(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-20
(45)【発行日】2022-09-29
(54)【発明の名称】法令準拠輸送計画作成システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220921BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20220921BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q10/08 308
(21)【出願番号】P 2021514700
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2019016381
(87)【国際公開番号】W WO2020213072
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 崇治
(72)【発明者】
【氏名】浦瀬 大河
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 浩
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-52660(JP,A)
【文献】特開2012-27684(JP,A)
【文献】特開2003-89426(JP,A)
【文献】特開2000-172992(JP,A)
【文献】特開2000-57215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0224426(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0050224(US,A1)
【文献】特開2002-149769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0035421(US,A1)
【文献】鈴木 邦成,トラック運送における運行管理業務の効率化,2017年春季大会予稿集,日本,公益社団法人日本経営工学会,2017年05月26日,p.180-181
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する法令準拠輸送計画作成システムであって、
倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得する第1取得手段と、
前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得する第2取得手段と、
前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得する第3取得手段であって、当該労務情報は、拘束時間、前日の運転時間、1週間の運転時間、連続運転時間、連続休憩時間を含む第3取得手段と、
前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する判断手段と、
前記取得された荷物情報
に含まれる前記荷物の前記輸送当日の輸送期限及び
前記取得された車両情報
に含まれる前記輸送車両の前記輸送当日の利用可能時間と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定する決定手段と、
前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成する作成手段と、
を備える法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項2】
前記輸送計画の作成を、輸送途中に行い、リアルタイムに輸送計画を更新する第1更新手段と、
を備える請求項1に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項3】
前記作成した輸送計画のドライバーの労務時間を考慮して、翌日以降の輸送計画への影響を端末に出力させる出力手段と、
を備える請求項1又は2に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項4】
実際に輸送している輸送情報を取得する第4取得手段と、
取得した輸送情報と、前記作成した輸送計画との差異を検出して端末にアラートを出力させるアラート手段と、
を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項5】
前記差異を反映させた輸送計画に更新する第2更新手段と、
を備える請求項4に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項6】
一日の労務が終了した時点で、前記ドライバーごとに、日次、週次、月次単位での労務情報を更新し、翌日以降の日次、週次、月次単位での労務可能時間を割出す、請求項1~5のいずれか一項に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項7】
前記労務情報は、最新の労務情報である、請求項1~6のいずれか一項に記載の法令準拠輸送計画作成システム。
【請求項8】
厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する
、サーバが実行する法令準拠輸送計画作成方法であって、
倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得するステップと、
前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得するステップと、
前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得するステップであって、当該労務情報は、拘束時間、前日の運転時間、1週間の運転時間、連続運転時間、連続休憩時間を含むステップと、
前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断するステップと、
前記取得された荷物情報
に含まれる前記荷物の前記輸送当日の輸送期限及び
前記取得された車両情報
に含まれる前記輸送車両の前記輸送当日の利用可能時間と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定するステップと、
前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成するステップと、
を備える法令準拠輸送計画作成方法。
【請求項9】
コンピュータに、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する法令準拠輸送計画作成処理を実行させるプログラムであって、
倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得するステップと、
前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得するステップと、
前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得するステップであって、当該労務情報は、拘束時間、前日の運転時間、1週間の運転時間、連続運転時間、連続休憩時間を含むステップと、
前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断するステップと、
前記取得された荷物情報
に含まれる前記荷物の前記輸送当日の輸送期限及び
前記取得された車両情報
に含まれる前記輸送車両の前記輸送当日の利用可能時間と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定するステップと、
前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成するための法令準拠輸送計画作成システム、方法及びプログラムに関する。本発明は、IoT(Internet of Things)に関連し、技術分野はIPC分類においてG06Q等に該当する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流のIoT化が進んできている。例えば、注文情報、車両情報、倉庫情報、および在庫情報に基づいて、商品の輸送元となる倉庫、および商品の輸送を行う車両を特定し、候補地から選ばれた少なくとも一つに集積地を設定し、商品の輸送を行う車両が輸送元から集積地まで、商品を輸送する輸送計画を生成する技術がある(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流のIoT化においては、物流現場の過酷な労働時間を考慮した効率的なマッチングの技術の適用が考えられる。例えば、輸送車両を運転するドライバーの労務時間への適用がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成することができない。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑み、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成することが可能な法令準拠輸送計画作成システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する法令準拠輸送計画作成システムであって、倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得する第1取得手段と、前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得する第2取得手段と、前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得する第3取得手段と、前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する判断手段と、前記取得された荷物情報及び車両情報と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定する決定手段と、前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成する作成手段と、を備える法令準拠輸送計画作成システムを提供する。
【0007】
また、本発明は、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する法令準拠輸送計画作成方法であって、倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得するステップと、前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得するステップと、前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得するステップと、前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断するステップと、前記取得された荷物情報及び車両情報と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定するステップと、前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成するステップと、を備える法令準拠輸送計画作成方法を提供する。
【0008】
更に、本発明は、コンピュータに、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成する法令準拠輸送計画作成処理を実行させるプログラムであって、倉庫から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報を取得するステップと、前記荷物を輸送する輸送車両に関する車両情報を取得するステップと、前記輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報を取得するステップと、前記取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断するステップと、前記取得された荷物情報及び車両情報と、前記判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定するステップと、前記決定された複数の結果に応じて、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成するステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報から厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断して、荷物情報と車両情報と労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定して、輸送計画を作成することとした。このため、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮した輸送計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の法令準拠輸送計画作成システムの概要を示す概念図である。
【
図2】前記実施形態のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】前記実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】前記実施形態の荷物情報の一例を示す図である。
