IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソシオネクストの特許一覧

<>
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図1
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図2
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図3
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図4
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図5
  • 特許-分周回路、通信回路、及び集積回路 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】分周回路、通信回路、及び集積回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 23/00 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
H03K23/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020525023
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2018022660
(87)【国際公開番号】W WO2019239537
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】加納 英樹
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-318726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0142059(US,A1)
【文献】特開2013-219543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0252630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K23/00-23/86
H03K19/0175-19/0185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、
前記一対の出力ノードの一方の出力ノードにセット入力が接続され、他方の出力ノードにリセット入力が接続され、前記クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有し、
前記第1のラッチ回路は、前記クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、前記クロック信号が前記第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、前記クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、前記リセットでは、前記一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わないことを特徴とする分周回路。
【請求項2】
前記第1のラッチ回路は、
それぞれ2つのトランジスタを有し、交差接続されるとともに、前記2つのトランジスタの内の一方のトランジスタのソースが前記一対の入力トランジスタのドレインに接続された一対のインバータを有し、
前記一対の出力ノードが前記一対のインバータの出力と接続され、前記リセットでは、前記一対の出力ノードのリセットを行うことを特徴とする請求項1記載の分周回路。
【請求項3】
前記第1のラッチ回路は、
前記クロック信号がハイレベル又はローレベルの内の一方のレベルのときに前記増幅を行い、
前記クロック信号がハイレベル又はローレベルの内の他方のレベルのときに前記リセットを行うことを特徴とする請求項1又は2記載の分周回路。
【請求項4】
前記第1のラッチ回路は、前記リセットを行う度に、前記一対の入力トランジスタのゲートに入力される電位の前記ゲート間での大小関係が反転することを特徴とする請求項3記載の分周回路。
【請求項5】
前記第1のラッチ回路は、前記リセットを行う度に、前記増幅において前記一対の出力ノードの内で異なる論理レベルに変化する出力ノードが切り替わることを特徴とする請求項3記載の分周回路。
【請求項6】
前記第1のラッチ回路は、ストロングアーム型のラッチ回路であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の分周回路。
【請求項7】
単相のクロック信号が入力され、前記クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力する分周回路と、
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてパラレル信号をシリアル信号に変換するマルチプレクサを有し、入力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して送信する送信処理回路とを有し、
前記分周回路は、
第1の電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、前記単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、
前記一対の出力ノードの一方の出力ノードにセット入力が接続され、他方の出力ノードにリセット入力が接続され、前記クロック信号の前記2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有し、
前記第1のラッチ回路は、前記クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、前記クロック信号が前記第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、前記クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、前記リセットでは、前記一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わないことを特徴とする通信回路。
