(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】把持鉗子
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20220922BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A61B17/32 528
A61B17/22 528
(21)【出願番号】P 2020164479
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520380428
【氏名又は名称】藤原 利恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(72)【発明者】
【氏名】藤原 修
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0043743(US,A1)
【文献】国際公開第2017/168614(WO,A1)
【文献】特開平06-217985(JP,A)
【文献】特表2004-535843(JP,A)
【文献】特表2012-500054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
17/32
17/221
18/12 - 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作具から延伸し、本体管状部から先端に小径管状部が突出し、前記本体管状部の先端部にスネア開口部を有する管状のシースと、前記本体管状部の内腔を進退する操作ワイヤと、その操作ワイヤに連結片を介して接続され、前記スネア開口部から前記小径管状部を跨がって前記シースの外周を取囲むように突出するスネアと、先端が前記スネアの頂部に連結され前記本体管状部を貫通し前記操作具の手元操作部に保持されてなる糸状のハンドラインと、
前記操作具及びシース内を貫通して前記小径管状部から突出するガイドワイヤと、を有する把持鉗子。
【請求項2】
操作具から延伸し、本体管状部から先端に小径管状部が突出し、前記本体管状部の先端部にスネア開口部を有する管状のシースと、
前記操作具の手元操作部から前記シースの本体管状部を貫通し、前記スネア開口部から前記小径管状部を跨がって前記シースの外周を取囲むように突出してスネアループ部を形成し、折り返して前記本体管状部を貫通し、前記操作具の手元操作部に戻って前記手元操作部に保持され、前記手元操作部の操作により前記スネアループ部の前記スネア開口部からの突出長さが調整可能なスネアワイヤと、
先端が前記スネアの頂部に連結され前記本体管状部を貫通し前記操作具の
ハンドライン用の手元操作部に保持されてなる糸状のハンドラインと、
前記操作具及びシース内を貫通して前記小径管状部から突出するガイドワイヤと、を有する把持鉗子。
【請求項3】
シースの小径管状部は、長さが5~50mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の把持鉗子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体内に挿通され組織又は異物の把持又は回収に供されるスネア又はスネアワイヤを用いた軟性内視鏡用の把持鉗子に関する。
【背景技術】
【0002】
消化器官のポリープの切除、異物回収や組織採取などに軟性内視鏡用の把持鉗子が使用されている。この把持鉗子は、フッ素樹脂などからなるシースの先端においてその内腔から出入操作される医療用のニッケル・チタン合金などからなるスネアを有するものが使用されている。スネアは、例えば外径が0.5mmあるいは1mmで超高弾性を有し、シース先端からループ形状をなして突出している。このループ形状部分で、ポリープの所定の部位を把持するとともに所定の緊縛力をかけるのは容易ではない。このため、スネアの形状又は構造について種々の提案が成されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、貫通する内孔を有する筒部材と、前記筒部材の前記内孔に挿通されるループ形成部材とを備え、前記ループ形成部材は、先端同士が繋がった第1、第2の片を有しており、前記第1、第2の各片の基端は、それぞれ前記筒部材の長さ方向に移動可能とされ、前記第1、第2の各片の基端の双方を前記筒部材の長さ方向の一方側に移動させることで、前記第1、第2の各片の先端側を前記筒部材の先端から突出させて、当該突出した第1、第2の各片の先端側によって、前記筒部材の先端の位置から延びるループを形成でき、前記第1の片の基端と第2の片の基端とのうち、一方を他方に対して前記筒部材の長さ方向に相対的に移動させることで、前記第1の片と前記第2の片とが向き合う方向に、前記ループの向きを変えることができ、前記第1、第2の各片の基端の双方を前記筒部材の長さ方向の他方側に移動させることで、前記第1、第2の各片の先端側を記筒部材の内孔に引き込むことが可能である引っ掛け具が提案されている。この引っ掛け具は、ループの形状や向きを容易に変化させることができ、操作性に優れているとされる。
