(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】土壤ガスサンプルを採取するための携帯式採取装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20220922BHJP
E21B 43/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G01N1/22 U
G01N1/22 B
E21B43/00 A
(21)【出願番号】P 2022071989
(22)【出願日】2022-04-25
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】202210220772.0
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】張亜
(72)【発明者】
【氏名】応蓉蓉
(72)【発明者】
【氏名】李勗之
(72)【発明者】
【氏名】王磊
(72)【発明者】
【氏名】王薦
(72)【発明者】
【氏名】王国慶
(72)【発明者】
【氏名】陸暁松
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-184105(JP,A)
【文献】特開2001-318167(JP,A)
【文献】実開昭62-126747(JP,U)
【文献】中国実用新案第211697132(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壤ガスサンプルを採取するための携帯式採取装置であって、
支持手段(1)と、安定化手段(2)と、掘削手段(3)と、採取手段(4)とを含み、
前記支持手段(1)は、支持底板(11)と、前記支持底板(11)の上面の中心に位置
する支持台(12)とを含み、前記支持底板(11)の中心には、上下方向に貫通してい
る第1貫通孔(111)が設けられ、前記支持台(12)は上下方向に貫通している構造
であり、かつ前記第1貫通孔(111)の上方に位置し、支持台(12)の頂部には、上
下方向に貫通しているサンプリング用拘束チューブ(13)が固定して設けられ、前記サ
ンプリング用拘束チューブ(13)の側面には、その軸方向に沿って延びている複数のス
ロット(131)が設けられ、
前記安定化手段(2)は、前記支持底板(11)の上面縁部に固定された複数の安定化ハ
ウジング(21)を含み、安定化ハウジング(21)内の上部には固定ブロック(22)
が設けられ、安定化ハウジング(21)内の中央部にはネジ式拘束シリンダ(23)が設
けられ、前記ネジ式拘束シリンダ(23)の内側壁に雌ネジが加工されており、ネジ式拘
束シリンダ(23)の雌ネジに中空ネジ式エジェクタ(24)が伝動可能に設けられ、
前記固定ブロック(22)の上面に駆動モータ(25)が固定して設けられ、前記駆動モ
ータ(25)の出力端が固定ブロック(22)の中央部に設けられた第2貫通孔(221
)まで延びてから回動ブロック(26)に接続され、前記回動ブロック(26)は固定ブ
ロック(22)の第2貫通孔(221)に設けられた回転溝(222)に回動可能に接続
され、回動ブロック(26)の底部に連結棒(27)が固定して設けられ、前記連結棒(
27)の両側に制限ボス(271)が設けられ、連結棒(27)は前記ネジ式エジェクタ
(24)に上下摺動可能に接続され、ネジ式エジェクタ(24)の下端にオーガーボーリ
ングロッド(28)が固定して設けられ、前記支持底板(11)には前記安定化ハウジン
グ(21)の内部に連通している第3貫通孔(112)が設けられ、
前記掘削手段(3)は、前記支持底板(11)の上方に設けられた複数の電気押し棒(3
1)を含み、支持底板(11)の上面の前記第1貫通孔(111)側に上下方向に延びて
いる一対の押し棒用支持板(32)が固定して設けられ、前記電気押し棒(31)の一端
はリビングヒンジを介して前記押し棒用支持板(32)の先端寄りの位置に接続され、電
気押し棒(31)の他端は、前記サンプリング用拘束チューブ(13)の外側に上下摺動
可能に嵌合された係止手段(33)に固定して接続され、
前記係止手段(33)は、同軸で固定して接続された内側摺動円筒体(331)と外側摺
動円筒体(332)を含み、前記内側摺動円筒体(331)は前記サンプリング用拘束チ
ューブ(13)の外側面に滑り嵌めし、内側摺動円筒体(331)の側面には上下方向に
