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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】CD226アゴニスト抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220921BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220921BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220921BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220921BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P13/10
A61P15/00
A61P1/04
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P27/16
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
A61P1/18
A61P13/08
A61P13/12
A61P21/00
A61P13/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021503016
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019042604
(87)【国際公開番号】W WO2020023312
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】62/703,522
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/795,744
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ナレーシュ
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102994449(CN,A)
【文献】特開2013-193995(JP,A)
【文献】International Immunology,2004年,Vol.16, No.4,pp.533-538
【文献】Journal of Experimental Medicine,2015年,Vol.212, No.12,pp.2165-2182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C07K 16/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ヒトCD226抗体であって、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、抗ヒトCD226抗体。
【請求項2】
配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項1に記載の抗ヒトCD226抗体。
【請求項3】
配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含む、請求項1に記載の抗ヒトCD226抗体。
【請求項4】
配列番号9のアミノ酸配列を有する2つのHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つのLCからなる、請求項1に記載の抗ヒトCD226抗体。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体を発現することができる、哺乳動物細胞。
【請求項6】
抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスであって、請求項に記載の哺乳動物細胞を培養することと、前記抗体を回収することと、を含む、プロセス。
【請求項7】
請求項に記載のプロセスによって生成される、前記抗ヒトCD226抗体。
【請求項8】
列番号11および12の配列を有するポリヌクレオチドを含む、DNA分子。
【請求項9】
請求項に記載のDNA分子を含む、哺乳動物細胞。
【請求項10】
抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスであって、請求項に記載の哺乳動物細胞を培養することと、前記抗体を回収することと、を含む、プロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスによって生成される、前記抗ヒトCD226抗体。
【請求項12】
請求項1~、および11のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体、および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
固形腫瘍癌を治療するための医薬組成物であって、有効量の、請求項1~、および11のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体を含み、前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、組成物。
【請求項14】
固形腫瘍癌の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~、および11のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体の使用であって、前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、軟部組織肉腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の分野に属する。より具体的には、本発明は、ヒトCD226(hCD226)に対するアゴニスト抗体、そのようなアゴニスト抗ヒトCD226抗体を含む組成物、およびそのようなアゴニスト抗ヒトCD226抗体を癌の治療のために使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫チェックポイント経路は、免疫応答の抑制または活性化に関与している(Isakov N,J.Autoimmune Disorders 2016;2(2):17)。自己免疫疾患療法では、免疫応答が抑制されるように、免疫抑制経路の効果を促進すること、すなわち、アゴナイズすることが望ましいものであり得る。逆に、癌療法では、免疫応答が活性化または刺激されるように、免疫刺激経路の効果を促進すること、すなわちアゴナイズすることが望ましいものであり得る。
【0003】
CD226は、免疫共刺激受容体として機能する(Dougall WC,et al.,Immunol.Rev.2017;276:112-120(2017))。したがって、CD226経路は免疫刺激経路であり、すなわち、それは免疫応答を活性化/刺激する(Manaka,I,A,J.Exp.Med.;2008;205(13):2959-2964;Van Vo,A,Molecular Immunology;2016;69:70-76;Shengke,H,J Biol Chem.;2014;289(10):6969-6977)。CD226経路の免疫刺激効果の促進(アゴニズム)は、例えば、癌を治療する際に有益であり得、CD226経路の免疫刺激効果を促進する治療分子はCD226経路アゴニストである。
【0004】
CD226は、ナチュラルキラー(NK)細胞、血小板、単球、CD8+T細胞、および活性化CD4+T細胞の表面上で(Van Vo,A,Molecular Immunology;2016;69:70-76)、ならびに甲状腺癌、肺癌、胃癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、および黒色腫において(Protein Atlas,proteinatlas.org/ENSG00000150637-CD226/pathology)、発現される。
【0005】
CD226は、ヒトおよびマウスの多くの組織における造血、上皮、および内皮細胞において広く発現されるCD112(PVRL2)およびCD155(PVR)と相互作用する(Van Vo,A,Molecular Immunology;2016;69:70-76;Shengke,H,The J.of Biol.Chem.,2014;289(10):6969-6977)。CD112(PVLR2)は、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、および尿路上皮癌において発現される。(Human Protein Atlas proteinatlas.org/ENSG00000130202-NECTIN2/pathology)。CD155(PVR)は、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、カルチノイド、結腸直腸癌、頭頸部癌、胃癌、腎臓癌、尿路上皮癌、精巣癌、前立腺癌、皮膚癌、および黒色腫において発現される。(Human Protein Atlas,proteinatlas.org/ENSG00000073008-PVR/pathology)。CD155はまた、軟部組織肉腫において発現される(Atsumi S,et al.,Oncol.Lett.2013;5:1771-1776)。
【0006】
