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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】無動力換気具
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/04 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
F24F7/04 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021509706
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2018015696
(87)【国際公開番号】W WO2019208899
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0049347
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520419153
【氏名又は名称】パク,テ オプ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,テ オプ
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-014536(JP,A)
【文献】特開2001-248868(JP,A)
【文献】実開昭49-042749(JP,U)
【文献】実開昭64-045230(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1604819(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0976704(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1447658(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0466362(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無動力換気具であって、
前、後端が開放された垂直円筒をなし、前記垂直円筒の上端に直角に水平拡張された固定フランジ部を形成する固定部材と;
中心部が通路をなし、前記通路を包み込むように上挟下広状の円形傾斜面からなる仕上げコーン部を形成し、前記仕上げコーン部の狭い上端には開口部を形成し、前記仕上げコーン部の広い下端には直角に水平拡張された仕上げフランジ部を形成し、前記仕上げフランジ部に締結孔を形成する仕上げキャップ部と;
中心部が通路をなし、前記通路を包み込むように上狭下広状の円形傾斜面からなる排出コーン部を形成し、前記排出コーン部の狭い上端には開口部を形成し、前記排出コーン部の広い下端には直角に水平拡張された排出フランジ部を形成し、前記排出フランジ部に締結孔を形成することにより、前記固定部材の前記固定フランジ部と前記排出フランジ部を対応させて組立設置される排出キャップ部と;
中間部が円形に突出した半球状の曲面板体をなし、前記曲面板体の周縁部から延びた少なくとも3つの支持脚を形成し、前記支持脚は積層された前記排出キャップ部の締結孔に対応する締結孔を形成して締結され、前記支持脚同士の間には気流が案内される開口部を形成し、前記曲面板体の円形の周縁部に沿って第1折曲縁部を形成するとともに円形溝を形成することにより、積層された前記仕上げキャップ部と前記排出キャップ部との間に設置される逆風防止部材と;
前記逆風防止部材と前記排出キャップ部との間には間隔(a)を形成するように、前記排出キャップ部、前記逆風防止部材及び前記固定部材の各締結孔を貫通するボルト及びナットによって締結組立される締結部材と;
を含んでなる、無動力換気具であって、
前記逆風防止部材の前記第1折曲縁部の下側と前記排出キャップ部の第2折曲縁部との間の間隔(a)を形成するにあたり、前記逆風防止部材の下部と前記排出キャップ部の上側通路との間の間隔(a)を調節可能にすることを特徴とする、無動力換気具。
【請求項2】
