(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】バルク形態の熱機械的変形可能材料の押出装置および押出方法、ならびにコンパクト・スクリュー押出機
(51)【国際特許分類】
B29B 7/42 20060101AFI20220921BHJP
B29B 7/60 20060101ALI20220921BHJP
B29B 9/00 20060101ALI20220921BHJP
B29C 48/02 20190101ALI20220921BHJP
B29C 48/505 20190101ALI20220921BHJP
【FI】
B29B7/42
B29B7/60
B29B9/00
B29C48/02
B29C48/505
(21)【出願番号】P 2020522407
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2018067130
(87)【国際公開番号】W WO2019007756
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】102017114841.8
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520001095
【氏名又は名称】アイム3デー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AIM3D GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】リュックボルン・トム
(72)【発明者】
【氏名】ツィールケ・ルネ
(72)【発明者】
【氏名】リーバーヴィルト・クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ・ヘルマン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-197580(JP,A)
【文献】特開平10-296807(JP,A)
【文献】特開平09-104056(JP,A)
【文献】特開2014-131842(JP,A)
【文献】特開平05-286011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00 - 7/94
B29B 9/00
B29C 48/00 - 48/96
B29C 45/00 - 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機械的に変形可能な粒状物(6)を押し出す装置であって、
垂直に配置されたスクリュー押出機であって、長さ/直径の比が1~
10のコンパクト構造のスクリュー押出機を備え、
前記スクリュー押出機は、充填装置(3)と、充填ファネル(4)に連結された押出機スクリュー(2)と、前記スクリュー押出機の導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されて、前記充填ファネル(4)の前記導入領域を小さくするメンバーとを有する、装置において、
前記メンバーは、コーン(5)のピッチ円部分からなり、かつ、前記充填装置(3)とは径方向反対側に配置されている粉砕具であることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記粉砕具は、前記充填ファネル(4)の内側ファネル壁に連結されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記メンバーは、充填装置(3)の垂直に延びる壁(9)からなる粉砕具として設けられていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記メンバーは、充填装置(3)の反対側に配置された状態で、垂直に延びるリブまたはブレードからなる粉砕具であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置において、前記粉砕具および押出機スクリュー(2)の硬度は、処理される前記
粒状物(6)の硬度以上であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、長さ/直径の比が1~3のコンパクト構造のスクリュー押出機であることを特徴とする装置。
【請求項7】
熱機械的に変形可能な粒状物(6)を押し出す方法であって、
垂直に配置された小さい構造的寸法のスクリュー押出機であって、充填装置(3)と、充填ファネル(4)に連結された押出機スクリュー(2)と、前記スクリュー押出機の導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されて、前記充填ファネル(4)の前記導入領域を小さくするメンバーとを有するスクリュー押出機を備える装置を使用する方法において、
粉砕具からなる前記メンバーは、内方へと落下する前記粒状物(6)が前記充填ファネル(4)内へと落下し、前記押出機スクリュー(2)によって前方へと搬送されるように前記粒状物(6)を粉砕し、
