(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】診療現場診断のための血液サンプルの収集および調製
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20220921BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220921BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G01N33/48 B
G01N33/53 K
G01N33/536 A
(21)【出願番号】P 2020513541
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018049196
(87)【国際公開番号】W WO2019050802
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-24
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マレーグ, ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ビュネル, ジャン マルク
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/189960(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0215892(US,A1)
【文献】特表2007-527537(JP,A)
【文献】実開平05-036364(JP,U)
【文献】BECKMAN COULTER,Specifications Ready for use of OptiLyse C Lysis Solution,OptiiLyse C Lysis Solution,2006年,1-3,https://www.bc-cytometry.com/PDF/DataSheet/A11895.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00
G01N 33/53
G01N 33/536
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを準備および分析する方法であって、前記方法は、
サンプル容器のキャップ上へ流体サンプルを移動させることであって、前記サンプル容器は、前記キャップとサンプル容器本体とを含み、前記サンプル容器本体は、前記キャップ上へ前記流体サンプルを移動させる前にレポータを事前に装填されており、前記サンプル容器本体内に事前に装填されたある量の前記レポータは、事前に測定された量の支持試薬と相互作用するように構成されている、ことと、
前記キャップ上へ前記流体サンプルを移動させる前に、または、前記キャップ上へ前記流体サンプルを移動させた後に、前記事前に測定された量の支持試薬を単位化されたバイアルまたは容器から前記事前に装填されたレポータを含む前記サンプル容器本体に添加することにより、前記レポータを希釈および/または再構成することであって、前記支持試薬は、赤血球溶解溶液を含む、ことと、
前記キャップを前記サンプル容器本体に取り付けることにより、閉鎖されたサンプル容器を形成することであって、前記サンプル容器本体は、試薬を保持し、前記試薬は、前記レポータと前記添加された支持試薬とを含む、ことと、
前記閉鎖されたサンプル容器を反転させることにより、前記流体サンプルを前記試薬と混合することと、
分析デバイスを用いて、前記流体サンプルと前記試薬との混合物を分析することであって、前記分析デバイスは、フローサイトメーターである、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記レポータは、標識された抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記事前に装填されたレポータは、前記サンプル容器本体内で乾燥される、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記流体サンプルは、血液である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記閉鎖されたサンプル容器を前記分析デバイス内に設置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血液は、前記試薬と相互作用することにより、混合物中の1つ以上の赤血球を溶解し、前記血液は、前記レポータと相互作用することにより、前記レポータを未溶解細胞に付着させる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
サンプル容器であって、
事前に装填され乾燥されたレポータを含むサンプル容器本体であって、前記乾燥されたレポータは、単位化されたバイアルまたは容器から分注され事前に測定された量の支持試薬と相互作用することにより、前記乾燥されたレポータを再構成し、混合物を形成するように構成されており、前記支持試薬は、赤血球溶解溶液を含む、サンプル容器本体と、
前記サンプル容器本体に取り付け可能であり、かつ、前記サンプル容器本体から取り外し可能であるキャップであって、前記キャップが前記サンプル容器本体に取り付けられると、閉鎖されたサンプル容器が形成され、前記キャップは、流体サンプルを留めるように構成されている表面を含み、前記閉鎖されたサンプル容器は、反転されることにより、前記混合物が前記閉鎖されたサンプル容器から出ることを許可することなく、前記混合物が前記流体サンプルを前記キャップ上に収集することを可能にするように構成されている、キャップと
を備える、サンプル容器。
【請求項8】
前記サンプル容器本体は、フローサイトメーター内へ挿入されるように構成されている、請求項7に記載のサンプル容器。
【請求項9】
前記レポータは、標識された抗体を含む、請求項7または請求項8に記載のサンプル容器。
【請求項10】
前記流体サンプルは、血液である、請求項7~9のいずれか一項に記載のサンプル容器。