NK細胞およびT細胞上のCD226と、腫瘍細胞上のCD112およびCD155との間の相互作用、ならびに抗原提示細胞は、細胞媒介性細胞毒性およびサイトカイン生成を増加させる(Iguchi-Manaka,A,J.Exp.Med.2008;205(13):2959-2964および本明細書における参照)。CD226はCD226/TIGIT経路の一部であり、CD226は免疫刺激受容体として機能し、TIGITは免疫抑制受容体として機能し、CD226はCD155およびCD112との結合でTIGITと競合する(Dougall WC,et al.,Immunol.Rev.2017;276:112-120(2017);Blake,S,Clin Cancer Res;2016;22(21):5182-5188)。TIGITはまた、CD226/CD155の相互作用に必要であるCD226ホモ二量体化を阻害する(Dougall WC,et al.,Immunol.Rev.2017; 276: 112-120 (2017))。
【0007】
CD226の免疫刺激効果をアゴナイズすることは、癌を治療する上で有益であり得ることが示唆されている(Pauken,KE and EJ Wherry,Cancer Cell 2014:26:785-787;)。したがって、抗腫瘍免疫応答を増加させることは、癌療法の有効な手段であり得る。CD226は、NK細胞およびT細胞の機能を制御する上で有用であり得、それは腫瘍細胞に対するNK細胞およびCD8T細胞媒介性細胞毒性の接着共受容体刺激、免疫学的なシナプス形成、T細胞増殖および分化、ならびにサイトカイン分泌と関係している。(Guillerey,C,J.Clin.Invest.2015; 125(5): 2077-2089)。
【0008】
CD226を欠くマウスにおいて、CD8T細胞は、非プロフェッショナル抗原提示細胞によって提示される抗原を認識するときに共刺激のためにCD226を必要とし、NK細胞は、他のNK活性化リガンドの不足によって生じるNK細胞媒介性細胞毒性に比較的耐性である腫瘍細胞の排除のためにCD226を必要とすることが示された(Gilfillan,S,J.Exp.Med.; 2008; 205(13):2965-2973)。したがって、CD226は、CD8T細胞およびNK細胞を活性化することができる標的細胞の範囲を拡大し、そのため、他の活性化分子またはアクセサリー分子による認識を回避する腫瘍および/またはウイルスに対する免疫監視のために重要であり得る(Gilfillan,S,J.Exp .Med.; 2008; 205(13):2965-2973)。
【0009】
特定の抗CD226抗体が報告されており、マウスIgG1 KRA236(Bottino,C,Front Immunol.2014; 5:56)、ラットIgG2a TX25(Van Vo,A,Molecular Immunology; 2016; 69:70-76)、ラットIgG2b 10e5(Dardalhon,V.J Immunol 2005; 175:1558-1565)、マウスTX94、TX95、TX96、TX107、およびTX108(Okumura,G,Monoclonal Antibodies in Immunodiagnosis and Immunotherapy,2017; 36(3):135-139)、2E6および3B9(Hou,S,The J.Biol.Chemistry; 2014; 289(10):6969-6977)、NewE1(Gaud,G,et al.,Sci.Signal.2018; 11: eaar3083; doi: 10.1126/scisignal.aar3083)、DX11 (Bio-Rad MCA2257)、11A8 (BioLegend 338311)、ならびにLeoA1 (Millipore Sigma MABT398)などが挙げられる。
【0010】
しかし、ヒト抗ヒトCD226アゴニスト抗体は報告されておらず、癌治療のために臨床開発中の抗CD226抗体はない。したがって、ヒトCD226に結合し、免疫応答を増強し、癌の治療に有用である、アゴニスト抗体の必要性が存在する。
【0011】
本明細書に記載の抗ヒトCD226アゴニスト抗体は、ヒトCD226に結合し、T細胞由来のIFNγ生成を刺激し、単剤療法として、ネズミ腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖を阻害する。一実施形態では、本発明の抗体は、限定されないが、インビボ安定性、熱安定性、溶解性、低い自己会合、および薬物動態特性を含む所望の物理的および化学的安定性を示し、したがって、癌の治療に潜在的に有用である。別の実施形態では、本発明の抗ヒトCD226アゴニスト抗体は、完全なヒト抗体である。別の実施形態では、本発明の抗ヒトCD226アゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。
【0012】
本開示はまた、ヒトCD226(配列番号13)またはその細胞外フラグメント(例えば、配列番号14)に結合して、癌のネズミ腫瘍モデルにおける腫瘍増殖を単剤療法として阻害するヒト抗ヒトCD226 IgG1エフェクターヌル(IgG1-EN)抗体を提供し、抗ヒトCD226抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)および配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖(HC)、および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)を含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。
【0013】
本開示はまた、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む抗ヒトCD226抗体を発現することができる哺乳動物細胞を提供する。別の実施形態では、本開示は、抗ヒトCD226抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。
【0014】
本開示はまた、抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスを提供し、本抗体を発現することができる哺乳動物細胞を培養することおよび抗体を回収することを含み、本抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。本開示はまた、本プロセスによって生成される抗ヒトCD226抗体を提供する。本開示はまた、本プロセスによって生成される抗ヒトCD226抗体、および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0015】
本開示はまた、配列番号11、配列番号12、または配列番号11および12の配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA分子を提供する。本開示はまた、配列番号11、配列番号12、または配列番号11および12の配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA分子を含む哺乳動物細胞を提供する。
【0016】
本開示はまた、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む抗ヒトCD226抗体と、許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む薬学的組成物を提供する。別の実施形態では、本開示は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含む抗ヒトCD226抗体を提供する。いくつかの実施形態では、抗ヒトCD226抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含む。別の実施形態では、抗ヒトCD226抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなる。
【0017】
本開示は、治療の方法および使用のための方法を提供する。免疫系における共刺激受容体としてのCD226の役割が研究されている。例えば、CD226を欠損したマウスは、野生型(WT)細胞よりもインビトロでCD226リガンド発現性腫瘍に対して有意に低い細胞毒性活性を示した(Iguchi-Manaka,A,J.Exp.Med.2008; 205(13):2959-2964)。したがって、CD226経路が活性化されると、免疫系活性が増加し、CD226経路を刺激(アゴナイズ)することによって癌を治療する際に利用することができ、アゴニスト抗ヒトCD226抗体はNK細胞および/またはT細胞活性を活性化することによって癌に対する治療効果をもたらし得る。
【0018】
CD112および/またはCD155の発現は、様々なヒト固形物に関係しており、結腸直腸癌(Masson,D.,Gut,2001; 49:236-240; Tahara-Hanaoka,S.Blood,2006; 107:1491-1496)、胃癌(Tahara-Hanaoka, S.,Blood,2006; 107:1491-1496)、卵巣癌(Carlsten,M.,Cancer Res.,2007:67:1317-1325)、膵臓の癌腫(Nishiwada,Anticancer Research; 2015; 35:2287-2298)、ならびに前立腺、腎細胞、膵臓、結腸、非小細胞肺、卵巣、および乳房の癌腫(Sloan,K.,BMC Cancer 2004; 4:73)が含まれる。
【0019】