前記粉砕具は、供給された前記
粒状物(6)を粉砕して主に粉塵状の材
料を生じさせることで、沈降する前記粉塵が前記粒状物(6)における中間空間を満たし、圧縮し、均質化し、かつ、これにより、その後の短くなった圧縮ゾーン(7)において、圧縮および均質化された材
料が溶融され、その後の使用のために、短くなった排出ゾーン(8)において前記スクリュー押出機から排出され、
前記スクリュー押出機の長さ/直径の比は1~
10となることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記スクリュー押出機の長さ/直径の比は1~3であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、セラミックおよびプラスチックからなる射出成形用粒体を用いた付加製造のための縦型スクリュー押出機の構造的寸法を低減する装置および方法に関する。本発明は、さらに、コンパクト構造タイプのスクリュー押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱的および機械的影響下で可塑化することができる材料の押出しは、現在では、主に射出成形およびダイカストの分野において用いられている。このような場合には、生産される各部品に対して射出成形用金型が必要となることから、これらの方式は主にバッチ式の用途に適している。また、様々な付加製造方法が確立されて以来、熱可塑性材料または金属材料から複雑な3次元部品を生産することもできるようになった。これにより、金型を作製する必要がなくなった。これらの付加製造方法の一部においては、3次元部品を層毎に作製するために押出プロセスが用いられる。したがって、例えば、CEM法のためにコンパクトなスクリュー押出機が必要とされている。
【0003】
射出成形の分野では、一般的に、以下の目的を有するいわゆる3ゾーン型スクリュー押出機が用いられる。
- 材料の導入;
- ノズルへの材料の搬送;
- 材料の圧縮および通気;
- 材料の均等化;
- 金型を充填するための圧力の上昇。
【0004】
上記の材料を取り込んで搬送できるようにするために、一般的に、スクリューブレードの外径とスクリューシャフトの半径との間の比は、加工される粒体の粒径の倍数となるように選択される。材料を圧縮および均等化することにより、空気を含まない材料を均一に押出すために必要な圧力の上昇が生じる。このとき、過度に高い圧縮率とすると、材料のせん断荷重が高くなることを考慮しなければならない。特に、複合材料の場合、望ましくない分離作用が生じるおそれがある。このようなことを防止しつつ十分な圧縮および均等化を達成するために、スクリューの直径を大きくし過ぎないように増大させることが選択される。この構造的な解決手段では、圧縮ゾーンが比較的長くなる。したがって、スクリューの直径とスクリューの長さとの間の従来的な比は約16~20である。よりコンパクトなスクリュー押出機が記載されている解決手段が知られている。
【0005】
欧州特許第1063075号公報(特許文献1)には、平行に配置された複数のスクリューを用いることにより押出機の全体長さを低減したコンパクトなスクリュー押出機が記載されている。この場合、2つのスクリューがそれぞれ共通のチャンバ内を一方向に延びている。チャンバの端において、材料は通路を通って他のチャンバへと送られ、この他のチャンバ内では、平行に延びる2つのスクリューが材料を反対方向に搬送する。この場合、材料が段階的に圧縮されるようにスクリューピッチが変化する。平行に延びるスクリューを有する複数のチャンバを互いに隣合うように配置することにより、圧縮度を調節することが可能である。この文献に記載された解決手段は、上記チャンバを平行に配置することにより幅を大きくすることで、押出機ハウジングの長さを低減している。この場合、上記押出機の設置スペースおよび重量は低減されず、上記材料は全てのチャンバを通過する必要があることから、スクリューの有効長も低減されない。
【0006】
また、中国特許出願公開第105936119号明細書(特許文献2)にも、コンパクトな構造のスクリュー押出機が記載されている。この解決手段では、1つのハウジング内に2つのスクリューを同軸に設けた構成が用いられている。この場合、材料は、先ず、中空シャフトとして構成された外側のスクリューに径方向に供給される。搬送方向の端部において、上記材料は、反対方向への搬送を行う他のスクリューを中空シャフト内に配置することにより形成される隙間へと、方向を変えて送られる。中空のシャフトスクリューの内壁に逆スクリュー構造をさらに設けることによって、さらに高い圧縮効果が得られる。この解決手段も押出機ハウジングの長さを低減するものの、材料が、スペースを節約して配置された付加的なスクリューへと送られることにより、スクリューの有効長はほとんど同一のままである。これにより、押出機ハウジングの直径およびその質量が増大する。
【0007】
熱機械的に変形可能な材料を用いた付加製造の分野においては、押出プロセスを行うために、加熱ノズルに押し込まれるプラスチックワイヤが主に使用される。この分野においても、押出プロセスのためにスクリュー押出機を使用する解決手段が知られている。
