(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ロール巻紙ホルダ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
A47K10/36 C
(21)【出願番号】P 2021044825
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2020065813
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591015393
【氏名又は名称】鈴木 喜代
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【氏名又は名称】松本 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【氏名又は名称】菊池 新一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一雄
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-098786(JP,A)
【文献】特開2006-288839(JP,A)
【文献】特開2002-239972(JP,A)
【文献】登録実用新案第3062843(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0033405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/34-10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ本体と、前記ホルダ本体内にロール巻紙を回転自在に保持する巻紙受けと、前記巻紙の先端を繰り出して所定の長さ繰り出された後、摘み代を残して前記巻紙をカッターで切断するロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体は、その底板に設けられて前記巻紙の先端が貫通するための紙貫通孔を有し、前記ロール巻紙の先端は、前記紙貫通孔を貫通して垂下して前記巻紙の垂下部分が前記巻紙の摘み代を形成して
おり、前記ホルダ本体の底板に設けられて前記カッターの下方に配置された紙剥がし手段を更に備え、前記紙剥がし手段は、前記巻紙の先端が前記カッターの刃先に向けて繰り出される際に持ち上げられ、前記カッターによって前記巻紙が前記摘み代から切り離された後前記摘み代を前記カッターから離反するように作用し、且つ、前記紙剥がし手段は、前記底板の下面に取付けられた板ばね状の紙剥がし片から成り、前記紙剥がし片は、紙繰出し時以外には、先端が底板の下面から離反して下方に位置するように付勢されていることを特徴とするロール巻紙ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダであって、前記巻紙受けは、前記底板であり、前記巻紙は、前記底板に載置して前記ホルダ本体内に回転自在に保持され、且つ前記巻紙を前記底板に押し付ける巻紙押付け手段を備えているロール巻紙ホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載のロール巻紙ホルダであって、前記巻紙受けは、前記ホルダ本体に支持されて前記紙貫通孔に対応して設けられたた少なくとも2つのローラから成っており、前記巻紙は、前記ローラ上に載置して前記ホルダ内に回転自在に保持されて少なくとも1つのローラを介して前記紙貫通孔を貫通し、且つ前記巻紙を前記ローラに押しつけて巻紙の過剰繰出しを防止する巻紙押し付け手段を有するロール巻紙ホルダ。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載のロール巻紙ホルダであって、前記巻紙押し付け手段は、前記ホルダ本体に取付けられて前記巻紙を前記底板に押し付けるようにばね又は自重で付勢して、前記巻紙の過剰繰出しを防止するカバーから成っているロール巻紙ホルダ。
【請求項5】
請求項
2又は3に記載のロール巻紙ホルダであって、前記巻紙押し付け手段は、前記ロール巻紙の中空芯に着脱自在に係入して前記巻紙の過剰繰出しを防止する重錘から成っているロール巻紙ホルダ。
【請求項6】
請求項
2乃至5のいずれかに記載のロール巻紙ホルダであって、前記紙貫通孔の縁に前記巻紙の転動を防止する巻紙受け片を有するロール巻紙ホルダ。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれかに記載のロール巻紙ホルダであって、前記ホルダ