延びている摺動溝(333)を有し、前記摺動溝(333)の数及び位置は前記スロット
(131)と同じであり、前記外側摺動円筒体(332)の内側壁には、リビングヒンジ
を介して係止ブロック連結棒(34)が接続され、前記係止ブロック連結棒(34)の他
端にはリビングヒンジを介して係止ブロック(35)が接続され、係止ブロック連結棒(
34)のうち前記係止ブロック(35)に接続された一端は、外側摺動円筒体(332)
の内側壁に接続された一端よりも低く、かつ斜め下方へ延びている姿勢を示し、外側摺動
円筒体(332)の内側壁と係止ブロック連結棒(34)との間に電気伸縮ロッド(36
)が接続され、前記電気伸縮ロッド(36)の両端はリビングヒンジを介して外側摺動円
筒体(332)の内側壁及び係止ブロック連結棒(34)に接続され、係止ブロック連結
棒(34)と外側摺動円筒体(332)の内側壁との接続点、電気伸縮ロッド(36)と
外側摺動円筒体(332)の内側壁との接続点、及び電気伸縮ロッド(36)と係止ブロ
ック連結棒(34)との接続点により可変な三角形構造が形成され、
前記採取手段(4)は、突き合わせられた複数の採取ロッド(41)を含み、前記採取ロ
ッド(41)は前記サンプリング用拘束チューブ(13)内に上下摺動可能に拘束され、
採取ロッド(41)は上下方向に貫通している中空構造であり、採取ロッド(41)内に
は、それと同軸であるガス収集チューブ(42)が固定して設けられ、採取ロッド(41
)の内側壁のうち上端寄りの位置には止めリング(43)が固定して設けられ、採取ロッ
ド(41)の内側壁のうち下端寄りの位置には拘束ブロック(44)が固定して設けられ
、前記拘束ブロック(44)は採取ロッド(41)の周方向に複数均等に配置され、前記
拘束ブロック(44)には、上下方向に貫通している第4貫通孔(441)を有し、前記
第4貫通孔(441)の内側には係合連結棒(45)が滑り嵌めするように設けられ、前
記係合連結棒(45)の下端に係合ブロック(451)を有し、止めリング(43)には
、上下方向に貫通している取り外しスロット(431)が設けられ、前記取り外しスロッ
ト(431)と係合連結棒(45)の数が同じであり、
前記採取ロッド(41)の側面に第5貫通孔(411)が設けられ、前記第5貫通孔(4
11)は前記拘束ブロック(44)の上方に位置し、第5貫通孔(411)内には回転軸
(46)が遊び嵌めして設けられ、前記回転軸(46)のうち採取ロッド(41)の外部
に位置する一端にノブ(47)が設けられ、採取ロッド(41)の内部に位置する一端に
偏心カム(48)が設けられ、前記偏心カム(48)の上方に突き出しプレート(49)
が設けられ、前記係合連結棒(45)の先端が前記突き出しプレート(49)に固定して
接続され、突き出しプレート(49)は偏心カム(48)に突き出されて接触するように
嵌合
し、
最も下方にある前記採取ロッド(41)の下端には逆円錐状の採取部(6)を有し、前記
採取部(6)の外側面に上下方向に延びている複数の閉鎖孔(61)を有し、採取部(6
)の側壁の内部に通気ホース(62)を有し、前記採取ロッド(41)の内側壁に中空の
ガス収集緩衝リング(63)が固定して設けられ、前記通気ホース(62)の一端は前記
閉鎖孔(61)に連通し、前記通気ホース(62)の他端は前記ガス収集緩衝リング(6
3)の内部に連通し、前記ガス収集緩衝リング(63)は配管(64)を介して前記ガス
収集チューブ(42)に連通し、前記採取部(6)の内部にシールコーン(65)が設け
られ、前記シールコーン(65)には複数の閉鎖嵌合ブロック(66)を有し、前記閉鎖
嵌合ブロック(66)は前記閉鎖孔(61)に埋設され、前記採取部(6)内にシールコ
ーン支持板(67)が固定して設けられ、前記シールコーン支持板(67)の下端にシー
ルコーン用伸縮ロッド(68)が固定して設けられ、前記シールコーン用伸縮ロッド(6
8)の他端は前記シールコーン(65)の上端に固定して接続される、ことを特徴とする
携帯式採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壤ガス採取の技術分野に関し、具体的には、土壤ガスサンプルを採取するた
めの携帯式採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壤ガスとは、土壤の隙間に存在するガスのことであり、流動性が悪く、ガスの特性が土