【0004】
特許文献2には、可撓性のシースと、シース内を摺動する並列した2本のケーブルと、2本のケーブルの各々の遠位端に両端を接続し、シースから出退して、突出するときループを形成する弾性のワイヤーと、ケーブルを介してワイヤーの出退及びループの拡縮を操作する手元操作部より構成し、前記ワイヤーには、該ワイヤーがループを形成したときシース先端近傍となる位置であって、ループの一方側の基端部(近位端)となる位置に、所定の間隔を設けて遠位側及び近位側の2つの折り曲げ部を癖付けして形成し、前記手元操作部に、並列するケーブルを共にスライドする第一のスライド手段と、前記折り曲げ部を設けない側のワイヤー端部が接続されたケーブルのみをスライドする第二のスライド手段を備えたことを特徴とする内視鏡用スネアが提案されている。この内視鏡用スネアは、ループの大きさに依らずループ形状を円環状に保持するとともに、ワイヤー突出の初期段階であってもワイヤーが捩れることがなく、常に安定した位置や向きでループを円環状に拡縮することができるとされる。
【0005】
特許文献3には、長手軸に沿って延びたルーメンを有するシースと、前記長手軸に沿って延び、前記ルーメン内で前記長手軸に沿って移動自在に配置された操作部材と、前記操作部材の先端に連結され、前記シースから突出しており、前記操作部材の移動に応じて前記シースからの突出量が調整されるように構成されたスネアワイヤと、前記シースの先端部に設けられ、前記長手軸に交差する方向に開口する貫通孔を有する保持部と、を備え、前記スネアワイヤは、前記スネアワイヤの一端を含む第一近位部と、前記第一近位部に連なる第一遠位部と、を有する第一ワイヤ部分と、前記スネアワイヤの他端を含む第二近位部と、前記第二近位部に連なる第二遠位部と、を有し、前記第二近位部と前記第二遠位部との間で前記貫通孔を通って延び、かつ前記第一ワイヤ部分を横切って延びる第二ワイヤ部分と、前記第一遠位部と前記第二遠位部との間で湾曲して延びており、前記第一遠位部および前記第二遠位部に連なり、少なくとも一部が前記貫通孔よりも遠位側に配置された湾曲部分と、を備える組織切除器具が提案されている。この組織切除器具は、スネアループの基端側および対象組織からシースの先端に対してシースを圧縮する方向に力が加わるので、硬い対象組織に十分な緊縛力を加えて切除することができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2018/164264号
【文献】特開2019-97907号公報
【文献】国際公開第2018/211692号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
消化器官のポリープの把持等に使用される軟性内視鏡用の把持鉗子は、ポリープの把持等に好適な形状、操作性が求められる。このため、特許文献1~3に記載の引っ掛け具など(把持鉗子)に示されるように、スネアのループ部分の形状、保持方法又は構成に関する各種提案がなされている。しかしながら、これらの把持鉗子は、複雑な構成になっており、その加工性や操作性は必ずしも充分でない。このため、簡単な構成で容易に術者が要求する操作が可能な把持鉗子が求められている。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点又は要請に鑑み、身体内に挿通され組織又は異物の把持又は回収に好適であって、簡単な構成で操作性に優れた把持鉗子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る把持鉗子は、操作具から延伸するシースの内腔を進退する操作ワイヤに、連結片を介して前記シース先端部において出入操作されるスネアと、そのスネアに連結され、前記スネアの出入操作においてスネアの伸張方向を屈折させる糸状のハンドラインと、を有してなる。
【0010】
上記発明において、スネアに連結されるハンドラインは、糸からなり、一端がスネアの頂部に連結され、他端がシースの先端部分に連結されてなるもの、または、一端がスネアの対向する左と右の中間部分に連結され、他端がシースの先端部分に連結されてなる一対のものとすることができる
【0011】