【0008】
独国実用新案第202005018685号公報(特許文献3)には、押出機へ導入する際に、スクリューブレードにおけるスクリューの駆動部に面する切断刃により熱可塑性材料を切断する手動式の溶接押出機が記載されている。この材料は、導入ねじ部を介して当該スクリュー押出機へと供給される。この導入ねじ部は、熱可塑性材料を上記スクリューに供給するチャネル内の位置まで延びている。さらに、この導入チャネルにおいて導入ねじ部の反対側に、導入ねじ部に対して調節可能なカウンタ・テンションを生じさせるための装置が配置されている。カウンタ・テンション・メンバーを有する導入チャネルおよび導入ねじ部の構成から、手動式の溶接押出機において一般的に使用されるように、フィラメント又はプラスチック材料の溶接ワイヤを加工するための解決手段が用いられているということが明白である。上記装置は、ロールに巻き付けられた材料を引き出し、この材料がスクリューターンの切断刃によって切断される押出機へと供給するように構成されている。粒状の射出成形材料は上記のカウンタ・テンション・メンバーおよび導入ねじ部を介して引き出すことができないことから、この解決手段は、粒状の射出成形材料の加工には適していない。その結果、粒状の射出成形材料はどこにも固定されていないことから、上記スクリューの切断刃はこの材料に対していかなる力を加えることもできない。
【0009】
独国特許出願公開第102014018081号明細書(特許文献4)には、金属部品の付加製造のための設備が記載されている。この場合においても、粒状の材料を加工するスクリュー押出機が使用されている。3次元部品を作製するために、熱可塑的に変形可能な材料が、垂直に配置されたスクリュー押出機により、変位可能な印刷ヘッドにおいて層として押し出される。この文献に記載された解決手段は、主に、システム全体における印刷ヘッドの配置および上記材料が印刷ヘッドに供給される方法に関する。さらに、粒体の加工に基づいていない他の押出機の構成も記載されている。この解決手段には、均一に高い圧縮率を有する可能な限り小さい構造的寸法について、押出機がどのように構成されているのかが記載されていない。ここでは、単に、円錐状に形成された圧縮スクリューが使用されているという点について引用している。
【0010】
また、米国特許出願公開第2015/0321419号明細書(特許文献5)には、粒状物の付加製造のための設備が記載されている。ここでも、垂直方向および水平方向のいずれの方向にも構成可能であるものの、常に固定的に設けられるスクリュー押出機が使用されている。上記材料は、ファネルおよびスライドを介して、直接パイプ壁の開口を通じて押出機スクリューに案内される。この場合、上記スクリューは3ゾーン型スクリューとして構成されており、長さ/直径の比は15~24である。その結果、直径がより小さいスクリューが使用されているものの、長さ/直径の比は、射出成形分野の従来的な3ゾーン型押出機スクリューにおける比と同じである。長さ/直径の比を低減することについては記載されていない。材料受け部材をパイプ部として構成することにより、上記押出機は、単に、縦方向(垂直)に配置された従来的な3ゾーン型スクリュー押出機の構成となる。
【0011】
詳細には、付加製造のためのスクリュー押出機の使用は、押出機が変位可能に構成される必要があること又は構築領域全体が移動することから、特に、スクリューの長さによって定められるその構造的寸法およびその重量により限定されている。しかしながら、後者の解決手段では、実質的にプリンタ全体のサイズを大きくすることが必要となる。
【0012】
先行技術から知られている解決手段では、現在のところ、押出機スクリューの長さ/直径の比を低減することはできない。付加製造プロセスにおいて高い構築速度、すなわち高速性を実現するためには、装置における変位可能な要素が可能な限り速やかに移動されることが必要である。特許文献5に記載の解決手段の場合、押出機はこれ以上小さくすることができないことから、部品が印刷される構築表面がx,yおよびz方向に移動される。より大きい部品の場合またはより高い密度を有する材料を使用する場合には、移動する質量が大きいことにより、高い構築速度を実現することはできない。知られている他の解決手段は、押出機の長さのみを低減し、構造的寸法またはその質量を低減するものではない。また、長さ/直径の比も実質的に変わっていない。
【0013】
オーストリア国特許第407848号(特許文献6)には、熱可塑性プラスチック廃棄物を処理する装置が記載されている。プラスチック材料を供給するために円錐台形状の容器が使用される。処理されたプラスチック材料は、排出開口を介して下流の押出機へと送られる。上記容器には、コアとその上に形成されたスクリュー螺旋とを有する第1のスクリューが少なくとも設けられている。上記容器の内壁にはスクリュー螺旋が設けられており、このスクリュー螺旋により、プラスチック廃棄物が押出機へと搬送され、そこから押出機スクリューによって前方へと搬送される。この解決手段は、プラスチックバッチ材料を処理する装置に向けられており、当該装置は、上記容器内におけるプラスチック材料のブリッジ形成という課題に対する解決手段を提供し、かつ、適切な充填効果を奏し、下流の押出機へと十分な材料供給を行うものである。極めて異なるパッキング密度および材料組成のプラスチックバッチ材料を加工することが可能である。
