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▶ 光廣 和三の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】安全カッター
(51)【国際特許分類】
   B26B 27/00 20060101AFI20220921BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B26B27/00 E
B26D1/02 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021181602
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2021-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302016026
【氏名又は名称】光廣 和三
(72)【発明者】
【氏名】光廣 和三
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特許第6945046(JP,B1)
【文献】特開2021-191595(JP,A)
【文献】特開2007-037956(JP,A)
【文献】特開2020-044605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 27/00
B26D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦部を有するベース部と、該ベース部から立設される2枚の板材を重ね合わせた立設部と、この2枚の板材の間にガイド部が構成され、このガイド部に切断刃が配置されており、更に、前記立設部には上端から下方向に向け所定距離の長さでスリットが形成されおり、スリット部に前記切断刃の刃面が傾斜した状態で配置し、前記立設部のガイド部の片面に、前記切断刃に形成された折れ溝の間隔に合わせ、複数の取り付け穴が設けられ、前記ガイド部のもう一方の面に長孔状のガイド孔が設けられ、前記取り付け穴と前記ガイド孔に前記切断刃に形成されている保持穴をつまみビスとナットで取り付けられ、更に、前記ベース部と前記立設部が一体で構成された安全カッターであって、前記ガイド部は、前記立設部の下端まで延び、前記切断刃が下方向から挿入できる切断刃挿入口が形成され、前記ガイド部の先端には、前記切断刃の刃先がこのガイド部の先端から突出しないようにした面を持つ天井部が形成されるとともに、該天井部に前記切断刃の刃先を破断するためのスペースとなる筒状の空間と、破断した前記切断刃の刃先を取り出すための天井横開口部とが形成されていることを特徴とする安全カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルや机などの上に置いて薬、栄養剤、カフェラテ、菓子などのスティック状の袋を素早く安全にカットする、又は、冷蔵庫などに取り付けて、あるいは手に持って、食材が入ったパック袋、飲料が入っていた紙パックなどを素早く安全にカットする安全カッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりで、スティック状の栄養剤、栄養補助剤を毎日摂取したり、手軽でおいしく飲めたりするということで、スティック状の小袋に入ったカフェラテ、抹茶ラテなどが普及している。そうした中で、これらの袋は細長く中身がこぼれやすいので、横方向にカットするのにハサミを使っていた。又、調理済み品をフードセーバーなどでパック袋に入れた食材が、温めるだけでおいしく食べられ、調理時間が省かれるということで、介護施設、病院などで利用されており、これらパック袋をカットする場合、ハサミやカッターなどを使っていた。
【0003】
又、このところ 病院、介護施設、事務所などでは新型コロナウイルスの感染の影響で、ハサミなどの道具の使いまわしも感染の可能性があり、いちいちアルコール除菌することも求められている。この対策として、テーブルや机の上に置いて、又は、冷蔵庫などに取り付けて使用する安全カッターは、これまでローラーと切断刃でカットするタイプ、切断刃が交換できないタイプなどいろいろな構造で提案され、切断能力に大差はないが、安全性、操作性、耐久性、コストなどを考慮した場合、実用性は小さかった。
【0004】
そこで、実用性を重視した物として、折れ溝が入った切断刃を、立設部に複数の取り付け穴を持ち、先端に先広がり部があるガイド部にビスとナットで固定して、スリット部でいろいろなビニール袋をカットし、切断刃が切れなくなったら、ビスを緩め切断刃の刃を1ピッチ進め刃先を破断する優れものも出されたが、柔らかく薄いビニール袋や、複数の面がある紙パックなどは、ガイド部の先端にある先広がり部にこれらの切断物が引っ掛かり、うまく切れない不具合もあった。又、刃先をナットで破断する場合、折った刃先が周辺に飛び散るので保護メガネを使うこともあったり、出した刃先を忘れて折らずにそのまま使用したりして怪我をすることも懸念された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実願昭58-146603号
【文献】特開平05-000761
【文献】実登録 3077514号公報
【文献】特開2020-44605号公報