また、シースの外周を摺動する外シースを有するとともに、スネアに連結されるハンドラインは、糸からなり、一端がスネアの頂部に連結され、他端がシースの先端部分に連結されてなるもの、または、一端がスネアの対向する左と右の中間部分に連結され、他端が外シースの先端部分に連結されてなる一対のものとすることができる。
【0012】
また、本発明に係る把持鉗子は、操作具から延伸するシースと、前記操作具の手元操作部から前記シースの内腔を貫通し前端から突出してスネアループ部を形成し、折り返して前記シースの内腔を貫通し、前記操作具の手元操作部に戻って前記手元操作部に保持されてなり、前記スネアループ部が前記手元操作部の操作により前記シース先端部において出入操作されるスネアワイヤと、前記スネアループ部に連結され、前記スネアの出入操作においてスネアの伸張方向を屈折させる糸状のハンドラインと、を有するものとすることができる。
【0013】
この発明において、ハンドラインは、シース内を進退可能な程度の剛性を有する細線からなり、先端が、スネアループの頂部に連結され、または、一対のスネアループの対向する左又は右の中間部分に連結され、シースの内腔を貫通し操作具の手元操作部に保持されてなるものとすることができる。この一対のハンドラインは、操作具の手元操作部においてそれぞれ個別に進退操作をすることができる。
【0014】
上記は発明において、スネアを縁枠とし、または、スネアループ部を縁枠とする袋状のネットを有する把持鉗子とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る把持鉗子は、操作具から延伸し、本体管状部から先端に小径管状部が突出し、前記本体管状部の先端部にスネア開口部を有する管状のシースと、前記本体管状部の内腔を進退する操作ワイヤと、その操作ワイヤに連結片を介して接続され、前記スネア開口部から前記小径管状部を跨がって前記シースの外周を取囲むように突出するスネアと、先端が前記スネアの頂部に連結され前記本体管状部を貫通し前記操作具の手元操作部に保持されてなる糸状のハンドラインと、を有する把持鉗子とすることができる。
【0016】
また、本発明に係る把持鉗子は、操作具から延伸し、本体管状部から先端に小径管状部が突出し、前記本体管状部の先端部にスネア開口部を有する管状のシースと、前記操作具の手元操作部から前記シースの本体管状部を貫通し、前記スネア開口部から前記小径管状部を跨がって前記シースの外周を取囲むように突出してスネアループ部を形成し、折り返して前記本体管状部を貫通し、前記操作具の手元操作部に戻って前記手元操作部に保持され、前記手元操作部の操作により前記スネアループ部の前記スネア開口部からの突出長さが調整可能なスネアワイヤと、先端が前記スネアの頂部に連結され前記本体管状部を貫通し前記操作具の手元操作部に保持されてなる糸状のハンドラインを有する把持鉗子とすることができる。
【0017】
上記発明において、シースの小径管状部は、長さが5~50mmとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る把持鉗子は、簡単な構成でスネア又はスネアループ部の形状、伸張方向を容易に操作することができ、操作性に優れる。また、本把持鉗子は、身体内に挿通され組織又は異物の把持又は回収を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る把持鉗子の構成を示す説明図である。
【
図2】他の例の把持鉗子の構成を示す説明図である。
【
図3】スネアの突起と操作具のスライダ後部に連結されたハンドラインを有する把持鉗子の構成を示す説明図である。
【
図4】スネアが拡張した状態及びスネアの縁枠にネットを装着したスネアを示す図である。
【
図5】棒状物把持型の把持鉗子の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。
図1又は
図2は、本発明に係る把持鉗子の例を示す。
図1に示す把持鉗子10は、操作具11から延伸するシース12の内腔を進退する操作ワイヤ15に、連結片16を介して前記シース先端部において出入操作されるスネア20と、そのスネア20に連結され、スネア20の出入操作においてスネア20の伸張方向を屈折させる糸状のハンドライン30と、を有する。操作具11は公知のものを使用することができ、本体110にスライダ111が設けられている。操作具11からはシース12が延伸し、シース12の基端部にはブーツ14が設けられている。スライダ111を進退することにより、スネア20の出入操作をすることができる。シース12は、公知のものを使用することができ、フッ素樹脂製のものなどが使用される。
【0021】
