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特許7144570車両の接触事故部位推定方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】車両の接触事故部位推定方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/0136 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
B60R21/0136 310
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021070807
(22)【出願日】2021-04-20
(65)【公開番号】P2022106636
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002154
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521169011
【氏名又は名称】ディファイン カンパニー,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516212979
【氏名又は名称】エムティーオメガ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EMTOMEGA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン ヒュン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム チェ カン
(72)【発明者】
【氏名】ペ チェ ヒュ
(72)【発明者】
【氏名】チュン テ キ
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2103334(KR,B1)
【文献】国際公開第2020/213694(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126937(US,A1)
【文献】特開2021-163049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/0136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加速度を測定して臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定する段階;前記車両に衝撃が発生したものと判定された場合、前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する段階;および前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合、前記加速度データから接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定する段階を含む、車両の接触事故部位推定方法。
【請求項2】
前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する段階での前記機械学習モデルの出力は接触事故および非接触事件を含み、これに伴い、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する段階は前記車両が前記非接触事件による衝撃を受けた場合をフィルタリングすることを含む、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項3】
前記非接触事件による衝撃は、前記車両のドアの開閉、トランクの閉まりおよびボンネットの閉まりによる衝撃、他の車両が通過することによって発生する風による衝撃、および底の揺れによって発生する衝撃を含む、請求項2に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項4】
前記車両は8個あるいは12個の部位に区分され、前記車両の接触事故部位を推定する段階での前記機械学習モデルの出力は前記車両の区分された部位のうちいずれか一つを含み、これに伴い、前記車両の接触事故部位を推定する段階は前記車両の区分された部位のうちいずれか一つに接触事故による衝撃が発生したものと推定することを含む、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項5】
前記車両の加速度は前記車両内に搭載された3軸加速度計によって測定される、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項6】
前記車両の加速度は前記車両が駐車中である時に測定される、請求項5に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項7】
前記接触事故判定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含む、請求項5に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項8】
前記接触事故部位の推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含む、請求項5に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項9】
前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する段階または前記車両の接触事故部位を推定する段階で使われる前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー、サポートベクターマシン(SVM)、神経回路網、およびディープラーニング(deep learning)のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項10】
前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する段階と前記車両の接触事故部位を推定する段階でそれぞれ使われる前記機械学習モデルの学習方法が互いに異なる、請求項9に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項11】
前記車両の接触事故部位を推定する段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程は、
i)前記車両の各部位別に衝突実験を遂行して前記各衝突の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝突の発生部位を記録する段階;および
ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とする段階を含み、
これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して適切なパラメータを学習する、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項12】
前記ii)段階は繰り返し遂行され、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上する、請求項11に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項13】
