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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 17/00 20060101AFI20220922BHJP
   A01D 31/00 20060101ALI20220922BHJP
   B66F 7/08 20060101ALN20220922BHJP
【FI】
A01D17/00
A01D31/00
B66F7/08 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018227167
(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2020089286
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宝蔵 伸行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖太
(72)【発明者】
【氏名】有村 洋三
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-220917(JP,A)
【文献】特開2017-175997(JP,A)
【文献】特開平06-311811(JP,A)
【文献】実開昭55-000941(JP,U)
【文献】特開平10-210831(JP,A)
【文献】特開2010-035496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/00
A01D 31/00
B66F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の前方に設けられ、農作物の根部を載せて搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置の上方に設けられ、前記農作物の茎葉部を挟持し後方に搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置の後方に設けられ、前記第2搬送装置によって搬送された前記農作物を収納するための作業台と、
前記作業台の後方に設けられ、平行リンク機構と伸縮部材とによって前記機体と連結され、かつ、前記平行リンク機構と前記伸縮部材とによって昇降可能に設けられた載置台と、
を備え
平面視において、前記平行リンク機構は、前記載置台の中心軸線に対して一方側に偏位して配置されている、
収穫機。
【請求項2】
機体と、
前記機体の前方に設けられ、農作物の根部を載せて搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置の上方に設けられ、前記農作物の茎葉部を挟持し後方に搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置の後方に設けられ、前記第2搬送装置によって搬送された前記農作物を収納するための作業台と、
前記作業台の後方に設けられ、平行リンク機構と伸縮部材とによって前記機体と連結され、かつ、前記平行リンク機構と前記伸縮部材とによって昇降可能に設けられた載置台と、
を備え、
平面視において、前記平行リンク機構は、前記載置台の中心軸線に対して一方側に偏位して配置され
前記平行リンク機構に対する前記伸縮部材の取り付け位置及び/または前記機体に対する前記伸縮部材の取り付け位置を変更することで、前記載置台の高さが変更できる
収穫機。
【請求項3】
機体と、
前記機体の前方に設けられ、農作物の根部を載せて搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置の上方に設けられ、前記農作物の茎葉部を挟持し後方に搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置の後方に設けられ、前記第2搬送装置によって搬送された前記農作物を収納するための作業台と、
前記作業台の後方に設けられ、平行リンク機構と伸縮部材とによって前記機体と連結され、かつ、前記平行リンク機構と前記伸縮部材とによって昇降可能に設けられた載置台と、
を備え、
前記平行リンク機構に対する前記伸縮部材の取り付け位置及び/または前記機体に対する前記伸縮部材の取り付け位置を変更することで、前記載置台の高さが変更できる
穫機。
【請求項4】