前記逆風防止部材は、前記曲面板体の周縁部に沿って円形溝と第1折曲縁部を形成し、前記排出キャップ部は、上端通路の周縁部に流入気流中の一部が渦流を形成するように第2折曲縁部を形成することにより、前記仕上げキャップと前記排出キャップ部の前記仕上げフランジ部と前記排出フランジ部との間の外気流入口側で気流の衝突によって気流移動を遮断する遮断領域(b)が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の無動力換気具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を排気させるときに使用される無動力換気具に係り、具体的には、外部気流の一部が設置換気具の入り口付近で渦流を形成することにより、換気具の室内方向に外部気流が引き込まれないように逆風を防止することができるようにして、室内気流がスムーズに外部へ排気される無動力換気具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無動力換気具は、排気ダクトを介して排気される室内気流を外部気流の空気圧力によって建物の外側へ動力の助けなしに排気されるように建物の排気ダクトに設置され、送風ファンなどの動力を使用しない換気具である。
【0003】
このような換気具は、通常、水平設置されるが、換気具の構造上、垂直構造を基準にするとき、中央からリング状の部分(周縁部)側に下方傾斜する翼(排出コーン部、仕上げコーン部ともいう)を備え、翼の上層にはかさ(排出キャップ部、仕上げキャップ部ともいう)を形成して雨水や湿気などが排気ダクトに進入しないようにする。すると、ベルヌーイの定理による側面通過気流によって室内汚染空気(室内気流ともいう)を引き上げて室内汚染空気が排気ダクトを介して迅速に抜け出すようにすることにより、室内汚染空気や排出ガスなどが大気中に排出できる。
【0004】
このような換気具は、リング状の翼形状であって中央通路を遮断するかさ(上部気流案内板、仕上げキャップ部、排出キャップ部)と、かさ状の中央遮断部なしに開口した通路を形成するリング状の翼(下部気流案内板、仕上げコーン部、排出コーン部)を二つ以上積層した複層の換気構造が使用される。つまり、このような無動力換気具は、最上部(垂直方向を基準に)にかさ状の雨水流入構造を持つ仕上げコーン部と、その下に少なくとも一つの中心部が開放された排出コーン部とを積層組立する構造(韓国登録特許第10-1604819号公報参照)を持つこともある。
【0005】
したがって、このような換気具は、外気と遮断されたかさ状の円板で外部の雨水の流入を遮断するようにするか、或いは気流の排出のための開閉式蓋(韓国登録特許第10-0976704号公報、韓国登録特許第10-0436840号公報)を変更したりすることにより実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-0976704号公報
【文献】韓国登録特許第10-0436840号公報
【文献】韓国登録特許第10-1604819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の公知の無動力換気具の室内汚染気流の円滑な排出のための積層構造を改善することを目的とする。
【0008】
本発明は、室内の汚染ガスの円滑な排出のための無動力換気具の雨水の流入が防止されるようにすることを目的とする。
【0009】
本発明は、最上部の別途の雨水流入遮断用かさのない中央部が開口した同一の排出キャップ部のみでも積層可能な無動力換気具を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、開口した排出キャップ部だけを積層するようにしても雨水の流入を防止することができ、逆風を防止して室内気流の排出効果を増大させるための改善された無動力換気具を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、水平設置された状態で側面通過気流によって室内気流を排気ダクトを介して外部に排出させるとき、外部の通過気流によって流入する1次流入気流(垂直流入する気流)がほとんど正常流れを持たず渦流を形成するようにして室内への逆風を遮断し、2次流入気流(水平流入気流)によって円滑に室内気流が排気されるようにする無動力換気具を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の無動力換気具は、