【
図5】前記実施形態の車両情報の一例を示す図である。
【
図6】前記実施形態の労務情報の一例を示す図である。
【
図7】前記実施形態の法令準拠輸送計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、荷物情報と車両情報とを取得して、輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報から厚生労働省が定めた法令(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準:http://ur0.link/PKq2)に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する。そして、荷物情報と車両情報と労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定して、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示す輸送計画を作成するものである。
【0012】
<全体構成>・・・
図1は、本実施形態に係る法令準拠輸送計画作成システム(以下「システム」とする)100の概要を示す概念図である。本システム100のサーバ40は、倉庫10から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報12を取得する(ステップSA)。例えば、倉庫10の端末が受け付けた入力を取得することで、荷物情報12を取得するが、他の端末が受け付けた入力を取得して荷物情報12を取得してもよい。荷物情報12とは、例えば、輸送当日に/何を/いつまでに/どこからどこまで等、を含む。
【0013】
また、サーバ40は、荷物を輸送する輸送車両20に関する車両情報22を取得する(ステップSB)。例えば、輸送車両20の管理者等の端末が受け付けた入力を取得することで、車両情報22を取得するが、他の端末が受け付けた入力を取得して車両情報22を取得してもよい。車両情報22とは、例えば、車種/車格(車高/車幅/積載量)/輸送当日の利用可能時間など、を含む。
【0014】
更に、サーバ40は、輸送車両を運転するドライバー30の労務に関する労務情報32を取得する(ステップSC)。例えば、ドライバー30の管理者(輸送会社等)の端末が受け付けた入力から労務情報32を取得するが、他の端末(例えば、ドライバー30の端末など)が受け付けた入力を取得して労務情報32を取得してもよい。労務情報32は、例えば、拘束時間(1日13時間まで)、前日の運転時間(2日平均9時間まで)、1週間の運転時間(2週間平均で44時間まで)、連続運転時間(4時間まで)、連続休憩時間(8時間以上)など、を含む。
【0015】
サーバ40は、労務情報32から、厚生労働省が定めた法令(自動車運転者の労務時間等の改善のための基準:http://ur0.link/PKq2)に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する(ステップS1)。労務可能時間とは、例えば、輸送当日に、何時間拘束できるか、何時間運転できるか、などであって、労務状況によって変動するものである。
【0016】
次に、サーバ40は、取得された荷物情報12および車両情報22と、判断された労務可能時間とに応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定する(ステップS2)。決定される組み合わせは複数存在する。そして、決定された複数の結果に応じて、輸送計画を作成する(ステップS3)。輸送計画とは、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示すものである。
【0017】
これにより、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮して輸送計画を作成することができる。
【0018】
なお、サーバ40は、輸送途中にも、上記ステップを繰り返し行い、リアルタイムに輸送計画を更新してもよい。また、今回作成した輸送計画のドライバーの労務時間を考慮して、翌日以降の輸送計画への影響を出力してもよい。また、実際に輸送している輸送情報を取得して、作成した輸送計画との差異を検出してアラートしてもよい。更に、前記差異を反映させた輸送計画に更新してもよい。サーバ40は、ユーザ90の端末に必要な情報を出力させる(ステップS4)。この場合のユーザ90は、ドライバーであってもよいし、輸送会社や倉庫の管理者等であってもよい。
【0019】
<サーバのハードウェア構成>・・・次に、
図2を参照して、サーバ40のハードウェア構成を説明する。サーバ40は、プロセッサ42、メモリ44、ストレージ46、通信部62を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ44に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ44は、プロセッサ42により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、
図3に示す各種手段が記憶されている。ストレージ46は、荷物情報48、車両情報50、労務情報52、法令54、組み合わせ56、輸送計画58、輸送情報60などを記憶するものである。サーバ40は、単体のコンピュータであってよく、例えば、端末であってもよい。また、各構成がそれぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってよい。
【0020】
通信部62は、ネットワークを介したデータ通信により、倉庫10の端末から荷物情報12を取得し、輸送車両20の管理者などの端末などから車両情報22を取得し、ドライバー30の管理者などの端末から労務情報32を取得するものである。むろん、必要に応じて、他の情報提供元から、その他の情報を取得してもよい。
【0021】
<サーバの機能構成>・・・次に、
図3を参照して、サーバ40の機能構成を説明する。サーバ40は、第1取得手段70と、第2取得手段72と、第3取得手段74と、第4取得手段75と、判断手段76と、決定手段78と、作成手段80と、第1更新手段82と、出力手段84と、アラート手段86と、第2更新手段88を備えている。
【0022】
第1取得手段70は、倉庫10から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報12を取得するものである。例えば、倉庫10の端末が受け付けた入力を取得することで、荷物情報12を取得するが、他の端末が受け付けた入力を取得して荷物情報12を取得してもよい。第1取得手段70により取得された荷物情報12は、ストレージ46に、荷物情報48として記憶される。
