(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】機体フレーム
(51)【国際特許分類】
B64C 1/06 20060101AFI20220922BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220922BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B64C1/06
B64C27/08
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2022118609
(22)【出願日】2022-07-26
【審査請求日】2022-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128290
【氏名又は名称】株式会社エムアイエー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】守屋 弓男
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-19493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291704(US,A1)
【文献】特開2020-40566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311526(US,A1)
【文献】米国特許第3002712(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0012154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0374532(US,A1)
【文献】米国特許第11027832(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/06
B64C 27/08
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管状部材で構成された略角錐形状を有するユニットを複数備え、
前記ユニットは、複数の底辺管状部材の端部が連結されて角錐の底面が形成され、前記底辺管状部材の端部に一方の端部が連結された側辺管状部材が他方の端部で互いに連結されて角錐の頂点が形成され、
複数の前記ユニットが着脱可能な状態で連結されて、各々の前記ユニットの角錐の底面が略同一面上に配置されて上面を形成し、各々の前記ユニットの角錐の頂点が前記上面より下側に配置されていることを特徴とする飛行体の機体フレーム。
【請求項2】
前記底辺管状部材により略台形または略三角形の底面が形成され、
平面視において、略台形の短辺または三角形の頂点が内周側に位置するように、複数の前記ユニットの底面が環状に配置されて連結されていることを特徴とする請求項1に記載の機体フレーム。
【請求項3】
各々の前記ユニットの角錐の頂点が離間して配置され、下弦部材により頂点が互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の機体フレーム。
【請求項4】
少なくとも一部の前記ユニットにおいて、前記底辺管状部材により略台形の底面が形成されており、略台形の対角を結ぶ対角管状部材が取り付けられ、
平面視で、前記対角管状部材が交差する略台形の中央領域に、回転翼及びモータを有する駆動部が取り付けられ、
前記回転翼の回転軸が略台形の底面に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の機体フレーム。
【請求項5】
平面視で、複数の前記回転翼の回転軸が、前記ユニットの底面が環状に配置された環の中心に対して略対称な位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の機体フレーム。
【請求項6】
前記対角管状部材が交差する領域及び略角錐の頂点の間を連結する支持部材が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の機体フレーム。
【請求項7】
前記対角管状部材が交差する領域で前記対角管状部材が剛性を有して連結されており、
前記対角管状部材が交差する領域及び略角錐の頂点の間を連結する支持部材は存在せず、
前記ユニットの内部領域に前記駆動部が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の機体フレーム。
【請求項8】
少なくとも一部の前記ユニットの角錐の頂点に着陸緩衝部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の機体フレーム。
【請求項9】
前記側辺管状部材が前記底辺管状部材に対して回転可能な状態で連結しており、
角錐の頂点における前記側辺管状部材の間の連結を解除して、前記側辺管状部材を回転させて、前記側辺管状部材を角錐の底面に沿うように配置できることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の機体フレーム。
【請求項10】
前記側辺管状部材が伸縮可能または折り曲げ可能に形成され、
角錐の頂点における前記側辺管状部材の間の連結を解除して、前記側辺管状部材を縮めるまたは折り曲げることができることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の機体フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の機体フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の回転翼を備えた所謂マルチコプタタイプの飛行体が普及してきている。このようなマルチコプタタイプの飛行体は、個々の回転翼が片持ち梁状に支持される場合が多く、曲げモーメントを受け易い。よって、十分な強度を得るためには、重量が増加する課題を有する。この課題に対処するため、棒状部材を連結した飛行体の機体フレームが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の機体フレームは、軽量で強固な構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、棒状部材が連結された一体構造を有するため、飛行体を運搬する場合に大きな運搬設備を要し、また大きな保管スペースを有するという課題を有する。
