IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコの特許一覧

<>
  • 特許-板状材印刷システム 図1
  • 特許-板状材印刷システム 図2
  • 特許-板状材印刷システム 図3
  • 特許-板状材印刷システム 図4
  • 特許-板状材印刷システム 図5
  • 特許-板状材印刷システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】板状材印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/02 20060101AFI20220922BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20220922BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B41J11/02
B65H5/22 C
B41J2/01 305
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020193039
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2021100812
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】19383027.0
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-031007(JP,A)
【文献】特開2009-234017(JP,A)
【文献】特開2012-051331(JP,A)
【文献】特表2018-531167(JP,A)
【文献】特開2016-150796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 11/00-11/70
B05C 13/02
B65G 15/58
B65H 5/22
B65H 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔コンベヤーベルト(1)と、有孔支持板(2)と、吸引チャンバ(3)とを含み、
前記有孔コンベヤーベルトは、印刷される板状材(5)をその上で搬送するように構成され、前記有孔コンベヤーベルト(1)は穿孔(10)の組を含み、
前記有孔支持板(2)は穿孔(20)の組を含み、前記有孔支持板(2)は、前記有孔コンベヤーベルト(1)が前記有孔支持板(2)上を移動できるように構成され、
前記吸引チャンバ(3)は吸引要素を含み、前記吸引チャンバ(3)は、前記板状材(5)を前記有孔コンベヤーベルト(1)に固定するために、前記吸引要素によって生成される吸引流が、前記有孔コンベヤーベルト(1)及び前記有孔支持板(2)の穿孔(10、20)を通過するように前記有孔コンベヤーベルト(1)及び前記有孔支持板(2)と繋がっており
前記有孔支持板(2)の前記穿孔(20)が、前記板状材(5)への印刷提供領域(21)と前記板状材(5)への印刷非提供領域(22)で異なるパターンを有し、前記有孔支持板(2)の前記穿孔(20)は、前記板状材(5)への前記印刷提供領域(21)において、前記板状材(5)への前記印刷非提供領域(22)よりも前記穿孔(20)を通る吸引流のより大きな遮断をもたらすように構成され、
前記有孔支持板(2)は、前記板状材(5)への前記印刷非提供領域(22)に対して、前記板状材(5)への前記印刷提供領域(21)で取り外し可能(4)であり、前記有孔支持板(2)は、前記板状材(5)に応じて、前記印刷提供領域(21)において、異なるパターンの前記穿孔(20)の組を備えた別の有孔支持板(2)に交換される、板状材印刷システム。
【請求項2】
前記板状材(5)への印刷非提供領域(22)と異なる程度となるようにして、前記板状材(5)への印刷提供領域(21)において穿孔(10、20)を通る吸引流を少なくとも部分的に遮断するための遮断手段(7、8)を含む、請求項1に記載の板状材印刷システム。
【請求項3】
前記遮断手段は、前記板状材(5)への前記印刷提供領域(21)において前記穿孔(20)の遮断バルブ又は挿入物(8)を含む請求項に記載の板状材印刷システム。
