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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ホワイトボードシート
(51)【国際特許分類】
   B43L 1/10 20060101AFI20220922BHJP
   B43L 1/08 20060101ALI20220922BHJP
   B43L 1/04 20060101ALI20220922BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20220922BHJP
   C09D 175/16 20060101ALI20220922BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20220922BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B43L1/10
B43L1/08
B43L1/04 A
C09D201/02
C09D175/16
C09D4/00
C09D183/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018193910
(22)【出願日】2018-10-13
(65)【公開番号】P2020059262
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 教一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-073363(JP,A)
【文献】特開平10-138691(JP,A)
【文献】特開2017-115077(JP,A)
【文献】特開2015-025067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/10
B43L 1/08
B43L 1/04
C09D 201/02
C09D 175/16
C09D 4/00
C09D 183/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に筆記層を設けたホワイトボードシートであって、前記筆記層が少なくとも電離性放射線により重合する多官能化合物と、電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を含有し、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種をさらに含有する塗液を前記基材に塗布乾燥した後、電離性放射線を照射することで硬化してなるハードコート層であり、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂の前記筆記層の固形分中に占める含有比率が0.1~8重量%であり、前記電離性放射線により重合する多官能化合物と、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を合わせた前記筆記層の固形分中に占める含有比率が70重量%以上であり、前記筆記層の固形分中に占めるN-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートの合計の含有比率が5重量%以上25重量%以下であることを特徴とするホワイトボードシート。
【請求項2】
前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂がポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トである請求項1に記載のホワイトボードシート。
【請求項3】
前記筆記層が設けられた基材の前記筆記層とは反対側の面上に吸着層を有することを特徴とする請求項1~請求項2のいずれかに記載のホワイトボードシート。
【請求項4】
前記吸着層が、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるシリコーン組成物を、付加反応により硬化してなるものであり、前記ジオルガノポリシロキサンが、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサン、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のホワイトボードシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホワイトボードの表面材として用いるホワイトボードシートに関するものであり、更に詳しくは、耐傷性、筆記性、消去性が優れたホワイトボードシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1などで、樹脂シートの表面に紫外線硬化樹脂層を形成したホワイトボードシートが提案されている。ホワイトボードは、ガラス板、合成樹脂板、鉄板、木板、板紙などの表面に樹脂シートであるホワイトボードシートを貼着することにより作製される。ホワイトボードは、その表面に絵や文字を書いたり消したりするため、表面の硬度が高く傷付きにくいことが要求され、また耐久性がよいことが要求される。また、有機、又は無機の顔料をアルコールやケトンなどの有機溶剤に溶融させたインクを使用するホワイトボードマーカーで絵や文字が書き易く、書いた絵や文字が消し易いことが要求される。