(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両の縦方向動力を自動的に調整するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20220921BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220921BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20220921BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B60W30/09
G08G1/16 C
B60T7/12 F
G08G1/01 E
(21)【出願番号】P 2020534530
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2018079850
(87)【国際公開番号】W WO2019120727
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】102017223480.6
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ミエレンツ,ホルガー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-081924(JP,A)
【文献】特開2003-039979(JP,A)
【文献】国際公開第99/058359(WO,A1)
【文献】特表2009-511357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の縦方向動力を自動的に調整する方法において、
前記車両(2)が、前方の車両(7、8)を検出する第1のセンサシステム(3)を備え、前方の車両(7、8)が検出された場合に前記車両(2)の車両速度(V
0)が低減される方法において、
前記第1のセンサシステム(3)が前方の交通渋滞を検出し、信号を出力し、
前記車両(2)が備える制御装置(10)が、前記車両(2)が備える駆動および減速装置(16、17)を制御することによって、交通渋滞末尾(7)の後方から第1の所定の間隔(d
1)に達するまで前記車両(2)を制動する、方法であって、
前記車両(2)が、後続の車両(9)を検出する第2のセンサシステム(5)を備え、前記第1のセンサシステム(3)によって前方の交通渋滞(7,8)が検出された場合に
前記制御装置(10)が前記駆動および減速装置(16、17)を制御することによって、前記交通渋滞末尾(7)との前記第1の所定の間隔(d
1)をおいて前記車両(2)を制動した後に、前記第2のセンサシステム(5)によって前記後続の車両(9)が検出された場合にようやく前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)の速度に対して少ない速度差により前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記第1の所定の間隔を詰め、
前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)との前記第1の所定の間隔(d
1)をおい
て制動
された後に、前記車両(2)と前記後続の車両(9)との間の距離が第2の所定の間隔(d
2)未満となったことが前記第2のセンサシステム(5)によって検出された場合にようやく
前記制御装置(10)が前記駆動および減速装置(16、17)を制御することによって、前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記第1の所定の間隔(d
1)を詰め、
前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)との前記第1の所定の間隔(d
1)をおいて停止し、前記後続の車両(9)が検出され、前記車両(2)の車両速度(V
0)に対する前記後続の車両の速度差(V
3)が低減された場合にようやく
、前記制御装置(10)が前記駆動および減速装置(16、17)を制御することによって、前記交通渋滞末尾(7)の速度(V
1)に対して小さい速度差により前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記第1の所定の間隔(d
1)を詰める、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記速度差が30km/h、20km/h、または10km/hである、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記第1および/または前記第2のセンサシステム(3、5)によって、前記車両(2)が現在通行している道路タイプ(1)を検出し、当該現在通行している道路タイプ(1)に応じてこの方法を実施する方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、