【請求項4】
前記遮断手段は、前記板状材(5)への前記印刷提供領域(21)において前記有孔コンベヤーベルト(1)に平行に配置された薄板状の遮断要素(7)を含む請求項に記載の板状材印刷システム。
【請求項5】
前記薄板状の遮断要素(7)は、穿孔(30)の組を備える請求項に記載の板状材印刷システム。
【請求項6】
前記薄板状の遮断要素(7)の前記穿孔(30)は、前記板状材(5)への前記印刷非提供領域(22)よりも前記板状材(5)への前記印刷提供領域(21)において、前記穿孔(10、20、30)を通る吸引流のより大きな遮断をもたらすように構成される請求項に記載の板状材印刷システム。
【請求項7】
前記薄板状の遮断要素(7)は、前記有孔支持板(2)に接して前記有孔支持板(2)に固定される請求項からのいずれかに記載の板状材印刷システム。
【請求項8】
前記薄板状の遮断要素は、前記板状材(5)と前記有孔コンベヤーベルト(1)の間に、前記有孔コンベヤーベルト(1)に対して静止して配置される請求項からのいずれかに記載の板状材印刷システム。
【請求項9】
前記遮断手段(7、8)は、前記有孔コンベヤーベルト(1)及び/又は前記有孔支持板(2)に対して取り外し可能である請求項からのいずれかに記載の板状材印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、コンベヤーベルト上の板状材、例えば薄板状の基板、具体的にはストリップ、金属板、シート、プレート、パネルなどの板状材印刷システムであり、特にインクジェット印刷機に適合されたシステムである。
【背景技術】
【0002】
現在、インクジェット印刷機は、1枚又は数枚の平らで静止した金属の有孔支持板に支えられて、こすりながら前方に移動する有孔コンベヤーベルトによって、印刷される板状材を搬送するための搬送システムを有する。その有孔支持板は、いくらかの残留損失があるが、残りの表面では漏れのないチャンバ又は流路の上部閉鎖部である。
【0003】
これらのチャンバ又は流路では、吸引要素、例えば遠心羽根車を備えたファンによって空気吸引が生成され、空気吸引はこれらの支持板の穿孔を通り、次にコンベヤーベルトの穿孔を通る。
【0004】
吸引チャンバ又は流路は、垂直方向の閉鎖部を備えた可動の側板によって幅を調整することができる。これらの側板を使用して、有孔支持板の側方の穿孔を機能しないようにすることができ、そして印刷される板状材の幅の寸法に対応する穿孔を開いたままにすることができる。つまり、有孔支持板は、種々の機械に応じて幅を変えることができる。一般的な寸法は、1560mm~2190mmである。側方プレートによってこの幅の寸法を、印刷される板状材の寸法に調整して、印刷される板状材の側方の必要のない穿孔を機能しないようにすることができる。
【0005】
このようにして、有孔コンベヤーベルトの穿孔を通る空気の流れもまた、必要に応じて幅が調整される。
【0006】
印刷が行われる板状材は、コンベヤーベルトに送られたら、その板状材で覆われるコンベヤーベルトの穿孔において真空が形成されて、それが板状材をコンベヤーベルトに固定する吸引力を及ぼすのでコンベヤーベルトに固定されて、それらの間での相対的な動きなしにその周期的運動で進むことを可能にする。
【0007】
図2には、板状材をコンベヤーベルトに送る様々な一般的方法が示される。それらは次のとおりである。
-単一の板状材の搬送(図2、左)。1枚の板状材が次々に搬送され、続く板状材の間に隙間がある。この隙間はできるだけ小さいことが推奨される。
-2枚の対にされた板状材の搬送(図2、中央)。2枚の板状材が並行して搬送され、次に別の2枚が搬送され、そのようにして続き、1つの搬送と次の搬送の間に隙間がある。
-2枚の対になっていない板状材の搬送(図2、右)。互いに平行であるが、長手方向に分散した2枚の板状材が搬送される。
【0008】
横方向では、吸引は、これら3つの場合のいずれにおいても、上述の側板により調整される。
【0009】
更に、有孔コンベヤーベルトの長手方向の中央領域には穿孔がない場合があり、それにより中央領域では、2枚の板状材の印刷が行われるときに吸引された空気の流れがない。