本体は、背板の水平部分と底板の垂直部分との2つの部分を一体に結合して形成されているロール巻紙ホルダ。
【請求項8】
請求項
2に記載のロール巻紙ホルダであって、前記ホルダ
本体の底板は、前後方向の中央部分で凹んでいるロール巻紙ホルダ。
【請求項9】
請求項
3に記載の巻紙ホルダであって、前記ローラは、回転自在である巻紙ホルダ。
【請求項10】
請求項
9に記載の巻紙ホルダであって、前記ローラは、固定軸に回転自在に取付けられた複数の回転駒から成っている巻紙ホルダ。
【請求項11】
請求項
3に記載の巻紙ホルダであって、前記ローラは、非回転の形態である巻紙ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパの如きロール状の巻紙(ロール巻紙)を回転自在に保持し、巻紙の先端に摘み代を常に維持しつつロール巻紙を順次繰り出してこの繰出し部分(使用部分)を後続の巻紙部分から切り離すことができるロール巻紙ホルダの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットぺーパの如きロール巻紙を保持するロール巻紙ホルダは、一般に、少なくとも1対の側板を含むホルダ本体と、このホルダ本体の1対の側板の内面に取り付けられてロール巻紙を回転自在に保持する1対の軸受けの形態の巻紙受けと、この1対の巻紙受けに保持されたロール巻紙を覆うようにホルダ本体に枢支して取り付けられ先端縁にカッター刃を有するカバーとを備えている。このロール巻紙ホルダは、カバーとロール巻紙との間からロール巻紙の先端縁を引っ張ってロール巻紙の所定長さを繰り出し、カバーのカッター刃で巻紙の後続部分から繰出し部分(又は使用部分)を切り離すように使用される。
【0003】
一方、この種のホルダにおいて、ロール巻紙の先端縁がカバーのカッター刃に一致して終わっていると、次の巻紙の繰出しに際して、ロール巻紙を引っ張るべき先端縁を摘み出すことが難しく、このために、巻紙の繰出し、切離しの操作後、巻紙の先端縁が摘み易くなるように工夫された種々のロール巻紙ホルダが提案されている(特許文献1乃至6参照)。
【0004】
しかし、特許文献1(特許第4478997号公報)及び特許文献2(特開2002-338094号公報)のロール巻紙ホルダにおいては、ロール巻紙の繰出し後、摘み代を余分に繰り出すための機構は、1対の側板に配置され、且つこの摘み代繰出し機構は、左右両方の側板に有していないと、摘み代を有効に繰り出すことができないので、側板の構造が極めて複雑となる欠点があった。
【0005】
また、特許文献3(特開平11-206617号公報)及び特許文献4(特開2014-12112号公報)のロール巻紙ボルダは、構造が簡単であるが、特許文献3のホルダでは、巻紙の先端縁がカッターの凹部によって切り離しがきれいに行われないため、見栄えが悪く、また、特許文献4のホルダは、ストッパによってカバーが常に浮き上がっているので、カバーが巻紙に接触している場合に比べて、巻紙の所定長の繰り出し後切離す操作が円滑に行われ難い欠点がある。
【0006】
更に、特許文献5(特許第6151309号公報)のロール巻紙ホルダは、特許文献3,4の欠点を改善するために、巻紙の摘み代を形成する機構をカバー側に設けて簡単な構造で摘み代を形成することができ、また見栄えを悪くしないようにするために、巻紙1の先端を引っ張って繰出すと、この紙が引っ掛けられた紙繰出し板84が上部固定カバー部材70Uから突き出るようにばね82に抗して前進し、この状態は、上部固定カバー部材70Uの内面に取り付けられた弾性ストッパ部材86によって維持され、紙の繰出し部分1Fを紙繰出し板84のカッター刃40によって折り返すように巻紙1の後続部分1Rから切り離すと、紙繰出し板84は、上部固定カバー部材70Uの先端を支点として梃運動してストッパ部材86から外れて紙の摘み代1Eを残してばね82によって上部固定カバー部材70Uから引っ込んで戻るように構成されている。
【0007】
