(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】流動層造粒機または流動層クーラ用の分割された有孔板
(51)【国際特許分類】
B01J 2/16 20060101AFI20220921BHJP
C05C 9/00 20060101ALI20220921BHJP
C05G 5/30 20200101ALI20220921BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B01J2/16
C05C9/00 A
C05G5/30
B01J2/00 C
(21)【出願番号】P 2020550161
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2019057181
(87)【国際公開番号】W WO2019180186
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-14
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518211277
【氏名又は名称】ティッセンクルップ フェルティリツァー テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グラバルスキー,リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ロート,ハインツ・ベルント
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-137988(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02012030(GB,A)
【文献】特開2009-106862(JP,A)
【文献】特表2017-512643(JP,A)
【文献】特公昭44-009442(JP,B1)
【文献】特開昭48-013943(JP,A)
【文献】実開昭60-079540(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00 - 2/30
C05C 1/00 - 13/00
C05G 1/00 - 5/40
B01J 8/00 - 8/46
B01D 47/00 - 47/18
B01D 53/14 - 53/18
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒機空間(1)の内部に有孔板(2)が配置された流動層造粒機(9)を少なくとも備える流動層造粒機システムであって、
前記有孔板(2)が、少なくとも2つの内部有孔板(2a、2a’)を備え、前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、中間部バー(2c)を介して接続され、中央支持管(2d)が、前記中間部バー(2c)と造粒機接地床(10)との間に配置され、前記流動層造粒機(9)が、前記流動層造粒機(14)の内部の造粒機空間(1)と、前記造粒機空間(1)の内部に配置された前記有孔板(2)と、前記有孔板(2)の中、上または横に配置されたスプレーノズル(3)と、流動化空気入口(11)と、前記スプレーノズル(3)に接続された噴霧空気用の供給ライン(4)と、前記スプレーノズル(3)に接続された液体溶融物用の供給ライン(5)と、造粒シード入口(6)と、造粒機出口開口部(7)と、通気開口部(8)とを備える流動層造粒機システム。
【請求項2】
補強管(2e)が、前記2つの内部有孔板(2a、2a’)の下および/または前記中間部バー(2c)の下に配置される、請求項1に記載の流動層造粒機システム。
【請求項3】
前記内部有孔板(2a、2a’)が、2つの内部フレーム(2b、2b’)に配置される、請求項1から2のいずれか一項に記載の流動層造粒機システム。
【請求項4】
仕切り板(13)が、前記有孔板(2)の下および/または上に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の流動層造粒機システム。
【請求項5】
前記補強管(2e)が、前記仕切り板(13)に接続される、請求項4に記載の流動層造粒機システム。
【請求項6】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、金属およびポリマー
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の流動層造粒機システム。
