IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7144530プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステム及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220921BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20220921BHJP
【FI】
H01L21/68 N
G02B1/11
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020553625
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019024635
(87)【国際公開番号】W WO2019195081
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】62/654,281
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/026,640
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500324750
【氏名又は名称】バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パーガンデ, ポール イー.
(72)【発明者】
【氏名】シュトラスナー, ジェームズ ディー.
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2002-0089231(KR,A)
【文献】特開2002-208466(JP,A)
【文献】特開2006-019583(JP,A)
【文献】特開2013-197423(JP,A)
【文献】特表2014-505996(JP,A)
【文献】特開2015-056624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292055(US,A1)
【文献】特開2012-199470(JP,A)
【文献】特開平10-144619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G02B 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバウインドウを冷却するためのシステムであって、
ウエハを収納するチャンバであって、ウインドウを含むチャンバと、
前記チャンバと共に動作可能であり、かつ前記ウインドウにガスを送るための冷却装置であって、前記ウインドウを支持する支持リングを備える冷却装置とを備え、前記支持リングが、
周縁壁
前記周縁壁に沿って配置され、前記ウインドウを支持するように構成された支持部であって、前記支持部の上面と前記ウインドウの下面とが接触して、前記ウインドウを支持する支持部、
前記周縁壁と前記支持部を通って形成された複数のスロットであって、前記ウインドウを横切るようにガスを送るための複数のスロット、及び
前記支持部の上面に設けられ、前記複数のスロットと連通する溝部、
を備える、
システム。
【請求項2】
前記冷却装置が、前記ガスを前記支持リングに送るためのメインダクトを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記冷却装置が、前記支持リングに連結された入口ダクトを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記入口ダクトが、前記支持リングに直接的かつ物理的に連結されており、かつ前記支持リングの前記複数のスロットに向けて前記ガスを送る、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記入口ダクトがメインダクトと前記支持リングとの間に連結される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記ウインドウに隣接したランプアセンブリを更に備え、前記ランプアセンブリが、前記ウエハに光を提供するためのランプを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガスを前記冷却装置に送るためのファンを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持リングの前記複数のスロットのうちのスロットの第1のセットが、前記ウインドウの第1の側に配置され、前記支持リングの前記複数のスロットのうちのスロットの第2のセットが、前記ウインドウの第2の側に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スロットの第1のセットと前記スロットの第2のセットとは、互いから約180度離間して位置付けられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ウインドウ上に反射防止光学コーティングを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ウインドウが研磨された石英である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
チャンバと共に動作可能な冷却装置であって、
