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特許7144525車両投光器、及び光源と前置光学系を調整するための方法
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  • 特許-車両投光器、及び光源と前置光学系を調整するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両投光器、及び光源と前置光学系を調整するための方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/63 20180101AFI20220921BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220921BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20220921BHJP
   F21S 41/27 20180101ALI20220921BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20220921BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220921BHJP
   F21V 17/02 20060101ALI20220921BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220921BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220921BHJP
【FI】
F21S41/63
F21S41/143
F21S41/16
F21S41/27
F21S41/29
F21V17/00 200
F21V17/02
F21W102:00
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020547308
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083287
(87)【国際公開番号】W WO2019110475
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】17205072.6
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ピリンガー、エリーク
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-005090(JP,A)
【文献】国際公開第2017/064093(WO,A1)
【文献】特開2016-139514(JP,A)
【文献】特開2012-230983(JP,A)
【文献】特開2010-182544(JP,A)
【文献】実開昭52-076286(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 17/00
F21W 102/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(2,102)と前置光学系(3,103)を含んだ車両投光器であって、
前記光源(2,102)は、前記前置光学系(3,103)を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系(3,103)は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記光源(2,102)は、前記車両投光器(1,101)内に設けられた支持体(10,110)上に固定されており、前記支持体(10,110)には、少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を受容するための穴部(12,13)がそれぞれ設けられており、
前記支持体(10,110)上には、少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)が載置面(11)上にそれぞれ配置されており、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)は、前記載置面(11)に対して直角方向に高さ(35,36)を有し、
保持部材(40,140)が、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)上に配置されており、前記保持部材(40,140)は、前記前置光学系(3,103)と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を受容するために設けられた開口部(41,42)をそれぞれ有し、
前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)は、それぞれ軸線(22,23)に沿って延在し、前記支持体(10,110)と前記保持部材(40,140)を結合するために設けられ、そのためにそれぞれの前記開口部(41,42)とそれぞれの前記穴部(12,13)に挿入されている構成であり、
前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)が前記開口部(41,42)に挿入されているが位置固定されていない前記保持部材(40,140)の第1のポジションおいて、前記保持部材(40,140)は、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)に関し、前記開口部(41,42)の内側で前記軸線(22,23)に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、前記支持体(10,110)上に固定された前記光源(2,102)に関し、前記保持部材(40,140)に固定された前記前置光学系(3,103)を直接的に対向させて位置合わせすることが可能であり、
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)は、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を用い、前記保持部材(40,140)と前記支持体(10,110)により一緒に押圧可能であり、それにより前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の前記高さ(35,36)が減少され、前記保持部材(40,140)の固定の第2のポジションが達成されること
を特徴とする車両投光器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の弾性係数は、前記保持部材(40,140)及び/又は前記支持体(10,110)の弾性係数よりも小さいこと
を特徴とする、請求項1に記載の車両投光器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の弾性係数は、80kN/mmよりも小さく、又は30kN/mmよりも小さく、且つ1kN/mmよりも大きく、或いは4kN/mmよりも小さいこと
を特徴とする、請求項2に記載の車両投光器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の降伏点は、100kN/mmよりも小さく、又は80kN/mmよりも小さく、且つ10kN/mmよりも大きく、或いは70kN/mmよりも小さく、且つ20kN/mmよりも大きいこと
を特徴とする、請求項2又は3に記載の車両投光器。
【請求項5】
前記車両投光器は、少なくとも2つの間隔要素(30,31,130)と少なくとも2つの結合手段(20,21,120)を含み、該少なくとも2つの間隔要素(30,31,130)は、前記支持体(10,110)に関して前記保持部材(40,140)の調整が達成できるように配置されており、この調整において、該少なくとも2つの間隔要素(30,31,130)は、調整されたポジションにおいてそれぞれ異なる高さ(35,36)を有することができること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項6】
前記光源(2,102)と前記支持体(10,110)の間に回路基板(4,104)が配置されており、前記回路基板(4,104)上に前記光源(2,102)が固定されていること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項7】
前記支持体(10,110)に冷却体が配設されているか、又は前記支持体自体が冷却リブ又は冷却ピンを有し、前記支持体(10,110)上に少なくとも1つの前記光源(2,102)が固定されていること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項8】