【請求項7】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、鋼を含む、請求項6に記載の流動層造粒機システム。
【請求項8】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、ステンレス鋼を含む、請求項6に記載の流動層造粒機システム。
【請求項9】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、300mm~1000mm
の幅および1500mm~2200mm
の長さを有する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の流動層造粒機システム。
【請求項10】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、400mm~900mmの幅および1600mm~2000mmの長さを有する、請求項9に記載の流動層造粒機システム。
【請求項11】
流動層クーラ(14)の内部にクーラ空間(15)を有する流動層クーラ(14)と、
前記クーラ空間(15)の内部に配置された有孔板(2)と、
製品入口(19)と、流動化空気入口(21)と、クーラ出口開口部(18)と、通気開口部(20)と、
を少なくとも備える流動層クーラシステムであって、
前記有孔板(2)が、少なくとも2つの内部有孔板(2a、2a’)を備え、前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、中間部バー(2c)を介して接続され、中央支持管(2d)が、前記中間部バー(2c)とクーラ接地床(12)との間に配置される流動層クーラシステム。
【請求項12】
補強管(2e)が、前記2つの内部有孔板(2a、2a’)の下および/または前記中間部バー(2c)の下に配置される、請求項
11に記載の流動層クーラシステム
。
【請求項13】
前記内部有孔板(2a、2a’)が、2つの内部フレーム(2b、2b’)に配置される、請求項
11または
12に記載の流動層クーラシステム。
【請求項14】
仕切り板(13)が、前記有孔板(2)の下および/または上に配置される、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の流動層クーラシステム。
【請求項15】
前記補強管(2e)が、前記仕切り板(13)に接続される、請求項
14に記載の流動層クーラシステム。
【請求項16】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、金属およびポリマー
を含む、請求項
11から
15のいずれか一項に記載の流動層クーラシステム。
【請求項17】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、鋼を含む、請求項16に記載の流動層クーラシステム。
【請求項18】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)、前記中間部バー(2c)、前記中央支持管(2d)および/または前記管支持体(2e)が、ステンレス鋼を含む、請求項16に記載の流動層クーラシステム。
【請求項19】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、300mm~1000mm
の幅および1500mm~2200mm
の長さを有する、請求項
11から
18のいずれか一項に記載の流動層クーラシステム。
【請求項20】
前記2つの内部有孔板(2a、2a’)が、400mm~900mmの幅および1600mm~2000mmの長さを有する、請求項19に記載の流動層クーラシステム。
【請求項21】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の流動層造粒機システムおよび/または請求項
11から
20のいずれか一項に記載の流動層クーラシステムを備える尿素造粒プラント。
【請求項22】
アンモニア化合物、ニトレート、ホスフェート、尿素を含有する肥料粒、窒素含有肥料、元素硫黄、硫酸アンモニウム、UAS(尿素-硫酸アンモニウム)および/またはそれらの混合物の製造のための、請求項1から
10のいずれか一項に記載の流動層造粒機システムまたは請求項
11から