【請求項8】
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてシリアル信号をパラレル信号に変換するデマルチプレクサを有し、受信したシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する受信処理回路を有することを特徴とする請求項7記載の通信回路。
【請求項9】
単相のクロック信号が入力され、前記クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力する分周回路と、
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてシリアル信号をパラレル信号に変換するデマルチプレクサを有し、受信したシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する受信処理回路とを有し、
前記分周回路は、
第1の電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、前記単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、
前記一対の出力ノードの一方の出力ノードにセット入力が接続され、他方の出力ノードにリセット入力が接続され、前記クロック信号の前記2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有し、
前記第1のラッチ回路は、前記クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、前記クロック信号が前記第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、前記クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、前記リセットでは、前記一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わないことを特徴とする通信回路。
【請求項10】
前記第1のラッチ回路は、ストロングアーム型のラッチ回路であることを特徴とする請求項7~9の何れか1項に記載の通信回路。
【請求項11】
単相のクロック信号が入力され、前記クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力する分周回路と、
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてパラレル信号をシリアル信号に変換するマルチプレクサを有し、入力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して送信する送信処理回路と、
前記送信処理回路に出力する前記パラレル信号に係る処理を行う第1の信号処理回路とを有し、
前記分周回路は、
第1の電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、前記単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、
前記一対の出力ノードの一方の出力ノードにセット入力が接続され、他方の出力ノードにリセット入力が接続され、前記クロック信号の前記2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有し、
前記第1のラッチ回路は、前記クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、前記クロック信号が前記第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、前記クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、前記リセットでは、前記一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わないことを特徴とする集積回路。
【請求項12】
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてシリアル信号をパラレル信号に変換するデマルチプレクサを有し、受信したシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する受信処理回路と、
前記受信処理回路から出力される前記パラレル信号を受けて処理動作を行う第2の信号処理回路とを有することを特徴とする請求項11記載の集積回路。
【請求項13】
単相のクロック信号が入力され、前記クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力する分周回路と、
前記分周回路から供給される前記差動クロック信号を用いてシリアル信号をパラレル信号に変換するデマルチプレクサを有し、受信したシリアル信号をパラレル信号に変換して出力する受信処理回路と、
前記受信処理回路から出力される前記パラレル信号を受けて処理動作を行う第2の信号処理回路とを有し、
前記分周回路は、
第1の電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、前記単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、
前記一対の出力ノードの一方の出力ノードにセット入力が接続され、他方の出力ノードにリセット入力が接続され、前記クロック信号の前記2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有し、
前記第1のラッチ回路は、前記クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、前記クロック信号が前記第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、前記クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、前記リセットでは、前記一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わないことを特徴とする集積回路。