前記光源(2,102)と前記冷却体の間に回路基板(4,104)が配置されており、前記回路基板(4,104)上に前記光源(2,102)が固定されていること
を特徴とする、請求項7に記載の車両投光器。
【請求項9】
前記支持体(10,110)は、通過開口部を有し、前記光源(2,102)は、前記通過開口部を通って突出するよう配設されること
を特徴とする、請求項7又は8に記載の車両投光器。
【請求項10】
前記支持体(10,110)は、それぞれ深さ(16,17)をもつ少なくとも1つの窪み部(14,15)を更に有し、前記少なくとも1つの窪み部(14,15)は、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)を受容するために設けられ、実質的に前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の外側輪郭に対して相補的に形成されており、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の高さ(35,36)は、前記少なくとも1つの窪み部(14,15)の前記深さ(16,17)よりも大きいこと
を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)と前記支持体(10,110)との間、及び/又は前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)と前記保持部材(40,140)との間、及び/又は前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)と前記支持体(10,110)との間に、流体状の接着剤(51,151)を含んだ層が施されていること
を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項12】
前記接着剤(51,151)は、所定数のマイクロカプセル(50)内に包埋され、前記所定数のマイクロカプセル(50)が埋蔵されている流体状の担体材料により担持されていること
を特徴とする、請求項11に記載の車両投光器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)による前記保持部材(40,140)と前記支持体(10,110)の力結合式の結合により、前記所定数のマイクロカプセル(50)が、少なくとも部分的に破裂し、包埋されている前記接着剤(51,151)を解放すること
を特徴とする、請求項12に記載の車両投光器。
【請求項14】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)は、それぞれ間隔要素開口部を有し、トーラス形状を有し、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)は、前記間隔要素開口部を通って案内されていること
を特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項15】
前記少なくとも1つの結合手段は、ねじであり、前記支持体(10,110)の前記穴部(12,13)は、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)と係合するように構成されたねじ山部を有すること
を特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項16】
前記支持体(10,110)は、少なくとも1つの圧潰リブ(70,170)を含み、前記圧潰リブ(70,170)は、調整された状態で前記保持部材(40,140)と係合するように構成されていること
を特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両投光器。
【請求項17】
車両投光器(1,101)の光源(2,102)と前置光学系(3,103)を互いに取り付けて調整するための方法であって、
前記光源(2,102)は、前記前置光学系(3,103)を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系(3,103)は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記車両投光器(1,101)は、更に支持体(10,110)と保持部材(40,140)を含み、そして以下の方法ステップが実行される:
- 前記支持体(10,110)の載置面(11)の領域に前記光源(2,102)を配置して位置固定するステップであり、前記支持体(10,110)には、縦方向に延在し且つ縦延在の方向に軸線(22,23)を有する少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を受容するための穴部(12,13)が設けられており、
- 前記支持体(10,110)上に少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)を配置し、前記間隔要素(30,31,130)上に保持部材(40,140)を配置するステップであり、但し前記保持部材(40,140)は、前記前置光学系(3,103)と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を受容するために設けられた少なくとも1つの開口部(41,42)を有し、
- 前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)をそれぞれの前記開口部(41,42)とそれぞれの前記穴部(12,13)に挿入するステップ、
- 前記軸線(22,23)に対して直角方向に規定されたXY面内で前記光源(2,102)に対して前記前置光学系(3,103)を直接的に対向させて位置合わせすることにより、初期調整状態を作るステップ、
- 前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を用いて第1の力(80)を加えることで前記支持体(10,110)と前記保持部材(40,140)を結合することにより、XY面内で前記初期調整状態を固定するステップであり、該ステップでは、第1の調整高さ(61)を有する第1の調整状態が達成され、
- 前記支持体(10,110)と前記保持部材(40,140)の間に前記結合手段(20,21,120)を用いて第3の力(82)を加えることにより、XY面内で且つ前記軸線(22,23)の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さ(63)が達成されること
を特徴とする方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)を挿入するステップの前に、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)及び/又は前記結合手段(20,21,120)の外側表面上に、活性化可能な接着剤(51,151)が施されており、
前記第3の調整状態を作るステップの前に、以下のステップが実行される:
- 第2の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、前記接着剤(51,151)が、前記支持体(10,110)と前記保持部材(40,140)の間に前記結合手段(20,21,120)を用いて第2の力(81)を加えることにより活性化され、第2の調整高さ(62)が達成され、そして、
前記第3の調整状態を作るステップの後に、以下のステップが実行される:
- 活性化された前記接着剤(51,151)を硬化することにより、XY面内で且つ前記軸線(22,23)の方向において前記第3の調整高さ(63)で前記第3の調整状態を固定するステップ、
を特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)を配置する前に、前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)と前記支持体(10,110)との間、及び/又は前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)と前記保持部材(40,140)との間、及び/又は前記少なくとも1つの結合手段(20,21,120)と前記支持体(10,110)との間に、流体状の活性化可能な接着剤(51,151)を含んだ層が施されること
を特徴とする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
接着剤(51,151)が、所定数のマイクロカプセル(50)内に包埋されており、前記所定数のマイクロカプセル(50)が埋蔵されている流体状の担体材料により担持され、前記所定数のマイクロカプセル(50)は、これらのマイクロカプセル(50)に機械的な力が作用することで少なくとも部分的に破裂し、包埋されている前記接着剤(51,151)を解放すること