前、後端が開放された垂直円筒をなし、この垂直円筒の上端に直角に水平拡張された固定フランジ部を形成する固定部材と、中心部が通路をなし、この通路を包み込むように上挟下広状の円形傾斜面からなる仕上げコーン部を形成し、この仕上げコーン部の狭い上端には開口部を形成し、この仕上げコーン部の広い下端には直角に水平拡張された仕上げフランジ部を形成し、この仕上げフランジ部に締結孔を形成する仕上げキャップ部と;中心部が通路をなし、この通路を包み込むように上狭下広状の円形傾斜面からなる排出コーン部を形成し、この排出コーン部の狭い上端には開口部を形成し、この排出コーン部の広い下端には直角に水平拡張された排出フランジ部を形成し、この排出フランジ部に締結孔を形成することにより、前記固定部材の固定フランジ部と排出フランジ部を対応させて組立設置されるようにする排出キャップ部と;中間部が円形に突出した曲面板体をなし、この曲面板体の周縁部から延びた支持脚を形成し、これらの支持脚には前記積層された仕上げキャップ部と排出キャップ部の締結孔に対応する締結孔を形成し、これらの支持脚同士の間は気流が循環案内される開口部をなすようにして、前記仕上げキャップ部と排出キャップ部との間に設置される逆風防止部材と;
前記排出キャップ部、前記逆風防止部材及び前記固定部材の各締結孔を貫通するボルト及びナットによって締結組立される締結部材と;
を含んでなる、無動力換気具によって実現することができる。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の無動力換気具は、前記逆風防止部材の円形溝の下側と排出キャップ部の折曲縁部との間の間隔(a)を形成するにあたり、前記逆風防止部材の下部と排出キャップ部の上側開口部との間の間隔(a)を調節可能にする無動力換気具によって実現することができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の無動力換気具は、前記逆風防止部材が、前記曲面板体の周縁部に第1折曲縁部と円形溝を形成して雨水の流入を防止するとともに、前記積層された排出キャップ部の上端通路の周縁部に第2折曲縁部を形成して、前記第1、第2折曲縁部の間の気流入口側で渦流が形成される渦流形成領域(b)を形成する、無動力換気具によって実現することが好ましい。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の無動力換気具は、前記排出キャップ部が前記逆風防止部材の円形溝の下側と第2折曲縁部との間に所定の間隔(a)を形成することにより、前記逆風防止部材が、室内気流と外気の排出圧に応じて間隔(a)が自ら調整されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明は、最上層に設置される、雨水の流入を遮断する仕上げキャップを、中央が開口した仕上げキャップ部に改善しても、逆風防止部材によって雨水の流入を遮断するようにして、名称は仕上げキャップ部と排出キャップ部と呼ばれるが、実質的にほぼ同じ形状に中央が開口した排出キャップ部を積層しても同様の効果が得られるようにすることにより、製造コストを節約して生産性を高めることができるようになった。
【0017】
本発明は、最上層(垂直設置時)に、雨水の流入を遮断するかさ状の仕上げ構造を持たなくても、室内の汚染ガス(以下、室内気流という)の円滑な排出が行われるとともに、雨水の流入が遮断される無動力換気具を提供するという効果を持つ。
【0018】
本発明は、水平設置された状態で室内気流を排気ダクトを介して外部に送り出すとき、外部の通過気流によって流入する1次流入気流(垂直流入する気流)がほとんど遮断されるようにし、2次流入気流(水平流入する排出気流を形成する気流)によって円滑に室内気流が排気されるようにすることにより、室内排出ガスなどの気体排出効果を改善した換気具を提供するという効果を得る。
【0019】
特に、本発明は、各部品の大きさを規格化することができ、排出ガスの排気量または排気管の大きさなどに応じて適宜選択することができる。また、本発明は、排出ガスが換気具にとどまることを防止し、異物が排気管の内部に流入することを防止し、外部の強い風による逆風を防止することができる。また、本発明は、換気具と排気管の接続または各部品間の接続を便利にし、換気具を取り扱うことによる事故を防止することができる。また、本発明は、排気管の大きさに応じてモジュール化された換気具を提供することができ、設置が容易で、軽量化を介して単価を節減し、台風などの強風による逆風で換気具の通過気流を防止してシンクの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の無動力換気具の垂直状態を示す斜視図である。
図2】本発明の無動力換気具の垂直状態を示す断面図である。
図3a】本発明の無動力換気具の第1実施形態の垂直状態を示す分解斜視図である。
図3b】本発明の無動力換気具の第2実施形態の垂直状態を示す分解斜視図である。
図4a】本発明の無動力換気具の排出キャップ部の斜視図である。