したがって、ホワイトボードの表面となるホワイトボード用シートの表面も、傷付きにくく、ホワイトボードマーカーで絵や文字が書き易い筆記性や、書いた絵や文字が消し易い消去性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-030683公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐傷性、耐久性に優れ、しかもホワイトボードマーカーの筆記性及び消去性が、従来のものと比べさらに良好なホワイトボードシートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は、基材の一方の面に筆記層を設けたホワイトボードシートであって、前記筆記層が少なくとも電離性放射線により重合する多官能化合物と、電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を含有し、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種をさらに含有する塗液を前記基材に塗布乾燥した後、電離性放射線を照射することで硬化してなるハードコート層であり、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂の前記筆記層の固形分中に占める含有比率が0.1~8重量%であり、前記電離性放射線により重合する多官能化合物と、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を合わせた前記筆記層の固形分中に占める含有比率が70重量%以上であり、前記筆記層の固形分中に占めるN-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートの合計の含有比率が5重量%以上25重量%以下であることを特徴とするホワイトボードシートである。
【0006】
第2発明は、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂がポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トである第1発明に記載のホワイトボードシートである。
【0007】
第3発明は、前記筆記層が設けられた基材の前記筆記層とは反対側の面上に吸着層を有することを特徴とする第1~第2発明のいずれかに記載のホワイトボードシートである。
【0008】
第4発明は、前記吸着層が、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるシリコーン組成物を、付加反応により硬化してなるものであり、前記ジオルガノポリシロキサンが、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサン、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする第3発明に記載のホワイトボードシートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のホワイトボードシートでは、筆記層を、電離性放射線により重合する多官能化合物と、電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を所定の割合で含有する塗液を基材に塗布乾燥した後、電離性放射線を照射することで硬化してなるハードコート層とした。本発明では、筆記層をこのような構成とすることにより、耐傷性、耐久性を低下させることなく、ホワイトボードマーカーの筆記性及び消去性が、従来のものと比べ良好なホワイトボードシートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明のホワイトボードシートを、さらに詳しく説明する。
【0011】
本発明のホワイトボードシートは、基材の一方の面に筆記層を設けたものである。
【0012】
(基材)
本発明のホワイトボードシートの基材としては、各種のプラスティックからなるフィルムであれば、特に限定されない。例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、セルロース系樹脂等よりなるフィルムが例示されるが、これらに限定されるものではない。取り扱性、粘着層又は吸着層との接着力の向上、コストの面等より、ポリエステルフィルムが好ましい。基材の厚みは、ホワイトボードシートの大きさに応じて適宜選択すればよいが、通常4~400μmの範囲のものを用いる。
【0013】
(筆記層)
本発明の筆記層は、繰り返し筆記されることに耐えうる耐傷性、耐久性を満足するために、ハードコート層であることが好ましい。
【0014】
本発明の筆記層であるハードコート層に用いられる主成分の化合物は電離放射線により重合する多官能化合物から主に形成されていることが好ましく、ラジカル重合反応を形成する(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、カチオン重合反応を形成する化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては分子内に(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物を意味する。モノマーであっても、オリゴマーであってもよく、またその両方を含んでもよい。本発明の筆記層は、これら電離放射線により重合する多官能化合物に電離放射線を照射して重合させることにより、ホワイトボードマーカーで筆記したインクが筆記層内部には浸み込み難くなる。このように、本発明の筆記層はインクが筆記層内部には浸み込み難いため、ホワイトボードマーカーで書いた絵や文字の濃度が薄くなることがなく明確なものとなるとともに、ホワイトボードマーカーで書いた絵や文字をクリーナーで拭き取る際に、拭き残しが生じ難くなる。
【0015】
本発明では、アクリロイル基とメタアクリロイル基を総称して、(メタ)アクリロイル基という。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物とは、アクリロイル基のみを有する化合物であってもよく、メタアクリロイル基のみを有する化合物であってもよく、アクリロイル基とメタアクリロイル基との両方を有するものであってもよい。また、以下に記載する(メタ)アクリレートについても同様である。
【0016】
本発明に係る(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、以下に記載する多官能(メタ)アクリレートのモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0017】