【0005】
従って、本発明の目的は上記の課題を解決するものであり、軽量で強固な構造を有するとともに、容易に搬送でき、保管スペースを抑制できる機体フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る飛行体の機体フレームでは、
複数の管状部材で構成された略角錐形状を有するユニットを複数備え、
前記ユニットは、複数の底辺管状部材の端部が連結されて角錐の底面が形成され、前記底辺管状部材の端部に一方の端部が連結された側辺管状部材が他方の端部で互いに連結されて角錐の頂点が形成され、
複数の前記ユニットが着脱可能な状態で連結されて、各々の前記ユニットの角錐の底面が略同一面上に配置されて上面を形成し、各々の前記ユニットの角錐の頂点が前記上面より下側に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本態様においては、軽量で強固な構造を有するとともに、機体フレームを各ユニットに分解可能なので、容易に搬送でき、保管スペースを抑制できる機体フレームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に係る機体フレームを備えたクアッドコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】分解したユニットを更に折りたたむところを模式的に示す図である。
【
図4】側辺管状部材を底辺管状部材及び対角管状部材に対して回転可能な状態で連結する一例を示す図(写真)である。
【
図5A】本発明の第2の実施形態に係る機体フレームを備えたヘキサコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図5Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図7A】本発明の第3の実施形態に係る機体フレームを備えたオクトコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図7Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図9】伸縮可能な側辺管状部材の一例を示す図(写真)であって、(a)が伸びた状態を示し、(b)が縮めた状態を示す。
【
図10】折り曲げ可能な側辺管状部材または支持部材の一例を示す図(写真)であって、(a)が折れ曲がっていない状態を示し、(b)が折り曲げた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する機体フレームや飛行体は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。以下おいては、飛行体が略水平面に載置され、飛び上がる方向を上側として記載する。
【0010】
(第1の実施形態に係る機体フレーム)
はじめに、
図1Aから
図1C及び
図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る機体フレーム及びこの機体フレームを備えた飛行体の説明を行う。
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る機体フレームを備えたクアッドコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示す飛行体の上方から見た平面図であり、
図1Cは、
図1Aに示す飛行体の側面図である。
図2は、
図1Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【0011】
モータの駆動力で回転翼(ロータ)を回転させる駆動部が複数備えられた飛行体のうち、3つの駆動部を有するトライコプタタイプ、4つの駆動部を有するクアッドコプタタイプ、6つの駆動部を有するヘキサコプタタイプ、8つの駆動部を有するオクトコプタタイプ等が知られている。下記の示す第1の実施形態がクアッドコプタタイプを示し、第2の実施形態がヘキサコプタタイプを示し、第3の実施形態がオクトコプタタイプを示す。第1から第3の実施形態に係る機体フレーム2を備えた飛行体100は、無人の飛行体の場合もあり得るし、有人の飛行体の場合もあり得る。
【0012】
<ユニット>
第1の実施形態に係る機体フレーム2は、管状部材11、12で構成された略角錐形状を有するユニット10を4つ備え、管状部材11’、12’で構成された略角錐形状を有するユニット10’を4つ備える。各々のユニット10の上部に、回転翼42及びモータ44を有する駆動部40が取り付けられている。各々のユニット10’の下部に、着陸緩衝部材50が取り付けられている。平面視において、ユニット10及びユニット10’は、交互に弧状に配置されている。
【0013】
ユニット10について更に詳細に述べれば、
図1A及び
図2の(a)に示すように、ユニット10は、4つの底辺管状部材11A~11Dの端部が連結されて略四角錐の底面Bが形成されている。底面Bは、底辺管状部材11Dを長辺とし、底辺管状部材11Bを短辺とし、底辺管状部材11A、Cを側辺とする略台形の形状を有している。なお、長辺となる底辺管状部材11Dは湾曲して延びており、他の底辺管状部材11A~Cは直線状に延びている。
【0014】