図4b】本発明の無動力換気具の排出キャップ部の断面図である。
図5a】本発明の無動力換気具の逆風防止部材の斜視図である。
図5b】本発明の無動力換気具の逆風防止部材を示す断面図である。
図6a】本発明の無動力換気具の仕上げキャップ部の斜視図である。
図6b】本発明の無動力換気具の仕上げキャップ部の断面図である。
図7】本発明の無動力換気具の屋内、屋外気流の移動を説明する設置状を示す断面図である。
図8】本発明の無動力換気具の逆風防止部材の作用を説明する設置状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の無動力換気具の好適な実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0022】
本発明において導入される用語のうち、仕上げキャップ部、排出キャップ部、仕上げコーン部、排出コーン部などの用語は、先登録された韓国特許第10-1604819号の内容で定義されているので、そのまま引用することにする。
【0023】
添付図面のうち、図1は本発明の無動力換気具の垂直状態を示す斜視図であり、図2は本発明の無動力換気具の垂直状態を示す断面図であり、図3aは本発明の無動力換気具の第1実施形態の垂直状態を示す分解斜視図である。
【0024】
前記定義された用語に従い、添付図面によって示された本発明の無動力換気具は、大きく、仕上げキャップ部10、排出キャップ部30、逆風防止部材20、固定部材40、及び締結部材50から構成される。
【0025】
仕上げキャップ部10は、中心部が通路17をなすように開口した形状を有し、この通路17を包み込むように上狭下広(上側は狭く、下側は広い)状の円形傾斜面からなる仕上げコーン部15を形成し、この仕上げコーン部15の下側には、直角に水平拡張された仕上げフランジ部11を形成し、この仕上げフランジ部11に締結孔13を形成するキャップ(cap、蓋、排気ダクトの外側に設置される換気用蓋)型の外側蓋構造である。
【0026】
逆風防止部材20は、中間部が円形に突出した曲面板体21をなし、この曲面板体21の周縁部から少なくとも2方向(実際3方向)に延びた支持脚22を形成し、この支持脚22には前記積層された排出キャップ部30の締結孔33に対応する締結孔23を形成し、この支持脚22同士の間は気流が循環案内される開口部24を形成することにより、前記積層された仕上げキャップ部10と排出キャップ部30との間に設置される。
【0027】
排出キャップ部30は、中心部が通路37をなすように開口した形状をなし、この通路37を包み込むように上狭下広状の円形傾斜面からなる排出コーン部35を形成し、この排出コーン部35の下側には直角に水平拡張された排出フランジ部31を形成し、排出フランジ部31にも締結孔33を形成することにより、固定部材40の固定フランジ部21と排出フランジ部31を対応させて組立設置される。
【0028】
固定部材40は、前、後端が開放された垂直円筒41をなし、この垂直円筒41の一端には直角に水平拡張された固定フランジ部42を形成し、締結孔43を形成して建物の排気ダクトに設置する。
【0029】
図1図2及び図3aに示すように、締結部材50は、このような仕上げキャップ部10、逆風防止部材20、排出キャップ部30及び固定部材40の締結孔13、23、33、43を貫通して締結するように、ボルト51及びナット52によって締結して組み立てる。
【0030】
添付図面のうち、図4aは本発明の無動力換気具の排出キャップ部の斜視図であり、図4bは本発明の無動力換気具の排出キャップ部の断面図である。
【0031】
図4a及び図4bに示すように、仕上げキャップ部10は、中心部が通路17をなし、この通路17を包み込むように上狭下広(上側は狭く、下側は広い)状の円形傾斜面からなる仕上げコーン部15を形成し、この仕上げコーン部15の上端には開口部17を形成し、この仕上げコーン部15の下側には直角に水平拡張された仕上げフランジ部11を形成し、この仕上げフランジ部11に締結孔13を形成するキャップ(cap、蓋、排気ダクトの外側に設置される換気用蓋)の外側蓋構造である。
【0032】
図5aは本発明の無動力換気具の逆風防止部材の斜視図であり、図5bは本発明の無動力換気具の逆風防止部材の断面図である。
【0033】