【請求項11】
前記混合物は、前記血液中の1つ以上の赤血球を溶解し、かつ、前記レポータを未溶解細胞に付着させることによって、前記血液と相互作用するように構成されている、請求項10に記載のサンプル容器。
【請求項12】
前記単位化されたバイアルまたは容器は、500μLの前記赤血球溶解溶液を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記キャップは、前記分析することの直前に除去されるまたは穿通されるのみである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥されたレポータは、前記単位化されたバイアルまたは容器から分注された500μLの前記赤血球溶解溶液と相互作用するように構成されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の
サンプル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、2017年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/554,225号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により援用される。
【0002】
(分野)
本明細書に開示される方法およびシステムは、概して、診療現場試験における分析のための血液サンプルの収集および調製に関する。より具体的には、本明細書に開示される種々の技法およびデバイスは、フローサイトメーターまたは別の撮像プラットフォームを用いた分析のための血液サンプルを調製するために必要とされる時間、材料、および専門知識を低減させるために使用されることができる。
【0003】
(分野)
本明細書に開示される方法およびシステムは、概して、診療現場試験における分析のための血液サンプルの収集および調製に関する。より具体的には、本明細書に開示される種々の技法およびデバイスは、フローサイトメーターまたは別の撮像プラットフォームを用いた分析のための血液サンプルを調製するために必要とされる時間、材料、および専門知識を低減させるために使用されることができる。
【背景技術】
【0004】
(背景)
診療現場試験は、患者処置の時間および場所またはその近傍における医療診断試験を伴う。いくつかの場合には、診療現場試験は、血液サンプルを患者から取得し、それが正確に分析されることを可能にする方法においてそれを調製することを要求し得る。例えば、レポータおよび試薬が、サンプル内に存在するある粒子を染色するために、血液サンプルを包含する管に添加されてもよい。フローサイトメーター(または任意の他の適切な撮像プラットフォーム)が、患者を診断するために、管内に包含されるサンプルを分析するために使用されることができる。
【0005】
血液サンプルを収集および調製するプロセスは、血液サンプルを収集ならびに調製するための種々のデバイスおよび材料を使用し得る多数の個人の時間および専門知識を要求し得る。例えば、瀉血専門医は、血液サンプルを患者から収集管内へ抽出する必要があり得る一方、実験室技術者は、後に、血液サンプルの一部を収集管から反応管に移動させ、次いで、分析のために、レポータおよび試薬を血液サンプルの移動された部分に添加する。プロセスの複雑性は、診療現場試験において使用するための血液サンプルを調製するために必要とされる時間、リソース、および知識に関する需要増加をもたらし、これは、試験結果における速度および信頼性に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本開示は、診療現場医療試験および診断と関連付けられた方法ならびにデバイスを対象とする。より具体的には、種々の撮像プラットフォームを使用した分析のための血液サンプルを調製するための迅速かつ効率化された方法を提供する方法およびデバイスが、説明される。細胞を1つずつ分析するように設計される任意の適切な分析プラットフォーム(例えば、フローサイトメーターまたは走査サイトメーター)が、開示される方法およびデバイスを通して調製される血液サンプルと併用されてもよい。
【0007】
付加的背景を提供するために、フローサイトメーターは、細胞特性評価、細胞計数、細胞分類、およびバイオマーカ検出において典型的に使用されるデバイスである。細胞または粒子は、粒子が単縦列流路内を通過するように拘束する管を通して通過される流体流において、蛍光でまたは他の態様で標識および懸濁される。1つまたは複数のレーザが、この流路に指向される。レーザは、各粒子と相互作用し、光パターンを可変波長で発生させ、これは、各粒子が蛍光を放出しかつ入射光をレーザから散乱させる方法を分析するために、検出されることができる。このように、フローサイトメーターは、最大数千個の粒子/秒の物理的および化学的特性のマルチパラメータ分析を可能にする。しかしながら、細胞または粒子のサンプルは、最初に、例えば、それらがある方法においてレーザと相互作用するようにサンプル内のある粒子を蛍光性レポータを用いて標識することによって、フローサイトメーターからの分析に先立って、具体的様式において調製されなければならない。
【0008】
いくつかの実施形態では、最初に、流体サンプル(例えば、血液)を生物学的生物(例えば、患者)から取得することを伴う方法が、検討される。実施例として、ランセットが、患者の指、耳朶、踵、または他のアクセス可能部分を刺し、少量の血液を患者から放出させるために使用されることができる。本方法は、流体サンプルをサンプル容器のキャップ上に移動させることをさらに伴ってもよく、サンプル容器は、キャップと、サンプル容器本体とを有する。キャップは、サンプル容器本体に取り付けられかつサンプル容器本体から取り外されるように構成されてもよい。したがって、キャップは、最初に、取り外され、流体サンプルがキャップ上へ移動されることを可能にし得る。
【0009】