前記第1および/または前記第2の所定の間隔(d
1、d
2)および/または後続の車両(9)と前記車両(2)との間の速度差(V
3)の最大ずれが、
検出された道路タイプ、
交通密度、
制動プロセスの開始前に走行していた速度、
現在の気象条件、
通行している道路上のカーブの存在、または
これらの組合せに依存する方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、
前記交通渋滞末尾(7)のさらなる移動(V
1)時に、自動的に縦方向制御される前記車両(2)を、相対速度値(V
1-V
0)および間隔値(d
1)を保持してさらに移動させる方法。
【請求項6】
車両(2)の縦方向動力を自動的に調整するための装置であって、前記車両(2)が、縦方向速度(V
0)を調整するための制御装置(10)を備え、該制御装置によって、縦方向動力を調整するために前記車両(2)の駆動および減速装置(16、17)に制御信号を出力可能であり、前記駆動および減速装置(16、17)が、前方の車両(7)を検出する第1のセンサシステム(3)を有する装置において、
前記第1のセンサシステム(3)によって供給されるデータによって前方の交通渋滞が検出され、
前記車両(2)の前記前方の交通渋滞が検出された場合に、交通渋滞末尾(7)の後方で所定の間隔(d
1)に達するまで、駆動および減速装置(16、17)を制御することによって前記車両(2)が減速され、
前記車両(2)が後続の車両(9)を検出する第2のセンサシステム(5)を有し、前方の交通渋滞末尾(7)が検出された場合に前記制御装置(10)が前記車両(2)の駆動および減速装置(16、17)に制御信号を出力することで、前記交通渋滞末尾(7)との所定の間隔(d
1)をおいて前記車両(2)を制動し、前記第2のセンサシステム(5)によって前記後続の車両(9)が検出された場合にようやく前記車両(2)が前記交通渋滞末尾の速度(V
1)に対して小さい速度差により前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記所定の間隔(d
1)を詰め、
前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)と
の第1の所定の間隔(d
1)をおいて制動
された後に、前記車両(2)と前記後続の車両(9)との間の距離が第2の所定の間隔(d
2)未満となったことが前記第2のセンサシステム(5)によって検出された場合に、ようやく前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記第1の所定の間隔(d
1)を詰め、
前記車両(2)が前記交通渋滞末尾(7)との前記第1の所定の間隔(d
1)をおいて停止し、前記後続の車両(9)が検出され、前記車両(2)の車両速度(V
0)に対する前記後続の車両の速度差(V
3)が低減された場合に、ようやく前記交通渋滞末尾(7)の速度(V
1)に対して小さい速度差により前記交通渋滞末尾(7)との残りの前記第1の所定の間隔(d
1)を詰める、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
前記第1のセンサシステム(3)および/または前記第2のセンサシステム(5)が、それぞれ、レーダ技術、ビデオ技術、ライダー技術および/または超音波技術に基づく環境センサ(3、5)であり、かつ/または車間(C2C)通信を介したデータ伝送のためのインターフェースからなっており、かつ/または車両とクラウドサービスとの間のデータ伝送のためのインターフェースからなっている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の縦方向動力を自動的に調整するための方法および装置であって、車両が前方の車両を検出するセンサシステムを有し、前方の車両が検出された場合に、交通渋滞検出手段が渋滞を検出し、信号を出力することによって車両自身の速度が低減され、前方の交通渋滞が検出された場合に、交通渋滞の末尾から後方に所定の間隔に到達するまで車両が制動される方法および装置に関する。縦方向動力を自動的に調整される車両は、交通渋滞の末尾からの所定の間隔に到達した場合に、交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差によって交通渋滞の末尾との残りの所定の間隔を詰めることができる。後続の車両を検出する別の後部センサシステムによって、制御された車両は、後続の車両が検出された場合にようやく交通渋滞末尾に追いつくことができる。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第102007022589号明細書は、車両の前方の物体を位置特定するための前方センサシステムと、制御器とを有する自動車用の予測安全装置を開示しており、制御器は、切迫した衝突の危険性を評価するために前方センサシステムの信号を評価し、衝突危険性が深刻な場合には衝突を回避するために、または衝突の結果を緩和するために車両の縦方向運転に介入する。