【0010】
しかしながら、板状材の移動方向では、続く板状材の間に隙間があり、それは板状材によって覆われないので、有孔コンベヤーベルトの穿孔が露出したままである。2枚の対になっていない搬送の場合、覆われない穿孔の数はより多くなる。
【0011】
吸引空気の流れがこれらの穿孔を通る。この空気の流れは、印刷ヘッドの領域で、印刷が行われる時に望ましくない、制御できない作用をもたらす。生じるいくつかの欠点は、次のとおりである。
-乱流が発生し、板状材の周縁領域での例えばインクの不足、汚れた印刷、ぼやけなどの印刷の欠陥に結び付く。
-板状材の境界領域に注入されたインクの一部が、吸引空気の流れによって引っ張られ、吸引路、及び吸引空気が通る流路全般において、有孔コンベヤーベルトだけでなく金属の有孔支持板へ堆積することによって汚れを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の印刷システムの目的は、吸引空気流によって引き起こされる欠点を低減又は排除し、板状材の境界領域での印刷を改善し、吸引されたインクによる汚れを低減するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下のものを含むタイプの印刷システムに関する。
-印刷される板状材を有孔コンベヤーベルト上で搬送するように構成された有孔コンベヤーベルト。その有孔コンベヤーベルトは穿孔の組を含む。
-穿孔の組を含む有孔支持板。有孔コンベヤーベルトが有孔支持板上を移動できるように構成される。
-吸引要素を含む吸引チャンバ。その吸引チャンバは、板状材を有孔コンベヤーベルトに固定するために、吸引要素によって生成される吸引流が、有孔コンベヤーベルト及び有孔支持板の穿孔を通過するように有孔コンベヤーベルト及び有孔支持板と繋がっている。
【0014】
本発明の印刷システムは、複数の吸引チャンバ、例えばそれぞれが吸引要素及び1つ又は複数の有孔支持板を備えた吸引チャンバを有し得ることが考えられる。通常、異なるチャンバ間で必要な吸引力を分配できるようにして、複数の吸引チャンバ、例えば3つが使用される。
【0015】
第1の態様では、本発明は、有孔支持板の穿孔が、板状材への印刷提供領域と板状材への印刷非提供領域で異なるパターンを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の状況において、孔のパターンは、特に孔の分布、形状及び/又は寸法として理解される。更に、板状材への印刷提供領域は、特に板状材がヘッドの下に置かれる時に、板状材を印刷するためにその上に印刷ヘッドが提供される領域として理解される。
【0017】
印刷提供領域に異なるパターンを提供することで、その印刷提供領域でのコンベヤーベルトへの板状材の固定力を調整又は分散することにより、吸引空気の流れに関する印刷について言及された問題をできるだけ少なくする又は軽減することが可能となる。特に、印刷システムは、例えば異なる寸法又は重量を有する、様々な板状材又は様々な板状材のタイプに適合されて、印刷される板状材の境界領域における印刷の欠陥を防ぐこと又は低減することができる。
【0018】
好ましくは、有孔支持板の穿孔は、板状材への印刷非提供領域よりも板状材への印刷提供領域において、その穿孔を通る吸引流のより大きな遮断をもたらすように構成される。
【0019】
本発明の状況において、孔を通る吸引流を遮断することは、特にその孔を通る吸引流を低減又は無くすために、すなわち吸引流が孔を通る領域を低減するか又は無くすために、その孔を直接(少なくとも部分的に)覆うこととして理解される。したがって、より大きな遮断は、特に吸引流が通過する穿孔の総面積を少なくすること、例えば穿孔の数又は各穿孔の面積を減少させることとして理解される。
【0020】
より大きな遮断を提供することにより、吸引流を減らすこと(及び有孔コンベヤーベルトへの板状材のより低い固定力)を可能にする。局所的に吸引流を減少させることにより、先に説明したように、吸引流によって引き起こされる印刷における悪影響を減少させることができる。特に、印刷される板状材の周りの空気の流れを減らして、インクの乱流及び穿孔を通る空気の流れと共にインクが吸引されることを防ぐことができる。