サンプル容器本体は、レポータを事前に装填された状態であってもよい。レポータは、診断目的のための流体サンプル内のある粒子に結合するように構成される蛍光性レポータであってもよい。これらのレポータは、乾燥された形態でサンプル容器本体内に事前に装填された状態であってもよい。(例えば、流体サンプルがキャップ上へ移動されることを可能にするために)キャップがサンプル容器本体から取り外されると、1つまたは複数の支持試薬もまた、サンプル容器本体に添加されることができる。支持試薬は、複数の機能(例えば、乾燥されたレポータを希釈および再構成すること、キャップがサンプル容器本体に再取り付けされると、流体サンプルをキャップから収集すること、流体サンプル内の任意の粒子の染色を(例えば、レポータをそれらの粒子に結合することによって)促進すること、および、全血分析の事例では流体サンプル内の赤血球の溶解を促進すること)を実施し得る。
【0010】
流体サンプルが、キャップ上へ移動され、試薬が、サンプル容器本体に添加されると、キャップは、サンプル容器本体に再取り付けされ、閉鎖されたサンプル容器を形成することができる。この時点で、サンプル容器本体は、レポータと、添加された1つまたは複数の支持試薬とを包含し得る。流体サンプルは、キャップ上に配置される。閉鎖されたサンプル容器を反転させることは、1つまたは複数の試薬に、流体サンプルをキャップから収集させ、それによって、流体サンプルが、レポータおよび1つまたは複数の試薬と相互作用し、混合物を形成することを可能にし得る。この混合物は、サンプル容器を分析デバイス内へ設置することによって、撮像プラットフォームの任意の分析デバイス(例えば、フローサイトメーター)を使用して、分析されることができる。いくつかの場合には、サンプル容器を分析デバイス内へ給送することに先立って、閉鎖されたサンプル容器は、キャップおよびサンプル容器本体を分離し、混合物の一部をサンプル容器本体から抽出することによって、開放される必要がある。
【0011】
このアプローチは、それらの血液サンプルから疾患を診断するまたは具体的微粒子を識別する正確度および有効性を損なうことなく、それらの血液サンプルを調製するために必要とされる時間、リソース、および専門知識の低減を可能にする。
【0012】
本発明の一実施形態は、方法を対象とする。本方法は、流体サンプルをサンプル容器のキャップ上へ移動させることを含み、サンプル容器は、キャップと、サンプル容器本体とを備える。本方法はまた、キャップをサンプル容器本体に取り付け、閉鎖されたサンプル容器を形成することであって、サンプル容器本体は、試薬を保持する、ことと、閉鎖されたサンプル容器を反転させ、流体サンプルを試薬と混合することとを含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、サンプル容器を対象とする。サンプル容器は、乾燥されたレポータを包含するサンプル容器本体を含み、乾燥されたレポータは、試薬と相互作用し、乾燥されたレポータを再構成し、混合物を形成するように構成される。サンプル容器はまた、サンプル容器本体に取り付け可能でありかつサンプル容器本体から取り外し可能であるキャップを含み、閉鎖されたサンプル容器は、キャップがサンプル容器本体に取り付けられると、形成され、キャップは、流体サンプルを留めるように構成される表面を含み、閉鎖されたサンプル容器は、反転され、閉鎖されたサンプル容器から混合物が出ることを許可することなく、混合物が流体サンプルをキャップ上に収集することを可能にするように構成される。
【0014】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、下記にさらに詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、
サンプル容器のキャップ上へ流体サンプルを移動させることであって、前記サンプル容器は、前記キャップと、サンプル容器本体とを備える、ことと、
前記キャップを前記サンプル容器本体に取り付け、閉鎖されたサンプル容器を形成することであって、前記サンプル容器本体は、試薬を保持する、ことと、
前記閉鎖されたサンプル容器を反転させ、前記流体サンプルを前記試薬と混合することと
を含む、方法。
(項目2)
前記試薬は、レポータと、支持試薬とを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記レポータは、標識された抗体を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記レポータは、前記サンプル容器本体内において乾燥され、前記方法は、前記支持試薬を前記サンプル容器本体に添加することをさらに含む、項目2または3のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記支持試薬は、赤血球溶解溶液を含む、項目3~4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
分析デバイスを使用して、前記流体サンプルと前記試薬との混合物の少なくとも一部を分析することをさらに含む、項目1~5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
分析デバイスを用いて、前記流体サンプルと前記試薬との混合物を分析することをさらに含み、前記分析デバイスは、フローサイトメーターである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記流体サンプルは、血液である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記閉鎖されたサンプル容器を前記分析デバイス内に設置することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記試薬は、レポータを含み、前記血液は、前記試薬と相互作用し、混合物中の1つまたは複数の赤血球を溶解し、前記血液は、前記レポータと相互作用し、前記レポータを未溶解細胞に付着させる、項目8に記載の方法。
(項目11)
サンプル容器であって、
乾燥されたレポータを包含するサンプル容器本体であって、前記乾燥されたレポータは、支持試薬と相互作用し、前記乾燥されたレポータを再構成し、混合物を形成するように構成される、サンプル容器本体と、