を特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の弾性係数は、前記保持部材(40,140)及び/又は前記支持体(10,110)の弾性係数よりも小さいこと
を特徴とする、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の弾性係数は、80kN/mmよりも小さく、又は30kN/mmよりも小さく、又は4kN/mmよりも小さく、且つ1kN/mmよりも大きいこと
を特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの間隔要素(30,31,130)の降伏点は、100kN/mmよりも小さく、又は80kN/mmよりも小さく、且つ10kN/mmよりも大きく、或いは70kN/mmよりも小さく、且つ20kN/mmよりも大きいこと
を特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と前置光学系(追加光学系 Vorsatzoptik)を含んだ車両投光器(例えば車両前照灯)に関し、この際、光源は、前置光学系を通して光を放射するように構成され、前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、光源は、車両投光器内に設けられた支持体上に固定されており、該支持体には、少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部がそれぞれ設けられており、更に支持体上には、少なくとも1つの間隔要素(スペーサ要素)が載置面上にそれぞれ配置されており、この際、少なくとも1つの間隔要素は、載置面に対して直角方向に高さを有し、保持部材(保持湾曲部材)が、少なくとも1つの間隔要素上に配置されており、この際、保持部材は、前置光学系と固定結合されており、少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた開口部をそれぞれ有し、少なくとも1つの結合手段は、それぞれ軸線に沿って延在し、支持体と保持部材を結合するために設けられ、そのためにそれぞれの開口部とそれぞれの穴部に挿入されている。
【0002】
更に本発明は、車両投光器の光源と前置光学系を取り付けて調整するための方法に関し、この際、光源は、前置光学系を通して光を放射するように構成され、前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されている。
【背景技術】
【0003】
車両投光器の光学コンポーネントを組み立てる際には、車両投光器の所望の光学機能を達成するために、これらのコンポーネントを互いに調整(アジャスト)することが必要である。この調整は、光学コンポーネントの互いの正確な位置合わせ(即ち配向)の他に、組み立ての過程中の簡単な取り扱いを要求する。更にこの調整は、持続的であるように行われ、車両投光器の寿命の間、温度変動や振動のような環境の影響に対して特に頑強であることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US 2014/0168996 A1
【文献】US 2009/0303726 A1
【文献】DE 10 2015 103 649 A1
【文献】WO 2014/138763 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両投光器の今日の構成は、多くの場合、構成が複雑であり、取り付けが高すぎるコストをもたらし、又は調整状態が時間と共に又は過剰の負荷により緩んでしまい、高価な再調整が必要になるという欠点を有する。
【0006】
本発明の課題は、従来技術の前記欠点が克服される、冒頭に記載した形式の方法及び車両投光器を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、冒頭で記載した形式の車両投光器において、少なくとも1つの結合手段が開口部に挿入されているが位置固定されていない保持部材の第1のポジションにおいて、保持部材は、少なくとも1つの結合手段に関し、開口部の内側で軸線に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、支持体上に固定された光源に関し、保持部材に固定された前置光学系の位置合わせ(即ち配向)が可能であり、更に少なくとも1つの間隔要素は、少なくとも1つの結合手段を用い、保持部材と支持体により一緒に押圧可能であり、この際、少なくとも1つの間隔要素の高さは、光源と前置光学系を互いに軸線の方向で位置合わせするために減少され、保持部材の固定の第2のポジションが達成されることにより解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
光源と前置光学系を含んだ車両投光器であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記光源は、前記車両投光器内に設けられた支持体上に固定されており、前記支持体には、少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部がそれぞれ設けられており、
前記支持体上には、少なくとも1つの間隔要素が載置面上にそれぞれ配置されており、前記少なくとも1つの間隔要素は、前記載置面に対して直角方向に高さを有し、
保持部材が、前記少なくとも1つの間隔要素上に配置されており、前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた開口部をそれぞれ有し、
前記少なくとも1つの結合手段は、それぞれ軸線に沿って延在し、前記支持体と前記保持部材を結合するために設けられ、そのためにそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入されている構成であり、
前記少なくとも1つの結合手段が前記開口部に挿入されているが位置固定されていない前記保持部材の第1のポジションおいて、前記保持部材は、前記少なくとも1つの結合手段に関し、前記開口部の内側で前記軸線に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、前記支持体上に固定された前記光源に関し、前記保持部材に固定された前記前置光学系の位置合わせが可能であり、
前記少なくとも1つの間隔要素は、前記少なくとも1つの結合手段を用い、前記保持部材と前記支持体により一緒に押圧可能であり、それにより前記少なくとも1つの間隔要素の前記高さが減少され、前記保持部材の固定の第2のポジションが達成されること
を特徴とする車両投光器が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
光源と前置光学系を含んだ車両投光器であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記光源は、前記車両投光器内に設けられた支持体上に固定されており、前記支持体には、少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部がそれぞれ設けられており、
前記支持体上には、少なくとも1つの間隔要素が載置面上にそれぞれ配置されており、前記少なくとも1つの間隔要素は、前記載置面に対して直角方向に高さを有し、
保持部材が、前記少なくとも1つの間隔要素上に配置されており、前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた開口部をそれぞれ有し、
前記少なくとも1つの結合手段は、それぞれ軸線に沿って延在し、前記支持体と前記保持部材を結合するために設けられ、そのためにそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入されている構成であり、
前記少なくとも1つの結合手段が前記開口部に挿入されているが位置固定されていない前記保持部材の第1のポジションおいて、前記保持部材は、前記少なくとも1つの結合手段に関し、前記開口部の内側で前記軸線に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、前記支持体上に固定された前記光源に関し、前記保持部材に固定された前記前置光学系を直接的に対向させて位置合わせすることが可能であり、
前記少なくとも1つの間隔要素は、前記少なくとも1つの結合手段を用い、前記保持部材と前記支持体により一緒に押圧可能であり、それにより前記少なくとも1つの間隔要素の前記高さが減少され、前記保持部材の固定の第2のポジションが達成されること
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
車両投光器の光源と前置光学系を互いに取り付けて調整するための方法であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記車両投光器は、更に支持体と保持部材を含み、そして以下の方法ステップが実行される:
- 前記支持体の載置面の領域に前記光源を配置して位置固定するステップであり、前記支持体には、縦方向に延在し且つ縦延在の方向に軸線を有する少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部が設けられており、
- 前記支持体上に少なくとも1つの間隔要素を配置し、前記間隔要素上に保持部材を配置するステップであり、但し前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた少なくとも1つの開口部を有し、
- 前記少なくとも1つの結合手段をそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入するステップ、
- 前記軸線に対して直角方向に規定されたXY面内で前記光源に対して前記前置光学系を位置合わせすることにより、初期調整状態を作るステップ、
- 前記少なくとも1つの結合手段を用いて第1の力を加えることで前記支持体と前記保持部材を結合することにより、XY面内で前記初期調整状態を固定するステップあり、該ステップでは、第1の調整高さを有する第1の調整状態が達成され、
- 前記支持体と前記保持部材の間に前記結合手段を用いて第3の力を加えることにより、XY面内で且つ前記軸線の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さが達成されること
を特徴とする方法が提供される。
より詳しくは、前記第2の視点において、
車両投光器の光源と前置光学系を互いに取り付けて調整するための方法であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記車両投光器は、更に支持体と保持部材を含み、そして以下の方法ステップが実行される:
- 前記支持体の載置面の領域に前記光源を配置して位置固定するステップであり、前記支持体には、縦方向に延在し且つ縦延在の方向に軸線を有する少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部が設けられており、
- 前記支持体上に少なくとも1つの間隔要素を配置し、前記間隔要素上に保持部材を配置するステップであり、但し前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた少なくとも1つの開口部を有し、
- 前記少なくとも1つの結合手段をそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入するステップ、
- 前記軸線に対して直角方向に規定されたXY面内で前記光源に対して前記前置光学系を直接的に対向させて位置合わせすることにより、初期調整状態を作るステップ、
- 前記少なくとも1つの結合手段を用いて第1の力を加えることで前記支持体と前記保持部材を結合することにより、XY面内で前記初期調整状態を固定するステップであり、該ステップでは、第1の調整高さを有する第1の調整状態が達成され、
- 前記支持体と前記保持部材の間に前記結合手段を用いて第3の力を加えることにより、XY面内で且つ前記軸線の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さが達成されること
を特徴とする。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
光源と前置光学系を含んだ車両投光器であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記光源は、前記車両投光器内に設けられた支持体上に固定されており、前記支持体には、少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部がそれぞれ設けられており、
前記支持体上には、少なくとも1つの間隔要素が載置面上にそれぞれ配置されており、前記少なくとも1つの間隔要素は、前記載置面に対して直角方向に高さを有し、
保持部材が、前記少なくとも1つの間隔要素上に配置されており、前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた開口部をそれぞれ有し、
前記少なくとも1つの結合手段は、それぞれ軸線に沿って延在し、前記支持体と前記保持部材を結合するために設けられ、そのためにそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入されている構成であり、
前記少なくとも1つの結合手段が前記開口部に挿入されているが位置固定されていない前記保持部材の第1のポジションおいて、前記保持部材は、前記少なくとも1つの結合手段に関し、前記開口部の内側で前記軸線に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、前記支持体上に固定された前記光源に関し、前記保持部材に固定された前記前置光学系の位置合わせが可能であり、
前記少なくとも1つの間隔要素は、前記少なくとも1つの結合手段を用い、前記保持部材と前記支持体により一緒に押圧可能であり、それにより前記少なくとも1つの間隔要素の前記高さが減少され、前記保持部材の固定の第2のポジションが達成されること。
(形態2)
前記少なくとも1つの間隔要素の弾性係数は、前記保持部材及び/又は前記支持体の弾性係数よりも小さく、
好ましくは、前記少なくとも1つの間隔要素の弾性係数は、80kN/mm よりも小さく、好ましくは30kN/mm よりも小さく、且つ1kN/mm よりも大きく、特に好ましくは4kN/mm よりも小さく、
好ましくは、前記少なくとも1つの間隔要素の降伏点は、100kN/mm よりも小さく、好ましくは80kN/mm よりも小さく、且つ10kN/mm よりも大きく、特に好ましくは70kN/mm よりも小さく、且つ20kN/mm よりも大きいこと、が好ましい。
(形態3)
前記車両投光器は、少なくとも2つの間隔要素と少なくとも2つの結合手段を含み、該少なくとも2つの間隔要素は、前記支持体に関して前記保持部材の調整が達成できるように配置されており、この調整において、該少なくとも2つの間隔要素は、調整されたポジションにおいてそれぞれ異なる高さを有することができること、が好ましい。
(形態4)
前記光源と前記支持体の間に回路基板が配置されており、前記回路基板上に前記光源が固定されていること、が好ましい。
(形態5)
前記支持体に冷却体が配設されているか、又は前記支持体自体が冷却リブ又は冷却ピンを有し、前記支持体上に少なくとも1つの前記光源が固定されており、
好ましくは、前記光源と前記冷却体の間に回路基板が配置されており、前記回路基板上に前記光源が固定されていること、が好ましい。
(形態6)
前記支持体は、通過開口部を有し、前記光源は、前記通過開口部を通って突出していること、が好ましい。
(形態7)
前記支持体は、それぞれ深さをもつ少なくとも1つの窪み部を更に有し、前記少なくとも1つの窪み部は、前記少なくとも1つの間隔要素を受容するために設けられ、実質的に前記少なくとも1つの間隔要素の外側輪郭に対して相補的に形成されており、前記少なくとも1つの間隔要素の高さは、前記少なくとも1つの窪み部の前記深さよりも大きいこと、が好ましい。
(形態8)
前記少なくとも1つの間隔要素と前記支持体との間、及び/又は前記少なくとも1つの間隔要素と前記保持部材との間、及び/又は前記少なくとも1つの結合手段と前記支持体との間に、好ましくは流体状の接着剤を含んだ層が施されており、
好ましくは、前記接着剤は、所定数のマイクロカプセル内に埋め込まれ、好ましくは、前記所定数のマイクロカプセルが埋め込まれている流体状の担体材料により担持されており、
好ましくは、前記少なくとも1つの結合手段による前記保持部材と前記支持体の力結合式の結合により、前記所定数のマイクロカプセルが、少なくとも部分的に破裂し、埋め込まれている前記接着剤を解放すること、が好ましい。
(形態9)
前記少なくとも1つの間隔要素は、それぞれ間隔要素開口部を有し、好ましくはトーラス形状を有し、前記少なくとも1つの結合手段は、前記間隔要素開口部を通って案内されていること、が好ましい。
(形態10)
前記少なくとも1つの結合手段は、ねじであり、好ましくは、前記支持体の前記穴部は、前記少なくとも1つの結合手段と係合するように構成されたねじ山部を有すること、が好ましい。
(形態11)
前記支持体は、少なくとも1つの圧潰リブを含み、前記圧潰リブは、調整された状態で前記保持部材と係合するように構成されていること、が好ましい。
(形態12)
車両投光器の光源と前置光学系を互いに取り付けて調整するための方法であって、
前記光源は、前記前置光学系を通して光を放射するように構成され、前記前置光学系は、その光を集束するか又は成形するように構成されており、
前記車両投光器は、更に支持体と保持部材を含み、そして以下の方法ステップが実行される:
- 前記支持体の載置面の領域に前記光源を配置して位置固定するステップであり、前記支持体には、縦方向に延在し且つ縦延在の方向に軸線を有する少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部が設けられており、