【請求項14】
前記第1のラッチ回路は、ストロングアーム型のラッチ回路であることを特徴とする請求項11~13の何れか1項に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分周回路、通信回路、及び集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
クロック信号を分周する分周回路は、一般的にフリップフロップを用いて構成される。また、シリアライザ/デシリアライザ(SerDes:Serializer/De-serializer)等の動作周波数が高い高速インターフェースでは、差動クロック信号が用いられる。分周回路は、低周波数であれば、フリップフロップを用いて単相のクロック信号を分周し、さらにインバータ等を用いて反転信号を生成することで、分周した差動クロック信号を出力可能である。
【0003】
一方、高周波数では、周期に対するインバータ等による遅延が相対的に大きくなるため、分周回路は、差動クロック信号を受けて、それを分周し、分周した差動クロック信号を出力する構成とすることが多い。しかしながら、差動クロック信号における一対の信号を、差動フリップフロップを用いて分周すると、消費電力が約2倍になってしまうとともに、差動信号のタイミングを揃えるなどタイミング的な制約を満たすことも容易ではない。フリップフロップを用いた分周回路で、差動クロック信号を入力し、分周した差動クロック信号を出力する場合、このような問題が生じる。
【0004】
また、入力されるクロック信号に応じて、増幅とリセット(プリチャージ)とを交互に繰り返すストロングアーム(Strong ARM)型ラッチ回路が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0085403号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0040983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、差動クロック信号を入力しなくとも、精度の良い高周波の分周差動クロック信号を生成することができる分周回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
分周回路の一態様は、第1電圧が供給される信号線に対してそれぞれのゲートが接続された一対の入力トランジスタと、一対の出力ノードとを有し、単相のクロック信号が入力される第1のラッチ回路と、第1のラッチ回路の一対の出力ノードにセット入力及びリセット入力が接続され、クロック信号の2分周の差動クロック信号を出力するSR型の第2のラッチ回路とを有する。第1のラッチ回路は、クロック信号が第1の論理レベルのときに増幅期間となり、クロック信号が第1の論理レベルとは異なる第2の論理レベルのときにリセット期間となり、クロック信号に応じて増幅とリセットとを交互に繰り返し、リセットでは、一対の入力トランジスタのドレインが接続されたノードのリセットを行わない。
【発明の効果】
【0008】
開示の分周回路は、差動クロック信号の入力なしで、精度の良い高周波の分周差動クロック信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態における分周回路の構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路の構成例を示す図である。
図3図3は、本実施形態におけるSRラッチ回路の構成例を示す図である。
図4図4は、本実施形態における分周回路の動作を説明するタイミングチャートである。
図5図5は、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路の他の構成例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における集積回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
ストロングアーム(Strong ARM)型ラッチ回路は、入力されるクロック信号に応じて、増幅とリセット(プリチャージ)とを交互に繰り返す回路である。ストロングアーム型ラッチ回路は、リセット回路を設けるなどして回路内の各ノードのリセットを適切に行わないと、増幅時に、前に出力していたデータとは逆のデータを出力しやすくなるという特性がある。
【0012】
以下に説明する本発明の実施形態では、前に出力していたデータとは逆のデータを出力しやすいことを利用して、ストロングアーム型ラッチ回路の出力をトグル動作させ、分周回路としての機能を実現する。図1は、本発明の一実施形態における分周回路の構成例を示す図である。本実施形態における分周回路は、ストロングアーム型ラッチ回路11及びSR(Set-Reset:セット・リセット)ラッチ回路12を有する。
【0013】
ストロングアーム型ラッチ回路11は、参照電圧入力端子(REF)に所定の参照電圧REFが入力され、クロック入力端子(CLK)に単相のクロック信号CLKが入力される。また、ストロングアーム型ラッチ回路11は、第1のデータ出力端子(OUTP:正相のデータ出力端子)から信号SG1を出力し、第2のデータ出力端子(OUTM:負相のデータ出力端子)から信号SG2を出力する。
【0014】
ここで、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路11において、参照電圧入力端子(REF)が、通常のストロングアーム型ラッチ回路における正相及び負相のデータ入力端子(INP、INM)に対応する。また、参照電圧REFは、直流電圧であり、本例では例えば{(電源電圧の高電位VDD)-0.2}Vである。
【0015】
ストロングアーム型ラッチ回路11は、クロック入力端子(CLK)を介して入力されるクロック信号CLKに応じて、増幅とリセット(プリチャージ)とを交互に繰り返す。ストロングアーム型ラッチ回路11は、入力されるクロック信号CLKがハイレベルのときに増幅期間となり、入力されるクロック信号CLKがローレベルのときにリセット(プリチャージ)期間となる。
【0016】