壤の物理化学的特性により大きく影響することを特徴とし、一般的には、主に大気中の酸
素を吸収して、土壤の呼吸により生成された二酸化炭素を大気に排出する。
【0003】
土壤ガスのサンプリング方法には、主として、密閉チャンバー法、拡散瓶法、中空管法な
どがあるが、これらの方法のいずれにも欠点があり、密閉チャンバー法は、体積が大きす
ぎるので、輸送しにくく、結果として、室外でのサンプリングへ普及させにくく、拡散瓶
法は、土壤の物理的性状を深刻に破壊するので、確実に土壤ガスの特徴を反映できず、中
空管法は、挿入か掘削かにかかわらず、土壌の奥まで到達するのに外力を必要とし、土壤
の物理的性状を深刻に破壊し、また、ガス吸引過程においてタイミングが厳しく要求され
、このため、ガスの採取効率が低く、このため、土壤ガスサンプルの携帯式採取装置を開
発することは実用的な意義があり、従来の密閉チャンバーは、体積が大きく、重量が大き
く、輸送しにくく、ステンレス鋼製のチャンバーの加工コストが高いに加えて、各種の実
験誤差の要素、例えばチャンバーの内外の気圧のばらつきにより観察精度を低下させてし
まう。
【発明の概要】
【0004】
土壤ガスサンプルを採取するための携帯式採取装置であって、支持手段と、安定化手段と
、掘削手段と、採取手段とを含み、
支持手段は、支持底板と、支持底板の上面の中心に位置する支持台とを含み、支持底板の
中心には、上下方向に貫通している第1貫通孔が設けられ、支持台は上下方向に貫通して
いる構造であり、かつ第1貫通孔の上方に位置し、支持台の頂部には、上下方向に貫通し
ているサンプリング用拘束チューブが固定して設けられ、サンプリング用拘束チューブの
側面には、その軸方向に沿って延びている複数のスロットが開けられ、
安定化手段は、支持底板の上面縁部に固定された複数の安定化ハウジングを含み、安定化
ハウジング内の上部には固定ブロックが設けられ、安定化ハウジング内の中央部にはネジ
式拘束シリンダが設けられ、ネジ式拘束シリンダの内側壁に雌ネジが加工されており、ネ
ジ式拘束シリンダの雌ネジに中空ネジ式エジェクタが伝動可能に設けられ、
固定ブロックの上面に駆動モータが固定して設けられ、駆動モータの出力端が固定ブロッ
クの中央部に設けられた第2貫通孔まで延びてから回動ブロックに接続され、回動ブロッ
クは固定ブロックの第2貫通孔に設けられた回転溝に回動可能に接続され、回動ブロック
の底部に連結棒が固定して設けられ、連結棒の両側に制限ボスが設けられ、連結棒はネジ
式エジェクタに上下摺動可能に接続され、ネジ式エジェクタの下端にオーガーボーリング
ロッドが固定して設けられ、支持底板には安定化ハウジングの内部に連通している第3貫
通孔が設けられ、
掘削手段は、支持底板の上方に設けられた複数の電気押し棒を含み、支持底板の上面の第
1貫通孔側に上下方向に延びている一対の押し棒用支持板が固定して設けられ、電気押し
棒の一端はリビングヒンジを介して押し棒用支持板の先端寄りの位置に接続され、電気押
し棒の他端は、サンプリング用拘束チューブの外側に上下摺動可能に嵌合された係止手段
に固定して接続され、
係止手段は、同軸で固定して接続された内側摺動円筒体と外側摺動円筒体を含み、内側摺
動円筒体はサンプリング用拘束チューブの外側面に滑り嵌めし、内側摺動円筒体の側面に
は上下方向に延びている摺動溝を有し、摺動溝の数及び位置はスロットと同じであり、外
側摺動円筒体の内側壁には、リビングヒンジを介して係止ブロック連結棒が接続され、係
止ブロック連結棒の他端にはリビングヒンジを介して係止ブロックが接続され、係止ブロ
ック連結棒のうち係止ブロックに接続された一端は、外側摺動円筒体の内側壁に接続され
た一端よりも低く、かつ斜め下方へ延びている姿勢を示し、外側摺動円筒体の内側壁と係
止ブロック連結棒との間に電気伸縮ロッドが接続され、電気伸縮ロッドの両端はリビング
ヒンジを介して外側摺動円筒体の内側壁及び係止ブロック連結棒に接続され、係止ブロッ
ク連結棒と外側摺動円筒体の内側壁との接続点、電気伸縮ロッドと外側摺動円筒体の内側
壁との接続点、及び電気伸縮ロッドと係止ブロック連結棒との接続点により可変な三角形
構造が形成され、
採取手段は、突き合わせられた複数の採取ロッドを含み、採取ロッドはサンプリング用拘
束チューブ内に上下摺動可能に拘束され、採取ロッドは上下方向に貫通している中空構造
とされており、採取ロッド内には、それと同軸であるガス収集チューブが固定して設けら