互いに連結した底辺管状部材11A~11Dの端部に、側辺管状部材12の一方の端部が連結されている。つまり、2つの底辺管状部材11A~11Dの端部の連結領域に、更に側辺管状部材12の端部が連結されている。側辺管状部材12の他方の端部は、互いに連結されて略四角錐の頂点Pを形成している。ユニット10、10’が連結された機体フレーム2を備えた飛行体100を飛行できるように略水平な面に載置された場合、略四角錐の底面Bが上側に位置し、頂点Pが下側に位置するようになる。なお、
図2では、底辺管状部材11A~11D及び側辺管状部材12を識別し易くするため、側辺管状部材12を点線で示してある。
【0015】
ユニット10を構成する管状部材の端部の連結は、溶接やカシメ等により互いに固定することもできるし、ボルトナットのような締結部材により着脱可能な状態で連結することもできる。ここで、「着脱可能な状態で連結する」とは、ボルトナットのような締結部材を用いることにより、損傷させることなく、管状部材やユニットの連結、取り外しが可能なことを意味する。
ただし、連結部を動かないように固定または連結する場合だけでなく、
図3を用いて後述するように、例えば、底辺管状部材11A~11Dと側辺管状部材12がとの間を回転可能な状態で連結することもあり得る。
【0016】
ユニット10’も同様に、4つの底辺管状部材11A’~11D’の端部が連結されて略四角錐の底面Bが形成され、底辺管状部材11A’~11D’の端部に一方の端部が連結された側辺管状部材12が、他方の端部で互いに連結されて略四角錐の頂点Pを形成している。基本的にユニット10と同様なので、更に詳細な説明は省略する。
【0017】
底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)、側辺管状部材12(12’)をはじめとする管状部材として、アルミ、アルミ合金製のパイプ(以下、「アルミパイプ」と称する)を用いることができる。例えば、所定の長さに切断したアルミパイプの両端部を扁平化させて平板部を形成し、他のアルミパイプとの連結部とすることができる。平板状の端部を溶接やカシメ等で互いに固定することもできるし、平板状の端部に孔をあけて、締結部材で着脱可能な状態で連結することもできる。平板状の端部に、着脱用ブラケットを取り付けることもできる。更に、平板状の端部に蝶番を取り付けて、回転可能な状態で連結することもできる。なお、端部を扁平化させるのは、あくまで一例であり、その他の任意の端部形状を有することができる。
【0018】
管状部材として、アルミパイプを用いる場合に限られるものではなく、マグネシウム製のパイプ、チタン製のパイプ、ステンレス製のパイプ、鍍金した鋼製のパイプ等を用いることもできる。更に、金属製のパイプだけでなく、炭素繊維製のパイプや、樹脂製のパイプを用いることもできる。
【0019】
上記のように、ユニット10、10’を構成する管状部材は、直線状に延びた場合だけに限られず、底辺管状部材11D(11D’)のように、湾曲して延びた場合もあり得る。管状部材の外径として20mmから100mm程度を例示でき、厚みとして1~5mmを例示できるが。これに限られるものではない。
【0020】
<機体フレーム>
以上のように形成された8つのユニット10、10’が交互に着脱可能な状態で連結されて機体フレーム2が形成される。例えば、ユニット10、10’の底辺管状部材11A(11A’)及び11C(11C’)の両側の平板状の端部に設けられた孔に締結部材を挿入して、着脱可能な状態でユニット10,10’を連結することができる。また、外れ防止機構を備えたクイックジョイントを用いて、ユニット10(10’)を着脱可能な状態で連結することもできる。
【0021】
各ユニット10、10’の略四角錐の底面Bが、上側に配置されて上面を形成し、略同一平面上に配置されている。このとき、平面視において、ユニット10、10’の底面Bの略台形の短辺が内周側に位置するように、底面Bが環状に配置されて連結されている(
図1Bに環の中心Cを示す)。そして、各ユニット10、10’の略四角錐の頂点Pが下側に位置している。
【0022】
上記のように、平面視において、底辺管状部材11C、11C’が該当する略台形の短辺が内周側に位置するように、複数のユニット10、10’の底面Bが環状に配置されて連結されている場合には、下記のような効果を奏する。
ユニット10、10’の底面Bを環状に配置することにより、中心Cに対して対称形のバランスの取れた構造を得ることができる。また、隣接するユニット10,10’の底辺管状部材11A-11C’、11A’-11Cが互いに沿って配置されるので、沿って配置された2つの底辺管状部材11A-11C’、11A’-11Cで荷重を負担することができる。よって、各々のユニット10、10’の底辺管状部材11A~11D、11A’~11D’の太さを細くすることができ、軽量化を図れる。
【0023】
ユニット10、10’の底辺管状部材11D、11D’は湾曲して延びているので、互いに連結させて機体フレーム2を形成したとき、平面視で略円形の外形を有する。湾曲した底辺管状部材11D、11D’による略円形の外形により、エッジ形状による周囲の部材の損傷を防ぎ、飛行体100を守るガード部材としても機能する。
【0024】
本実施形態では、更に、この機体フレーム2の外周側に円弧状のガード部材26が取り付けられている。更に詳細に述べれば、ユニット10、10’の上面(底面)Bの上側にガード部材26が取り付けられている。
ただし、これに限られるものではなく、ユニット10、10’の底面Bの略台形の長辺となる底辺管状部材11D、11D’が直線的に延びるように形成されている場合もあり得る。その場合、ユニット10、10’を環状に配置した機体フレーム2は、平面視において略八角形の外形を有するが、その外周の外側に円弧状のガード部材26を取り付けることもできる。ガード部材26は、例えば、8個の構成部材に分割できるように形成することもできる。
【0025】
更に、機体フレーム2の外周にLED航空灯を設置することもできる。
【0026】
<下弦部材>
本実施形態に係る機体フレーム2では、各々のユニット10、10’の略四角錐の頂点Pが離間して配置されている。そして、各々のユニット10、10’の離間した頂点Pが、下弦部材15により互いに連結されている。ユニット10、10’の略四角錐の頂点Pを下弦部材15で連結することにより、より堅固な構造が得られる。
