IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ステアリングホイール 図1
  • 特許-ステアリングホイール 図2
  • 特許-ステアリングホイール 図3
  • 特許-ステアリングホイール 図4
  • 特許-ステアリングホイール 図5
  • 特許-ステアリングホイール 図6
  • 特許-ステアリングホイール 図7
  • 特許-ステアリングホイール 図8
  • 特許-ステアリングホイール 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20220922BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B62D1/04
B60R16/027 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019138126
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021020560
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】明比 里実
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02866357(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0297606(US,A1)
【文献】特表2001-507655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086297(US,A1)
【文献】米国特許第04287621(US,A)
【文献】実開昭62-185176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 - 1/28
B60K 35/00 - 37/06
B60R 21/203
B60R 21/05
B60K 35/00
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵時、運転者が把持して回動中心軸回りに回動操作するように使用するステアリングホイールであって、
前記回動中心軸側に配設されるボス部と、
前記ボス部の周囲における前記回動中心軸の直交方向の外周縁側に配置されて、運転者が操舵時に把持可能な把持部を設けた外周縁部と、
前記ボス部の上方側を含めた前記外周縁部の前記ボス部側の全域を覆う中央部と、
を備えて構成され、
前記中央部が、前記外周縁部より前記回動中心軸に沿って上方側に突出する隆起部を備え、
該隆起部が、上面側に、復元可能として下方側へ凹み可能な弾性を有したクッション部、を配設させて構成されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記クッション部が、外表面側に布材を配設させていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記外周縁部と前記外周縁部の内側の前記隆起部とが、上方から見て、左右方向の幅寸法より、前後方向の幅寸法を小さくした略楕円形としていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記外周縁部が、上方から見て、前縁側の外形形状を、後縁側の外形形状より、曲率半径を大きくするような円弧状とした形状としていることを特徴とする請求項3に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記外周縁部が、前記把持部を全周に配設させて、
前記中央部の前記隆起部が、上方から見て、前記外周縁部の前縁との間の幅寸法より、前記外周縁部の後縁との間の幅寸法を広くして、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項6】
前記中央部の前記クッション部が、内側に空間部を設けて、前記隆起部の凸形状を形成する椀形状の弾性材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のステアリングホイール。
【請求項7】
前記中央部の内部に、前記クッション部の裏面側に所定画像を投影可能な投影装置が配設され、