この場合、車両のその他の周囲の物体を位置特定するための補足的なセンサシステムが設けられており、制御器は、補足的なセンサシステムのデータに基づいてその他の周囲の物体を考慮して危険性全体を最小限にする縦方向運転対策を計算するように設定されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、前方の交通渋滞が検出された場合に車両、特に自動的または自律的に運転される車両を早期に制動し、前方の車両および後方の車両の両方に対する衝突の危険性を大幅に低減する方法および装置を提供することである。本発明によれば、このことは独立請求項の特徴によって解決される。有利なさらなる実施形態および構成が従属請求項に記載されている。
【0004】
交通渋滞末尾に近づく車両、特に自動的または自律的に運転される車両は、交通渋滞末尾に到達する前に自身の車両の速度を著しく低減し、これにより、自身の車両が交通渋滞末尾に到達する前に後続の交通利用者が追いつき、自身の車両と共に制動させられる。早期の制動によって、車両間の空間は、車両ができるだけ遅く制動する場合よりも著しく大きく、これにより、衝突および起こり得る連鎖的衝突の危険性を明らかに低減する。
【0005】
好ましくは、自動的に縦方向動力制御された車両は、交通渋滞末尾から所定の間隔に到達した場合に、交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差で交通渋滞末尾からの残りの所定の間隔を詰める。これにより、自動的に縦方向動的制御される車両は、もはや高速で直接の交通渋滞末尾に近づくのではなく、交通渋滞末尾から間隔d1をおいて既に速度差の大部分を既に減少させており、交通渋滞末尾に到達するまでに残された間隔d1を低い速度差により、したがって低い衝突確率により進むことができる。
【0006】
さらに好ましくは、車両は別のセンサシステムを備え、このセンサシステムによって後続の車両が検出され、前方の交通渋滞が検出された場合に交通渋滞末尾との所定の間隔をおいて車両を制動した後に、車両は後続の車両が検出された場合にようやく交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差により、交通渋滞末尾との残りの所定の間隔を詰める。これにより、後続の車両も早期に大きい速度差を減少させ、縦方向に動的制御される車両の後部に衝突した場合であっても、既に停止しているか、または非常にゆっくりと走行している車両に押し付けられることはない。なぜならば、交通渋滞末尾で前方を走行する車両との十分な間隔d1が設けられているからである。これにより、全ての車両の全体的な衝突確率がさらに低減される。
【0007】
さらに好ましくは、車両が交通渋滞末尾との所定の間隔d1をおいて車両を制動した後に、後続の車両が第2の所定の間隔d2未満となったこと別のセンサシステムによって検出された場合にようやく車両は交通渋滞末尾との残りの所定の間隔d1を詰める。これにより、後続の車両が速度差の大部分を減少させ、それからようやく自身の車両が交通渋滞末尾との残りの距離を詰め、したがって、間隔が小さい走行状況では小さい速度差でしか走行しない。
【0008】
さらに好ましくは、自動的に縦方向に動的制御される車両は、交通渋滞末尾との所定の間隔d1をおいて停止し、後続の車両が検出され、自身の車両速度に対する後続の車両の速度差v3が既に十分に低減された場合にようやく交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差により交通渋滞末尾との残りの所定の間隔を詰める。このような措置により、車両の縦方向に動的制御される自身の車両が、実際に後続の車両が接近した場合にようやく交通渋滞末尾に追いつくことが保証される。車両が少ない交通状況では場合によっては交通密度が高い場合よりもこのことに長くかかることがあり、したがって、交通量が少ない場合にも後続の車両が検出された場合にようやく縦方向に動力制御される自身の車両は間隔を詰める。
【0009】
特に好ましくは、相対速度が最大で30km/h、特に最大で20km/hまたは最大で10km/hの差を示す場合、速度差が大幅に低減されたと見なされる。
【0010】
さらに好ましくは、現在通行している道路タイプが、センサシステムによって、特に第1および/または第2のセンサシステムによって検出され、この方法は、現在通行している道路タイプに応じて実施される。これにより、交通渋滞の場合には、車両が高速道路、複数車線の連邦道路、または高速車専用道路として開発された交通経路を走行している場合にのみ間隔を詰めることが保証されるが、この方法は、市内交通または住宅エリアにおいては起動されない。道路タイプは、例えば、ナビゲーション装置の地図データ内の追加情報によって、例えば移動無線接続を介してインフラストラクチャサービスによって提供されるデータによって、またはセンサシステムによって検出することができ、センサシステムは、通行しているレーンの左側および/または現在通行しているレーンの右側に他の車両が走行していることを検出する。センサシステムとしては、例えばレーダセンサシステム、ビデオセンサシステム、ライダセンサシステム、または超音波センサシステムを用いることができる。