肺腺癌におけるCD155の過剰発現は、リンパ節転移と有意に関連し、CD155過剰発現が陽性の患者における腫瘍の気管支肺胞癌比率および無憎悪生存率は、CD155過剰発現が陰性の患者よりも有意に低かった(Nakai,R,Cancer Sci.; 2010; 101(5):1326-1330)。多変量生存分析によって、CD155の発現は好ましくない転帰における独立した危険因子であることが明らかにされた(Nakai,R,Cancer Sci.; 2010; 101(5):1326-1330)。
【0020】
本開示は、癌を治療する方法を提供し、それを必要とする患者に、有効量の、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む抗ヒトCD226抗体を投与することを含む。別の実施形態では、本開示はまた、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示はまた、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、癌が固形腫瘍癌であることを提供する。別の実施形態では、本開示はまた、固形腫瘍癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌であることを提供する。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0022】
本開示は、療法における使用のための、ヒトCD226(配列番号13)またはその細胞外フラグメント(例えば、配列番号14)に結合する抗ヒトCD226抗体を提供し、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。
【0023】
一実施形態では、本開示は、療法が癌の治療であることを提供する。別の実施形態では、本開示は、癌が固形腫瘍癌であることを提供する。別の実施形態では、本開示は、固形腫瘍癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌であることを提供する。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0024】
本開示は、癌の治療のための医薬品の製造のための、ヒトCD226(配列番号13)またはその細胞外フラグメント(例えば、配列番号14)に結合する抗ヒトCD226抗体の使用を提供し、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含むことを提供する。別の実施形態では、本開示は、抗体が、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなることを提供する。
【0025】
一実施形態では、本開示はまた、癌が固形腫瘍癌であることを提供する。別の実施形態では、本開示はまた、固形腫瘍癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌であることを提供する。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0026】
本開示はまた、ヒト抗ヒトCD226アゴニスト抗体を提供する。一実施形態では、ヒト抗ヒト抗体は、インビボで投与される場合、抗腫瘍効果を有する。本開示は、ヒト抗ヒト抗体を発現することができる哺乳動物細胞を提供する。本開示はまた、ヒト抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスを提供し、本抗体を発現することができる哺乳動物細胞を培養することと、抗体を回収することと、を含む。
【0027】
本開示はまた、療法における使用のためのヒト抗ヒトCD226抗体を提供する。一実施形態では、ヒト抗ヒトCD226抗体は、アゴニスト抗体である。別の実施形態では、ヒト抗ヒトCD226抗体は、免疫応答を刺激する。別の実施形態では、ヒト抗ヒトCD226抗体は、インビボで投与される場合、抗腫瘍活性を有する。
【0028】
本開示はまた、癌の治療における使用のためのヒト抗ヒトCD226抗体を提供する。一実施形態では、本開示は、固形腫瘍癌の治療における使用のためのヒト抗ヒトCD226アゴニスト抗体を提供する。別の実施形態では、抗体は免疫応答を刺激する。別の実施形態では、抗体は、インビボで投与される場合、抗腫瘍活性を有する。
【0029】
一実施形態では、本開示は、固形腫瘍癌の治療における使用のためのヒト抗ヒトCD226抗体を提供する。別の実施形態では、本開示は、固形腫瘍癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌であることを提供する。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0030】
本開示は、癌の治療のための医薬品の製造のためのヒト抗ヒトCD226アゴニスト抗体の使用を提供する。一実施形態では、本開示は、癌が固形腫瘍癌であることを提供する。別の実施形態では、本開示は、固形腫瘍癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌または尿路上皮癌であることを提供する。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0031】
一実施形態では、本発明は癌を治療する方法を提供し、有効量の本明細書に開示される抗体を1つ以上の抗腫瘍薬と、同時、別々、または連続した組み合わせで投与することを含む。抗腫瘍薬の非限定的な例には、ラムシルマブ、ネシツムマブ、オララツマブ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ガルニセルチブ、アベマシクリブ、シスプラチン、カルボプラチン、ダカルバジン、リポソームドキソルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミドおよびドキソルビシン、ナベルビン、エリブリン、パクリタキセル、注射懸濁液のためのパクリタキセルタンパク質結合粒子、イクサベピロン、カペシタビン、FOLFOX(ロイコボリン、フルオロウラシル、およびオキサリプラチン)、FOLFIRI(ロイコボリン、フルオロウラシル、およびイリノテカン)、セツキシマブ、EGFR阻害薬、Raf阻害薬、B-Raf阻害薬、CDK4/6阻害薬、CDK7阻害薬、イドレアミン2,3-ジオキシゲナーゼ阻害薬(idoleamine 2,3-dioxygenase inhibitor)、TGFβ阻害薬、TGFβ受容体阻害薬、IL-10、ならびにペグ化IL-10(例えば、ペギロデカキン)が含まれる。
【0032】
別の実施形態では、本発明は癌を治療する方法を提供し、有効量の本明細書に開示される抗体の化合物を1つ以上の免疫腫瘍薬と、同時、別々、または連続した組み合わせで投与することを含む。免疫腫瘍薬の非限定的な例には、ニボルマブ、イピリムマブ、ピジリズマブ、ペンブロリズマブ、トレメリムマブ、ウレルマブ、リリルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、抗Tim3抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、および抗PD-L1抗体LY3300054(配列番号10および配列番号11としてそれぞれWO2017/034916およびUS2017/0058033に示される重鎖および軽鎖の配列)が含まれる。別の好ましい実施形態では、免疫腫瘍薬は抗PD-1抗体である。別の好ましい実施形態では、抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。
【0033】
別の実施形態では、CD226抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含む。別の実施形態では、本発明は、抗体を発現することができる哺乳動物細胞、哺乳動物細胞を培養することおよび抗体を回収することを含む抗体を生成するためのプロセス、本プロセスによって生成される抗体、ならびに本抗体および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0034】
別の実施形態では、CD226抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含む。別の実施形態では、本発明は、抗体を発現することができる哺乳動物細胞、哺乳動物細胞を培養することおよび抗体を回収することを含む抗体を生成するためのプロセス、本プロセスによって生成される抗体、ならびに本抗体および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0035】
別の実施形態では、抗ヒトCD226抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を有する2つの重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つの軽鎖からなる。別の実施形態では、本開示は、抗体を発現することができる哺乳動物細胞、哺乳動物細胞を培養することおよび抗体を回収することを含む抗体を生成するためのプロセス、本プロセスによって生成される抗体、ならびに本抗体および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0036】
本開示はまた、配列番号11、配列番号12、または配列番号11および12の配列を有するポリヌクレオチドを含むDNA分子、本DNA分子を含む哺乳動物細胞を提供する。
【0037】
本開示はまた、癌を治療する方法を提供し、それを必要とする患者に、有効量の本発明の抗体を投与することを含む。
【0038】
本開示はまた、療法における使用のための本発明の抗体を提供する。一実施形態では、本開示はまた、使用が癌を治療することであることを提供する。
【0039】