前記載置台は、前記載置台に載置される収納部材及び/または農作物の自重によって昇降する、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記載置台は、前記機体の中心軸線と略直交する方向の回転ローラを備える、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の収穫機に関する。特に、根深ねぎの収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、根深ねぎ(長ねぎ、白ねぎともいう。以下、単に「ねぎ」という。)の収穫を自動化するために、自走式のねぎ収穫機が広く利用されている。ねぎ収穫機とは、圃場の畝に栽植されたねぎを掘り上げ、収穫機後方の収納部に搬送する経路において根部に付着した土の除去作業や根切り作業を自動的に行うことが可能な作業機である。ねぎ収穫機を用いると、ねぎの掘り上げからコンテナへの収納に至る一連の作業を連続的に行うことができ、ねぎの収穫効率を大幅に向上させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、収納部として、作業台及びコンテナ載置台を備えたねぎ収穫機が開示されている。コンテナ載置台をねぎ収穫機に備えることによって、作業者は作業台においてねぎを収納したコンテナを、コンテナ載置台の上に移動することができる。そして、コンテナ載置台の上にねぎを収納したコンテナが置ききれなくなると、作業者は、ねぎを収納したコンテナをコンテナ載置台から圃場または地面にまとめて一カ所に置くことができる。したがって、コンテナ載置台をねぎ収穫機に備えることによって、作業者がねぎを収納したコンテナを運搬車等に集積し運搬する作業の効率を向上させることができる。また、特許文献2には、作業機体に対して昇降可能に設けられたコンテナ載置台を備えた農作物収穫機が開示されている。昇降可能に設けられたコンテナ載置台を農作物収穫機に備えることによって、作業者はコンテナ載置台を昇降させることによってコンテナ載置台を自らに適切な高さに固定して作業を行うことができる。さらに、特許文献3には、載置される重量物の重さに応じて昇降する載置面を備える作業台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-220917号公報
【文献】特開2003-79216号公報
【文献】特許第2774957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された作業台の作業面とコンテナ載置台の載置面とは大きな段差がある。そのため、作業者は作業台においてねぎを収納したコンテナを一度持ち上げる、あるいは、段差に注意を払ってコンテナを移動する必要がある。すなわち、作業者は、ねぎを収納したコンテナを作業台からコンテナ載置台に連続的に移動できないため、作業者の作業効率及び安全性が低下する可能性があった。また、特許文献2に記載されたコンテナ載置台は、機体に上下方向に取付けられた左右対をなすガイド柱フレームに沿って、昇降用シリンダを介して昇降可能に設けられたコンテナ台取付けフレームに対して上下動可能に取付けられている。よって、コンテナ載置台の上下動可能な構造が複雑である。また、農作物を収納したコンテナを作業台からコンテナ載置台に移動する際、ガイド柱フレーム、昇降用シリンダ及びコンテナ台取付けフレームに注意を払ってコンテナを移動する必要がある。すなわち、コンテナ載置台が設けられた構造が複雑であり、作業者は農作物を収納したコンテナの移動を円滑にできない可能性があるため、作業者の作業効率及び安全性が低下する可能性があった。さらに、特許文献3に記載された昇降可能な作業台は、キャスターを備えた基台の上で、比較的大きな支持部材によって支持される。さらに、キャスターを備えた基台と支持部材とは、作業者の足及び足元付近に設けられる。すなわち、作業者の足及び足元付近において、作業機の構成が複雑かつ大きくなり、作業者の作業効率及び安全性が低下する可能性があった。
【0006】
本発明の課題の一つは、作業者の作業効率を向上させる収穫機を提供することにある。また、本発明の課題の一つは、作業者が安全に作業することができる収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る収穫機は、機体と、機体の前方に設けられ農作物の根部を載せて搬送する第1搬送装置と、第1搬送装置の上方に設けられ農作物の茎葉部を挟持し後方に搬送する第2搬送装置と、第2搬送装置の後方に設けられ第2搬送装置によって搬送された農作物を収納するための作業台と、作業台の後方に設けられ平行リンク機構と伸縮部材とによって機体と連結され、かつ、平行リンク機構と伸縮部材とによって昇降可能に設けられた載置台と、を備える。
【0008】
平面視において、平行リンク機構は、載置台の中心軸線に対して一方側に偏位して配置されていてもよい。
【0009】
平行リンク機構に対する伸縮部材の取り付け位置及び/または前記機体に対する前記伸縮部材の取り付け位置を変更することで、載置台の高さが変更できてもよい。
【0010】
載置台は、載置台に載置される収納部材及び/または農作物の自重によって昇降してもよい。
【0011】
載置台は、機体の中心軸線と略直交する方向の回転ローラを備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、作業者の作業効率を向上させる収穫機を提供することができる。また、本発明の一実施形態によれば、作業者が安全に作業することができる収穫機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を上方から見た平面図である。
図2】第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を左方から見た側面図である。