図4には、取得される荷物情報48の一例が示されており、荷物情報48には、輸送日48A、荷物名48B、輸送期限48C、倉庫情報48D、輸送先48E・・・が含まれている。荷物情報48により、輸送当日に/何を/いつまでに/どこからどこまで等の情報をサーバ40が得ることができる。
【0023】
第2取得手段72は、前記荷物を輸送する輸送車両20に関する車両情報22を、輸送車両20の管理者等の端末が受け付けた入力を取得するものである。むろん、他の端末が受け付けた情報を取得して車両情報22を取得してもよい。第2取得手段72により取得された車両情報22は、ストレージ46に、車両情報50として記憶される。
図5には、取得される荷物情報50の一例が示されており、車種50A、車格(車高/車幅/積載量)50B、利用可能時間50C・・・が含まれている。
【0024】
第3取得手段74は、輸送車両を運転するドライバー30の労務に関する労務情報32を、ドライバー30の管理者等の端末が受け付けた入力から取得するものである。むろん、他の端末(例えば、ドライバー30の端末)が受け付けた入力を取得して、労務情報32を取得してもよい。第3取得手段74により取得された労務情報32は、ストレージ46に、労務情報52として記憶される。
【0025】
図6には、取得される労務情報52の一例が示されており、拘束時間52A、前日の運転時間52B、1週間の運転時間52C、連続運転時間52D、連続休憩時間52E・・・などが含まれている。例えば、拘束時間52Aは、1日13時間まで、前日の運転時間52Bは、2日平均9時間まで、1週間の運転時間52Cは、2週間平均で44時間まで、連続運転時間52Dは、4時間まで、連続休憩時間52Eは、8時間以上などという具合に決められる。
【0026】
第4取得手段75は、実際に輸送している輸送情報を取得を取得するものである。輸送情報は、例えば、輸送車両の端末が受け付けた入力を取得することで、あるいは、輸送車両のカーナビから自動的に位置情報や走行記録等を取得することで得られる。取得された輸送情報は、ストレージ46に、輸送情報60として記憶される。
【0027】
判断手段76は、第3取得手段74によって取得された労務情報52から、厚生労働省が定めた法令(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断するものである。判断にあたっては、ストレージ46に記憶された法令54を参照する。なお、労務可能時間とは、例えば、輸送当日に何時間拘束できるか、何時間運転できるかなどであり、労務状況により変動するものである。
【0028】
決定手段78は、第1取得手段70により取得された荷物情報48と、第2取得手段72により取得された車両情報50と、前記判断手段76により判断された労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定するものである。決定される組み合わせは複数存在し、ストレージ46に組み合わせ56として記憶される。
【0029】
作成手段80は、前記決定手段78により決定された複数の結果に応じて、輸送計画を作成する。輸送計画とは、例えば、どのドライバーがどの輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるのかを示すものである。作成された輸送計画は、ストレージ46に輸送計画58として記憶される。ドライバー30は、作成された輸送計画58に基づいて荷物の輸送を行う。
【0030】
第1更新手段82は、輸送途中に、上述の情報の取得から輸送計画の作成までを行い、リアルタイムに輸送計画を更新するものである。この場合、ストレージ46の輸送計画58が、新たな輸送計画で更新される。ドライバー30は、例えば、カーナビなどの端末に表示された、更新された新たな輸送計画に基づいてその後の荷物の輸送を行う。
【0031】
出力手段84は、今回作成した輸送計画のドライバーの労務時間を考慮して、翌日以降の輸送計画への影響を出力するものである。例えば、輸送会社の端末に、輸送計画への影響を表示させてもよいし、ドライバー30の端末に影響を表示させてもよい。
【0032】
アラート手段86は、前記第4取得手段75が取得した、実際に輸送している輸送情報60と、作成した輸送計画58との差異を検出して、必要に応じてアラートするものである。なお、アラートは、ドライバー30の端末の表示部に表示させて行うようにしてもよいし、輸送会社の管理者等の端末の表示部に表示させて行うようにしてもよい。また、音でアラートを行うようにしてもよい。
【0033】
第2更新手段88は、前記アラート手段86によって差異が検出されたときに、当該差異を反映させた輸送計画に更新するものである。この場合、ストレージ46の輸送計画58が、差異を反映した新たな輸送計画で更新される。更新された輸送計画を、ドライバー30のカーナビなどに表示させることで、ドライバー30は、更新された差異を反映した新たな輸送計画に基づいてその後の荷物の輸送を行う。
【0034】
<法令準拠輸送計画作成処理>・・・次に、本システム100による法令準拠輸送計画作成処理の一例について、
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態の法令準拠輸送計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、サーバ40は、第1取得手段70により、倉庫10から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報12を取得する(ステップS10)。例えば、倉庫10の端末が受け付けた入力を取得することで、荷物情報12を取得するが、他の端末が受け付けた入力を取得して荷物情報12を取得してもよい。取得した荷物情報12は、ストレージ46に荷物情報48として記憶される。なお、荷物情報48には、輸送日48A、荷物名48B、輸送期限48C、倉庫情報48D、輸送先48Eなどの情報が含まれており、当該荷物情報48から、輸送当日に/何を/いつまでに/どこからどこまで等、を得ることができる。
【0036】
また、サーバ40は、第2取得手段72によって、荷物を輸送する輸送車両20に関する車両情報22を取得する(ステップS12)。例えば、輸送車両20や輸送会社の端末が受け付けた入力を取得することで、車両情報22を取得するが、他の端末が受け付けた入力を取得することで、車両情報22を取得してもよい。取得された車両情報22は、ストレージ46に車両情報50として記憶される。車両情報50には、例えば、車種50A、車格(車高/車幅/積載量)50B、輸送当日の利用可能時間50Cなどが含まれる。
【0037】