最後に、特許文献6(特開2020-203028号)のロール巻紙ホルダは、1対の側板を含むホルダ本体と、前記1対の側板の内面に取り付けられてロール巻紙を回転自在に保持する1対の巻紙受けと、前記1対の巻紙受けに保持されたロール巻紙を覆うようにホルダ本体に取り付けられたカバーと、前記カバー内に水平方向に摺動自在に保持されて前記ロール巻紙の紙先端を引っ張ると、前記ロール巻紙に係止して引っ張られて前記カバーから突き出るが、前記ロール巻紙をカッター刃で切断すると前記カバー内に引き戻される紙繰出し板を含む紙繰出し機構とを備えているロール巻紙ホルダであって、前記カバーは、前記ホルダ本体の1対の側板の縦溝に沿って水平状態を維持したまま昇降することができるように前記1対の側板に摺動自在に支持され、前記紙繰出し機構の前記紙繰出し板は、その先端縁にカッター刃が取付けられ、前記紙繰出し機構は、通常では前記紙繰出し板が前記カバー内に引き込められるようにばね付勢するばね付勢手段と、前記紙繰出し板の下面であって前記カッター刃の後方に設けられて前記巻紙の繰出しに伴って前記紙繰出し板を前進するための紙引っ掛け手段と、前記巻紙の繰出し時には前記紙に押されて前記紙引っ掛け手段の切り欠きに係入するが、前記紙がカッター刃で切断されると、前記紙引っ掛け手段の切り欠きから外れるように下向きにばね付勢される紙剥がし手段とを備えている。
【0008】
特許文献5、6のロール巻紙ホルダは、いずれも、本出願人が提案したものであるが、いずれのホルダも、紙の繰出しにつれて紙に摩擦的に接触して紙がカバーから突き出て摘み代を形成するように繰り出される紙繰出し板を必要とし、且つ巻紙の使用部分を切り離した後、この巻紙繰出し板を元の位置に戻して巻紙の摘み代を形成するための機構を必要とするので、構造が複雑となり、また巻紙の繰出しは、紙繰出し板の前進と共に行われるので、紙の繰出しが重たくなる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
(1) 特許文献1 特許第4478997号公報
(2) 特許文献2 特開2002-338094号公報
(3) 特許文献3 特開平11-206617号公報
(4) 特許文献4 特開2014-12112号公報
(5) 特許文献5 特許第6151309号公報
(6) 特許文献6 特願2019-113719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、摘み代を形成するための紙繰出し板を用いることなく、摘み代を形成することができ、構造を一層簡略化することができる上に、巻紙の繰出しを軽い力で行うことができるロール巻紙ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題解決手段は、ホルダ本体と、前記ホルダ本体内にロール巻紙を回転自在に保持する巻紙受けと、前記巻紙の先端を繰り出して所定の長さ繰り出された後、摘み代を残して前記巻紙をカッターで切断するロール巻紙ホルダにおいて、前記ホルダ本体は、その底板に設けられて前記巻紙の先端が貫通して垂下するための紙貫通孔を有し、前記ロール巻紙の先端は、前記紙貫通孔を貫通して垂下して前記巻紙の垂下部分が前記巻紙の摘み代を形成しており、前記ホルダ本体の底板に設けられて前記カッター刃の下方に配置された紙剥がし手段を更に備え、前記紙剥がし手段は、前記巻紙の先端が前記カッターの刃先に向けて繰り出される際に持ち上げられ、前記カッターの刃先によって前記巻紙が前記摘み代から切り離された後前記摘み代を前記カッターの刃先から離反するように作用し、前記紙剥がし手段は、前記底板の下面に取付けられた板ばね状の紙剥がし片から成り、前記紙剥がし片は、紙繰出し時以外には、先端が底板の下面から離反して下方に位置するように付勢されていることを特徴とするロール巻紙ホルダ。
【0012】
本発明の課題解決手段において、前記巻紙受けは、前記底板であり、前記巻紙は、前記底板に載置して前記ホルダ内に回転自在に保持されている形態とすることができ、この場合、巻紙を前記底板に押しつけて巻紙の過剰繰出しを防止する巻紙押し付け手段を有するものとする。
【0013】
本発明の課題解決手段において、前記巻紙受けは、前記ホルダ本体に支持されて前記紙貫通孔に対応して設けられたた少なくとも2つのローラから成っており、前記巻紙は、前記ローラ上に載置して前記ホルダ内に回転自在に保持されて少なくとも1つのローラを介して前記紙貫通孔を貫通している形態とすることができ、この場合、巻紙を前記ローラに押しつけて巻紙の過剰繰出しを防止する巻紙押し付け手段を有するものとする。
【0014】
本発明の課題解決手段において、前記巻紙受けが巻紙載置の形態である場合、前記巻紙押し付け手段は、前記ホルダ本体に取付けられて前記巻紙に係合するカバーとすることができ、前記カバーは、ばね又は自重で前記巻紙を前記底板に押し付けるように付勢する形態とすることができる。
【0015】
本発明の課題解決手段において、前記巻紙受けが巻紙載置の形態である場合、前記巻紙押し付け手段は、前記巻紙の中空芯内に係入された重錘の形態とすることができる。
【0016】
本発明の課題解決手段において、前記巻紙受けが巻紙載置の形態である場合、前記紙貫通孔の縁に前記巻紙の転動を防止する巻紙受け片を有する形態とすることができる。