図5a及び図5bに示すように、逆風防止部材20は、中間部が円形に突出した半球状の曲面板体21をなし、この曲面板体21の周縁部から少なくとも3方向に延びた支持脚22を形成し、この支持脚22には前記積層された排出キャップ部30の締結孔33に対応する締結孔23を形成し、これらの支持脚22同士の間には気流が循環案内される開口部24を形成することにより、前記積層された仕上げキャップ部10と排出キャップ部30との間に設置される。この逆風防止部材20は、曲面板体21の周縁部22に第1折曲縁部26と円形溝25を形成して雨水の流入を防止するとともに、前記積層された仕上げキャップ部10と排出キャップ部30の仕上げフランジ部11と排出フランジ部31との間の気流流入口側に渦流形成領域bを形成することができる。
【0034】
逆風防止部材20の円形溝25の下側と排出キャップ部30の第2折曲縁部36との間には間隔aを形成することにより、逆風防止部材20が、室内気流と外気の排出圧に応じて間隔aが調整されるようにすることができる。室内気流の排出気圧に応じて遊動する逆風防止部材20は、外部気流の強さに比例して室内気流の排出に影響を受けるようにすることができる。
【0035】
このように構成された本発明の無動力換気具は、図3aの同じ仕上げキャップ部10の複層組立構造を持つことができる。この実施形態の本発明の無動力換気具は、中央が開口した仕上げキャップ部で積層しても逆風防止部材20によって雨水の流入を遮断するようにして、仕上げキャップ部10と排出キャップ部30を同じ形態で積層することにより、製造単価を節約し、生産性を高めることができる。本発明は、最上層(垂直設置時)に、雨水の流入を遮断するかさ状の仕上げ構造を持たなくても、室内気流の円滑な排出が行われるとともに、雨水の流入が遮断される無動力換気具を提供する。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る無動力換気具を説明する。
【0037】
図3bは本発明の無動力換気具の第2実施形態の垂直状態を示す分解斜視図であり、図6aは本発明の無動力換気具の仕上げキャップ部の斜視図であり、図6bは本発明の無動力換気具の仕上げキャップ部の断面図である。
【0038】
先立って説明された仕上げキャップ部10、逆風防止部材20、固定部材40及び締結部材50は、上記の構成の説明に従う。
【0039】
つまり、仕上げキャップ部10は、中心部が通路17をなすように開口した形状を有し、この通路17を包み込むように上狭下広(上側は狭く、下側は広い)状の円形傾斜面からなる仕上げコーン部15を形成し、この仕上げコーン部15の下側には直角に水平拡張された仕上げフランジ部11を形成し、この仕上げフランジ部11に締結孔13を形成するキャップ(cap、蓋、排気ダクトの外側に設置される換気用蓋)型の外側蓋構造である。
【0040】
逆風防止部材20は、中間部が円形に突出した半球状の曲面板体21をなし、この曲面板体21の周縁部から少なくとも2方向(実際3方向)に延びた支持脚22を形成し、これらの支持脚22には前記積層された排出キャップ部30の締結孔33に対応する締結孔23を形成し、これらの支持脚22同士の間には気流が循環案内される開口部24を形成することにより、前記積層された仕上げキャップ部10と排出キャップ部30との間に設置される。
【0041】
固定部材40は、前、後端が開放された垂直円筒41をなし、この垂直円筒41の一端には直角に水平拡張された固定フランジ部42を形成し、締結孔43を形成して建物の排気ダクトに設置する。
【0042】
図示の如く、締結部材50は、このような仕上げキャップ部10、逆風防止部材20、排出キャップ部30及び固定部材40の締結孔13、23、33、43を貫通して締結するように、ボルト51とナット52によって締結して組み立てる。
【0043】
前記図面に従う本発明の無動力換気具は、仕上げキャップ部10と排出キャップ部30の複層組立構造を持つことができるが、排出キャップ部30は仕上げキャップ部10との差を持つ。図6a及び図6bに示すように、排出キャップ部30は、中心部が通路37をなし、この通路37を包み込むように上狭下広状の円形傾斜面からなる排出コーン部35を形成し、この排出コーン部35の上端には第2折曲縁部36を形成し、この排出コーン部35の下側には直角に水平拡張された排出フランジ部31を形成し、排出フランジ部31にも締結孔33を形成することにより、固定部材40の固定フランジ部21と排出フランジ部31を対応させて組立設置される。このように構成された無動力換気具は、図3bに示すように、仕上げキャップ部10と排出キャップ部30の複層組立構造を持つことができ、仕上げキャップ部10の変形構造の排出キャップ部30で実現することができる。
【0044】
図7は本発明の無動力換気具の屋内、屋外気流の移動を説明する設置状態を示す断面図である。
【0045】