前記隆起部の表面側に、前記投影装置により投影される前記画像を外表面側から視認可能としたシート材が、配設されていることを特徴とする請求項6に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操舵時、運転者が把持して回動中心軸回りに回動操作するように使用するステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールとしては、運転者が、直接、操舵しないときに、休息や仮眠等する際、枕を取付可能としたものあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平3-25375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のステアリングホイールでは、使用時に、ステアリングホイールと別体の枕を取り付けるものであり、休息時等に、手間がかかることとなっていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、煩雑な手間を不要として、枕のように使用でき、かつ、円滑に操舵操作に使用できるステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングホイールは、車両の操舵時、運転者が把持して回動中心軸回りに回動操作するように使用するステアリングホイールであって、
前記回動中心軸側に配設されるボス部と、
前記ボス部の周囲における前記回動中心軸の直交方向の外周縁側に配置されて、運転者が操舵時に把持可能な把持部を設けた外周縁部と、
前記ボス部の上方側を含めた前記外周縁部の前記ボス部側の全域を覆う中央部と、
を備えて構成され、
前記中央部が、前記外周縁部より前記回動中心軸に沿って上方側に突出する隆起部を備え、
該隆起部が、上面側に、復元可能として下方側へ凹み可能な弾性を有したクッション部、を配設させて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るステアリングホイールでは、運転者が、中央部の隆起部の上面側に頭部を載せれば、隆起部が弾力性のあるクッション部を上面側に配設させており、クッション部の弾力性により、運転者の頭部は、クッション性良く、隆起部に支持されて、運転者は、隆起部を枕のように使用できる。特に、隆起部を設けた中央部は、回転中心軸側のボス部の上方を含めて、運転者が操舵時に把持する把持部を設けた外周縁部の内側の全域を塞ぐように配設されて、上下を貫通するような開口を備えておらず、外周縁部の内側の全域を塞ぐような隆起部の上面側の全域で、運転者の頭部等を支持できて、快適に、中央部の隆起部を、枕のように使用できる。勿論、中央部におけるクッション部を設けた隆起部は、外周縁部の内側に配設されて、ステアリングホイール自体に配設されており、使用時に、別途、取り付けること無く使用できる。なお、操舵時に把持する把持部は、枕のように使用可能な隆起部の周囲の外周縁部に、配設されており、運転者は、把持部を把持して、円滑に、操舵することができる。
【0008】
したがって、本発明に係るステアリングホイールは、煩雑な取付作業等の手間を不要として、枕のように使用でき、かつ、円滑に、操舵操作に使用することができる。
【0009】
そして、本発明に係るステアリングホイールでは、前記クッション部が、外表面側に布材を配設させていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、クッション部が、外表面側の布材により、顔等が接しても、肌触りを良好にできることから、クッション部を設けた隆起部を、一層、好適に枕として使用できる。
【0011】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、前記外周縁部と前記外周縁部の内側の前記隆起部とが、上方から見て、左右方向の幅寸法より、前後方向の幅寸法を小さくした略楕円形としていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、左右方向の幅寸法を把持操作可能な幅寸法として、前後方向の幅寸法を狭めることができて、例えば、隆起部の上面側の左右両端付近に、左右の肘を載せて、さらに、左右の腕を重ね、腕枕状態として、運転者の頭部を乗せることができ、運転者の頭部を含めた上半身を、ステアリングホイールに預けるような状態とすることができて、運転者が好適に休息することができる。そして、前後方向の幅寸法が狭いことから、外周縁部の後縁側における運転者の大腿部等との干渉を抑制できて、例えば、シートの背もたれ部を後に倒しても、ステアリングホイールの外周縁部の後縁側が、運転者の大腿部と干渉し難くなって、運転者の休息時の姿勢の自由度を担保できる。
【0013】
このような構成の場合、前記外周縁部が、上方から見て、前縁側の外形形状を、後縁側の外形形状より、曲率半径を大きくするような円弧状とした形状としていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、外周縁部の後縁側において、左右両端に向かって、急激に前方に曲がる形状となることから、運転者の左右両膝近傍の大腿部付近の前方側付近となる外周縁部の後端の左右両側に、スペースが発生して、ステアリングホイールの外周縁部の後縁側における運転者の大腿部との干渉が抑制されて、一層、運転者の姿勢の自由度を担保できる。
【0015】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、前記外周縁部が、前記把持部を全周に配設させて、
前記中央部の前記隆起部が、上方から見て、前記外周縁部の前縁との間の幅寸法より、前記外周縁部の後縁との間の幅寸法を広くして、配設されていることが望ましい。