【0027】
ただし、各ユニット10、10’の頂点Pが離間して配置されている場合に限られるものではなく、各ユニット10、10’の頂点Pが一カ所に集まるように配置されて連結されている場合もあり得る。なお、下弦部材15も、中空の管状部材で形成するのが好ましい。
【0028】
<駆動部>
4つのユニット10の底面(上面)Bに回転翼42及びモータ44を有する駆動部40が取り付けられている。四角錐状のユニット10、10’が着脱可能な状態で連結されて形成された機体フレーム2に、複数(ここでは4つ)の駆動部40が取り付けられている。更に駆動部40を駆動する制御部や電力供給するバッテリ等を備えて、飛行体100が形成されている。
【0029】
<対角管状部材>
駆動部40の取り付けについて更に詳細に述べれば、計8つのユニット10、10’のうち4つのユニット10において、底辺管状部材11A~11Dにより形成された略台形の底面Bにおいて、略台形の対角を結ぶ対角管状部材13が取り付けられている。
図1Bに示すように、平面視で、対角管状部材13が交差する略台形の中央領域に、回転翼42及びモータ44を有する駆動部40が取り付けられている。対角管状部材13は、例えば、締結部材等により、両端部で、底面Bを形成する底辺管状部材11A~11Dの端部と連結することができる。
【0030】
このとき、回転翼42の回転軸が略台形の底面Bに対して略直交するように配置されている。上記のように、飛行体100を略水平な面の上に載置したとき、底面Bは略水平に配置されるので、回転翼42の回転軸Gは略垂直な方向を延びている。これにより、回転翼42を回転させることにより、飛行体100を上方に飛び上がらせることができる。なお、実際に飛行体100を飛ばすとき、飛行体100を略水平な面上に載置する場合に限られず、ある程度斜めに傾斜した面上に載置することもできる。
【0031】
このように、略台形の対角を結ぶ対角管状部材13が交差する領域に駆動部40を取り付けることにより、略四角錐の底面Bの中央領域に確実に駆動部40を配置することができる。
【0032】
このとき、
図1Bに示すように、平面視で、複数(ここでは4つ)の回転翼42の回転軸が、ユニット10、10’の底面Bが環状に配置された環の中心Cに対して略対称な位置に配置されている。
【0033】
このように、複数の駆動部40の回転翼42の回転軸を、ユニット10、10’が環状に配置された環の中心Cに対して略対称な位置に配置することにより、飛行時の強度的なバランスを容易に得ることができる。
【0034】
更に、ユニット10、10’が環状に配置された環の中心Cに対して略対称な位置にバッテリボックスを配置することにより、飛行時におけるバランスを取り易くなる。
【0035】
<支持部材>
更に、本実施形態に係る機体フレーム2では、対角管状部材13が交差する領域及び略四角錐の頂点Pの間を連結する支持部材14が取り付けられている。支持部材14は、例えば、締結部材等により、両端部で、対角管状部材13の交差領域及び側辺管状部材12が集まった頂点領域と連結することができる。
【0036】
このように、対角管状部材13が交差する領域及び略四角錐の頂点Pの間を連結する更なる支持部材14により、駆動部40を安定して保持することができるので、飛行の更なる安定性に貢献できる。なお、支持部材14も、中空の管状部材で形成するのが好ましい。
【0037】
支持部材14を備える場合には、必ずしも、交差する対角管状部材13だけで駆動部40を支える強度を有する必要はない。例えば、対角管状部材13が、対角管状部材13の交差領域で分離された2つの部材から構成される場合もあり得る。略四角錐状のユニット10の頂点Pに接続された支持部材14は、十分な上下方向の強度を有するので、支持部材14及び分離された対角管状部材13を連結すれば、駆動部40を支持するのに十部な強度が得られる。
【0038】
一方、対角管状部材13が溶接等で堅固に固定されている場合や、交差する対角管状部材13の交差領域に駆動部40の取り付けプレートも兼ねた板状部材が固定されている場合には、交差する対角管状部材13だけで駆動部40を支えるのに十分な強度を有する。その場合には、支持部材14を備える必要はない。
【0039】
このように、対角管状部材13が交差する領域で対角管状部材13が剛性を有して連結されている場合には、対角管状部材13が交差する領域及び略四角錐の頂点Pの間を連結する支持部材14は備えず、ユニット10の内部領域に駆動部40を配置することもできる。
このように、ユニット10の内側に駆動部40を配置する場合には、コンパクトな外形の飛行体100を実現できる。
【0040】
また、機体フレーム2を構成するユニット10の上面(底面)Bまたはユニット10の内側に配置された駆動部40に加えて、ユニット10の下側の略四角錐の頂点Pの位置に、回転翼及びモータを有する更なる駆動部が取り付けることもできる。これにより、飛行体100の推進力を増やすことができる。
【0041】
<アーチフレーム>
本実施形態では、略台形の短辺が内周側に位置するように底面Bが環状に配置されているので、環の中心領域にスペースが形成され、そこにアーチフレーム30に配置されている。アーチフレーム30は、基部34と、基部34に接続された2つのアーチ部材32とを備える。更に詳細に述べれば、上側に凸となるように湾曲した2つのアーチ部材32が互いに交差して配置されている。このアーチフレーム30は、締結部材等を用いて、回りを囲むユニット10、10’の底辺管状部材11C、11C’等の端部と着脱可能な状態で連結することができる。
【0042】
アーチフレーム30の外側にアクリルをはじめとする樹脂製のドームを装着することができる。ユニット10、10’に囲まれ、ドームで覆われた領域に、例えば、駆動部40を制御する制御する制御ユニットや、駆動部40に電力を供給するバッテリを配置することができる。ドームで覆われているので、周囲の環境変化から制御部やバッテリ等の電子、電電部材を保護することができる。