前記収集された加速度データのうち一部のみが前記特徴要素を求めるのに使われ、前記車両の接触事故部位を推定する段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程は、前記収集された加速度データのうち前記特徴要素を求めるのに使われていない加速度データを使って前記機械学習モデルの正確度を評価する検証段階をさらに含む、請求項11に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項14】
前記車両の接触事故判定段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程は、
i)前記車両に対する接触事故および非接触事件を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件を記録する段階;および
ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された接触事故および非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力とする段階を含み、これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習する、請求項1に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項15】
前記ii)段階は繰り返し遂行され、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上する、請求項14に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項16】
車両の加速度を測定して臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定する段階;および前記車両に衝撃が発生したものと判定された場合、前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定および接触事故部位の推定のための特徴要牛を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定し、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合には前記車両の接触事故部位を推定する段階を含む、車両の接触事故部位推定方法。
【請求項17】
前記車両の加速度は前記車両内に搭載された3軸加速度計によって前記車両が駐車中である時に測定される、請求項16に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項18】
前記接触事故判定および前記接触事故部位推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含む、請求項17に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項19】
前記機械学習モデルの学習過程は、
i)前記車両に対する接触事故および非接触事件を含むものの、前記接触事故の場合には前記車両の各部位別衝突を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件と前記各衝突の発生部位を記録する段階;および
ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された接触事故および前記非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力とするものの、前記接触事故の場合には前記衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とする段階を含み、
これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習する、請求項14に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項20】
前記ii)段階は繰り返し遂行され、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上する、請求項19に記載の車両の接触事故部位推定方法。
【請求項21】
車両の加速度を測定するセンサ部;前記センサ部によって測定された加速度データを保存するメモリ部;前記センサ部によって測定された加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定する制御部;前記車両に衝撃が発生したものとして前記制御部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する接触事故判定部;および前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものとして前記接触事故判定部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された加速度データから接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定する接触事故部位推定部を含む、車両の接触事故部位推定システム。
【請求項22】
前記接触事故判定部で使う前記機械学習モデルの出力は接触事故および非接触事件を含み、これに伴い、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定することは前記車両が前記非接触事件による衝撃を受けた場合をフィルタリングすることを含む、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項23】
前記車両は8個あるいは12個の部位に区分され、前記接触事故部位推定部での前記機械学習モデルの出力は前記車両の区分された部位のうちいずれか一つを含み、これに伴い、前記車両の接触事故部位を推定することは前記車両の区分された部位のうちいずれか一つに接触事故による衝撃が発生したものと推定することを含む、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項24】
前記センサ部は前記車両内に搭載された3軸加速度計を含み、前記車両の加速度は前記3軸加速度計によって前記車両が駐車中である時に測定される、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項25】
前記接触事故判定のための特徴要素あるいは前記接触事故部位の推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含む、請求項24に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項26】
前記接触事故判定部または前記接触事故部位推定部で使われる前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー、サポートベクターマシン(SVM)、神経回路網、およびディープラーニング(deep learning)のうち少なくとも一つを含む、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項27】
前記車両の接触事故部位推定部で使われる前記機械学習モデルの学習過程は、
i)前記車両の各部位別に衝突実験を遂行して前記各衝突の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝突の発生部位を記録する段階;および
ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とする段階を含み、これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して適切なパラメータを学習する、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項28】