【0016】
このような構成では、外周縁部の前縁側の把持部が、前後方向の幅寸法を狭くしても、掌を、下向きにして、前縁側の把持部に載せるように被せ、そして、指を曲げれば、容易に、前縁側の把持部を把持できる。一方、外周縁部の後縁側の把持部では、掌を上向きにして、把持部を下方側から包むようにして、把持することとなり、その際、親指を把持部の上面側に載せると、把持を安定させることができて、その親指を載せるスペースが、外周縁部の後縁と隆起部との間の幅寸法を広くしていれば、容易に確保できて、外周縁部の後縁側の把持部を容易に把持できる。
【0017】
また、本発明に係るステアリングホイールでは、前記中央部の前記クッション部が、内側に空間部を設けて、前記隆起部の凸形状を形成する椀形状の弾性材料から形成されていることが望ましい。
【0018】
このような構成では、椀形状の弾性材料により、クッション部の弾性力を確保できて、密閉空間としたゴムボールとするような構造のクッション部と相違して、車室内の温度の影響を抑えて、安定したクッション部の弾力性を確保することができる。
【0019】
そしてこのような構成では、前記中央部の内部に、前記クッション部の裏面側に所定画像を投影可能な投影装置を配設し、前記隆起部の表面側に、前記投影装置により投影される前記画像を外表面側から視認可能としたシート材を、配設させてもよい。
【0020】
このような構成では、隆起部の表面側に、投影装置により投影される所定の画像を表示させることができて、ステアリングホイールの装飾効果を高めたり、運転者に所定の情報を伝達等することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のステアリングホイールの概略斜視図である。
図2】実施形態のステアリングホイールの平面図である。
図3】実施形態のステアリングホイールの側面図である。
図4】実施形態のステアリングホイールの底面図である。
図5】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のV-V部位を示す。
図6】実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のVI-VI部位を示す。
図7】実施形態のステアリングホイールの隆起部に、腕と肘とを載せて、運転者が休憩する状態を示す概略図である。
図8】実施形態のステアリングホイールの把持部を把持する状態を説明する平面図と底面図である。
図9】実施形態のステアリングホイールの他の部位の把持部を把持する状態を説明する平面図と底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のステアリングホイール10は、図1~6に示すように、操舵時の回動中心軸C1側に配設されるボス部23と、ボス部23の周囲における回動中心軸C1の直交方向の外周縁側に配置されて、運転者が操舵時に把持可能な把持部26を設けた外周縁部25と、ボス部23の上方側を含めた外周縁部25のボス部23側の全域を覆う中央部30と、を備えて構成されている。換言すれば、実施形態の場合、ボス部23は、中央部30の略中央領域における下面側に、配設されている。そして、実施形態のステアリングホイール10では、外周縁部25のボス部23側の全域を覆う中央部30は、指を差し込むような開口を設けていない構成として、配設されている。
【0023】
また、ステアリングホイール10は、ボス部23、外周縁部25、及び、中央部30を相互に連結するように、剛性を有した支持材11を内部に配設させている。支持材11は、ボス部23に配置されるボス側支持材部12と、外周縁部25に配置される外周縁側支持材部16と、中央部30に配置されて、外周縁側支持材部16とボス側支持材部12とを連結する連結部14と、から構成されている。支持材11は、剛性を有するように、アルミニウム等の軽合金や鋼材からなる金属材、あるいは、適宜、フィラー入りとしたポリプロピレン、ポリアミド、ABS樹脂等の合成樹脂材等からなり、鋳造や型成形等により、形成されている。
【0024】
ボス部23に配置されるボス側支持材部12は、回動中心軸C1と同軸上に配置される車体側の操舵軸1に連結されて、ステアリングホイール10の回転操舵時、操舵軸1を回動させる。また、ボス側支持材部12には、操舵軸1との結合強度を向上させるように、鋼等からなるボス芯材12aが配設されている。
【0025】
なお、操舵軸1には、その回動角度を検出する図示しないセンサが配設され、センサによる回転角度(操舵角)の電気信号を入力した図示しない所定の制御装置により、車両の操舵輪が操舵されることとなる。
【0026】
また、操舵軸1側には、回動中心軸C1とともに、操舵軸1のコラム角θc(図3参照)を調整可能なチルト機構3が配設されており、チルト機構3の操作レバー6のロック解除操作により、操舵軸1を支持するケース4の揺動中心軸5周りの停止状態を解除できて、操舵軸1のコラム角θcを調整できる。そして、操舵軸1のコラム角θcを所望の角度に調整したならば、操作レバー6をロック位置に復帰させて、ケース4を、調整した揺動中心軸5周りの角度位置で、停止させることができる。なお、このようなチルト機構3によるコラム角θcの調整では、操舵軸1の角度調整により、中央部30の後述するクッション部34の配置角度を調整できて、運転者MD(図5,6の二点鎖線参照)は、所望の配置角度のクッション部34により、休息できることとなる。
