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特許7144902折り畳み可能な椅子及び折り畳み可能な机
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】折り畳み可能な椅子及び折り畳み可能な机
(51)【国際特許分類】
   A47C 9/00 20060101AFI20220922BHJP
   A47C 13/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
A47C13/00 B
A47C13/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019557491
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 IB2019053238
(87)【国際公開番号】W WO2019220233
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】62/670,807
(32)【優先日】2018-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519372308
【氏名又は名称】ザイフマン,ヨセフ
(74)【復代理人】
【識別番号】100208292
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 直己
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ザイフマン,ヨセフ
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04046348(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107048774(CN,A)
【文献】国際公開第2017/175242(WO,A1)
【文献】特開2004-057691(JP,A)
【文献】特開平04-228908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 9/00
A47C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な椅子であって、該折り畳み可能な椅子は
シート部と、
シート部から下方へ伸びる入れ子式側壁であって、該入れ子式側壁は、異なる直径の
複数のリングを含み、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられ且つ最小の直径を
有し、及び最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前記
入れ子式側壁は、椅子が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いてい
る或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリングが
シート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリング
の各々は、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックする、ロック構造を備えて
構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁及び
異なる直径のリングに対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子の高さに沿って中心に
配置されたセキュリティーロックであって、ロック構造を固定するように構成される、セ
キュリティーロック
を含み、
前記セキュリティーロックは、前記折り畳み可能な椅子の高さにわたってバネ内に中心
的に配置され、且つ展開位置と収縮位置の両方において前記シート部を前記最下部のリン
グに接続する、可撓性ケーブルを含んでおり、前記最下部のリングは、アクチュエーター
を作動させるユーザーが前記可撓性ケーブルに対する圧力を解放することにより前記セキ
ュリティーロックを解除するように、ユーザーにアクセス可能なアクチュエーターを有し
ている
ことを特徴とする、折り畳み可能な椅子。
【請求項2】
前記アクチュエーターは前記可撓性ケーブルを張るカプラーを動かすように構成され、
或いは、前記アクチュエーターは前記可撓性ケーブルをねじる、ことを特徴とする請求項
1に記載の折り畳み可能な椅子。
【請求項3】
前記展開位置において、前記リングは互いに対してロックされ、これにより折り畳み可
能な椅子の高さを連続的に延ばし、一方で収縮位置において、リングはロックを解除され
、前記椅子部分の下面の方へと折り畳み可能となる、ことを特徴とする請求項1に記載の
折り畳み可能な椅子。
【請求項4】
前記ロック構造は、最上部のリングを除く各リングに関して、ピンが隣接するリング上
で対応する溝に嵌合するように、リングの各々の上にピン及び溝を含む、ことを特徴とす
る請求項1に記載の折り畳み可能な椅子。
【請求項5】
前記溝は前記リングの高さに沿って延び、且つアーチ形のセグメントを含んでおり、こ
こで、前記隣接するリングの前記ピンは、前記溝に沿って前記アーチ形のセグメントの中
と外を摺動するように構成される、ことを特徴とする請求項4に記載の折り畳み可能な椅
子。
【請求項6】
最上部のリングは前記ピンを含むが、スロットを含まない、ことを特徴とする請求項4
に記載の折り畳み可能な椅子。
【請求項7】
前記リングの各々の上にある前記溝はアーチ形のセグメントを含み、前記ピンは前記ア
ーチ形のセグメント中に配置され、2つの隣接するリングを互いに対してロックし、隣接