れ、採取ロッドの内側壁のうち上端寄りの位置には止めリングが固定して設けられ、採取
ロッドの内側壁のうち下端寄りの位置には拘束ブロックが固定して設けられ、拘束ブロッ
クは採取ロッドの周方向に複数均等に配置され、拘束ブロックには、上下方向に貫通して
いる第4貫通孔を有し、第4貫通孔の内側には係合連結棒が滑り嵌めするように設けられ
、係合連結棒の下端に係合ブロックを有し、止めリングには、上下方向に貫通している取
り外しスロットが設けられ、取り外しスロットと係合連結棒の数が同じであり、
採取ロッドの側面に第5貫通孔が設けられ、第5貫通孔は拘束ブロックの上方に位置し、
第5貫通孔内には回転軸が遊び嵌めして設けられ、回転軸のうち採取ロッドの外部に位置
する一端にノブが設けられ、採取ロッドの内部に位置する一端に偏心カムが設けられ、偏
心カムの上方に突き出しプレートが設けられ、係合連結棒の先端が突き出しプレートに固
定して接続され、突き出しプレートは偏心カム(48)に突き出されて接触するように嵌合
する、携帯式採取装置を提供する。
【0005】
本発明の一態様として、安定化ハウジングは4つ均等に分散して配置されており、スロッ
トはサンプリング用拘束チューブの周方向に4つ均等に配置されており、拘束ブロックの
数は4つである。
【0006】
本願では、安定化ハウジングが4つ設けられることによって、安定性が十分に確保される
とともに、使用される材料が最も少なく、経済性が最も優れており、さらに、スロットが
4つ設けられることによって、採取手段に対して十分な挟持作用が果たされるとともに、
使用される材料が最も少なく、経済性が最も優れており、拘束ブロックの配置数は、これ
と嵌合するスロットの数と同じである。
【0007】
本発明の一態様として、一対の押し棒用支持板の互いに離間した側面に、複数枚の安定化
補強板が固定して設けられ、係止ブロックの側面には滑り止めガスケットが固定して設け
られ、サンプリング用拘束チューブの内側壁の上端及び下端に接近して方向拘束リングが
それぞれ固定して設けられる。
【0008】
本願では、方向拘束リングは、採取ロッドの外側壁の摩擦抵抗力を減少させながら、地下
の奥まで到達したときに採取ロッドの方向性を良好なものとする。
【0009】
本発明の一態様として、ガス収集チューブの下端には、外側面が逆円錐面である円錐状コ
ネクタが固定して設けられ、ガス収集チューブの上端には、内側面が逆円錐面である円錐
状嵌合コネクトが固定して設けられ、円錐状コネクタの外側面にシールリング収容溝を有
し、シールリング収容溝にシールリングが設けられ、円錐状コネクタの外円錐面と円錐状
嵌合コネクトの内円錐面が締まり嵌めして接続され、ガス収集チューブの外側面のうち下
端に近い位置に制限リングが固定して設けられる。
【0010】
本願では、2つのガス収集チューブが互いにシールして接続されることによって、ガスを
輸送するときに漏れを回避するとともに、接続効果を良好にする。
【0011】
本発明の一態様として、安定化ハウジングの頂部にカバーが固定して設けられ、カバーの
中心には、採取手段が通過するための第6貫通孔が設けられ、カバーの上面において複数
のガス収集真空瓶が第6貫通孔を取り囲んで設けられ、ガス収集真空瓶の一方の側に吸気
口を有し、吸気口に吸気弁が接続され、吸気弁にはガス収集分岐管が接続され、ガス収集
分岐管の他端はカバーの内部に配置され、ガス収集分岐管の末端にガス収集マニホールド
が接続され、ガス収集マニホールドはガス収集チューブに連通し、ガス収集分岐管には開
閉弁を有する。
【0012】
本願では、複数のガス収集真空瓶を用いることにより、異なる位置での土壤ガスサンプル
をそれぞれ収集することができ、かつ収集が容易である。
【0013】
本発明の一態様として、採取ロッドの上下端面ともに少なくとも1つの半ネジ孔を有し、
係合連結棒において拘束ブロックの下方に位置する部分にバネ受けが固定して設けられ、
バネ受けと拘束ブロック下端との間にバネが弾設される。
【0014】
本願では、2本の採取ロッドが接続されると、半ネジ孔同士が1つの完全なネジ孔を構成
し、対応するスクリューがネジ孔に螺入されると、隣接する採取ロッド間でのねじり変位
の発生が回避される。
【0015】
本発明の一態様として、最も下方にある採取ロッドの下端には逆円錐状の採取部を有し、
採取部の外側面に上下方向に延びている複数の閉鎖孔を有し、採取部の側壁の内部に通気