前記ii)段階は繰り返し遂行され、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上する、請求項27に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項29】
前記車両の接触事故判定部で使われる前記機械学習モデルの学習過程は、
i)前記車両に対する接触事故および非接触事件を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件を記録する段階;および
ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記接触事故および前記非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力とする段階を含み、これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習する、請求項21に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項30】
前記ii)段階は繰り返し遂行され、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上する、請求項29に記載の車両の接触事故部位推定システム。
【請求項31】
車両の加速度を測定するセンサ部;前記センサ部によって測定された加速度データを保存するメモリ部;および前記センサ部によって測定された加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定し、前記メモリ部に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する接触事故判定部;および前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものとして前記接触事故判定部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された加速度データから接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定する接触事故部位推定部を含む事故推定部を具備する、車両の接触事故部位推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の接触事故部位推定方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車時車両に衝撃が発生した場合、これを感知して車の所有者に知らせる方法が開発されている。しかし、車両に発生する衝撃の原因には他の車両との衝突による接触事故だけでなく、ドアの開閉や他の車両の通過による風などのように非接触事件もあり、これに伴い、これらを区別して感知できる方法が必要である。
【0003】
また、車両に接触事故による衝撃が発生した場合にも、前記衝撃が車両のいずれの部位で発生したものであるかを感知できる方法も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許出願公開第10-2020-0102768号公報(2020年9月1日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、車両の接触事故部位推定方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、車両の接触事故部位推定システムを提供することである。
【0007】
ただし、本発明の目的は前述した目的に限定されず、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で多様に拡張され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの目的を達成するために、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法において、車両の加速度を測定して臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定することができる。前記車両に衝撃が発生したものと判定された場合、前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定することができる。前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合、前記加速度データから接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定することができる。
【0009】
例示的な実施例において、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する時の前記機械学習モデルの出力は接触事故および非接触事件を含み、これに伴い、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する時、前記車両が前記非接触事件による衝撃を受けた場合をフィルタリングすることを含むことができる。
【0010】
例示的な実施例において、前記非接触事件による衝撃は前記車両のドアの開閉、トランクの閉まりおよびボンネットの閉まりによる衝撃、他の車両が通過することによって発生する風による衝撃、および底の揺れによって発生する衝撃を含むことができる。
【0011】
例示的な実施例において、前記車両は8個あるいは12個の部位に区分され、前記車両の接触事故部位を推定する時の前記機械学習モデルの出力は前記車両の区分された部位のうちいずれか一つを含み、これに伴い、前記車両の接触事故部位を推定する時に前記車両の区分された部位のうちいずれか一つに接触事故による衝撃が発生したものと推定することができる。
【0012】
例示的な実施例において、前記車両の加速度は前記車両内に搭載された3軸加速度計によって測定され得る。
【0013】
例示的な実施例において、前記車両の加速度は前記車両が駐車中である時に測定され得る。
【0014】
例示的な実施例において、前記接触事故判定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0015】
例示的な実施例において、前記接触事故部位の推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
例示的な実施例において、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する時、または前記車両の接触事故部位を推定する時に使われる前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー、サポートベクターマシン(SVM)、神経回路網、およびディープラーニング(deep learning)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0017】
例示的な実施例において、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する時と前記車両の接触事故部位を推定する時にそれぞれ使われる前記機械学習モデルの学習方法が互いに異なり得る。
【0018】
例示的な実施例において、前記車両の接触事故部位を推定する段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程において、i)前記車両の各部位別に衝突実験を遂行して前記各衝突の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝突の発生部位を記録することができる。ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とすることができる。これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して適切なパラメータを学習することができる。