図3】第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を後方から見た図である。
図4】第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を左方から見た側面図である。
図5】第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を上方から見た平面図である。
図6】第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を左方から見た側面図である。
図7】第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の収穫機の実施形態について説明する。但し、本発明の収穫機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から略垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって略垂直に近づく方向を示す。また、「前」は収穫機が進行する方向を示し、「後」は前とは反対の方向を示す。また、「左」は収穫機が進行する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは反対の方向を示す。
【0016】
以下の実施形態では、農作物の収穫機の一例として、ねぎ収穫機を例示するが、これに限られるものではない。つまり、以下の実施形態に示す収穫機は、ねぎ以外の農作物を収穫するための収穫機であってもよい。例えば、長尺であって端部に根部を有する農作物を収穫する際の収穫機として用いることが可能である。
【0017】
1.第1実施形態
1-1.ねぎ収穫機の構成
本発明の第1実施形態に係るねぎ収穫機の概略の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を上方から見た平面図である。図2は、第1実施形態に係るねぎ収穫機の構成を左方から見た側面図である。図1及び図2に示されるように、本実施形態のねぎ収穫機10は、大別して、駆動部100、作業部200、搬送部300、支持部400、及び収納部500を含む。
【0018】
駆動部100は、機体110及び走行装置120を含む。機体110は、ねぎ収穫機10の駆動源となるエンジン112を搭載し、ねぎ収穫機10の本体部として機能する。機体110の上部は、作業台114として機能する。作業台114では、作業者が、搬送部300によって搬送されたねぎを結束したり所定量にまとめて収納部500に置かれた収納部材に収納したりする作業を行う。なお、駆動部100を自走機体と呼ぶ場合もある。また、収納部材は、例えば、コンテナ(図示せず)、ネット(図示せず)など、農作物を収納可能な部材である。
【0019】
走行装置120は、機体110の下方に配置され、ねぎ収穫機10を自走させるための機構である。本実施形態における走行装置120は、機体110の左右端下方に対をなして配置されたクローラである。走行装置120は、機体110の下部に設けられたトランスミッション122を含み、該トランスミッション122により変速駆動される。なお、走行装置120としては、クローラに限らず、タイヤ等の車輪を用いることも可能である。
【0020】
作業部200は、作業者がねぎの収穫作業を行う部位である。作業部200は、操縦部210、作業用ステップ220、補助ステップ230及び座席240を含む。操縦部210は、ねぎ収穫機10の操縦を行うための部位であり、駆動部100及び搬送部300の操作を行うことができる。作業者は、旋回可能な座席240に座ったまま、ねぎ収穫機10を操縦したり作業台114にて収穫作業を行ったりすることができる。作業用ステップ220及び補助ステップ230は、作業者が前後方向に移動できるようにするための足場として機能する。
【0021】
搬送部300は、圃場の畝に栽植されたねぎを掘り上げ、掘り上げたねぎを後方に搬送しつつ根部に付着した土の除去作業や根切り作業を行う機構である。搬送部300は、ねぎの根部を載せて後方に搬送する第1搬送装置310、ねぎの茎葉部を挟持して後方に搬送する第2搬送装置320、ねぎの茎葉部及び根部に付着した土を落とすための第1土除去部330及び第2土除去部340を含む。搬送部300は、駆動部100の前方に設けられ、駆動部100の走行装置120の進行に応じて、ねぎの掘り上げ作業、土除去作業、根切り作業といった一連の作業を連続的に行う。
【0022】
第1搬送装置310は、機体110の前方に配置される。本実施形態において、第1搬送装置310は、先端に掘取り刃311を有する無端のバーコンベアである。掘取り刃311は、ねぎ収穫機10の進行に伴い、土中からねぎを掘り取る。掘り取られたねぎは、根部がバーコンベアに載った状態で、縦姿勢を保ちつつ後方へ搬送される。第1搬送装置310の後端部は、機体110に対して軸を介して回動可能に連結されている。第1搬送装置310と機体110との間には油圧シリンダ312が設けられ、油圧シリンダ312の伸縮動作により、第1搬送装置310の上下方向の回動動作が制御される。