前記サンプル容器本体に取り付け可能でありかつ前記サンプル容器本体から取り外し可能であるキャップであって、閉鎖されたサンプル容器は、前記キャップが前記サンプル容器本体に取り付けられると、形成され、前記キャップは、流体サンプルを留めるように構成される表面を含み、前記閉鎖されたサンプル容器は、反転され、前記混合物が前記閉鎖されたサンプル容器から出ることを許可することなく、前記混合物が前記流体サンプルを前記キャップ上に収集することを可能にするように構成される、キャップと
を備える、サンプル容器。
(項目12)
前記サンプル容器本体は、フローサイトメーター内へ挿入されるように構成される、項目11に記載のサンプル容器。(項目13)
前記レポータは、標識された抗体を含む、項目11または12に記載のサンプル容器。
(項目14)
前記流体サンプルは、血液である、項目11~13のいずれかに記載のサンプル容器。
(項目15)
前記混合物は、前記血液中の1つまたは複数の赤血球を溶解し、かつ、前記レポータを未溶解細胞に付着させることによって、前記血液と相互作用するように構成される、項目14に記載のサンプル容器。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、添付の図と併せて説明される。
【0016】
【
図1】
図1は、本開示のある実施形態による、分析のための血液サンプルを取得および調製するプロセスのためのフローチャートを図示する。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態による、分析のための血液サンプルを取得および調製するプロセスのためのフローチャートを図示する。
【0018】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、支持試薬の単位化されたバイアルを図示する。
【0019】
添付の図において、類似の構成要素および/または特徴は、同一の参照標識を有することができる。さらに、同一のタイプの種々の構成要素は、参照標識の後に、ダッシュ記号と、類似の構成要素を区別する第2の標識とが続くことによって、区別されることができる。第1の参照標識のみが、明細書において使用される場合、説明は、第2の参照標識に関係なく、同一の第1の参照標識を有する類似の構成要素のうちの任意の1つに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
続く説明は、好ましい例示的実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性、または構成を限定するように意図されない。むしろ、好ましい例示的実施形態の続く説明は、当業者に、種々の実施形態を実装するための実用可能な説明を提供する。種々の変更が、添付の請求項に記載されるような精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配列に行われてもよいことを理解されたい。
【0021】
導入
歴史的には、医療診断試験(例えば、患者に関する疾患または抗原の検出もしくは識別)は、患者の血液サンプル(または他の試料)を医療実験室に送ること、および、結果を得るために数時間または数日待機することを伴い、その間、処置が、患者に継続的に施されなければならない。
【0022】
診療現場試験は、患者処置の時間および場所における医療診断試験を可能にすることによって、そのような範例を改良しており、これは、患者、医師、および処置チームが試験結果をより迅速に受け取る尤度を増加させ、これは、より良好な即時臨床管理決定が行われることを可能にする。
【0023】
いくつかの診療現場試験は、血液サンプル(または、患者からのある他の適切な試料またはサンプル(例えば、尿))を患者から取得することを要求する。血液サンプルは、次いで、それが正確に分析されることを可能にする様式において調製される。例えば、色素が、サンプル内に存在するある粒子を染色するために、血液サンプルに添加されてもよく、これは、それらの粒子が分析プラットフォームによって容易に検出されることを可能にし、次いで、調製された血液サンプルを分析するために使用される。任意の適切な分析プラットフォームが、使用されることができる。例えば、分析プラットフォームは、フローサイトメーターであり得、これは、細胞を1つずつ分析するために、流動を使用する。または、分析プラットフォームは、血液サンプル内の細胞を表面上へ拡散させることを伴ってもよく、これは、次いで、顕微鏡によって走査される、または、顕微鏡を通して視認される。
【0024】
しかしながら、分析のための血液サンプルを取得および調製するプロセスは、膨大な時間、リソース、および知識を要求することができる。例えば、プロセスは、典型的には、瀉血専門医(例えば、医師または看護士)が、血液のサンプルを患者から引き出し、次いで、引き出された血液サンプルの一部(通常、測定された部分)をキュベットまたは管(例えば、試験管)内へ移動させることを伴う。管は、次いで、蓋をされ、任意の分析を管内の血液サンプルで実施する前に、血液サンプルをさらに調製する実験室技術者に送られる。
【0025】
例えば、技術者は、管を開放し、蛍光性レポータを血液サンプルと混合し得る。それらのレポータは、サンプル内に存在するある粒子(例えば、血液細胞)に結合し得、これは、それらの粒子が分析プラットフォームによって容易に検出されることを可能にする。いくつかの場合には、技術者はまた、サンプル内のいくつかの細胞(例えば、赤血球(「RBC」))を溶解するように構成される溶解溶液を管に添加し得る。RBC溶解溶液が管に添加された後、管は、赤血球の完全な溶解が達成されるまで、インキュベートされ得る。サンプル内の赤血球が溶解された後、より即時の臨床上の関心があり得る残りの細胞は、より高い率で、または、より高い特異性を伴って、分析され得る。加えて、蛍光性レポータは、サンプル内の関心のある粒子または細胞により容易にまたは完全に結合し得る。
【0026】
