電モジュール、ならびに溶接方法およびそれを用いた蓄電モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1に示す組電池における電池セルを示す図である。
【
図3】
図1に示す組電池におけるバスバーの配置を示す図である。
【
図6】バスバー形状のさらに他の例を示す図である。
【
図7】バスバー形状のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量等に言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量等に限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0015】
図1は、組電池1の基本的構成を示す図である。
図2は、組電池1における電池セル100を示す図である。
【0016】
図1,
図2に示すように、「蓄電モジュール」の一例としての組電池1は、電池セル100と、拘束部材200とを備える。複数の電池セル100は、矢印DR1方向(配列方向)に並ぶように設けられる。電池セル100は、電極端子110を含む。複数の電池セル100の間には、図示しないセパレータが介装されている。
【0017】
一例として、電池セル100はリチウムイオン電池であるが、電池セル100はニッケル水素電池など他の電池であってもよい。また、本開示において「蓄電モジュール」は組電池1に限定されず、電池セル100に代えて、たとえばキャパシタが「蓄電セル」として用いられてもよい。
【0018】
拘束部材200は、エンドプレート210と、締結部材220とを含む。エンドプレート210は、矢印DR1方向(配列方向)において組電池1の両端に配置されている。エンドプレート210は、組電池1を収納するケースなどの基台に固定される。締結部材220は、組電池1の配列方向の両端に位置する2つのエンドプレート210を互いに接続するとともに、2つのエンドプレート210を拘束する。
【0019】
2つのエンドプレート210に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート210によって押圧され、2つのエンドプレート210の間で拘束されている。
【0020】
図2に示すように、電池セル100は、平坦面状の直方体形状に形成されている。電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを含む。電極端子110は、収容ケース120上に形成されている。収容ケース120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。
【0021】
図3は、組電池1におけるバスバーの配置を示す図である。
図3に示す例は、複数の電池セル100を直列接続するものである。すなわち、
図3の例では、隣接する電池セル100の正極端子111と負極端子112とがバスバー310,320,330により電気的に接続される。
【0022】
本明細書において、「バスバー」とは、2つ以上の電池セルの電極端子を電気的に接続する部材を意味する。
図3の例では、電池セル100が直列接続される構造が示されているが、本開示の範囲はこれに限定されず、電池セル100が並列接続される構造も含む。
【0023】
電極端子110とバスバー310,320,330とは、典型的には溶接により接合される。電極端子110は、たとえば銅により形成される。バスバー310,320,330は、アルミニウムからなるもの(アルミバスバー)であってもよいし、該アルミバスバーよりも剛性が高くて、アルミニウム部材の表面に銅からなるクラッド層を有するもの(クラッドバスバー)であってもよい。電極端子110が銅からなる場合、アルミバスバーを用いた場合は異種材接合(溶接)となり、クラッドバスバーを用いた場合は同種材接合(溶接)となる。
【0024】
組電池1の矢印DR1方向(配列方向)の両端に位置する電池セル100は、「拘束部」としてのエンドプレート210により直接固定される。組電池1を含む電池モジュールに外部荷重が作用したとき、当該部分において隣接する2つの電池セル100の電極端子110を繋ぐバスバー310(第1バスバー)に作用する負荷、およびバスバー310と電極端子110との接合部に作用する負荷は比較的大きい。
【0025】
これに対し、組電池1の矢印DR1方向(配列方向)の中央部に位置する電池セル100は、「拘束部」としてのエンドプレート210から離れた位置にある。組電池1を含む電池モジュールに外部荷重が作用したとき、当該部分において隣接する2つの電池セル100の電極端子110を繋ぐバスバー320(第2バスバー)に作用する負荷、およびバスバー320と電極端子110との接合部に作用する負荷は比較的小さい。
【0026】
電池モジュールの高出力化が求められる中で、組電池1を構成する電池セル100の数が多くなり、電池セル100の配列方向(矢印DR1方向)に沿って組電池1が長くなる傾向にある。この結果、外部荷重が作用したときのバスバー310(第1バスバー)およびバスバー320(第2バスバー)に作用する負荷の差は、大きくなる傾向にある。
【0027】
上述のとおり、組電池1に外部荷重が作用したとき、バスバー310に作用する負荷、およびバスバー310と電極端子110との接合部に作用する負荷は大きい。したがって、バスバー310を変形を吸収しやすい形状にすることによりバスバー310の破損を防止するか、バスバー310の剛性を高めるなどしてバスバー310が大きな負荷に耐え得るようにすることによりバスバーの破損を防止することが求められる。同様に、バスバー310と電極端子110との接合部における溶接強度を高め、接合部が大きな負荷に耐えて得るようにすることが求められる。