【0023】
第2搬送装置320は、第1搬送装置310の上方に配置される。第2搬送装置320は、ねぎの茎葉部を挟持して縦姿勢で搬送する左右一対の第1搬送ベルト321a及び321bと、該第1搬送ベルト321a及び321bの対向面同士が近接するように対向面の裏側に作用する複数組のローラ322a及び322bを含む。第1搬送ベルト321a及び321bは、第1搬送装置310よりも長さが長く、ねぎの茎葉部を挟持してねぎを縦姿勢に保持したまま、第1搬送装置310よりも後方(機体110に近い側)にねぎを搬送することができる。
【0024】
第2搬送装置320は、さらに、第1搬送ベルト321a及び321bの終端部に連続して左右一対の第2搬送ベルト323a及び323bを含む。第2搬送ベルト323a及び323bは、第1搬送ベルト321a及び321bにより搬送されたねぎを受け、機体110の作業台114付近までねぎを搬送する。この搬送過程において、第2搬送ベルト323a及び323bは、ねぎの姿勢を縦姿勢から順次捩じって斜め横姿勢に変換する。すなわち、第2搬送ベルト323a及び323bの前端部では、ねぎの茎葉部が縦姿勢に挟持され、後端部では、第2搬送ベルト323a及び323bが捩れることにより、ねぎの茎葉部が斜め横姿勢に挟持されるように構成されている。なお、第2搬送ベルト323a及び323bの終端部付近には、第3搬送ベルト324が配置され、斜め横姿勢になったねぎの葉部を支えつつ、ねぎを後方に搬送できるようになっている。
【0025】
第2搬送装置320の前端部は、リンクアーム325の先端部に連結され、後端部は、リンクアーム326を介して機体110に連結される。上述の油圧シリンダ312の伸縮動作により第1搬送装置310の先端側が上下に回動すると、これに連動して、リンクアーム325及び326により第2搬送装置320も後方に移動する。このように、第1搬送装置310と第2搬送装置320は、連動して回動するが、リンクアーム325及び326の働きにより、両者の間には所定の間隔が保たれる。
【0026】
上述の第1土除去部330及び第2土除去部340は、いずれも第2搬送装置320の下方に配置される。第1土除去部330は、縦姿勢で搬送されるねぎの茎葉部及び根部の移動経路を間に挟んで配置される、一対の回転体で構成される。第1土除去部330は、回転することにより該回転体が有する複数の突起部材をねぎの茎葉部又は根部に当て、茎葉部又は根部に付着した土を落とす役割を果たす。第1土除去部330の具体的な構造については後述する。
【0027】
第2土除去部340は、第1土除去部330の後方に配置される回転体であり、縦姿勢で搬送されるねぎの根部の移動経路上もしくは移動経路よりやや下方に配置される。第2土除去部340は、回転することにより該回転体が有する複数の環状プレートをねぎの根部に当て、根部に付着した土を落とす役割を果たす。第2土除去部340の具体的な構造については後述する。
【0028】
支持部400は、機体110の前方に、第1搬送装置310と併設された左右一対の支持アーム410、支持アーム410の先端に取り付けられたホイール420、及びホイール420と第1搬送装置310との間に設けられたディスク430を含む。ホイール420は、第1搬送装置310の上下位置を調節する機能を有するとともに、圃場に形成された畝の傾斜部(肩部)に当接して畝に沿って機体110を移動させるための畝追従装置としての機能も有する。第1搬送装置310の上下位置は、油圧シリンダ440によって調節することができる。ディスク430は、畝の傾斜部に当接する位置に配置され、畝の傾斜部を崩す役割を果たす。
【0029】
収納部500は、第1載置台510、平行リンク機構520、支持部材530、及び第2載置台540を含む。第1載置台510は、収穫したねぎを収納するコンテナやネット等の収納部材を置く台であり、作業台114の後方に位置する。第1載置台510の一端は、機体110に対して回動可能に連結され、第1載置台510を上方に持ち上げることが可能となっている。なお、本実施形態の第1載置台510は、作業面に複数のローラ510aが配置されている。また、複数のローラ510aは、ねぎ収穫機10の中心軸線511及び第1載置台510の中心軸線512と直交または略直交し、かつ、第1載置台510の中心軸線512に対して線対称になるように配置されている。そのため、作業者は、ねぎを収納したコンテナ等の収納部材を少ない力で第1載置台510に対して前後方向に移動させることが可能である。また、第1載置台510の右側にはストッパ514が配置されている。ストッパ514によって、作業者はねぎを収納したコンテナ等の収納部材が落下することまたは位置ずれすることを防止することができる。
【0030】