本開示はまた、癌の治療のための医薬品の製造のための本発明の抗体を提供する。
【0040】
一実施形態では、本開示はまた、癌が固形腫瘍癌であることを提供する。別の実施形態では、固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、(胃)癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である。好ましい実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。別の好ましい実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0041】
好ましい一実施形態では、本発明は、ヒトCD226に結合し、CD226のCD112との結合を遮断するが、CD155との結合を遮断しない、抗ヒトCD226抗体を提供する。
【0042】
別の好ましい実施形態では、本発明はまた、アゴニスト機能を示す、すなわち、インビトロで抗ヒトCD226抗体に曝露されたCD226T細胞におけるT細胞活性を刺激し、例えば、抗ヒトCD226抗体に曝露されていないCD226T細胞によるインビトロでのインターフェロンガンマ分泌のレベルと比較して増加したインターフェロンガンマ分泌を示す、抗ヒトCD226抗体を提供する。一実施形態では、インターフェロンガンマ分泌は、本明細書に開示される方法を使用してアッセイすることができる。
【0043】
別の好ましい実施形態では、本発明はまた、アゴニスト機能を示す、すなわち、本明細書に開示されるように、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞において、NF-KB活性化レポーター遺伝子を、例えば、本明細書に開示されるように、抗ヒトCD226抗体に曝露されていないHEK細胞と比較して誘導する、抗CD226抗体を提供する。
【0044】
別の好ましい実施形態では、本発明は、血小板を活性化しない抗ヒトCD226抗体を提供する。一実施形態では、アッセイは血小板表面上のp-セレクチオン(CD62P)の発現を決定するフローサイトメトリーを使用して実施され、血小板の活性化状態を決定する。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、重鎖と軽鎖とがジスルフィド結合によって相互接続されるように、2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)を有するポリペプチド複合体を指し、抗体はIgGサブクラス抗体である。各HCは、N末端HCVRおよび重鎖定常領域(「HCCR」)からなる。各LCは、N末端LCVRおよび軽鎖定常領域(「LCCR」)からなる。ある特定の生物系で発現される場合、天然のヒトFc配列を有する抗体はFc領域においてグリコシル化される。典型的には、グリコシル化は、高度に保存されたN-グリコシル化部位の抗体のFc領域に生じる。N-グリカンは、典型的には、アスパラギンに結合する。抗体は、他の位置でもグリコシル化され得る。
【0046】
本発明の抗体は、非天然由来ポリペプチド複合体である。本発明のDNA分子は、本発明の抗体中のポリペプチドのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする非天然ポリヌクレオチド配列を含む、DNA分子である。
【0047】
HCVR領域およびLCVR領域は、フレームワーク領域(「FR」)と呼ばれるより保存されている領域とともに点在する、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。各HCVRおよびLCVRは、以下のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置している3つのCDRおよび4つのFRからなる。したがって、HCの3つのCDRは、「HCDR1、HCDR2、およびHCDR3」と称され、LCの3つのCDRは「LCDR1、LCDR2、およびLCDR3」と称される。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。
【0048】
HCVR領域をコードする単離されたDNAは、HCVRコード化DNAを、HCCRをコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、全長HC遺伝子に変換することができる。ヒトならびに他の哺乳動物のHCCR遺伝子の配列は、当技術分野で知られている。これらの領域を包含するDNAフラグメントは、例えば、標準的なPCR増幅によって取得され得る。
【0049】
LCVR領域をコードする単離されたDNAは、LCVRコード化DNAを、LC定常領域をコードする別のDNA分子に作動可能に連結することによって、全長LC遺伝子に変換することができる。ヒトならびに他の哺乳動物のLCCR遺伝子の配列は、当技術分野で知られている。これらの領域を包含するDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって取得され得る。LCCRは、カッパまたはラムダ定常領域であることができる。好ましくは、本発明の抗体について、LCCRはカッパ定常領域である。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドは、配列が発現制御配列に作動可能に連結された後に宿主細胞において発現し得る。発現ベクターは、典型的には、エピソーム、または宿主染色体DNAの一体化した部分のいずれかとして、宿主生物中で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたそれらの細胞の検出を可能にするために、選択マーカー、例えば、テトラサイクリン、ネオマイシン、およびジヒドロ葉酸レダクターゼを含有する。
【0051】
本発明の抗体は、哺乳動物細胞において容易に生成することができ、これらの非限定的な例には、CHO、NS0、HEK293、またはCOS細胞が含まれる。宿主細胞は、当該技術分野において周知の技術を使用して培養される。
【0052】
目的のポリヌクレオチド配列(例えば、抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび発現制御配列)を含有するベクターは、細胞宿主のタイプに応じて異なる周知の方法によって宿主細胞に導入され得る。
【0053】
タンパク質精製の様々な方法が用いられ得、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)、およびScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【0054】
本発明の別の実施形態では、抗体(または抗体をコードする核酸)は、単離された形態で提供される。本明細書で使用する場合、「単離」という用語は、細胞環境に見出される任意の他の高分子種を含まないか、または実質的に含まない、タンパク質、ペプチド、または核酸を指す。「実質的に含まない」とは、本明細書中で使用する場合、目的のタンパク質、ペプチド、または核酸が(モル基準で)80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超の対象の高分子種を含むことを意味する。
【0055】
本発明の抗体、またはそれを含む薬学的組成物は、非経口経路によって投与され得、非限定的な例は、皮下投与および静脈内投与である。本発明の抗体は、単独で薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と一緒に単回用量または複数回用量で患者に投与され得る。本発明の薬学的組成物は、当該技術分野で周知の方法によって調製することができ(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd ed.(2012),A.Loyd et al.,Pharmaceutical Press)、本明細書に開示される抗体、および1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「CD226」は、配列番号13、uniprot.org/uniprot/Q15762、で示されるアミノ酸配列を有する受容体を指す。CD226細胞外ドメイン-Hisタグ構築体の例は、rndsystems.com、製品番号Q154762に認められる。
【0057】
「CD226」の同義語は、DNAXアクセサリー分子-1、DNAM-1、DNAM1、PTA1、およびTLiSA1である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「抗ヒトCD226アゴニスト抗体」は、(a)ヒトCD226(配列番号13)またはその細胞外フラグメント(例えば、配列番号14)に結合し、b)例えば、本明細書に開示されるようなT細胞サイトカイン(例えば、IFN-ガンマ)放出アッセイでアッセイされるとき、またはインビボで、例えば、対象の血液または血清におけるT細胞サイトカイン(例えば、IFN-ガンマ)放出によってアッセイされるとき、インビトロで免疫応答を刺激し、(c)対象にインビボで投与される場合、抗腫瘍活性をもたらす、抗体を指す。
【0059】
治療用モノクローナル抗体の文脈において、「ヒト」、「ヒト化」、および「全ヒト」という用語は、当業者によく知られている(Weiner LJ,J.Immunother.2006; 29: 1-9; Mallbris L, et al., J.Clin.Aesthet.Dermatol.2016; 9: 13-15)。
【0060】
「CD155」の同義語は、ポリオウイルス受容体、PVR、Necl-5、NECL5、Tage4、HVED、およびPVSである。
【0061】