20のいずれか一項に記載の流動層クーラシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割された有孔板を備える流動層造粒機システム、対応する流動層クーラシステム、それぞれの本発明の流動層造粒機システムおよび/または流動層クーラシステムを備える尿素造粒プラント、およびアンモニア化合物を含有する肥料粒を製造するための本発明の流動層造粒機/クーラシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の人口は継続的に増加しているため、信頼性が高く、製造が容易で安価な肥料を提供することが常に求められている。これらの従来の肥料は、窒素、ホスフェート、硫黄、カリウムまたは微量栄養素を含有する場合がある。
【0003】
一般的に広く使用されている肥料は、その主成分として尿素を含有する。水溶性尿素は土壌中で急速に分解し、アンモニア化合物およびニトレート化合物を生じる。用途に基づいて、肥料は尿素のみ、または尿素と前述の成分、例えば、ホスフェート、硫黄、カリウムもしくは微量栄養素のうちの1つ以上との組合せを含有し得る。
【0004】
尿素は、(簡略化された)2段階反応を介してアンモニアと二酸化炭素を反応させることにより、大規模な工業的規模で生成することができる。
【0005】
2NH3+CO2⇔H2N-COONH4(1)
H2N-COONH4⇔(NH2)2CO+H2O(2)
尿素の吸湿性に基づく水の光吸収は、未処理の微細な尿素粒子の制御されない凝集、品質劣化および固化を容易にもたらす。このプロセスは、尿素肥料の溶解度、バルク貯蔵、耐久性または化学的安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、水を吸収することによる制御されない重量増加は、輸送重量とコストとを増加させる。したがって、輸送可能かつ貯蔵可能な尿素肥料を提供するためには、追加の合成後プロセス工程が必要である。一般的な技術プロセスには、プリル化、ドラム造粒または流動層造粒などの多様な造粒技術が含まれる。特にプリル化プロセスは、比較的柔らかい粒子、および時には変形した不均一粒子のようないくつかの重大な欠点を抱えている。
【0006】
これらの問題は、流動層造粒プロセスを使用することによって回避することができ、その結果、さらに硬く、さらに安定した均一な顆粒が得られる。得られる粒状尿素は、バルクブレンディング操作に特に適している。さらに、尿素ベースの肥料の混合および輸送中の分離または機械的損傷が低減される。
【0007】
尿素の流動層造粒プロセスの例は、国際公開第2010/060535号、例えば、段落[0025]~[0035]、
図1、または米国特許第4,701,353号、ドイツ特許第3116778号および米国特許第4,219,589号に見出すことができる。
【0008】
尿素肥料は硫酸アンモニウムまたは元素硫黄と組み合わせることができるため、1つの肥料で両方の植物栄養素を提供することができる。アンモニア硫黄は植物によって直接使用され得るが、元素硫黄は土壌微生物によって分解される必要があるため、長期的な植物栄養素が提供される。尿素/硫黄顆粒の例は、例えば、米国特許第4,330,319号に見出すことができる。
【0009】
流動層造粒プロセスは、成長液の非常に小さな液滴を吸収することによって成長する造粒シード(granulation seeds)を提供することに基づく。これらの小さな液滴は、「噴霧化された」液体尿素溶融物を介して提供され得る。説明で使用される用語「噴霧化された」は、液体尿素溶融物(または他の好適な肥料溶融物)と空気などの加圧媒体との混合プロセスを指す。この混合プロセスにより、液体/ガスのエマルジョン、または小さな液滴のエアロゾルが作成される。したがって、用語「噴霧化された」は、原子スケールでの分子分離プロセスと混同しないようにすべきである。生成された液滴は、約1μm~約200μmの中程度の寸法分布を有し得る。これらの小さな溶融物液滴は、造粒シードの表面で吸収され、それによって「成長する」造粒粒子が作成される。これらの新鮮な「インサイチュ」製造された顆粒は、一般的に約100℃の温度を示し得、比較的柔らかい。粒子は、造粒機の流動層および/または別個の冷却区画でさらに冷却される。
【0010】
造粒尿素の1日当たりの生産量をさらに増加させることが常に求められるため、新しく設計される流動層造粒機または流動層クーラのサイズも増大させなければならない。このサイズの増大は、流動層造粒機または流動層クーラの構成要素の大型化に関連している。
【0011】