【0014】
スイス国特許出願公開第503563号明細書(特許文献7)は、粉末状、粒状などの熱可塑性材料、特に、流体状の流動挙動を有し流動性メルトとなる熱可塑性材料を加工するスクリュープレスに関する。螺旋の内側に固定的な保持壁が設けられていることにより、搬送される材料塊が充填シャフト内で共に回転すること又は迂回することが防止されるように意図されている。付加的な変位部材により、粉末状または流体状の粒子が径方向に移動できる経路が自在に短くされ、最も好適な値に調節されるように構成されている。
【0015】
独国特許出願公開第1271973号明細書(特許文献8)は、見かけ上の重量が極めて小さい熱可塑性プラスチック材料(特に、廃棄物)に用いられる連続動作スクリュープレスに関する。このスクリュープレスは、特に、回転する水平方向のスクリューを備え、このスクリューは異なるウェブ高さを有し、充填端において顕著に円錐状に大きくなっており、搬送方向に向かって小さくなっている。導入ゾーンの領域において、上記スクリューを囲む内側ハウジング壁は長手方向の波形を有する。上記スクリューウェブは、アンダーカットおよび/または凹部を有する駆動フランクのエッジに沿って設けられている。供給開口の内壁には鋸歯状に形成された切断刃が設けられており、この切断刃は、回転するスクリューウェブと共に、供給された材料を粉砕する装置を構成している。
【0016】
独国特許出願公開第102013002559号明細書(特許文献9)には、プラスチックポリマーからなる初期材料を搬送し、溶融し、均等化する単軸可塑化装置、特に、プラスチック射出成形機が開示されている。スクリューの直径Dは少なくとも150mmであり、スクリューの直径Dに対する有効長Lの比L/Dが1~8である。上記スクリューは水平方向に配置されており、充填シャフトは、このスクリューに対して90°の角度で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】欧州特許第1063075号公報
【文献】中国特許出願公開第105936119号明細書
【文献】独国実用新案第202005018685号公報
【文献】独国特許出願公開第102014018081号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0321419号明細書
【文献】オーストリア国特許第407848号
【文献】スイス国特許出願公開第503563号明細書
【文献】独国特許出願公開第1271973号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013002559号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、スクリュー押出機の長さ/直径の比を大幅に低減することである。同時に、密度が高く連続的な材料ストランドを押し出すために、粒状物を高度に圧縮することも意図されている。このようなスクリュー押出機は、その質量および構造的寸法がより小さいことにより、移動可能な用途、特に、付加製造プロセスに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記目的は、縦方向に配置されたスクリュー押出機においてファネル状の導入領域に配置された粉砕具によって達成される。また、この場合、前記粉砕具は、前記材料が前記ファネル内で回転移動することを防止することで、スクリューフランクのピッチと共に前記スクリュー押出機の搬送方向への移動を生じさせる。一方、粗い材料の部分が粉砕されることにより、前記スクリューの領域におけるかさ密度が高められ、可塑化および均質化ゾーンの領域において、前記材料から押し出される必要のある空気の量が少なくなる。
【0020】
本発明に係る熱機械的に変形可能な粒状物を押し出す装置は、長さ/直径の比が1~10、好ましくは1~3であるコンパクトな構造の、縦方向に配置されたスクリュー押出機と、充填装置と、充填ファネルに連結されたと押出機スクリューとを備える。さらに、前記スクリュー押出機の前記導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されたメンバーであって、前記充填ファネルの前記導入領域を小さくするメンバーが設けられている。前記メンバーは、コーンのピッチ円部分(Teilkreisschnitt)からなる粉砕具であり、前記充填装置とは径方向反対側に配置されており、これにより、前記押出機スクリューの外径/コア半径の比は、前記粒状物の直径の1~1.5倍となる。前記粉砕具は、前記充填ファネルの内側ファネル壁に連結されている。
【0021】
他の実施形態について、前記メンバーは、充填装置の反対側に配置された状態で、縦方向に延びる壁からなる粉砕具である。