SRラッチ回路12は、セット入力端子(/S、反転入力)にストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1が入力され、リセット入力端子(/R、反転入力)にストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG2が入力される。また、SRラッチ回路12は、データ出力端子(Q、QX)から差動クロック信号である一対のクロック信号CKO、CKOXを出力する。本実施形態では、第1のデータ出力端子(Q)から差動クロック信号における一方のクロック信号CKOを出力し、第2のデータ出力端子(QX)から差動クロック信号における他方のクロック信号CKOXを出力するものとする。
【0017】
SRラッチ回路12は、セット入力端子(/S、反転入力)を介して入力される信号SG1及びリセット入力端子(/R、反転入力)を介して入力される信号SG2に応じた信号をデータ出力端子(Q、QX)から出力する。SRラッチ回路12は、信号SG1、SG2がともにハイレベルである場合、データ出力端子(Q、QX)の出力を保持する。また、SRラッチ回路12は、信号SG1がローレベルかつ信号SG2がハイレベルである場合、第1のデータ出力端子(Q)から出力する信号CKOをハイレベルにし、第2のデータ出力端子(QX)から出力する信号CKOXをローレベルにする。また、SRラッチ回路12は、信号SG1がハイレベルかつ信号SG2がローレベルである場合、第1のデータ出力端子(Q)から出力する信号CKOをローレベルにし、第2のデータ出力端子(QX)から出力する信号CKOXをハイレベルにする。
【0018】
図2は、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路11の構成例を示す図である。本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路11は、Nチャネル型トランジスタTR21、TR22、TR23、TR24、TR29、Pチャネル型トランジスタTR25、TR26、TR27、TR28、及び抵抗R21、R22を有する。
【0019】
Nチャネル型トランジスタTR21、TR22は、ストロングアーム型ラッチ回路11における一対の入力トランジスタである。Nチャネル型トランジスタTR21は、ソースがNチャネル型トランジスタTR29のドレインに接続され、ゲートが抵抗R21を介して参照電圧REFが供給される信号線に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR23のソースに接続される。同様に、Nチャネル型トランジスタTR22は、ソースがNチャネル型トランジスタTR29のドレインに接続され、ゲートが抵抗R22を介して参照電圧REFが供給される信号線に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR24のソースに接続される。
【0020】
このように本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路11は、通常のデータ入力に対応するものとして、差動データではなく、それぞれ同じ参照電圧REFが入力される。ここで、抵抗R21、R22は、トランジスタTR21、TR22のゲートが接続されたノードNDIP、NDIMのインピーダンスが十分に大きくなるように、高抵抗値を有している。
【0021】
Pチャネル型トランジスタTR25は、ソースが第1電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR23のドレインに接続される。同様に、Pチャネル型トランジスタTR26は、ソースが第1電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR24のドレインに接続される。また、Nチャネル型トランジスタTR23のゲート及びPチャネル型トランジスタTR25のゲートが、Nチャネル型トランジスタTR24のドレインとPチャネル型トランジスタTR26のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)に接続される。同様に、Nチャネル型トランジスタTR24のゲート及びPチャネル型トランジスタTR26のゲートが、Nチャネル型トランジスタTR23のドレインとPチャネル型トランジスタTR25のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)に接続される。
【0022】
すなわち、Nチャネル型トランジスタTR23及びPチャネル型トランジスタTR25で構成される第1のインバータと、Nチャネル型トランジスタTR24及びPチャネル型トランジスタTR26で構成される第2のインバータとが、一方の入力端と他方の出力端とが接続されるよう交差接続されている。
【0023】
また、Nチャネル型トランジスタTR23のドレインとPチャネル型トランジスタTR25のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)が、第2のデータ出力端子(OUTM:負相のデータ出力端子)に接続される。Nチャネル型トランジスタTR24のドレインとPチャネル型トランジスタTR26のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)が、第1のデータ出力端子(OUTP:正相のデータ出力端子)に接続される。
【0024】
Pチャネル型トランジスタTR27は、ソースが第1電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR23のドレインとPチャネル型トランジスタTR25のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)に接続される。同様に、Pチャネル型トランジスタTR28は、ソースが第1電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタTR24のドレインとPチャネル型トランジスタTR26のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)に接続される。
【0025】