また、第1載置台510は、平行リンク機構520及び伸縮部材を介して機体110と連結される。平行リンク機構520は、例えば、第1のリンク部521a、及び第2のリンク部521bを有する。第1のリンク部521aは、リンク部材520a、リンク部材520b、連結部材526a及び連結部材528aで構成される。第2のリンク部521bは、リンク部材520c、リンク部材520d(図3)、連結部材526b(図3)及び連結部材528b(図3)で構成される。この構成により、第1載置台510の上に収納部材(図示せず)を載せた際、第1載置台510は、収納部材の重さ(又は収納部材とねぎの重さ)により下方に移動する。したがって、第1載置台510の作業面がちょうど作業者の腰のあたりに位置するように伸縮部材の付勢力を調整することにより、ねぎの収納作業の効率を向上させることができる。なお、伸縮部材は例えばガススプリング522、コイルばねなどである。本発明の一実施形態においては、伸縮部材がガススプリング522である場合を例示する。また、第1載置台510、平行リンク機構520及びガススプリング522についての詳細は後述する。
【0031】
なお、本実施形態では、平面視において、第1載置台510の中心軸線512よりも右寄りに平行リンク機構520が配置されている。すなわち、平行リンク機構520が第1載置台510の中心軸線512よりも一方側に偏位して配置されている。また、平行リンク機構520のリンク部材520a、520b、520c、520dは、平面視において、ねぎ収穫機10の中心軸線511及び第1載置台510の中心軸線512と平行または略平行である。本実施形態のねぎ収穫機10においては、収穫されたねぎが作業台114に到着した時点でねぎの根部が右側に位置し、葉部が左側に位置する。そのため、ねぎを第1載置台510に置かれた収納部材に入れた場合、第1載置台510の右側に重心が位置することとなる。そこで、本実施形態では、収納時の重量バランスを考慮して、第1載置台510の中心軸線512よりも右寄りに平行リンク機構520を配置した構成としている。
【0032】
また、本実施形態では、支持部材530は第1載置台510をバランスよく支持可能なように、平面視において、第1載置台510の中心軸線512と同じ位置またはほぼ同じ位置に配置される。ただし、平行リンク機構520又は支持部材530の位置は任意であり、図1及び図2に示される構造に限定されるものではない。
【0033】
なお、ねぎ収穫機10において、上述したような作業台114に到着した時点でのねぎの位置により、作業者の作業性を考慮し、作業台114の作業面はねぎ収穫機10の右側(座席240側、または作業者が作業をする側)に若干傾いているものの、作業台114の作業面と第1載置台510の作業面とは段差が少ない構造となっている。そのため、作業者は、作業台114においてねぎを収納し、ねぎを収納したコンテナを作業台114から第1載置台510に円滑に移動することができる。すなわち、作業者は、ねぎの収納に係る一連の作業を、連続的に行うことができる。また、第1載置台510にねぎを収納したコンテナが置かれている状態(図4)において、第1載置台510はねぎを収納したコンテナの自重によって下方に移動しているが、コンテナの上面は平行リンク機構520およびガススプリング522によって作業台114との段差が少ない位置になるように調整される。したがって、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機10は、作業者の作業性を損なうことなく、作業者のねぎ収納作業の効率を向上させることができる。
【0034】
第2載置台540は、第1載置台510と同様に、収穫したねぎを収納するコンテナやネット等の収納部材を置く台であり、第1載置台510の後方に位置する。第2載置台540の一端は、第1載置台510の後端部に回動可能に連結され、第2載置台540を上方又は下方に回動させることが可能となっている。第2載置台540を回動させた場合における第1載置台510に対する第2載置台540の位置は、例えば第2載置台540を構成するフレームに、位置調節用の部材を設けて調節できるようにすればよい。
【0035】
1-2.第1載置台510、平行リンク機構520及びガススプリング522の構成
第1載置台510、平行リンク機構520及びガススプリング522の構成について図1乃至図3を用いて説明する。図3は、第1実施形態に係るねぎ収穫機10の構成を後方から見た図である。なお、図1または図2と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0036】
上述したように、第1載置台510は、平行リンク機構520及びガススプリング522を介して機体110と連結される。
【0037】
図3に示すように、平行リンク機構520は、第1のリンク部521a、第2のリンク部521b、連結部材524ac、連結部材524bd、及び連結部材526abで構成される。第1のリンク部521aは、リンク部材520a、リンク部材520b、連結部材526a、及び連結部材528aで構成される。第2のリンク部521bは、リンク部材520c、リンク部材520d、連結部材526b、及び連結部材528bで構成される。
【0038】
連結部材528aは機体110に連結(固定)される。リンク部材520aの一端及びリンク部材520bの一端は、連結部材528aに対して回動可能に設けられる。連結部材526aは第1載置台510に連結(固定)される。リンク部材520aの他端及びリンク部材520bの他端は、連結部材526aに対して回動可能に設けられる。また、連結部材528bは、連結部材528aと対向するように設けられ、機体110に連結(固定)される。