【0043】
更に、ユニット10、10’で囲まれた環の中心領域を、荷物の載置スペースとして用いることもできるし、飛行体100の搭乗者の搭乗スペースとして用いることもできる。また、環状の中心領域にホイストを設置することもできる。
【0044】
上記のように、駆動部40が、ユニット10、10’が環状に配置された環の中心Cに対して略対称な位置に配置されているので、飛行体100に荷物を載せたりや搭乗者が乗った場合でも、安定した飛行が可能となる。
【0045】
<着陸緩衝部材>
本実施形態では、計8つのユニット10、10’のうち4つのユニット10’において、ユニット10’の略四角錐の頂点Pに着陸緩衝部材50が取り付けられている。着陸緩衝部材50は、例えばゴム材料のような弾性のある部材で形成されるのが好ましい。更に、内部に気体が充填されたボールやタイヤのような構造を有するのも好ましい。弾性を有する着陸緩衝部材50により、飛行体100をスムーズに着陸させ、飛行体100の損傷を回避できる。また、着陸緩衝部材50をフロートとして、飛行体100が水上に浮くようにすることもできる。
【0046】
<ユニットのその他の形状>
上記の実施形態では、底辺管状部材11A~11Dにより略台形の底面Bが形成されているが、これに限られるものではない。例えば、正方形、長方形、平行四辺形等の形状の底面Bを有する場合もあり得る。更に、底面Bが、四角形の形状を有する場合だけでなく、三角形の形状を有する場合も、五角形以上の多角形の形状を有する場合もあり得る。ユニット10,10’は、略多角錐の形状であれば、任意の形状を有することができる。略多角錐の辺となる管状部材は、直線的に延びている場合だけなく、やや湾曲している場合もあり得る。
【0047】
仮に、ユニット10、10’が、三角形の底面Bを有する三角錐の形状を有する場合、平面視において、三角形の頂点が内周側に位置するように、複数のユニット10、10’の底面Bが環状に配置されて連結される。その場合には、略台形の場合に比べて、環の中心領域のスペースは小さなものとなる。例えば、一方のユニット10の底面Bが略台形の形状を有し、他方のユニット10’ の底面Bが略三角形の形状を有する場合もあり得る。
【0048】
(機体フレームの分解)
上記のように、本実施形態に係る機体フレーム2では、締結部材等により、複数のユニット10、10’が着脱可能な状態で連結されて形成されている。締結部材等外して、ユニット10、10’をはじめとする機体フレーム2を構成する部材を分解することができる。具体的には、
図2に示すように、(a)駆動部40が取り付けられたユニット10×4個と、(b)着陸緩衝部材が取り付けられたユニット10’×4個と、(c)中央のアーチフレーム30×1個と、下弦部材15×8個及びガード部材26の構成部材×8個と、に分解することができる。
【0049】
図1に示すユニット10,10’が連結されて形成された機体フレーム2に比べて、分解した部材の大きさはかなり小さくなっている。
図1に示すような機体フレーム2を運搬する場合には、大きな搬送設備を用いる必要があり、機体フレーム2を保管する場合には、大きな保管スペースを要する。一方、本実施形態では、機体フレーム2を、ユニット10、10’、アーチフレーム30及びその他の部品に分解することができるので、容易に搬送することができ、小さなスペースに保管することができる。
【0050】
(ユニットの折り畳み)
本実施形態では、機体フレーム2を各ユニット10、10’に分解できるだけでなく、各ユニット10、10’を折り畳むことができる。次に、
図3を参照しながら、ユニット10を例にとって、ユニット10の折り畳み方法を説明する。
図3は、分解したユニットを更に折りたたむところを模式的に示す図である。
【0051】
まず、分解したユニット10から、駆動部40及び着陸緩衝部材50を取り外す。
図3は、取り外された後の状態を示す。
図3に示すユニット10では、隣接する2つの側辺管状部材12が頂点Pの部分で繋がっている。つまり、頂点Pで繋がった2つの側辺管状部材12で構成されたV字形の側面部分Sを2つ備えている。そして、V字形の側面部分Sの底面B側の端部において、蝶番20を介して、底面Bを構成する底辺管状部材11A~11Dに連結されている。
【0052】
ここで、
図4は、側辺管状部材を底辺管状部材及び対角管状部材に対して回転可能な状態で連結する一例を示す図(写真)である。
図4に示す蝶番20は、2つの平板部が回転自在に繋がった構造を有し、一方の平板部が、締結部材24で側辺管状部材12に取り付けられ、蝶番20の他方の平板部が、締結部材24で底辺管状部材11A~11D及び対角管状部材に取り付けられている。これにより、2つの側辺管状部材12で構成されたV字形の側面部分Sは、底面Bに対して回転可能な状態で連結されている。
【0053】
図3の(a)に示すように、底面Bの略台形の対角を結ぶ対角管状部材13が交差する領域に、駆動部40を取り付けるサポート板22が固定されている。このサポート板22に、支持部材14の一方の端部が着脱可能な状態で連結されている。支持部材14の他方の端部には、着陸緩衝部材50を取り付けるサポート板22が固定されている。この他方の端部のサポート板22を用いて、2つのV字形の側面部分Sの頂点Pと支持部材14とが連結されている。
【0054】
図3の(a)に示す組み立て状態から、支持部材14との連結を外して、
図3の(b)の点線の矢印に示すように、2つのV字形の側面部分Sを底面Bの外側に広げるように回転させることができる。そして、支持部材14を底面Bから取り外す。そして、2つのV字形の側面部分Sを
図3の(b)の矢印と反対の方向に回転させることにより、
図3の(c)に示すように、底面Bに2つのV字形の側面部分Sが重なり合った収納状態にすることができる。側辺管状部材12が底面Bに沿った略板状の状態にすることができるので、底面Bに直交する方向の寸法を小さくすることができる。
【0055】
