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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20220921BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220921BHJP
   F21V 11/10 20060101ALI20220921BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20220921BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20220921BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V5/00 510
F21V11/10
F21S2/00 482
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y103:10
F21Y105:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021123863
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲一郎
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-192983(JP,A)
【文献】米国特許第06249375(US,B1)
【文献】国際公開第2017/033553(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111350963(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0027430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 11/10
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 103/10
F21Y 105/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられる複数の光源と、
一端が前記光源を覆う位置に配置される鏡胴と、
前記鏡胴の前記一端とは反対側の一端に、前記光源と対向して設けられるレンズと、
前記鏡胴の内部に、前記レンズおよび前記光源のそれぞれと対向して設けられる絞りと
を備え
前記鏡胴と、前記レンズと、前記絞りは、光源ごとに設けられている照明装置。
【請求項2】
前記光源の発光面の径と、前記レンズの径の差が所定の範囲にある、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記鏡胴は、隣接する前記鏡胴が互いに接している、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記鏡胴の内部において、前記絞りと前記光源との間に設けられた第2のレンズをさらに備え、
前記絞りは、前記第2のレンズの焦点の位置に設けられている、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
前記絞りは、前記レンズの焦点の位置に設けられている、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
前記絞りは、前記レンズの焦点の位置から前記光源側に所定の距離ずらして設けられている、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記鏡胴の外側の前記レンズと対向する位置に、拡散板をさらに備える、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源は、前記基板上にアレイ状に設けられている、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源は、前記基板上にハニカム状に設けられている、請求項1からいずれかに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面加工を行った部材、あるいは電子機器用の基板などの検査工程において、光を照射することによって表面状態を確認する外観検査が行われる。外観検査において、微細な瑕および欠陥を検出するためには、検査の基準に応じた照度の光が照射面に均一に照射されていることが望ましい。また、外観検査では、照明装置と、検査対象の距離を変えながら検査をすることで欠陥の検出を行うことがある。そのため、照明効率が高く、照射面に光を均一に照射できる照明装置があることが望ましい。