本発明の実施形態では、「試薬」は、その化学的または生物学的活動のために使用される任意の適切な物質を含んでもよい。試薬は、液体または乾燥された形態であってもよい。試薬の実施例は、レポータ(例えば、マーカ)、支持試薬(例えば、溶解溶液、緩衝剤)等を含んでもよい。レポータは、発色団(例えば、フルオレセイン、ローダミン、Texas Red、フィコエリスリン、Oregon Green、AlexaFluor488(Molecular Probe(Eugene, Oreg.))、Cy3、Cy5、Cy7、および同等物)を備え得る分子を含んでもよい。
【0027】
この時点で、技術者は、任意の適切な撮像プラットフォームを使用して、管の内容物を分析してもよい。例えば、フローサイトメトリが、処理された全血サンプルに日常的に実施される。技術者は、患者を診断するために、管をフローサイトメーター内へ給送し、サンプルを分析し、サンプル内の具体的粒子の存在を識別または検出してもよい。別のタイプのプラットフォームは、走査サイトメーターであり得る。
【0028】
しかしながら、分かり得るように、分析のための血液サンプルを取得および調製する際に典型的に関わる全てのこれらのステップは、(例えば、全てのステップを実施するための)膨大な時間、リソース/材料(例えば、針、注射器、インキュベータ等)、および複数の個人(例えば、医師/看護士および実験室技術者)の専門知識を要求する。医師または看護士が血液サンプルを管内へ引き出しかつ技術者にその血液サンプルをさらに調製させる(インキュベーションを含み得る)ために必要とされる最小時間は、少なくとも30分~1時間であり得る。診療現場試験の目標は、即時臨床管理決定が行われるために、より迅速に試験結果を受け取ることであるため、調製時間における短縮は、その目標を促進させる。
【0029】
さらに、分析のための血液サンプルを取得および調製するための典型的アプローチに関わる多くのステップおよび個人が存在するため、サンプル間の汚染を含む汚染のより大きな潜在性が存在する。医師/看護士が、血液サンプルを包含する管に蓋をした後、技術者は、サンプルをさらに調製するために(例えば、レポータおよび他の試薬を添加するために)、管を再び開放することが要求される。管を再開放することは、汚染物質が管に進入することを可能にし得る。管が1回のみ開放される必要があるように手技を変更することは、汚染の潜在性を低減させ、より正確な試験結果を可能にする。
【0030】
全血サンプルを分析するために必要とされる時間、材料、およびリソースを低減させるために、種々の溶液が、提案されている。例えば、自動デバイス(例えば、本出願人から利用可能なAQUIOS CLフローサイトメトリシステム)が、血液収集管のキャップを穿刺し、レポータを血液サンプルと混合し、したがって、技術者の役割の一部に取って代わられるように、導入されている。しかしながら、そのようなデバイスは、前述された他の短所のうちのいくつかに対処していない。いくつかの溶液(例えば、Becton, Dickinson and Companyから利用可能なBD FACS PRESTO)が、血液サンプルを取得および調製することをより容易にするために導入されている。例えば、指刺し血液滴下が、開始サンプルとして使用されることができ、血液滴下は、試薬を包含する毛細管システムを伴う複雑なカセット内へ導入される。しかしながら、カセットは、撮像サイトメトリ(フローサイトメトリではない)を使用した分析のために適合され、カセットのコストは、その複雑さおよび単回使用性質に起因して、高く、市販されるようなシステムは、小規模な種々の試験に限定される。
【0031】
故に、本開示は、特にフローサイトメトリを使用した分析のための血液サンプルを取得および調製するための迅速かつ効率化された方法を提供する方法およびデバイスを説明する。結果として、必要時間、リソース、および専門知識が低減され、かつ、汚染の潜在性も低減される。いくつかの場合には、血液サンプルを患者から抽出してから試験結果を取得するまで、わずか15分かかり得る。
【0032】
図
図1および
図2は両方とも、本開示のある実施形態による、分析のための血液サンプルを取得および調製するプロセスのためのフローチャートを図示する。故に、
図1および
図2は、ともに説明される。
【0033】
ステップ102では、血液の液滴が、患者から抽出される。いくつかの実施形態では、この血液液滴は、5~50マイクロリットルの体積を有し得る。この血液液滴は、任意の適当な方法を使用して、抽出されてもよい。いくつかの実施形態では、血液液滴は、ランセットまたは針を用いて患者の指先を刺すことによって、患者から抽出されてもよい。小液滴のみのこの収集は、有利には、患者からの血液除去を限定する。これは、小児または高齢患者にとって、特に重要であるが、また、患者の条件が多くの試験が実施されることを要求する場合も重要である。さらに、小液滴のみの除去は、消耗品の使用を低減させ、潜在的な感染性の医療廃棄物の生産を低減させる。他の実施形態では、血液は、従来の静脈穿刺によって引き出されてもよく、ある分割量が、続いて、分析のために移動される。血液の液滴の体積は、それが測定のための十分な細胞を包含することを前提として、精密に判定される必要はない。これは、測定が細胞の濃度に厳密に依存しないように、フローサイトメトリが、各細胞の特性を個々に測定するためである。さらに、管内の条件は、血液液滴体積の変動が各細胞を囲む環境に有意に影響を及ぼさないように、血液と比較してはるかに大量の支持試薬に左右される。
【0034】
ステップ104では、血液液滴が、管(例えば、フローサイトメトリ管または試験管)またはキュベットに結合されるように構成される清浄キャップの内側上に血液滴下を移動させることによって、収集され得る。適切な移動方法は、指または他の身体部分上の血液液滴をキャップに触れさせることによるものであってもよい。代替として、血液の一部が、最初に、ピペットまたは毛細管内に収集され、次いで、キャップの内側上に堆積されてもよい。任意の管およびキャップの組み合わせが、分析プラットフォームが管を受け入れるように構成されることを前提として、かつ、キャップが反転による混合を可能にするために十分に管をシールすることを前提として、十分であり得る。例えば、いくつかのフローサイトメーター(例えば、本出願人から利用可能なCytoFLEXプラットフォーム)は、1.5mLマイクロ遠心分離機管またはエラストマストッパ付き管を受け入れ、処理されるサンプルを装填する。キャップは、キャップが管上に位置付けられる間、液滴がキャップに接着するように、血液液滴によって少なくとも部分的に湿潤可能であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステップ102およびステップ104は、単一ステップとして実施されてもよい。例えば、キャップは、針の先端において血液の液滴を収集するために、患者の指先を指すために使用されることができる、その上に配置される滅菌ランセットまたは針を有してもよい。
