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特許7144791マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び駐車の正確な測位方法
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  • 特許-マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び駐車の正確な測位方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び駐車の正確な測位方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/48 20100101AFI20220922BHJP
   G01S 19/50 20100101ALI20220922BHJP
   G01S 5/10 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G01S19/48
G01S19/50
G01S5/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021019404
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022070793
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】202011166087.1
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張先勇
(72)【発明者】
【氏名】鄭立斐
(72)【発明者】
【氏名】李小青
(72)【発明者】
【氏名】楊鴻斌
(72)【発明者】
【氏名】湯宗磊
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209739078(CN,U)
【文献】国際公開第2014/118880(WO,A1)
【文献】特開2017-223531(JP,A)
【文献】特開2014-210571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセンサ融合に基づく室内外における混銑車の連続的な位置検出及び正確な測位方
法であって、前記マルチセンサ融合に基づく室内外における連続的な位置検出及び駐車の
正確な測位方法は、
渦電流閾値を検出し、渦電流信号が所定閾値よりも小さいと、UWB基地局数の閾値を
検出し、
渦電流信号が閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおける渦電流信号強度検出に
切り替えるステップ1と、
UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも大きいか否かを判定し、UWB基地局数の閾値
が所定閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおけるUWB信号取得に切り替え、U
WB基地局数の閾値が所定閾値よりも小さいと、有効衛星数の閾値を検出し、有効衛星数
の閾値が所定閾値よりも小さいと検出されると、最小二乗法で現在の推定位置を測位位置
出力として直接的にフィッティングするステップ2と、
有効衛星数の閾値が所定閾値よりも大きいと検出されると、室外ナビゲーションに切り替
え、衛星信号を取得し、さらにKalmanフィルタリング予測を行い、現在の推定位置
を測位位置として直接的に出力するか、又は最小二乗法で現在の推定位置を測位位置とし
てフィッティングしたり直接的に出力したりするステップ3と、を含み、
前記ステップ1において、室内ナビゲーションにおける渦電流信号強度を検出した後、
渦電流測距結果の換算、渦電流測距座標の変換を行い、渦電流センサと駐車位置制限目標
との位置関係を得て、混銑車の現在の位置を出力する、
ことを特徴とするマルチセンサ融合に基づく室内外における混銑車の連続的な位置検出
及び正確な測位方法。
【請求項2】
前記ステップ2において、室内ナビゲーションにおけるUWB信号を取得した後、UWB
測位座標系を変換し、Kalmanフィルタリング処理を行い、混銑車の現在の推定位置
を測位位置として直接的に出力するか、又は最小二乗法で混銑車の現在の推定位置を測位
位置としてフィッティングしたり直接的に出力したりする、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチセンサ融合に基づく室内外における混銑車の連