前記チャンバのウインドウを支持する支持リングであって、周縁壁と、前記周縁壁に沿って配置され、前記ウインドウを支持する支持部であって、前記支持部の上面と前記ウインドウの下面とが接触して、前記ウインドウを支持するように構成された支持部と、前記周縁壁と前記支持部を通って形成された複数のスロットと、前記支持部の上面に設けられ、前記複数のスロットと連通する溝部と、を含み、前記複数のスロットが前記ウインドウを横切るように空気流を送る、支持リングと、
前記支持リングにガスを送るためのメインダクトとを備える、
冷却装置。
【請求項13】
前記メインダクトに連結された入口ダクトを更に備え、前記入口ダクトが、前記支持リングに直接的かつ物理的に連結されており、かつ前記支持リングの前記複数のスロットに向けて前記空気流を送る、請求項12に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記支持リングの前記複数のスロットのうちのスロットの第1のセットが、前記ウインドウの第1の側に配置され、前記支持リングの前記複数のスロットのうちのスロットの第2のセットが、前記ウインドウの第2の側に配置され、前記空気流は、前記スロットの第1のセットから前記スロットの第2のセットに向かって移動する、請求項12に記載の冷却装置。
【請求項15】
チャンバウインドウを冷却するためのシステムであって、
ウエハを収納するチャンバであって、ウインドウを含むチャンバと、
前記チャンバと共に動作可能であり、かつ前記ウインドウにガスを送るための冷却装置であって、前記ウインドウを支持する支持リングを備える冷却装置とを備え、前記支持リングが、
周縁壁
前記周縁壁に沿って配置され、前記ウインドウを支持するように構成された支持部であって、前記支持部の上面と前記ウインドウの下面とが接触して、前記ウインドウを支持する支持部、
前記周縁壁と前記支持部を通って形成された複数のスロットであって、前記ウインドウの外表面を横切るようにガスを送るための複数のスロット、及び
前記支持部の上面に設けられ、前記複数のスロットと連通する溝部、
を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]この出願は、内容全体が参照により本書に組み込まれている2018年4月6日提出の米国仮特許出願第62/654,281号、及び、内容全体が参照により本書に組み込まれている2018年7月3日提出の米国特許出願第16/026,640号に対し、優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本書の実施形態はプロセスチャンバウインドウに関し、より詳細には、プロセスチャンバウインドウの冷却を提供するためのシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]プロセスチャンバと共に使用されるランプヒータは、ランプアレイからウインドウを通じて、加熱されているウエハに光を投射する。ウインドウは光の一部を吸収し、光エネルギーをウインドウにおける温度上昇に変換する。ウインドウの温度は、反復されるランプサイクルにわたって上昇し続け、加熱されているウエハにエネルギーを放射する。ウインドウは制御ループの一部ではないので、このことが問題になる。なぜなら、ウインドウは、ウエハから約1インチの距離において、300を超えるまで熱くなりうるが、一般にウエハは150を超えて加熱されるものではないからである。サイクル反復の後には、ウインドウの温度によってウエハが過熱されている可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態では、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステムは、ウエハを処理するためのプロセスチャンバであって、ウインドウを含むプロセスチャンバを含みうる。このシステムは、プロセスチャンバと共に動作可能な冷却装置であって、ウインドウにガスを送るための冷却装置を更に含みうる。冷却装置はウインドウを支持する支持リングを含みうる。支持リングは、周縁壁と、周縁壁を通って形成された複数のスロットであって、ウインドウを横切るようにガスを送るための複数のスロットとを含みうる。
【0005】
[0005]別の実施形態では、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステムは、ウエハを処理するためのプロセスチャンバであって、ウインドウを含むプロセスチャンバを含みうる。このシステムは、プロセスチャンバと共に動作可能な冷却装置であって、ウインドウに空気流を送るための冷却装置を更に含みうる。冷却装置はウインドウを支持する支持リングを含んでよく、この支持リングは、周縁壁と、周縁壁を通って形成された複数のスロットであって、ウインドウの外表面を横切るように空気流を送る複数のスロットとを含む。
【0006】
[0006]別の実施形態では、プロセスチャンバと共に動作可能な冷却装置は、プロセスチャンバのウインドウを支持する支持リングを含みうる。この支持リングは、周縁壁を通って形成された複数のスロットであって、ウインドウを横切るように空気流を送る複数のスロットを含みうる。冷却装置は、ガスを支持リングに送るためのメインダクトを更に含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]本開示の実施形態による、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステムが描かれている。
図2】[0008]プロセスチャンバウインドウを冷却するための、図1のシステムの冷却装置が描かれている。
図3A】[0009]本開示の実施形態による、図2の冷却装置の支持リングを示す斜視図である。
