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  • 特許-滅菌装置 図1
  • 特許-滅菌装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20220922BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20220922BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20220922BHJP
   A61L 101/44 20060101ALN20220922BHJP
【FI】
A61L2/07
A61L2/24
A61L2/20 104
A61L101:44
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018148843
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2020022642
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(74)【代理人】
【識別番号】100138944
【弁理士】
【氏名又は名称】片川 健一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕一
(72)【発明者】
【氏名】須賀 亮幸
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-157757(JP,U)
【文献】特開平11-239605(JP,A)
【文献】特開平11-239606(JP,A)
【文献】特開昭47-015992(JP,A)
【文献】特開2005-160771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/07
A61L 2/24
A61L 2/20
A61L 101/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被滅菌物を搬入または搬出するための開口部を有し、その開口部をドアで開閉可能とされた滅菌槽と、
この滅菌槽のドアの開閉状態を監視するドア監視手段と、
前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段によるドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す滅菌確認手段と
を備えることを特徴とする滅菌装置。
【請求項2】
前記滅菌槽には、搬入側ドアと搬出側ドアとが設けられ、
前記滅菌確認手段は、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す
ことを特徴とする請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、搬入側ドアまたは搬出側ドアを一旦開放して閉鎖すると、次回の滅菌終了後まで搬出側ドアの開放が不能とされるインターロック機構を備え、
このインターロック機構の作動の有無を切替可能とされ、
前記インターロック機構の解除状態で運転し、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す
ことを特徴とする請求項2に記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の滅菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、滅菌装置には、一つのドアを有する片ドアタイプのものと、二つのドアを有する両ドアタイプのものとがある。片ドアタイプの場合、滅菌槽内への被滅菌物の搬入時と搬出時、同じドアが開閉される。両ドアタイプの場合、下記特許文献1の第7図に示されるように、隔壁(3,4)で仕切られた搬入側空間(非清浄空間2)と搬出側空間(清浄空間1)との間に滅菌槽(5)が配置され、搬入側ドア(7)を開けて滅菌槽内に被滅菌物が収容され、滅菌後の被滅菌物は搬出側ドア(6)を開けて取り出される。
【0003】
両ドアタイプの場合、滅菌後の被滅菌物と搬出側空間の汚染を避けるため、好ましくはインターロック機構が備えられる。特許文献1に記載の発明では、非滅菌作業時では搬出側ドア(6)が閉鎖されている場合にのみ搬入側ドア(7)を開放可能にし、滅菌作業終了後では搬入側ドア(7)が閉鎖されている場合にのみ搬出側ドア(6)を開放可能に制御される。また、滅菌作業終了後、搬入側ドア(7)が開放された後は搬出側ドア(6)の開放を不能とし、搬出側ドア(6)の開閉によっては搬出側ドア(6)の開放を制限しないよう制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平7-33795号公報(請求項1、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