ホースを有し、採取ロッドの内側壁に中空のガス収集緩衝リングが固定して設けられ、通
気ホースの一端は閉鎖孔に連通し、通気ホースの他端はガス収集緩衝リングの内部に連通
し、ガス収集緩衝リングは配管を介してガス収集チューブに連通し、採取部の内部にシー
ルコーンが設けられ、シールコーンには複数の閉鎖嵌合ブロックを有し、閉鎖嵌合ブロッ
クは閉鎖孔に埋設され、採取部内にシールコーン支持板が固定して設けられ、シールコー
ン支持板の下端にシールコーン用伸縮ロッドが固定して設けられ、シールコーン用伸縮ロ
ッドの他端はシールコーンの上端に固定して接続される。
【0016】
本願では、採取ロッドの最下端は逆円錐状の採取部であり、かつ閉鎖嵌合ブロックを介し
て閉鎖孔と互いに嵌合し、これにより、泥や土壌による通気ホースの詰まりが回避される
。
【0017】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0018】
(1)本発明に係る携帯式採取装置は、構造の設計が合理的であり、操作されやすく、全
体として素早く解体されたり組み立てられたりすることができ、輸送も持ち運びも容易で
あり、適用できる場面が多く、さまざまな環境で土壤ガスを採取することができ、土壤ガ
スを採取する際に装置全体の安定性に優れ、突き合わせ型採取管により、必要に応じて所
望の位置の土壤ガス試料を精度よく採取することができ、自己開閉型採取部により、詰ま
りのような問題が効果的に回避される。
【0019】
(2)本発明に係る携帯式採取装置では、安定化手段が設けられることによって、土壤ガ
スを採取するときの安定性がさらに向上し、係合連結棒及び偏心カムが設けられることに
よって、2つの採取ロッドの間の接続強度が補強され、土壤ガスを採取するときに2つの
採取ロッドが切断されたりすることが回避され、作業効率が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る携帯式採取装置全体の構造概略図である。
【
図2】本発明に係る携帯式採取装置の上面図である。
【
図3】本発明に係る携帯式採取装置の掘削手段の構造概略図である。
【
図4】本発明に係る携帯式採取装置の係止手段の内部構造の概略図である。
【
図5】本発明に係る携帯式採取装置の安定化手段の内部構造の概略図である。
【
図6】本発明に係る携帯式採取装置の固定ブロックの内部構造の概略図である。
【
図7】本発明に係る携帯式採取装置の連結棒とネジ式エジェクタとの接続部の断面図である。
【
図8】本発明に係る携帯式採取装置の採取手段の構造概略図である。
【
図9】本発明に係る携帯式採取装置の2つの採取ロッドの接続構造の概略図である。
【
図10】本発明に係る携帯式採取装置の係合連結棒及びその接続構造の概略図である。
【
図11】本発明に係る携帯式採取装置の採取部の内部構造の概略図である。
【
図12】本発明に係る携帯式採取装置のカバー及びガス収集真空瓶の構造概略図である。
【
図13】本発明に係る携帯式採取装置のカバー及びガス収集真空瓶の内部構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施例1
図1、
図4に示すように、土壤ガスサンプルを採取するための携帯式採取装置は、支持手
段1と、安定化手段2と、掘削手段3と、採取手段4とを含み、
図1、
図3に示すように、支持手段1は、支持底板11と、支持底板11の上面の中心に
位置する支持台12とを含み、支持底板11の中心には、上下方向に貫通している第1貫
通孔111が設けられ、支持台12は上下方向に貫通している構造であり、かつ第1貫通
孔111の上方に位置し、支持台12の頂部には、上下方向に貫通しているサンプリング
用拘束チューブ13が固定して設けられ、サンプリング用拘束チューブ13の側面には、
その軸方向に沿って延びている4つのスロット131が開けられ、
図2、
図5~7に示すように、安定化手段2は、支持底板11の上面縁部に固定された4
つの安定化ハウジング21を含み、安定化ハウジング21内の上部には固定ブロック22
が設けられ、安定化ハウジング21内の中央部にはネジ式拘束シリンダ23が設けられ、
ネジ式拘束シリンダ23の内側壁に雌ネジが加工されており、ネジ式拘束シリンダ23の
雌ネジに中空のネジ式エジェクタ24が可動可能に設けられ、固定ブロック22の上面に
駆動モータ25が固定して設けられ、駆動モータ25は市販の減速モータであり、駆動モ