そのような照明装置に関する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の照明装置は、複数の光源と、拡散板を有し、拡散板の厚み方向に対する拡散角度よりも、幅方向に対する拡散角度が大きくなるように設計されている。特許文献1の記載の照明装置では、そのような構成とすることで、光源の間隔が広い場合における照射面での暗部の発生を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-086671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の照明装置では、拡散角度を大きくしているため、照明装置と照射面の距離が大きくなると照度が低下する。そのため、特許文献1に記載の照明装置は、照明装置と照射面の距離が大きくなると照明効率が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、照明効率を高めることができる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の照明装置は、基板上に設けられる光源と、一端が光源を覆う位置に配置される鏡胴と、鏡胴の一端とは反対側の一端に、光源と対向して設けられるレンズと、鏡胴の内部に、レンズおよび光源のそれぞれと対向して設けられる絞りとを備える
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、照明効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成の概要を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成の例を図である。
図3】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成の例を図である。
図4】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成の例を図である。
図5】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成の例を図である。
図6】本発明の第1の実施形態の照明装置の組み立て方の例を模式的に示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態における光の照射方法を模式的に示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態の他の構成の例を示す図である。
図9】第1の実施形態の照明装置と、対比した構成の照明装置における光の経路を模式的に示す図である。
図10】第1の実施形態の照明装置と、対比した構成の照明装置における光の経路を模式的に示す図である。
図11】第1の実施形態の照明装置と、対比した構成の照明装置における光の広がり方の例を模式的に示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態の光学モジュールの他の構成の例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態の他の構成の例における光の経路を模式的に示す図である。
図14】本発明の第1の実施形態に他の構成の例における光の経路を模式的に示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態の照明装置の構成の例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態の照明装置の構成の例を示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態の照明装置の組み立て方を模式的に示す図である。
図18】本発明の第1の実施形態の照明装置における光の経路を模式的に示す図である。
図19】本発明の第2の実施形態の照明装置における光の経路を模式的に示す図である。
図20】第2の実施形態の照明装置と、対比した構成の照明装置における光の経路を模式的に示す図である。
図21】照明装置から出射された光の経路の例を模式的に示す図である。
図22】照明装置から出射された光の経路の例を模式的に示す図である。
図23】本発明の第2の実施形態における光の経路の例を模式的に示す図である。
図24】本発明の第2の実施形態における光の経路の例を模式的に示す図である。
図25】本発明の他の実施形態の構成の例を示す図である。
図26】本発明の他の実施形態の構成の例を示す図である。
図27】本発明の他の実施形態の構成の例を示す図である。
図28】本発明の他の実施形態の構成の例を示す図である。
図29】本発明の他の実施形態の構成の例を示す図である。