片ドアタイプの滅菌装置の場合、何らかの手違いで、滅菌槽内から未滅菌物が搬出されるおそれがある。両ドアタイプの滅菌装置で、インターロック機構を備えれば、未滅菌物の搬出を防止できるが、作業性の点から、インターロック機構を解除した状態(つまりインターロック機構を作動させない状態)で運転される場合があり、その場合、搬出側ドアから未滅菌物が搬出されるおそれが残る。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、滅菌槽内から未滅菌物が搬出されるリスクを低減した滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被滅菌物を搬入または搬出するための開口部を有し、その開口部をドアで開閉可能とされた滅菌槽と、この滅菌槽のドアの開閉状態を監視するドア監視手段と、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段によるドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す滅菌確認手段とを備えることを特徴とする滅菌装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、片ドアタイプまたは両ドアタイプの滅菌装置において、ドアの開閉状態をドア監視手段で監視し、滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、ドア監視手段によるドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌確認手段により滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことができる。これにより、滅菌槽内から未滅菌物が搬出されるリスクを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記滅菌槽には、搬入側ドアと搬出側ドアとが設けられ、前記滅菌確認手段は、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことを特徴とする請求項1に記載の滅菌装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、両ドアタイプの滅菌装置において、滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌確認手段により滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことができる。つまり、搬出側ドアを開けた際、滅菌運転後の初めての開放でなければ、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことができる。これにより、滅菌槽内から未滅菌物が搬出されるリスクを低減することができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、搬入側ドアまたは搬出側ドアを一旦開放して閉鎖すると、次回の滅菌終了後まで搬出側ドアの開放が不能とされるインターロック機構を備え、このインターロック機構の作動の有無を切替可能とされ、前記インターロック機構の解除状態で運転し、前記滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、前記ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことを特徴とする請求項2に記載の滅菌装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、インターロック機構の有効状態では、インターロック機構により、滅菌槽内からの未滅菌物の搬出が防止される。また、インターロック機構の解除状態(無効状態)でも、滅菌槽内での被滅菌物の滅菌終了後、ドア監視手段による搬出側ドアの開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽内の収容物が滅菌済か否かの確認を促すことで、滅菌槽内からの未滅菌物の搬出が防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の滅菌装置によれば、滅菌槽内から未滅菌物が搬出されるリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の滅菌装置を示す概略平面図である。
図2図1の滅菌装置の滅菌確認方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の滅菌装置1を示す概略平面図である。
【0016】
本実施例の滅菌装置1は、被滅菌物が収容される滅菌槽2と、この滅菌槽2内の被滅菌物を滅菌する滅菌手段(図示省略)と、滅菌装置1の運転制御の他、各種設定や表示などの入出力を行う制御パネル3とを備える。以下で述べるように、本実施例の滅菌装置1は、両ドア式の蒸気滅菌装置とされ、滅菌槽2の前後にドア4(4A,4B)を有すると共に、滅菌手段として少なくとも給蒸手段を備える。
【0017】
滅菌槽2は、前後に開口部を有し、各開口部がドア4で開閉可能とされる。各ドア4は、図示例では開き戸とされているが、引き戸またはシャッター状とされてもよい。一方のドア4は、滅菌槽2内に被滅菌物を入れるための搬入側ドア4Aとされ、他方のドア4は、滅菌後の被滅菌物を滅菌槽2外へ取り出すための搬出側ドア4Bとされる。搬入側ドア4Aを開けて滅菌槽2内に被滅菌物を収容し、両ドア4A,4Bを閉じた状態で滅菌槽2内の被滅菌物を滅菌し、搬出側ドア4Bを開けて滅菌後の被滅菌物を取り出すことができる。なお、各ドア4A,4Bは、制御パネル3の操作などにより自動で開閉可能とされてもよいし、手動で開閉可能とされてもよい。