他の実施形態について、前記メンバーは、充填装置の反対側に配置された状態で、縦方向に延びるリブまたはブレードからなる粉砕具である。
前記粉砕具および押出機スクリューの硬度は、有利なことに、処理される前記材料の硬度以上である。
【0022】
本発明に係る熱機械的に変形可能な粒状物を押し出す方法は、縦方向に配置された小型のスクリュー押出機であって、充填装置と、充填ファネルに連結された押出機スクリューとを有するスクリュー押出機を備える装置を使用する。前記スクリュー押出機の前記導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されたメンバーは、前記充填ファネルの前記導入領域を小さくすることにより、内方へと落下する前記粒状物が前記充填ファネル内へと落下し、前記押出機スクリューによって前方へと搬送されるように前記粒状物を粉砕し、前記粉砕具は、供給された前記材料を粉砕して主に粉塵状の材料(staubfoermigen Material)を生じさせることで、沈降する前記粉塵が前記粒状物における中間空間を満たし、圧縮し、均質化する。その後の短くなった圧縮ゾーンにおいて、圧縮および均質化された前記材料が溶融され、その後の使用のために、短くなった排出ゾーンにおいて前記スクリュー押出機から排出され、前記スクリュー押出機の長さ/直径の比は1~10、好ましくは1~3となる。前記充填ファネルの前記導入領域は、前記押出機スクリューの外径/コア半径の比が、搬送される前記粒状物の直径の1~1.5倍となるように、前記粉砕具によって縮小されている。
【0023】
これにより押出機スクリューに対して実現可能となるより小さい構造的寸法の効果は、例えば付加製造に用いるための、コンパクトかつ移動可能なスクリュー押出機の構成と関連している。前記押出機の質量を低減した結果、先行技術に記載された解決手段と比較して、さらに高い構築速度を実現することが可能である。前記押出機の構造的寸法を小さくしたにも拘らず、射出成形の分野における比較的粗い標準粒体を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】縦型スクリュー押出機の導入領域における本発明に係る解決手段の第1実施形態の図である。
【
図5】粒状物を共に、
図1の細部を示す別の図である。
【
図7】充填ファネルの内壁において反対方向を向くねじ部を有する他の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明について、実施形態に言及しつつ、より詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る装置が示されている。この場合において、縦型押出機1が押出機スクリュー2を有していることが分かる。押出機1は、充填装置3に連結されている。充填装置3は、押出機スクリュー2に面する端部において、押出機スクリュー2に対して同軸で直接隣接する充填ファネル4に連結されており、粒状の材料6が充填装置3から充填ファネル4へと搬送される。粉砕具により、前記スクリュー押出機の構造的高さが小さくなり、かつ長さ/直径の比が低減される。前記粉砕具は、前記スクリュー押出機の前記導入領域に、好ましくは充填ファネル4に、固定的または移動可能に径方向に配置されている。
【0026】
図1から
図4に示された解決手段は、粉砕具として、充填装置3とは径方向反対側に配置され且つ充填ファネル4に取り外し可能に連結されたコーン5のピッチ円部分を有する。コーン5により、充填ファネル4の重点領域は、当該位置において、押出機スクリュー2の外径/コア半径の比が搬送される粒状物6の直径の僅か1~1.5倍となる程度まで縮小される(
図3)。内方へと落下する粒状物6は充填ファネル4内へと落下し、押出機スクリュー2によって前方へと搬送される。一方、充填ファネル4内にコーン5が径方向に配置されていることにより、押出機スクリュー2の縁部において供給された材料6が周方向にのみ(すなわち、押出機スクリュー2の回転と共にのみ)移動してしまい、下方へ搬送されないことが防止される。押出機スクリュー2の縁部に位置する粒状物6の粒子がコーン5に当たると、周方向への移動が阻害されることによって、軸方向への移動が生じる(
図4)。スクリューシャフト201とスクリューブレード202との間にある極めて小さい中間空間により、材料6はそのまま前方へ搬送されることはなく、粉砕される(
図5)。スクリューシャフト201およびコーン5は、加工される材料6に応じた適切な材料から製造されなければならない。スクリューシャフト201およびコーン5の硬度は、加工される材料6の硬度以上である必要がある。材料6を粉砕することにより、充填ファネル4に微細な粉塵が蓄積することになる。この沈降する粉塵により、スクリューターン203内の粗い材料6のかさ密度によって生じる空間が満たされる。これにより、搬送される材料6の圧縮および均等化が、熱的な影響を伴うことなく、導入時に既に行われる。また、押出機1において下方へ搬送される空気が少ないので、材料6は、その後の圧縮ゾーン7においてより速やかに溶融させることが可能である。圧縮ゾーン7および排出ゾーン8が実質的に短くなることにより、押出機1は実質的によりコンパクトとなり、長さ/直径の比として3~10から1~3を実現することができる。