図30】本発明の第3の実施形態の照明装置の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の照明装置10の構成の概要を示す図である。本実施形態の照明装置10は、基板11と、光学モジュール12を備えている。光学モジュール12は、基板11上に複数、設けられている。また、光学モジュール12は、互いの間隔を開けずに直線状に設けられている。
【0011】
図2に示す通り、基板11上には光源13が複数、設けられている。図2は、照明装置10において、基板11から光学モジュール12を外した状態を模式的に示している。図12で示す例では、光源13と光学モジュール12は、一対一で対応している。図12で示す例では、光源13は、基板11上にアレイ状に設けられている。図2の例では、光源13は、基板11上に直線状に設けられている。また、光源13は、隣接する光源13との間に、光学モジュール12を装着する領域を有するように基板11上に設けられている。
【0012】
基板11は、光源13への電源供給回路、および光源13の発光のオンとオフを切り替えるスイッチ素子によって構成されている電子基板である。基板11は、外部から電源および制御信号に基づいて、光源13への電源の供給と、光源13の発光の制御を行う。
【0013】
光学モジュール12の構成について説明する。図3は、光学モジュール12の構成の例を示す図である。光学モジュール12は、鏡胴21と、絞り22と、レンズ23を備えている。
【0014】
鏡胴21は、光源13の光が内部の空洞を介して外に出力するように設けられる。また、鏡胴21は、他の光源13からの光を遮光する機能を有する。鏡胴21は、絞り22およびレンズ23が取り付けられるように構成されている。鏡胴21と絞り22は、一体の部材として構成されていてもよい。鏡胴21は、一端が光源13を覆う位置に配置されている。
【0015】
図3の例では、鏡胴21は、直方体形状で構成されている。鏡胴21は、立方体など他の多面体の形状であってもよい。鏡胴21の形状は、光学モジュール12を基板11上に隣接して配置できるように設定される。鏡胴21の内部の空洞は、例えば、円柱状に形成されるが、形状は特に限定されない。内部の空洞の円柱の径は、例えば、レンズ23および光源13の径と同一の径に設定されている。ここで、同一の径とは、実質的に同一とみなせる大きさであればよく、円柱の径と、レンズ23および光源13との径の差は、同一とみなせる範囲の差があってもよい。光学モジュール12は、例えば、鏡胴21の基板11側の面と、基板11とを接着することによって基板11に設けられている。
【0016】
絞り22は、光源13から外に出力される光量を調整する。絞り22は、鏡胴21の内部に、レンズ23および光源13のそれぞれと対向して設けられている。絞り22の開口部の径は、レンズ23および光源13の径よりも小さくなるように構成されている。また、絞り22は、レンズ23の焦点の位置に設けられている。
【0017】
レンズ23は、光源13において発光され、絞り22を介して入射した光を鏡胴21の外部に出射する。レンズ23は、鏡胴21の光源13側の一端とは反対側の一端に、光源13と対向して設けられている。レンズ23の位置は、鏡胴21の端よりも、光源13側であってもよい。絞り22が、レンズ23の後側の焦点となる位置に設置されているため、レンズ23から出射されるすべての光は、レンズ23の光軸に対して平行に進む平行光となる。
【0018】
光源13は、電源の供給を受けて発光する素子によって構成されている。光源13は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。光源13は、LED以外であってもよい。光源13は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)であってもよい。
【0019】
光源13は、基板11上に複数、設けられている。光源13は、隣接する光源13どうしが互いに接している構造であれば、直線以外で設けられていてもよい。例えば、光源13は、2次元のアレイ状またはハニカム状となるように設置されていてもよい。ここでハニカム状とは、直線状に設けられた光源13が、隣接する直線を構成する光源13と互い違いの関係に配列されていることをいう。光源13が直線以外で設けられる場合には、光学モジュール12は、光源13の配置に合わせて設けられる。
【0020】
光源13と、レンズ23は、例えば、同一の径の円状の平面形状を有する。ここで、同一の径とは、実質的に同一とみなせる大きさであればよく、レンズ23と光源13との径の差は、同一とみなせる範囲の差があってもよい。理想的には、レンズ23と光源13との径の差は、0である。光源13と、レンズ23の径を同一とすることで、基板11上に光源13を密に設けることができるため、照射対象において、照明の均一性が向上させつつ、照明効率を高めることができる。ここで、照明効率とは、光源13において発光された光の輝度に対する、照射面における輝度のことをいう。明るさの比を表す指標であれば、照明効率は、輝度以外の指標を用いて算出されたものであってもよい。照射面は、例えば、照明装置10が表面検査に用いられる場合には、検査対象となる物体の表面である。
