(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】反射型ホログラフィック光記憶方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G11B 7/0065 20060101AFI20220921BHJP
G03H 1/02 20060101ALI20220921BHJP
G03H 1/26 20060101ALI20220921BHJP
G11B 7/24044 20130101ALI20220921BHJP
G11B 7/258 20130101ALI20220921BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20220921BHJP
G11B 7/1362 20120101ALI20220921BHJP
G11B 7/26 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G11B7/0065
G03H1/02
G03H1/26
G11B7/24044
G11B7/258
G11B7/135
G11B7/1362
G11B7/26 531
(21)【出願番号】P 2021005719
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】202010070683.3
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521001294
【氏名又は名称】アメシスタム ストレージ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Amethystum Storage Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ム
(72)【発明者】
【氏名】ルオ ティエウェィ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フ ドォジァオ
(72)【発明者】
【氏名】リォウ イチョン
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053793(JP,A)
【文献】特開2005-243116(JP,A)
【文献】特開2018-137030(JP,A)
【文献】特開2018-137031(JP,A)
【文献】特開2009-021007(JP,A)
【文献】特開2009-087448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/0065
G03H 1/02
G03H 1/26
G11B 7/24044
G11B 7/258
G11B 7/135
G11B 7/1362
G11B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照光と信号光を、反射層がメッキされた記憶媒体で干渉させてホログラムを形成し、ホログラムを再生する場合、同じ位置で同じ参照光を入射させて、前記記憶媒体の法線に対して前記信号光と対称かつ逆方向の通常再生光を発生し、共役参照光をローディングして、前記信号光と同軸かつ逆方向の共役再生光を発生
し、
前記参照光は、法線に沿っていないように前記記憶媒体に入射し、前記反射層及び反射ミラーによって反射されて前記共役参照光を形成することを特徴とする、反射型ホログラフィック光記憶方法。
【請求項2】
前記参照光は、前記反射層によって順に2回反射され、2回の前記反射層による反射の間に前記反射ミラーによって反射され元の光路に沿って反射されて前記共役参照光を形成することを特徴とする、請求項
1に記載のホログラフィック光記憶方法。
【請求項3】
反射光が法線に沿って前記記憶媒体に入射し、ホログラム光を再生する場合、発生する前記通常再生光は、前記共役再生光と同じ方向にあることを特徴とする、請求項
1又は
2に記載のホログラフィック光記憶方法。
【請求項4】
共役参照光ローディング装置と、
一般的な再生光受信装置と、
共役再生光受信装置と、を含み、
前記共役参照光ローディング装置が参照光を共役参照光に形成し、前記参照光が通常再生光を発生し、前記共役参照光が共役再生光を発生し、前記通常再生光と信号光が記憶媒体の法線に対して対称かつ逆方向であり、前記共役再生光が前記信号光と同軸かつ逆方向であ
り、