多官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0018】
これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0019】
一方、カチオン重合を形成する化合物としては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
【0020】
電離放射線重合反応に用いられる光重合開始剤としては、ラジカル重合型の化合物に対しては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2(ヒドロキシ-2-プロプル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリ-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミン安息香酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン重合型の化合物に対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、重合性化合物100質量部に対して、通常0.2~10質量部の範囲で選ばれる。
【0021】
前記電離放射線重合性多官能化合物以外にもハードコート性を大きく損なわない範囲で熱可塑性ポリマーを添加することができる。該熱可塑性ポリマーとしては、例えばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ゼラチン、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0022】
さらに、必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、界面活性剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料、帯電防止剤などを含有していてもよい。また、有機系微粒子、無機系微粒子を含有してもよい。
【0023】
筆記層に用いられる電離放射線により重合する多官能化合物の一部を、疎水性の多官能高分子樹脂とすることにより、筆記層の筆記性をさらに向上することができる。疎水性の多官能高分子樹脂を含有することにより、筆記層がホワイトボードマーカーのインクを弾き難くなり、さらに筆記性が向上する。
【0024】
疎水性の多官能高分子樹脂は、筆記層に用いられる主成分の電離放射線により重合する多官能化合物と同じく、ラジカル重合反応を形成する(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、カオチン重合反応を形成する化合物であることが好ましい。また、これらの疎水性の多官能高分子樹脂は、主成分の多官能化合物と同種のものを用いることがより好ましい。同種のものを用いることにより、筆記層内での重合反応による結合を強固にでき、筆記性と消去性向上の効果をより高めることができる。
【0025】
疎水性の多官能高分子樹脂は、アルキル基、フェニル基、ニトロ基などの親油性の官能基を有する化合物でも良いが、ブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トが、筆記性の向上のためにより好ましい。
【0026】
筆記層の固形分に占める疎水性の多官能高分子樹脂の含有比率は、0.1~8重量%が好ましく、より好ましくは0.2~8重量%、さらに好ましくは0.2~1重量%である。0.1重量%未満では十分な筆記性向上の効果が得られず、8重量%を超えると電離放射線重合性多官能化合物との相溶性が悪くなり、筆記層が白濁して透明性が低下するだけでなく、筆記層に十分な硬度が得られなくなり、筆記層の耐傷性、耐久性が低下するほか、筆記性、消去性向上の効果が低下する場合もあり、好ましくない。
【0027】
また、前記電離性放射線により重合する多官能化合物と、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を合わせた前記筆記層の固形分中に占める含有比率が70重量%以上であること好ましく、さらに好ましくは75重量%以上である。前記電離性放射線により重合する多官能化合物と、前記電離性放射線により重合する疎水性の多官能高分子樹脂を合わせた前記筆記層の固形分中に占める含有比率が70重量%を下回ると、筆記層に十分な硬度が得られなくなり、筆記層の耐傷性、耐久性が低下する場合がある。
【0028】
筆記層には、さらにN-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。フェノキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-エチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらN-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種を含有することで、筆記層に用いられる主成分の多官能化合物である(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、カチオン重合反応を形成する化合物と疎水性の多官能高分子樹脂との相溶性が極めて良好となり、筆記層の高い筆記性、消去性、耐傷性、耐久性とともに、高い透明性が得られ、透明性を必要とする用途へも好適に使用することができる。
【0029】
また、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種の配合量の合計は、筆記層の固形分に対して5~25重量%であることが好ましく、より好ましくは10~20重量%である。25重量%を超えると筆記層に十分な硬度が得られなくなる場合があり好ましくない。また、5重量%未満では主成分の多官能化合物と疎水性の多官能高分子樹脂との相溶性が得らないために透明性が得られず、透明性を要求される用途への使用には適さなくなる。