- 前記支持体上に少なくとも1つの間隔要素を配置し、前記間隔要素上に保持部材を配置するステップであり、但し前記保持部材は、前記前置光学系と固定結合されており、前記少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた少なくとも1つの開口部を有し、
- 前記少なくとも1つの結合手段をそれぞれの前記開口部とそれぞれの前記穴部に挿入するステップ、
- 前記軸線に対して直角方向に規定されたXY面内で前記光源に対して前記前置光学系を位置合わせすることにより、初期調整状態を作るステップ、
- 前記少なくとも1つの結合手段を用いて第1の力を加えることで前記支持体と前記保持部材を結合することにより、XY面内で前記初期調整状態を固定するステップであり、該ステップでは、第1の調整高さを有する第1の調整状態が達成され、
- 前記支持体と前記保持部材の間に前記結合手段を用いて第3の力を加えることにより、XY面内で且つ前記軸線の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さが達成されること。
(形態13)
前記少なくとも1つの結合手段を挿入するステップの前に、前記少なくとも1つの間隔要素及び/又は前記結合手段の外側表面上に、活性化可能な接着剤が施されており、
前記第3の調整状態を作るステップの前に、以下のステップが実行される:
- 第2の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、前記接着剤が、前記支持体と前記保持部材の間に前記結合手段を用いて第2の力を加えることにより活性化され、第2の調整高さが達成され、そして、
前記第3の調整状態を作るステップの後に、以下のステップが実行される:
- 活性化された前記接着剤を硬化することにより、XY面内で且つ前記軸線の方向において前記第3の調整高さで前記第3の調整状態を固定するステップ、が好ましい。
(形態14)
前記少なくとも1つの間隔要素を配置する前に、前記少なくとも1つの間隔要素と前記支持体との間、及び/又は前記少なくとも1つの間隔要素と前記保持部材との間、及び/又は前記少なくとも1つの結合手段と前記支持体との間に、好ましくは流体状の活性化可能な接着剤を含んだ層が施されること、が好ましい。
(形態15)
接着剤が、所定数のマイクロカプセル内に埋め込まれており、好ましくは、前記所定数のマイクロカプセルが埋め込まれている流体状の担体材料により担持され、前記所定数のマイクロカプセルは、これらのマイクロカプセルに機械的な力が作用することで少なくとも部分的に破裂し、埋め込まれている前記接着剤を解放すること、が好ましい。
(形態16)
前記少なくとも1つの間隔要素の弾性係数は、前記保持部材及び/又は前記支持体の弾性係数よりも小さく、
好ましくは、前記少なくとも1つの間隔要素の弾性係数は、80kN/mm よりも小さく、好ましくは30kN/mm よりも小さく、特に好ましくは4kN/mm よりも小さく、且つ1kN/mm よりも大きく、
好ましくは、前記少なくとも1つの間隔要素の降伏点は、100kN/mm よりも小さく、好ましくは80kN/mm よりも小さく、且つ10kN/mm よりも大きく、特に好ましくは70kN/mm よりも小さく、且つ20kN/mm よりも大きいこと、が好ましい。

【0009】
少なくとも1つの間隔要素の弾性係数が、保持部材及び/又は支持体の弾性係数よりも小さいと、有利である。それにより保持部材及び/又は支持体を押し付ける際には、少なくとも1つの間隔要素がより容易に圧縮可能であることが達成される。
【0010】
少なくとも1つの間隔要素の弾性係数が80kN/mmよりも小さく、好ましくは30kN/mmよりも小さく、特に好ましくは4kN/mmよりも小さく、且つ1kN/mmよりも大きいと、特に有利である。それにより少なくとも1つの間隔要素がより容易に圧縮可能であることが達成される。
【0011】
少なくとも1つの間隔要素の降伏点が100kN/mmよりも小さく、好ましくは80kN/mmよりも小さく、且つ10kN/mmよりも大きく、特に好ましくは70kN/mmよりも小さく、且つ20kN/mmよりも大きいと、特に有利である。それにより少なくとも1つの間隔要素がより容易に圧縮可能であることが達成される。
【0012】
本発明の更なる一構成において、弾性係数及び降伏点のための前記限界値は、少なくとも1つの間隔要素の材料特性の更に良好な適合を得るために、組み合わされることが可能であり、それらの材料特性は、本発明によるアセンブリ(組み立て配置部材)にとって特に有利である。
【0013】
本発明の更なる一構成において、車両投光器は、少なくとも2つの間隔要素と少なくとも2つの結合手段を含み、この際、少なくとも2つの間隔要素は、支持体に関して保持部材の調整が達成できるように配置されており、この調整において、少なくとも2つの間隔要素は、調整されたポジションでそれぞれ異なる高さを有することができる。それにより取り付けの影響、例えば光源又は前置光学系の取り付けの影響を簡単に補償できることが達成される。
【0014】
光源と支持体の間に回路基板(導体プレート)が配置されており、該回路基板上に光源が固定されていると、有利である。それにより光源は、簡単に電気的にコンタクトされ、機械的に支持体と結合されることが可能である。光源は、例えばLED又はレーザダイオードのような半導体発光素子の形式の複数の発光素子を含むことができ、これらの発光素子は、共通の又は複数の回路基板ないし回路支持体上に取り付けられている。光源を制御するための導電線路(導体路)と更なる電子装置コンポーネントは、回路基板に含まれていることが可能である。複数の発光素子が使用されると、多くの場合、縦長で延在する光学的な光導体、又は光学的な集光レンズの形式のそれぞれの前置光学系要素を設けることが必要である。複数の光学系要素から構成することのできる前置光学系は、共通の保持器(ホルダ)に固定されている。
【0015】
更に、支持体に冷却体(ヒートシンク)が配設されているか、又は支持体自体が冷却リブ(冷却フィン)又は冷却ピンを有し、支持体上に少なくとも1つの光源が固定されていると、有利である。それにより光源において稼働時に発生する出力損失(熱)を排出することができる。冷却体と支持体の結合により、機械的に安定し且つ負荷可能な結合が作られ、この結合は、保持器と支持体の間の調整可能な結合においても考慮される。
【0016】
或いは、光源と冷却体の間に、光源が固定されている回路基板を配置することも可能である。上述のように、複数の発光素子、更なる電子装置コンポーネント、並びに導電線路は、回路基板に含まれていることが可能である。
【0017】
本発明の有利な一実施形態において、支持体は、通過開口部を有し、光源は、この通過開口部を通って突出するように配設される。
【0018】
更に支持体が、それぞれ深さをもつ少なくとも1つの窪み部(凹部)を有すると、有利であり、少なくとも1つの窪み部は、少なくとも1つの間隔要素を受容するために設けられ、実質的に少なくとも1つの間隔要素の外側輪郭に対して相補的に形成されており、この際、少なくとも1つの間隔要素の高さは、少なくとも1つの窪み部の深さよりも大きい。それにより間隔要素が取り付けの前に既に固定的に所定のポジションに保持されることが達成される。
【0019】
それに加え、少なくとも1つの間隔要素と支持体との間、及び/又は少なくとも1つの間隔要素と保持部材との間、及び/又は少なくとも1つの結合手段と支持体との間に、好ましくは流体状の接着剤を含んだ層が施されていると、有利である。接着剤により、アセンブリは、調整後に位置固定され、結合の自己弛緩に対して安定していることが達成される。自動車の環境内では、例えば、アセンブリの調整欠如をもたらしてしまう望まれない温度の影響が生じる可能性がある。
【0020】
更に、接着剤が所定数のマイクロカプセル内に包埋され、好ましくは、前記所定数のマイクロカプセルが埋蔵されている流体状の担体材料により担持されていると、有利である。マイクロカプセル化された接着剤、例えばワンコンポーネント接着剤(1K)又はツーコンポーネント接着剤(2K)を使用することにより、アセンブリの調整ためには、接着剤の適用後に即座に硬化し始めてそれにより調整を困難にする従来の接着剤を使用する場合よりも、多くの取り付け時間が確保されることを達成することができる。更に前述の窪み部により、少なくとも1つの結合手段の軸線方向において少なくとも1つの間隔要素を圧縮する際には、少なくとも1つの間隔要素が窪み部の壁部に対して押圧され、そのようにしてマイクロカプセルが破裂し、それにより接着剤が流れ出し、例えば2K接着剤の硬化剤と混合し、そして硬化できることが達成される。
【0021】
このことは、少なくとも1つの結合手段による保持部材と支持体の力結合式の結合(即ち締付結合)により、所定数のマイクロカプセルが、少なくとも部分的に破裂し、包埋されている接着剤を解放すると、達成されることが可能である。
【0022】