【0017】
本発明の課題解決手段において、前記ホルダ本体は、背板の水平部分と底板の垂直部分との2つの部分を一体に結合して形成されている形態とすることができる。
【0018】
本発明の課題解決手段において、前記ホルダ本体の底板は、前後方向の中央部分で凹んでいる形態とすることができる。
【0019】
本発明の課題解決手段において、前記巻受けがローラの形態である場合、前記ローラは回転自在の形態とすることができる。
【0020】
本発明の課題解決手段において、前記巻受けが回転自在のローラの形態である場合、前記ローラは、固定軸に回転自在に取付けられた複数の回転駒から成っている形態とすることができる。
【0021】
本発明の課題解決手段において、前記巻受けがローラの形態である場合、前記ローラは非回転の形態とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロール巻紙の先端は、ホルダ本体の底板に設けられた紙貫通孔を貫通して垂下し、巻紙の垂下部分で摘み代を形成するので、紙繰出し板を用いることなく、摘み代を形成することができ、従って紙繰出し板及びこの紙繰出し板を引き戻すための操作機構を省略することができ、構造が著しく簡単となる。
【0023】
また、紙繰出し板を省略すると、紙を繰り出す際の抵抗が少なくなり、軽い力で巻紙を繰り出すことができるので、紙を容易に繰り出すことができる。
【0024】
特に、ロール巻紙がローラを介して紙貫通孔に貫通していると、ロール巻紙は、ロール巻紙の先端の紙繰出し方向がロール巻紙の巻方向と同じ方向であってもロール巻紙の巻方向とは反対の方向であっても巻紙を円滑に繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の好ましい実施の形態によるロール巻紙ホルダであって巻紙が大径の状態の側面図である。
【
図2】
図1と同じであるが、巻紙が小径化した状態の側面図である。
【
図6】巻紙ホルダのホルダ本体の分解状態を示し、同図(A)は、背板の斜視図、同図(B)は、巻紙受けとして作用する底板の斜視図である。
【
図7】巻紙ホルダの使用状態を示し、同図(A)は、紙繰出し前の断面図、同図(B)は、紙繰出し時の断面図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態によるロール巻紙ホルダであって巻紙が大径の状態の側面図である。
【
図10】
図9の実施の形態に夜ロール巻紙ホルダで立って巻紙が小径の状態の側面図である。
【
図12】
図9の巻紙ホルダのホルダ本体の分解状態を示し、同図(A)は、背板の斜視図、同図(B)は、巻紙受けとして作用する底板の斜視図である。
【
図13】
図9の巻紙ホルダの使用状態を示し、同図(A)は、紙繰出し前の断面図、同図(B)は、紙繰出し時の断面図である。ホルダ本体の底板の変型例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の1つの実施の形態によるロール巻紙ホルダ10が
図1乃至
図5に示されており、このロール巻紙ホルダ10は、1対の短い側板片22R、22Lを有する背板22とこの背板22に固定され1対の短い側板片24R,24Lを有する底板24とを含むホルダ本体20と、このホルダ本体20内にロール巻紙1を回転自在に保持する巻紙受け30と、この巻紙受け30に保持されたロール巻紙1を覆うようにホルダ本体20に取付けられたカバー40と、ホルダ本体20に保持されたカッター50とを備えている。なお、ホルダ本体20、巻紙受け30、カバー40及びカッター50は、プラスチック又は金属の如き任意の材料から形成することができる。
【0027】
ホルダ本体20の背板22は、その下端縁に幅方向に延びる短い水平片22Pを有し(
図6(A)参照)、底板24は、その後端縁に幅方向に延びる垂直片24Pを有し(
図6(B)参照)、背板22の水平片22Pが底板24の後端の下面に重合し、底板24の垂直片24Pが背板22の下端の内面に重合してリベット26によって一体に結合してホルダ本体20が形成されている(
図1、
図2及び
図5参照)。なお、この結合手段は、リベットの他に、ねじ、接着などであってもよい。
【0028】
図示の実施例では、巻紙受け30は、ホルダ本体20の底板24が兼ねており、従って、ロール巻紙1は、この巻紙受け30である底板24の上に載置して回転自在に受止められる。底板24の左右の短い側板片24R、24Lは、底板24に載置されたロール巻紙1がホルダ本体20の左右に変位したり、ホルダ本体20から脱落したりするのを防止する機能を有する。巻紙1が大径の状態では、背板22の側板片22R、22Lも巻紙1の左右の変位と脱落を防止する機能を有している。