また、サーバ40は、第3取得手段74によって、輸送車両を運転するドライバー30の労務に関する労務情報32を取得する(ステップS14)。例えば、輸送会社の端末が受け付けた入力を取得することで、労務情報32を取得するが、他の端末(例えば、ドライバー30の端末)が受け付けた入力を取得して、労務情報32を取得してもよい。取得された労務情報32は、ストレージ46に労務情報52として記憶される。労務情報52は、例えば、拘束時間(1日13時間まで)52A、前日の運転時間(2日平均9時間まで)52B、1週間の運転時間(2週間平均で44時間まで)52C、連続運転時間(4時間まで)52D、連続休憩時間(8時間以上)52Eなど、を含む。
【0038】
次に、サーバ40の判断手段76は、取得した労務情報52から、厚生労働省が定めた法令(自動車運転者の労務時間等の改善のための基準:http://ur0.link/PKq2)に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する(ステップS16)。判断に当たっては、ストレージ46に記憶された法令54が参照される。なお、労務可能時間とは、例えば、輸送当日に、何時間拘束できるか、何時間運転できるか、などであって、労務状況によって変動するものである。
【0039】
次に、サーバ40の決定手段78は、取得された荷物情報48および車両情報50と、判断された労務可能時間とに応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定する(ステップS18)。決定される組み合わせ56は複数存在し、ストレージ46に記憶される。
【0040】
そして、サーバ40の作成手段80は、決定された複数の結果に応じて、輸送計画を作成する(ステップS20)。作成された輸送計画58は、ストレージ46に記憶される。なお、輸送計画とは、どのドライバーがその輸送車両でどの倉庫からどの輸送先をどういう順番で輸送すれば効率的に輸送できるかを示すものである。
【0041】
作成された輸送計画は、ドライバー30のカーナビの表示部などに表示される。ドライバー30は、表示された作成された輸送計画58に基づいて荷物の輸送を行う。これにより、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバー30の労務可能時間を考慮した輸送計画を作成することができる。
【0042】
なお、上述した情報の取得から輸送計画の作成までを輸送途中にも行い、第1更新手段82によって、リアルタイムに輸送計画を更新するようにしてもよい。この場合、ストレージ46の輸送計画58が、新たな輸送計画で更新される。ドライバー30のカーナビの表示部には、更新された新たな輸送計画が表示される。これにより、ドライバー30は、更新された新たな輸送計画に基づいてその後の荷物の輸送を行うことにより、最新の労務情報等を考慮しつつ、効率的な輸送を行うことが可能となる。
【0043】
また、今回作成した輸送計画のドライバーの労務時間を考慮して、翌日以降の輸送計画への影響を出力するようにしてもよい。当該影響の出力は、例えば、輸送会社の管理者の端末や、ドライバーのカーナビの表示部に表示させることで行ってもよい。また、一日の労務が終了した時点で、ドライバー30ごとに、日次、週次、月次単位での労務情報を更新し、翌日以降の日次、週次、月次単位での労務可能時間を割出すこととしてもよい。
【0044】
また、第4取得手段75によって、実際に輸送している輸送情報60を取得して、作成した輸送計画58との差異を検出して、必要に応じてアラートしてもよい。取得された輸送情報は、ストレージ46に輸送情報60として記憶される。輸送情報60は、例えば、輸送車両の端末が受け付けた入力を取得したり、輸送端末のカーナビから位置情報や走行履歴を自動的に取得したりすることで得られる。なお、アラートは、ドライバー30の端末の表示部に表示させることで行うようにしてもよいし、輸送車両の管理者等の端末に表示させることで行うようにしてもよい。また、前記カーナビや端末から音を発生させることで、音によるアラートを行うようにしてもよい。
【0045】
更に、第2更新手段88によって、前記アラート手段86によって差異が検出されたときに、当該差異を反映させた輸送計画に更新してもよい。この場合、ストレージ46の輸送計画58が、差異を反映した新たな輸送計画で更新される。更新された輸送計画は、ドライバー30のカーナビの表示部に表示され、ドライバー30は、更新された差異を反映した新たな輸送計画に基づいてその後の荷物の輸送を行うことで、最新の情報を反映した輸送計画に基づき、より効率的な輸送を行うことができる。
【0046】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、サーバ40が、倉庫10から輸送先に向けて輸送する荷物に関する荷物情報12を取得し、荷物を輸送する輸送車両20に関する車両情報22を取得し、輸送車両を運転するドライバー30の労務に関する労務情報32を取得する。そして、サーバ40は、取得された労務情報から、厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断する。次に、サーバ40は、取得された荷物情報12および車両情報22と、判断された労務可能時間とに応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定し、決定された複数の結果に応じて、輸送計画を作成する。このため、厚生労働省が定めた法令に準拠して、ドライバーの労務可能時間を考慮した輸送計画を作成し、かつ、効率的な輸送を行うことができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、本発明は、サーバ40で実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、輸送車両を運転するドライバーの労務に関する労務情報から厚生労働省が定めた法令に準拠した、輸送当日のドライバーの労務可能時間を判断して、荷物情報と車両情報と労務可能時間と、に応じて、荷物と輸送車両とドライバーの組み合わせを決定し、輸送計画を作成することとしたので、法令準拠輸送計画作成システムとして好適である。
【符号の説明】
【0049】
10:倉庫
12:荷物情報
20:輸送車両
22:車両情報
30:ドライバー
32:労務情報
40:サーバ
42:プロセッサ
44:メモリ
46:ストレージ
48:荷物情報
48A:輸送日
48B:荷物名
48C:輸送期限
48D:倉庫情報
48E:輸送先
50:車両情報
50A:車種
50B:車格(車高/車幅/積載量)
50C:利用可能時間
52:労務情報
52A:拘束時間
52B:前日の運転時間
52C:1週間の運転時間
52D:連続運転時間
52E:連続休憩時間
54:法令
56:組み合わせ
58:輸送計画
60:輸送情報
62:通信部
70:第1取得手段
72:第2取得手段
74:第3取得手段
75:第4取得手段
76:判断手段
78:決定手段
80:作成手段
82:第1更新手段
84:出力手段
86:アラート手段
88:第2更新手段
100:法令準拠輸送計画作成システム