簡単な実現化のためには、少なくとも1つの間隔要素が、それぞれ間隔要素開口部を有し、好ましくはトーラス形状(円環形状)を有し、少なくとも1つの結合手段が、間隔要素開口部を通って案内されていると、有利である。
【0023】
保持部材の開口部の内径が、結合手段の外径よりも大きいと、有利である。換言すると、アセンブリがまだ位置固定されていないときに、保持部材は、調整のために結合手段の周りで可動であるべきである。
【0024】
更に、簡単な実現化のためには、少なくとも1つの結合手段が、ねじであり、好ましくは、支持体の穴部が、少なくとも1つの結合手段と係合(螺合)するように構成されたねじ山部を有すると、有利である。
【0025】
更に、支持体が、少なくとも1つの圧潰リブ(加圧により部分的に圧潰可能なリブ Quetschrippe)を含み、該圧潰リブが、調整された状態で保持部材と係合するように構成されていると、有利である。それによりアセンブリの調整を、少なくとも1つの結合手段の軸線方向に対して直角方向の面内で行うことができ、そして少なくとも1つの結合手段の軸線方向において調整が行われる前には、少なくとも1つの結合手段を介して作用する力を増加することにより、アセンブリは、前記面内で位置固定されている。この順序は、調整過程を著しく容易にする。
【0026】
前記課題は、対応する方法によっても解決される。本方法は、車両投光器の光源と前置光学系を互いに取り付けて調整することに関し、この際、前置光学系は、光源から放射された光を集束するか又は成形するように構成されており、この際、車両投光器は、更に支持体と保持部材を含み、そして以下の方法ステップが実行される:
【0027】
- 支持体の載置面の領域に光源を配置して位置固定するステップであり、支持体には、縦方向に延在し且つ縦延在の方向に軸線を有する少なくとも1つの結合手段を受容するための穴部が設けられており、
- 支持体上に少なくとも1つの間隔要素を配置し、間隔要素上に保持部材を配置するステップであり、但し保持部材は、前置光学系と固定結合されており、少なくとも1つの結合手段を受容するために設けられた少なくとも1つの開口部を有し、
- 少なくとも1つの結合手段をそれぞれの開口部とそれぞれの穴部に挿入するステップ、
- 軸線に対して直角方向に規定されたXY面内で光源と前置光学系を位置合わせ(即ち配向)することにより、初期調整状態を作るステップ、
- 少なくとも1つの結合手段を用いて第1の力を加えることで支持体と保持部材を結合することにより、XY面内で初期調整状態を固定するステップであり、該ステップでは、第1の調整高さを有する第1の調整状態が達成され、
- 支持体と保持部材の間に結合手段を用いて第3の力を加えることにより、XY面内で且つ軸線の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さが達成される。
【0028】
個々の方法ステップの進行順序は、必要に応じ、異なる実施形態において、それぞれの要求に応じて適合されることが可能である。しかし本方法は、好ましくは前記の順序で実行されるべきである。
【0029】
本発明による方法により、車両投光器の少なくとも1つの光源と少なくとも1つの前置光学系を取り付け、互いに特に簡単に調整できることが達成される。
【0030】
本発明の更なる一構成において、弾性係数及び降伏点のための前記限界値は、少なくとも1つの間隔要素の材料特性の更に良好な適合を得るために組み合わされることが可能であり、それらの材料特性は、本発明によるアセンブリにとって特に有利である。
【0031】
少なくとも1つの結合手段を挿入するステップの前に、少なくとも1つの間隔要素の外側表面上に、活性化可能な接着剤が施されていると、有利であり、
第3の調整状態を作るステップの前に、以下のステップが実行される:
- 第2の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、接着剤が、支持体と保持部材の間に結合手段を用いて第2の力を加えることにより活性化され、第2の調整高さが達成され、そして、
第3の調整状態を作るステップの後に、以下のステップが実行される:
- 活性化された接着剤を硬化することにより、XY面内で且つ軸線の方向において第3の調整高さで第3の調整状態を固定するステップ。
【0032】
接着剤を使用することにより、全アセンブリは、調整が行われた後も、例えば機械的で且つ熱的な作用がアセンブリの調整に不利に影響を及ぼす可能性のある車両の稼働中でも、長期間にわたって位置固定されたままであることを達成することができる。
【0033】
接着剤は、取り付けられていないアセンブリにおいて、活性化可能な形態にある。例えば、ツーコンポーネント(2K)接着剤は、接着剤と2K接着剤の硬化剤とが互いに接触するに至るまでの間は、非活性状態にある。代替的にワンコンポーネント(1K)接着剤は、1K接着剤が周囲の空気と反応して硬化することができるに至るまでの間は、非活性状態にある。本方法が活性化可能な接着剤の使用を提案することにより、調整と取り付けを実行する人には、調整と取り付けのために十分な時間が提供されている。しかし接着結合部の硬化が信頼性をもって行われ得るためには、接着剤の活性化が行われた後に調整が迅速に完了されなくてはならない。
【0034】
更に、接着剤が間隔要素の外側表面を濡らすと、有利である。
【0035】
本発明の好ましい更なる一展開形態において、少なくとも1つの間隔要素と支持体との間、及び/又は少なくとも1つの間隔要素と保持部材との間、及び/又は少なくとも1つの結合手段と支持体との間に、好ましくは流体状の活性化可能な接着剤を含んだ層が施されていると、有利である。それにより全結合部を持続的に位置固定することができる。
【0036】
更に、接着剤が、所定数のマイクロカプセル内に包埋されており、好ましくは、前記所定数のマイクロカプセルが埋蔵されている流体状の担体材料により担持され、前記所定数のマイクロカプセルが、これらのマイクロカプセルに機械的な力が作用することで少なくとも部分的に破裂し、埋め込まれている接着剤を解放すると、有利である。それにより簡単な実現化が達成される。マイクロカプセルを破裂させる機械的な力に即して、全アセンブリの調整と取り付けにおいて機能を満たし且つ作用する全ての力を量定することができる。
【0037】
少なくとも1つの間隔要素の弾性係数が、保持部材及び/又は支持体の弾性係数よりも小さいと有利であることが、本調整及び取り付け方法にも該当する。
【0038】
更に、少なくとも1つの間隔要素の弾性係数が80kN/mmよりも小さく、好ましくは30kN/mmよりも小さく、特に好ましくは4kN/mmよりも小さく、且つ1kN/mmよりも大きいと、本方法にとっても有利である。
【0039】
更に、少なくとも1つの間隔要素の降伏点が100kN/mmよりも小さく、好ましくは80kN/mmよりも小さく、且つ10kN/mmよりも大きく、特に好ましくは70kN/mmよりも小さく、且つ20kN/mmよりも大きいと、本方法にとって有利である。
【0040】
本発明の更なる一構成において、弾性係数及び降伏点のための前記限界値は、少なくとも1つの間隔要素の材料特性の更に良好な適合を得るために組み合わされることが可能であり、それらの材料特性は、本発明による方法にとって特に有利である。
【0041】
以下、本発明並びにその利点を、添付の図面に具体的に図示された、限定ではない実施例に基づき、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による調整方法により組み立てることのできる車両投光器の一実施例の分解図を示す図である。
図2】本発明による調整方法の初期状態を示す、図1の一拡大部分を示す図である。
図3】アセンブリが組み立てられて第1の調整が行われる、初期調整状態を伴う第1の方法ステップを示す図である。
図4】第1の調整状態を伴う更なる方法ステップを示す図であり、ここでは、その調整状態が固定される。
図5】第2の調整状態を伴う引き続く方法ステップを示す図であり、ここでは、調整のために接着剤が活性化される。
図6】第3の調整状態を伴う最後の方法ステップを示す図である。
図7】支持体が追加的な冷却体を含む、更なる一実施例の横断面図を示す図である。
【実施例
【0043】
さて、図1から図7に関連し、本発明の実施例を詳細に説明する。特に投光器内の本発明にとって重要な部分が図示されており、この際、投光器が、特に乗用車やオートバイのような車両において目的に適った使用を可能とする多数の他の非図示部分も含んでいることは、明らかである。従って一目瞭然性のために、例えば、構成部材のための冷却装置、駆動制御電子装置、更なる光学要素、機械的な位置調節装置、ないし把持器などは、示されていない。
【0044】
図1から図3は、光源2と前置光学系(追加光学系、光源から光進行方向で見て
前方に配設した光学系 Vorsatzoptik)3を含んだ車両投光器1(例えば車両前照灯)を示し、この際、光源2は、前置光学系3を通して光を放射するように構成され、その光は、前置光学系3により集束されるか又は成形される。
【0045】