トランジスタTR27、TR28は、ゲートに入力されるクロック信号CLKに応じてオン/オフ制御され、増幅期間にはオフし、リセット期間にはオンして出力ノードNDOP、NDOMの電位を第1電位にするよう動作する。すなわち、トランジスタTR27、TR28は、リセット期間に出力ノードNDOP、NDOMの電位を第1電位(電源電圧における高電位VDD)にリセット(プリチャージ)する。
【0026】
ドレインにトランジスタTR21、TR22のソースが接続されたNチャネル型トランジスタTR29は、ソースが第2電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続される。Nチャネル型トランジスタTR29は、ゲートに入力されるクロック信号CLKに応じてオン/オフ制御され、リセット期間にはオフし、増幅期間にはオンして電流源として動作する。
【0027】
なお、一般的なストロングアーム型ラッチ回路では、入力トランジスタのドレインが接続されるノード(図2に示したノードNDP、NDMに対応するノード)を所定の電位にリセット(プリチャージ)するためのリセット回路を有している。それに対して、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路11では、ノードNDP、NDMに対するリセットを行わずに、前の増幅結果を残すために、ノードNDP、NDMをリセット(プリチャージ)するための回路は設けていない。
【0028】
図3は、本実施形態におけるSRラッチ回路12の構成例を示す図である。本実施形態におけるSRラッチ回路12は、否定論理積演算回路(NAND回路)31、32を有する。NAND回路31は、第1の入力端がセット入力端子(/S、反転入力)に接続され、第2の入力端がNAND回路32の出力端と接続される。NAND回路32は、第1の入力端がリセット入力端子(/R、反転入力)に接続され、第2の入力端がNAND回路31の出力端と接続される。また、NAND回路31の出力端は第1のデータ出力端子(Q)に接続され、NAND回路32の出力端は第2のデータ出力端子(QX)に接続される。
【0029】
次に、本実施形態における分周回路の動作について説明する。図4は、本実施形態における分周回路の動作を説明するタイミングチャートである。入力される単相のクロック信号CLKがハイレベルであるときがストロングアーム型ラッチ回路11での増幅期間であり、トランジスタTR27、TR28がオフし、トランジスタTR29がオンする。また、入力される単相のクロック信号CLKがローレベルであるときがストロングアーム型ラッチ回路11でのリセット(プリチャージ)期間であり、トランジスタTR27、TR28がオンし、トランジスタTR29がオフする。
【0030】
ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1、SG2について、信号SG1の電位が信号SG2の電位より高い、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11において出力ノードNDOPの電位が出力ノードNDOMの電位より高い状態である時刻T40に、クロック信号CLKがハイレベルからローレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11はリセット期間となる。ストロングアーム型ラッチ回路11は、リセット期間では、トランジスタTR27、TR28がオンし、トランジスタTR29がオフする。したがって、出力ノードNDOM、NDOPは、トランジスタTR27、TR28を介して第1電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続される。
【0031】
この時刻T40の時点で、トランジスタTR23がオンしており、トランジスタTR24がオフしているため、ノードNDMがノードNDPより先にプリチャージされる。その後、出力ノードNDOMがハイレベルになることによって、トランジスタTR24がオンし、ノードNDPがプリチャージされる。このリセット期間の前(時刻T40以前)の増幅期間でノードNDPの電位がノードNDMの電位より低くなっているため、ノードNDPがプリチャージされるときに、トランジスタTR22のゲート-ドレイン間の容量を介してノードNDIMが高い電位に上げられる量が大きく、ノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位がノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位より高くなる。すなわち、このリセット期間の前に対して、ノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)とノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)との間で、入力される電位の大小関係が反転する。
【0032】
なお、時刻T40からのリセット期間において、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG2の電位が上昇して、論理レベルがローレベルからハイレベルになる。しかし、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1、SG2がともにハイレベルであるので、SRラッチ回路12は出力を保持し、差動クロック信号におけるクロック信号CKOとしてローレベルを出力し続け、差動クロック信号におけるクロック信号CKOXとしてハイレベルを出力し続ける。
【0033】
そして、ストロングアーム型ラッチ回路11において、ノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位がノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位より高い状態で、時刻T40にクロック信号CLKがローレベルからハイレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11は増幅期間となる。ストロングアーム型ラッチ回路11は、増幅期間では、トランジスタTR27、TR28がオフし、トランジスタTR29がオンする。そして、入力トランジスタであるトランジスタTR21、TR22のゲートの電位差を増幅する。
【0034】