ータ25の出力端が固定ブロック22の中央部に設けられた第2貫通孔221まで延びて
から回動ブロック26に接続され、回動ブロック26は固定ブロック22の第2貫通孔2
21に設けられた回転溝222に回動可能に接続され、回動ブロック26の底部に連結棒
27が固定して設けられ、連結棒27の両側に制限ボス271が設けられ、連結棒27は
ネジ式エジェクタ24に上下摺動可能に接続され、ネジ式エジェクタ24の下端にオーガ
ーボーリングロッド28が固定して設けられ、支持底板11には安定化ハウジング21の
内部に連通している第3貫通孔112が設けられ、
図2~4に示すように、掘削手段3は、支持底板11の上方に設けられた複数の電気押し
棒31を含み、電気押し棒31は市販の電気押し棒であり、支持底板11の上面の第1貫
通孔111側に上下方向に延びている一対の押し棒用支持板32が固定して設けられ、一
対の押し棒用支持板32の互いに離間した側面に、複数枚の安定化補強板321が固定し
て設けられ、電気押し棒31の一端はリビングヒンジを介して押し棒用支持板32の先端
寄りの位置に接続され、電気押し棒31の他端はサンプリング用拘束チューブ13の外側
に上下摺動可能に嵌合された係止手段33に固定して接続され、係止手段33は、同軸で
固定して接続された内側摺動円筒体331と外側摺動円筒体332を含み、内側摺動円筒
体331はサンプリング用拘束チューブ13の外側面に滑り嵌めし、内側摺動円筒体33
1の側面には上下方向に延びている摺動溝333を有し、摺動溝333の数及び位置はス
ロット131と同じであり、外側摺動円筒体332の内側壁には、リビングヒンジを介し
て係止ブロック連結棒34が接続され、係止ブロック連結棒34の他端にはリビングヒン
ジを介して係止ブロック35が接続され、係止ブロック連結棒34のうち係止ブロック3
5に接続された一端は、外側摺動円筒体332の内側壁に接続された一端よりも低く、か
つ斜め下方へ延びている姿勢を示し、外側摺動円筒体332の内側壁と係止ブロック連結
棒34との間に電気伸縮ロッド36が接続され、電気伸縮ロッド36の両端はリビングヒ
ンジを介して外側摺動円筒体332の内側壁及び係止ブロック連結棒34に接続され、係
止ブロック連結棒34と外側摺動円筒体332の内側壁との接続点、電気伸縮ロッド36
と外側摺動円筒体332の内側壁との接続点、及び電気伸縮ロッド36と係止ブロック連
結棒34との接続点により可変な三角形構造が形成され、係止ブロック35の側面には滑
り止めガスケット351が固定して設けられ、サンプリング用拘束チューブ13の内側壁
の上端及び下端に接近して方向拘束リング132がそれぞれ固定して設けられ、電気伸縮
ロッド36は市販の電気伸縮ロッドであり、
図8~10に示すように、採取手段4は、突き合わせられた複数の採取ロッド41を含み
、採取ロッド41はサンプリング用拘束チューブ13内に上下摺動可能に拘束され、採取
ロッド41は上下方向に貫通している中空構造とされており、採取ロッド41内には、そ
れと同軸であるガス収集チューブ42が固定して設けられ、採取ロッド41の内側壁のう
ち上端寄りの位置には止めリング43が固定して設けられ、採取ロッド41の内側壁のう
ち下端寄りの位置には拘束ブロック44が固定して設けられ、拘束ブロック44は採取ロ
ッド41の周方向に4つ均等に配置され、拘束ブロック44には、上下方向に貫通してい
る第4貫通孔441を有し、第4貫通孔441の内側には係合連結棒45が滑り嵌めする
ように設けられ、係合連結棒45の下端に係合ブロック451を有し、止めリング43に
は、上下方向に貫通している取り外しスロット431が設けられ、取り外しスロット43
1と係合連結棒45との数が同じであり、ガス収集チューブ42の下端には、外側面が逆
円錐面である円錐状コネクタ421が固定して設けられ、ガス収集チューブ42の上端に
は、内側面が逆円錐面である円錐状嵌合コネクト422が固定して設けられ、円錐状コネ
クタ421の外側面にシールリング収容溝423を有し、シールリング収容溝423にシ
ールリング424が設けられ、円錐状コネクタ421の外円錐面と円錐状嵌合コネクト4
22の内円錐面とが締まり嵌めして接続され、ガス収集チューブ42の外側面のうち下端
に近い位置に制限リング425が固定して設けられ、採取ロッド41の上下端面ともに4
つの半ネジ孔412を有し、採取ロッド41側面に第5貫通孔411が設けられ、第5貫