前記参照光が前記記憶媒体の法線に沿っていないように前記記憶媒体に入射する場合、前記共役参照光ローディング装置は、前記記憶媒体にめっきされた反射層と、前記反射層によって反射された参照光の光路に設けられる反射ミラーとであることを特徴とする、反射型ホログラフィック光記憶装置。
【請求項5】
前記信号光が法線に沿って前記記憶媒体に入射する場合、発生する前記通常再生光は、前記共役再生光と同じ方向にあり、通常再生光受信装置と前記共役再生光受信装置は、同じ受信装置であることを特徴とする、請求項
4に記載のホログラフィック光記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式ホログラフィック記憶の技術分野に属し、具体的に反射型ホログラフィック光記憶方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
球面参照光ビームのシフト多重方法は、球面波を参照光ビームとしてホログラムを記録することであり、この場合、媒体に対する光ビームの微小な変位があればホログラムが再生できなくなるため、該位置に新たなホログラムを記録し、隣接するホログラムを個別に再生させることができ、このように複数回繰り返す方法を、シフト多重記録と呼ぶ。このような記録/再生方法では、一般的に透過方式、即ち、信号光及び参照光が媒体を透過する方式が用いられる。しかしながら、該方法は、記録と読取装置をそれぞれ媒体の両側に配置する必要があるため、光学ドライブが複雑化してしまう。
【0003】
したがって、記憶媒体と同じ側にホログラムの記録及び読み取りを実現する方法及び装置を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、上記従来技術の少なくとも1つの欠陥を解消するために、記憶媒体と同じ側にホログラムの記録及び読み取りを実現できる反射型ホログラフィック光記憶方法及び装置を提供しようとする。
【0005】
本発明に係る反射型ホログラフィック光記憶方法及び装置は、反射層により新たな参照光を形成することにより、ホログラムの位相共役再生信号光を得て、記録媒体と同じ側にホログラムの記録及び読み取りを実現する。システム全体をよりコンパクトにし、設計の難易度を低減し、かつシステム安定性を向上させる。
【0006】
本発明に係る反射型ホログラフィック光記憶方法によれば、参照光と信号光を、反射層がメッキされた記憶媒体で干渉させてホログラムを形成し、ホログラムを再生する場合、同じ位置で同じ参照光を入射させて、反射層によって反射された後、記憶媒体の法線に対して信号光と対称かつ逆方向の通常再生光を発生し、共役参照光をローディングし、信号光と同軸の逆方向の共役再生光を発生することを特徴とする、反射型の光学的ホログラフィック記憶方法を含む。
【0007】
参照光は、法線に沿って記憶媒体に入射する場合、反射層によって反射されて共役参照光を形成する。
【0008】
参照光は、法線に沿っていないように記憶媒体に入射する場合、反射層及び反射ミラーによって反射されて共役参照光を形成する。
【0009】
好ましくは、参照光は、反射層によって順に2回反射され、2回の反射層による反射の間に反射ミラーによって反射され元の光路に沿って反射されて共役参照光を形成する。
【0010】
反射光が法線に沿って記憶媒体に入射し、ホログラム光を再生する場合、発生する通常再生光は、共役再生光と同じ方向にある。
【0011】
本発明に係る記憶媒体は、片側に反射層がメッキされている。反射層がメッキされた側の記憶媒体には、データが記録されていない。本発明に係る記憶媒体は、上記方法で生成することができる。
【0012】
本発明に係る反射型ホログラフィック光記憶装置は、共役参照光ローディング装置と、一般的な再生光受信装置と、共役再生光受信装置と、を含み、共役参照光ローディング装置が参照光を共役参照光に形成し、参照光が通常再生光を発生し、共役参照光が共役再生光を発生し、通常再生光と信号光が記憶媒体の法線に対して対称かつ逆方向であり、共役再生光が信号光と同軸かつ逆方向である。
【0013】
参照光が記憶媒体の法線に沿って記憶媒体に入射する場合、共役参照光ローディング装置は、記憶媒体にめっきされた反射層であり、反射層の所在する側は、参照光が入射する他側である。
【0014】
参照光が記憶媒体の法線に沿っていないように記憶媒体に入射する場合、共役参照光ローディング装置は、記憶媒体にめっきされた反射層と、反射層によって反射された参照光の光路に設けられる反射ミラーである。