【0027】
支持材11の外周縁側支持材部16は、外周縁部25の全周に配置される環状として、環状凸部17と環状平坦部18とを備えて構成されている(図2,5,6参照)。環状凸部17は、回動中心軸C1に沿った下方側に突出して、外周縁部25の全周にわたって連なるように配設され、環状平坦部18は、環状凸部17の上面側に、外周縁部25の全周にわたって連なり、回動中心軸C1と略直交方向に連結部14側に平面状に延びるように、配設されている。そして、環状平坦部18の下面側における環状凸部17の内周側には、後述する被覆材20の被覆本体部21を介在させて、運転者MDの操舵時に把持部26を把持する際、指(人差し指F1、中指F2、薬指F3、小指F4)が収納凹部28内に進入して、親指F0や母指球DPMとで、円滑に、後述する把持本体部27を把持できるように(図8参照)、凹部16aが形成されている(図5,6参照)。
【0028】
連結部14は、ボス側支持材部12と外周縁側支持材部16とを連結する略楕円板状(詳しくは、略楕円形の椀形状)として、構成されている。連結部14には、適宜、上下を貫通する複数の貫通孔15が配設されて、被覆材20の被覆本体部21の形成材料を、貫通孔15を経て、連結部14の上面側と下面側とに流し可能とし、かつ、貫通孔15に充填される被覆本体部21の形成材料により、被覆本体部21の外周縁側支持材部16上や連結部14上でのずれが防止されている。
【0029】
支持材11の周囲には、感触を良好にするように、被覆材20が配設されている。被覆材20は、支持材11のボス側支持材部12、連結部14、及び、外周縁側支持材部16の外周を被覆する被覆本体部21と、外周縁部25の被覆本体部21の上面側に重なって配設される延設被覆部22と、から構成されている。被覆本体部21は、型成形等により、支持材11の周囲に配設されている。延設被覆部22は、把持部26(F,L,R)の上面側の部位であり、実施形態の場合、被覆本体部21と別体とした後述するクッション部34の縁34aの前縁34afと左右の縁34al,34ar付近から構成されて、運転者MDが操舵時に把持部26(F,L,R)を把持する際に、外周縁側支持材部16との間に介在されて、被覆本体部21とともに一体的に把持される部位となる。被覆材20の被覆本体部21は、硬質の支持材11と相違して、把持した際の感触を良好にするように、軟質としたウレタン等の合成樹脂材料から形成され、延設被覆部22も、同様に、支持材11より軟質のウレタン等の合成樹脂材料から形成されている。
【0030】
なお、実施形態では、運転者MDが把持し難い領域のボス側支持材部12やボス側支持材部12近傍の連結部14の周囲にも、外周縁側支持材部16を被覆した被覆材20の被覆本体部21を延設させているが、これらのボス側支持材部12やボス側支持材部12近傍の連結部14の周囲、特に、中央部30の下面側では、被覆材20の被覆本体部21でなく、別途、支持材11側に組み付けて配設させるポリアミド等の合成樹脂製のロアカバー、を配設させてもよい。
【0031】
そして、ステアリングホイール10の外周縁部25は、支持材11の外周縁側支持材部16を被覆材20により被覆させて形成されており、実施形態の場合、全周にわたって、把持部26を配設させている。把持部26は、運転者MD側の上面27aと、下面27cと、上面27aと下面27cとを連結する略円弧状の外周面27bと、を有した断面略円形とする把持本体部27を備えるとともに、連結部14に連なる下面27c側に、上方へ凹む収納凹部28を配設させて構成されている。
【0032】
なお、実施形態の場合、中央部30と外周縁部25との境界部位は、収納凹部28の領域としている。
【0033】
そして、中央部30は、外周縁部25より回動中心軸C1に沿って上方側に突出する隆起部32を備えている。隆起部32は、上面32a側に、復元可能として下方側へ凹み可能な弾性を有したクッション部34、を配設させている。実施形態の場合、隆起部32は、その全域をクッション部34から構成されている。
【0034】
このクッション部34は、透明なウレタンやシリコン等からなる内側層36と外側層37とを備えてなるクッション材35を配設させて構成されている。クッション材35の内側層36は、弾性変形可能で、かつ、形状保持性を有し、外側層37は、内側層36より柔らかく(人肌に近い柔軟性を有して)構成されている。実施形態では、内側層36の厚さ寸法t1を約2mm程度、外側層37の厚さ寸法t2を約15mm程度とし、内側層36の硬度を約35(ショアーA硬度)とし、外側層37の硬度を約0(アスカーC硬度)としている。
【0035】