【0030】
N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、フェノキシ基含有(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種を、筆記層の固形分に対して5重量%以上25重量%以下含有する筆記層では、透明性を損なう材料を含有しない限り、ヘイズ値は通常2%以下であり、最大でも3%を超えることはない。
【0031】
筆記層の厚みは1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下であることが好ましい。該範囲未満ではハードコート性が十分に得られず、筆記層に傷がつきやすくなる。一方、該範囲を超えるとコストアップにつながる。
【0032】
(吸着層又は粘着層)
本発明のホワイトボードシートは、ガラス板、合成樹脂板、鉄板、木板、板紙などの表面に貼着することによりホワイトボードを作製するのに用いられる。このため、本発明のホワイトボードシートは筆記層と反対側の基材面上に、粘着層又は吸着層を設けることが好ましい。基材上に設けた粘着層又は吸着層によって、ホワイトボードシートは、ガラス板、合成樹脂板、鉄板、木板、板紙などの表面に容易に貼着することができる。
【0033】
本発明のホワイトボードシートは、間違った位置に貼り付けた場合の貼り直しができることや、不要となった場合や、筆記層表面が劣化して筆記性又は消去性が低下した場合にも容易に剥がせて、かつ長期間貼り付けた後に剥がしてものり残りが生じないことが好ましい。被着体がガラス板、合成樹脂板、鉄板などの表面が平滑で吸着層が吸着可能なものに限定されるが、貼り直しができることや、容易に剥がせて、のり残りが生じないという点からは、本発明のホワイトボードシートには吸着層を設けることが好ましい。吸着層の材料としては、シリコーン系、ウレタン系などの多種の材料が使用可能であるが、透明性や耐熱性が良好であり広い用途に使用可能であることから、多種の吸着層材料の中でも、シリコーン系の吸着層材料がより好ましい。以下、本発明のホワイトボードシートの粘着層又は吸着層の説明として、シリコーン吸着層を例に挙げて説明する。
【0034】
(アンカー層)
基材上にシリコーン吸着層を積層するには、基材とシリコーン吸着層の間にアンカー層を設けることが好ましい。アンカー層を設ける目的は、基材とシリコーン吸着層との接着力の向上、および、特に被着体がガラスである場合のガラス面とシリコーンオリゴマーとの反応による密着力の経時上昇を防ぎ、ホワイトボードシートを剥離する際に、スムーズに剥離でき被着体であるガラス面上にシリコーン残りを発生させないことである。
【0035】
アンカー層の材料としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂は、アクリル変性やウレタン変性したものが好ましく、特アクリルポリオール樹脂が被膜特性の観点から好ましい。
【0036】
また、アンカー層には、その他配合材料として帯電防止剤を添加し帯電防止機能を付与することができる。ノニオン系としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン等を挙げることができる。またエチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物なども使用することができる。導電性高分子としてポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体を使用することができる。金属酸化物としてアンチモンドープ型酸化錫(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン副酸化物などを使用することができる。
【0037】
アンカー層の厚みは0.1~5.0μmの範囲、より好ましくは0.15~3.0μmの範囲である。アンカー層の厚みが0.1μm未満であると、熱架橋されたシリコーン吸着層が基材より離脱し易くなる。さらに帯電防止性能が安定しない。一方前記アンカー層の厚みが5.0μmを超える場合、アンカー層の柔軟性が無くなって硬い層となり、基材への密着性が悪くなる。
【0038】
本発明のホワイトボードシートのアンカー層用塗工液には、前記成分の他、基材への濡れ性を改善するために、塗工液の分散性を阻害しない範囲内において有機溶媒を添加してもよい。また、その他の方法として、付加反応型シリコーン樹脂の架橋反応に対して触媒毒にならない範囲で濡れ性改善剤を添加することができる。また、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤など、この種の組成物に通常添加されるものを本発明の効果が低下しない範囲で加えることができる。
【0039】
(シリコーン吸着層)
ホワイトボードシートのシリコーン吸着層に用いるシリコーンの性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていていることが求められる。そして、シリコーン吸着層の性能としては、表面が被着体表面に追従し、被着体からの剥離の際には小さい剥離力で被着体表面から容易に剥離できることが求められる。また、シリコーン吸着層に用いるシリコーンの加工上の性能としては、少なくとも膜厚10μm以上で、目付け加工の方法を用いることなく塗工及び加熱処理だけで、架橋したシリコーン吸着層を設けられることが求められる。このようなシリコーンとしては、硬化反応に際して150℃以下の低温短時間で深部まで架橋し、透明で耐熱性、圧縮永久歪み特性に優れかつ低粘度で液状タイプのものである付加型液状シリコーン樹脂の使用が好ましい。付加型液状シリコーン樹脂は、白金触媒等のもと、1分子中に2個以上のビニル基などのアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと架橋剤としてSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとのヒドロキシル反応により熱架橋することができる。
【0040】