図1には、XYZ座標系も記載されており、このXYZ座標系に基づき、本発明によるアセンブリ(組み立て配置部材)の調整が行われるべきである。
【0046】
光源2は、車両投光器1内に設けられた支持体10上に固定されており、支持体10には、2つの結合手段20、21を受容するための穴部12、13がそれぞれ設けられている。
【0047】
光源2は、複数の光電子構成部材から、好ましくは複数のLED又はレーザダイオードから構成されていることが可能である。この際、光源2の複数の発光要素は、車両投光器1の異なる光機能のために使用され、その意味で異なって稼働されることが可能である。
【0048】
光源2と支持体10の間には、回路基板(導体プレート)4が配設されており、回路基板4上に光源2が固定されている。回路基板4上には、光源2の電気的なコンタクトのためにコンタクト接続面と導電線路(導体路)を設けることができる(非図示)。好ましくは、光源2は、半田付けか又は接着によりコンタクト接続面と電気的に且つ機械的に結合される。
【0049】
結合手段20、21は、この実施例では、ねじであり、支持体10の穴部12、13は、それぞれ雌ねじ部を有し、この雌ねじ部は、それぞれ相補的な雄ねじ部を含んだ2つの結合手段20、21と係合(螺合)するように構成されている。基本的に結合手段は、例えばリベットのような、他の適切な要素であってもよい。或いは結合手段20、21は、例えば、ナットにより両側で位置調節可能に制限されているねじ付きロッドでもよい。
【0050】
更に支持体10は、複数の圧潰リブ70を含み、これらの圧潰リブ70は、調整された状態で保持部材40と係合するように構成されている。これらの圧潰リブ70は、必ずしも必要ではないが、後続して実行されるアセンブリの調整を容易にし、これは、結合手段20、21の縦延在の方向に対して直角方向に置かれたXY面内での位置合わせの状態(即ち配向の状態)が、それらの圧潰リブ70を介して側方の摩擦係数を増加できることにより、第1のステップにおいて位置固定できることによる。圧潰リブ70は、針状、円形状、又は線形状の要素から形成され、そのような要素の1つ又は複数から構成されていることが可能である。
【0051】
更に2つの間隔要素30、31が、支持体10上でそれぞれ載置面11の領域に配置されており、この際、これらの2つの間隔要素30、31は、それぞれ載置面11に対して直角方向に高さ35、36を有する。
【0052】
2つの間隔要素30、31は、支持体10に関して保持部材(保持湾曲ないし屈曲部材 Haltebuegel)40の調整を達成することができるように配設されており、この調整において、これらの2つの間隔要素30、31は、調整されたポジションでそれぞれ異なる高さ35、36を有することができる。
【0053】
更に支持体10は、それぞれ深さ16、17をもつ2つの窪み部(凹部)14、15を有し、これらの窪み部14、15は、それぞれ間隔要素30、31を受容するために設けられ、実質的に少なくとも1つの間隔要素30、31の外側輪郭に対して相補的に形成されており、この際、2つの間隔要素30、31の高さ35、36は、2つの窪み部14、15の深さ16、17よりも大きい。窪み部14、15の深さ16、17は、好ましくは同じ大きさである。
【0054】
窪み部は、代替的にめくら穴として構成されていることも可能であり、めくら穴は、完全には支持体を通って延在してなく、ねじの形式の結合手段を受容するためのねじ山部を有する。
【0055】
基本的に、窪み部のためには、他の形状も可能である。窪み部の形状が、窪み部内に挿入されるべき間隔要素の形状に対応すると、有利である。
【0056】
多くの実施形態では、間隔要素30、31が、例えば対応の窪み部内で互いに積み重ねることのできる複数の間隔要素ユニットから成ると、有利であり得る。
【0057】
更に保持部材40は、2つの間隔要素30、31上に配置されており、この際、保持部材40は、前置光学系3と固定結合されており、2つの結合手段20、21を受容するために設けられた開口部41、42をそれぞれ有する。
【0058】
それぞれ軸線22、23に沿って延在し、支持体10と保持部材40を結合するために設けられている結合手段20、21は、その目的のためにそれぞれの開口部41、42とそれぞれの穴部12、13に挿入される。
【0059】
穴部12、13は、それぞれのねじ20、21のねじ山部を受容するために、ねじ山部18、19をそれぞれ有する。
【0060】
さて、図3から図6に関連し、アセンブリの調整について、より詳細に説明するが、この際、対応の穴部12、ねじ山部18、窪み部14、軸線22を有する図1の結合手段20だけが図示されている。勿論、同じことが、図1で見ることのできる、対応の穴部13、ねじ山部19、窪み部15、軸線23を有する結合手段21にも当てはまる。
【0061】
2つの結合手段20、21が開口部41、42に挿入されているが位置固定されていない保持部材40の第1のポジションにおいて、保持部材40は、2つの結合手段20、21に関し、開口部41、42の内側で軸線22、23に対して直角方向の面内で運動可能であり、それにより前記面内で、支持体10上に固定された光源2に関し、保持部材40に固定された前置光学系3の位置合わせ(即ち配向)が可能である。この例において、調整面は、図1のXY面であり、該XY面は、他の図でも示されている。
【0062】
XY面内の調整は、結合手段20、21の外径25と保持部材40の開口部41、42の内径45との間の間隔により制限される範囲内で行うことができる。換言すると、開口41、42の内径45は、結合手段20、21の外径25よりも大きいので、保持部材40は、位置固定されていないが組み立てられた状態でその開口部41、42の内側で結合手段20、21の周りで可動である。
【0063】
2つの間隔要素30、31は、2つの結合手段20、21を用い、保持部材40と支持体10により一緒に押圧可能であり、この際、2つの間隔要素30、31の高さ35、36は、光源2と前置光学系3を互いに軸線22、23の方向で位置合わせするために減少され、保持部材40の固定の第2のポジションが達成される。
【0064】
2つの間隔要素30、31は、それらの表面において、流体状の接着剤51を含んだ層により覆われていることが可能であり、接着剤51は、所定数のマイクロカプセル50として前記層の担体材料に埋蔵されている。マイクロカプセル50は、先ずは流体状の担体材料により担持され、流体状の担体材料は、間隔要素30、31上に施した後に乾燥し、それによりアセンブリの取り付けと調整を容易にする。
【0065】
接着剤51は、流体状、例えば、液状、ペースト状、又はゲル状とすることができる。接着剤51の所定量の小滴が、それぞれ、マイクロビード(微小球体)50を形成するシェルにより包囲されている。
【0066】
マイクロビード50のシェルに力を作用させることでマイクロビード50が破裂し、含まれている接着剤51は、流れ出すことができる。接着剤は、周囲空気の作用により硬化することができる。代替的に接着剤51は、ツーコンポーネント接着剤の2つの接着剤成分から構成されていることが可能であり、これらの接着剤成分は、別々に異なるマイクロビード50内に含まれていることが可能であり、またマイクロビード50のシェルが破裂した後に、初めて互いの接触により反応する。それにより両方の接着剤成分が混合され、接着剤混合物が硬化することができる。
【0067】
より高い力作用により、即ち2つの結合手段20、21による保持部材40と支持体10の力結合式の結合(即ち締付結合)により、所定数のマイクロカプセル50が、少なくとも部分的に破裂し、包埋されている接着剤51を解放することができる。
【0068】
2つの間隔要素30、31は、それぞれ間隔要素開口部を有し、トーラス形状(円環体形状)で形成されている。2つの結合手段20、21は、間隔要素開口部を通って案内されている。この関連においてトーラス形状は、形状が円錐台の形状でもよく、例えば縁部が正確に形成されていなくても重要ではないことを意味する。少なくとも1つの保持部材40の開口部41、42は、窪み部14、15よりも小さい横断面を有する。更に開口部41、42の内径45は、結合手段20、21の外径25よりも大きい。それによりアセンブリが結合手段20、21によりまだ位置固定されていない限り、ないし形状結合式の結合に達していない限り、保持部材40は、軸線22、23に対して横方向に置かれた面内で調整可能であることを達成することができ、従って間隔要素30、31又は支持体10に関する保持部材40の側方の運動時の摩擦力が、更なる側方の運動を防止し、そのようにして第1の調整を達成する(図4を参照)。
【0069】
作用する力81(図5を参照)は、間隔要素30、31からマイクロビード50に伝達され、マイクロビード50は、予め定められた力の強さ以上で破裂する。この際、むしろ間隔要素30、31の端面部(挿入方向で前面部ないし背面部)に置かれているマイクロビード50が破裂することは明らかである。しかし作用する力81に基づく間隔要素30、31の圧縮により、間隔要素30、31が側方に膨張し、それにより側方に置かれたマイクロビード50が破裂して接着剤51が流れ出ることができることも可能である。この作用は、例えば、間隔要素30、31が、それぞれ、外側に位置するそれらの表面上に円錐台の先細り形状を有し、それにより側方に位置するマイクロビード51がより強く押付力にさらされることにより、改善されることが可能である。