「CD112」の同義語は、ネクチン細胞接着分子2、ネクチン-2、NECTIN2、PRR-2、PVRL2、PVRR2、およびHVEBである。
【0062】
CD226経路の免疫刺激効果は、例えば、活性化シグナルを増強する細胞表面上のLFA-1との結合によって媒介され得る。LFA-1の関与は、CD226R細胞質ドメインのFynキナーゼ媒介リン酸化をもたらす(Marcus,A,Adv Immunol.2014; 122: 91-128)。別の例では、CD226はまた、NK細胞の細胞毒性およびサイトカイン生成を増強するその能力に不可欠である活性な生化学的シグナルを媒介することもでき、これらのシグナルは、保存されたITTまたはITT様モチーフ(pYxNx)によって開始され、Srcファミリーキナーゼによるリン酸化を受け、アダプターGrb2を動員する。次に、Grb2はVav-1、PI3’K、およびPLC-γ1を活性化し、Erk、Akt、およびカルシウムフラックスの活性化をもたらす。そのような経路は、アクチン重合化および顆粒極性化を促進し、それによって細胞毒性を高める。CD226はCD8T細胞を含む他の免疫細胞で発現されるとき、CD226がこれらの細胞で同様のシグナルおよび効果を媒介すると推測することは合理的である。(Zhang,Z,JEM、2015; 212(12):2165)。
【0063】
CD226活性をインビトロでアッセイするための方法は、当業者に知られており、例えば、Gaud, G, et al., Sci.Signal.2018; 11: eaar3083; doi: 10.1126/scisignal.aar3083が挙げられる。
【0064】
固形腫瘍のインビボネズミモデルは、当業者によく知られており、本明細書に示され、開示されており、例えば、Sanmamed MF, et al., Ann.Oncol.2016;27:1190-1198、Manning HC,et al.,J.Nucl.Med 2016; 57(Suppl. 1): 60S-68S、Teich BA.Cancer Ther. 2006; 5: 2435、Rongvaux A, et al., Ann.Rev.Immunol.2013;31:635-74、Stylli SS,et al.,J.Clin.Neurosci 2015; 619-26、Oh T, et al., J.Transl. Med.2014; 12: 107-117、Newcomb, EW, et al., Radiation Res.2010; 173: 426-432、Song Y, et al., Proc Natl.Acad.Sci.USA 2013; 110: 17933-8、およびRutter EM, et al., Scientific Reports 2017; 7: DOI:10.1038/s41598-017-02462-0が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、固形腫瘍に関して、「抗癌活性」という用語は、腫瘍のサイズの縮小、抗CD226アゴニスト抗体で治療されていない患者と比較して、抗CD226アゴニスト抗体で治療された患者における1つの病期から別の病期への患者の癌の進行における減少、または抗CD226アゴニスト抗体で治療されていない患者と比較して、抗CD226アゴニスト抗体で治療された患者における転移性癌の発生率の減少を指す。
【0066】
臨床的な固形腫瘍癌治療の文脈において、CD226経路の免疫刺激効果の活性化(アゴニズム)は、当技術分野の当業者によく知られている技法を使用して腫瘍退縮を検査することによって評価することができ、例えば、X線画像化、磁気共鳴画像化(MRI)、ポジトロン放出断層撮影、超音波画像化、組織生検、腫瘍生検、外科的アクセスおよび視覚的レビュー、病理学的分析、免疫組織化学、体液または組織バイオマーカー分析、身体的検査、ならびに触診のうちの1つ以上を使用する。
【0067】
投薬計画は、最適な所望の反応(例えば、治療効果)を提供するように調整され得る。安全性および有効性を最適化するために治療投与量を滴定し得る。局所的もしくは全身性またはそれらの組み合わせで静脈内(i.v.)または非静脈内投与のための投与スケジュールは、典型的には、単一ボーラス投与もしくは連続注入から、1日当たり複数回の投与(例えば、4~6時間おき)までの範囲であるか、または治療する医師および患者の状態によって示されるとおりである。投与量および投与頻度は、患者を治療する医師によって決定されてよい。
【0068】
「治療すること(treating)」(または「治療する(treat)」または「治療(treatment)」)という用語は、既存の症状、障害、状態、または疾患の進行または重症度を遅延、妨害、抑制、緩和、停止、軽減、または反転させることを指す。
【0069】
「有効量」とは、研究者、医師、または他の臨床医によって求められている組織、系、動物、哺乳動物、またはヒトの生物学的もしくは医学的応答またはそれに対する所望の治療効果を誘発するであろう本発明の抗体または本発明の抗体を含む薬学的組成物の量を意味する。抗体の有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する抗体の能力などの因子に応じて変動し得る。有効量はまた、抗体の任意の毒性効果または有害効果よりも治療的に有益な効果が上回る量である。
【0070】
有効量は、既知技法の使用によって、そして同様の状況下で得られる結果を観察することによって、当業者によって容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際には、これらに限定されないが、患者のサイズ、年齢、および全体的な健康状態;関与する特定の疾患または障害;疾患または障害の程度、または関与、または重症度;個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与の様式;投与される調製物の生物学的利用能特性;選択される投薬計画;付随する医薬品の使用;ならびに他の関連する状況を含む、多数の因子が担当診断医によって考慮される。
【0071】
本明細書で使用される場合、患者の「有効応答」、または治療に対する患者の「応答性」という用語は、本開示の抗体の投与の際に患者に付与される臨床上または治療上の利益を指す。そのような利益には、生存期間(全生存期間および無増悪生存期間を含む)を延長すること、客観的な応答(完全奏効または部分奏効を含む)をもたらすこと、安定化した疾患、または癌の兆候または症状を改善すること、のうちのいずれか1つ以上を含む。
【0072】
本明細書に開示される方法の潜在的な利点は、許容される耐容性、毒性、および/または有害事象を含む許容される安全性プロファイルによって患者において顕著なかつ/または延長された抗腫瘍活性を生じる可能性であり、それによって患者は、総体的に治療方法から利益を得る。本開示の治療の効能は、癌治療を評価する際に一般的に使用される様々なエンドポイントによって測定することができ、限定されないが、腫瘍の退縮、腫瘍の重量またはサイズの縮小、進行までの時間、全生存期間、無増悪生存期間、全奏効率、奏効の期間、および生活の質が含まれる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「固形腫瘍」という用語は、血液、リンパ管、または骨髄ではない組織における腫瘍を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「完全奏効(CR)」という用語は、標的病変すべての消失を指す。いかなる病的リンパ節(標的であるか非標的であるかを問わず)は、短軸が10mm未満に減少しなければならない。腫瘍マーカーの結果は正常化しているはずである。
【0075】
本明細書で使用される場合、「部分奏効(PR)」という用語は、ベースライン径の和を対照として、標的病変の径の和における少なくとも30%減少を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患(PD)」という用語は、試験における最小の径の和を対照として(ベースラインの和が最小の場合はそれを含む)、標的病変の径の和における少なくとも20%増加を意味する。相対的な20%の増加に加えて、合計は少なくとも5mmの絶対的な増加も示さなければならない。1つ以上の新しい病変の出現も進行とみなされる。進行のあいまいな所見(例えば、非常に小さく不確実な新しい病変;嚢胞性変化または既存の病変の壊死)については、次の予定された評価まで治療を続けることができる。次回の予定された評価で進行が確認された場合、進行の日付は進行が疑われたより早い日付であるべきである。
【0077】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間(PFS)」という用語は、任意の試験薬の初回投与の日付からX線写真によって記録されたPDの日付、または何らかの原因による死亡の日付のいずれか早い方までの期間として定義される。
【0078】
本明細書で使用される場合、「全生存期間(OS)」という用語は、任意の試験薬の初回投与の日付から何らかの原因による死亡の日付までの期間として定義される。
【0079】
本明細書で使用される場合、「抗体1」は、配列番号1のHCDR1アミノ酸配列と、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列と、配列番号3のHCDR3アミノ酸配列と、配列番号4のLCDR1アミノ酸配列と、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列と、配列番号6のLCDR3アミノ酸配列と、配列番号7のHCVRアミノ酸配列と、配列番号8のLCVRアミノ酸配列と、配列番号9のHCアミノ酸配列と、配列番号10のLCアミノ酸配列と、配列番号11のHC DNA配列と、配列番号12のLC DNA配列と、を有する抗体を指す。