【0019】
例示的な実施例において、ii)段階は繰り返し遂行され得、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上し得る。
【0020】
例示的な実施例において、前記収集された加速度データのうち一部のみが前記特徴要素を求めるのに使われ得、前記車両の接触事故部位を推定する段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程において、前記収集された加速度データのうち前記特徴要素を求めるのに使われていない加速度データを使って前記機械学習モデルの正確度を評価する検証を遂行することができる。
【0021】
例示的な実施例において、第1項において、前記車両の接触事故判定段階で使われる前記機械学習モデルの学習過程において、i)前記車両に対する接触事故および非接触事件を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件を記録することができる。ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された接触事故および非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力とすることができる。これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習することができる。
【0022】
例示的な実施例において、ii)段階は繰り返し遂行され得、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上し得る。
【0023】
本発明の一つの目的を達成するために、本発明の他の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法において、車両の加速度を測定して臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定することができる。前記車両に衝撃が発生したものと判定された場合、前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定および接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定し、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合には前記車両の接触事故部位を推定することができる。
【0024】
例示的な実施例において、前記車両の加速度は前記車両内に搭載された3軸加速度計によって前記車両が駐車中である時に測定され得る。
【0025】
例示的な実施例において、前記接触事故判定および前記接触事故部位の推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0026】
例示的な実施例において、前記機械学習モデルの学習過程において、前記車両に対する接触事故および非接触事件を含むものの、前記接触事故の場合には前記車両の各部位別衝突を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件と前記各衝突の発生部位を記録することができる。ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された接触事故および前記非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力にするものの、前記接触事故の場合には前記衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とすることができる。これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習することができる。
【0027】
例示的な実施例において、ii)段階は繰り返し遂行され得、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上し得る。
【0028】
本発明の他の目的を達成するために、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定システムは、車両の加速度を測定するセンサ部;前記センサ部によって測定された加速度データを保存するメモリ部;前記センサ部によって測定された加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定する制御部;前記車両に衝撃が発生したものとして前記制御部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する接触事故判定部;および前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものとして前記接触事故判定部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された加速度データから接触事故部位の推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定する接触事故部位推定部を含むことができる。
【0029】
例示的な実施例において、前記接触事故判定部で使う前記機械学習モデルの出力は接触事故および非接触事件を含むことができ、これに伴い、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定することは前記車両が前記非接触事件による衝撃を受けた場合をフィルタリングすることを含むことができる。
【0030】
例示的な実施例において、前記車両は8個あるいは12個の部位に区分され得、前記接触事故部位推定部での前記機械学習モデルの出力は前記車両の区分された部位のうちいずれか一つを含み、これに伴い、前記車両の接触事故部位を推定することは前記車両の区分された部位のうちいずれか一つに接触事故による衝撃が発生したものと推定することを含むことができる。
【0031】
例示的な実施例において、前記センサ部は前記車両内に搭載された3軸加速度計を含むことができ、前記車両の加速度は前記3軸加速度計によって前記車両が駐車中である時に測定され得る。
【0032】
例示的な実施例において、前記接触事故判定のための特徴要素あるいは前記接触事故部位の推定のための特徴要素は、前記3軸加速度計によって測定された前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、が速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、および前記衝撃の持続時間のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0033】
例示的な実施例において、前記接触事故判定部または前記接触事故部位推定部で使われる前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー、サポートベクターマシン(SVM)、神経回路網、およびディープラーニング(deep learning)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0034】