【0015】
信号光が法線に沿って記憶媒体に入射する場合、発生する通常再生光は、共役再生光と同じ方向にあり、通常再生光受信装置と共役再生光受信装置は、同じ受信装置である。
【0016】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、位相共役再生光を得ることができることであり、位相共役光波とは、空間的に原光波と同じ波面を有するが逆方向に伝播する光波である。ホログラム記録において、位相共役再生光は、波面の変動、レンズ収差などを補正する機能を有する。また、再生光と位相共役再生光を同じ軸で発生させることができ、両者のコヒーレント加算を実現することができ、このようなコヒーレント加算により、再生画像の強度を4倍向上させることができるため、信号対雑音比が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、球面参照光のシフト多重記録の原理図である。
【
図3】
図3は、球面参照光のホログラフィック記録/再生の原理図である。
【
図4】
図4は、球面参照光の位相共役反射再生の原理図である。
【
図5】
図5は、球面参照光の位相共役再生光と正常再生光のコヒーレント加算方法の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の図面は、例示的な説明に過ぎず、本発明を限定するものであると理解すべきではない。以下の実施例をよりよく説明するために、図面におけるいくつかの部品を省略、拡大又は縮小する可能性があるが、実際の製品の寸法を示すものではない。当業者にとって、図面におけるいくつかの公知の構造及びその説明を省略する可能性があることは、理解されたい。
【0019】
(実施例1)
本実施例は、反射型ホログラフィック光記憶方法を提供する。
図1に示すように、信号光と参照光の入射面が重なり、入射面と媒体の表面との交線を軸として、1つのホログラムを記録した後に、媒体を該軸に沿って微小な距離移動させれば、ブラッグ条件のミスマッチを引き起こして、ホログラムが再生できなくなるため、新たなホログラムを記録し、隣接するホログラムを独立して再生し、即ち、シフト多重記録することができる。このようなシフト多重方法では、軸方向において媒体が数マイクロメートルだけオフセットすると、ホログラムが再生できなくなり、しかしながら、該軸に垂直な方向において、ホログラムの独立再生に必要な変位量が非常に大きいため、該方法は、高密度記憶を実現することができない。
【0020】
本実施例はクロスシフト多重記録方法を採用し、
図2に示すように、該方法は、軸方向においてシフト多重記録を実行して2次元のホログラムアレイを得て、媒体を一定角度回転させた後、2回目のシフト多重のカバー記録を行い、このように繰り返す。クロスシフト多重記録と呼ばれ、球面波シフト多重記録方法において多重数が不足であるという課題を解決する。
【0021】
透過の場合、球面参照光を用いてホログラムを記録/再生する例として、
図3に示すように、信号光と参照光が媒体に同時に入射し、両者が干渉して媒体においてホログラムを形成し、再生する場合に、同じ位置で同じ参照光を入射させると、信号光方向に通常再生光と呼ばれる再生光を検出することができる。他方では、位相共役再生光を発生させるための共役参照光が他側から入射し、元の参照光と同軸かつ逆方向であるため、この場合に得られる再生信号光は、信号光の逆方向に伝播し、該再生信号光は、共役再生光である。同時に、記録中に光学システムにより生成された画像歪み、収差などを自動補正し検出することができるため、信号対雑音比を向上させることができる。
【0022】
本実施例に係る反射型ホログラフィック光記憶方法によれば、参照光と信号光を、反射層がメッキされた記憶媒体で干渉させてホログラムを形成し、ホログラムを再生する場合、同じ位置で同じ参照光を入射させて、反射層によって反射させた後、記憶媒体の法線に対して信号光と対称かつ逆方向の通常再生光を発生し、共役参照光をローディングし、信号光と同軸の逆方向の共役再生光を発生することを特徴とする、反射型の光学的ホログラフィック記憶方法を含む。本実施例では、記憶媒体は、ディスクであり、参照光は、球面参照光である。
【0023】