【0039】
リンク部材520c及びリンク部材520dは、リンク部材520a及びリンク部材520bに対向するように設けられ、リンク部材520cの一端及びリンク部材520dの一端は、連結部材528bに対して回動可能に設けられる。さらに、連結部材526bは連結部材526aと対向するように設けられ、第1載置台510に連結(固定)される。リンク部材520cの他端及びリンク部材520dの他端は、連結部材526bに対して回動可能に設けられる。
【0040】
互いに対向するリンク部材520aとリンク部材520cとは連結部材524acによって連結(固定)され、互いに対向するリンク部材520bとリンク部材520dとは連結部材524bdによって連結(固定)され、互いに対向する連結部材526aと連結部材526bとは連結部材526abによって連結(固定)される。リンク部材520a、リンク部材520b、連結部材528a及び連結部材526aによって、平行四辺形が形成され、リンク部材520c、リンク部材520d、連結部材528b及び連結部材526bによって、平行四辺形が形成される。
【0041】
ガススプリング522の一端は、機体110に対して回動可能に設けられる。ガススプリング522の他端は、連結部材526aに対して回動可能に設けられる。連結部材526aは第1載置台510に連結されているため、ガススプリング522の他端は、第1載置台510に対して回動可能に設けられるとも言える。
【0042】
連結部材526aにガススプリング522の他端が取り付けられる取り付け部を複数設けておくことで、平行リンク機構520とガススプリング522の取り付け位置522bを変更可能としてもよい。作業者は、ガススプリング522の取り付け位置を変更することで、第1載置台510の高さを変更することができる。具体的には、段積みするコンテナの数、コンテナの重さ(又はコンテナとねぎの重さ)、第1載置台の大きさ又は重さ、作業者の身長などに応じて、作業者は、第1載置台510の高さを変更することができる。また、スペース的に余裕があり、ガススプリング522の一端が設けられる機体110にも複数の孔を有する連結部材を設けることができれば、機体110とガススプリング522の取り付け位置522aとを変更可能としても、同様の効果が得ることができる。
【0043】
1-3.第1載置台510の下方または上方への移動
第1載置台510の下方または上方への移動について図1乃至図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態に係るねぎ収穫機10の構成を左方から見た側面図である。図1乃至図3においては、収納部材またはねぎを収納した収納部材が配置されていない状態が図示され、図4においては、収納部材またはねぎを収納した収納部材が配置された状態が図示されている。なお、以降の説明において、収納部材はコンテナ524である場合を例に説明される。また、図1乃至図3と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0044】
図4に示されるように、第1載置台510は、平行リンク機構520及びガススプリング522を介して機体110と連結されるため、例えば、ねぎを収納したコンテナ524が第1載置台510に載せられると、ねぎを収納したコンテナ524の重さ(自重ともいう)によって、第1載置台510及び第1載置台510に連結された連結部材526aは破線で示された位置から白抜き矢印に示す下方に移動する。第1載置台510及び連結部材526aが下方に移動することに伴い、連結部材526aに設けられたガススプリング522の他端が、実線矢印に示すように、連結部材526aに対して時計回りに回動し、ガススプリング522が収縮する。また、第1載置台510及び連結部材526aが下方に移動することに伴い、連結部材526aに設けられたリンク部材520aの他端及びリンク部材520bの他端は、実線矢印に示すように、連結部材526aに対して時計回りに回動し、破線で示された位置から実線で示された位置に移動する。
【0045】
連結部材526aに対向するように設けられた連結部材526bは、連結部材526aと同様に下方に移動する。また、リンク部材520a及びリンク部材520bに対向するように設けられたリンク部材520c及びリンク部材520dは、リンク部材520a及びリンク部材520bと同様に、連結部材526bに対して時計回りに回動する。なお、リンク部材520c及びリンク部材520dに関連する構成は、リンク部材520a及びリンク部材520bに関連する構成と同様であるから、図示は省略する。
【0046】
リンク部材520a、リンク部材520b、連結部材528a及び連結部材526aによって形成された平行四辺形と、リンク部材520c、リンク部材520d、連結部材528b及び連結部材526bによって形成された平行四辺形とが変形し、ねぎを収納したコンテナ524の重さとガススプリング522の付勢力とが釣り合ったとき、第1載置台510の下方への移動は止まる。すなわち、ねぎ収穫機10は、平行リンク機構520とガススプリング522とを有することによって、第1載置台510の下方への移動を調整することができる。