さらに、実施形態では、クッション材35からなるクッション部34は、内側に、図示しない連通孔を有して大気に連通する空間部43を設けた椀形状として構成され、外表面には、ソフトな触感となるように、織布や不織布等の布材(ファブリック)からなるシート材39が、貼着されている。シート材39は、具体的には、運転者MDの顔が触れても、良好な感触となるように、枕やクッションのカバー材、あるいは、ベッドやソファ等の張り布等の布材から構成されている。また、このシート材39は、ある程度の透光性を有して、後述する投影装置50から投影される画像Fを、裏面39b側に投影させて、シート材39の表面39a側から視認できるように構成されている。
【0036】
そして、実施形態の場合、クッション部34(隆起部32)は、外周縁部25の把持部26の把持本体部27における外周面27b側から、略半割り楕円球状に隆起するように、配設されている。ちなみに、このクッション部34(隆起部32)は、ボス部23のボス芯材12aにおける回動中心軸C1に沿った上方位置より、僅かに前方側にずれた位置を頂部33として、緩やかな曲面状に隆起する形状として、下端を被覆本体部21の上面側に固着させて、配設されている。
【0037】
また、実施形態の場合、図2に示すように、外周縁部25は、上方から見て、左右方向の幅寸法WHより、前後方向の幅寸法WLを小さくした略楕円形としている。特に、外周縁部25が、上方から見て、前縁25a側の外形形状を、後縁25b側の外形形状より、曲率半径を大きくするような円弧状とした形状としている(前縁25a側の曲率半径rf>後縁25b側の曲率半径rb)。なお、実施形態では、左右方向の幅寸法WHを約380mm、前後方向の幅寸法WLを約200mmとしている。
【0038】
外周縁部25の内側の隆起部32も、上方から見て、左右方向の幅寸法より、前後方向の幅寸法を小さくした略楕円形としている。特に、隆起部32は、図2,3に示すように、上方から見て、外周縁部25の前縁25aとの間の幅寸法Bfより、外周縁部25の後縁25bとの間の幅寸法Bbを広くして、配設されている。実施形態の場合、隆起部32における外周縁部25の前縁25aとの間の幅寸法Bfは、殆ど、0としている。
【0039】
クッション部34に覆われた中央部30の内部には、支持材11に支持されて、投影装置50が配設されている。投影装置50は、透明なクッション部34を透過して、シート材39の裏面39b側に、所定の画像GF(図1の二点鎖線参照)を投影するものであり、実施形態の場合、LEDマトリクスパネルを使用して、シート材39の裏面39b側に、時刻表示やリラックスできるような動画等の画像GFを投影させるように構成されている。
【0040】
また、クッション部34の左右両縁には、押圧操作して、ホーンを作動させたり、オーディオ装置を操作できる操作スイッチ53,54が配設されている(図2,6参照)。
【0041】
実施形態のステアリングホイール10では、操舵時、運転者MDは、例えば、図8のA,Bに示すように、外周縁部25の左右の縁25c,25d側の把持部26L,26Rにおいて、運転者MDの左右の手DH(L,R)の親指F0から母指球DPM付近を、上面27aに載せて、指(人差し指F1、中指F2、薬指F3、小指F4)を曲げれば、収納凹部28付近までの把持本体部27の外周面27bから下面27c側までの領域を把持することができて、容易に、ステアリングホイール10の回動操作を行うことができる。
【0042】
そして、実施形態のステアリングホイール10では、運転者MDが、図5,6の二点鎖線に示すように、中央部30の隆起部32の上面32a側に頭部MHを載せれば、隆起部32が弾力性のあるクッション部34を上面32a側に配設させており、クッション部34の弾力性により、運転者MDの頭部MHは、クッション性良く、隆起部32に支持されて、運転者MDは、隆起部32を枕のように使用できる。特に、隆起部32を設けた中央部30は、図2,5,6に示すように、回動中心軸C1側のボス部23の上方を含めて、運転者MDが操舵時に把持する把持部26を設けた外周縁部25の内側の全域を塞ぐように配設されて、上下を貫通するような開口を備えておらず、外周縁部25の内側の全域を塞ぐような隆起部32の上面32a側の全域で、運転者MDの頭部MH等を支持できて、快適に、中央部30の隆起部32を、枕のように使用できる。勿論、中央部30におけるクッション部34を設けた隆起部32は、外周縁部25の内側に配設されて、ステアリングホイール10自体に配設されており、使用時に、別途、取り付けること無く使用できる。なお、操舵時に把持する把持部26は、枕のように使用可能な隆起部32の周囲の外周縁部25に、配設されており、運転者MDは、既述したように、把持部26を把持して、円滑に、操舵することができる。
【0043】
したがって、実施形態のステアリングホイール10は、煩雑な取付作業等の手間を不要として、枕のように使用でき、かつ、円滑に、操舵操作に使用することができる。
【0044】
そして、実施形態のステアリングホイール10では、クッション部34が、外表面側に布材からなるシート材39を配設させている。
【0045】
そのため、実施形態では、クッション部34が、外表面側の布材からなるシート材39により、顔等が接しても、肌触りを良好にできることから、クッション部34を設けた隆起部32を、一層、好適に枕として使用できる。