【0021】
図4は、照明装置10において、基板11上に光学モジュール12を配置した状態を模式的に示した図である。図4において、中心として描かれている光学モジュール12の両側の光学モジュールは、破線で描かれている。図4のAとBの表記および矢印は、図5における矢視の方向を示している。
【0022】
図5は、図4に示す照明装置10の矢視図である。図5(a)は、図4のbの方向から見た図である。また、図5(b)は、図4のaの方向から見た図である。図5(a)に示すように、鏡胴21は、基板11上に設けられている。鏡胴21は、基板11とは反対側に、レンズ23を保持している。また、図5(b)に示すように、鏡胴21は、隣接する鏡胴と互いに接している。隣接する鏡胴が互いに接しているような密な構成とすることで、光学モジュール12から出射される光が平行光とした場合における、照射面上で光が照射されない領域を狭くすることができる。そのため、隣接する鏡胴が互いに接していることで、照射面における照度の均一性が高まる。よって、直線のアレイ状の形状の場合、光学モジュール12は、直線方向に対して間隔を開けずに、密になるように基板11上に設けられている。
【0023】
図6は、基板11と、光学モジュール12を分解した状態と、接続した状態とのそれぞれを模式的に示す図である。図6(b)に示す、光源が直線状に設けられた基板11上に、図6(a)に示す、直線状に連結された光学モジュール12が接合されることで、図6(c)に示す照明装置10が構成される。
【0024】
光学モジュール12は、互いに連結された状態で、基板11上に配置されてもよく、また、1個ごとに基板11上に配置されてもよい。光学モジュール12は、複数個が接続された状態で基板11上に配置されてもよい。
【0025】
照明装置10の動作について説明する。図7は、光源13が発光した光の経路を模式的に示した図である。図7(a)は、光源13が発光した光の経路を光路として示し、図7(b)は、光源13の平面図を示している。
【0026】
光源13が発光を開始すると、光源13から出射された光は、鏡胴21の内部の空間を通り、絞り22に到達する。絞り22の開口部を通過した光は、絞り22の開口部の大きさに応じて光量が絞られ、レンズ23に到達する。レンズ23に到達した光は、レンズ23において集光されレンズ23から鏡胴21の外部に出射される。このとき、絞り22が、レンズ23の後側の焦点となる位置にあるため、レンズ23から出射されるすべての光は、レンズ23の光軸に平行な平行光となる。光軸とは、レンズ23の平面方向に対して垂直な方向のことをいう。レンズ23から出射されるすべての光が平行光となることで、レンズ23から出射された光は、レンズ23と同面積の空間内を光軸と平行に進む。
【0027】
レンズ23を通過した光は、レンズの光軸に平行な光として対象物に照射される。照明装置10と、対象物の表面が平行な場合には、レンズ23の面積と、照射面において光が照射される面積は同一となる。光軸に平行な光として対象物に照射されることで、照射面において、照度は均一となる。また、光軸に平行な光として対象物に照射されることで、光の拡散による照度の低下を抑えられるため、照明装置10は、高い照明効率を有する。
【0028】
図8は、絞り22の設けられている位置をレンズ23の後側の焦点となる位置から、光源13方向にずらした場合における光の経路を模式的に示した図である。図8(a)は、絞り22の配置されている位置をレンズ23の後側の焦点となる位置から距離αずらし、光源13側に近づけた場合における光の経路を示している。よって、図8(a)は、レンズ23と絞り22の間の距離が図7よりも大きくなった状態を示している。図8(b)は、光源13の平面図を示している。
【0029】
光学モジュールを隙間なく配置した場合でも、鏡胴21の空洞部以外の厚みの分の隙間が生じ得る。しかし、照射面までの距離と、隙間の間隔から光の広がる角度θを算出し、光束に微小な広がりを持たせることで、隙間の部分における照度の低下を抑制することができる。例えば、1個の光学モジュール12から出射された光の照射面における照射範囲の直径が4mmであったとき、照明装置10と照射面との距離をdとすると、d=100mmで角度θは、2.30度、d=50mmで、角度θは、4.57度程度となる。また、角度θのことをテレセン度ともいう。
【0030】
図9および図10は、本実施形態と対比した構成の照明装置における光の経路の例を示している。図9は、光源が発光した光が光学モジュール等を介さずに直接、進行する場合の例を示している。図9の照明装置では、光源が発光した光の光束が、光の指向性に依存し、発光面からの広がりをもって進行している。また、図10は、光源の発光面に、砲弾型のマイクロレンズを備えることで、マイクロレンズを通過した光が集光され、図9よりも光束の広がりが抑えられている照明装置の例を示している。