するリングに対して横方向の第1のリングの回転により、前記ピンは前記アーチ形のセグ
メントから摺動し、第1のリングのロックを解除し、ここで、前記溝に沿った前記ピンの
更なる摺動により第1のリングが折り畳まれる、ことを特徴とする請求項4に記載の折り
畳み可能な椅子。
【請求項8】
前記リングを互いに対して回転させ、それによりロック構造を解除するための作動機構
を更に含んでおり、ここで、前記作動機構は、最上部のリングに連結されたシート部の上
面に回転ディスクを含んでおり、それにより、前記回転ディスクの持ち上げ及び回転動作
は、前記ロック構造を解除するために前記リングを回転させる、ことを特徴とする請求項
1に記載の折り畳み可能な椅子。
【請求項9】
机展開位置と机収納位置とを有する折り畳み可能な机であって、該折り畳み可能な机は

(A)脚体として中心に配置される又は収納用に周辺的に配置される折り畳み可能な
椅子を含む脚体部分
を含んでおり、該脚体部分は、
シート部と、
シート部から下方へ伸びる入れ子式側壁であって、該入れ子式側壁は、異なる直径
の複数のリングを含み、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられ且つ最小の直径
を有し、及び最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前
記入れ子式側壁は、椅子が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いて
いる或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリング
がシート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリン
グの各々は、高さを有し、且つ、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックする
ロック構造を備えて構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁及び
異なる直径のリングに対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子の高さに沿って中心
に配置されたセキュリティーロックであって、ロック構造を固定するように構成される、
セキュリティーロック
を含み及び
前記折り畳み可能な机は、
(B)それ自体で2つのセグメントに折り畳み可能であり、且つ、折り畳み可能な椅
子の展開位置にある折り畳み可能な椅子のシート部を机展開位置において受け入れるため
の少なくとも1つの中央ピンを備えた下面を有している、机部分
を含み、
前記折り畳み可能な机は、バネにより制御され且つ前記脚体部分を固定するように回転可能
である安定化ロックを更に含む、ことを特徴とする、折り畳み可能な机。
【請求項10】
前記下面には、机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子の前記シート
部を受け入れるための少なくとも1つのピンもある、ことを特徴とする請求項9に記載の
折り畳み可能な机。
【請求項11】
バネにより制御され且つ前記脚体部分を固定するように回転可能である安定化ロックを更に
含む、ことを特徴とする請求項10に記載の折り畳み可能な机。
【請求項12】
前記2つのセグメントの各々の下面には、机収納位置において少なくとも1つの折り畳
み可能な椅子の前記シート部を受け入れるための少なくとも1つのピンもある、ことを特
徴とする請求項9に記載の折り畳み可能な机。
【請求項13】
バネにより制御され且つ前記机収納位置において前記少なくとも1つの折り畳み可能な
椅子を固定するように回転可能である安定化ロックを更に含む、ことを特徴とする請求項
12に記載の折り畳み可能な机。
【請求項14】
前記2つのセグメントの各々の下面には、机収納位置において少なくとも1つの折り畳
み可能な椅子の前記シート部を受け入れるための少なくとも1つのピンもある、ことを特
徴とする請求項9に記載の折り畳み可能な机。
【請求項15】
前記2つのセグメントの各々の下面には、机収納位置において2つの折り畳み可能な椅
子の各々の前記シート部を受け入れるための2つのピンを含む、4つのピンもある、こと
を特徴とする請求項9に記載の折り畳み可能な机。
【請求項16】
机展開位置と机収納位置とを有する折り畳み可能な机であって、該折り畳み可能な机は

(A)脚体として中心に配置される又は収納用に周辺的に配置される折り畳み可能な
椅子を含む脚体部分
を含んでおり、該脚体部分は、
シート部
シート部から下方へ延びる入れ子式側壁であって、該入れ子式側壁は、異なる直径
の複数のリングを含み、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられ且つ最小の直径
を有し、及び最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前
記入れ子式側壁は、椅子が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いて
いる或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリング
がシート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリン
グの各々は、高さを有し、且つ、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックする
ロック構造を備えて構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁及び
異なる直径のリングに対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子の高さに沿って中心