図7に示すように、逆風防止部材20の円形溝25の下側と排出キャップ部30の第2折曲縁部36との間には間隔aを形成しており、逆風防止部材20は、曲面板体21の周縁部22に第1折曲縁部26と円形溝25を形成することにより、雨水の流入を防止することができる。
【0046】
特に、前記第2折曲縁部36は、流入気流の方向を切り換えるのに十分な大きさに曲面を形成することが好ましい。
【0047】
渦流形成領域bの外側流入気体に向けて排出される過程で、
1次的に内側から排出される室内気流と2次的に上部(水平設置)から間隔aに流入する気流と、3次的に曲面板体21に流入する気流の圧力によって異なるが、通常、ベルヌーイの定理による室内気流の移動は、換気具水平設置状態の下側に排出されるが、特に、このような気体流れを妨げず、さらに排出気流を加速化することができるように第2折曲縁部36による渦流形成領域(円形の矢印)が形成できる。気体遮断壁は、間隔aを形成する水平設置状態の間隔aを減らすことができる程度に応じて排気効果が増大するだろう。
【0048】
好ましくは、気体遮断壁を形成することが間隔aなしに実現されるようにするが、水平設置状態で下部の間隔aを十分に広くする場合、理想的な室内気流の下方流れを誘導することができる。つまり、積層された仕上げキャップ部10と排出キャップ部30の仕上げフランジ部11と排出フランジ部31との間の流入口側に渦流形成領域bを形成することができ、設置された換気具の中心部の通路に沿って排出される排気ガスなどの室内空気が(水平設置状態で)下方排出されるよう、上部の室内気流の排出に妨げられる気流流入を遮断するようにして、曲面板体21を通った流れによって室内気流が増速吸出できるようにする。
【0049】
正常な気流の排出は、曲面板体21に向けた下方気流の流速に比例して室内気流が排気されることであるが、これに加えて、間隔aを通った気流の流入を適度に抑制することにより、加速化することができる。
【0050】
したがって、水平設置状態で(図7)垂直方向の外部から流入する気流は、間隔aに向けて移動の流れが微々たる程度なので、室内から排出される気体は、逆風防止部材20の曲面板体21の内側面に沿ってほとんど下方移動する。このような下方移動の流れは、曲面板体21の外部から流入する気流が下方移動することによる負圧によってほとんど移動するのである。間隔aは、換気具の設計時に十分に設置場所、位置の風力に基づいて計算できる。ただし、後述するように、図8に示す間隔aを、外部気流或いは室内気流の自然な気圧に比例して移動可能に設計して実現することができる。
【0051】
図8は本発明の無動力換気具の逆風防止部材の作用を説明する設置状態を示す断面図である。
【0052】
次に、図8を参照して本発明の無動力換気具の作動を説明する。
【0053】
これらの図面及び図7に示すように、逆風防止部材20の円形溝25の下側と排出キャップ部30の第2折曲縁部36との間には間隔aを形成しており、逆風防止部材20が、室内気流と外気の排出圧に応じて間隔aが調整されるようにすることができる。室内気流の排出気圧に応じて遊動する逆風防止部材20は、外部気流の強さに比例して室内気流の排出に影響を受けるようにすることができる。
【0054】
前述した円形溝25は、垂直設置状態で室内に雨水が流入することを防止することができる。また、逆風防止部材20の支持脚22の幅と支持脚22同士の間の開口した空間24(設置後に気流移動通路となる)の寸法も設置場所、位置などに応じて調整されて設計に反映される。
【0055】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは例示的なものであり、本発明の技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能である。本発明の技術的保護範囲は特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0056】
10 仕上げキャップ部
11 仕上げフランジ部
13 締結孔
15 仕上げコーン部
17 通路
20 逆風防止部材
21 曲面板体
22 支持脚
23 締結孔
24 開口部
25 円形溝
26 第1折曲縁部
30 排出キャップ部
31 排出フランジ部
33 締結孔
34 排出曲げ部
35 排出コーン部
36 第2折曲縁部
37 通路
40 固定部材
41 垂直円筒
42 固定フランジ部
50 締結部材
51 締結ボルト
52 締結ナット
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8