【0031】
図9および図10のいずれの構成の照明装置においても、光源の発光面から照射対象が遠距離にあるほど、光束は2次元的な広がりを持つ。そのため、図9の照明装置では、照射面における単位面積当たりの照射強度が、距離の2乗に反比例して弱くなるため、照明効率が低下する。また、集光用のマイクロレンズを有する図10の構成の照明装置においても、照射範囲が光軸に対して集光しているものの、照度の低下の抑制効果は十分ではない。
【0032】
図11は、図9に示した構成の照明装置と、本実施形態の照明装置における照射対象までの距離に依存した光束の広がりを模式的に示した図である。図11(a)の照明装置Aは、図9の照明装置に対応し、右側の照明装置Bは、本実施形態の照明装置10に対応している。また、図11では、説明の簡略化のため光源は1個のみ示している。
【0033】
照明装置Aでは、光源から発光される光束は、光源からの距離が大きくなるに従い、2次元的に広がっている。光源に近い距離 laにおける光束の広がりによる照射範囲を示す面積を面積Aとする。距離laよりも光源から遠い距離lbにおける照射範囲の面積Bは、Aよりも大きい。また、距離lbよりも光源からの距離がさらに遠くなった距離lcにおける照射範囲の面積Cは、Bよりさらに大きくなる。すなわち、照明装置Aにおける照射範囲は、光源からの距離が大きくなるに従い、大きくなっている。
【0034】
光源から各距離の位置に到達する光の照射エネルギーの総量が同一であったとしても、距離laの位置では、光の照射エネルギーが、面積Aの範囲に集中する。これに対して、距離lcの位置では、面積Cの範囲が照明されことになり、単位面積当たりの照射エネルギーは小さくなる。これは、照射面までの距離が大きくなると、光源が同一の照射エネルギーを持っていても、照射面における照度が低下することを意味している。
【0035】
照明装置Aのような構成の照明装置では、光源に対して、遠方の照射対象を照明する場合、照射面における照度を維持するためには、光源の輝度を高くする必要がある。しかし、光源の輝度を高くすると、消費電力が増加することで発熱量も増大する。そのため、光源の寿命の低下、照明装置に取り付ける冷却装置の大型化、あるいは装置構成の複雑化が生じる。一方で、本実施形態の照明装置10に対応する、図11(b)の照明装置Bでは、距離に依存せず照射範囲は面積Aのままである。よって、本実施形態の照明装置10では、単位面積あたりの照射エネルギーが照射面までの距離に依存しないため、照明効率を高めることができる。
【0036】
上記の例では、1個の光学モジュールにつきレンズは1個のみであったが、レンズは、2個設けられていてもよい。図12は、レンズ23と、レンズ32の2個のレンズを備える光学モジュール31の構成の例を備えている。図12の光学モジュール31は、鏡胴21と、絞り22と、レンズ23と、レンズ32を備えている。レンズ32には、レンズ23と同形状のレンズが用いられている。
【0037】
レンズ32は、光学モジュール31が基板11に取り付けられた際に、光源13側に位置するように設けられている。また、レンズ32は、絞り22がレンズ32の前側焦点位置に位置するように光学モジュール31の内部に設けられている。レンズ23とレンズ32のそれぞれは、レンズ23の後側の焦点となる位置と、レンズ32の前側の焦点となる位置とが一致するように設けられる。すなわち、光学モジュール31の絞り22は、レンズ23の後側の焦点となる位置と、レンズ32の前側の焦点となる位置に設けられる。また、レンズ32は、例えば、光源と同一の径となるように構成されている。レンズ32と光源が同一の径であることによって、光源から発光された光の全てがレンズ32に入射されるため、照明効率を高めることができる。
【0038】
レンズ32の径は、光源の径よりも小さくてもよい。例えば、光源の周辺部の輝度または輝度の均一性が低い場合に、レンズ32を光源よりも小さな径とすることで、輝度が高い部分または輝度が均一な部分の光のみを通過させることができる。
【0039】
図13は、図12の構成の光学モジュール31を用いた場合における光の経路を模式的に示した図である。光源13が発光した光は、レンズ32に平行光として入射する。レンズ32を通過した光は、絞り22の位置において集光され、レンズ23に到達する。レンズ23に到達した光は、光軸に平行な光として出射される。図13の構成では、絞り22がレンズ23の後側の焦点となる位置と、レンズ32の前側の焦点となる位置に設けられている。そのため、光学モジュール31は、内部を光が進行しているときの光量の減少を抑制しつつ、レンズ23の光軸に平行な光として出射することができる。
【0040】