しかし、流動層造粒機または流動層クーラの有孔板のサイズは、無制限に増大させることはできない。通常、有孔板は、建設中に開いた屋根を利用して、クレーンによって未完成の流動層造粒機または流動層クーラに統合される。ただし、流動層造粒機または流動層クーラの使用寿命の間に、同じ方法を使用して、損傷した有孔板を交換することはできない。有孔板要素および利用可能な開口部のサイズによっては、有孔板要素を破壊せずに交換および/または修理することができない場合がある。さらに、有孔板のサイズの増大は、有孔板の重量の増加に関連している。この重量の増加は、有孔板の曲がり癖を増加させ、非常に重い有孔板の平面配置を妨げる。この曲がり癖により、流動層造粒機の温度および流動プロファイルが不均一になり、粒径分布が増加し、製品の品質が低下する可能性がある。
【0012】
米国特許第3,733,056号は、粒状材料を処理するための流動層内の有孔板を開示している。有孔板は、様々な開口部を有するセクションを備える。
【0013】
国際公開第2013/165245号は、尿素の生成のためのプラントを開示している。プラントは、合成および回収、蒸発および凝縮、尿素仕上げ、ならびにダストスクラビングのための従来のセクションを備える。
【0014】
英国特許第2012030号は、石炭焚ボイラとともに使用するための流動層装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際公開第2010/060535号
【文献】米国特許第4,701,353号
【文献】ドイツ特許第3116778号
【文献】米国特許第4,219,589号
【文献】米国特許第4,330,319号
【文献】米国特許第3,733,056号
【文献】国際公開第2013/165245号
【文献】英国特許第2012030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、有孔板を有する流動層造粒機であって、有孔板が低い曲がり癖を示し、特に有孔板を破壊または損傷することなく、保守または修理中にその要素の容易な取り外しまたは交換を可能にする流動層造粒機を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、請求項1に記載の流動層造粒機によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、対応する従属請求項の対象である。
【0018】
さらなる態様では、本発明の別の目的は、有孔板が低い曲がり癖を示し、特に有孔板を破壊または損傷することなく、保守または修理中にその要素の容易な取り外しまたは交換を可能にする流動層クーラを提供することである。本発明の好ましい実施形態は、対応する従属請求項の対象である。
【0019】
本発明の目的は、請求項15に記載の、尿素含有顆粒の調製に適した尿素造粒プラントを提供することによっても解決される。
【0020】
さらなる態様では、本発明の別の目的は、肥料粒を製造するための流動層造粒機システムまたは流動層クーラシステムの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による流動層造粒機システムは、造粒機空間の内部に有孔板が配置された流動層造粒機を少なくとも備える。好ましくは、本発明による流動層造粒機システムは、尿素および窒素含有肥料の造粒に適している。前述の有孔板は、少なくとも2つの内部有孔板を備え、2つの内部有孔板(2a、2a’)は中間部バーを介して接続され、中間部バーと造粒機接地床との間に中央支持管が配置される。長さが3000mmを超える分割されていない有孔板は、(仮にあったとしても)取り扱いが非常に難しいことが分かった。さらに、長さが3000mmを超える有孔板は曲がりやすく、造粒プロセスでは有孔板の性能に悪影響を及ぼす。理論にとらわれることなく、大きな(上記のような)有孔板の自重および寸法は、有意義な使用を妨げると考えられる。前述の中間部バーは、造粒機空間内に配置され、粒状粒子の流れ方向に平行に向けられ、好ましくは、造粒シード入口と造粒機出口開口部との間の軸によって規定される主方向にある。用語「平行」には、中間部バーの正確な平行配置からの偏向が含まれる。好ましくは、中間部バーの平行偏向は、±(プラス/マイナス)20°(度)の偏向を含む。用語「粒状粒子の流れ方向」は、造粒シード入口から始まり、有孔板の成長ゾーンおよび冷却ゾーンを通過し、造粒機出口開口部の近くで終わる方向を指す。中間部バーは、最終的な有孔板全体を形成する単一の有孔板要素を連結する接続要素と混同してはならない。これらの接続要素は、前述の粒状粒子の流れ方向、および造粒シード入口と造粒機出口開口部との間の軸に対して、直交またはほぼ直交する角度に向けられる。好ましくは、有孔板と造粒機床との間の空間を閉鎖および密閉する有孔板全体は、15から50の内部有孔板を備える。
【0022】