【0028】
他方、バスバー320に作用する負荷、およびバスバー320と電極端子110との接合部に作用する負荷は小さい。したがって、バスバー310と同じ仕様でバスバー320を形成した場合、バスバー320が必要以上に大型化する。また、バスバー310と電極端子110との接合部と同じ仕様でバスバー320と電極端子110との接合部を形成した場合、必要以上に溶接強度の高い溶接部を形成することになり、結果として不必要な製造コストが増大する。
【0029】
このように、電池セル100の配列方向(矢印DR1方向)に沿って負荷状況が異なる状況下において、バスバー310,320,330を一律に同じものとすると、不必要な箇所においてもバスバーが大型化するとともに、溶接部においても不必要に溶接強度の高い過剰設計となる箇所が生じ得る。
【0030】
これに対し、本実施の形態においては、第1の解決策として、外部荷重作用時の負荷状況に応じて、バスバーの形状を互いに異ならせる。
【0031】
より具体的には、エンドプレート210からの距離が異なるバスバー310(第1バスバー)とバスバー320(第2バスバー)とで互いに形状を異ならせる。換言すると、複数の電池セル100が互いに変位して組電池1が変形するときに互いに異なる負荷が作用するバスバー310(第1バスバー)とバスバー320(第2バスバー)とを互いに異なる形状のものにする。
【0032】
たとえば、「拘束部」としてのエンドプレート210に近いバスバー310については、変形を吸収しやすい形状とし、外部荷重が作用したときの応力を低減する。他方、エンドプレート210から遠いバスバー320については、比較的変形を吸収しにくい形状としても、外部荷重が作用したときの応力が過度に大きくなりすぎることはない。
【0033】
また、エンドプレート210に近いバスバー310について、剛性を相対的に高くして外部荷重が作用したときの破損を防ぎ得るように構成してもよい。このとき、エンドプレート210から遠いバスバー320については、バスバー310よりも簡易な構造として、過剰設計を防止し得るように構成する。
【0034】
バスバー310,320の形状を異ならせることは、矢印DR2方向から見たバスバー平面形状を異ならせること、矢印DR3方向からみたバスバー側面形状を異ならせること、およびそれら両方の形状を異ならせることを含む。矢印DR2方向から見たバスバー平面形状を異ならせることは、単にバスバー310,320の幅を異ならせることを含み、矢印DR3方向からみたバスバー側面形状を異ならせることは、単にバスバー310,320の厚みを異ならせることを含む。
【0035】
また、本実施の形態においては、上記第1の解決策とは異なる第2の解決策として、外部荷重作用時の負荷状況に応じて、バスバー310および電極端子110の溶接強度とバスバー320および電極端子110の溶接強度を互いに異ならせる。
【0036】
より具体的には、エンドプレート210からの距離が異なるバスバー310(第1バスバー)とバスバー320(第2バスバー)とで、電池セル100の電極端子110との接合部の溶接強度を互いに異ならせる。換言すると、配列方向(矢印DR1方向)と交差する方向に沿って複数の電池セル100が互いにずれて組電池1が変形するときに互いに異なる負荷が作用するバスバー310(第1バスバー)とバスバー320(第2バスバー)とで、電池セル100の電極端子110との接合部の溶接強度を互いに異ならせる。
【0037】
たとえば、「拘束部」としてのエンドプレート210に近いバスバー310については、電極端子110との溶接強度を高くし、外部荷重が作用したときの比較的高い負荷に耐え得るように構成する。他方、エンドプレート210から遠いバスバー320については、電極端子110との溶接強度を特段高くしなくても、外部荷重が作用したときに溶接部に作用する負荷が過度に大きくなりすぎることはない。よって、バスバー320については、バスバー310よりも簡易な溶接構造として、過剰設計を防止し得るように構成する。
【0038】
上述した第1の解決策(バスバーの形状を互いに異ならせること)および第2の解決策(電極端子との溶接強度を互いに異ならせること)は、組電池1に対して各々単独で適用可能であるが、第1の解決策および第2の解決策を組み合わせて組電池1に適用してもよい。
【0039】
なお、
図3に示すように、バスバー310とバスバー320との間には、バスバー330(第3バスバー)が設けられている。バスバー330は、その形状について、およびその電極端子110との溶接強度について、バスバー310とバスバー320との中間的な特性を有する。このように、
図3の例では、バスバー形状および接合部の特性が三段階で変化しているが、バスバー330を廃止してバスバー310,320の二段階とされてもよいし、四段階以上に特性を変化させてもよい。ただし、四段階以上の場合は、部品点数が増大するとともに溶接工程も複雑化し、これらが製造コストの増大要因となり得るため、二段階ないし三段階とすることが好ましい。
【0040】
図4~
図7を用いて、上述した第1および第2の解決策のために使用され得るバスバーについて説明する。
【0041】
図4には、バスバー310の一例としてのバスバー310Aが示される。
図5には、バスバー320の一例としてのバスバー320Aが示される。