【0027】
図6には、他の実施形態が示されている。
図6において、
図1から
図5の部品と同一の部品については全て、これらの図で用いた符号と同一の符号で示されている。基本的な構造は
図1に言及しつつ説明されており、この説明を引用する。
図6に示された解決手段は、粉砕具として、縦方向に延びる壁(Wand)9を備え、この壁は、コーン5と同様に、充填装置3とは径方向反対側に設けられている。縦方向に延びる壁9はコーン5と同様に作用するので、詳細な説明は省略する。同様に、コーン5と同じように粒状物6に作用するリブ若しくはブレード、または縦方向に延びる壁9は、充填ファネル4のファネル壁に取り外し可能かつ移動不能に配置することも可能である。
【0028】
図7には、反対方向を向く螺旋スクリュー10が充填ファネル4の内壁401に設けられている他の実施形態が示されている。スクリューシャフト201とは反対方向を向く螺旋スクリュー10の回転により、粒状物6は押出機スクリュー2へと送られ、材料6のうちの大きすぎる構成部分が圧縮粉砕されるので、前記材料をさらに圧縮することが可能である。
前記粉砕具は、固定要素および回転要素のいずれとしても構成することが可能であるる。
【0029】
本発明に係る装置は、広い速度範囲の押出機スクリュー2において機能する。したがって、当該装置は、低いスクリュー速度を必要とする材料6を用いる場合にも使用できる。
また、前記導入領域の温度は材料6に応じた温度である。複合材料などの脆性材料6は、固体状態で粉砕する必要がある。純粋な熱可塑性プラスチック材料などの靱性材料は、そのガラス転移温度の範囲内の温度を必要とする。
移動可能な粉砕装置の場合、前記粉砕は、前記導入領域の一定部品において行うことができ、前記スクリューに対する相対移動として行わなくてもよい。
以下、本発明の実施態様を記す。
〔態様1〕熱機械的に変形可能な粒状物(6)を押し出す装置であって、
垂直に配置されたスクリュー押出機であって、長さ/直径の比が1~10、好ましくは1~3のコンパクト構造のスクリュー押出機を備え、
前記スクリュー押出機は、充填装置(3)と、充填ファネル(4)に連結された押出機スクリュー(2)と、前記スクリュー押出機の導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されて、前記充填ファネル(4)の前記導入領域を小さくするメンバーとを有する、装置において、
前記メンバーは、コーン(5)のピッチ円部分からなり、かつ、前記充填装置(3)とは径方向反対側に配置されている粉砕具であることを特徴とする装置。
〔態様2〕態様1に記載の装置において、前記粉砕具は、前記充填ファネル(4)の内側ファネル壁に連結されていることを特徴とする装置。
〔態様3〕態様1に記載の装置において、前記メンバーは、充填装置(3)の垂直に延びる壁(9)からなる粉砕具として設けられていることを特徴とする装置。
〔態様4〕態様1に記載の装置において、前記メンバーは、充填装置(3)の反対側に配置された状態で、垂直に延びるリブまたはブレードからなる粉砕具であることを特徴とする装置。
〔態様5〕態様1から4のいずれか一態様に記載の装置において、前記粉砕具および押出機スクリュー(2)の硬度は、処理される前記材料(6)の硬度以上であることを特徴とする装置。
〔態様6〕熱機械的に変形可能な粒状物(6)を押し出す方法であって、
垂直に配置された小さい構造的寸法のスクリュー押出機であって、充填装置(3)と、充填ファネル(4)に連結された押出機スクリュー(2)と、前記スクリュー押出機の導入領域に径方向に固定または移動可能に配置されて、前記充填ファネル(4)の前記導入領域を小さくするメンバーとを有するスクリュー押出機を備える装置を使用する方法において、
粉砕具からなる前記メンバーは、内方へと落下する前記粒状物(6)が前記充填ファネル(4)内へと落下し、前記押出機スクリュー(2)によって前方へと搬送されるように前記粒状物(6)を粉砕し、
前記粉砕具は、供給された前記材料(6)を粉砕して主に粉塵状の材料(6)を生じさせることで、沈降する前記粉塵が前記粒状物(6)における中間空間を満たし、圧縮し、均質化し、かつ、これにより、その後の短くなった圧縮ゾーン(7)において、圧縮および均質化された前記材料(6)が溶融され、その後の使用のために、短くなった排出ゾーン(8)において前記スクリュー押出機から排出され、
前記スクリュー押出機の長さ/直径の比は1~10、好ましくは1~3となることを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0030】
1…押出機
2…押出機スクリュー
201…スクリューシャフト
202…スクリューブレード
203…スクリューターン(ピッチ間隔)
3…充填装置
4…充填ファネル
401…充填ファネル4の内壁
5…コーン
6…粒状の材料
7…圧縮ゾーン
8…排出ゾーン
9…垂直に延びる壁
10…反対方向を向く螺旋スクリュー