【0047】
ねぎを収納したコンテナ524が、第1載置台510から圃場や運搬車等に移動されると、第1載置台510および第1載置台510に連結された連結部材526aは上方に移動する。第1載置台510及び連結部材526aが上方に移動することに伴い、連結部材526aに設けられたガススプリング522の他端が連結部材526aに対して反時計回りに回動し、ガススプリング522が伸長する。また、第1載置台510及び連結部材526aが上方に移動することに伴い、連結部材526aに設けられたリンク部材520aの他端及びリンク部材520bの他端は、連結部材526aに対して反時計回りに回動する。
【0048】
連結部材526bは、連結部材526aと同様に上方に移動する。また、リンク部材520c及びリンク部材520dは、リンク部材520a及びリンク部材520bと同様に、連結部材526bに対して反時計回りに回動する。
【0049】
リンク部材520a、リンク部材520b、連結部材528a及び連結部材526aによって形成された平行四辺形と、リンク部材520c、リンク部材520d、連結部材528b及び連結部材526bによって形成された平行四辺形とが変形し、第1載置台510の重さとガススプリング522の付勢力とが釣り合ったとき、または、ガススプリング522が伸びきったとき、第1載置台510の上方への移動は止まる。すなわち、ねぎ収穫機10は、平行リンク機構520とガススプリング522とを有することによって、第1載置台510の上方への移動を調整することができる。
【0050】
また、作業者は、コンテナ等を第1載置台510の上に段積みすることができる。なお、第2載置台540は第1載置台510の後端部に回動可能に連結されるため、作業者は第1載置台510に連動して第2載置台540を移動させることができる。
【0051】
なお、上述のように、ねぎ収穫機10は、機体110および第1載置台510に連結された平行リンク機構520およびガススプリング522を第1載置台510の下方に備えることによって第1載置台510を下方または上方に移動することが可能である。よって、図2に示されるように、第1載置台510を下方または上方に移動するために、第1載置台510を支持する他の部材、基台などの部材をねぎ収穫機10に設ける必要が無い。したがって、第1載置台510の上下動可能な構造を、少ない部材の数で製造することができるため、第1載置台510を簡素化することができる。また、平行リンク機構520およびガススプリング522の下方に配置される部材がほぼ無いため、ねぎを収納したコンテナを積み重ねていっても、第1載置台510が問題なく下方に移動することができ、コンテナの上面は作業し易い高さが維持され、作業者のねぎ収納作業の効率を向上させることができる。
【0052】
本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機10は、第1載置台510、平行リンク機構520およびガススプリング522を備えることによって、作業台114の作業面と第1載置台510の作業面との段差を少なくすることができる。また、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機10は比較的簡単な構造を有する上下動可能な第1載置台510を備えることによって、作業者は比較的広い作業スペースを利用し、コンテナを作業台114から第1載置台510へ円滑に移動させ、かつ、収穫作業を連続的に行うことができる。したがって、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機は、作業者が安全に作業を行うことを可能とし、作業者の収穫作業の作業効率を向上させることができる。
【0053】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るねぎ収穫機の概略の構成について図5乃至図7を用いて説明する。第2実施形態に係るねぎ収穫機20は、第1実施形態に係るねぎ収穫機10に対して、農作物を収納していないコンテナ(以下において、空コンテナという。)を置くための空コンテナ載置台を備える点が異なる。よって、第2実施形態に係るねぎ収穫機20の構成の説明においては、第1実施形態に係るねぎ収穫機10の構成と異なる点が主に説明される。図5は、第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を上方から見た平面図である。図6は、第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を左方から見た側面図である。図7は、第2実施形態に係るねぎ収穫機の構成を後方から見た図である。なお、図1乃至図4と同一、または類似する構成については説明を省略することがある。
【0054】