本発明による流動層造粒機システムは、流動層造粒機の内部に造粒機空間を有する流動層造粒機を少なくとも備える。流動層造粒機は、造粒機空間の内部に配置された有孔板と、有孔板の中、上または横に配置されたスプレーノズルとをさらに備える。好ましくは、スプレーノズルは、有孔板の上に取り付けられる。好ましくは有孔板の下に配置される流動化空気入口は、肥料粒の流動層に必要な流動化空気を提供する。用語「流動化空気」は、空気またはCO
2、窒素、アルゴンもしくはそれらの混合物のような不活性ガスを含む。スプレーノズルは、噴霧空気用の供給ライン、および液体溶融物、好ましくは尿素を含有する液体溶融物用の供給ラインに接続される。これらの空気用および溶融物用の供給ラインを1つのラインまたは2つの隣接するラインに組み合わせることができてもよい。本発明の意味の範囲内では、用語「ライン」は、ホース、チューブおよびパイプを含む。本発明の意味の範囲内では、用語「溶融物」は、50wt.(重量)%超、好ましくは75wt.%超の尿素または窒素含有肥料塩または化合物を含む溶液を含む。さらに、流動層造粒機は、造粒シード入口を備える。用語「造粒シード入口」は、尿素または窒素含有肥料などの粒状シード(granular seeds)を導入するための内部および外部の装置、ラインおよび開口部を含む。用語「内部」は、造粒機内での粒状シードの製造を指す。用語「外部」は、造粒機の外部から、例えば、流動層造粒機の外部のふるいまたは破砕機を介して、粒状シードを提供または製造することを指す。さらに、流動層造粒機は、造粒機出口開口部および通気開口部を備える。造粒機空間は、統合された開口部を有する分離壁を備えてもよい。これらの分離壁は、造粒機出口開口部に向かう流動層の速度をさらに変更および修正し得る。造粒プロセス中に生成または放出されるダスト、例えば、尿素ダスト、およびアンモニアのような化学気相は、別個のスクラバユニット内で除去される。好ましくは、スクラバユニットは、ダスト除去スクラバおよびアンモニア除去スクラバを少なくとも備える。好適なスクラバの例は、国際公開第2005/032696号(
図1)または国際公開第2010/60535号に見出すことができる。上記のように、有孔板は、少なくとも2つの内部有孔板を備え、2つの内部有孔板(2a、2a’)は中間部バーを介して接続され、中間部バーと造粒機接地床との間に中央支持管が配置される。長さが3000mmを超える分割されていない有孔板は、(仮にあったとしても)取り扱いが非常に難しいことが分かった。さらに、長さが3000mmを超える有孔板は曲がりやすく、造粒プロセスでは有孔板の性能に悪影響を及ぼす。理論にとらわれることなく、大きな(上記のような)有孔板の自重および寸法は、有意義な使用を妨げると考えられる。前述の中間部バーは、造粒機空間内に配置され、粒状粒子の流れ方向に平行に向けられ、好ましくは、造粒シード入口と造粒機出口開口部との間の軸によって規定される主方向にある。用語「平行」には、中間部バーの正確な平行配置からの偏向が含まれる。好ましくは、中間部バーの平行偏向は、最大±(プラス/マイナス)20°(度)の偏向を含む。用語「粒状粒子の流れ方向」は、造粒シード入口から始まり、有孔板の成長ゾーンおよび冷却ゾーンを通過し、造粒機出口開口部の近くで終わる方向を指す。中間部バーは、最終的な有孔板全体を形成する単一の有孔板要素を連結する接続要素と混同してはならない。これらの接続要素は、前述の粒状粒子の流れ方向、および造粒シード入口と造粒機出口開口部との間の軸に対して、直交またはほぼ直交する角度に向けられる。好ましくは、有孔板と造粒機床との間の空間を閉鎖および密閉する有孔板全体は、15から50の内部有孔板を備える。
【0023】
好ましくは、2つの内部有孔板の下および/または中間部バーの下に補強管が配置される。補強管は、内部有孔板の安定性を増加させ、接続された隣接する有孔板と内部有孔板との間の偏向を減少させる。
【0024】
好ましくは、内部有孔板は、2つの内部フレームに配置される。内部フレームは、内部有孔板の安定性を増加させる。さらに、内部フレームは、特に造粒プロセス中に、造粒機内の内部有孔板の変動、振動および揺動を低減する。
【0025】
さらなる実施形態では、有孔板の下および/または上に仕切り板が配置される。造粒プロセスに関する(例えば、温度と粒子の成長とに関する)それらの一般的な有利な効果に加えて、仕切り板の導入により、有孔板の安定性がさらに増加する。
【0026】
好ましくは、補強管は仕切り板に接続され、有孔板の安定性をさらに増加させ、有孔板の振動傾向を低減する。
【0027】
さらなる実施形態では、2つの内部有孔板、中間部バー、中央支持管および/または管支持体は、金属およびポリマー、好ましくは鋼、さらに好ましくはステンレス鋼を含む。