このようなジオルガノポリシロキサンとしては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン、末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサン、末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種以上を用いると良い。
【0041】
これらのジオルガノポリシロキサンの1形態である、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、下記一般式(化1)で表せられる。
【0042】
【化1】
【0043】
(式中Rは下記有機基、nは整数を表す)
【0044】
【化2】
【0045】
(式中Rは下記有機基、m、nは整数を表す)
【0046】
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で、好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0047】
両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、上記一般式(化1)中のRの一部がビニル基であるジオルガノポリシロキサンである。末端にのみビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンは、上記一般式(化2)で表せられるジオルガノポリシロキサンである。末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ジオルガノポリシロキサンは、上記一般式(化2)中のRの一部がビニル基であるジオルガノポリシロキサンである。
【0048】
(MQレジン)
本発明のシリコーン吸着層を構成するシリコーン組成物は、上記の成分に加え、さらに、M単位(R3SiO1/2:Rはメチル基、フェニル基などの1価の有機基)とQ単位(SiO4・1/2)からなるMQレジンを含有してもよい。MQレジンは非反応性、又は反応性のどちらでもよく、非反応性と反応性の両方を含有してもよい。
【0049】
ここでシリコーン吸着層を構成する組成物の架橋反応に用いる架橋剤は公知のものでよい。架橋剤の例として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることがよい。
【0050】
架橋反応に用いる白金系触媒は公知のものでよく、これには塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩などがあげられる。架橋反応したシリコーン層は、シリコーンゴムのような柔軟性を持ったものとなり、この柔軟性が被着体との密着を容易にさせる。
【0051】
本発明に係るシリコーンの市販品の形状は、無溶剤型、溶剤型、エマルション型があるが、いずれの型も使用できる。なかでも、無溶剤型は、溶剤を使用しないため、安全性、衛生性、大気汚染の面で非常に利点がある。但し、無溶剤型であっても、所望の膜厚を得るために粘度調節のために、必要に応じてトルエン等の有機溶剤を添加することができる。
【0052】
前述のごとく、シリコーン吸着層の性状としては、ゴムのような柔軟性を持っていて被着体への貼着時に被着体の表面の凹凸に追従して密着力を確保することが求められる。シリコーン吸着層の膜厚は、被着体に対するシリコーン吸着層の密着面方向の剪断力を確保するために少なくとも10μm以上、通常は15~50μmが必要となる。10μm未満であると被着体に対するホワイトボードシートの密着力が確保できず、特に長期貼りつけ時には、ホワイトボードシートが被着体から剥がれ易い。
【0053】
アンカー層塗工液、シリコーン吸着層塗工液の塗工方法としては、3本オフセットグラビアコーターや5本ロールコーターに代表される多段ロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、バーコーター、エアナイフコーター等公知の方法が適宜使用される。
【0054】
(セパレーター)
本発明のシリコーン吸着層を保護するために、シリコーン吸着層を覆うセパレーターを設けてもよい。セパレーターは、シリコーン吸着層の表面の汚れや異物付着を防ぐためや、ホワイトボードシートのハンドリングを向上させるための樹脂フィルム製のセパレーターである。セパレーターは、シリコーン吸着層の表面に貼り合わされて使用される。セパレーターとしては、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン、ポリプロピレン等よりなる剥離性の高い樹脂フィルムよりなり、所望により、表面にシリコーン系材料等の剥離剤を塗工したものが使用される。
【実施例
【0055】
本発明を以下の実施例に従って、さらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(筆記層)
(疎水性多官能高分子樹脂の合成)
5リットルの4つ口フラスコにポリブタジエングリコ-ル(日本曹達製、商品名NISSO PB G-3000、数平均分子量2600~3200)を1943重量部、ジラウリン酸ジ-n-ブチル錫を0.2重量部、2,6-ジーターシャリブチル-4-メチルフェノ-ルを0.7重量部入れ、50℃で攪拌しつつ、イソホロンジイソシアネ-ト(住友バイエル社製、商品名デスモジュ-ルI)289重量部を4時間にわたって滴下した。
滴下終了後50℃で攪拌しながら、3時間反応を続行したのち、さらに、50℃で攪拌しつつ、ペンタエリスリトールトリアクリレート388重量部を2時間にわたって滴下し、滴下終了後70℃で攪拌しながら、5時間反応を続行し、ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トA(疎水性多官能高分子樹脂)を得た。
【0056】
(筆記層の形成)