【0046】
また、実施形態のステアリングホイール10では、外周縁部25と外周縁部25の内側の隆起部32とが、上方から見て、左右方向の幅寸法WHより、前後方向の幅寸法WLを小さくした略楕円形としている(図2参照)。
【0047】
そのため、実施形態では、左右方向の幅寸法WHを把持操作可能な幅寸法として、前後方向の幅寸法WLを狭めることができて、例えば、図7に示すように、隆起部32の上面32a側の左右両端25c,25d付近に、左右の肘ME(L,R)を載せて、左右の腕MA(L,R)を重ね、そして、腕枕状態として、運転者MDの頭部MHを乗せることができ、運転者MDの頭部MHを含めた上半身を、ステアリングホイール10に預けるような状態とすることができて、運転者MDが好適に休息することができる。そして、前後方向の幅寸法MLが狭いことから、外周縁部25の後縁25b側における運転者MDの大腿部MF(L,R)等との干渉を抑制できて、例えば、シートの背もたれ部を後に倒しても、ステアリングホイール10の外周縁部25の後縁25b側が、運転者MDの大腿部MF(L,R)(図2の二点鎖線参照)と干渉し難くなって、運転者MDの休息時の姿勢の自由度を担保できる。
【0048】
特に、実施形態では、外周縁部25が、上方から見て、前縁25a側の外形形状を、後縁25b側の外形形状より、曲率半径を大きくするような円弧状とした形状(前縁25a側の曲率半径rf>後縁25b側の曲率半径rb)としている(図2,4参照)。
【0049】
そのため、実施形態のステアリングホイール10では、外周縁部25の後縁25b側において、左右両端25c,25dに向かって、急激に前方に曲がる形状となることから、運転者MDの左右両膝近傍の大腿部MF(L,R)付近の前方側付近となる外周縁部25の後端25bcの左右両側に、スペースS(L,R)が発生して、ステアリングホイール10の外周縁部25の後縁25b側における運転者MDの大腿部MF(L,R)との干渉が抑制されて、一層、運転者MDの姿勢の自由度を担保できる。
【0050】
また、実施形態のステアリングホイール10では、外周縁部25が、把持部26を全周に配設させて、中央部30の隆起部32が、上方から見て、外周縁部25の前縁25aとの間の幅寸法Bfより、外周縁部25の後縁25bとの間の幅寸法Bbを広くして、配設されている(図2,3参照)。
【0051】
そのため、実施形態では、図9に示すように、外周縁部25の前縁25a側の把持部26Fが、前後方向の幅寸法Bfを狭くしても、手DH(L,R)の掌DPを、下向きにして、前縁25a側の把持部26Fに載せるように被せ、そして、指(人差し指F1、中指F2、薬指F3、小指F4)を曲げれば、容易に、前縁25a側の把持部26Fを把持できる。一方、外周縁部25の後縁25b側の把持部26Bでは、掌DPを上向きにして、把持部26Bを下方側から包むようにして、把持することとなり、その際、親指F0を把持部26Bの上面27a側に載せると、把持を安定させることができて、その親指F0を載せるスペースが、外周縁部25の後縁25bと隆起部32との間の幅寸法Bbを広くしていれば、容易に確保できて、外周縁部25の後縁25b側の把持部26Bを容易に把持できる。
【0052】
また、実施形態のステアリングホイール10では、中央部30のクッション部34が、内側に空間部43を設けて、隆起部32の凸形状を形成する椀形状の弾性材料(クッション材)35から形成されている。
【0053】
このような構成では、椀形状の弾性材料としてのクッション材35により、クッション部34の弾性力を確保できて、密閉空間としたゴムボールとするような構造のクッション部と相違して、車室内の温度の影響を抑えて、安定したクッション部34の弾力性を確保することができる。
【0054】
そしてさらに、実施形態では、中央部30の内部に、クッション部34の裏面側に所定画像GFを投影可能な投影装置50を配設し、隆起部32の表面(上面)32a側に、投影装置50により投影される画像を外表面39a側から視認可能としたシート材39を、配設させている。
【0055】
そのため、実施形態では、図1の二点鎖線に示すように、隆起部32の表面32a側に、投影装置50により投影される所定の画像GFを表示させることができて、ステアリングホイール10の装飾効果を高めたり、運転者MDに所定の情報を伝達等することが可能となる。
【0056】
なお、実施形態の画像GFでは、時刻を表示するものとしたが、他に、リラックスできる動画等を表示してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…ステアリングホイール、23…ボス部、25…外周縁部、25a…前縁、25b…後縁、26(L,R,F,B)…把持部、30…中央部、32…隆起部、32a…上面・表面、34…クッション部、35…(弾性材料)クッション材、39…(布材)シート材、43…空間部、50…投影装置、
C1…回動中心軸、MD…運転者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9