【0011】
さらに好ましくは、第1および/または第2の所定の間隔d1、d2および/または後続の車両と自身の車両との間の速度差v3の最大ずれは、検出された道路タイプ、交通密度、制動プロセスの開始前に走行していた速度、現在の気象条件、道路のカーブの存在、またはこれらの組合せに依存する。したがって、車線の数と許容される最大速度との間には相関性があることが多いので、この方法を実施するために間隔および速度差を道路状況に対応させることができる。さらに、間隔および速度差は交通密度に対応させることができる。この場合、交通密度は、所定の時間単位内に距離区間を通過する車両の数、または、所定の時間単位内にレーンの地点を通過する車両の数を示す。追い越した車両および追い越された車両の数、ならびに隣接して走行する車両の数はセンサシステムによって検出することができるので、交通密度は、例えば、環境センサシステムによって検出することもできる。さらに、交通密度は、高速道路橋における交通密度を測定するための装置によって検出することもでき、これらのデータは、無線接続を介して車両に知らせることができる。さらに、移動無線プロバイダが、移動無線セルの占有度により交通密度情報を提供し、この情報が、例えば無線インターフェースを介して車両に供給されることも可能である。現在の気象条件は、例えば、フロントガラスワイパーセンサ、ビデオカメラ、外気温計などの車両センサシステムによって検出するか、または無線インターフェースを介してインフラストラクチャサービスによって車両に供給することができる。通行している道路のカーブの存在は、通行しているカーブの数ならびに半径を意味し、小さい曲線半径を有するカーブおよびより頻繁なカーブの場合には、縦方向制御によってより小さい間隔および速度差を設定するべきである。この情報は、ナビゲーション装置の地図データの追加情報から、または現在通行しているルートの履歴から提供することができる。
【0012】
さらに好ましくは、車両が長蛇の列をなして前進するように、交通渋滞末尾が移動し続ける場合に、自動的に縦方向に制御される車両は、相対速度値および間隔値を保持しながら移動し続ける。交通渋滞が停止に至るまで減速せずに低速で「徐行」し続ける場合には、自身の車両もこの「徐行」する前進速度によって移動し続けることが望ましい。
【0013】
この装置に関しては、好ましくは、車両の縦方向速度を調整するための制御装置は、交通渋滞末尾との所定の間隔に達した場合に、交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差により交通渋滞末尾との残りの所定の距離を詰めるように車両を制御し続ける。このためには、縦方向に制御される車両が、速度差ならびに好ましくは自身の車両の絶対速度を知っていることが必要不可欠である。この場合、車両がレーダセンサ、ライダセンサまたはステレオビデオカメラの形式のセンサシステムを利用できることが好ましい。モノラルカメラまたは超音波センサシステムを使用するシステムも可能である。この場合には、小さい速度差が提供されており、すなわち、相対速度は最大で30km/h、特に最大で20km/hまたは最大で10km/hの差を示す。
【0014】
さらに好ましくは、車両が、後続の車両を検出する別のセンサシステムを有し、前方の交通渋滞が検出された場合には、車両を制動した後に縦方向速度を調整するための制御装置が車両の駆動装置および減速装置に制御信号を出力する。これにより、交通渋滞末尾との所定の間隔をおいて制動された車両は、他のセンサシステムによって後続の車両が検出された場合にようやく交通渋滞末尾の速度に対して小さい速度差により交通渋滞末尾との残りの所定の間隔を詰める。交通渋滞末尾との所定の距離をおいて車両を制動した後に、車両は、他のセンサシステムが後続の車両を検出し、自身の車両と後続の車両との間隔が第2の所定の間隔未満となった場合にようやく交通渋滞末尾の速度に対して少ない速度差により交通渋滞末尾との残りの所定の距離を詰める。
【0015】
さらに好ましくは、前方の車両を検出するための第1のセンサシステムおよび/または後続の車両を検出するためのさらなるセンサシステムは、それぞれ、レーダ技術、ビデオ技術、ライダー技術および/または超音波技術に基づく1つ以上の環境センサであり、かつ/または車間(C2C)通信を介したデータ伝送のためのインターフェースからなっており、かつ/または車両とクラウドサービスとの間のデータ伝送のためのインターフェースからなっている。
【0016】
自動車の自動的な車両運転機能もしくは自律的な車両運転機能の制御器、特にヘッドユニットのために設けられた制御要素の形式で本発明による方法を実現することが特に重要である。この場合、計算装置、特にマイクロプロセッサまたは信号プロセッサで実行可能であり、本発明による方法を実行するのに適したプログラムが制御要素に格納されている。したがって、この場合、本発明は、制御要素に格納されたプログラムによって実施され、プログラムを備えるこの制御要素は、このプログラムを実行するために適した方法と同様に本発明を表す。