シース12の内腔に挿通された操作ワイヤ15は、スライダ111の押し引き操作によりその内腔を進退する。操作ワイヤ15にはその先端に連結片16を介してスネア20が連結されている。操作ワイヤ15、連結片16又はスネア20は公知のものを使用することができる。スネア20は、例えば外径が0.5mmあるいは1mmで超高弾性を有するニッケル・チタン合金線が使用されるが、その他ステンレスやタングステン製の超高弾性の細線が使用される。スネア20は、
図1に示すように、ループの中心部に突起202を有するものがよい。
【0022】
スネア20に使用されるニッケル・チタン合金は高い剛性を有しており、本把持鉗子10において、
図2に示すスネアワイヤ25を使用することができる。この把持鉗子10は、操作ワイヤ15を有しないが、上記スネア20と同様に操作することができる。本把持鉗子10のスネアワイヤ25は、操作具11の手元操作部115からシース12の内腔を貫通しシース前端から突出してスネアループ部25bを形成し、折り返して再びシース12の内腔を貫通し、操作具11の手元操作部115に戻る。スネアワイヤ25の前端部25a1と後端部25a2が手元操作部115から突出している。この前端部25a1及び後端部25a2を進退させることにより、スネアループ部25bをシース12の前端部において出入操作することができる。本例の操作具11又はスネアワイヤ25は、公知のものを使用することができる。
【0023】
本発明に係る把持鉗子10は、糸状のハンドライン30を有している。例えば、
図1に示すハンドライン30は、一端がスネア20の突起202の部分に連結され、他端がシース12の先端部分の連結点302に連結されている(
図1(a))。連結点302の位置はスネアの屈折方法にかかり重要である。連結点302は、シース20の先端部分にあって、突起202を形成するスネア軸線を含む平面に直交するシース軸線を含む平面上の点に設けるのがよい。シース12のスネア20の出入操作においてスネア20の伸張方向は、その連結点35の方向に屈折させることができる。ハンドライン30は、
図1(b)に示すように、シース12の外周を摺動する外シース13を設け、この外シース13の先端部分に連結点302を設けることができる。かかる構成の把持鉗子10は、外シース13をシース12に沿って進退させることにより、スネア20を屈折させるタイミングやスネア20の拡張形状を調整することができる。外シース13の長さは、その操作に好適な長さが選択される。
【0024】
また、ハンドライン30のスネア20との連結点は、
図1(c)に示すように、スネア20の対向する左と右の中間部分の連結点203と連結点204とすることができる。すなわち、一端が連結点203又は連結点204に連結され、他端がシース12の先端部又は外シース13の先端部の連結点302に連結された一対のハンドライン30Aと30Bとすることができる。上述のような、他端がシース12又は外シース13の連結点302に連結されるハンドライン30は、スネア20のシース12先端部における出入操作においてスネア12の動作に従って円滑に追随することが求められる。このため、ハンドライン30は、高い引張り強さを有するが、引張り力がなくなればその自重で垂れ下がるようなほとんど剛性のないものが好ましく、かかるハンドライン30は糸からなるものが好ましい。この糸は、単糸であると撚糸であるとを問わないが、絹糸やナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン又はポリビニリデンフルオライドなどの化学繊維からなる糸を使用することができる。
【0025】
これに対して、
図2に示すハンドライン30は、前端がスネアワイヤ25のスネアループ部25bの突起252に連結され、シース12を貫通して手元操作部116から後端が突出している(
図2(a))。また、ハンドライン30は、
図2(b)に示すように、前端がスネアループ部25bの中間部分を連結点253、254とする一対のハンドライン30A、30Bとすることができる。この一対のハンドライン30A、30Bは、手元操作部116でそれぞれを操作することにより、スネアループ部25bの伸張方向、拡張形状を調整することができる。この手元操作部116で操作するタイプのハンドラインは、シース12の内腔を進退させることができる程度の剛性を有するものが好ましい。かかるハンドライン30は、上述の糸と異なり、シース内を円滑に進退できる程度の曲げ剛性を有する金属繊維を含む繊維又は細線、すなわち糸状の細線を使用することができる。なお、ハンドライン30の剛性は、スネア20の剛性よりも小さいものとされる。
【0026】