上記においては、隣接する2つの側辺管状部材12が繋がったV字形の側面部分Sが形成されているが、これに限られるものではない。側辺管状部材12が互いに繋がっておらず、個々の側辺管状部材12が面Bを構成する底辺管状部材11A~11Dに回転自在に連結されている場合もあり得る。
【0056】
以上のように、本実施形態においては、側辺管状部材12が底辺管状部材11A~11Dに対して回転可能な状態で連結しており、略四角錐の頂点Pにおける側辺管状部材12の間の連結を解除して、側辺管状部材12を回転させて、側辺管状部材12を略四角錐の底面Bに沿うように配置することができる。ユニット10’についても、ユニット10と同様に折り畳むことができる。更に、アーチフレーム30ついても、2つのアーチ部材32が基部34と重なるように折り畳むことができる。
【0057】
これにより、ユニット10、10’やアーチフレーム30を搬送するのが極めて容易になり、ユニット10、10’やアーチフレーム30を収納する場合にも、収納容積を大きく削減することができる。人がユニット10、10’やアーチフレーム30を背負って運ぶことも可能となり、搬送トラック等が入れない遠隔地へも、ユニット10、10’やアーチフレーム30を運んで、遠隔地で機体フレーム2に組み立てて、飛行体100を飛ばすことも可能となる。
【0058】
側辺管状部材12が底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)に対して回転可能な状態で連結している場合だけでなく、底面Bを構成する底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)を互いに回転可能に連結することも考えられる。その場合には、底面Bを折り畳んで更に小さくすることもできる。ただし、その分、部材を折り畳む作業が増える。よって、分解の作業効率、製造コスト、重量等を考慮すると、底面Bは一定の形状を保ち、側辺管状部材12(12’)を回転させて、側辺管状部材12(12’)を底面Bに沿うように配置することが最も効率的であると考えられる。
【0059】
(第2の実施形態に係る機体フレーム)
はじめに、
図5Aから
図5C及び
図6を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る機体フレーム及びこの機体フレームを備えた飛行体の説明を行う。
図5Aは、本発明の第2の実施形態に係る機体フレームを備えたヘキサコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示す飛行体の上方から見た平面図であり、
図5Cは、
図5Aに示す飛行体の側面図である。
図6は、
図5Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【0060】
第2の実施形態に係る機体フレーム2では、1種類のユニット10のみで構成され、6つのユニット10が着脱可能な状態で連結されている本実施形態に係るユニット10も、第1の実施形態と同様に、底辺管状部材11A~11Dにより略台形の底面Bが形成され、側辺管状部材12の端部が1点に集まった頂点Pを有する略四角錐の形状を有している。本実施形態に係るユニット10でも、駆動部40を支持するための支持部材14を備える。
【0061】
また、隣接するユニット10は、連結部材16を介して連結されて、機体フレーム2が形成される。各ユニットの頂点Pは離間して配置され、各ユニット10の頂点Pは、下弦部材15で繋げられている。
【0062】
そして、6つの全てのユニット10の上面(底面B)に駆動部40が取り付けられている。これにより、6つの駆動部を有するヘキサコプタタイプの飛行体100が形成される。また、第2の実施形態では、全てのユニット10の下側の頂点Pに着陸緩衝部材50が取り付けられている。6つのユニット10が弧状に配置された弧の中央領域には、アーチフレーム30が備えられている。
【0063】
締結部材等外して、ユニット10をはじめとする機体フレーム2を構成する部材を分解することができる。具体的には、
図6に示すように、(a)駆動部40及び着陸緩衝部材50が取り付けられたユニット10×6個と、(b)中央のアーチフレーム30×1個と、(c)下弦部材15×6個、連結部材16×6個及びガード部材26の構成部材×8個と、に分解することができる。取り外されたユニット10は、駆動部40及び着陸緩衝部材50を取り外した後、
図3に示すように、側辺管状部材12を回転させて、側辺管状部材12を略四角錐の底面Bに沿うように折り畳むことができる。
その他については、上記の第1の実施形態と同様であるので、更なる説明は省略する。
【0064】
(第3の実施形態に係る機体フレーム)
次に、
図7Aから
図7C及び
図8を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る機体フレーム及びこの機体フレームを備えた飛行体の説明を行う。
図7Aは、本発明の第3の実施形態に係る機体フレームを備えたオクトコプタタイプの飛行体を模式的に示す斜視図である。6Bは、
図7Aに示す飛行体の上方から見た平面図である、
図7Cは、
図7Aに示す飛行体の側面図である。
図8は、
図7Aに示す飛行体を各ユニット等に分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【0065】
第3の実施形態に係る機体フレーム2でも、1種類のユニット10で構成され、ここでは8つのユニット10が着脱可能な状態で連結されている。本実施形態に係るユニット10も、第1、第2の実施形態と同様に、底辺管状部材11A~11Dにより略台形の底面Bが形成され、側辺管状部材12の端部が1点に集まった頂点Pを有する略四角錐の形状を有している。本実施形態に係るユニット10でも、駆動部40を支持するための支持部材14を備える。
【0066】
隣接するユニット10が連結されて、機体フレーム2が形成されている。各ユニット10の頂点Pは離間して配置され、各ユニット10の頂点Pは、下弦部材15で繋げられている。
【0067】