【0036】
ステップ106では、管の内容物は、調製されてもよく、これは、使用に先立って、1つまたは複数のレポータ(例えば、蛍光性マーカ)および/または1つまたは複数の他の試薬を添加することを含み得る。いくつかの実施形態では、ステップ106は、ステップ102および/またはステップ104の前に実施されてもよいことに留意されたい。言い換えると、管の内容物は、血液液滴を患者から抽出する前に(例えば、ステップ102に先立って)、調製されてもよい。または、管の内容物は、血液液滴をキャップ上に収集することに先立って(例えば、ステップ104に先立って)、調製されてもよい。したがって、
図1は、ステップ104に先立って生じるステップ106を図示する一方、
図2は、ステップ104後に生じるステップ106を図示する。いくつかの実施形態では、管の内容物は、血液が患者から抽出される前に、事前の準備なしで(例えば、試薬の推奨量を添加することによって)調製されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、管は、レポータを事前にすでに装填された状態であってもよい。管は、異なる形態において、レポータを事前に装填されてもよい。例えば、レポータは、管内に格納される液体溶液または反応混液の一部であってもよい。または、レポータは、使用前にレポータが液体溶液内において懸濁される必要があるように、乾燥され、管内に格納されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、レポータは、血液サンプル内のある粒子を選択的に染色する色素であってもよい。いくつかの実施形態では、色素は、生物学的ステータスまたは機能を査定するために(例えば、DNA、生存能力、代謝等についてのインジケーションを提供するために)使用されてもよい。いくつかの実施形態では、レポータは、バイオレポータであってもよく、これは、(色素と共役される場合とそうではない場合がある)抗体、または、サンプル内の細胞もしくは抗原に結合することができる(色素と共役される場合とそうではない場合がある)他のタンパク質、リガンド、あるいはペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、レポータは、具体的抗原に結合するように構成される生物発光性抗体または蛍光で標識された抗体であってもよい。色素と共役されない抗体は、サンプル内のある粒子に競合的に結合し、かつ、他のレポータがそれらの粒子に付着することを防止することによって、遮断目的のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、レポータは、本出願人によって販売されるDuraCloneレポータおよびレポータの組み合わせ等、細胞表面受容体または内部細胞成分に対して特異的である蛍光で標識された抗体であってもよく、蛍光で標識された抗体は、管内で乾燥される。
【0039】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の支持試薬が、レポータを事前に装填される管に添加されることができる。支持試薬は、複数の機能を果たし得る。いくつかの場合には、試薬は、液体形態であってもよく、試薬は、レポータが乾燥される場合に、レポータを管内で希釈し、レポータを再構成し得る。支持試薬は、キャップが管に添着され、かつ、管が反転されると(ステップ108においてさらに説明される)、キャップから血液を収集する役割を果たし得る。支持試薬は、染色反応がレポータとサンプル内の血液細胞との間で生じることを促進し得る、または、それを可能にし得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、支持試薬はまた、管がフローサイトメーター内へ給送される前に、付加的物質が、管に添加されるために要求されないように、サンプル内の赤血球の溶解を促進し得る、または、それを可能にし得る。いくつかの実施形態では、赤血球を溶解するために使用される支持試薬は、長時間にわたって白血球の完全性を損なわせることなく、赤血球を溶解するように構成されてもよい。そのような支持試薬はまた、抗体の適した結合を可能にするために、中性pHまたはほぼ中性pHであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、支持試薬は、生物学的流体からの赤血球を溶解するために使用されかつ本出願人から利用可能である、高度に特異的かつ穏やかな溶解溶液であるVersaLyse溶解溶液を含んでもよい。VersaLyseは、上述された全4つの機能(すなわち、乾燥されたレポータを希釈および再構成すること、ステップ108において管が反転されるとき、キャップから血液を収集すること、染色反応を促進すること、および、サンプル内の赤血球の溶解を促進すること)を実施することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、500μLの推奨される体積のVersaLyse溶解溶液が、管に添加されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗凝固剤(例えば、EDTAまたはヘパリン)もまた、管に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、抗凝固剤は、液体試薬の一部として添加されてもよい(例えば、それは、VersaLyse溶解溶液と事前に混合されてもよい)。他の実施形態では、抗凝固剤は、管内に事前に装填され、レポータとともに乾燥されてもよい。