時刻T41においては、ノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位がノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位より高いので、増幅期間では、出力ノードNDOPの電位、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1の電位が下降していく。そして、時刻T41において、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1の論理レベルがハイレベルからローレベルになる。これにより、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1がローレベル、信号SG2がハイレベルとなるので、SRラッチ回路12は、差動クロック信号におけるクロック信号CKOとしてハイレベルを出力し、差動クロック信号におけるクロック信号CKOXとしてローレベルを出力するようになる。
【0035】
この信号SG2の電位が信号SG1の電位より高い、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11において出力ノードNDOMの電位が出力ノードNDOPの電位より高い状態である時刻T43に、クロック信号CLKがハイレベルからローレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11は再びリセット期間となる。時刻T43においては、トランジスタTR23がオフしており、トランジスタTR24がオンしているため、ノードNDPがノードNDMより先にプリチャージされ、その後、トランジスタTR23がオンして、ノードNDMがプリチャージされる。このリセット期間の前の増幅期間でノードNDMの電位がノードNDPの電位より低くなっているため、ノードNDMがプリチャージされるときに、トランジスタTR21のゲート-ドレイン間の容量を介してノードNDIPが高い電位に上げられる量が大きく、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位がノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位より高くなる。このリセット期間においても、リセット期間の前に対して、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)とノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)との間で、入力される電位の大小関係が反転する。
【0036】
なお、時刻T43からのリセット期間においては、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1が上昇してローレベルからハイレベルになる。しかし、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1、SG2がともにハイレベルであるので、SRラッチ回路12は、差動クロック信号におけるクロック信号CKOとしてハイレベルを出力し続け、差動クロック信号におけるクロック信号CKOXとしてローレベルを出力し続ける。
【0037】
そして、ストロングアーム型ラッチ回路11において、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位がノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位より高い状態で、時刻T44にクロック信号CLKがローレベルからハイレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11は再び増幅期間となる。
【0038】
時刻T44においては、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位がノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位より高いので、増幅期間では、前の増幅期間とは論理レベルが変化する出力ノードが切り替わり、出力ノードNDOMの電位、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG2の電位が下降していく。そして、時刻T45において、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1がハイレベル、信号SG2がローレベルとなると、SRラッチ回路12は、差動クロック信号におけるクロック信号CKOとしてローレベルを出力し、差動クロック信号におけるクロック信号CKOXとしてハイレベルを出力するようになる。
【0039】
そして、再び信号SG1の電位が信号SG2の電位より高い、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11において出力ノードNDOPの電位が出力ノードNDOMの電位より高い状態で、時刻T46に、クロック信号CLKがハイレベルからローレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11はリセット期間となる。このリセット期間では、時刻T40からのリセット期間と同様にして、ノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位がノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位より高くなる。
【0040】
このノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)の電位がノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)の電位より高い状態で、時刻T47にクロック信号CLKがローレベルからハイレベルに変化すると、ストロングアーム型ラッチ回路11は増幅期間となる。この増幅期間では、時刻T41からの増幅期間と同様にして、出力ノードNDOPの電位、すなわちストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1の電位が下降していく。そして、時刻T48において、ストロングアーム型ラッチ回路11から出力される信号SG1がローレベル、信号SG2がハイレベルとなると、SRラッチ回路12は、差動クロック信号におけるクロック信号CKOとしてハイレベルを出力し、差動クロック信号におけるクロック信号CKOXとしてローレベルを出力するようになる。