に配置されたセキュリティーロックであって、ロック構造を固定するように構成される、
セキュリティーロック
を含み及び
前記折り畳み可能な机は、
(B)それ自体で2つのセグメントに折り畳み可能であり、且つ、折り畳み可能な椅
子の展開位置にある折り畳み可能な椅子のシート部を机展開位置において受け入れるため
の少なくとも1つの中央ピンを備えた下面を有している、机部分
を含み、
前記下面はまた、前記机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子のシー
ト部を受け入れるための少なくとも1つのピンを有している、ことを特徴とする折り畳み
可能な机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野及び背景
本発明は、折り畳み可能な椅子及び折り畳み可能な机に関するものである。
【発明の概要】
【0002】
本発明の1つの態様は折り畳み可能な椅子であって、該折り畳み可能な椅子は、シート部;シート部から下方へ伸びる入れ子式側壁であって、該入れ子式側壁は、異なる直径の複数のリングを含み、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられ且つ最小の直径を有し、及び最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前記入れ子式側壁は、椅子が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いている或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリングがシート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリングの各々は、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックする、ロック構造を備えて構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁;及び異なる直径のリングに対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子の高さに沿って中心に配置されたセキュリティーロックであって、ロック構造を固定するように構成される、セキュリティーロックを含む。
【0003】
本発明の更なる態様は、机展開位置と机収納位置とを有している折り畳み可能な机であり、該折り畳み可能な机は、(A)脚体として中心に配置される又は収納用に周辺的に配置される折り畳み可能な椅子を含む脚体部分を含んでおり、該脚体部分は、シート部;シート部から下方へ伸びる入れ子式側壁であって、該入れ子式側壁は、異なる直径の複数のリングを含み、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられ且つ最小の直径を有し、及び最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前記入れ子式側壁は、椅子が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いている或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリングがシート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリングの各々は、高さを有し、且つ、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックするロック構造を備えて構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁;及び異なる直径のリングに対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子の高さに沿って中心に配置されたセキュリティーロックであって、ロック構造を固定するように構成される、セキュリティーロックを含み;及び前記折り畳み可能な机は、(B)それ自体で2つのセグメントに折り畳み可能であり、且つ、机展開位置にある折り畳み可能な椅子のシート部を机展開位置において受け入れるための少なくともひとつの中央ピンを備えた下面を有している、机部分を含んでいる。
【0004】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の図面、説明、及び請求項を参照してより一層理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な実施形態が添付の図面を参照してほんの一例として本明細書に記載されている。
図1】本発明の一実施形態に従う、展開位置における折り畳み可能な椅子の正面図である。
図2】本発明の一実施形態に従う、セキュリティーロックを示している図1の丸で囲まれた部分の拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に従う、セキュリティーロックのアクセス可能なアクチュエーターを示す、展開位置における折り畳み可能な椅子の端面図及び側面図である。
図4】本発明の一実施形態に従う、解除された状態のセキュリティーロックを示す図3の丸で囲まれた部分の拡大図である。
図5】本発明の一実施形態に従う、展開位置における折り畳み可能な椅子の端面図及び側面図である。
図6】本発明の一実施形態に従う、ロックされた状態のセキュリティーロックを示す図5の丸で囲まれた部分の拡大図である。
図7】Aは、本発明の一実施形態に従う、折り畳み可能な椅子の最上部のリングの平面図である。Bは、本発明の一実施形態に従う、折り畳み可能な椅子の最上部のリングの斜視図である。Cは、本発明の一実施形態に従う、折り畳み可能な椅子の最上部のリングの正面図である。Dは、本発明の一実施形態に従う、折り畳み可能な椅子の最上部のリングの側面図である。