続的な位置検出及び正確な測位方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金工業の混銑車のナビゲーション及び駐車の正確な測位の技術分野に属し、特に、マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び駐車の測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大型冶金企業は、一般的にGPSとRFID無線周波数測位技術を用いて、鉄道輸送車両(混銑車)が工場内で運転している位置を測位し、一般的にメートルオーダの精度で、生産スケジューリングを完全に満たし、かつ輸送ノードの安全監視を実現することができる。混銑車が工場内に入っている場合、衛星測位受信機は、衛星信号を効果的に受信することができないため、室内測位技術を使用しなければならない。従来の測位技術及び設備は、特殊な環境に適応せず、室内外からの異なる信号への連続的な監視測位を実現することができない。混銑車の駐車過程は、専門家がインターフォンを介して運転者をリアルタイムに指揮して測位を完成させる。
【0003】
以上をまとめると、従来技術には、従来の測位技術が特殊な環境(高温、粉塵が多い)に適応できず、室内外の異なる信号の監視測位が相対的に独立しており、信号の相互作用領域では、連続的な切り替えが実現されず、また、混銑車の駐車測位が依然として人の指揮に依存して行われるという課題が存在する。
【0004】
上記技術的課題を解決する難易度は、信号の相互作用領域では、信号の強さを判断することにより、正確な測位方式を選択し、かつ双方向の自由な切り替えを実現することと、過酷な環境に適した技術的方法を選択することである。
【0005】
上記技術的課題を解決する意義は、冶金工業では、高温溶融金属の運搬作業中に、混銑車が工場建物に出入すると、衛星信号が消えるが、本発明は、車両の室内外における連続的な位置検出を実現し、衛星測位不感帯の問題を解決することができること、本発明が採用する技術的方法は、過酷な作業環境(高温、粉塵が多い)に適応することができることと、本発明は、混銑車の指揮なし駐車を実現することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に存在する課題に対して、本発明は、マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び駐車の測位方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マルチセンサ融合に基づく室内外における混銑車の連続的な位置検出及び正確な測位方法により実現され、
渦電流閾値を検出し、渦電流信号が所定閾値よりも小さいと、UWB基地局数の閾値を検出し、
渦電流信号が閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおける渦電流信号強度検出に切り替えるステップ1と、
UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも大きいか否かを判定し、UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおけるUWB信号取得に切り替え、
UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも小さいと、有効衛星数の閾値を検出し、有効衛星数の閾値が所定閾値よりも小さいと検出されると、最小二乗法で現在の推定位置を測位位置出力として直接的にフィッティングするステップ2と、
有効衛星数の閾値が所定閾値よりも大きいと検出されると、室外ナビゲーションに切り替え、衛星信号を取得し、さらにKalmanフィルタリング予測を行い、現在の推定位置を測位位置として直接的に出力するか、又は最小二乗法で現在の推定位置を測位位置としてフィッティングしたり直接的に出力したりするステップ3と、を含む。
【0008】
本発明の他の目的は、マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出の正確な測位システムを提供することであり、
渦電流信号、UWB基地局信号、有効衛星信号を検出するとともに、検出した信号値と相関閾値の大きさを比較し、異なるナビゲーションモジュールを適応的に選択してナビゲーションを行うための切り替えモジュール1と、
車両が室内にある場合、UWB測位技術を利用して室内測位を行うための室内測位モジュールと、
車両が室外にある場合、GPS測位技術を利用して室外測位を行うための室外測位モジュールと、
輸送車両が室内から室外へ、又は室外から室内への遷移状態にある場合に、UWBと衛星測位情報を利用して最小二乗フィッティングで測位するための遷移モジュールと、
現在のナビゲーション測位位置を出力するための位置出力モジュールと、を含む。
【0009】
本発明の他の目的は、マルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出の正確な測位装置を提供することであり、
牽引機関車のルーフ位置に取り付けられ、室外ナビゲーションを行うためのGPS受信機と、
牽引機関車のルーフ位置に取り付けられ、室内ナビゲーションを行うためのUWBタグと、
牽引機関車の側面に取り付けられ、高さがレールの側面の駐車用マーク合わせ装置の高さと同じであり、混銑車が所定位置に正確に駐車されるか否かを検出するための測位渦電流センサと、