通孔411は拘束ブロック44の上方に位置し、第5貫通孔411内には回転軸46が遊
び嵌めして設けられ、回転軸46のうち採取ロッド41の外部に位置する一端にノブ47
が設けられ、回転軸46のうち採取ロッド41の内部に位置する一端に偏心カム48が設
けられ、偏心カム48の上方に突き出しプレート49が設けられ、係合連結棒45の先端
が突き出しプレート49に固定して接続され、突き出しプレート49は偏心カム48に突
き出されて接触するように嵌合する。
【0022】
図12、
図13に示すように、安定化ハウジング21の頂部にカバー5が固定して設けら
れ、カバー5の中心には、採取手段4が通過するための第6貫通孔57が設けられ、カバ
ー5の上面において12個のガス収集真空瓶51が第6貫通孔57を取り囲んで設けられ
、ガス収集真空瓶51の一方の側に吸気口52を有し、吸気口52に吸気弁53が接続さ
れ、吸気弁53にはガス収集分岐管54が接続され、ガス収集分岐管54の他端はカバー
5の内部に配置され、ガス収集分岐管54の末端にガス収集マニホールド55が接続され
、ガス収集マニホールド55はガス収集チューブ42に連通し、ガス収集分岐管54には
開閉弁56を有する。
【0023】
図11に示すように、最も下方にある採取ロッド41の下端には逆円錐状の採取部6を有
し、採取部6の外側面に上下方向に延びている複数の閉鎖孔61を有し、採取部6の側壁
の内部に通気ホース62を有し、採取ロッド41の内側壁に中空のガス収集緩衝リング6
3が固定して設けられ、通気ホース62の一端は閉鎖孔61に連通し、通気ホース62の
他端はガス収集緩衝リング63の内部に連通し、ガス収集緩衝リング63は配管64を介
してガス収集チューブ42に連通し、採取部6の内部にシールコーン65が設けられ、シ
ールコーン65には複数の閉鎖嵌合ブロック66を有し、閉鎖嵌合ブロック66は閉鎖孔
61に埋設され、採取部6内にシールコーン支持板67が固定して設けられ、シールコー
ン支持板67の下端にシールコーン用伸縮ロッド68が固定して設けられ、シールコーン
用伸縮ロッド68の他端はシールコーン65の上端に固定して接続され、シールコーン用
伸縮ロッド68は市販の電気伸縮ロッドである。
【0024】
実施例2
本実施例は、以下の相違点以外、実施例1と同様である。設けられる安定化ハウジング2
1の数は異なり、安定化手段2は、支持底板11の上面縁部に固定された8つの安定化ハ
ウジング21を含む。
【0025】
実施例3
本実施例は、以下の相違点以外、実施例1と同様である。設けられるスロット131及び
拘束ブロック44の数は異なり、サンプリング用拘束チューブ13の側面には、その軸方
向に延びている3つのスロット131が開けられ、拘束ブロック44は採取ロッド41の
周方向に3つ均等に配置されている。
【0026】
実施例4
本実施例は、以下の相違点以外、実施例1と同様である。採取手段4の内部構造は異なる
。
【0027】
採取手段4は、バネ受け452とバネ453をさらに含み、係合連結棒45のうち拘束ブ
ロック44の下方に位置する箇所にバネ受け452が固定して設けられ、バネ受け452
と拘束ブロック44の下端との間にバネ453が弾設され、このように設けられることに
よって、バネ453及びバネ受け452の反発により係合連結棒45がスムーズに復位で
きるという利点がある。
【0028】
本発明では、土壤ガスサンプルを採取する携帯式採取装置の作動原理は以下のとおりであ
る。
【0029】
実施例1を例として、実際に使用する際に、装置は全体として所望の採取点にセットされ
、第1モータ25の出力軸は回動ブロック26及び連結棒27を回動駆動し、回動ブロッ
ク26は回転溝222内を回動し、これにより、制限ボス271の作用によりネジ式エジ
ェクタ24は回動し、ネジ式エジェクタ24はネジ式拘束シリンダ23のネジ拘束を受け
ながら下方へ移動し、それと同時に、連結棒27はネジ式エジェクタ24に摺動可能に接
続され、固定ブロック22及び回動ブロック26の下方への移動を阻止し、オーガーボー
リングロッド28は前記ネジ式エジェクタ24に連動して地下にボーリングされ、
オーガーボーリングロッド28は、地下にボーリングされると装置全体を安定化し、採取
部6を備えた採取ロッド41はサンプリング用拘束チューブ13に入られ、電気伸縮ロッ
ド36は張り出し、係止ブロック連結棒34の一端の係止ブロック35は摺動溝333を
貫通して採取ロッド41の外側面に当接し、4つの係止ブロック35の共同作用により採