図8A】本発明の一実施形態に従う、鋼帯形状にした折り畳み可能な椅子のリングの平面図である。
図8B】本発明の一実施形態に従う、鋼帯形状にした折り畳み可能な椅子のリングの正面図である。
図8C】本発明の一実施形態に従う、鋼帯形状にした折り畳み可能な椅子のリングの斜視図である。
図8D】本発明の一実施形態に従う、鋼帯形状にした折り畳み可能な椅子のリングの側面図である。
図8E】本発明の一実施形態に従う、ピンと溝の模式図である。
図9】本発明の一実施形態に従う、完全に収縮した位置における、且つハンドルを備えた折り畳み可能な椅子の等角図である。
図10】本発明の実施態様に従う、展開位置における折り畳み可能な椅子の斜視図である。
図11A】本発明の一実施形態に従う、収縮した位置における椅子のケーブルを示す。
図11B】本発明の一実施形態に従う、アクチュエーターに連結されたカプラーによって、その下側部分に圧力がかけられた後のケーブルを示す。
図11C】本発明の一実施形態に従う、更に圧力が加えられた後のケーブルを示す。
図11D】本発明の更なる実施態様に従う、アクチュエーターによりねじられたケーブルを示す。
図12A】本発明の実施態様に従う、下部と側部の角度から見た机の斜視図である。
図12B】本発明の実施態様に従い構成された、上部と側部の角度から見た図12Aの机の斜視図である。
図13】本発明の実施態様に従う、3つの収納された椅子を保持する図12A図12Bの折り畳まれた机の机部分を示す斜視図である。
図14】本発明の実施形態に従う、机と3つの椅子の斜視図である。
図15】本発明の実施態様に従う、ロック位置における3つの収納された椅子を保持する折り畳まれた机の机部分の斜視図である。
図16】本発明の実施態様に従う、解除された位置における3つの収納された椅子を保持する折り畳まれた机の机部分の斜視図である。
図17】本発明の実施態様に従う、折り畳まれた机の机部分、及び収納用の4つの椅子の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、本発明を実行する最良の現在考えられる様式である。詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきでないが、本発明の範囲が添付の請求項によって最良に定義されるため、本発明の一般的な原理を例示する目的でのみなされる。
【0007】
本発明は概して、折り畳み可能な椅子、及び、幾つかの実施形態においては折り畳み可能な机を提供し、該折り畳み可能な机は、椅子がその展開位置にある場合には椅子を脚体として使用し、或いは、収縮位置にある場合には最大4つの折り畳み可能な椅子を収納するよう構成されている。折り畳み可能な椅子の特定の実施態様において、各々の折り畳み可能な椅子は、シート部、及びシート部から下方へ伸びる入れ子式側壁を含んでいる。入れ子式側壁は展開位置と収縮位置で構成され得る。展開位置において、入れ子式側壁は、椅子を所望の高さに設定することができるように完全に開かれ或いは部分的に折り畳まれるように構成され得る。側壁は、各々が異なる直径である複数のリングを含み、且つ、最上部のリングがシート部の底面に取り付けられて最小の直径を有し、一方で最下部のリングが最大の直径を有するように、連続的に配置されている。このように、収縮位置において、リングは互いの内側に連続的に配置され得る。例えば、完全に収縮した位置において、全てのリングが椅子部分の底面に隣接して配置される。幾つかの実施形態において、リングには、隣接するリングに対して選択的に各リングをロックするよう構成されたロック構造が設けられる。このようにして、展開位置において、リングは互いにロックされ、これにより連続的に伸長し、一方で収縮位置において、リングはロックされておらず、これにより椅子のシート部の底面の方へと折り畳むことができる。
【0008】
非限定的な例によれば、ロック構造は、リングの各々に設けられた少なくとも1本のピン、及び隣接するリング上に対応する溝を含んでいる。溝は、リングの高さに沿って伸び、且つアーチ形のセグメントを含んでいる。ピンは、溝に沿って、アーチ形のセグメントの内側へ及び外側から摺動するように構成されている。ピンがアーチ形のセグメントへ配置されると、ピンは2つの隣接したリングを互いに対しロックし、隣接するリングに対して横へとリングを回転させることで、ピンはアーチ形のセグメントから摺動し、リングのロックを解除する。更に溝に沿ってピンを摺動させることで、リングが折り畳まれる。ピンがアーチ形のセグメント中に維持されるよう、各ピンは、スナップカップリング用に構成された上部を備えている。
【0009】
幾つかの実施形態において、椅子には、リングを互いに対して回転させるための作動機構が設けられている。例えば、作動機構は、最上部のリングに連結されたシート部の底面上に回転ディスクを含んでいる。回転ディスクの回転により、リングが回転し、リングのロック又は解除が可能になる。
【0010】
1つの例によれば、リングの各々は一体型ユニットである。リングの1つの非限定的な実装において、リングの一体型ユニットは一体的に連結されたセグメントであり、各セグメントには、隣接するリングの対応するピンへの連結用の溝を設けることができる。
【0011】
本発明は更に、折り畳み可能な机部分と、机用の脚体として取り付けられる折り畳み可能な椅子とを備えた、折り畳み式の机を提供する。机部分は、範囲を定められた区域が間に形成されるように、ヒンジを用いて一方が他方の上に折り畳まれるよう構成された、2つのセグメントを含む。範囲を定められた区域は、収縮位置において折り畳み可能な椅子を収容し且つ収納位置においてそれら最大4つの椅子を保持するように構成された1対のピンで構成される。
【0012】
折り畳み式の机は更に、机部分に、収縮位置の折り畳み可能な椅子である机の脚体をロックする、及び、収納位置における机部分に収納された椅子を保持するためのロック構成を備え得る。