【文献】特許第6945046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、切断刃の外周を包み込んでいるガイド部の先端にある先広がり部は、切断刃をここから出してこの根元で切断刃をナットで破断し、破断した後、指が刃先に触れないようにしているが、薄くて柔らかく波打ったビニール袋や、紙パックのような切断方向が途中から変化するものをカットする時は、引っかかりやすかった。又、切断刃をナットで破断する際には、折った刃が飛び散る危険性や、あやまって刃を出したまま使用する危険性もあった。課題はこれらの物をスムーズにカット出来るようにすることと、刃を折って交換する際の安全性を、扱いやすさと部品点数を変えずに高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テーブルや机などの上に置ける、又は、冷蔵庫の側面などに取り付けられる平面を持ったベース部に、この平面に対して垂直で2重になった面を持つ立設部の内側に、切断刃を長手方向にスムーズにスライドさせ、ベースの下から挿入できるようにした切断刃挿入口を持つ筒状で上下方向からやや傾斜したガイド部を設け、このガイド部の片方の面に、切断刃の折れ溝のピッチに合わせた複数の取り付け穴を設け、もう一方の面にガイド孔を設け、刃先を上向きにした切断刃をつまみビスと破断用溝を持ったナットで取り付けている。立設部には、ガイド部を上から下に横断し指が入らない程の隙間のスリット部を設け、このスリット部に薬や栄養剤などが入った袋や食材が入ったパック袋やカウチパックなどを通し切断するようにしている。又、ガイド部の先端には、切断刃が突出しないよう上側を覆う面を持った天井部が形成され、刃先の反対側には天井横開口部を設けている。切れなくなった刃先を折る場合、つまみビスを緩めてナットを外し、破断用溝を天井横開口部に差し込み、切断刃の刃先を破断用溝で挟んでねじれば、刃先を簡単に折ることが出来る。折れた切断刃は破断用溝に挟んでそのまま取り出すことが出来る。その後、つまみビスを外し、切断刃を1ピッチ進め、取り付け穴にナットで取り付ければカッターとして使用できるようになる。つまり天井部を設けることにより、刃先が常に表面に出ないようにしたことが最も主要な特徴と言える。
【発明の効果】
【0008】
これによって、柔らかく薄いビニール袋や 複数の面からなる紙パックもスムーズにカット出来、切断刃の刃先は常にガイド部内にとどまっており、刃を出したまま使用することもないので極めて安全性が高くなった。又、切断刃を破断する際にも、折った切断刃が破断用溝とともに取り出せ、折った切断刃が飛び散ることもないので、保護メガネをかける必要もないし、切断刃を新たに本体に挿入する場合でも、従来は刃先を掴んで挿入し危険であったが、本発明では刃元を掴んで挿入するので更に安全性が高まった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1を示す正面図である。
図2】本発明の実施例1を示す右側面図である。
図3】本発明の実施例1を示す背面図である。
図4】本発明の実施例1を示す平面図である。
図5】本発明の実施例1を示す底面図である。
図6】本発明の実施例1のガイド部を拡大したA-A断面図である。
図7】本発明の実施例1のガイド部を拡大したB-B断面図である。
図8】本図は本発明に使用する一般的な小型の切断刃の正面図である。
図9】本発明の実施例1のガイド部の先端にある天井部の下を破断して内部を表示したもので、切断刃をナットで破断する様子を示す拡大図である。
図10】本発明の実施例1の使用状態を示す図である。
図11】本発明の実施例1の使用状態を示す図である。
図12】本発明の実施例1のベース部と立設部を含むフレームの展開図である。
図13】本発明の実施例2を示す背面図である。
図14】本発明の実施例2を示す左側面図である。
図15】本発明の実施例2の天井付近を矢視Dから示したもので、破断用溝を天井スリットから中に入れて切断刃の刃先を破断する様子を示した拡大図である。
図16】本発明の実施例3の正面図である。
図17】本発明の実施例3の左側面図である。
図18】本発明の実施例3の右側面図である。
図19】本発明の実施例3の底面図である。
図20】本発明の実施例3のC-C断面図である。
図21】本発明の実施例3の使用状態を示す図である。
図22】本発明の実施例3の使用状態を示す図である。
図23】本発明の実施例3のベース部と立設部を含むフレームの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
コンパクトで扱いやすい安全カッターの切断時の弱点が無くなり、取り扱い上の懸念項目もなくなり、極めて安全性が高くなったので、どのような人でも容易に使用できるようになり、いろいろな分野で多くの人が使用できるようになった。
【実施例1】
【0011】

本発明は図1図2図6に示すよう、テーブルや机などの上に置けるような平面を持つベース部1と、この面に垂直で重なった立設部2の二重の面の間に、切断刃12を長手方向にスライドさせ、筒状で上下方向から片側にやや傾斜したガイド部5を設けている。ガイド部5は立設部2の下端まで達し、切断刃挿入口9を設け、ここから切断刃12を出し入れできるようにし、立設部2には、上下方向でガイド部5を横断し、指が入らない程度の隙間のスリット部7を設けており、このスリット部7に色々なビニール袋などを通して切断するようにしている。
【0012】
ガイド部5の片方の面には図8に示すように、切断刃12の切断刃折れ溝14のピッチに合わせ、図3に示すように複数の取り付け穴3を設け、反対側の面には図1に示すようガイド孔4を設けており、刃先を上向きにした切断刃12の保持穴13をガイド部5の取り付け穴3に、破断用溝16を持つナット15と共につまみビス17で取り付けている。