【0080】
本明細書で配列が示される抗体の各々におけるフレームワークおよびCDR配列は、North, et al..J.Mol.Biol.2011:406:228-256の方法と一致する注釈規則を使用して注釈が付けられている。
本明細書で使用される配列識別子を表1に列挙する。
【表1】
【0081】
抗体の特性評価、生成、発現、および精製
哺乳動物細胞における、配列番号11に示されるHCポリヌクレオチド配列、および配列番号12に示されるLCポリヌクレオチド配列を使用する抗体生成は、配列番号9に示されるHCアミノ酸配列および配列番号10のLCアミノ酸配列を有する全長抗体(以後、「抗体1」と称される)の生成をもたらす。
【0082】
本発明の抗体は、ファージディスプレイを含むがこれに限定されない、既知の方法を使用して生成してもよい。さらに、上述するものに由来する抗体は、本明細書に記載のアッセイを用いてさらにスクリーニングすることができる。
【0083】
HCとLCの可変領域のポリペプチドおよび抗体1の完全なHCとLCアミノ酸配列、およびそれらをコードするヌクレオチド配列は、「アミノ酸およびヌクレオチド配列」というタイトルのセクションで列挙される。
【0084】
ヒトCD226の配列は配列番号13に示され、ヒトCD226細胞外ドメイン(ECD)-Fc融合の配列は配列番号14に示される。
【0085】
本発明の抗体は、限定されないが、抗体1を含み、基本的に以下のように作成および精製することができる。適切な宿主細胞、例えば、HEK293またはCHOは、最適な所定のHC:LCベクター比、またはHCおよびLCの両方をコードする単一ベクター系を使用した抗体を分泌するための発現系によって一過性または安定的にトランスフェクトすることができる。抗体が分泌された既知組成培地は、多くの一般的に使用される技術のうちのいずれかを使用して精製されてもよい。例えば、培地は、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)のような適合緩衝液で平衡化された、MabSelectカラム(GE Healthcare)、またはKappaSelectカラム(GE Healthcare)に簡便に適用され得る。カラムは、非特異的結合構成成分を除去するために洗浄され得る。結合抗体は、例えば、pH勾配(10mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH3.0に対して20mMのTris緩衝液pH7、または100mMグリシン緩衝液pH3.0に対してリン酸緩衝生理食塩水pH7.4など)によって溶出され得る。抗体画分は、紫外線吸光度またはSDS-PAGEなどによって検出され得、次いで、プールされ得る。意図する使用に応じて、さらなる精製は任意選択的である。抗体は、一般的な技術を使用して濃縮および/または滅菌ろ過され得る。可溶性凝集体および多量体は、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、マルチモーダル、またはヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを含む一般的な技法によって効果的に除去され得る。生成物は、-70℃ですぐに冷凍されてもよく、または凍結乾燥されてもよい。
【0086】
抗体1はヒトCD226に結合する
本明細書に開示される抗体がヒトCD226に結合する能力は、ELISAによって測定することができる。ヒトCD226との結合を測定するために、96ウェルプレート(Immulon 2HB)をヒトCD226-Fc(R&D Systems)によって4℃で一晩コーティングする。ウェルをブロッキング緩衝液(1%ウシ血清アルブミン含有PBS)で2時間ブロッキングする。ウェルを0.1%Tween-20を含有するPBSで3回洗浄する。次に、抗体1またはコントロールIgG(100μL)を異なる濃度で添加し、室温で1時間インキュベートする。洗浄後、プレートを100μLのヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2-HRPコンジュゲート(Jackson Immuno Research Laboratories)とともに室温で45分間インキュベートする。プレートを洗浄し、次いで100μLの3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンとともにインキュベートする。450nmにおける吸光度をSpectraMax(登録商標)マイクロプレートリーダーで読み取る。半数効果濃度(EC50)をGraphPad Prism7ソフトウェアを使用して計算する。
【0087】
基本的に上記のように実施される実験では、抗体1はヒトCD226に0.1nMのEC50で結合する。
【0088】
抗体1はカニクイザルCD226に結合する
本明細書に開示される抗体が細胞表面カニクイザルCD226に結合する能力は、フローサイトメトリーアッセイを使用して測定することができる。カニクイザルCD226発現性安定細胞は、Fugene-6試薬(Promega)を製造業者のプロトコルに従って使用して、カニクイザルCD226プラスミドDNAをヒトHEK293細胞(ATCC)にトランスフェクトすることによって生成する。安定細胞を、10%ウシ胎仔血清および1%GlutaMAX(商標)含有ダルベッコ改変イーグル培地において、0.5μg/mLのピューロマイシンを使用して選択する。フローサイトメトリーでは、コンフルエントな付着細胞を、Gibco(登録商標)Cell Dissociation Buffer(Life Technologies)を使用して剥離し、完全培地で洗浄した後、FACS緩衝液(2.5%ウシ胎児血清+1mM EDTA含有リン酸緩衝化生理食塩水)に再懸濁させ、次いで96ウェルV底プレートに細胞5×10個/ウェルの密度で移す。細胞を、抗体1またはコントロールヒトIgG1(FACS緩衝液中で100μg/mLから開始し、全7濃度をFACS緩衝液で1:3に連続希釈して調製)によって室温で30分間染色する。
【0089】
FACS緩衝液で洗浄後、二次抗体アロフィコシアニン(APC)結合ヤギ抗ヒトIgG,F(ab’)2フラグメント特異抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)を1:200希釈で添加し、細胞を室温で30分間インキュベートする。細胞を洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁させる。7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)生存率染色液(BD Biosciences)を各試料に添加してから直ちに、BD LSRFortessa X-20細胞アナライザーで試料を処理する。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(登録商標)ソフトウェアを使用して分析する。平均蛍光強度(MFI)比を、(実験抗体のMFI)/(コントロールIgGのMFI)として計算する。
【0090】
基本的に上記のように実施される実験では、抗体1は0.14μg/mLの濃度で、2917.5(11495/3.94)の高いMFI比を示す。
【0091】
抗体1は細胞表面でヒトCD226に結合する
本明細書に開示される抗体が細胞表面ヒトCD226に結合する能力は、フローサイトメトリーアッセイを使用して測定することができる。ヒトCD226発現性安定細胞は、Fugene-6試薬(Promega)を製造業者のプロトコルに従って使用して、ヒトCD226プラスミドDNAをヒトHEK293細胞(ATCC)にトランスフェクトすることによって生成する。安定細胞を、10%ウシ胎仔血清および1%GlutaMAX(商標)含有ダルベッコ改変イーグル培地において、0.5μg/mLのピューロマイシンを使用して選択する。フローサイトメトリーでは、コンフルエントな付着細胞を、Gibco(登録商標)Cell Dissociation Buffer(Life Technologies)を使用して剥離し、完全培地で洗浄した後、FACS緩衝液(2.5%ウシ胎児血清+ 1mM EDTA含有リン酸緩衝化生理食塩水)に再懸濁させ、次いで96ウェルV底プレートに細胞5×10個/ウェルの密度で移す。細胞を、抗体1またはコントロールヒトIgG1(FACS緩衝液中で100μg/mLから開始し、全10濃度をFACS緩衝液で1:3に連続希釈して調製)によって室温で30分間染色する。
【0092】
FACS緩衝液で洗浄後、二次抗体アロフィコシアニン(APC)結合ヤギ抗ヒトIgG,F(ab’)2フラグメント特異抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)を1:200希釈で添加し、細胞を室温で30分間インキュベートする。細胞を洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁させる。7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)生存率染色液(BD Biosciences)を各試料に添加してから直ちに、BD LSRFortessa X-20細胞アナライザーで試料を処理する。フローサイトメトリーデータを、FlowJo(登録商標)ソフトウェアを使用して分析する。平均蛍光強度(MFI)比を、(実験抗体のMFI)/(コントロールIgGのMFI)として計算する。
【0093】
基本的に上記のように実施される実験では、抗体1は0.14μg/mLの濃度で、850.78(7640/8.98)の高いMFI比を示す。
【0094】