【0070】
また破裂したマイクロビード50から流れ出した接着剤51により十分な接着作用を達成するためには、全てのマイクロビード50が破裂している必要はないことは、明らかである。
【0071】
接着剤51は、接着によるねじロックの技術から既知である。マイクロカプセル化された接着剤は、塗料のような乾いて滑りのないコーティングになる。接着剤は、シェルが破れた後、その直後に硬化し始める。今日の製品は、速硬化システムであるため、既に10~15分後には測定可能な結果が達成される。硬化は、24時間後には完全に終了しているが、温度を加えることにより加速することもできる。硬化後には、所望の位置固定作用ないしロック作用が完全に達成され、同時に追加的なシール作用が達成される。
【0072】
用途に応じ、固定と調整のために、前述の支持体10、ねじ20、間隔要素30、保持部材(保持器)40をそれぞれ含んだそのようなアセンブリを複数で使用することが必要であり得る。
【0073】
まとめると、上述の内容、即ち図1及び図3から図6に示されたように、車両投光器1の光源2と前置光学系3を互いに取り付けて調整するための方法であって、この際、前置光学系3は、光源2から放射された光を集束するか又は成形するように構成されており、この際、車両投光器1は、更に支持体10と保持部材40を含んでおり、当該方法は、以下の方法ステップの実行により説明することができる:
【0074】
- 支持体10の載置面11の領域に光源2を配置して位置固定するステップであり、支持体10には、それぞれ縦方向に延在し且つ縦延在の方向にそれぞれ軸線22、23を有する、例えばねじである結合手段20、21を受容するための穴部12、13が設けられており、
- 支持体10上に間隔要素30、31を配置し、間隔要素30、31上に保持部材40を配置するステップであり、但し保持部材40は、前置光学系3と固定結合されており、結合手段20、21を受容するために設けられた開口部41、42をそれぞれ有し、
- 結合手段20、21をそれぞれの開口部41、42とそれぞれの穴部12、13に挿入するステップであり、但し間隔要素30、31及び/又は結合手段20、21の外側表面上には、活性化可能な接着剤51が施されており、
- 軸線22、23に対して直角方向に規定されたXY面内で光源2に対して前置光学系3を位置合わせ(即ち配向)することにより、初期調整高さ60(ここではz方向での光源2と前置光学系3の間の間隔)を有する初期調整状態を作るステップ、
- 少なくとも1つの結合手段20、21を用いて第1の力80を加えることで支持体10と保持部材40を結合することにより、XY面内で初期調整状態を固定するステップであり、該ステップでは、第1の調整高さ61を有する第1の調整状態が達成され、
- 第2の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、接着剤51が、支持体10と保持部材40の間に結合手段20、21を用いて第2の力81を加えることにより活性化され、第2の調整高さ62が達成され、
- 支持体10と保持部材40の間に結合手段20、21を用いて第3の力82を加えることにより、XY面内で且つ軸線22、23の方向において第3の調整状態を作るステップであり、該ステップでは、第3の調整高さ63が達成され、
- 活性化された接着剤51を硬化することにより、XY面内で且つ軸線22、23の方向において第3の調整高さ63で第3の調整状態を固定するステップ。
【0075】
図3では、初期調整高さ60を有する初期調整状態が示されており、初期調整高さ60は、力80の作用なしに得られ、この際、調整は、XY面内で行われる(図3の双方向矢印を参照)。
【0076】
図4では、第1の調整高さ61を有する第1の調整状態が示されており、第1の調整高さ61は、第1の力80の作用により達成される。第1の調整状態は、第1の力80の印加により、図3に図示されたステップにより達成されたXY面内でのアセンブリの滑りによる位置ずれを防止するために用いられる中間状態である。
【0077】
図5では、第2の調整高さ62を有する第2の調整状態が示されており、第2の調整高さ62は、第2の力81の作用により達成される。第2の調整状態は、第2の力81の印加により、接着剤51をマイクロカプセル50の破裂により活性化するために用いられる中間状態である。
【0078】
図6では、第3の調整高さ63を有する第3の調整状態が示されており、第3の調整高さ63は、第3の力82の作用により達成される。第3の調整状態は、接着剤51の硬化によりアセンブリを位置固定するために用いられる最終状態である。
【0079】
この関連において、位置固定の作用を達成するためには、接着剤51が全ての又は個々の表面を完全に濡らす必要はないことは、明らかである。
【0080】
間隔要素30、31の配置前に、間隔要素30、31と支持体10との間、及び/又は間隔要素30、31と保持部材40との間、及び/又は結合手段20、21と支持体10との間に、好ましくは流体状の活性化可能な接着剤51を含んだ層が施される。
【0081】
接着剤51は、所定数のマイクロカプセル50内に包埋されており、好ましくは、前記所定数のマイクロカプセル50が埋蔵されている流体状の担体材料により担持され、前記所定数のマイクロカプセル50は、これらのマイクロカプセル50に対し、本方法において前述の第2の力81に対応する機械的な力が作用することで少なくとも部分的に破裂し、包埋された接着剤51を解放する。
【0082】
間隔要素30、31の弾性係数には、この弾性係数が、保持部材40及び/又は支持体10の弾性係数よりもそれぞれ小さいことが当てはまる。
【0083】
間隔要素30、31の弾性係数は、例えばアルミニウムの場合のように、80kN/mmよりも小さく、好ましくは30kN/mmよりも小さく、特に好ましくは4kN/mmよりも小さく、例えばプラスチックの場合のように、且つ1kN/mmよりも大きい。
【0084】
間隔要素30、31の降伏点は、例えばアルミニウムの場合のように、100kN/mmよりも小さく、例えばプラスチックの場合のように、好ましくは80kN/mmよりも小さく、且つ10kN/mmよりも大きく、特に好ましくは70kN/mmよりも小さく、且つ20kN/mmよりも大きい。
【0085】
間隔要素30、31の材料は、例えば、ポリアミドPA、ポリカーボネートPC、ABS、ポリプロピレンPP、ポリスチレンPSのようなプラスチック、又は特別な熱可塑性材料、或いはまたアルミニウムのような軟質金属とすることができる。
【0086】
支持体10の材料は、例えば、アルミニウム、銅、又は真鍮(黄銅)のような金属としてよく、保持部材40は、例えば、PC、ABS、又はPSのようなプラスチックから、或いはアルミニウム、又は真鍮や鋼板などの合金のような金属から構成されることが可能であり、この際、好ましくは、上述の材料特性が存在する。支持体10の材料の良好な熱伝導率は、有利である。
【0087】
保持部材40の材料は、例えば、PC又はPSのような高い弾性係数を有するプラスチック、或いはまたアルミニウム又は鋼板のような金属としてもよい。材料の高い弾性係数は、有利である。
【0088】
図7は、本発明の更なる一実施例の横断面図を示している。投光器101は、別個に形成された冷却体210と固定結合されている支持体110を有する。また支持体110と冷却体210が共通の結合された構成部材を構成することも考えられる。換言すると、支持体自体が、例えば冷却リブ(冷却フィン)又は冷却ピンを有することができる。
【0089】
車両投光器101は、光源102と前置光学系103を含み、この際、光源102は、前置光学系103を通して光を放射するように構成され、その光は、前置光学系103により集束されるか又は成形される。
【0090】
更にここでも、以前の図面に記載されたアセンブリと方法の説明が該当する。
【符号の説明】
【0091】
1、101 車両投光器
2、102 光源
3、103 前置光学系
4、104 回路基板
10、110 支持体
11 載置面
12、13 穴部
14、15 窪み部
16、17 窪み部の深さ
18、19、118 支持体の穴部のねじ山部
20、21、120 結合手段
22、23 結合手段の軸線
25 結合手段の外径
30、31、130 間隔要素
35、36 間隔要素の高さ
40、140 保持部材(保持湾曲ないし屈曲部材)
41、42 開口部
45 開口部の内径
50 マイクロカプセル
51、151 接着剤
60、61 調整高さ
62、63 調整高さ
70、170 圧潰リブ
80、81、82 作用する又は生成された力
210 冷却体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7