取ロッド41は挟まれ、次に電気押し棒31は伸長して、前記係止手段33を下方へ移動
させ、係止手段33の係止ブロック35は採取ロッド41を駆動して地下に挿入させ、電
気押し棒31が限界まで伸長すると、電気伸縮ロッド36は引き込められて、4つの係止
ブロック35は採取ロッド41から離脱し、その後、電気押し棒31は最短まで引き込ま
れて、
上記のステップが複数回繰り返されることにより、前記採取ロッド41は次第に地下に挿
入され、複数の採取ロッド41を突き合わせる必要がある場合、一方の採取ロッド41の
下端の係合連結棒45は他方の採取ロッド41の先端まで入り、係合連結棒45の下端の
係合ブロック451がは取り外しスロット431を貫通してから、上方の採取ロッド41
は回動して係合ブロックの上端面を止めリング43の下方まで回動させながら、ノブ47
は回動して回転軸46を回動させ、これにょり、偏心カム48は回動させられ、偏心カム
48が回動するときに、凸起した一端は突き出しプレート49を上方へ突き出し、係合連
結棒45を上方へ移動させ、係合連結棒45は、拘束ブロック44の第4貫通孔441内
を上方へ移動しながら、バネ453を圧縮させ、係合ブロック451は止めリング43の
下端面に密着し、次に隣接するガス収集チューブ42はシールして接続される。
【0030】
初期の位置では、閉鎖嵌合ブロック66は閉鎖孔61に埋設され、採取部6の外側面は完
全かつ光滑な外円錐面となり、採取部6が採取位置に到達すると、シールコーン用伸縮ロ
ッド68は引き込められ、閉鎖嵌合ブロック66は閉鎖孔61から離脱し、このとき、通
気ホース62は外部に連通し、土壤ガスは通気ホース62を通ってガス収集緩衝リング6
3に入り、ガス収集緩衝リング63内の土壤ガスはガス収集チューブ42を介してガス収
集マニホールド55に入り、ガス収集マニホールド55内の土壤ガスはさらに各ガス収集
分岐管54を介して各ガス収集真空瓶51の内部に輸送され、これにより、土壤ガスの採
取は完了する。
【符号の説明】
【0031】
1-支持手段、11-支持底板、111-第1貫通孔、112-第3貫通孔、12-支持
台、13-サンプリング用拘束チューブ、131-スロット、132-方向拘束リング、
2-安定化手段、21-安定化ハウジング、22-固定ブロック、221-第2貫通孔、
222-回転溝、23-ネジ式拘束シリンダ、24-ネジ式エジェクタ、25-駆動モー
タ、26-回動ブロック、27-連結棒、271-制限ボス、28-オーガーボーリング
ロッド、3-掘削手段、31-電気押し棒、32-押し棒用支持板、321-安定化補強
板、33-係止手段、331-内側摺動円筒体、332-外側摺動円筒体、333-摺動
溝、34-係止ブロック連結棒、35-係止ブロック、351-滑り止めガスケット、3
6-電気伸縮ロッド、4-採取手段、41-採取ロッド、411-第5貫通孔、412-
半ネジ孔、42-ガス収集チューブ、421-円錐状コネクタ、422-円錐状嵌合コネ
クト、423-シールリング収容溝、424-シールリング、425-制限リング、43
-止めリング、431-取り外しスロット、44-拘束ブロック、441-第4貫通孔、
45-係合連結棒、451-係合ブロック、452-バネ受け、453-バネ、46-回
転軸、47-ノブ、48-偏心カム、49-突き出しプレート、5-カバー、51-ガス
収集真空瓶、52-吸気口、53-吸気弁、54-ガス収集分岐管、55-ガス収集マニ
ホールド、56-開閉弁、57-第6貫通孔、6-採取部、61-閉鎖孔、62-通気ホ
ース、63-ガス収集緩衝リング、64-配管、65-シールコーン、66-締まり嵌め
ブロック、67-シールコーン支持板、68-シールコーン用伸縮ロッド
【要約】 (修正有)
【解決手段】土壤ガス採取のための携帯式採取装置は、支持手段1と、安定化手段2と、掘削手段3と、採取手段とを含み、採取手段は、突き合わせられた複数の採取ロッドを含み、採取ロッドはサンプリング用拘束チューブ13内に上下摺動可能に拘束され、採取ロッドは上下方向に貫通している中空構造とされており、採取ロッド内には、採取ロッドと同軸であるガス収集チューブが固定されている。
【効果】構造の設計が合理的であり、操作されやすく、全体として素早く解体されたり組み立てられたりすることができ、輸送も持ち運びも容易であり、適用できる場面が多く、しかも良好な安定性を有し、詰まりを効果的に回避できる。
【選択図】
図1