【0021】
本発明によれば、有孔コンベヤーベルトへの板状材の固定力への影響を抑えながら、吸引面積の合計の割合を低減することが可能である。
【0022】
更に、有孔支持板は、好ましくは、板状材への印刷非提供領域に対して、板状材への印刷提供領域で取り外し可能である。
【0023】
本発明の第2の態様では、有孔支持板は、板状材への印刷非提供領域に対して、板状材への印刷提供領域で取り外し可能であることが考えられる。それは、有孔支持板の穿孔は、板状材への印刷提供領域と板状材への印刷非提供領域で異なるパターンを有するという事実とは無関係である。
【0024】
本発明の状況において、取り外し可能な有孔支持板は、特に永久的でない固定手段(特にねじ、締まりばめなど)によって、そのシステムの完全性を維持しながら、その位置で取り外し及び交換されることができるとして理解される。また、取り外し可能な有孔支持板は、例えばそのシステムの清掃、修理又は保守のために有孔支持板を交換することができるように構成された印刷システムとして理解される。
【0025】
有孔支持板がはんだ付けによって吸引チャンバの構造の残りの部分に結合されている最先端の印刷システムとは異なり、取り外し可能な有孔支持板を使用する本発明によれば、有孔支持板の清掃のために、及び印刷時に印刷インクによって生じたそのシステムの汚れにより必要な保守を行うために、その支持板を容易に取り外すことが可能である。また、取り外し可能な有孔支持板を取り外して、印刷提供領域で吸引チャンバを開いたままにすることができるので、吸引チャンバの内部であっても清掃、修理、及び保守を容易にするために内部にアクセスすることが可能である。
【0026】
好ましくは、本発明の第2の態様に関して、有孔支持板の穿孔は、板状材への印刷非提供領域と板状材への印刷提供領域で異なるパターンを有することもまた考えられる。
【0027】
有益なことに、有孔支持板は、以前のものとは異なるパターンを有する別の有孔支持板と交換されることができる。このようにして、異なるタイプの板状材、例えば異なる寸法、厚さ、材料などの板状材、又は一般にその特徴が印刷に影響し得る異なるタイプの板状材を印刷するために、適切なパターンを選択することができる。この観点で、例えば板状材の印刷表面までの印刷ヘッドの距離、板状材の固定力、板状材での印刷表面の分布、板状材で行われる印刷タイプなどが印刷に影響を与える可能性があることが認められることができる。
【0028】
板状材の印刷表面とコンベヤーベルトに対する印刷ヘッドの間隔の影響に関して、板状材までのヘッドの距離が短いほど、インクの射出軌跡はより正確であるので印刷が良好であることが認められることができる。しかし、ヘッドからコンベヤーベルトまでの距離が短いほど、吸入空気流の乱流の影響が大きくなる。したがって、一般的に、板状材の厚さが減少するか又はヘッドから板状材までの距離が減少すると、インクに対する吸引空気流の悪影響が大きくなる。
【0029】
好ましくは、有孔支持板の穿孔は、板状材への印刷非提供領域よりも板状材への印刷提供領域において、その穿孔を通る吸引流のより大きな遮断をもたらすように構成される。このようにして、先に説明したように、印刷提供領域での吸引流を減らすことができ、それにより印刷が改善される。
【0030】
本発明の第3の態様では、そのシステムは、板状材への印刷非提供領域と異なる程度となるようにして、板状材への印刷提供領域において穿孔を通る吸引流を少なくとも部分的に遮断するための遮断手段を含む。
【0031】
本発明によれば、その手段は、例えば板状材への印刷提供領域の穿孔を遮断するためのバルブ又は挿入物の形態であることが考えられる。
【0032】
好ましくは、本発明によれば、その遮断手段は、板状材への印刷提供領域において有孔コンベヤーベルトに平行に配置された薄板状の遮断要素の形態であることが考えられる。その遮断手段は、孔又は穿孔を通る吸引流を遮断する役割、すなわち、吸引流がその孔を通る領域を低減又は無くすために、その孔を直接(少なくとも部分的に)覆ってその孔を通る吸引流を低減又は無くす役割を果たす。より大きな遮断を得るためには、吸引流が通る穿孔の総面積はより小さくなければならない。
【0033】