【0018】
両ドア式の滅菌装置1は、二つの空間を区切るパネル5に設けられる。図示例では、搬入側空間Aと搬出側空間Bとが、二枚のパネル5により仕切られている。各パネル5は、所定寸法離隔して平行に配置されており、各パネル5により、両空間A,Bが互いに連通しないよう仕切られる。そして、各パネル5を貫通するように、各パネル5間に滅菌槽2が設けられ、滅菌槽2とパネル5との隙間は封止される。
【0019】
滅菌槽2は、一方の開口部が搬入側空間Aに向けられ、他方の開口部が搬出側空間Bに向けられる。搬入側空間Aへの開口部は、搬入側ドア4Aで開閉可能とされ、搬出側空間Bへの開口部は、搬出側ドア4Bで開閉可能とされる。詳細は後述するが、好ましくは、インターロック機構により、両ドア4A,4Bが同時に開かないように制御される。なお、搬出側空間Bは、搬入側空間Aよりも清浄度が高められた空間である。そのため、搬入側空間Aを非清浄側(一般側)空間、搬出側空間Bを清浄側(クリーン側)空間ということができる。
【0020】
滅菌手段は、滅菌方法に応じて設計されるが、本実施例のように蒸気滅菌装置の場合、滅菌槽2内への給蒸手段を少なくとも備える。より詳細には、本実施例では、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出して滅菌槽2内を減圧する減圧手段と、減圧された滅菌槽2内へ外気を導入して滅菌槽2内を復圧する復圧手段と、滅菌槽2内へ蒸気を供給する給蒸手段と、滅菌槽2内から蒸気の凝縮水を排出するドレン排出手段と、蒸気供給により加圧された滅菌槽2内からの排気手段と、滅菌槽2内の圧力を検出する圧力センサと、滅菌槽2内の温度を検出する温度センサと、これらセンサの検出信号や経過時間などに基づき前記各手段を制御する制御手段とを備える。なお、滅菌槽2が蒸気ジャケットを備える場合、滅菌装置1は、ジャケットへの給蒸手段と、ジャケットからのドレン排出手段をさらに備える。
【0021】
滅菌装置1の前後には(つまり搬入側空間Aと搬出側空間Bに面して)、制御パネル3が設けられており、この制御パネル3は、制御手段としての共通の制御器(図示省略)を備える。制御器により、滅菌槽2内に収容された被滅菌物の滅菌運転を実行可能とされる。滅菌運転では、典型的には、予熱工程、前処理工程、滅菌工程、排気工程および乾燥工程を順次に実行する。
【0022】
予熱工程では、ジャケット内に蒸気を供給して、滅菌槽2内を加熱して所定温度に維持する。この加熱は、以後の各工程でも継続してなされる。前処理工程では、滅菌槽2内の空気を排除する。滅菌工程では、滅菌槽2内に蒸気を供給して、滅菌槽2内を滅菌温度で滅菌時間保持することで、滅菌槽2内の被滅菌物を滅菌する。排気工程では、加圧下の滅菌槽2内から蒸気を排出して、滅菌槽2内の圧力を下げる。さらに、乾燥工程では、滅菌槽2内を減圧(あるいは減復圧)して被滅菌物を真空乾燥させる。乾燥工程の終了時、滅菌槽2内は大気圧まで復圧される。
【0023】
滅菌装置1は、好ましくは、各ドア4A,4Bの施解錠手段(たとえば電気錠)を備え、この施解錠手段により、各ドア4A,4Bは閉鎖状態で施錠(ロック)可能とされる。また、滅菌装置1は、各ドア4A,4Bの開閉状態を監視するドア監視手段を備える。たとえば、各ドア4A,4Bの開放または閉鎖をリミットスイッチのようなセンサで検知して、このセンサの検出信号から制御器が各ドア4A,4Bの開閉状態を把握する。あるいは、各ドア4A,4Bの電気錠(施解錠手段)を制御器により施解錠する場合、電気錠への制御信号から制御器が各ドア4A,4Bの開閉状態を把握する。
【0024】
滅菌装置1は、好ましくは、インターロック機構を備える。本実施例では、制御器による制御により、滅菌運転中は、両ドア4A,4Bを施錠(つまり閉鎖状態でロック)しておき、滅菌運転終了後は、搬出側ドア4Bを解錠(前記ロックを解除)し、搬出側ドア4Bが一旦開放されて閉鎖されると、搬出側ドア4Bを施錠すると共に搬入側ドア4Aを解錠する。従って、滅菌槽2内での被滅菌物の滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bを一旦開放して閉鎖すると、次回の滅菌終了後まで搬出側ドア4Bの開放が不能とされる。また、滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bが一旦開放されて閉鎖後には、搬入側ドア4Aの開放は可能とされ、滅菌運転開始に伴い、搬入側ドア4Aも開放が不能とされる。
【0025】
このようなインターロック機構の作動の有無は、制御パネル3からの設定により、切替可能とされる。つまり、インターロック機構を有効として運転できると共に、インターロック機構を無効として(つまり解除状態で)運転することもできる。特にインターロック機構を解除状態で運転する場合、搬出側ドア4Bから搬出可能な被滅菌物は滅菌済みとは限らないので、次のようにして、滅菌槽2内の収容物(つまり取り出そうとする物品)が滅菌済か否かの確認を促すのがよい。
【0026】
すなわち、滅菌装置1は滅菌確認手段を備え、この滅菌確認手段は、滅菌槽2内での被滅菌物の滅菌終了後(つまり滅菌運転の終了後)、ドア監視手段によるドア4(両ドア式の場合は搬出側ドア4B)の開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、制御パネル3の表示装置への表示や、スピーカからの音声などにより、ユーザに滅菌槽2内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す。なお、滅菌確認手段は、制御器により実現される。以下、滅菌確認手段による滅菌確認方法について具体的に説明する。