【0017】
本発明のさらなる特徴、可能な用途、および利点が、図面に示す本発明の例示的な実施形態の以下の説明から明らかである。個々に、または任意の組み合わせで、記載または図示された全ての特徴は、特許請求の範囲または従属請求項における要約にかかわらず、および明細書もしくは図面におけるそれらの定式化もしくは表現にかかわらず、本発明の主題をなす。
【0018】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による方法を説明するための例示的な交通状況を示す図である。
【
図2】本発明による方法を説明するための例示的な交通状況を示す3つの部分図である。
【
図3】本発明による装置の一実施形態を示す概略的なブロック図である。
【
図4】本発明による方法を説明するための例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
高度自動運転車両の場合には、移動対策が快適に設計されていることが一般に好ましく、例えば、交通渋滞に基づいて前方に遮断状況が生じている場合には、例えば、3m/s2の遅延をもたらす。したがって、例えば60km/hが最高速度として許容される道路では、前方に遮断状況が生じている場合には、約60mの距離から制動プロセスが開始される。これにより自身の車両の速度は連続的かつ快適に減速される。この場合に、自動運転される車両が渋滞状況における最後の車両であり、他の車両がほとんど制動せずに渋滞状況に接近できることが欠点である。その車両が停止操作もしくはし非常停止操作を開始しない場合、縦方向に制御される車両の前方の間隔が不足していることによって重大な被害もたらしかねない衝突が生じることもある。
【0021】
図1は、縦方向に動的に制御される自車両2が移動している道路1を示す。この自車両2は、第1のセンサシステム3、特に第1のセンサシステム3の検出範囲4を有する前方の環境センサシステムを有する。さらに、自車両2はさらなるセンサシステム5を有し、このセンサシステムは、特に後方の環境センサシステムとして構成されており、第2のセンサシステム5の検出範囲6を形成する。これにより、自車両2の前方の他の道路利用者7、8と、自車両2の後方の道路利用者9とを検出することができる。自車両2は、走行速度v0によって道路1を移動する。自車両2の前方には先行する車7が走行しており、例えば、交通渋滞に近づいているので停止しているか、または非常にゆっくりと走行している。交通渋滞に基づいて、前方の車両7の隣り、および前方には他の車両8が示されている。他の車両8および前方の車両7は、ここでは、交通渋滞に基づいて設定された、例えばv1によって示される低速でしか移動しない。速度v0で前進している自車両2は、状況v0>v1に基づいてより高い速度を有しており、交通渋滞末尾に到達する前に制動し、自身の速度v0を低減する必要がある。さらに、自車両2の後方には、速度v2で移動し、自車両2に追従している後続の車両9が走行している。前方の車両7および他の車両8が既に渋滞状況に入っていること基づいて、自車両2および後続の車両9は、衝突の危険性ができるだけ低くなるように制動する必要がある。
【0022】
図2は3つの部分
図2a~2cを示す。
図2aは、自車両2が速度v0で移動している道路1を再び示している。間隔d=d1では、自車2の前方に先行する車両7がおり、隣接車線には、渋滞状況に起因して停止しているか、または低い速度v1でしか走行していない他の車両8がいる。したがって、自車両2は制動する必要があり、制動は、間隔d=d1に達した場合に、v0がほぼv1となるまで自車両2が制動されるように行われる。あるいは、自車両2は、距離d=dlで完全に停止することができる。
【0023】
次の
図2bには、自車両2が距離d=d1で前方の車両7の後方に停止しているか、または低速v0=v1で走行している道路1が再び示されている。自車両2の後方では、速度v2で移動している後続の車両9が接近している。自車両2の後部センサシステム5によって後続の車両9の間隔を決定することができ、後続の車両9の間隔がd=d2よりも小さくなった場合には、自車両2は、停止状態から再び発進するか、または、距離d=d1をおいて前方を走行しているか、または前方に止まっている車両7に追いつくために低い速度が幾分高められる。
【0024】
最後の部分
図2cには、道路1が、他の車両8および前方の車両7と共に示されている。自身の車両2はこの段階で前方の車両7に追いつくので、速度v0で車両7に接近し、最小間隔d1よりも小さくなっている。後続の車両9は、第2の間隔値d2よりも小さい間隔dで自車両2に続く。この停止操作中に衝突が発生した場合、車両間の間隔は玉突き衝突を回避するのに十分に大きく、速度差は衝突損傷を最小限に抑えるために可能な限り小さい。
【0025】