【0028】
好ましくは、2つの内部有孔板は、300mm~1000mm、さらに好ましくは400mm~900mmの幅、および1500mm~2200mm、さらに好ましくは1600mm~2000mmの長さを有する。
【0029】
好ましい実施形態では、有孔板は、15~50の内部有孔板、さらに好ましくは16~40の内部有孔板を備える。
【0030】
本発明は、流動層クーラシステムをさらに含む。流動層クーラシステムは、流動層クーラの内部にクーラ空間を有する流動層クーラと、クーラ空間の内部に配置された有孔板とを少なくとも備える。好ましくは有孔板の下に配置される流動化空気入口は、肥料粒の流動層に必要な流動化空気を提供する。肥料粒は、製品入口を介してクーラ内に運ばれる。冷却された肥料粒は、クーラ出口開口部を介して流動層クーラから出る。さらに、流動層クーラは、通気開口部を備える。造粒プロセス中に生成または放出されるダスト、例えば、尿素ダスト、およびアンモニアのような化学気相は、通気開口部を介してスクラバユニット内で除去される。好ましくは、スクラバユニットは、ダスト除去スクラバおよびアンモニア除去スクラバを少なくとも備える。好適なスクラバの例は、国際公開第2005/032696号(
図1)または国際公開第2010/60535号に見出すことができる。前述の有孔板は、少なくとも2つの内部有孔板を備え、2つの内部有孔板(2a、2a’)は中間部バーを介して接続され、中間部バーと造粒機接地床との間に中央支持管が配置される。中間部バーは、流動層クーラ空間内に配置され、粒状粒子の流れ方向に平行に向けられ、好ましくは、製品入口とクーラ出口開口部との間の軸によって規定される主方向にある。用語「平行」には、中間部バーの正確な平行配置からの偏向が含まれる。好ましくは、中間部バーの平行偏向は、±(プラス/マイナス)20°(度)の偏向を含む。用語「粒状粒子の流れ方向」は、製品入口から始まり、有孔板の冷却ゾーンを通過し、クーラ出口開口部の近くで終わる方向を指す。中間部バーは、最終的な有孔板全体を形成する単一の有孔板要素を連結する接続要素と混同してはならない。これらの接続要素は、前述の粒状粒子の流れ方向に対して直交またはほぼ直交する角度に、および製品入口とクーラ出口開口部との間の軸に対して直交する角度に向けられる。好ましくは、有孔板とクーラ床との間の空間を閉鎖および密閉する有孔板全体は、15から50の内部有孔板を備える。
【0031】
好ましくは、2つの内部有孔板の下および/または中間部バーの下に補強管が配置される。補強管は、内部有孔板の安定性を増加させ、接続された隣接する有孔板と内部有孔板との間の偏向を減少させる。
【0032】
好ましくは、内部有孔板は、2つの内部フレームに配置される。内部フレームは、内部有孔板の安定性を増加させる。さらに、内部フレームは、特に造粒プロセス中に、造粒機内の内部有孔板の変動、振動および揺動を低減する。
【0033】
さらなる実施形態では、有孔板の下および/または上に仕切り板が配置される。造粒プロセスに関する(例えば、温度と粒子の成長とに関する)それらの一般的な有利な効果に加えて、仕切り板の導入により、有孔板の安定性がさらに増加する。
【0034】
好ましくは、補強管は仕切り板に接続され、有孔板の安定性をさらに増加させ、有孔板の振動傾向を低減する。
【0035】
さらなる実施形態では、2つの内部有孔板、中間部バー、中央支持管および/または管支持体は、金属およびポリマー、好ましくは鋼、さらに好ましくはステンレス鋼を含む。
【0036】
好ましくは、2つの内部有孔板は、300mm~1000mm、さらに好ましくは400mm~900mmの幅、および1500mm~2200mm、さらに好ましくは1600mm~2000mmの長さを有する。
【0037】
好ましい実施形態では、有孔板は、15~50の内部有孔板、さらに好ましくは16~40の内部有孔板を備える。
【0038】
本発明は、上記の本発明の流動層造粒機および/または上記の流動層クーラを備える尿素造粒プラントをさらに含む。
【0039】
本発明は、アンモニア化合物、ニトレート、ホスフェート、尿素、元素硫黄、硫酸アンモニウム、UAS(尿素-硫酸アンモニウム)および/またはそれらの混合物を含有する肥料粒の製造のために、先に開示したような本発明の流動層造粒機システムおよび/または先に開示したような流動層クーラシステムをさらに備える。
【0040】