図14は、絞り22の位置をレンズ23およびレンズ32の焦点の位置から、光源13側に距離αずらした構成を示した図である。図14のように、絞り22の位置をレンズ23およびレンズ32の焦点の位置からずらすことで、図8と同様に、照射面においてレンズ23の間の位置に相当する領域での光量の低下を抑制することができる。
【0041】
照明装置10は、例えば、外観検査用の照明に用いられる。外観検査は、例えば、平面状の基板の表面の欠陥、瑕、異物の付着またはその他の表面異常を目視または光学機器による検査によって行う検査のことをいう。平面状の基板は、例えば、フラットパネル用の基板、半導体装置の基板である。外観検査の対象は、曲面を有するものであってもよい。また、外観検査の対象は、部材の表面の加工状態、部材の塗装状態、生産物のキズまたは生産物の色であってもよい。外観検査では、照射面において照度の均一が高い光を必要とするが、本実施形態の照明装置10を用いることで、照射面に平行光として入射するため、照射面における照度の均一性を高めることができる。
【0042】
本実施形態の照明装置10は、光源13が発光した光を、レンズ23の後側の焦点となる位置にある絞り22を介してレンズ23に入射させている。そのため、レンズ23を通過した光は、レンズ23の光軸に平行な光となってレンズ23から出射される。このような構成とすることで照明装置10から出射された光の光束は、広がりを持たずに照射面に達する。そのため。照明装置10は、照射面に均一に光を照射する。また、照明装置10から出射された光の光束が広がりを持たないことで、照明装置10と照射面の距離に依存した光量の減少は、生じにくい。その結果、本実施形態の照明装置10を用いることで、照射面での照度の均一性を維持しつつ、照明装置10と照射面の距離の影響を抑制することで、照明効率を高めることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図15は、本実施形態の照明装置40の構成の例を示す図である。図16は、照明装置40の構成の例を、図15とは異なる方向からの透視図によって示している。
【0044】
第1の実施形態の照明装置10は、光源13が発光した光を光学モジュール12によって平行光として出射している。これに対して、本実施形態の照明装置40は、拡散板を備えることで照射面における照度の均一性をより向上させていることを特徴とする。
【0045】
本実施形態の照明装置40は、基板11と、光学モジュール12と、拡散板41を備えている。また、基板11上には、第1の実施形態と同様に光源がアレイ状に設けられている。
【0046】
本実施形態の照明装置40の基板11および光学モジュール12の構成と機能は、第1の実施形態と基板11および光学モジュール12とそれぞれ同様である。すなわち、光学モジュール12は、基板11上の光源が発光した光を、レンズの光軸に平行な平行光として出射し、拡散板41に入射させる。
【0047】
拡散板41は、光学モジュール12が出射した光を拡散する。拡散板41は、並べて設けられた光学モジュール12のレンズ23の間の領域であり、拡散板41がない場合に、照射対象において光が照射されない領域に、光が照射されるように構成されている。拡散板41は、例えば、基板11上に設けられているすべての光学モジュール12を、1枚で覆うように設けられている。拡散板41は、光学モジュール12と同一の大きさに構成され、光学モジュール12ごとに設けられていてもよい。ここで、同一の大きさとは、同一とみなせる大きさのことをいう。また、拡散板41は、複数の光学モジュール12ごとに1枚の部材として設けられていてもよい。例えば、拡散板41は、3個の光学モジュール12の大きさに構成され、3個の光学モジュール12ごとに1枚、設けられていてもよい。
【0048】
図17は、基板11と、光学モジュール12と、拡散板41を分解した状態と、接続した状態のそれぞれを模式的に示す図である。図17(b)に示す、光源が直線状に設けられた基板11上に、図17(a)に示す、直線状に連結された光学モジュール12が接合され、さらに、図17(c)の拡散板41が接合されることで、図17(d)に示す照明装置40が形成される。
【0049】
図18は、拡散板を備えない照明装置における光の経路の例を模式的に示した図である。図18に示す構成の例は、第1の実施形態の照明装置10の構成に相当する。図18(a)は、照射対象から距離WD離れた位置にある照明装置の光学モジュールから、照射対象に光が照射されている状態を示している。照射対象は、ワークともいう。図18の例では、光学モジュールから出射した光は、平行光として照射対象に到達している。
【0050】
図18(b)は、照射対象における照射面積を示している。図18(c)は、光源1個当たりの強度分布と、照射対象における配光分布を示している。図18の例では、光学モジュールと同面積の領域において、照度および照度の均一性が高い一方で、光学モジュールから光が出射されていない部分に相当する領域の照射強度が低く、照射対象上で暗い領域が発生し得る。照明装置10では、光源および光学モジュールを密に配置し、照射強度が低い領域を実用上、問題にならない大きさにすることで、照射面全体での均一性を維持している。