例示的な実施例において、前記車両の接触事故部位推定部で使われる前記機械学習モデルの学習過程において、i)前記車両の各部位別に衝突実験を遂行して前記各衝突の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集して前記各衝突の発生部位を記録することができる。ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記記録された衝突部位のうち前記各加速度データに対応する衝突部位を前記機械学習モデルの出力とすることができる。これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して適切なパラメータを学習することができる。
【0035】
例示的な実施例において、ii)段階は繰り返し遂行され得、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上し得る。
【0036】
例示的な実施例において、前記車両の接触事故判定部で使われる前記機械学習モデルの学習過程において、i)前記車両に対する接触事故および非接触事件を含む衝撃実験を遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集し、前記各衝撃の原因である接触事故あるいは非接触事件を記録することができる。ii)前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記接触事故および前記非接触事件のうち前記各加速度データに対応する一つを前記機械学習モデルの出力とすることができる。これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に適切なパラメータを学習することができる。
【0037】
例示的な実施例において、ii)段階は繰り返し遂行され得、これに伴い、前記パラメータの正確性が向上し得る。
【0038】
本発明の他の目的を達成するために、本発明の他の実施例に係る車両の接触事故部位推定システムは、車両の加速度を測定するセンサ部;前記センサ部によって測定された加速度データを保存するメモリ部;および事故推定部を具備することができる。前記事故推定部は、前記センサ部によって測定された加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定し、前記メモリ部に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習某デルの出力から前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定する接触事故判定部;および前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものとして前記接触事故判定部によって判定された場合、前記メモリ部に保存された加速度データから接触事故部位推定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使用し、前記機械学習モデルの出力から前記車両の接触事故部位を推定する接触事故部位推定部を含むことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法およびシステムによると、機械学習モデルを使って駐車中の車両に衝撃が発生した場合、非接触事件はフィルタリングすることができ、接触事故の場合、その接触事故部位まで容易に推定することができる。
【0040】
ただし、本発明の効果は前述した効果に限定されず、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で多様に拡張され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定システムを示すブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法を示すフローチャートである。
図3】車両に発生した衝撃の種類による各軸別加速度の変化を示したグラフである。
図4】X軸およびY軸で構成された平面上で前記車両を8個あるいは12個の部位に区分したものを示した図面である。
図5】本発明の他の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本文に開示されている本発明の実施例に対して、特定の構造的乃至機能的説明は単に本発明の実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の実施例は多様な形態で実施され得、本文に説明された実施例に限定されるものと解釈されてはならない。
【0043】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な形態を有し得るところ、特定の実施例を図面に例示して本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0044】
第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われ得る。例えば、本発明の権利範囲から逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0045】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていてもよくまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。構成要素の間の関係を説明する他の表現、すなわち「~間に」と「すぐ~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0046】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0047】
また、本文に記載された「~部」等の用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの結合で具現され得る。
【0048】
特に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んで、ここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味である。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味のものと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0049】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例をより詳細に説明する。図面上の同一の構成要素については同一または類似する参照符号を付する。
【0050】
図1は、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定システムを示すブロック図である。
【0051】
図1を参照すると、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定システム100は、センサ部200、メモリ部300、制御部400、および事故推定部500を含むことができる。また、車両の接触事故部位推定システム100は、例えば、カメラのような撮影装置、およびデータ伝送モデムのような通信装置をさらに含んでもよい。
【0052】
前記のような車両の接触事故部位推定システム100は、例えば、車両用ブラックボックス、内蔵型ブラックボックス(built-in cam)等であり得る。
【0053】
センサ部200は車両内に搭載され得、例えば3軸加速度計のような加速度計を含むことができる。前記3軸加速度計は前記車両内に装着される位置を基準点(零点)とし、前記車両の前後方向を横切るX軸、前記車両の左右を横切るY軸、およびX軸およびY軸によって形成される平面に垂直なZ軸で構成される3次元ローカル座標系を使って前記車両の加速度を測定することができる。前記3軸加速度計において、前記X軸、前記Y軸および前記Z軸は互いに垂直になるのであれば自由に配置され得る。