図4に示すように、参照光は、法線に沿って記憶媒体に入射し、反射層によって反射されて共役参照光を形成する。即ち、球面参照光は、反射層がメッキされた媒体に垂直に入射し、媒体に入射した信号光と干渉してホログラムを形成する。信号を再生する場合、同じ参照光を媒体に入射させ、一方では、参照光を直接再生して得られた通常再生光は、反射層によって反射されて媒体の右側から出射され、他方では、入射した参照光は、反射層によって反射されて共役参照光を形成し、元の参照光と同軸かつ逆方向であり、該共役参照光を再生して位相共役再生光を得る。該方法では,再生光と位相共役再生光は、同時に再生することができる。
【0024】
参照光は、法線に沿って記憶媒体に入射しない場合、反射層及び反射鏡によって反射されて共役参照光を形成する。好ましくは、参照光は、順に反射層によって2回反射され、2回の反射層による反射の間に反射鏡によって反射され元の光路に沿って反射されて共役参照光を形成する。
【0025】
特定の実施例では、反射光が法線に沿って記憶媒体に入射し、ホログラム光を再生する場合、発生する通常再生光は、共役再生光と同じ方向にある。
図5に示すように、信号光は、反射型記憶媒体に垂直に入射し、媒体に入射した参照光と干渉してホログラムを形成する。信号を再生する場合、同じ参照光を媒体に入射させ、一方では、参照光が媒体に入射して得られた再生光は、反射層によって反射され、信号光と同軸、逆方向の反射再生光が得られ、他方では、参照光が媒体に入射した後に反射層によって反射され、反射された参照光は、反射ミラーによって反射され、反射層によって反射された参照光の光路に沿って記憶媒体に反射され、さらに反射層によって反射されて元の参照光と同軸かつ逆方向の共役参照光を得て、該共役参照光は、ホログラムに作用して信号光を再生して、位相共役再生光を得る。
図5に示すように、この場合に位相共役再生光は、通常再生光と全く同じ光路において伝播し、両者は、同軸かつ同じ方向にあり、この2本の再生光のコヒーレント加算により画像の光強度を最大で四倍向上させることができる。
【0026】
参照光と信号光は、いずれも記憶媒体に垂直ではないように入射してよく、同様に記憶媒体と同じ側にホログラムの記録及び再生を実現することができる。
【0027】
(実施例2)
本実施例に係るホログラフィック記憶媒体は、データが記録されていないホログラフィック記憶用の記憶媒体であってもよく、データが記録されているホログラフィック記録媒体であってもよい。
図4及び5に示すように、記憶媒体の片側に反射層がめっきされ、データが記録されているホログラフィック記憶媒体であれば、反射層がメッキされる側の記憶媒体には、データが記録されていない。本実施例に係るホログラフィック記憶媒体は、ディスクであり、もちろん、他のタイプのホログラフィック光記憶媒体であってもよい。
【0028】
本実施例に係る記憶媒体は、実施例1に係る方法で生成することができ、本実施例に係る記憶媒体は、実施例1に係る方法を用いることができる。
【0029】
(実施例3)
本実施例に係る反射型ホログラフィック光記憶装置は、共役参照光ローディング装置と、一般的な再生光受信装置と、共役再生光受信装置と、を含む。共役参照光ローディング装置が参照光を共役参照光に形成し、参照光が通常再生光を発生し、共役参照光が共役再生光を発生し、通常再生光と信号光が記憶媒体の法線に対して対称かつ逆方向であり、共役再生光が信号光と同軸かつ逆方向である。
【0030】
図4に示すように、参照光が記憶媒体の法線に沿って記憶媒体に入射する場合、共役参照光ローディング装置は、記憶媒体にめっきされた反射層であり、反射層の所在する側は、参照光が入射する他側である。
【0031】
参照光が記憶媒体の法線に沿って記憶媒体に入射しない場合、共役参照光ローディング装置は、記憶媒体にめっきされた反射層と反射層によって反射された参照光の光路に設けられる反射鏡である。好ましくは、
図5に示すように、信号光が法線に沿って記憶媒体に入射する場合、発生する通常再生光は、共役再生光と同じ方向にあり、通常再生光受信装置と共役再生光受信装置は、同じ受信装置である。
【0032】
本実施例に係る反射型ホログラフィック光記憶装置は、実施例1に係る方法を実現し、実施例2に係るホログラフィック記録媒体を生成することができる。
【0033】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明の技術手段を明確に説明するための例に過ぎず、本発明の実施形態を制限することを意図するものではない。本発明の特許請求の範囲の精神及び原則内で行われるいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。