【0041】
このように、本実施形態における分周回路では、ストロングアーム型ラッチ回路11において、リセットを行う度に、一対の入力トランジスタとしてのトランジスタTR21、TR22のゲートに入力される電位のゲート間における大小関係が反転し、それによって増幅時に異なる論理レベルに変化する出力ノードが切り替わる。これによって、本実施形態における分周回路は、入力される単相のクロック信号CLKに基づいて、2分周の差動クロック信号CKO、CKOXを生成し出力する。本実施形態における分周回路では、差動クロック信号を入力することなく、単相のクロック信号に基づいて2分周の差動クロック信号を生成するので、消費電力を増加させることなく、簡単な回路構成で精度の良い高周波の分周差動クロック信号を生成することができる。
【0042】
ここで、本実施形態における分周回路ではストロングアーム型ラッチ回路11でのリセット期間において、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)とノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)との間に、前とは逆の電位差が生じることを利用して分周動作を実現している。そのため、クロック信号CLKの周波数が低すぎると、リセット期間が長くなって、ノードNDIP(トランジスタTR21のゲート)とノードNDIM(トランジスタTR22のゲート)との間の電位差がなくなってしまい、正常な分周動作を行うことができない。
【0043】
この分周動作が可能な周波数の下限は、ストロングアーム型ラッチ回路11における入力トランジスタTR21、TR22の時定数、すなわち抵抗R21、R22の抵抗値とトランジスタTR21、TR22のゲート容量の容量値によって決まる。例えば、抵抗R21、R22の抵抗値が10kohmであり、トランジスタTR21、TR22のゲート容量の容量値が10fFである場合、分周動作が可能な周波数の下限値は1.59GHzとなる。また、例えば抵抗R21、R22の抵抗値が100kohmであり、トランジスタTR21、TR22のゲートに対して容量を接続し容量値を100fFとすれば、分周動作が可能な周波数の下限値は15.9MHzとなる。
【0044】
なお、本実施形態における分周回路において、対象とするクロック信号の上限は、トランジスタの高周波性能を表す指標の1つである電流利得遮断周波数fTに関連する。ここで、電流利得遮断周波数fTは、Gainが1になる条件から求めることができる。Iout=gm×Vin、Zout=1/(jωC)、Vout=Zout×Iout=Zout×gm×Vin、Gain=Vout/Vin=Zout×gm=gm/(jωC)>1よりfT<gm/(2πC)となる。したがって、Gainが1になる条件から求められる電流利得遮断周波数fTは、fT=gm/(2πC)となる。実際には配線の寄生容量があり、また実用的には2dB以上のゲインが要求されるため、プロセステクノロジが16nm FFであれば、本実施形態における分周回路が対象とするクロック信号の上限は15GHz程度となる。
【0045】
なお、前述した説明では、分周回路が有するストロングアーム型ラッチ回路として、Nチャネル型トランジスタTR21、TR22が一対の入力トランジスタであるストロングアーム型ラッチ回路を一例として示したが、図5に示すようにPチャネル型トランジスタTR51、TR52が一対の入力トランジスタであるストロングアーム型ラッチ回路を用いる構成も可能である。
【0046】
図5は、本実施形態におけるストロングアーム型ラッチ回路の他の構成例を示す図である。図5に示すストロングアーム型ラッチ回路は、Pチャネル型トランジスタTR51、TR52、TR53、TR54、TR59、Nチャネル型トランジスタTR55、TR56、TR57、TR58、及び抵抗R51、R52を有する。
【0047】
Pチャネル型トランジスタTR51は、ソースがPチャネル型トランジスタTR59のドレインに接続され、ゲートが十分大きな抵抗値を有する抵抗R51を介して参照電圧入力端子(REF)に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR53のソースに接続される。同様に、Pチャネル型トランジスタTR52は、ソースがPチャネル型トランジスタTR59のドレインに接続され、ゲートが十分大きな抵抗値を有する抵抗R52を介して参照電圧入力端子(REF)に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR54のソースに接続される。
【0048】
Nチャネル型トランジスタTR55は、ソースが第1電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)が供給される電源線に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR53のドレインに接続される。同様に、Nチャネル型トランジスタTR56は、ソースが第1電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)が供給される電源線に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR54のドレインに接続される。また、Pチャネル型トランジスタTR53のゲート及びNチャネル型トランジスタTR55のゲートが、Pチャネル型トランジスタTR54のドレインとNチャネル型トランジスタTR56のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)に接続される。同様に、Pチャネル型トランジスタTR54のゲート及びNチャネル型トランジスタTR56のゲートが、Pチャネル型トランジスタTR53のドレインとNチャネル型トランジスタTR55のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)に接続される。すなわち、Pチャネル型トランジスタTR53及びNチャネル型トランジスタTR55で構成される第1のインバータと、Pチャネル型トランジスタTR54及びNチャネル型トランジスタTR56で構成される第2のインバータとが、交差接続されている。