【0029】
カバー40は、背板22の左右の側板片22R,22Lにピン42R、42Lで回転自在に支持されており、ロール巻紙1の上面に接触している。このカバー40は、その自重でロール巻紙1を押さえ付けて、ロール巻紙1から紙が過剰に繰り出されるのを防止する巻紙押し付け手段44を構成している。なお、カバー20の重量がロール巻紙1の過剰の繰出しを抑制するのに十分でない場合には、ピン52R、52Lに巻きばねを巻付けてカバー40をロール巻紙1の上面に弾性的に押しつけてもよい。
【0030】
カッター50は、
図1、
図2及び
図5に示すように、ホルダ本体20の底板24の前縁に刃先50Bが露呈するように、底板24の下面に接着などの適宜の手段によって取付けられている。なお、このカッターは、底板24の前縁に一体に形成されていてもよい。
【0031】
本発明のロール巻紙ホルダ10は、ホルダ本体20の底板24に設けられてロール巻紙1の紙先端が貫通するための紙貫通孔62を有し、この紙貫通孔62は、その中を貫通して垂下する紙先端部分(垂下部分)で摘み代1Pを形成するための摘まみ代形成手段60を構成している。摘み代1Pの長さは、紙貫通孔62の後端縁とカッター50の刃先50Bとの間の長さに相応する。
【0032】
また、本発明のロール巻紙ホルダ10は、摘み代1Pをカッター50の刃先50Bから離反するための紙剥がし手段70を備え、この紙剥がし手段70は、ホルダ本体20の底板24に設けられてカッター50の下方に取付けられた板ばねの形態の紙剥がし片72から成っている。図示の実施例では、紙剥がし手段70は、
図3乃至
図5に示すように、幅方向に間隔をあけて配置されて水平の基部72Bがホルダ本体20の底板24に接着などによって固定され、この基部72Bから斜め下方で前方に延びるばね片72Sを含む幅狭の2つの紙剥がし片72から成っている。これらの紙剥がし片72は、ロール巻紙1の先端がカッター50の刃先50Bに向けて繰り出される際にばね片72Sが紙によって持ち上げられ、巻紙1がカッター50の刃先50Bによって摘み代1Pから切り離された後摘み代1Pをカッター50の刃先50Bから離反するように作用する。なお、この紙剥がし手段70は、ホルダ本体20の幅方向の中間に配置された幅狭い1つの紙剥がし片72から成っていてもよいし、ホルダ本体20の幅に相応する幅広い1つの紙剥がし片72から成っていてもよい。
【0033】
巻紙受け30が図示のように巻紙載置の形態である場合、巻紙受け30は、紙貫通孔62の縁に巻紙1の転動を防止する巻紙受け片32を有する。図示の形態では、この巻紙受け片32は、紙貫通孔62を形成するように底板24の一部を斜め上向きに折り返して形成することができる。この巻紙受け片32は、
図1及び
図2に示すように、ロール巻紙1が前方に転動するのを防止する機能を有する。
【0034】
次に、本発明のロール巻紙ホルダ10の使用状態を説明すると、
図1及び
図3に示すように、カバー40を開いてロール巻紙1をホルダ本体20の底板24である巻紙受け30に載置してロール巻紙1をホルダ本体20内に保持する。この際、ロール巻紙1の先端を紙貫通孔62に貫通して下方に垂下し、この垂下部分を摘み代1Pとする。
【0035】
このように
してホルダ本体20に保持されたロール巻紙1から所定長の紙(トイレットペーパ等)を得るためには、
図1,
図2及び
図7(A)に示すように、紙貫通孔62から垂下する摘み代1Pを摘まんで紙剥がし手段70の紙剥がし片72がカッター50に係合するまで持ち上げつつロール巻紙1から紙を繰出すが、この状態は、
図7(B)に示されている。カッター50の刃先を越えて所定長の紙(使用長の紙)を繰り出した後、紙がカッター50の刃先(カッター刃)50Bで後続の紙から切り離すように紙を刃先50Bに押し付けると、切り離された後続の紙部分は、上向きの押し付け力が解放されるので、紙剥がし片72がそれ自体のばね力で下降し、
図1,
図2及び
図7に示すように、カッター50から剥がされて垂下し、次の摘まみ代1Pが形成される。同じ動作が繰り返されて、所定長の紙を繰出し、切り離す毎に、自動的に後続の摘まみ代1Pが形成される。
【0036】
本発明のロール巻紙ホルダ10は、先に述べた特許文献5,6の技術で用いられる紙繰出し板を必要としないため、紙を繰り出す際に、この紙繰出し板を繰出しの前進位置から引き戻す(後退す)べきばねの力が掛からないので、紙を軽い力で繰り出すことができる。
【0037】
上記実施例では、底板24は、載置面が平坦な水平状態であるので、その転動を防止するために、巻紙受け片32を有するのが好ましいが、ロール巻紙受け30である底板24自体が