【0051】
図19は、照明装置40の光の経路を模式的に示した図である。図19は、図18の構成に拡散板を追加した構成であり、本実施形態の照明装置40に対応する。図19の(a)は、照射対象から距離WD離れた位置にある照明装置の光学モジュールから、照射対象に光が照射されている状態を示している。図19の例では、光学モジュールから出射した光は、拡散板によって平行光から広がった光として照射対象に到達している。図19(a)は、照射対象における照射面積を示している。図19(c)は、光源1個当たりの強度分布と、照射対象における配光分布を示している。
【0052】
図19の例では、光学モジュールから出射された光が拡散板で拡散され、光源1個当たりの照射強度分布において、強度が高い部分の面積が広がり、照射面において暗い領域が消滅している。また、隣接する光源間の光が重なる位置では、配光分布が増大し、明るさが増した状態となっている。照明装置40に対応する図19に示す構成では、距離に依存した照度の低下を抑制しつつ、拡散板でわずかに光を広げることで、照射面において暗い領域を消滅させ、照射面における照度の均一性をより向上させている。
【0053】
図20は、光学モジュールを備えず、基板上に設けられた光源が発光した光が、直接、照射対象に届く場合の光の経路の例を模式的に示している。図20(a)は、照射対象から距離WD離れた位置にある照明装置の光源から、照射対象に光が照射されている状態を示している。図20の例では、光源が発光した光は、広がりながら進行し、照射対象に到達している。図20(b)は、照射対象における照射面積を示している。図20(c)は、光源1個当たりの強度分布と、照射対象における配光分布を示している。図20では、照射対象における光の強度は、発光されたときにくらべ距離WDの2乗に比例して減少している。そのため、図20のような構成の照明装置では、距離が大きくなるほど照明効率が低下している。
【0054】
図21は、光の拡散の程度を示す角度をテレセン度θとして示した例である。図21では、平行光としたときの照射対象における照射面の両端間の距離、すなわち、照射面の直径がdである状態を示している。また、図21では、平行光としたときの照射対象における照射面の最外周から、光束が広がることで生じる実際の照射面の最外周までの距離も、同様に、距離dである状態を示している。このときテレセン度θは、照射面における最外周部分と、光の出射部分とつないだ直線が、平行光の光軸となす角度として表される。テレセン度θは、距離WDに依存した値となる。
【0055】
図22は、照射面の直径をd、光源の中心間隔を距離2dとした場合における光の経路を模式的に示す図である。図22に示すように、光源の中心間の距離を2dとしたとき、1つの光学モジュールが、隣接する他の光学モジュールが平行光によって照射する領域の最外周の位置までを照射する場合には、平行光だった場合の照射領域の最外周部分よりも距離d、外側まで光を拡散させる必要がある。拡散板の光学設計は、このような光の広がりが拡散板によって生じるように行われる。
【0056】
図23は、図21と同様の構成において拡散板を設置した場合の光の経路を模式的に示している。図24は、拡散板を設置し、図22と同様に、光源を距離2dの間隔で設置した場合における光の経路を示している。図22および図23では、拡散板によって拡散される光の光軸に対する角度を拡散角度δとして示している。
【0057】
拡散角度δは、照射面上において光が照射されない領域が生じないように設定される。1個の光学モジュール12から出射された光の照射面における照射範囲の直径が4mmであったとき、照明装置10と照射面との距離をdとすると、d=100mmで拡散角度δは、2.30度、d=50mmで、拡散角度δは、4.57度程度となる。
【0058】
本実施形態の照明装置40では、光源13が発光した光は、レンズ23の後側の焦点となる位置にある絞り22を介してレンズ23に入射される。そのため、レンズ23を通過した光は、第1の実施形態の照明装置10と同様に、レンズ23の光軸に平行な光である平行光となってレンズ23から出射される。本実施形態の照明装置40は、レンズ23から出射された平行光を、拡散板41を通過させることでわずかに広がりを持たせ、光が出射されていない部分に対応する照射面上の領域に光を照射し、照度が低下する領域の発生を抑制している。このような構成の本実施形態の照明装置40を用いることで、照射面における照度の均一性を向上させつつ、距離の影響を抑制して、照明効率を高めることができる。
【0059】
(本発明の実施形態の他の構成の例)