薄板状の遮断要素は、有孔コンベヤーベルトに平行な平面を延びることが考えられる。その遮断要素は、例えばシート、プレート、ストリップ又は同様のものによって形成されることができる。
【0034】
薄板状の遮断要素は、好ましくは吸引空気流の通過のための穿孔の組を備える。薄板状の遮断要素の穿孔は、より好ましくは印刷非提供領域よりも板状材への印刷提供領域において、コンベヤーベルト、有孔薄板、及び薄板状の遮断要素の穿孔を通る吸引流のより大きな遮断をもたらすように構成される。特に、薄板状の遮断要素の穿孔は、有孔支持板の穿孔のパターンと異なるパターンを有する。
【0035】
あるいは又は補足で、薄板状の遮断要素の穿孔のない領域は、吸引流に対して透過性である。
【0036】
本発明によれば、薄板状の遮断要素は、印刷が完了した際に廃棄可能であるか、又は時折交換可能であることもまた考えられる。このようにして、印刷機において構成要素を導入又は変更する必要なしに本発明が技術的課題を解決することもまた可能であり、それにより印刷システムが単純化されることができる。
【0037】
1つの可能な実施形態では、薄板状の遮断要素は、有孔支持板に接して有孔支持板に固定される。特に、薄板状の遮断要素は、有孔支持板のハウジング内で有孔支持板に固定され、吸引チャンバの外部の表面上で有孔支持板と接している。
【0038】
別の可能な実施形態では、薄板状の遮断要素は、板状材と有孔コンベヤーベルの間に、有孔コンベヤーベルトに対して静止して配置される。
【0039】
別の追加の実施形態では、その遮断手段は、有孔コンベヤーベルト及び/又は有孔支持板に対して取り外し可能であることが考えられる。このようにして、その清掃、修理又は保守が容易になり、あるいは置換、交換又は廃棄することができる場合には、それらの使用が単純化される。
【0040】
その遮断手段は、好ましくは、板状材によって覆われない有孔コンベヤーベルト及び/又は有孔支持板の穿孔を少なくとも部分的に塞ぐように構成される。このようにして、遮断は、印刷される板状材で覆われない領域、板状材の周囲の隙間に集中してなされる。
【0041】
本発明の印刷システムは、上述のように、異なる板状材又は板状材のタイプ、例えば、異なる寸法、厚さ又は重量の板状材を印刷するために使用されることができる。例えば、印刷される様々な種類の板状材に応じて、一つの所定タイプの板状材の印刷ごとに印刷提供領域での異なるパターンを印刷システムに提供すること、又は取り外し可能な有孔薄板に異なるパターンの穿孔又は遮断手段を与えること、特に薄板状の遮断要素に異なるパターンの穿孔を与えることが可能である。
【0042】
有益なことに、本発明は、板状材の周りの吸引流の減少が、好ましくは、有孔コンベヤーベルトの残りの部分での吸引が損なわれることなしに、印刷提供領域で行われることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
説明を完全なものにするために、そして本発明のより良い理解を与えることを目的として、いくつかの図が提供される。その図は、説明の一体的な部分を形成し、本発明の例示の実施形態を示す。
図1】本発明が適用されるタイプの印刷機の概略横断面図を示す。
図2】有孔コンベヤーベルト上への板状材の供給に関する3つの例示の実施形態の概略平面図を示す。
図3】本発明の例示の実施形態の有孔コンベヤーベルト、有孔支持板及び吸引チャンバについての概略側方断面図を示す。
図4図4a、4bは、本発明のそれぞれの実施形態による有孔支持板の概略平面図を示す。
図5】本発明の一実施形態による、印刷される板状材とコンベヤーベルトの間に薄板状の遮断要素が配置されたコンベヤーベルトの概略平面図を示す。
図6】本発明による薄板状の遮断要素の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明による印刷機の例示の実施形態が、図1に示される。それは以下を含む。
-移動してその上に配置された印刷される板状材(5)を搬送する有孔コンベヤーベルト(1)。それに従い、有孔コンベヤーベルト(1)は図2及び図5に示されており、穿孔(10)の組を含む。
-動かない、例示の実施形態では金属でもある有孔支持板(2)。有孔コンベヤーベルト(1)は、その有孔支持板(2)上を移動する。有孔支持板(2)は穿孔(20)の組を含む。