そして、8つの全てのユニット10の上面(底面B)に駆動部40が取り付けられている。これにより、8つの駆動部を有するオクトコプタタイプの飛行体100が形成される。また、第3の実施形態でも、全てのユニット10の下側の頂点Pに着陸緩衝部材50が取り付けられている。8つのユニット10が弧状に配置された弧の中央領域には、アーチフレーム30が備えられている。
【0068】
締結部材等外して、ユニット10をはじめとする機体フレーム2を構成する部材を分解することができる。具体的には、
図8に示すように、(a)駆動部40及び着陸緩衝部材50が取り付けられたユニット10×8個と、(b)中央のアーチフレーム30×1個と、(c)下弦部材15×8個及びガード部材26の構成部材×8個と、に分解することができる。取り外されたユニット10は、駆動部40及び着陸緩衝部材50を取り外した後、
図3に示すように、側辺管状部材12を回転させて、側辺管状部材12を略四角錐の底面Bに沿うように折り畳むことができる。
その他については、上記の第1の実施形態と同様であるので、更なる説明は省略する。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明のその他の実施形態として、側辺管状部材12を伸縮可能にする、または折り曲げ可能にすることにより、個々のユニット10を小型化することも考えられる。
【0070】
<伸縮可能な側辺管状部材>
はじめに、
図9を参照しながら、伸縮可能な側辺管状部材12の説明を行う。
図9は、伸縮可能な側辺管状部材12の一例を示す図(写真)であって、(a)が伸びた状態を示し、(b)が縮めた状態を示す。
【0071】
側辺管状部材12の一方の管状部材12Aが、他方の管状部材12Bの中に挿入されており、両者がスライドして側辺管状部材12を伸縮できるようになっている。一方の管状部材12Aには、バネにより外側へ突出するように付勢されたストッパ12Cが突出するように取り付けられている。側辺管状部材12が延びた状態では、他方の管状部材12Bに形成された孔に、ストッパ12Cが入る。これにより、側辺管状部材12の一方の管状部材12A及び他方の管状部材12Bが拘束され、固定される。この側辺管状部材12が延びた状態において、ユニット10を構成する複数の側辺管状部材12が一点に集まって連結されて、頂点Pを形成している。
【0072】
この状態から、頂点Pにおける側辺管状部材12の間の連結を解除した後、ストッパ12Cを押し込むことにより、ストッパ12C及び孔による拘束がなくなり、一方の管状部材12Aを他方の管状部材12Bの中に押し込んでいくことにより、側辺管状部材12を短くすることができる。このときストッパ12Cは、他方の管状部材12Bの内面を摺動する。
【0073】
側辺管状部材12が底面Bを構成する底辺管状部材11A~11Dに対して回転しない場合には、側辺管状部材12を短くすることにより、ユニット10の高さを低くすることができる。また、側辺管状部材12が底辺管状部材11A~11Dに対して回転する場合には、底面Bに沿うように折り畳んだ側辺管状部材12を更に短くすることができる。
【0074】
<折り曲げ可能な伸縮可能な側辺管状部材または支持部材>
次に、
図10を参照しながら、折り曲げ可能な側辺管状部材12または支持部材14の説明を行う。
図10は、折り曲げ可能な側辺管状部材12または支持部材14の実施例を示す図(写真)であって、(a)が折れ曲がっていない状態を示し、(b)が折り曲げた状態を示す。
【0075】
図10の(b)に示すように、側辺管状部材12または支持部材14の一方の管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)が折り曲げ可能な状態で連結されている。例えば、一方の管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)の内部に配置された折り曲げ可能な紐状部材により、折り曲げ可能な状態で互いに連結されている場合があり得る。そして、一方の管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)を直線上に配置して、一方の管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)の外周を覆う保持管12D(14D)をスライドさせて、一方の管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)の境界部を覆うようにする。これにより、側辺管状部材12または支持部材14は、折れ曲がっていない真っ直ぐな状態を維持できる。この側辺管状部材12または支持部材14が真っ直ぐな状態において、ユニット10を構成する複数の側辺管状部材12または支持部材14が一点に集まって連結されて、頂点Pを形成している。
【0076】
この状態から、頂点Pにおける側辺管状部材12または支持部材14の間の連結を解除した後、保持管12D(14D)をスライドさせて拘束を外すことにより、
図10の(b)に示すような、管状部材12A(14A)及び他方の管状部材12B(14B)が折り曲げられた状態にできる。
【0077】
側辺管状部材12が底面Bを構成する底辺管状部材11A~11Dに対して回転しない場合には、側辺管状部材12及び支持部材14を折り曲げることにより、ユニット10の高さを低くすることができる。側辺管状部材12が底辺管状部材11A~11Dに対して回転する場合には、底面Bに沿うように折り畳まれた側辺管状部材12を、更に折り曲げて小さくすることができる。また、取り外された支持部材14を更に小さくすることができる。
【0078】
以上のように、
図9または
図10に示すように、側辺管状部材12が伸縮可能または折り曲げ可能に形成されている場合には、略四角錐の頂点Pにおける側辺管状部材12の間の連結を解除して、側辺管状部材12を縮めるまたは折り曲げることができる。また、支持部材14を折り曲げ可能に形成することもできる。これにより、ユニット10を更に低背化することができる。よって、更にユニット10の搬送を容易にし、ユニット10の収納容積を削減することができる。また、側辺管状部材12が底辺管状部材11A~11Dに対して回転可能な構造と、伸縮可能または折り曲げ可能な構造とを組み合わせることもできる。この場合には、底面Bに沿うように折り畳まれた側辺管状部材12を、更に小さくすることができる。