UWB基地局であって、複数のUWB基地局が汲出し作業場内において、UWBタグと同一の水平面にある非遮蔽位置に均一に取り付けられるものと、
レールの側面に取り付けられ、取付高さが、車体の側面に取り付けられた測位渦電流センサと同じである駐車用マーク合わせ板と、を含む。
【0010】
本発明の他の目的は、ユーザー入力を受信するプログラム記憶媒体を提供することであり、記憶されたコンピュータプログラムは、電子機器に前述したマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位を実行させ、前述したマルチセンサ融合に基づく室内外における混銑車の連続的な位置検出及び正確な測位方法を実行させる。
【0011】
本発明では、輸送車は、室内に入る過程で、通常、低速で直線運動をするため、短い時間内で直線運動をすると近時して考えることができ、したがって、ある期間内の衛星の位置データ集合X({(x1-1,y1-1)、...((x1-m,y1-m))})と、同じ期間内のUWB出力位置データ集合X({(x2-1,y2-1)、...((x2-m,y2-m))})とを線形最小二乗フィッティングの入力とすると、以下を得ることができる。
【0012】
輸送車が走行している空間の直線の傾きは、
であり、オフセット量は、
である。これにより、輸送車が次の位置に走行する時、取得したx座標に基づいて対応するy軸座標を算出し、そして、GPSとUWBのy軸データと比較し、かつ、両者のうち推定値に近い位置を実測位置データとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上をまとめると、本発明の利点及び積極的な効果として、本発明は、室内外の相互作用領域で、衛星測位とUWB融合測位を用いて、一定の閾値条件を満たす時に、ナビゲーション信号の切り替えを実行し、室内外の連続的なナビゲーションを実現し、測位中に発生する追跡測位信号が消えてしまうという状況を回避する。
【0014】
本発明の連続的な位置検出及び正確な測位システムと方法は、高温、粉塵の環境に適応することができ、高温、粉塵の環境下での混銑車の室内外における連続的な測位を行うことができる。
【0015】
本発明は、統一したソフトウェアプラットフォームを確立し、3種類の測位方式のデータを受信し、計算して処理し、室内外からの異なる信号への連続的な監視測位を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例にて提供されるマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位システムの構造概略図である。
図2】本発明の実施例にて提供されるマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例にて提供されるマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位方法の原理図である。
図4】本発明の実施例にて提供される車体センサの配置概略図である。
図5】本発明の実施例にて提供される室内センサの配置概略図である。
図6】本発明の実施例にて提供されるUWB基地局とタグ配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明されている具体的な実施例は、単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0018】
従来の測位技術は、特殊な環境に適応することができず、室内外からの異なる信号への連続的な監視測位を実現することができない。
【0019】
上記課題を解決するために、以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施例にて提供されるマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位システムは、具体的には、
渦電流センサ信号、UWB基地局信号、有効衛星信号を検出するとともに、検出した信号値と相関閾値の大きさを比較し、異なるナビゲーションモジュールを適応的に選択してナビゲーションを行うための切り替えモジュール1と、
車両が室内にある場合、UWB測位技術を利用して室内測位を行うための室内測位モジュール2と、
車両が室外にある場合、GPS測位技術を利用して室外測位を行うための室外測位モジュール3と、
輸送車両が室内から室外へ、又は室外から室内への遷移状態にある場合に、UWBと衛星測位情報を利用して最小二乗フィッティングで測位するための遷移モジュール4と、
現在のナビゲーション測位位置を出力するための位置出力モジュール5と、を含む。
【0021】
図2に示すように、本発明の実施例にて提供されるマルチセンサ融合に基づくフィールド内外における連続的な位置検出及び正確な測位方法は、
渦電流閾値を検出し、渦電流信号が所定閾値よりも小さいと、UWB基地局数の閾値を検出し、渦電流信号が閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおける渦電流信号強度検出に切り替えるS101と、
UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも大きいか否かを判定し、UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも大きいと、室内ナビゲーションにおけるUWB信号取得に切り替え、UWB基地局数の閾値が所定閾値よりも小さいと、有効衛星数の閾値を検出し、有効衛星数の閾値が所定閾値よりも小さいと検出されると、最小二乗法で現在の推定位置を測位位置出力として直接的にフィッティングするS102と、
有効衛星数の閾値が所定閾値よりも大きいと検出されると、室外ナビゲーションに切り替え、衛星信号を取得し、さらにKalmanフィルタリング予測を行い、現在の推定位置を測位位置として直接的に出力するか、又は最小二乗法で現在の推定位置を測位位置としてフィッティングしたり直接的に出力したりするS103と、を含む。
【0022】
前記ステップS101において、室内ナビゲーションにおける渦電流信号強度を検出した後、渦電流測距結果の換算、渦電流測距座標の変換を行い、渦電流センサと駐車位置制限目標との位置関係を得て、混銑車の現在の位置を出力する。
【0023】
前記ステップS102において、室内ナビゲーションにおけるUWB信号を取得した後、UWB測位座標系を変換し、Kalmanフィルタリング予測を行い、混銑車の現在の推定位置を測位位置として直接的に出力するか、又は最小二乗法で混銑車の現在の推定位置を測位位置としてフィッティングしたり直接的に出力したりする。
【0024】
本発明では、前記Kalmanフィルタリング予測方法は、以下を含む。
【0025】
予測値計算式は以下のとおりである。
【0026】
【0027】
予測値X(k|k-1)に対応するk-1時刻の共分散予測値は以下のとおりである。
【0028】
ここで、P(k-1|k-1)は、k-1時刻の共分散の最適結果であり、Qは、システムプロセスノイズ共分散である。
【0029】
Kalmanフィルタリングのk時刻のゲイン値は、以下のとおりである。
【0030】
ここで、Hは、システム測定行列であり、一般的に、[1、0]にし、Rは、測定ノイズ共分散である。
【0031】
k時刻のシステム状態の最適値は、以下のとおりである。
【0032】
ここで、Z(k)は、k時刻のシステム測定値である。
【0033】
k時刻のシステムの最適結果に対応する共分散は、以下のとおりである。
【0034】
【0035】
【0036】
好ましい実施例として、前記UWB信号測位方法は、さらに、重み値割り当て方法を含み、具体的には、
基地局をグループ化し、測位環境における全ての基地局をIDによりNグループに分割し、かつ組合せ数C(N,3)を求め、グループ毎にそれぞれ三辺測位を行うステップ1と、
距離が遠いほど信頼度が低くなるという原則に従って、重み値を割り当てるステップ2と、
各グループから得られた結果を重み付けて最終的な測位結果を得るステップ3と、を含む。
【0037】
好ましい実施例として、前記UWB信号測位方法は、ハイブリッド測位技術をさらに含み、TDOAと、TOAと、重み値割り当て方法とのハイブリッド方式を用いて、異なる測位パラメータを取得することで測位計算を行う。
【0038】
好ましい実施例として、車両は、運転中に、渦電流センサの信号強度が閾値よりも大きいと監視されると、他の通路を遮蔽し、渦電流位置情報のみを検出しかつ出力とする。
【0039】
渦電流信号が弱いと、まずUWB基地局信号を検出し、基地局数が3よりも大きいと、UWB信号ナビゲーションを直接使用する。
【0040】
UWB信号が弱いと、衛星ナビゲーション信号の有効衛星数が4よりも大きいか否かをさらに判定し、条件を満たすと、GPSナビゲーションを直接使用し、満たさないと、輸送車両が室内から室外へ、又は室外から室内への遷移状態にあることを示し、UWBと衛星測位情報を利用して最小二乗法で現在の推定位置をナビゲーション測位出力としてフィッティングする。
【0041】
図3は、本発明の実施例にて提供されるフィールド内外の連続的な位置検出及び正確な測位方法を示す原理図である。
【0042】
図4図5に示すように、本発明の実施例にて提供されるフィールド内外の連続的な位置検出及び正確な測位装置は、具体的には、
牽引機関車のルーフ位置に取り付けられ、室外ナビゲーションを行うためのGPS受信機と、
牽引機関車のルーフ位置に取り付けられ、室内ナビゲーションを行うためのUWBタグと、
牽引機関車の側面に取り付けられ、高さがレールの側面の駐車用マーク合わせ装置の高さと同じであり、混銑車が所定位置に正確に駐車されるか否かを検出するための測位渦電流センサと、
UWB基地局であって、複数のUWB基地局が汲出し作業場内において、UWBタグと同一の水平面にある非遮蔽位置に均一に取り付けられるものと、
レールの側面に取り付けられ、取付高さが、車体の側面に取り付けられた測位渦電流センサと同じである駐車用マーク合わせ板と、を含む。
【0043】
以下、具体的な適用例の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0044】
適用例:
1)、システムが使用した測位技術及び機器