本発明は、以下の図においてさらに説明される。図は例示目的のみを意図しており、保護の範囲を制限するものではない。図は正確な縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、流動層造粒機(9)の内部に造粒機空間(1)および造粒機接地床(10)を有する流動層造粒機(9)を備える、本発明による流動層造粒機システムの概略図を示す。有孔板(2)は、造粒機空間(1)の内部に配置される。スプレーノズル(3)は有孔板(2)上に接触して、または有孔板(2)の上方に配置され、流動化空気入口(11)は有孔板(2)の下に配置される。噴霧空気用の複数の供給ライン(4)と、液体溶融物用の供給ライン(5)とがスプレーノズル(3)に接続される。これらの供給ライン(4、5)を1つのラインに組み合わせることができてもよい。流動層造粒機(9)は、好ましくは図示されていない製品ふるいまたは破砕機と関連して、造粒シード入口(6)、造粒機出口開口部(7)および通気開口部(8)をさらに備える。流動層(17)は、有孔板(2)の下からの流動化空気を利用する対応する粒状粒子(16)によって形成される。流動化空気流は(II)と表示された矢印によって示され、流動層粒状粒子(16)の流れ方向は(I)と表示された矢印によって示されている。流動層(17)は、好ましくは、1つ以上の仕切り板(13)によって分割される。有孔板(2)の構造は
図3に示されている。
【0043】
図2は、本発明による、好ましくは尿素および窒素含有肥料の造粒のための流動層クーラシステムを示す。流動層クーラシステムは、流動層クーラ(14)の内部にクーラ空間(15)およびクーラ接地床(12)を有する流動層クーラ(14)と、クーラ空間(15)の内部に配置された有孔板(2)と、製品入口(19)と、流動化空気入口(21)と、クーラ出口開口部(18)と、通気開口部(20)とを少なくとも備える。流動層(17)は、有孔板(2)の下からの流動化空気を利用する対応する粒状粒子(16)によって形成される。顆粒の流れ方向は(I)によって示され、流動化空気の流れ方向は(II)によって示される。有孔板(2)の構造は
図3に詳細に示されている。
【0044】
図3は、有孔板の概略図を示す。
図3は、造粒機接地床(10)/クーラ接地床(12)から有孔板2までの流動層造粒機(9)/流動層クーラ(14)の下部を示す、流動層造粒機(9)または流動層クーラ(14)の切り欠きである。例示のみを目的として、
図3は準備状態の本発明の要素を示し、単一の部分的に未完成の要素を示している。本発明の構成の「最小」要素は、(A)と表示された領域に示されている。この本発明の構成は、中間部バー(2c)を介して接続された2つの内部有孔板(2a、2a’)を少なくとも備える。中央支持管(2d)は、中間部バー(2c)と造粒機接地床(10)/クーラ接地床(12)との間に配置される。内部有孔板(2a、2a’)は、好ましくは2つの内部フレーム(2b、2b’)に配置される。内部有孔板を備える構成は、最終有孔板(2)を形成し閉鎖する中間部バー(2c)に沿って繰り返される(
図3には図示せず、
図4を参照)。補強管(2e)は、2つの内部有孔板(2a、2a’)の下、および中間部バー(2c)の下に配置される。これらの補強管(2e)は安定性を増加させる。さらに、補強管(2e)は、有孔板(2)の振動と曲がり癖とを低減する。補強管は仕切り板(13)に接続され、これにより、造粒機内の温度とガスの流れとがさらに調整される。
【0045】
図4は、有孔板の概略上面図を示す。2つの内部有孔板(2a、2a’)と、2つの内部フレーム(2b、2b’)と、中間部バー(2c)と、中央支持管(2d)とを備える、本発明の構成の「最小」要素は、(A)と表示された領域に示されている。補強管(2e)は、内部有孔板(2a、2a’)の下および/または仕切り板(13)と有孔板(2)との間に配置され、2つの内部有孔板(2a、2a’)を備える隣接する要素の安定性をさらに増加させる。
【符号の説明】
【0046】
(1) 造粒機空間
(2) 有孔板
(2a )内部有孔板
(2a’) 内部有孔板
(2b) 内部フレーム
(2b’) 内部フレーム
(2c) 中間部バー
(2d) 中央支持管
(2e) 補強管
(3) スプレーノズル
(4) 噴霧空気用の供給ライン
(5) 液体溶融物用の供給ライン
(6) 造粒シード入口
(7) 造粒機出口開口部
(8) 通気開口部
(9) 流動層造粒機
(10) 造粒機接地床
(11) 流動化空気入口
(12) クーラ接地床
(13) 仕切り板
(14) 流動層クーラ
(15) クーラ空間
(16) 粒状粒子
(17) 流動層
(18) クーラ出口開口部
(19) 製品入口
(20) 通気開口部(流動層クーラ)
(21) 流動化空気入口(流動層クーラ)
(I) 顆粒の流れ方向
(II) 流動化空気の流れ方向