図3は、制御装置10の概略的なブロック図を示す。制御装置10は、制御ユニットとして、例えば自動運転機能、または自律運転状況のヘッドユニットとしてとして構成することができる。制御装置10には入力回路11を介して入力信号が供給される。このようにして、前方センサシステム3および後方センサシステム5の出力信号は制御装置10の入力信号として供給される。前方センサシステム3および/または後方センサシステム5は信号を供給し、これらの信号から、制御装置10は、前方の車両7または後方を走行する車両9が存在するかどうか、ならびに自車両に対するこれらの車両の相対位置および相対速度を認識する。さらに、他の入力信号源12、例えば、運転者が操作するための操作レバーおよび/またはスイッチの形式で制御装置10のための操作装置、または外部で検出され、提供されたデータを車両に供給し、気象情報、交通密度に関する情報、または現在通行している道路のタイプを供給することができる無線受信機が設けられていてもよい。入力回路11に供給された情報源3、5、12の出力信号は、内部バスとして構成することができるデータ交換装置14を介して計算装置13に供給される。本発明による方法は、入力データから出力信号を決定し、提供し、本発明による方法を実行するソフトウェアの形態で計算装置13において実行される。計算装置13によって供給された出力信号は、データ交換装置14を介して制御装置10の出力回路15に供給され、出力信号は出力回路15によって下位の作動装置16、17に出力される。下位の作動装置16、17として、例えば電気モータ用の出力調整器、内燃機関のスロットルバルブ作動装置または燃料量計量装置などの駆動機械用の出力を決定する作動装置16を設けてもよい。同様に、下位の作動装置16,17は、運転者の操作なしに車両2を制動することができる車両2の減速装置17であってもよい。出力を決定する作動装置16および減速装置17を制御することによって、本発明による方法にしたがって車両2の速度v0を設定および制御することが可能である。
【0026】
図4は、ステップ20で始まる本発明による方法の例示的なフロー図を示す。この始動ステップ20は、車両2が始動される場合、車両2が複数車線の道路または高速道路を走行する場合、または車両2の運転者が操作要素を操作することによって本発明による機能を作動させる場合に行うことができる。次のステップ21では、車両の前部に取り付けられた第1のセンサシステム3によって、前方の物体7が検出されたかどうかがチェックされる。通行している道路が空いており、第1のセンサ3が前方の車両7を検出しない場合にはステップ21に戻り、前方の車両7が存在するかどうかを、このことが肯定的に検出されるまでチェックする。ステップ21において前方の車両7が検出された場合には、ステップ21はさらに「はい」に分岐し、ステップ22に進む。ステップ22において、交通渋滞が検出されたかどうかがチェックされる。このことは、例えば、車両2が、無線インターフェースを介して前方の交通渋滞を示す情報を受信することによって、または車両2の前部に取り付けられた第1のセンサ3を使用して、通行可能な全ての車線において、停止しているか、またはゆっくりとしか走行していない車両7、8を検出することによって行うことができる。交通渋滞が検出されない限りは、ステップ22は「いいえ」に分岐し、ステップ21において、前方の車両7がそもそも検出されたかどうかを再びチェックが行われる。ステップ22において前方の交通渋滞が認識された場合には、この方法は「はい」に分岐し、ステップ23において、交通渋滞末尾を表す先行する車両7との間隔d=d1をおいて停止するように車両2を制動することによって継続される。あるいは、車両2を停止させる代わりに、非常に低い目標速度まで制動することもできる。停止状態または目標速度に達した場合には、後方に配置された別のセンサ5によって、後続の車両が検出されたかどうかがチェックされる。車両の後部の第2のセンサ5によって後続の車両9が検出されない場合には、ステップ24に戻り、ステップ24が継続され、この方法は、後続の車両9が検出されるまで待機する。後続の車両9が別のセンサ5によって検出された場合には、ステップ24は「はい」に分岐し、ステップ25が継続され、後続の車両9の間隔が間隔d=d2未満であるか、および/または速度v2が最大速度v
max未満であるかどうかがチェックされる。そうでない場合には車両2のブレーキは作動状態のままであり、車両は停止状態のままであるか、または低速で移動し続ける。後続の車両9が速度値d=d2未満に減速した場合、および/または後続の車両の速度v2が最大速度v
max未満に低下した場合には、ステップ25はさらに「はい」に分岐し、ステップ26において、自車両2は、前方の車両7、8の速度v1を少しだけ超える低速v0で走行し続けることによって、前方の車両7である交通渋滞末尾まで詰める。交通渋滞末尾に到達し、最小間隔が得られた場合には、この方法は次のステップ27で終了し、渋滞状況は変化し、自車両2はもはや渋滞末尾を形成せず、交通渋滞において、物体7、8、9に対して低い相対速度で走行し続ける。