上記で合成したポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレ-トAを用いて、表1の実施例1~11、参考例12、比較例2,3の各ハードコート剤を調整した後、厚さ100μmの透明PETの片面に表1の各ハードコート剤をコーティングし、それぞれ積算光量500mj/cmの紫外線を照射し、塗膜を硬化させて、厚み7μmの筆記層を形成して、実施例1~11、参考例12と比較例2、3の筆記層を作製した。またウレタンアクリレ-トAを用いずに調整した表1の比較例1のハードコート剤を使用して、ハードコート剤以外は実施例1~11、参考例12および比較例2、3と同様の方法で、比較例1の厚み7μmの筆記層を作製した。
【0057】














【表1】
【0058】
表1中の各成分の材料名
※1:A-9550(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学製)とUA-53(ウレタンアクリレートオリゴマ-、新中村化学製)の重量比率1:1配合物
※2:ポリブタジエン骨格を有するウレタンアクリレートA
※3:N-ビニルホルムアミド
※4:アクリロイルモルホリン
※5:フェノキシ基含有アクリレート
※6:イルカギュア184(光開始剤、チバスペシャリティケミカル製)
※7:キシレン
【0059】
(アンカー層)
筆記層を形成した、実施例1~11、参考例12、比較例1~3の各基材の筆記層を形成した面の反対側の面に、下記アンカー層塗工液をグラビアコーターで塗工、乾燥して、厚み3.0μmのアンカー層を形成した。
(アンカー層塗工液)
アクリルポリオール樹脂 20部
(東レファインケミカル製、コータックスLH455、固形分:50%)
ポリチオフェン 27部
(信越ポリマー製、セプルジーダOC-SC100、固形分:3%)
MEK 40部
トルエン 13部
【0060】
(シリコーン吸着層)
前記のアンカー層の上に、23℃50%RHの環境下で、表2に示すシリコーン吸着層塗工液を塗工厚み20μm(乾燥後)で塗工後、オーブンにて150℃、100秒で架橋させて、シリコーン吸着層を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
表2中の各成分の材料名
成分A:分子末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:600,000)/(無溶剤型)
成分B:両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:80,000)/(無溶剤型)
成分C:分子末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:550,000)/(無溶剤型)
成分D:両末端にのみビニル基を有する直鎖状ジオルガノポリシロキサン(重量平均分子量:20,000)/(無溶剤型)
成分E:オルガノハイドロジェンポリシロキサン-ジオルガノシロキサンコポリマー(重量平均分子量:2,000)/(無溶剤型)
成分F:オルガノハイドロジェンポリシロキサン(重量平均分子量:2,000)/(無溶剤型)
成分G:反応性レジン(シラノール基含有シリコーンレジン)(重量平均分子量:10,000)/(無溶剤型)
商品H:信越化学製CAT.PL-56
【0063】
以上の様にして作製したホワイトボードシートについて以下の評価を行った。評価項目および評価基準は以下の通りである。
1.筆記性
各ホワイトボードシートの筆記層面に、評価用のペンを使用して文字を手書きし、1分後の文字を目視評価し、以下の基準で判定した。評価用のペンとしては、アスクル株式会社が販売している「アスクルオリジナルホワイトボードマーカー中字丸芯 黒」を使用した。
◎:インクのはじきやかすれがなく、文字に滲みもない
○:筆記当初ははじきがないが、1分経過後に輪郭部にはじきが確認できる
×:インクがはじかれ筆記できない、又はインクが広がり文字が滲む
2.消去性
また、筆記から約1日後にガーゼで筆記面を弱く2回擦り、擦った後の筆記面を目視評価し、以下の基準で判定した。
◎:インクが完全に拭き取られ残留していない
○:文字の端のみが残留している
×:インクが筆記層面に薄く残留している、又はインクが消去できない
3.全光線透過率
日本電色工業製ヘイズメーターNDH2000を用い、JIS-K7361-1:1997に基づき、測定した。なお、光は筆記層面側から入射させて測定した。
4.ヘイズ
日本電色工業製ヘイズメーターNDH2000を用い、JIS-K7105:1981に基づき、測定した。なお、光は筆記層面側から入射させて測定した。
5.耐スチールウール硬度
スチールウール(#0000)に、250gf/cmの加重をかけ、筆記層上をストロ-ク幅30mmで、14秒間に10往復させた後、筆記層の傷を評価した。評価基準は、下記の通りである。
○:傷跡が全く見えない
△:傷跡が薄く見える
×:傷跡がはっきり見える
6.鉛筆硬度
JIS-K5600-5-4:1999に基づき、筆記層の鉛筆硬度を測定した。
7.シリコーン吸着層の吸着力評価
上記作成したホワイトボードシートを25mm幅にカットし、表面が平滑なアクリル板に筆記層側から、2kgの荷重ロールを2往復させてシリコーン吸着層を貼着し、30分間常温放置した後に、筆記層面から180度方向に毎分1,200mmの速度で引き剥がした際の吸着力を測定した。
評価基準
○:吸着力が15mN/25mm以上。
×:吸着力が15mN/25mm未満。
8.シリコーン吸着層の糊残り評価
上記作成したホワイトボードシートを120mm×55mmにカットし、厚み3mmの透明ソーダ石灰ガラス板に、筆記層側から、2kgの荷重ロールを2往復させてシリコーン吸着層を貼着した後、常温(25℃)で、24時間放置して、評価用のサンプルを作成した。次に貼着したサンプルのガラス面側からカーボンアークを照射強度500W/m、環境温度63℃の条件にて300時間照射した。この300時間照射後のガラス板に貼着したホワイトボードシートをガラス板より手で剥離して、ガラス板上に付着したシリコーン吸着層の有無を下記の基準により目視で評価した。
評価基準
◎:シリコーン吸着層の付着無し。
○:シリコーン吸着層が部分的に付着している。
×:シリコーン吸着層が全面付着している。
評価結果を表3にまとめる。
【0064】
【表3】