【0027】
図2は、本実施例の滅菌装置1の滅菌確認方法の一例を示すフローチャートである。ここでは、インターロック機構の解除状態(または有効状態)で滅菌運転し終えた後の制御器による処理を示している。インターロック機構を解除状態で運転した場合において、滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bの開放が当該滅菌運転後初めての開放でなければ、滅菌槽2内の収容物が未滅菌物でないかの注意(つまり滅菌がなされていない可能性がある旨の注意)を促すお知らせを発報する。
【0028】
さらに具体的に説明すると、滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bの開放指令があった場合(または実際に開放された場合(この場合はS5は不要))(S1)、インターロック機構の解除状態か否かのチェックがなされる(S2)。インターロック機構が有効状態(S2でNO)であれば、搬出側ドア4Bを開放(解錠)すればよい(S5)。一方、インターロック機構が解除状態(S2でYES)であれば、滅菌運転終了後の最初の開放であるかをチェックし、最初の開放(S3でYES)であれば、搬出側ドア4Bを開放(解錠)すればよい(S5)。滅菌運転終了後の二回目以降の開放(S3でNO)であれば、滅菌槽2内の収容物が未滅菌物でないかの注意を促すお知らせ(少なくとも搬出側へのお知らせ)を発報する。たとえば、「槽内の物品に対して、滅菌運転が行われていない可能性があります。ケミカルインジケータ等を確認してください」というような音声案内を発報したり、同趣旨の内容をタッチパネルなどに表示したりすればよい。被滅菌物には、滅菌の有無を確認できる滅菌インジケータ(ケミカルインジケータ等)が付属して滅菌されているので、前記お知らせを受けたユーザは、滅菌インジケータの確認を行い、滅菌済みであるか否かを確実に把握できることになる。
【0029】
なお、このような処理を行うために、滅菌運転終了後に搬出側ドア4Bが最初に開放された場合、その旨、制御器は所定箇所に登録しておくことになる。そして、この登録情報は、次回の滅菌運転開始時(または遅くとも終了時まで)に消去(キャンセル)されることになる。また、上述した滅菌確認手段による滅菌確認は、滅菌運転終了後になされ、たとえば暖機運転やボウィー・ディックテスト(Bowie&Dick Test)時には必要ない。
【0030】
次に、本実施例の滅菌装置1の変形例について説明する。
前記実施例では、滅菌装置1は、インターロック機構を備え、その解除時の所定の場合にお知らせを発報する構成としたが、そもそもインターロック機構を備えない滅菌装置1にも同様に適用可能である。つまり、その場合でも、滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bの開放が当該滅菌運転後初めての開放でなければ、滅菌槽2内の収容物が未滅菌物でないかの注意を促すお知らせを発報すればよい。
【0031】
また、前記実施例では、両ドア式の滅菌装置1とされたが、片ドア式の滅菌装置1にも同様に適用可能である。片ドア式の滅菌装置1は、滅菌槽2の前面(正面)にのみドア4を備えている。この場合も、前述した搬出側ドア4Bの開放時の滅菌確認案内と同様に、滅菌運転終了後、ドア4の開放が当該滅菌運転後初めての開放でなければ、滅菌槽2内の収容物が未滅菌物でないかの注意を促すお知らせを発報すればよい。これにより、滅菌槽2内から未滅菌物が搬出されるリスクを低減することができる。
【0032】
本発明の滅菌装置1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、(a)被滅菌物を搬入または搬出するための開口部を有し、その開口部をドア4で開閉可能とされた滅菌槽2と、(b)この滅菌槽2のドア4の開閉状態を監視するドア監視手段と、(c)滅菌槽2内での被滅菌物の滅菌終了後、ドア監視手段によるドア4の開放検知が当該滅菌終了後二回目以降であるとき、滅菌槽2内の収容物が滅菌済か否かの確認を促す滅菌確認手段とを備えるのであれば、その他の構造は適宜に変更可能である。
【0033】
たとえば、前記実施例において、インターロック機構として、従来公知の各種のものを適用可能である。具体的には、滅菌終了後、搬入側ドア4Aが開放された後は搬出側ドア4Bの開放を不能とし、搬出側ドア4Bの開閉によっては搬出側ドア4Bの開放を制限しないよう制御されるものでもよい。その場合、滅菌運転の終了後、搬入側ドア4Aが一旦開放された後は、次回の滅菌終了後まで搬出側ドア4Bの開放が不能とされる。そして、このようなインターロック機構が解除状態で運転された場合、滅菌運転終了後、搬出側ドア4Bの開放が当該滅菌運転後初めての開放でなければ、滅菌槽2内の収容物が未滅菌物でないかの注意を促すお知らせを発報すればよい。
【0034】
また、前記実施例では、蒸気滅菌装置に適用した例について説明したが、酸化エチレン(EOG)などの各種滅菌ガスを用いたガス滅菌装置にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 滅菌装置
2 滅菌槽
3 制御パネル
4 ドア
4A 搬入側ドア
4B 搬出側ドア
5 パネル
A 搬入側空間
B 搬出側空間
図1
図2