(1)GPS受信機
表1 システムが使用した測位技術及び機器パラメータ
【0045】
(2)UWB機器の性能パラメータ
表2 UWB機器の性能パラメータ
【0046】
(3)渦電流センサ
表3 渦電流センサの性能パラメータ
【0047】
2)、全体的な技術的解決手段
輸送車両はレール上を走行するため、水平面上の測位情報は注目された焦点となる。技術的検討の観点から、鉛直方向の変位状況を無視することで、計算モデルを効果的に簡略化することができる。したがって、技術的解決手段では、主に衛星測位領域を用いてUWB信号と衛星測位信号とのシームレスな切り替え過程を検討することを考慮に入れる。
【0048】
測位精度を向上させ、信号の遮蔽、複数回の反射等の外的要因による測位への影響を回避するために、GPSとUWBタグは、いずれも牽引機関車のルーフ位置に取り付けられ、測位渦電流センサは、混銑車が所定位置に正確に駐車されるか否かを検出するために、混銑車の側面に取り付けられ、その高さは、レール側面の駐車用マーク合わせ装置の高さと同じである。
【0049】
汲出し作業場内にUWB基地局を配置する必要があり、測位精度をより向上させるためには、基地局は、汲出し作業場内のUWBタグと同一の水平面にある非遮蔽位置に均一に取り付ける必要があり、駐車用マーク合わせ板は、レールの側面に取り付けられ、その取り付け高さは、車体の側面に取り付けられた測位渦電流センサと同じである。
【0050】
室内外の相互作用領域の環境が複雑であり、衛星測位とUWB測位にも測位信号が消えるまで弱くなる過程が存在するため、測位中に追跡測位信号が消えてしまう可能性がある。したがって、本発明では室内外の相互作用領域に衛星測位とUWBの融合測位を用い、一定の閾値条件を満たす時、ナビゲーション信号の切り替えを実行することで、室内外の連続的なナビゲーションを実現する。一方、室内ナビゲーション時には渦電流信号に依存して最後の正確な測位を実現し、渦電流センサは、以上の2種類のセンサに対して測定範囲が小さいが、測定精度が高く、室内環境ではその測定ノイズを殆ど無視できるので、それが測定信号を生成した後にUWBナビゲーション測位信号から渦電流信号に直接的に切り替えるが、その測定信号が消えた後に、その測位情報からUWBナビゲーション測位信号に直接変換する。図3における本発明の実施例にて提供されるフィールド内外の連続的な位置検出及び正確な測位方法の原理に示すとおりである。
【0051】
車両の運転特徴によれば、その運転位置は、主に、室内ナビゲーション、室外ナビゲーション、及び両者間にある遷移状態という3種類の状態にある。したがって、運転中に、渦電流センサは測位精度が最も高く、かつUWBと同時動作状態にあるため、システムは、渦電流センサの信号強度が閾値よりも大きいと検出すると、他の通路を遮蔽し、渦電流位置情報のみを検出しかつ出力とし、渦電流信号が弱いと、まずUWB基地局信号を検出し、基地局数が3よりも大きいと、UWB信号ナビゲーションを直接使用し、UWB信号が弱いと、衛星ナビゲーション信号の有効衛星数が4よりも大きいか否かをさらに判定し、条件を満たすと、GPSナビゲーションを直接使用し、満たさないと、輸送車両が室内から室外へ、又は室外から室内への遷移状態にあることを示し、このとき、UWBと衛星測位情報を利用して最小二乗法で現在の推定位置をナビゲーション測位出力としてフィッティングする。
【0052】
機器に使用されるGPSモジュールは、ウォームブート時間が約1S程度であり、コールドブート時間が約30S程度であり、UWBモジュールの起動時間が約3S程度であるため、室外から室内へ入る場合に、機器は短時間で室内ナビゲーションモードに切り替える。一方、室内から室外までの場合に、GPSダウンタイムの長さに応じて、前回のシャットダウンからの時間が4時間を超えないと、その検索起動速度が速く、数秒内で正確な測位を完了することができ、前回のシャットダウンからの時間が長いと、比較的長時間の検索過程が必要となり、30S程度の時間内に、主にUWBのカルマン予測結果とGPSのあまり正確ではない測位情報を組み合わせ、最小二乗法で運動軌跡をフィッティングする。
【0053】
3)、重要な技術
3.1)Kalmanフィルタリングによるノイズ低減
UWB及び衛星測位信号に明らかなホワイトノイズが存在するため、測位精度及びリアルタイム測位視覚効果に明らかな影響を与える。この問題を解決するために、Kalmanフィルタリング技術を用いて受信したUWBと衛星信号を処理して、出力信号のノイズを低減する。
【0054】
Kalmanフィルタリングの5つの中核的な公式のうち、予測値計算式は以下のとおりである。
【0055】
【0056】
予測値X(k|k-1)に対応するk-1時刻の共分散予測値は以下のとおりである。
【0057】
ここで、P(k-1|k-1)は、k-1時刻の共分散の最適結果であり、Qは、システムプロセスノイズ共分散である。
【0058】
Kalmanフィルタリングのk時刻のゲイン値は以下のとおりである。
【0059】
ここで、Hは、システム測定行列であり、一般的に、[1、0]にし、Rは、測定ノイズ共分散である。
【0060】
k時刻のシステム状態の最適値は以下のとおりである。