【0054】
ただし、場合によってセンサ部200はX軸およびY軸のみを含む2軸加速度計を含んでもよい。
【0055】
メモリ部300はセンサ部200によって測定された加速度に関連した各種データを保存することができる。メモリ部300は、例えば、ラム(RAM)、ロム(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等を含むことができる。
【0056】
制御部400はセンサ部200、メモリ部300および事故推定部500が遂行する各動作を制御することができ、これに必要な各種演算を遂行することができる。制御部400は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、マイクロプロセッサユニット(MPU)、アプリケーションプロセッサ(AP)等を含むことができる。
【0057】
例示的な実施例において、制御部400はセンサ部200によって測定された前記加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、前記車両に衝撃が発生したものと判定することができる。
【0058】
事故推定部500は接触事故判定部510および接触事故部位推定部520を含むことができる。事故推定部500は、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、マイクロプロセッサユニット(MPU)、アプリケーションプロセッサ(AP)等を含むことができる。
【0059】
例示的な実施例において、接触事故判定部510は前記車両に衝撃が発生したものとして制御部400によって判定された場合、メモリ部300に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから機械学習モデルを使って前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定することができる。これに伴い、接触事故判定部510は車両の接触事故判定のためのアルゴリズムを含むソフトウェアを駆動させることができる。
【0060】
例示的な実施例において、接触事故部位推定部520は前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものとして接触事故判定部510によって判定された場合、メモリ部300に保存された加速度データから機械学習モデルを使って前記車両の接触事故部位を推定することができる。これに伴い、接触事故判定部510は車両の接触事故部位の推定のためのアルゴリズムを含むソフトウェアを駆動させることができる。
【0061】
これまでは事故推定部500が制御部400と別途に存在して、制御部400は車両の衝撃判定動作を遂行し、事故推定部500は車両の接触事故判定動作および接触事故部位推定動作を遂行するものとして説明したが、本発明の概念はこれに限定されはしない。
【0062】
すなわち、事故推定部500は制御部400内に配置されてもよく、これに伴い、統合された一つのユニット、すなわち制御部400あるいは事故推定部500は各種制御および演算動作だけでなく、衝撃の判定、接触事故の判定、および接触事故部位推定動作をともに遂行してもよい。
【0063】
以下では便宜上、事故推定部500が制御部400と別途に存在してこれらが別々に動作することについてのみ説明するが、これらが一つのユニットをなして前記の動作をすべて遂行することも可能である。
【0064】
図2は、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法を示すフローチャートである。
【0065】
図1および図2を共に参照すると、第1段階(S110)で、車両内に搭載された車両の接触事故部位推定システム100(以下では、システム100と指称する)に含まれたセンサ部200は前記車両の加速度を測定することができ、第2段階(S120)で、前記加速度が臨界値以上の大きさを有する場合、システム100に含まれた制御部400は前記車両に衝撃が発生したものと判定することができる。
【0066】
例示的な実施例において、前記車両は駐車中である車両であり得る。
【0067】
例示的な実施例において、前記車両の加速度は3軸加速度計によって測定され得、各軸別に測定された加速度によって形成される加速度ベクターの大きさを算出して、前記大きさが一定の値以上の場合に限り、前記車両に衝撃が発生したものと判定することができる。
【0068】
この時、前記加速度ベクターの大きさは衝撃発生前後の一定時間の間の前記加速度ベクターの大きさの最大値である最大加速度、あるいは衝撃発生前後の一定時間の間の前記加速度ベクターの二乗平均平方根である実効値(Root Mean Square:RMS)であり得る。
【0069】
これまでは前記車両の加速度に基づいて説明したが、これに前記車両の質量を積算して獲得される力である衝撃力が臨界値以上の場合にも、前記車両に衝撃が発生したものと判定できることは言うまでもない。
【0070】
一方、センサ部200によって測定された前記加速度データはシステム100に含まれたメモリ部300に保存され得る。
【0071】
第3段階(S130)で、制御部400によって前記車両に衝撃が発生したものと判定された場合、システム100に含まれた接触事故判定部510は機械学習モデルを通じて前記衝撃が接触事故によるものであるかあるいは非接触事件によるものであるかを判定することができる。
【0072】
すなわち、車両に衝撃が発生した場合、これは例えば、前記車両のドアの開閉、トランク(trunk)の閉まりおよびボンネット(bonnet)閉まりによる衝撃、他の車両が通過することによって発生する風による衝撃、および底の揺れによって発生する衝撃であり得る。しかし、このような非接触事件による衝撃は前記車両に実質的に損傷を与えないため、あえてこれを検出する必要がない。
【0073】
これに伴い、前記車両に衝撃が発生したとしても、前記車両が非接触事件による衝撃を受けた場合をフィルタリングすることによって、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかを判定することができる。
【0074】
例示的な実施例において、前記車両が接触事故によって衝撃を受けたかどうかは、メモリ部300に保存された前記衝撃の発生時点前後の加速度データから接触事故判定部510が接触事故判定のための特徴要素を抽出してこれを機械学習モデルの入力として使うことによって、前記機械学習モデルの出力を通じて判定することができる。
【0075】
例示的な実施例において、前記車両の接触事故判定のための前記特徴要素は、前記衝撃発生時点前後の各軸別加速度の実効値(RMS)、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化、前記衝撃の持続時間などを含むことができる。
【0076】
図3は、車両に発生した衝撃の種類による各軸別加速度の変化を示したグラフである。
【0077】
図3を共に参照すると、衝突事故のような接触事故での各軸特別加速度の変化は、ドアの閉まりのような非接触事件での各軸別加速度の変化とは異なるパターンを有することが分かる。
【0078】
例えば、各衝撃の種類による各軸別加速度での実効値、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化や前記衝撃の持続時間などは接触事故と非接触事件で互いに異なる様相を見せるため、これらを区別するための特徴要素に該当し得る。ただし、本発明の概念はこれに限定されはせず、前記において例示的に列挙した事項以外の他の事項も前記特徴要素に該当し得る。
【0079】