図1に示される吸引チャンバ(3)は、板状材(5)を有孔コンベヤーベルト(1)に固定するための、有孔コンベヤーベルト(1)と有孔支持板(2)の穿孔(10、20)を通過する吸引流を生成する吸引要素(図示せず)を含む。
【0045】
吸引チャンバの垂直方向の側板(6)に関する最新の方法も図1に示されており、側板(6)を動かすことによって幅を調整することができる。これらの側板(6)を使用して、程度の差はあるが有孔支持板(2)の側方の穿孔(20)を機能しないようにして、それにより印刷される板状材(5)の幅の寸法に対応する穿孔(20)を開いたままにすることができる。
【0046】
図3に示す本発明による例示の実施形態では、印刷提供領域(21)と、印刷非提供領域(22)が示される。印刷提供領域(21)では、印刷ヘッド(11)は板状材(5)を印刷するためにコンベヤーベルト(1)上に配置され、板状材(5)は、印刷ヘッド(11)の下のコンベヤーベルト(1)の動きと共に前進する。異なる印刷提供領域(21)は、異なる色を印刷するためのものにすることができる。図示の実施形態によれば、印刷提供領域(21)及び印刷非提供領域(22)の両方において、板状材(5)の固定は、吸引チャンバ(3)の吸引要素によって吸引された際に、コンベヤーベルト(1)及び有孔支持板(2)を通過する吸引空気流によってもたらされる。
【0047】
図3の実施形態に示される有孔支持板(2)は、実施形態によれば2つの吸引領域(21)のそれぞれにおいて取り外し可能(4)であり、例えば有孔支持板(2)の清掃、修理及び保守のためにそれを取り外して他の有孔支持板(2)と交換すること及び取り外して吸引チャンバ(3)へアクセスすることが可能である。
【0048】
図4a及び図4bには、本発明による有孔薄板(2)の実施形態が示され、印刷提供領域(21)の穿孔(20)は、印刷非提供領域(22)の穿孔(20)とは異なるパターンを有する。この場合、印刷非提供領域(22)よりも印刷提供領域(21)において、より多くの遮断(吸引空気流の通過のために開くことができる穿孔の数が少ない)をもたらす。図4a及び図4bの両実施形態での違いは、図4bの実施形態では、遮断は、それぞれの穿孔(20)を完全に遮断するために穿孔に配置された遮断バルブ又はインサート(8)によってもたらされることである。有孔支持板(2)は、好ましくは、印刷提供領域(21)で取り外し可能である。
【0049】
有孔コンベヤーベルト(1)は、任意で取り外し可能な有孔支持板(2)上を移動し、有孔コンベヤーベルト(1)の穿孔(10)の一部を有孔支持板(2)自体で塞がれたままにする。このようにして、板状材(5)によって覆われない有孔コンベヤーベルト(1)の穿孔(10)は、有孔支持板(2)によって少なくとも部分的に塞がれる。
【0050】
取り外し可能な(4)金属の有孔支持板(2)を備えることの利点の1つは、その清掃が容易であると同時に、印刷提供領域(21)におけるそのハウジングの清掃も容易にすることである。この目的のために、有孔支持板(2)は、取り外し可能に、特にねじ止めされるか若しくは類似の方法で取り外し可能に固定されることができ、あるいは吸引チャンバ(3)上に単に支持されるか又は積載されることができる。取り外し可能な有孔支持板(2)を取り外して、吸引チャンバ(3)での引き出しのような方法で支持構造の上部から有孔支持板(2)を分解すると、清掃のための吸引チャンバ(3)へのアクセスも可能になる。
【0051】
覆われていない有孔コンベヤーベルト(1)の穿孔(10)の最大の減少を得るために、取り外し可能な有孔支持板(2)の穿孔(20)の分布パターンを、様々な印刷される板状材(5)、特に印刷される板状材(5)の寸法及び特徴、並びに板状材(5)を有孔コンベヤーベルト(1)上に配置する方法に応じて考えることができる。
【0052】
別の例示の実施形態では、その遮断手段は、印刷提供領域(21)において有孔支持板(2)上かつ有孔コンベヤーベルト(1)の下に配置された有孔コンベヤーベルト(1)に平行な薄板状の遮断要素(7)によって形成されることができる。
【0053】