抗体1における結合速度/親和性の結果
Biacore T200装置を使用して、抗体1に結合する固定化ヒトCD226-Fcの結合速度を測定することができる。組換えヒトCD226-Fc融合タンパク質(R&D Systems)を、CM5センサーチップにアミンカップリング(GE Healthcare)を介して共有結合によって固定化させる。CD226抗体試験は、HBS-EP+緩衝液において100μL/分の流速で実施する。試料を様々な濃度で注入し、25℃で測定する。表面は、各試料注入後、10mMグリシン-HCl、pH2.1によって流速10μL/分で30分間再生させ、次いで緩衝液で10秒間安定化させる。1.95nMから1000nMまでの範囲の濃度のセンサーグラムは、Biacore T200ソフトウェアを使用して評価する。平衡解離定数(KD)または結合親和定数は、定常状態フィッティングから計算する。基本的に上記のように実施される実験では、抗体1はヒトCD226に、表2に示される親和定数で結合する。
【表2】
【0095】
抗体1のNF-カッパBルシフェラーゼレポーターアッセイ活性
本明細書に開示される抗体がNF-カッパBを活性化する能力は、以下のように測定することができる。NF-カッパBルシフェラーゼレポーターおよびpGL4.32 [luc2P/NF-kappaB-RE/Hygro]プラスミドのHEK293細胞への二重一過性トランスフェクションはプラスミドDNAによって実施し、10%ウシ胎児血清および1%GlutaMAX(商標)含有ダルベッコ改変イーグル培地中で、Lipofectamine(商標)2000試薬(Life Technologies)を製造業者のプロトコルに従って使用する。細胞を37℃で一晩培養し、翌日に細胞を96ウェルプレートに分割する。抗体1またはコントロールのヒトIgG1を、培地中に3倍希釈で10ポイント希釈し、200nMで開始してプレートに添加する。次いで、細胞を抗体とともに5%CO中で37℃、18時間インキュベートし、次いで、ONE-Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega(商標))を使用して処理する。発光は、SpectraMax(登録商標)マイクロプレートリーダーを使用して測定する。半数効果濃度(EC50)をGraphPad Prism7ソフトウェアを使用して計算する。
【0096】
基本的に上記のように実施される実験では、抗体1はヒトCD226媒介性NF-kBレポーターを4.11nMのEC50で誘発する。
【0097】
抗体1はT細胞由来インターフェロン-ガンマ生成を促進する
本明細書に開示される抗体のT細胞由来インターフェロン-ガンマ(IFN-ガンマ)生成を促進する能力は、以下のように測定することができる。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll密度勾配遠心分離(Ficoll(登録商標)Paque PLUS、GE Healthcare)によって全血またはロイコパック(leukopacs)から単離する。CD8 T細胞は、PBMCからCD8 T細胞単離キット(Miltenyi)を製造業者の説明書に従って使用して単離し、X Vivo-15培地(Lonza)に75万個/mLの濃度で再懸濁させる。抗体1またはコントロールヒトIgG1は、X Vivo-15培地(Lonza)中で200μg/mLに希釈することによって調製する。抗ヒトCD3抗体クローンHit3A(BD Biosciences)および抗ヒトCD28抗体クローンCD28.2(BioLegend)を、それぞれ10μg/mLおよび2μg/mLの濃度でCD8 T細胞懸濁液に添加する。細胞を96ウェルU底プレートにウェル当たり100μL、続いて抗体を等容量で加え、加湿した5%COインキュベータ内で37℃、96時間インキュベートする。上清を収集し、ヒトIFN-ガンマレベルをR&D Systems(登録商標)ヒトIFN-ガンマQuantikine(登録商標) ELISAキットを使用して測定する。簡単に説明すると、試料上清およびIFN-ガンマ標準をアッセイ緩衝液で希釈し、IFN-ガンマ捕捉抗体でプレコーティングしたプレートに加え、室温で2時間インキュベートする。洗浄後、200μLのIFN-ガンマ検出抗体を添加し、室温で2時間インキュベートする。洗浄後、プレートに200μLの基質溶液を10分間添加することによって発色させ、続いて50μLの停止溶液を添加し、シグナルをSpectraMax(登録商標)マイクロプレートリーダーによって450nmで測定する。データ分析を、SoftMax ProソフトウェアとGraphPad Prism(GraphPad Software)を使用して実施する。
【0098】
基本的に上記のように実施される実験では、抗体1は、IFN-ガンマサイトカイン生成によって測定されるとき、CD3/CD28共刺激によるヒトPBMCの準最適な活性化を増強する。この関連で、抗体1の100μg/mLによる処置は、コントロールIgG処置よりもIFN-ガンマの生成を1.6倍増加させる。
【0099】
確立された腫瘍モデルにおける抗体1の抗腫瘍効能
HCC827ヒト非小細胞肺癌(ATCC)腫瘍細胞株は、それぞれの培地で維持され、移植のために採取される。腫瘍細胞(マウス当たり1×10個の細胞)を、7週齢のメスNOD/SCIDガンマ(NSG)マウス(Jackson Laboratories)の右側腹部に皮下注射する。腫瘍がサイズで約250mm~350mmに達するとき、マウスを5~8群に無作為化する。ナイーブヒトPBMCをDynabeads(登録商標)Human T-expander CD3/CD28ビーズ(Thermo Fisher Scientific)で9~10日間刺激して、ヒト増殖T細胞を生成し、保管する。ヒトPBMC(NY Blood Center)は、SepMateチューブ(STEMCELL Technologies)のFicoll(登録商標)Paque PLUSで遠心分離して調製し、保管する。増殖したT細胞を解凍し、2.5×10個の細胞をマウスに注入する。コントロールとして、腫瘍細胞のみをT細胞なしで何匹かのマウスに移植する。処理は0日目または1日目から開始する。処理群は、コントロールIgGおよび抗体1を含む。動物に腹腔内注射で10mg/kgの抗体を週に1回、4週間投与する。体重(BW)を週2回記録し、BWの変化率を、次の式、(観測日のBW-初日のBW)/初日のBW×100%を使用して計算する。腫瘍体積を、電子キャリパーを使用して週に2回測定する。腫瘍体積は、式、腫瘍体積(mm)=π/6*長さ*幅を用いて計算する。T/C%は、幾何平均値がΔT>0の場合、式100×ΔT/ΔCを使用して計算する。ΔT=研究の観測日の薬物処理群の平均腫瘍体積-投与の初日の薬物処理群の平均腫瘍体積、ΔC=研究の観測日のコントロール群の平均腫瘍体積-投与の初日のコントロール群の平均腫瘍体積である。SASソフトウェア(バージョン9.2)のMIXED手順を使用して、時間および処理による繰り返しのある二元配置反復測定分散分析を用いて、腫瘍体積データの統計分析が実施される。
【0100】
基本的に上記のように実施された実験において、抗体1で処置されたマウスは、有意な腫瘍増殖阻害を示した(T/C%=56.7、P<.01)。
【0101】
アミノ酸およびヌクレオチド配列
配列番号1(抗体1 HCDR1)
AASGFTFSSYAMS
配列番号2(抗体1 HCDR2)
AISGSGGSTYYADSVKG
配列番号3(抗体1 HCDR3)
ARDRWELHDAFDI
配列番号4(抗体1 LCDR1)
RASQSISSYLN
配列番号5(抗体1 LCDR2)
YRASTLQS
配列番号6(抗体1 LCDR3)
QQSYSTPDT
配列番号7(抗体1 HCVR)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDRWELHDAFDIWGQGTMVTVSS
配列番号8(抗体1 LCVR)
VIWMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPRLLIYRASTLQSGVPSRFSGDGSGTHFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPDTFGQGTKVEIK
配列番号9(抗体1 HC)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDRWELHDAFDIWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAEGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10(抗体1 LC)
VIWMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPRLLIYRASTLQSGVPSRFSGDGSGTHFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPDTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号11(抗体1 HC DNA)