例示的な実施例において、前記機械学習モデルの学習過程において、前記車両に対する接触事故および非接触事件を含む衝撃実験を複数回遂行して前記各衝撃の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集することができ、この時、前記各衝撃に対しては前記接触事故と前記非接触事件のうちその衝撃の原因となる一つを記録することができる。その後、前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記各加速度データに対応して記録された衝撃の原因すなわち、接触事故および非接触事件のうち一つを前記機械学習モデルの出力となるようにすることによって、前記機械学習モデルのパラメータ(parameter)を学習させることができる。
【0080】
例示的な実施例において、前記のような機械学習モデルの学習、すなわち衝撃実験によって収集された加速度データから求めた特徴要素を入力とし、前記加速度データに対応する衝撃の原因すなわち、接触事故であるか非接触事件であるかを出力とする学習は繰り返し遂行されて前記パラメータの正確性を向上させることができ、これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して最適のパラメータを獲得することができる。このように学習された機械学習モデルを使うことによって、車両の衝撃の原因、すなわち、接触事故であるかあるいは非接触事件であるかに対するより正確な判定が可能となり得る。
【0081】
例示的な実施例において、前記収集された加速度データのうち一部のみが前記特徴要素を求めるのに使われ得、前記収集された加速度データのうち前記特徴要素を求めるのに使われていない加速度データを使って前記機械学習モデルの正確度を評価する検証を遂行することができる。
【0082】
例示的な実施例において、前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー(decision tree)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、神経回路網、ディープラーニング(deep learning)等を含むことができる。
【0083】
第4段階(S140)で、接触事故判定部510によって前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合、システム100に含まれた接触事故部位推定部520は機械学習モデルを通じて前記車両の接触事故部位を推定できる。
【0084】
図4は、X軸およびY軸で構成された平面上で前記車両を8個あるいは12個の部位に区分したものを示した図面である。
【0085】
図4を共に参照すると、接触事故判定部510によって前記車両が接触事故によって衝撃を受けたものと判定された場合、接触事故部位推定部520は機械学習モデルを通じて前記車両の区分された8個あるいは12個の部位のうちいずれか一つを接触事故部位として推定することができる。
【0086】
例示的な実施例に係る前記機械学習モデルの学習過程において、前記車両の各部位別に衝突実験を複数回遂行して前記各衝突の発生時点前後の前記車両の加速度データを収集することができ、この時、前記各衝突に対してはその衝突の発生部位を記録することができる。その後、前記収集された加速度データから特徴要素を求めてこれを前記機械学習モデルの入力とし、前記各加速度データに対応して記録された前記衝突部位を前記機械学習モデルの出力となるようにすることによって、前記機械学習モデルのパラメータを学習させることができる。
【0087】
例示的な実施例において、前記のような機械学習モデルの学習、すなわち衝突実験によって収集された加速度データから求めた特徴要素を入力とし、前記加速度データに対応する衝突発生部位を出力とする学習は繰り返し遂行されて前記パラメータの正確性を向上させることができ、これに伴い、前記機械学習モデルは前記入力とこれに対応する前記出力に対して最も適切なパラメータを獲得することができる。このように学習された機械学習モデルを使うことによって、車両の衝突部位に対するより正確な判定が可能となり得る。
【0088】
例示的な実施例において、前記収集された加速度データのうち一部のみが前記特徴要素を求めるのに使われ得、前記収集された加速度データのうち前記特徴要素を求めるのに使われていない加速度データを使って前記機械学習モデルの正確度を評価する検証を遂行することができる。
【0089】
前記収集された加速度データの特徴要素は、例えば、各接触事故部位による各軸別加速度での実効値、最大加速度、加速度の減衰の傾き、正負の符号の変化や、前記衝撃の持続時間などを含むことができる。ただし、本発明の概念はこれに限定されはせず、前記において例示的に列挙した事項以外の他の事項も前記特徴要素に該当し得る。
【0090】
例示的な実施例において、前記機械学習モデルの学習方法は、意思決定ツリー(decision tree)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、神経回路網、ディープラーニング(deep learning)等を含むことができる。
【0091】
例示的な実施例において、第3段階(S130)で接触事故判定のために使われる機械学習モデルと第4段階(S140)で接触事故部位の推定のために使われる機械学習モデルの学習方法は、互いに同一であってもよく、あるいは互いに異なってもよい。
【0092】
また、これまでは第3段階(S130)での接触事故判定および第4段階(S140)で接触事故部位推定がそれぞれ別個の機械学習モデルを使ってそれぞれ遂行されるものを説明したが、本発明の概念は必ずしもこれに限定されはしない。
【0093】
すなわち、これまでは第3段階(S130)での第1機械学習モデルが車両の接触事故判定のための特徴要素を入力とし、接触事故と非接触事件を出力とし、第4段階(S140)での第2機械学習モデルが車両の接触事故部位の推定のための特徴要素を入力とし、前記車両の特定部位を出力とし、前記第1および第2機械学習モデルはそれぞれの学習方法を通じて学習して第3段階(S130)および第4段階(S140)でそれぞれこれらを活用することについて説明した。
【0094】
図5は、本発明の他の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法を示すフローチャートである。
【0095】
しかし、図5を参照すると、前記第1および第2機械学習モデルを統合して一つの機械学習モデルを使うことによって、第3および第4段階(S130、S140)が第3段階(S130)として統合されて遂行されてもよい。
【0096】
すなわち、前記接触事故判定および前記接触事故部位の推定のための特徴要素をいずれも一つの機械学習モデルの入力とし、非接触事件、および接触事故(および特定部位)を出力としてもよい。
【0097】
前述した通り、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法およびシステム100によると、機械学習モデルを使って駐車中の車両に衝撃が発生した場合、非接触事件はフィルタリングすることができ、接触事故の場合、その接触事故部位まで容易に推定することができる。
【0098】
以上、本発明の実施例に係る車両の接触事故部位推定方法およびシステムについて図面を参照して説明したが、前記説明は例示的なものであって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で該当技術分野で通常の知識を有する者によって修正および変更され得るであろう。
【符号の説明】
【0099】
100:車両の接触事故部位推定システム
200:センサ部
300:メモリ部
400:制御部
500:事故推定部
510:接触事故判定部
520:接触事故部位推定部
図1
図2
図3
図4
図5