【0049】
また、Pチャネル型トランジスタTR53のドレインとNチャネル型トランジスタTR55のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)が、第2のデータ出力端子(OUTM:負相のデータ出力端子)に接続される。Pチャネル型トランジスタTR54のドレインとNチャネル型トランジスタTR56のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)が、第1のデータ出力端子(OUTP:正相のデータ出力端子)に接続される。
【0050】
Nチャネル型トランジスタTR57は、ソースが第1電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR53のドレインとNチャネル型トランジスタTR55のドレインとの接続点(出力ノードNDOM)に接続される。同様に、Nチャネル型トランジスタTR58は、ソースが第1電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続され、ドレインがPチャネル型トランジスタTR54のドレインとNチャネル型トランジスタTR56のドレインとの接続点(出力ノードNDOP)に接続される。
【0051】
トランジスタTR57、TR58は、ゲートに入力されるクロック信号CLKに応じてオン/オフ制御され、増幅期間にはオフし、リセット期間にはオンして出力ノードNDOP、NDOMの電位を第1電位にするよう動作する。すなわち、トランジスタTR57、TR58は、リセット期間に出力ノードNDOP、NDOMの電位を第1電位(電源電圧における低電位、例えばグランド)にリセット(プリチャージ)する。
【0052】
ドレインにトランジスタTR51、TR52のソースが接続されたPチャネル型トランジスタTR59は、ソースが第2電位(電源電圧における高電位VDD)が供給される電源線に接続され、ゲートがクロック入力端子(CLK)に接続される。Pチャネル型トランジスタTR59は、ゲートに入力されるクロック信号CLKに応じてオン/オフ制御され、リセット期間にはオフし、増幅期間にはオンして電流源として動作する。なお、図5に示したストロングアーム型ラッチ回路では、クロック信号CLKがローレベルのときに増幅期間となり、クロック信号CLKがハイレベルのときにリセット(プリチャージ)期間となる。
【0053】
また、前述した説明では、SRラッチ回路12は、NAND回路31、32を用いて構成した例を示したが、これに限定されるものではなく、任意の回路構成のSRラッチ回路を適用することができる。また、SRラッチ回路に限らず、ストロングアーム型ラッチ回路の増幅期間における出力信号をラッチして波形整形し出力するような回路であっても良い。
【0054】
図6は、本実施形態における集積回路の構成例を示す図である。本実施形態における集積回路600は、送信処理回路610、受信処理回路620、位相ロックループ(PLL:Phase Locked Loop)回路630、及び信号処理回路640、650を有する。
【0055】
送信処理回路610は、マルチプレクサ611及びイコライザ回路612を有する。マルチプレクサ611は、PLL回路630から供給される差動クロック信号CKO、CKOXを用いて、信号処理回路640から出力されたパラレル信号TXINをシリアル信号に変換する。イコライザ回路612は、マルチプレクサ611から出力されたシリアル信号の電圧波形を整形し、差動の出力シリアル信号TXOUT、TXOUTXとして出力する。すなわち、送信処理回路610は、シリアライザ回路の機能を有し、入力されるパラレル信号をシリアル信号に変換して出力する。
【0056】
受信処理回路620は、フロントエンド回路621及びクロックデータリカバリ(CDR:Clock Data Recovery)回路625を有し、入力されるシリアル信号をパラレル信号に変換するデシリアライザ回路の機能を実現する。フロントエンド回路621は、イコライザ回路622、判定回路623、及びデマルチプレクサ624を有する。
【0057】
イコライザ回路622は、伝送路等を介して伝送された差動の入力シリアル信号RXIN、RXINXを受信する。判定回路623は、CDR回路625から供給される多相クロック信号を用いて、イコライザ回路622で受信した入力シリアル信号の符号(データ)を判定する。デマルチプレクサ624は、判定回路623からの出力をパラレル信号RXOUTに変換して出力する。CDR回路625は、デマルチプレクサ624から受信したパラレル信号RXOUTを基に、PLL回路が出力する差動クロック信号CKO、CKOXの位相を適切に制御することで、上述の多相クロックを生成する。
【0058】
PLL回路630は、前述した本実施形態における分周回路を有する。PLL回路630は、入力される単相のクロック信号CLKに基づいて、集積回路内の各回路610、620、640、650に供給するクロック信号を生成して出力する。PLL回路630は、例えば、入力される単相のクロック信号CLKに基づいて、2分周の差動クロック信号CKO、CKOXを生成して出力する。
【0059】
信号処理回路640は、送信処理回路610に対して出力する信号に係る処理を行い、PLL回路630から供給されるクロック信号で動作するフリップフロップ641により、送信処理回路610に対してパラレル信号TXINを出力する。信号処理回路650は、受信処理回路620からのパラレル信号RXOUTを受けて処理を行うロジック回路等を有する。信号処理回路650は、受信処理回路620から出力されるパラレル信号RXOUTを、PLL回路630から供給されるクロック信号で動作するフリップフロップ651によって取り込み処理等を行う。
【0060】
図6においては、送信機能及び受信機能をともに有する集積回路を一例として示したが、本実施形態における集積回路は、送信機能又は受信機能の一方のみを有するものであっても良い。
【0061】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、差動クロック信号の入力なしで、簡単な回路構成で精度の良い高周波の分周差動クロック信号を生成することができる分周回路を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6