【0043】
ステップ106に関して、レポータ、試薬、および/または抗凝固剤を管に添加するタスクは、多数の方法において実施されることができる。例えば、一般的な実験室デバイスを使用した古典的なピペッティングが、レポータ、支持試薬(例えば、VersaLyse溶解溶液)、および抗凝固剤を瓶から管内へ移動させるために実施されることができる。このアプローチは、正確な量を管内へ移動させるために、ピペッティングデバイスの使用を要求し得る。または、代替として、内蔵ドロッパを有するレポータ、支持試薬、および/または抗凝固剤の瓶が、使用されてもよい。しかしながら、このアプローチは、正確な量を管内へ移動させるために、あまり精密ではない場合があり、また、多くの管が一度に調製される必要がある場合、煩雑であり得る。別の代替は、単位化されたバイアルまたは容器(例えば、
図3に示される容器)内に供給され得る事前に測定された量のレポータ、支持試薬、および/または他の材料(例えば、抗凝固剤)を利用することである。これらの容器は、精密な量の各成分を包含してもよい。例えば、容器は、管に添加するための推奨される体積(500μL)のVersaLyse溶解溶液を事前に装填されて供給されてもよく、血液滴下をキャップ上に収集する同一のユーザは、容器の内容物を管に容易に添加することができる。したがって、ピペットは、必要とされない。
【0044】
ステップ108では、血液滴下を伴うキャップが、管に添着され、管は、次いで、反転される。レポータおよび支持試薬は、キャップから血液滴下を収集し、混合物を形成し得る。したがって、管の内容物は、レポータ、支持試薬、抗凝固剤、および血液滴下の混合物を含む。この時点で、(例えば、レポータと、支持試薬と、血液細胞との間の)反応が、血液滴下が抽出された時間から反応時間まで1分未満が経過するように、直ちに開始し得る。これは、血液サンプルを収集および調製するための典型的技法にとって好ましく、これは、血液がより長い時間周期にわたって収集管内に留まることを伴い、血液が留まるにつれた細胞活性化または不活性化から誘発されるアーチファクトにつながり得る。
【0045】
ステップ110では、管内のサンプル内の赤血球が、支持試薬によって溶解される。サンプル内の赤血球、その内容物、および/または粒子は、マーカによって染色されてもよい。
【0046】
ステップ112では、管は、分析プラットフォーム(例えば、フローサイトメーター)と併用され、管の内容物を分析し得る。これは、管をフローサイトメーター内へ給送する直前に、キャップを管から除去することを伴い得る、または、キャップは、分析のための管の内容物を抽出するために、フローサイトメーターの針によって穿通され得る。
【0047】
管のキャップは、支持試薬を添加するために管を再開放する必要なく、分析の直前に除去される(または穿通される)のみであるため、汚染の潜在性が殆どない。さらに、技術者が、精密な量のレポータ、支持試薬、および抗凝固剤を測定し、管に添加する必要がもはやないため、全体的プロセスは、はるかにより迅速であり得る。管は、血液サンプルの容易な収集を促進し、レポータおよび/または凝固剤を事前に装填された状態にあってもよい。事前に測定された量の支持試薬は、血液サンプルとともに、管に添加されることができ、次いで、管は、管の内容物が混合することを可能にするために、蓋をされることができる。これらのステップは、あまり知識または専門知識を要求せず、血液を患者から抽出する同一のユーザによって実施されることができる。この簡略化および効率化されたプロセスは、技能が殆どないユーザによって実施されることができる低減された数のステップを有し、これは、コスト、誤差のリスク、および必要とされる時間量を低減させ、いくつかの場合には、血液サンプルを収集、調製、および分析するためのプロセス全体は、15分まで低減されることができる。
【0048】
さらに、このアプローチは、血液サンプルを収集および調製するための典型的なプロセスと比較して、医療デバイス廃棄物の量を低減させる。このアプローチは、(血液を患者から抽出するユーザによって装着される)一式の手袋と、血液を抽出するための指刺しデバイス(例えば、ランセットまたは針)と、キャップ付き管とのみを要求する。対照的に、典型的なプロセスは、(血液を患者から抽出するユーザおよび管を調製する技術者によって装着される)複数の一式の手袋と、針と、使用される血液収集システムに応じて、血液を患者から抽出するための注射器と、抽出された血液を収集するための収集管と、反応管と、血液、レポータ、および支持試薬を反応管内へ測定するためのピペット先端(または類似のピペッティングデバイス)とを要求し得る。したがって、このアプローチは、診療現場診断において分析のために血液サンプルを収集および調製するために必要とされる時間、材料、および専門知識を低減させる利点を有する。
【0049】
最後に、このアプローチは、少量の血液が採取されるときでさえ、依然として、血液サンプルからの正確な試験結果および診断を提供し得る。フローサイトメトリは、各タイプのレポータによって染色される各細胞集団の平均蛍光性強度を測定するために使用されてもよい。限定された体積の血液は、あまり希少ではない細胞集団上においてのみ、正確な測定を可能にする。実際は、正確な測定が取得されるために、少なくとも100個の細胞集団がサンプル内に存在する必要がある。これは、全ての白血球の1%までの減少を表す集団に関して、2分間にわたって分析される5μLの血液サンプル(50,000個のWBC)(1μL/秒の流率=120μL=サンプルの1/4が分析される=12,500個の細胞)において達成されることができる。したがって、収集されるために要求される少量の血液は、非常に合理的であり、現在の診療現場試験および分析の大部分が実施されることを可能にする。他の測定は、相互に対する(例えば、異なる集団の)細胞の割合であって、これもまた、上記と同一の正確度考慮点を用いて行われることができる。
【0050】
図3は、本開示の実施形態による、支持試薬の単位化されたバイアルを図示する。
【0051】
いくつかの実施形態では、血液サンプルを収集するために使用される管は、支持試薬の単位化されたバイアルまたは単位化された容器(例えば、図に示される容器300)とともに存在する状態であってもよい。したがって、(例えば、