【0013】
立設部2のガイド部5の先端には、図6のように切断刃12が突出しないようにした面を持つ天井部6を設け、その根元は切断刃12がぎりぎり通る程度の隙間にしており、この根元に合わせて切断刃折れ溝14が来るようにしている。
【0014】
又、天井部6のすぐ下の刃先の反対側に、切断刃12を破断する破断用溝16が入れられる天井横開口部8を設けている。
【0015】
ナット15は、図9のようにねじ穴があり、破断用溝16は、略U字状の断面の鋼板からなり、切断刃が入る程の隙が設けられている。
【0016】
又、ベース部1の底の面側には、本体をテーブルや机に置いたときの衝撃や衝撃音を防ぐため、クッション用として滑り止めマット19を設けている。
【0017】
栄養補助剤が入った袋20をカットする場合は、図10図11に示すように、立設部2のスリット部7に、栄養補助剤が入った袋20の端とその少し内側を両手の指で摘まんで通せば、容易にカットでき、切断刃12が切れなくなった時は、つまみビス17を緩めてナット15を外し、図9に示すように破断用溝16を天井横開口部8に差し込み切断刃12の先端をはさみ、矢印の方向にひねれば簡単に破断でき、破断した刃先は、そのまま天井横開口部8より外に取り出せ、その後、ガイド孔4から切断刃12の保持穴13をつまみビス17の先端で誘導させ、取り付け穴3を1ピッチずらしてつまみビス17を差し込みナット15に止めれば、元のようにカッターが使用できるようになる。
【0018】
又、この安全カッターのベース部1と立設部2を一体にし、薄鋼板で図12のようなベースの展開形状にし、連結部10を中心にして図2,3のように折り曲げ、スポット溶接11等で補強するようにすれば1部品に出来、更に部品点数も少なくなる。
【実施例2】
【0019】
本発明は図13図14に示すように、天井部6にナット15の破断用溝16が入れられる天井スリット23が設けられ、ナット15と破断用溝16の形状がこれによって実施例1とは異っており、切断刃12の破断方法は図15に示すように、天井スリット23から破断用溝16を中に差し込み、切断刃12の刃先をはさみ、矢印の方向にひねって刃先を破断するもので、それ以外の構造は実施例1と全く同じである。
【実施例3】
【0020】
本発明は図16図17図18に示すように、ベース部1から立設部2に含む構造は実施例1と全く同じであるが、図20のC-C断面に示すように、ベース部1の裏面側に、固定材としての磁石18を圧入、接着等で取り付け、これらに滑り止めマット19を取り付けている。
【0021】
これにより磁力でこの安全カッターを冷蔵庫などに取り付けることが出来、又、滑り止めマット19で容易にずれないので、図21図22に示すように、横にして冷蔵庫などに取り付け、幅の広い食品が入ったパック袋21や、だし汁が入ったパック袋などを、中身がこぼれないようスムーズにカットすることができる。又、切れなくなった切断刃12は実施例1と同様スムーズに交換でき、ベース部1と立設部2を一体にして薄鋼板で図23のような展開図にすれば、実施例1と同様、最小の部品点数の安全カッターとなる。又ベース部1に磁石18と滑り止めマット19の代わりに、粘着マット、吸盤、ねじ、カシメ、接着剤などを取り付けて、冷蔵庫などに取り付け使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
切断時の弱点が無くなり、取り扱い上の安全性も高くなり、シンプルで扱いやすい安全カッターなので、色々な物の上に置いて使用する実施例1及び実施例2のタイプで、薬や栄養剤などが入ったスティック状の袋、ビニール紐、釣り糸、などを素早くカット出来、冷蔵庫などに取り付ける実施例3のタイプでは、食材が入ったパック袋などの中身をこぼさずにカット出来、はさみやカッターなど道具の使い回しがないので、新型コロナウイルスの感染予防にもなり、家庭、病院、介護施設、飲食店、移動店舗などで様々な使い道が考えられる。
【符号の説明】
【0023】
1べース部
2立設部
3取り付け穴
4ガイド孔
5ガイド部
6天井部
7スリット部
8天井横開口部
9切断刃挿入口
10連結部
11スポット溶接
12切断刃
13保持穴
14切断刃折れ溝
15ナット
16破断用溝
17つまみビス
18磁石
19滑り止めマット
20栄養補助剤
21食品が入ったパック袋
22冷蔵庫の側面
23天井スリット
【要約】
【課題】
従来、切断刃の外周を包み込んでいるガイド部の先端にある先広がり部は、刃先をここから出して、先広がり部の根元で切断刃をナットで破断し、破断した後、指が刃先に触れないようにしているが、薄くて柔らかく波打ったビニール袋や、紙パックのような切断方向が途中から変化するものは引っかかりやすかった。又、切断刃を破断する際には、折った刃が飛び散る危険性や、あやまって刃を出したまま使用する危険性もあった。課題は、これらの物をスムーズにカット出来るようにすることと、刃を折って交換する際の安全性を高めることである。
【解決手段】
ガイド部を立設部の下端まで伸ばし、切断刃を下端の切断刃挿入口から挿入するようにし、ガイド部の上端に、切断刃が突出しないような面を持つ天井部を設け、刃先の反対側に天井横開口部を設け、ここから破断用溝を挿入し、切断刃の刃先をはさみ、ひねって破断し取り出すようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23