図3は、スネア20の突起202に連結された糸状のハンドライン30がシース12を貫通し、操作具11のスライダ後部111bに連結されてなる把持鉗子10を示す。本把持鉗子11のスライダ111は、スライダ前部111aとスライダ後部111bからなる。スライダ前部111aは、本体110に段階的に又は自由位置に固定することができる。スライダ後部111bは、スライダ前部111aに一体に固着することができ、又離脱させ矢印方向にスライドさせることができる。このため、必要に応じてスライダ後部111bをスライダ前部111aから離脱させて後退させることにより、スネア20を屈折させることができ、操作性に優れる。なお、本例の把持鉗子10の操作具回りの構成は
図1に示す把持鉗子10の操作具回りの構成と近似しているが、スライダ後部111bは
図2に示す把持鉗子10の手元操作部116と同等の機能を有する。
【0027】
以上、スネア20又はスネアループ25bの伸張方向を好適に屈曲させ、操作性に優れる把持鉗子10について説明した。本把持鉗子10のスネア20又はスネアループ部25bのシース12の先端から突出する長さは、5~50mmとすることができる。
図4(a)にスネア20が拡張した状態を示す。スネア20は、ハンドライン30のシース12の連結部302の方向に屈曲しており、大きく拡張している。本把持鉗子10は、スネア20を縁枠とし、または、スネアループ部25bを縁枠とする袋状のネット27を装着することができる。これにより異物等の回収を容易に行うことができる。把持鉗子10のスネア12にネット27を装着した例を
図4(b)に示す。ネット27は袋状になっており、崩壊しやすい塊状のものを好適に回収することができる。また、
図1又は
図3に示す形態の操作具であって、例えばスネアに高周波電流を供給する端子を有する操作具においては、その端子を電気手術器に接続することにより操作性に優れた医療用スネアを構成することができる。
【0028】
また、本発明に係る把持鉗子10は、消化器官や胆管などに沿って長い棒状の組織や異物を好適に把持することができる。かかる把持鉗子を図5に示す。本把持鉗子10は、操作具11から延伸し、本体管状部12aから先端に小径管状部12bが突出し、本体管状部12aの先端部にスネア開口部12cを有する管状のシース12と、本体管状部12aの内腔を進退する操作ワイヤ15と、その操作ワイヤ15に連結片16を介して接続され、スネア開口部12cから小径管状部12bを跨がってシース12の外周を取囲むように突出するスネア20と、一端がスネア20の頂部に連結され本体管状部12aを貫通し操作具11の手元操作部116に保持されてなる糸状のハンドライン30を有する。この把持鉗子10においては、ガイドワイヤ28が使用されている、ガイドワイヤ28は、シース12の小径管状部12bから突出し、小径管状部12b及び本体管状部12aを貫通して手元操作部115に保持されている。手元操作部115においてガイドワイヤ28の進退操作をすることができる。また、本例のハンドライン30は、一端がシース12の本体管状部12aの先端部分のハンドライン開口部12dから突出してスネア20に連結され、他端が手元操作部116において進退操作することができるようになっている。
【0029】
本把持鉗子10は、スネア20が小径管状部12bを跨がってシース12の外周を取囲むように突出しているのが特徴である。操作ワイヤ15を操作して
図5(a)に示すようにスネア20を拡張して、棒状の組織や異物をスネア20のループ内に取り囲んだ後、
図5(b)に示すように、スネア20を引き絞ると当該組織や異物を確実に把持することができる。小径管状部12bの長さは、5~50mmとすることができる。
【0030】
かかる棒状物把持型の把持鉗子においても、上記スネア20及び操作ワイヤ15を使用しない形態のスネアループ部25bを有するスネアワイヤ25を使用することができる。すなわち、操作具11の手元操作部115からシースの本体管状部12aを貫通し、スネア開口部12cから小径管状部12bを跨がってシース20の外周を取囲むように突出してスネアループ部を形成し、折り返して本体管状部12aを貫通し、操作具11の手元操作部115に戻って手元操作部115に保持され、手元操作部115の操作によりスネアループ部のスネア開口部12cからの突出長さが調整可能なスネアワイヤ(図示せず)とすることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 把持鉗子
11 操作具
110 本体
111 スライダ
115 手元操作部
116 手元操作部
12 シース
13 外シース
14 ブーツ
15 操作ワイヤ
16 連結片
20 スネア
202 突起
203 連結点
204 連結点
25 スネアワイヤ
252 突起
253 連結点
254 連結点
27 ネット
28 ガイドワイヤ
30、30A、30B ハンドライン
302 連結点