図1および
図2に示されるステップ106において)試薬を管に添加するタスクは、空容器を廃棄する前に、試薬の単位化された容器を開放し、試薬を管内へ注ぐことを伴ってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、容器300は、一体型ドロッパ先端を伴う圧搾可能単位用量容器(例えば、Collyre Bleu点眼薬を格納および送達するために使用される容器;類似容器は、James Alexander Corporationから市販されている)であってもよい。容器300は、その中に内容物が保持される本体302を有してもよい。本体302上に配置される低減された直径を有する先端304が存在し得、先端304は、中空であり、圧力が本体302に印加されると、容器300の内容物が流出することを可能にする。先端304に取り付けられるのは、キャップ306であり得、これは、内容物が分注されるために、先端304の開口部を暴露するために、裂開または捻転され外されることができる。
【0053】
代替実施形態
いくつかの実施形態では、管は、レポータおよび支持試薬の両方を事前に装填された状態であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、管は、最初は別個であるが管のキャップが外されるときにともに混合することを可能にされるレポータおよび支持試薬の両方を事前に装填された状態であってもよい。例えば、管は、最初に、乾燥されたレポータおよび液体支持試薬(例えば、VersaLyse溶解溶液)を包含してもよく、液体支持試薬は、レポータから分離されてコンパートメント内に保持される。(例えば、血液滴下を収集するために)ユーザが管のキャップを開放すると、液体支持試薬を包含するコンパートメントは、破壊され得、これは、液体支持試薬を放出させ、レポータと混合させる。
【0055】
前の説明は、例示的実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用性、または構成を限定することを意図されない。むしろ、例示的実施形態の前の説明は、当業者に、1つまたは複数の例示的実施形態を実装するための実用可能な説明を提供する。種々の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能ならびに配列に行われてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態が、本明細書に説明され、種々の特徴が、異なる実施形態に帰するが、一実施形態に関して説明される特徴が、他の実施形態内にも組み込まれてもよいことを理解されたい。しかしながら、同様に、任意の説明される実施形態の単一の特徴または複数の特徴は、本発明の全ての実施形態に不可欠であると見なされるべきではなく、本発明の他の実施形態は、そのような特徴を省略してもよい。
【0056】
具体的詳細が、実施形態の完全な理解を提供するために前の説明に与えられている。しかしながら、実施形態は、これらの具体的詳細を伴わずに実践されてもよいことが、当業者によって理解される。例えば、本発明における回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の要素は、不必要な詳細において実施形態を曖昧にしないために、ブロック図形態における構成要素として示され得る。他の事例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、実施形態を曖昧にすることを回避するために、不必要な詳細を伴わずに示され得る。
【0057】
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造略図、またはブロック図として描写されるプロセスとして説明され得ることに留意されたい。フローチャートは、動作を逐次プロセスとして説明し得るが、動作の多くは、並行して、または、同時に、実施されることができる。加えて、動作の順序は、再配列されてもよい。プロセスは、その動作が完了されると、終了されてもよいが、議論されないまたは図に含まれない付加的ステップまたは動作も含み得る。さらに、任意の特定の説明されるプロセスにおける全ての動作が、全ての実施形態において生じなくてもよい。プロセスは、方法、機能、手技、サブルーチン、サブプログラム等に対応してもよい。プロセスが機能に対応するとき、その終了は、その機能が呼出機能または主要機能に戻ることに対応する。
【0058】
さらに、実施形態は、少なくとも部分的に、手動でまたは自動的にのいずれかにおいて、実装されてもよい。手動実装または自動実装は、機械、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、または、それらの任意の組み合わせの使用を通して、実行されてもよい、または、少なくとも補助されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコード内に実装されるとき、必要タスクを実施するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、機械可読媒体内に記憶されてもよい。プロセッサは、必要タスクを実施してもよい。
【0059】
1つまたは複数の実施形態の詳細な説明が、上記に与えられたが、種々の代替、修正、および均等物が、本発明の精神から逸脱することなく、当業者に明白となる。さらに、明確に不適当である場合、または、他の態様で明示的に記載される場合を除き、異なる実施形態の特徴、デバイス、および/または構成要素は、代用されかつ/または組み合わせられてもよいと仮定されるべきである。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものとして捉えられるべきではない。最後に、1つまたは複数の実施形態の1つまたは複数の要素は、本発明の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の他の実施形態の1つまたは複数の要素と組み合わせられてもよい。