図5及び図6に示されるように、ねぎ収穫機20は、例えば、空コンテナ載置台を3つ備える。空コンテナ載置台600aは作業用ステップ220の後方部に設けられる。空コンテナ載置台600bは操縦部210の側方部かつ作業用ステップ220の前方部に設けられる。空コンテナ載置台600cは作業台114の後方部に設けられる。図5乃至図7は、例えば、空コンテナ526が空コンテナ載置台600cに載置される例を示している。なお、ねぎ収穫機20において、空コンテナ載置台が設けられる位置および/または数は任意であり、図5乃至図7に示される構造に限定されるものではない。空コンテナ載置台が設けられる位置および/または数は、空コンテナの大きさ、重さ、作業者が作業するための作業空間、作業者の手が届く範囲などに基づき、適宜決定されればよい。なお、第1載置台510または第2載置台540の少なくとも一部を空コンテナ載置台として利用してもよい。
【0055】
図5及び図7に示されるように、空コンテナ載置台600aは連結部材604aによって作業用ステップ220に連結される。図5に示されるように、空コンテナ載置台600bは連結部材604bによって作業用ステップ220に連結される。図5乃至図7に示されるように、空コンテナ載置台600cは連結部材604cによって作業台114に連結される。
【0056】
空コンテナ載置台600a、空コンテナ載置台600b及び空コンテナ載置台600cは、それぞれ、コンテナを前後方向で支えるストッパ602a、ストッパ602b、およびストッパ602cを備える。また、空コンテナ載置台600a、空コンテナ載置台600b及び空コンテナ載置台600cは、それぞれ、コンテナを左右方向で支えるストッパ606a、ストッパ606b、およびストッパ606cを備える。空コンテナ載置台600a、空コンテナ載置台600b及び空コンテナ載置台600cは、ストッパを備えることによって、空コンテナの落下、位置ずれなどが防止される。なお、ねぎ収穫機20において、空コンテナ載置台に設けられるストッパの位置および/または数は任意であり、図5乃至図7に示される構造に限定されるものではない。空コンテナ載置台に設けられるストッパの位置および/または数は、空コンテナの大きさ、重さなどに基づき、適宜決定されればよい。
【0057】
本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機は、空コンテナ載置台を備えることによって、作業者は、ねぎ収穫作業に先立ち、空コンテナを運搬車等から圃場または地面に一定間隔ごとに置く作業と、圃場または地面に置かれた空コンテナを作業台または載置台に置く作業とを省略することができる。また、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機には、空コンテナが、作業者が作業するための作業空間または作業者の手が届く範囲に備えられているため、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機の構造は、作業者が空コンテナを空コンテナ載置台から作業台に置きやすい構造となっている。したがって、本発明の一実施形態に係るねぎ収穫機は、作業者の収穫作業の作業効率を向上させることができる。
【0058】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上述した各実施形態は、特に技術的な矛盾を生じない限り、それぞれ組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
10:収穫機、20:収穫機、100:駆動部、110:機体、112:エンジン、114:作業台、120:走行装置、122:トランスミッション、200:作業部、210:操縦部、220:作業用ステップ、230:補助ステップ、240:座席、300:搬送部、310:第1搬送装置、311:刃、312:油圧シリンダ、320:第2搬送装置、321a:第1搬送ベルト、321b:第1搬送ベルト、322a:ローラ、322b:ローラ、323a:第2搬送ベルト、323b:第2搬送ベルト、324:第3搬送ベルト、325:リンクアーム、326:リンクアーム、330:第1土除去部、340:第2土除去部、400:支持部、410:支持アーム、420:ホイール、430:ディスク、440:油圧シリンダ、500:収納部、510:第1載置台、510a:ローラ、511:中心軸線、512:中心軸線、514:ストッパ、520:平行リンク機構、520a:リンク部材、520b:リンク部材、520c:リンク部材、520d:リンク部材、521a:第1のリンク部、521b:第2のリンク部、522:ガススプリング、522a:ガススプリングの取り付け位置、522b:ガススプリングの取り付け位置、524:コンテナ、524ac:連結部材、524bd:連結部材、526:空コンテナ、526a:連結部材、526ab:連結部材、526b:連結部材、528a:連結部材、528b:連結部材、530:支持部材、540:第2載置台、600a:空コンテナ載置台、600b:空コンテナ載置台、600c:空コンテナ載置台、602a:ストッパ、602b:ストッパ、602c:ストッパ、604a:連結部材、604b:連結部材、604c:連結部材、606a:ストッパ、606b:ストッパ、606c:ストッパ、625a:連結部材、626a:連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7