第1および第2の実施形態では、光学モジュールは、光源ごとに設けられていたが、複数の光源を1個の光学モジュールで覆うように光学モジュールが設けられてもよい。
【0060】
図25は、基板上に設けられた複数の光源が1個の光学モジュールで覆われている照明装置50の例を示した図である。照明装置50は、基板51と、光学モジュール52を備えている。基板51上には、複数の光源53が直線状に設けられている。図25の光学モジュール52は、3個の光源53を覆うように設けられている。このように、複数の光源53を1個の光学モジュール52で覆うことで、構成を簡略化することができる。光学モジュール52は、内部に絞りを備え、絞りは、レンズの後側の焦点となる位置に配置されている。絞りは、複数の光源を1個の光源とみなして構成される。また、レンズ54の径は、例えば、複数の光源53を1個の光源とみなしたときの両端間の距離と等しくなるように構成される。1個の光源とみなして構成するとは、例えば、複数の光源のうち、一番外側にある2個の光源の最外周部間の距離を直径とする光源が存在すると仮定して、光学設計を行うことをいう。
【0061】
図25の例では、直線状に光源が配置されているが、2次元のアレイ状に配置された複数の光源を1個の光学モジュールで覆う構成であってもよい。図26は、基板上に2次元のアレイ状に設けられた複数の光源が1個の光学モジュールで覆われている照明装置60の例を示した図である。
【0062】
照明装置60は、基板61と、光学モジュール62を備えている。基板61上には、複数の光源63が格子状に設けられている。図26の光学モジュール62は、9個の光源63を覆うように設けられている。光学モジュール62、内部に絞りを備え、絞りは、レンズの後側の焦点となる位置に配置されている。また、レンズ64の径は、例えば、複数の光源63を1個の光源とみなしたときの径と等しくなるように構成される。このような構成とすることで、照明装置の構成を簡略化しつつ高い照明効率を得ることができる。
【0063】
図27図28および図29は、光源の配置のバリエーションを示した図である。図27図28および図29では説明のため、基板と光学モジュールを分解した状態で示している。図27は、光源が一列の直線状に配置されている例を示している。図28は、光源が2列の直線状に、配置されている例を示している。図28では、一方の列に対して、光源1個の半分の距離分ずらして、もう一方の列の光源が構成されている。図29は、図28の構成から個々の光源と光学モジュールを配置する角度を、直線方向から45度回転して配置した例を示している。このように、光源を密に配置できる構成であれば、基板上の光源アレイの形状は、様々な形状とすることができる。
【0064】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図30は、本実施形態の照明装置100の構成の例を示す図である。
【0065】
本実施形態の照明装置100は、光源101と、鏡胴102と、レンズ103と、絞り104を備えている。光源101は、基板上に設けられている。鏡胴102は、一端が光源101を覆う位置に配置されている。レンズ103は、鏡胴102の一端とは反対側の一端に、光源101と対向して設けられている。絞り104は、鏡胴102の内部に、レンズ103および光源101のそれぞれと対向して設けられている。
【0066】
本実施形態の照明装置100は、光源101と、レンズ103の間の位置に絞り104を有することで、光源101が発光した2次元的に広がる光を、レンズ103の光軸に対して平行に進む平行光に近い光に変換して出射させることができる。そのため、本実施形態の照明装置100は、照明装置100と照射面の間の距離に依存する光量の低下を抑制し、照明効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 照明装置
11 基板
12 光学モジュール
13 光源
21 鏡胴
22 絞り
23 レンズ
31 光学モジュール
32 レンズ
40 照明装置
41 拡散板
50 照明装置
51 基板
52 光学モジュール
53 光源
54 レンズ
60 照明装置
61 基板
62 光学モジュール
63 光源
64 レンズ
101 光源
102 鏡胴
103 レンズ
104 絞り
【要約】
【課題】照明効率を高めることができる照明装置を提供する
【解決手段】照明装置100を、光源101と、鏡胴102と、レンズ103と、絞り104を備える構成とする。光源101は、基板上に設けられている。鏡胴102は、一端が光源101を覆う位置に配置されている。レンズ103は、鏡胴102の一端とは反対側の一端に、光源101と対向して設けられている。絞り104は、鏡胴102の内部に、レンズ103および光源101のそれぞれと対向して設けられている。
【選択図】 図30
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30