【0079】
(全般)
以上のように、本発明の第1の態様に係る機体フレーム2では、
複数の管状部材11(11’)、12(12’)で構成された略角錐形状を有するユニット10(10’)を複数備え、
ユニット10は、複数の底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)の端部が連結されて角錐の底面Bが形成され、底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)の端部に一方の端部が連結された側辺管状部材12(12’)が他方の端部で互いに連結されて角錐の頂点Pが形成され、
複数のユニット10(10’)が着脱可能な状態で連結されて、各々のユニット10(10’)の角錐の底面Bが略同一面上に配置されて上面を形成し、各々のユニット10(10’)の角錐の頂点Pが上面より下側に配置されている。
【0080】
本発明の第2の態様に係る機体フレーム2では、第1の態様において、
底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)により略台形または略三角形の底面Bが形成され、
平面視において、略台形の短辺または三角形の頂点が内周側に位置するように、複数のユニット10(10’)の底面Bが環状に配置されて連結されている。
【0081】
本発明の第3の態様に係る機体フレーム2では、第1または第2の態様において、
各々のユニット10(10’)の角錐の頂点Pが離間して配置され、下弦部材15により頂点Pが互いに連結されている。
【0082】
本発明の第4の態様に係る機体フレーム2では、第1から第3の態様の何れかにおいて、
少なくとも一部のユニット10(10’)において、底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)により略台形の底面Bが形成されており、略台形の対角を結ぶ対角管状部材13が取り付けられ、
平面視で、対角管状部材13が交差する略台形の中央領域に、モータ44及び回転翼42を有する駆動部40が取り付けられ、
回転翼42の回転軸Gが略台形の底面Bに対して略直交するように配置されている。
【0083】
本発明の第5の態様に係る機体フレーム2では、第4の態様において、
平面視で、複数の回転翼42の回転軸Gが、ユニット10の底面Bが環状に配置された環の中心に対して略対称な位置に配置されている。
【0084】
本発明の第6の態様に係る機体フレーム2は、第4または第5の態様において、
対角管状部材13が交差する領域及び略角錐の頂点Pの間を連結する支持部材14が取り付けられている。
【0085】
本発明の第7の態様に係る機体フレーム2では、第4または第5の態様において
対角管状部材13が交差する領域で対角管状部材13が剛性を有して連結されており、
対角管状部材13が交差する領域及び略角錐の頂点Pの間を連結する支持部材14は存在せず、
ユニット10の内部領域に駆動部40が配置されている。
【0086】
本発明の第8の態様に係る機体フレーム2では、第1から第7の態様の何れかにおいて、
少なくとも一部のユニット10(10’)の角錐の頂点Pに着陸緩衝部材50が取り付けられている。
【0087】
本発明の第9の態様に係る機体フレーム2では、第1から第8の態様の何れかにおいて、
側辺管状部材12(12’)が底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)に対して回転可能な状態で連結しており、
角錐の頂点Pにおける側辺管状部材12(12’)の間の連結を解除して、側辺管状部材12(12’)を回転させて、側辺管状部材12(12’)を角錐の底面Bに沿うように配置できる。
【0088】
本発明の第10の態様に係る機体フレーム2では、第1から第9の態様の何れかにおいて、
側辺管状部材12(12’)が伸縮可能または折り曲げ可能に形成され、
角錐の頂点Pにおける側辺管状部材12(12’)の間の連結を解除して、側辺管状部材12(12’)を縮めるまたは折り曲げることができる。また、支持部材14を折り曲げ可能に形成することもできる。
【0089】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0090】
2 機体フレーム
10、10’ ユニット
11、11’、11A~11D、11A’~11D’ 底辺管状部材
12、12’ 側辺管状部材
12A 一方の管状部材
12B 他方の管状部材
12C ストッパ
12D 保持管
13 対角管状部材
14 支持部材
15 下弦部材
16 連結部材
20 蝶番
22 サポート板
24 締結部材
26 ガード部材
30 アーチフレーム
32 アーチ部材
34 基部
40 駆動部
42 回転翼
44 モータ
50 着陸緩衝部材
100 飛行体
B 底面
P 頂点
S 側面部分
C 環の中心
G 回転軸
【要約】
軽量で強固な構造を有するとともに、容易に搬送でき、保管スペースを抑制できる機体フレームを提供することにある。
【解決手段】 複数の管状部材11(11’)、12(12’)で構成された略角錐形状を有するユニット10(10’)を複数備え、ユニット10(10’)は、複数の底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)の端部が連結されて角錐の底面Bが形成され、底辺管状部材11A~11D(11A’~11D’)の端部に一方の端部が連結された側辺管状部材12(12’)が他方の端部で互いに連結されて角錐の頂点Pが形成され、複数のユニット10が着脱可能な状態で連結されて、各々のユニット10(10’)の角錐の底面Bが略同一面上に配置されて上面を形成し、各々のユニット10(10’)の角錐の頂点Pが上面より下側に配置されている機体フレーム2を提供する。
【選択図】
図1A