図3B】[0010]本開示の実施形態による、ウインドウを含む図3Aの冷却装置の支持リングを示す斜視図である。
図4A-4B】[0011]本開示の実施形態による、図2の冷却装置の入口ダクトを示す斜視図である。
図5】[0012]本開示の実施形態によるガス供給装置を示す。
図6】[0013]本開示の実施形態による、ヒータ内で使用されるタングステンハロゲン電球からのスペクトル放射及び関連電力を示す。
図7】[0014]本開示の実施形態による、薄型ウインドウの石英の例示的な透過率(transmission)を示す。
図8】[0015]本開示の実施形態による、反射防止型石英ウインドウの透過率を示す。
図9A-9C】[0016]本開示の実施形態による、反射防止コーティングの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる表現であり、本開示の具体的なパラメータを描写することを意図していない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すためのものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。図面では、類似の付番は類似の要素を表わしている。
【0009】
[0018]更に、一部の図の特定の要素は、説明を分かりやすくするために、省略されていることも、縮尺通りに図示されていないこともある。断面図は、「スライス(slices)」の、又は「近視眼的(near-sighted)」な断面図の形態であることがあり、説明を分かりやすくするために、「真の(true)」断面図であれば視認可能であったはずの特定の背景線が省略されている。更に、分かりやすくするために、特定の図面においては、一部の参照番号が省略されていることがある。
【0010】
[0019]これより、方法の実施形態が示されている添付図面を参照しつつ、本開示によるシステム及び装置について、より網羅的に説明する。システム及び装置は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本書に明示された実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全なものになるように、かつシステム及び方法の範囲が当業者に十分に伝わるように、提供されている。
【0011】
[0020]便宜性と分かりやすさのために、本書では、図に表わされている半導体製造デバイスの構成要素の形状寸法及び配向に関して、かかる構成要素及びその構成部分の相対的な配置及び配向を説明するために、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「横方向(lateral)」、及び「長手方向(longitudinal)」といった語が使用されている。これらの用語は、具体的に言及された語、その派生語、及び同様の意味の語を含む。
【0012】
[0021]本書で使用される場合、「1つの/ある」(「a」又は「an」)という語から始まる、単数形で記載された要素又は動作は、複数の要素又は動作を除外することが明示的に記載されていなければ、複数の要素又は動作を含むと理解されたい。更に、本開示の「一実施形態(one embodiment)」への言及は、限定を意図するものではない。追加の実施形態も列挙された特徴を包含しうる。
【0013】
[0022]更に、「実質的(substantial)」又は「実質的に(substantially)」という語、それに加えて「おおよその(approximate)」又は「約/おおよそ(approximately)」という語は、一部の実施形態では互換的に使用されてよく、当業者によって許容される任意の相対的尺度を使用して説明されうる。例えば、これらの語は、基準パラメータとの比較としての役割を果たして、(意図されている機能を提供することは可能な)ずれを示しうる。非限定的ではあるが、基準パラメータからのずれは、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などの量のものでありうる。一実施形態では、基準パラメータは、程度数値(180°など)でありうる。たとえ180°からの±のずれ(例えば、1%未満、3%未満、5%未満の量のずれ)があっても、正確な180°と機能的に同等であると見なされうる。
【0014】
[0023]本書で詳述しているように、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのアプローチが提供される。一部の実施形態では、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステムは、ウエハ(半導体ウエハなど)を処理するためのプロセスチャンバであって、ウインドウを含むプロセスチャンバを含みうる。一部の実施形態では、ウインドウにより、ランプアセンブリからの光がウエハに送られることが可能になる。システムは、プロセスチャンバと共に動作可能な冷却装置であって、ガスをウインドウに送るための冷却装置を更に含む。冷却装置は、ウインドウに連結され、かつウインドウを支持する、支持リングを含む。支持リングは、周縁壁と、周縁壁を通って形成された複数のスロットとを含む。複数のスロットは、ウインドウを横切るようにガス(空気など)を送って、ウインドウの温度を下降させうる。
【0015】