【0061】
ここで、Z(k)は、k時刻のシステム測定値である。
【0062】
k時刻のシステムの最適結果に対応する共分散は以下のとおりである。
【0063】
式(5)は、k時刻のシステムの最適結果に対応する共分散を計算する。
【0064】
UWBを例とすると、UWBタグモジュールは、位置、速度及び加速度を測定する能力を備えている。輸送車両が等速運動物体に近似されると、Kalman計算過程を大幅に簡略化することができ、BU(k)項は0に近似することができる。kalmanフィルタリングを行った後、UWBの座標水平面軸のx軸とy軸方向での運動軌跡と測定軌跡を比較する。フィルタリング結果から分かるように、kalmanフィルタリングは、UWB測位信号に対するフィルタリング効果が顕著であり、遅延が比較的小さくリアルタイム性が高く、かつ方法に必要な計算量が極めて小さく、信号中のガウスノイズ及び非ガウスノイズを効果的に除去することができ、パルス干渉信号は、推定効果にほとんど影響を与えない。
【0065】
3.2)UWB測位のアルゴリズム最適化
(1)TDOA測位アルゴリズム
【0066】
上記2つの方程式を解くことにより、測位タグの座標位置を得ることができる。
【0067】
TDOAは、TOAよりも高い測位精度を有するが、この方法は、ハードウェアデバイスへの要件が高く、見通し外環境では測位精度が低くなる。
【0068】
(2)アルゴリズム改良及びハイブリッドアルゴリズム
測位アルゴリズムは、重み値を割り当てる方式を使用することができ、距離が近いほど信頼度が高くなり、大きい重み値が割り当てられ、距離が遠いほど信頼度が低くなり、小さい重み値が割り当てられる。
【0069】
測位する前に基地局をグループ化する。測位環境における全ての基地局をIDによりNグループに分割し、かつ組合せ数C(N,3)を求め、グループ毎にそれぞれ三辺測位を行い、次に、距離が遠いほど信頼度が低くなるという原則に従って、重み値(各基地局から測位タグまでの測定された距離)を割り当てる。最後に、各グループから得られた結果を重み付けて最終的な測位結果を得る。このような改良されたアルゴリズムは、測位精度に対する要件が高い環境、又はUWB基地局信号が密集してカバーしている場所に適しているが、一般的には、UWB測位基地局は、それぞれのカバレッジに応じて均一に分布していることが多く、UWB基地局カバレッジが限られており、ある領域内が複数のUWB基地局信号にカバーされている場合が少ない。経済的制限を考慮しなければ、理論的には複数の測位基地局を配置する方式を使用し、このような改良された測位アルゴリズムを利用することで、高い測位精度を得ることができる。
【0070】
ハイブリッド測位技術の主な考えは、各アルゴリズムの利点をまとめて長短を補い合い、相互に補助して参照するか又は他の手段により、より高い測位精度とより強い抗干渉能力を達成することである。その実現方式は、上記の2種類又は3種類の測位技術を混合して使用し、異なる測位パラメータを取得することにより測位計算を行うことである。
【0071】
UWB技術は、ナノ秒パルスを用いて信号を伝送するため、高い時間分解能を有し、TOAとTDOAのような測定伝送時間データに基づいて測位結果を得る方法は、他のアルゴリズムに対してより高い精度を有する。一方、TOA/TDOAは、両者の利点を結合することができるため、現在のUWB測位技術から見れば、実現可能性が最も高く、効果が最も高い解決手段はTOAとTDOAのハイブリッド測位アルゴリズムを使用してより高精度の測位結果を達成することである。このような混合アルゴリズムは、耐マルチパス効果が高く、測位精度が高く、リアルタイム測位が安定するなどの利点を有しており、製鉄所環境に適用される。
【0072】
(3)UWB基地局試験
室外実験では、UWBの基地局(Anchor)とタグ(Tag)の実装配置方式は図6に示すとおりである。ただし、基地局とタグのアンテナ方向は、いずれも同じであり、基地局ポイントは、いずれも同一の水平面に制御されると共に、3+1冗長方式で基地局を配置して測位精度をさらに向上させる。
【0073】
静的条件では、基地局が10×10mの矩形に分布しており、タグサンプリングが50Hzの周波数に設定されると、この配置方法を使用するシステムの配置平面での測定値変動範囲が最大で2cm程度であり、垂直方向の測位精度が相対的に低いことが分かる。しかしながら、システムは、平面内の測位精度のみが要求されるため、水平面内の測定精度を考慮するだけで、測定精度要件を基本的に満たすことができる。
【0074】
以上に記載された内容は、単に本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の構想及び趣旨において行われる変更、同等の置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0075】
1...切り替えモジュール、2...室内測位モジュール、3...室外測位モジュール、4...遷移モジュール、5...位置出力モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6