gaggtgcagctgttggagtctgggggaggcttggtacagcctggggggtccctgagactctcctgtgcagcctctggattcacctttagcagctatgccatgagctgggtccgccaggctccagggaaggggctggagtgggtctcagctattagtggtagtggtggtagcacatactacgcagactccgtgaagggccggttcaccatctccagagacaattccaagaacacgctgtatctgcaaatgaacagcctgagagccgaggacacggccgtatattactgtgcgagagatcggtgggagcttcatgatgcttttgatatctggggccaagggacaatggtcaccgtctcttcagctagcaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgcactgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagagagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaagccgagggggcaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtatgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaagactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccatcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaagtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctattccaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggcaaa
配列番号12(抗体1 LC DNA)
gtcatctggatgacccagtctccatcctccctgtctgcatctgtaggagacagagtcaccatcacttgccgggcaagtcagagcattagcagctatttaaattggtatcagcagaaaccagggaaagcccctaggctcctgatctaccgtgcatccactttacaaagtggggtcccatcaaggttcagtggcgatggatctggaacacatttcactctcaccatcagcagcctccagcctgaagattttgcaacttactactgtcaacagagttacagtacccccgacacttttggccaggggaccaaggtggaaatcaaacgaactgtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagc acctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgt
配列番号13(ヒトCD226)
MDYPTLLLALLHVYRALCEEVLWHTSVPFAENMSLECVYPSMGILTQVEWFKIGTQQDSIAIFSPTHGMVIRKPYAERVYFLNSTMASNNMTLFFRNASEDDVGYYSCSLYTYPQGTWQKVIQVVQSDSFEAAVPSNSHIVSEPGKNVTLTCQPQMTWPVQAVRWEKIQPRQIDLLTYCNLVHGRNFTSKFPRQIVSNCSHGRWSVIVIPDVTVSDSGLYRCYLQASAGENETFVMRLTVAEGKTDNQYTLFVAGGTVLLLLFVISITTIIVIFLNRRRRRERRDLFTESWDTQKAPNNYRSPISTSQPTNQSMDDTREDIYVNYPTFSRRPKTRV
配列番号14(ヒトCD226-細胞外ドメイン-Fc)
EEVLWHTSVPFAENMSLECVYPSMGILTQVEWFKIGTQQDSIAIFSPTHGMVIRKPYAERVYFLNSTMASNNMTLFFRNASEDDVGYYSCSLYTYPQGTWQKVIQVVQSDSFEAAVPSNSHIVSEPGKNVTLTCQPQMTWPVQAVRWEKIQPRQIDLLTYCNLVHGRNFTSKFPRQIVSNCSHGRWSVIVIPDVTVSDSGLYRCYLQASAGENETFVMRLTVAEGKTDNHIEGRMDPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]
抗ヒトCD226抗体であって、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を有するHCDR2、配列番号3のアミノ酸配列を有するHCDR3、配列番号4のアミノ酸配列を有するLCDR1、配列番号5のアミノ酸配列を有するLCDR2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するLCDR3を含む、抗ヒトCD226抗体。
[2]
配列番号7のアミノ酸配列を有するHCVR、および配列番号8のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、[1]に記載の抗ヒトCD226抗体。
[3]
配列番号9のアミノ酸配列を有するHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有するLCを含む、[1]に記載の抗ヒトCD226抗体。
[4]
配列番号9のアミノ酸配列を有する2つのHC、および配列番号10のアミノ酸配列を有する2つのLCからなる、[1]に記載の抗ヒトCD226抗体。
[5]
前記抗体は、アゴニスト抗体である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体。
[6]
[1]~[5]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体を発現することができる、哺乳動物細胞。
[7]
抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスであって、[6]に記載の哺乳動物細胞を培養することと、前記抗体を回収することと、を含む、プロセス。
[8]
[7]に記載のプロセスによって生成される、前記抗ヒトCD226抗体。
[9]
配列番号11、配列番号12、または配列番号11および12の配列を有するポリヌクレオチドを含む、DNA分子。
[10]
[9]に記載のDNA分子を含む、哺乳動物細胞。
[11]
抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスであって、[10]に記載の哺乳動物細胞を培養することと、前記抗体を回収することと、を含む、プロセス。
[12]
[11]に記載のプロセスによって生成される、前記抗ヒトCD226抗体。
[13]
[1]~[5]、[8]、および[12]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体、および許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物。
[14]
固形腫瘍癌を治療[1]~[5]、[8]、および[12]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体を投与することを含み、前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、軟部組織肉腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、方法。
[15]
固形腫瘍癌の治療における使用のための、[1]~[5]、[8]、および[12]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体であって、前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、軟部組織肉腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、抗ヒトCD226抗体。
[16]
固形腫瘍癌の治療のための医薬品の製造のための、[1]~[5]、[8]、および[12]のいずれか一項に記載の抗ヒトCD226抗体の使用であって、前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、軟部組織肉腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、使用。
[17]
抗ヒトCD226アゴニスト抗体。
[18]
[17]に記載の抗ヒトCD226抗体を発現することができる、哺乳動物細胞。
[19]
抗ヒトCD226抗体を生成するためのプロセスであって、[17]に記載の抗体を発現することができる哺乳動物細胞を培養することと、前記抗体を回収することと、を含む、プロセス。
[20]
療法における使用のための、[17]に記載の抗ヒトCD226アゴニスト抗体。
[21]
癌の治療における使用のための、[20]に記載の使用のための抗ヒトCD226アゴニスト抗体。
[22]
前記癌は固形腫瘍癌である、[21]に記載の使用のための抗ヒトCD226アゴニスト抗体。
[23]
前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、軟部組織肉腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、[22]に記載の使用のための抗ヒトCD226アゴニスト抗体。
[24]
癌の治療のための医薬品の製造のための、[17]に記載の抗ヒトCD226アゴニスト抗体の使用。
[25]
前記癌は固形腫瘍癌である、[24]に記載の使用。
[26]
前記固形腫瘍癌は、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、軟部組織肉腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、または尿路上皮癌である、[25]に記載の使用。
【配列表】
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