[0024]ここで図1から図2を参照するに、本開示の実施形態による、プロセスチャンバウインドウを冷却するためのシステム100及び冷却装置101が示されている。図示しているように、システム100は、ウエハ104を処理するためのプロセスチャンバ102であって、ウインドウ108を含むプロセスチャンバ102を含みうる。ウインドウ108は、研磨された透明又は半透明の石英片でありうる。ウインドウ108は、別々の実施形態では別々の材料になりうる。
【0016】
[0025]システム100は、プロセスチャンバ102と共に動作可能な冷却装置110を更に含む。冷却装置110は、ウインドウ108にガス112を送るよう動作可能である。例示的な実施形態では、冷却装置110は、ウインドウ108に連結され、かつウインドウ108を支持する、支持リング115を含む。支持リング115は、ウインドウ108の周縁の周りに延在する周縁壁120を含みうる。支持リング115とウインドウ108は両方とも概して円形であるが、本書の実施形態は、いかなる特定の形状にも限定されない。支持リング115は、例えば矢印126(図2)で示している方向に、ウインドウ108を横切るようにガス112を送るための、周縁壁120を通って形成された複数のスロット124を含みうる。一部の実施形態では、ガス112は、ウインドウ108に平行な、又はおおよそ平行な方向に、ウインドウ108を横切るように送られる。ガス112は、ウインドウ108の同一の面(例えば、ランプアセンブリ136に面しているウインドウ108の外面)に沿って送られうる。
【0017】
[0026]図示しているように、冷却装置101は、ガス112を支持リング115に送るためのメインダクト130を更に含みうる。一部の実施形態では、メインダクト130はプレナムでありうる。入口ダクト132がメインダクト130に連結されてよく、入口ダクト132は、支持リング115に直接的かつ物理的に連結される。メインダクト130と入口ダクト132とは、それらを通って空気が流れることが可能になるよう、流体接続される。一部の実施形態では、メインダクト130と入口ダクト132とは、1つの連続した構成要素であってもよい。図2に示しているように、入口ダクト132は、例えばクランプ/留め金/ラッチ134によって、メインダクト130に取り外し可能に連結されうる。
【0018】
[0027]システム100は、ウインドウ108及び支持リング115に隣接した、ランプアセンブリ136(図1)を含みうる。ランプアセンブリ136は、ウエハ104に光を提供するためのランプ138を含む。システムは、ガス112を冷却装置101に送るためのファン140を、更に含みうる。図2に示しているように、ファン140はメインダクト130に、直接的又は一体的に連結されうる。しかし、本書の実施形態は限定されない。
【0019】
[0028]ここで図3Aから3Bを参照するに、本開示の実施形態による支持リング115がより詳細に記載されている。図3Aが、ウインドウがない状態の支持リング115を示している一方、図3Bはウインドウ108を含んでいる。例示的な実施形態では、支持リング115の複数のスロットのうちのスロットの第1のセット124Aは、ウインドウ108の第1の側144に配置される。支持リング115の複数のスロットのうちのスロットの第2のセット124Bは、ウインドウ108の第2の側146に配置される。非限定的な実施形態では、スロットの第1のセット124Aとスロットの第2のセット124Bとは、支持リング115の、円周上で対向している両側に、約180度離間して位置付けられる。
【0020】
[0029]一部の実施形態では、ウインドウ108は、反射防止(AR)光学コーティング148を含む。AR光学コーティング148により、ウインドウ108の透過率が、約88~90%から約98%まで向上する。この透過率の向上により、ヒータをより低い出力レベルで動作させること、ひいては、ユーザにとっての運転費用を削減することが可能になり、かつ、ランプの反応を迅速化して、スループットを10%近い割合向上させることも可能になる。
【0021】
[0030]一部の実施形態では、AR光学コーティング148は、ウインドウの外面/ランプ側にのみ付与される。一部の実施形態では、AR光学コーティング148は、透過率の更なる向上のために、ウインドウの両面(例えば、ランプ側とプロセスチャンバ内部に面した側)に付与される。更に別の実施形態では、AR光学コーティング148は、ランプからの光束に耐久することが可能である。例えば、AR光学コーティング148は、リング115が動作する、約250~300の環境に耐久することが可能である。AR光学コーティング148により、ランプとウエハとの間の、より効率的なエネルギー伝達が可能になる。この効率の改善は、スループットを増大し、低温プロセスを安定化し、かつツールを動作させるエネルギーコストを削減することによって、有利に収益化されうる。
【0022】
[0031]図4Aから図4Bは、本開示の実施形態による入口ダクト132を示している。入口ダクト132は、支持リング115に直接的かつ物理的に連結されるよう構成される。一部の実施形態では、タブのセット150が、対応する支持リング115の突出部のセット152(図3Aから図3B)と係合しうる。タブのセット150を突出部152に固定するために、多種多様な任意のファスナ(例えばボルト、ネジなど)が使用されうる。入口ダクト132は、ガス112を支持リング115に送るための内部チャンバ155を含みうる。一部の実施形態では、入口ダクト132は、メインダクト130と係合するためのピンのセット156を含む。
【0023】