【0042】
バスバー310Aは、電極端子110との溶接部311Aと、張出部312Aと、溶接部311Aおよび張出部312Aを接続する接続部313Aとを含む。バスバー320Aは、電極端子110との溶接部321Aと、2つの溶接部321Aの間に位置する中間部322Aとを含む。
【0043】
張出部312Aは、矢印DR2方向(バスバー310Aと電極端子110とが重なる方向)からみてDR1方向(配列方向)に直交する方向、すなわち矢印DR3方向に沿って、溶接部311Aから張り出すように形成される。張出部312Aは、組電池1(電池セル100)の幅方向外側に向かって張り出してもよいし、組電池1(電池セル100)の幅方向内側に向かって張り出してもよい。
【0044】
図4に示すように、バスバー310Aは、略コの字状の形状を有する。これにより、矩形状のバスバー320Aと比較して、実効長さが長くなり、変形を吸収しやすい。このため、外部荷重が作用したときの応力が低減され、比較的大きな負荷が作用するバスバー310Aの破損が防止される。
【0045】
なお、本明細書において「実効長さ」とは、バスバーと蓄電セルとの2箇所の接合部の間において、バスバーの延在方向に沿って当該バスバーが延びる長さを意味する。
【0046】
図6には、バスバー310の他の例としてのバスバー310Bが示される。バスバー310Bは、電極端子110との溶接部311Bと、張出部312Bと、溶接部311Bおよび張出部312Bを接続する接続部313Bとを含む。
【0047】
張出部312Bは、矢印DR3方向(バスバー310Bと電極端子110とが重なる方向に直交する方向)からみてDR1方向(配列方向)に直交する方向、すなわち矢印DR2方向に沿って、溶接部311Bから張り出すように形成される。
【0048】
図6に示すバスバー310Bについても、
図4に示すバスバー310Aと同様に、略コの字状の形状を有することにより、矩形状のバスバー320Aと比較して、実効長さが長くなり、変形を吸収しやすい。このため、外部荷重が作用したときの応力が低減され、比較的大きな負荷が作用するバスバー310Bの破損が防止される。
【0049】
一例として、外部荷重が作用したときに相対的に大きな負荷が作用するバスバー310の実効長さは、バスバー320の実効長さに対して、好ましくは1倍以上10倍以下程度である。
【0050】
一例として、バスバー310の厚みはバスバー320の厚みに対して、好ましくは0.5倍以上5倍以下程度である。なお、バスバー310の強度(引張強さ)が高い場合、バスバー310の剛性がバスバー320の剛性よりも低くてもよい場合があるため、上述のとおり、バスバー310の厚みがバスバー320の厚みに対して0.5倍程度でよい場合もある。
【0051】
一例として、バスバー310の強度(引張強さ)はバスバー320の強度に対して、好ましくは0.5倍以上20倍以下程度である。なお、バスバー310の剛性が高い場合、バスバー310の強度がバスバー320の強度よりも低くてもよい場合があるため、上述のとおり、バスバー310の強度がバスバー320の強度に対して0.5倍程度でよい場合もある。
【0052】
図7には、バスバー310のさらに他の例としてのバスバー310Cが示される。バスバー310Cは、電極端子110との溶接部311Cと、2つの溶接部311Cの間に位置する中間部312Cとを含む。
【0053】
図7に示すように、バスバー310Cは矩形状に形成され、その形状は、
図5に示されるバスバー320Aと同じである。ただし、バスバー310Cの溶接部311Cは、バスバー320Aの溶接部321Aよりも高い溶接強度を有するように形成される。
【0054】
具体的には、溶接部311Cは、溶接部321Aとは異なるパターン(溶接の幅、長さ、深さ、面積、および条数)を有するように形成される。
【0055】
たとえば、溶接部311Cにおける溶接の幅、長さ、および深さは、溶接部321Aにおける溶接の幅、長さ、および深さの各々1倍以上5倍以下程度であることが好ましく、溶接部311Cにおける溶接部の面積は、溶接部321Aにおける溶接部の面積の1倍以上10倍以下程度であることが好ましい。結果として、溶接部311Cにおける溶接強度は、溶接部321Aにおける溶接強度の1倍以上10倍以下程度であることが好ましい。
【0056】
また、溶接部311Cと溶接部321Aとにおいて、同種材接合と異種材接合とを使い分けることにより溶接強度を異ならせてもよい。すなわち、同種材(銅-銅)接合は、異種材(銅-アルミ)接合よりも溶接強度が高い。
【0057】
また、溶接部311Cと溶接部321Aとにおいて、異なる溶接方式を使い分けることにより溶接強度を異ならせてもよい。たとえば、レーザ溶接により形成された溶接部の溶接強度は、抵抗溶接により形成された溶接部の溶接強度よりも高い。さらに、溶接の出力ないし速度を異ならせることにより溶接強度を異ならせてもよい。たとえば、同じ出力であっても溶接の速度を遅くすることで、溶接強度は高くなる。
【0058】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
1 組電池、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 収容ケース、210 エンドプレート、220 締結部材、310,310A,310B,310C,320,320A,330 バスバー、311A,311B,311C,321A 溶接部、312A,312B 張出部、312C,322A 中間部、313A,313B 接続部。