図8に示すように前後方向の中央が凹んでいるように浅いV字形の形態であると、ロール巻紙1は、浅いV字形の載置面によって転動が防止されるので、巻紙受け片32はなくてもよいことが解る。なお、底板24は、浅いV字形の他に水平面の中央に半円筒形のくぼみを設けて、巻紙1の転動を防止するようにしてもよい。
【0038】
また、巻紙受け30は、従来技術のように、軸受けの形態であってもよく、この場合、側板片22R、22Lは、大径のロール巻紙1の軸心まで延びるような大きな寸法を有し、巻紙受け30は、この大きな側板片22R、22Lに設けられたばね押込式の支持軸とすることができる。
【0039】
本発明の他の実施例が
図10乃至
図13に示されており、この実施例は、巻紙受け30がホルダ本体20に支持されて紙貫通孔62に対応して設けられた少なくとも2つのローラ34A,34Bから成っており、巻紙1は、これらのローラ34A、34B上に載置してホルダ本体20内に回転自在に保持されていることを除いて
図1乃至
図8の実施例と同じ構成を有する。
【0040】
巻紙1の繰出し部分は、巻紙1が
図9において反時計方向に巻かれている場合には、
図9の実線で示すように、後方のローラ34Aを介して紙貫通孔62を貫通して摘み代1Pを形成している。
【0041】
図示の実施例では、ローラ34A、34Bは、底板24の側板片24R,24Lの間に固定されている図示しない固定軸に回転自在に指示された円筒状のローラ本体34から成っている、ローラ34A、34Bが滑りよい表面を有するのであれば、非回転(固定)状態で側板片24R、24Lに支持されていてもよい。
【0042】
図1乃至
図8の実施例と同様に、ロール巻紙1は、ローラ34A、34Bに押し付けて巻紙の過剰繰出しを防止するために、カバー40の如き巻紙押し付け手段44を有する。
【0043】
図9乃至
図13の実施例の巻紙ホルダは、
図13に示すように、巻紙1がローラ34Aを介して紙貫通孔62を貫通して垂れ下がる摘み代1P(
図13(A)参照)を紙剥がし片72を持ち上げつつ引っ張って繰出し(
図13(B)参照)、カッター50で切断した後、紙剥がし片72によってカッター50から離反されて
図13(A)の状態に戻る、
【0044】
図9乃至
図13の実施例では、巻紙受け30は、2つのローラ34A、34Bから成っているが、2つ以上のローラから成っていてもよく、また、各ローラは、固定軸に回転自在に取付けられた複数の回転駒から成っている形態としてもよい。
【0045】
図9乃至
図13の実施例においては、ロール巻紙1は、
図9で見て巻方向が反時計方向であるので、ロール巻紙の先端は、後方のローラ34Aの内側を介して繰り出されているが、ロール巻紙1が
図9において時計方向に巻かれている場合には、
図9の点線で示すように、前方のローラ34Bの内側を介して繰り出す。従ってロール巻紙1を巻方向に拘束されることなく、巻紙受け30に向きを意識することなく、自由に巻紙受け30上に載置することができる。
【0046】
なお、上記実施例では、巻紙押し付け手段44は、カバー40から成っているが、ロール巻紙1の中空芯1C内に着脱自在に係入される円柱形又は円筒形の重錘から成っていてもよい。この場合、カバー40はあってもなくてもよい。
【0047】
更に、上記実施例では、ホルダ本体20の背板22と底板24とは、別体であって適宜の手段で一体に結合したが、ホルダ本体20の形成時に一体に成形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ロール巻紙の摘み代は、ホルダ本体の底板に設けられた紙貫通孔を貫通して垂下することによって形成されるので、従来技術で用いられている紙繰出し板及びその引き戻し機構を必要とすることなく、構成が簡単となり、また紙繰出し板を有しないので、紙の繰出しに大きな抵抗を受けることがなく、軽い力で紙を繰り出すことができ、紙の繰出し、切り離し等の操作性がよく、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0049】
1 巻紙
1P 摘み代
10 ロール巻紙ホルダ
20 ホルダ本体
22 背板
22R、22L 側板片
22P 水平部分
24 底板
24P 垂直部分
24R、24L 側板片
30 巻紙受け
32 巻紙受け片
34A、34B ローラ
40カバー
42R、42L 軸受け
44 巻紙押し付け手段
50 カッター
50B 刃先(カッター刃)
60 摘み代形成手段
62 紙貫通孔
70 紙剥がし手段
72 紙剥がし片
72B 基部
72S ばね片