[0032]ここで図5を参照するに、本開示の実施形態による、支持リング115にガスを送るためのガス供給装置170が記載されている。図示しているように、ガス供給装置170は、ガスを受容するための入口171と、支持リング115に向けてガス112を送るための排気スロット172とを含みうる。一部の実施形態では、ガス供給装置170はウインドウ108に、ナイフ様の形状/構成の空気流を提供する。ガス供給装置170は高効率の空気増幅器であり、この装置に供給される圧縮空気よりも多くの空気を冷却ジェット(cooling jet)内に送り込むよう設計されている。例えば、ガス供給装置170は、消費されるよりも5~10倍多い空気を送り込むことが可能であり、ウインドウのより効率的な冷却、及びツール動作に対する影響の最小化を可能にする。ウインドウを冷却することで、プロセスレシピに影響を与えるウインドウの過熱を伴わずに、低温における、より正確かつ再現可能なウエハ設定点が可能になる。一部の実施形態では、エアナイフは、ウインドウを横切るように空気を送り込むためのプレナムを含まない。
【0024】
[0033]図6は、タングステンハロゲン電球のスペクトル電力の放射を示している。一部のプロセスチャンバウインドウはコーティングされない。その代わりに、かかるプロセスチャンバウインドウは、研磨だけされた石英である。図6は、ヒータに使用されるタングステンハロゲン電球からのスペクトル放射及び関連電力を示している。波長は400nmから2600nmの範囲にわたり、1000nmにピークを有している。全幅半値は600nmから1800nmの範囲にわたっている。ランプからウエハに可能な限り多くのエネルギーを伝達させることによる利点は、スループットが最適化され、エネルギー消費が最小化されることである。
【0025】
[0034]更に、図6は石英ウインドウの透過曲線を示している。光が表面に出る/入るたびに、そのエネルギーの約4~5%は散乱する。反射防止コーティングを付加することで、最大エネルギーを有するスペクトルにおける光の伝播が向上し、より多くの光がウインドウ内へと、かつウインドウを通って、送られることが可能になる。加熱動作中の、ウインドウ内での損失電力は約800Wになる。ARコーティングにより、エネルギー損失がおよそ80W減少しうる。高圧送風器の使用も有益である。なぜなら、高圧送風器は、プレナムを使用して、高速ファンからの空気流を捕捉し、空気流をまっすぐにし、空気流を180度回転させ、かつウインドウ全体での均一な圧力分布を提供するからである。均一な圧力はウインドウの均一な熱プロファイルと相関し、この熱プロファイルは、処理されているウエハの反応を直接的に追うものである。
【0026】
[0035]図7は、薄型ウインドウの石英の例示的な透過率を示している。図示しているように、透過率(%)は波長が長くなるにつれて急速に増大する。約200nmと2500nmの間では透過率は90%を超えており、これにより、ウインドウを通じた多大な熱伝達が可能になる。図8は、石英ウインドウが反射防止コーティングを含む場合の、波長に対する光拡散率(%)を示している。図示しているように、たとえ波長が長くなっても、光拡散率(%)は比較的安定している。約400nmと2500nmの間の光拡散率は0.9%未満であり、これにより、ウインドウを通じた熱伝達は有意に減少する。
【0027】
[0036]図9Aから図9Cは反射防止コーティングの効果を示している。例えば、図9AはARコーティングを伴わない場合の透過率(transmittance)及び反射率を示し、図9Bはフッ化マグネシウムの単層コーティングを伴った場合の透過率及び反射率を示し、図9Cは多層コーティングを伴った場合の透過率及び反射率を示している。一部の実施形態では、n=1.52の場合、多層コーティングは、MgF、SiO、CeFのうちの一又は複数を含みうる。更に別の実施形態では、多層コーティングは、n=1.6~1.8の場合にはAl又はYを含んでよく、n~2の場合にはHfO、Sc、Ta、Nb、LaTiO、TiO、HfO、又はScを含みうる。図示しているように、ウインドウがコーティングされると、透過率が増大し、反射率は減少する。
【0028】
[0037]要約すると、本書の実施形態は、プロセスチャンバウインドウの大気側の端から端まで空気を流すためのスロットを追加することによって改造された、プロセスチャンバウインドウを支持するリングを提供する。空気は、エアナイフ(圧縮された空気源を増幅し、更なる空気流を送り込むためのデバイス)から供給されうる。他の実施形態は、ウインドウを横切るように空気流を提供するために高圧ファンを使用する。これら両方のアプローチの第1の有利な効果は、ウインドウ温度を100C未満に下降させ、ひいては、予熱モジュールがランプの制御ループのもとで動作することを可能にすることである。一部の実施形態では、ファンにより、ウインドウの温度は、70WPHのデューティサイクルで、300付近から90未満まで下降する。90WPHの動作でも同様の結果が示され、ウインドウ温度は325超から90まで下降する。ウインドウの反射防止コーティングが含まれることによる第2の有利な効果は、ヒータの出力レベルが低減され、ひいては、ユーザにとっての運転費用が削減されて、ランプの反応の迅速化が可能になり、スループットが改善されることである。
【0029】
[0038]本開示の特定の実施形態について本書に記載してきたが、本開示の範囲は当該技術分野が許容する限り広範なものであり、本明細書も同様に読まれうるので、本開示は、記載された実施形態に限定されない。したがって、上述の記載を限定と解釈すべきではない。上述の記載はむしろ、特定の実施形態の例示にすぎない。当業者には、本書に付随する特許請求の範囲及び本質におけるその他の改変も想起されよう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A-4B】
図5
図6
図7
図8
図9A-9C】