具体的には、この実施形態では、薄板状の遮断要素(7)は、印刷非提供領域(22)における有孔支持板(2)の分布パターンとは異なる穿孔の組を備えた追加の有孔支持板を含む。追加の有孔支持板(4)は、有孔支持板(2)と有孔コンベヤーベルト(1)の間に配置される。より具体的には、有孔支持板(2)は、追加の有孔支持板を挿入するための所定の厚さを有するハウジングを備える。追加の有孔支持板(4)は、金属製でありかつ取り外しが容易であることが好ましい。
【0054】
追加の有孔支持板は、有孔支持板(2)の穿孔(20)の分布パターンとは異なる穿孔分布パターンを含み、それにより板状材(5)によって覆われない有孔コンベヤーベルト(1)の穿孔(10)が、追加の有孔支持板によって少なくとも部分的に塞がれて、上述の問題を防ぐか又は少なくとも減らす。
【0055】
追加の有孔支持板の穿孔は、
-印刷される板状材(5)の寸法及び特徴、
-板状材(5)を有孔コンベヤーベルト(1)上に配置する方法、
に応じて実装されることができる。
【0056】
追加の有孔支持板の様々なセットが提供され得ることもまた予想される。これにより、薄板状の板状材(5)の特徴と、薄板状の板状材(5)を有孔コンベヤーベルト(1)上に配置する方法に応じて、いずれかが選択される。
【0057】
先の例示の実施形態について述べたように、これらの追加の有孔支持板の取り外し可能な状態はそれらの清掃を容易にし、それらは有孔支持板(2)でのハウジングから取り外されて、それにより洗浄場所に運ばれる。
【0058】
別の例示の実施形態が図5に示され、そこでは遮断手段は、有孔コンベヤーベルト(1)に平行な薄板状の遮断要素(7)によって形成されて、コンベヤーベルト(1)上かつ板状材(5)の下で移動する。薄板状の遮断要素(7)が、その上に板状材(5)が配置されて印刷提供領域(21)に至ると、印刷非提供領域(22)に対する印刷提供領域(21)においてコンベヤーベルト(1)の穿孔(10)の遮断がもたらされる。
【0059】
コンベヤーベルト(1)上に配置されるように構成された薄板状の遮断要素(7)の2つの実施形態が、図6に示される。左側の実施形態では、薄板状の遮断要素は、その表面全体に所定のパターンで穿孔(30)の組を与える。右の実施形態では、薄板状の遮断要素は穿孔のない周縁領域を与え、これによりその領域では、コンベヤーベルト(1)の穿孔(10)が完全に遮断され、その周縁領域における吸引空気流の印刷の問題を防ぐ。
【0060】
例示の実施形態はまた、穿孔(30)のない薄板状の遮断要素(7)の領域において、吸引流について透過性のストリップ、例えば多孔性からなることが考えられる。このようにして、薄板状の要素は、その透過性領域での吸引流の通過を可能にするが、吸引流によって生じる乱流を低減する。
【0061】
薄板状の遮断要素(7)は、有孔コンベヤーベルト(1)上に板状材(5)と共に入れられ、工程の最後に印刷済みの板状材(5)と共に取り出されるようにして、使い捨てであることが考えられる。1つの問題は、ストリップ(7)が有孔コンベヤーベルト(1)の全行程で板状材(5)の下を移動するため、印刷提供領域だけでなく、全行路で真空が低下することである。しかしながら、それは吸引を板状材のタイプ(5)に適合させることができるという利点を有し、各板状材(5)に対してストリップ又はパターンのタイプが選択される。
【0062】
以下の可能な例示の実施形態が考えられる。
-印刷提供領域の吸引キャビティの溶接された上部支持板全体を、例えばねじ込みなどで、取り外し可能に固定される薄板の上部支持板と交換する。
-凹部に追加の有孔支持板を挿入するための、溶接された上部支持板での凹部又はハウジング。
-従来の溶接された上部支持板に追加の有孔支持板を重ね合わせる。
-板状材とコンベヤーベルト(1)の間でコンベヤーベルト(1)上を移動するストリップ。
【符号の説明】
【0063】
1 有孔コンベヤーベルト
2 有孔支持板(有孔薄板)
3 吸引チャンバ
5 板状材
6 側板
7 遮断要素
8 バルブ又はインサート
10 穿孔
11 印刷ヘッド
20 穿孔
21 印刷提供領域
22 印刷非提供領域
30 穿孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6