【0013】
折り畳み可能な椅子の原理と操作は、図面と付随する記載とを参照することでより良く理解することができる。
【0014】
図1-11Dに見られるように、一実施形態において、本発明は、シート部(20)、及び、シート部(20)から下方へ伸長する入れ子式側壁(30)を含む、折り畳み可能な椅子(10)である。入れ子式側壁(30)は、最上部のリング(41)がシート部(20)の底面(22)に取り付けられ且つ最小の直径を有し、及び最下部のリング(49)が最大の直径を有するように、連続的に配置することができる。1つの非限定的なオプションにおいて、シート部(20)はクッション又はパッドが付いていてもよい。
【0015】
入れ子式側壁(30)は、完全に収縮された位置においてリング(40)の全てがシート部(20)の下面に隣接して配置されるように完全に開いている、又は部分的に折り畳まれる展開位置を有するように構成されており(図1と10を参照)、リング(40)の各々は、隣接するリング(40)に対して各リング(40)を選択的にロックするロック構成(50)で構成された一体型ユニットである。
【0016】
図1から見られるように、典型的に、シート部(20)は、着座位置にある人を収容するために最上部のリング(41)の直径よりも大きな直径を有する。
【0017】
椅子(10)はまた、異なる直径のリング(40)に対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子(10)の高さ(H)に沿って中心に配置されたセキュリティーロック(60)を備えてもよく、セキュリティーロック(60)はロック構造(50)を固定するように構成される。
【0018】
幾つかの実施形態において、セキュリティーロック(60)は、折り畳み可能な椅子(10)の高さにわたり(幾つかの実施形態において、その高さのほぼ全体にわたり)バネ(63)内に中心的に配置され、且つ、展開位置と収縮位置の両方においてシート部(20)を最下部のリング(49)に接続する、可撓性ケーブル(62)を含んでおり、最下部のリング(49)はユーザーへとアクセス可能なアクチュエーター(64)を有しており、ここでカプラー(66)は、アクチュエーター(64)を作動させるユーザーが、可撓性ケーブル(62)に対し圧力を解放することによりセキュリティーロック(60)を解除するように、ケーブル(62)にアクチュエーター(64)を連結する。椅子(10)の高さは、リング(40)の直径にほぼ垂直な、シート部(20)から最下部のリング(49)におよぶ方向を指す。特定の実施形態において、ケーブル(62)の上部はシート部(20)に接続される。特定の実施形態において、ケーブル(62)はループ、場合によっては閉ループである。一実施形態において、ケーブル(62)は、それに加えられた力が取り除かれた後に元の形状に戻るという意味で、弾性である。
【0019】
図11B-11Cは、アクチュエーター(64)がカプラー(66)を利用してケーブル(62)の中央部分を凹ませて、ケーブル(62)に対する圧力を増加させセキュリティーロック(60)を作動させる一実施形態を示す。逆回転はセキュリティーロック(60)のロックを解除する。
【0020】
図11Dは、アクチュエーター(64)がケーブル(62)の下端に接続され、アクチュエーター(64)の回転がケーブル(62)をねじって短くし、これに対する圧力をもたらすことでケーブル(62)をより堅くし、それによりセキュリティーロック(60)を作動させる、別の実施形態を示す。逆回転はセキュリティーロック(60)のロックを解除する。
【0021】
セキュリティーロック(60)は、その完全に又は部分的に収縮した(部分的に展開した)位置において椅子(10)を安定させ、且つ、その締め付け、ぐらつき、又は破損を妨げる、安定装置でもあることに、留意されたい。
【0022】
図11Aは、椅子(10)が収縮位置にあるとき、ケーブル(62)が椅子(10)のシート部(20)に嵌合する、ケーブル(62)を示す。
【0023】
展開位置(図1図10)において、リング(40)は互いに対してロックされ、これにより折り畳み可能な椅子(10)の高さを連続的に伸ばし、一方で収縮位置(図9)において、リング(40)はロックを解除され、シート部(20)の底面に向かって折り畳み可能となる。
【0024】
一実施形態において、ロック構成(50)は、最上部のリング(41)以外の各リング(40)に関して、ピン(52)(図7A、7B、7C、及び7Dを参照)、及び、リング(40)の各々に溝(54)を含み、これにより、ピン(52)が隣接するリング(40)上の対応する溝(54)に嵌合する。このことは、ピン(52)のみを有しているが、その下のリング(40)にしか隣接していないことから溝(54)を有していない最上部のリング(41)を除いて当てはまる。幾つかの実施形態において、図8B及び図8Cに最もよく見られるように、溝(54)はリング(40)の高さに沿って伸び、アーチ形のセグメント(54A)を含んでおり、ここで、隣接するリング(40)のピン(52)は、溝(54)に沿ってアーチ形のセグメント(54A)の中と外を摺動するように構成される。
【0025】
幾つかの実施形態において、図7A図7B図7C、及び図7Dから見られるように、最上部のリング(41)はピン(52)を含むが、スロット/溝(54)を含まない。
【0026】
ピン(52)は、2つの隣接するリング(40)を互いに対してロックするように、アーチ形のセグメント(54A)中に配置することができ、隣接するリングに対して横方向の第1のリング(40)の回転により、ピン(52)はアーチ形のセグメント(54A)から摺動し、第1のリング(40)のロックを解除し、ここで、溝(54)に沿ってピン(52)が更に摺動することで、第1のリング(40)が折り畳まれる。
【0027】
図9図10に見られるように、ロック構成(50)は、互いに対してリング(40)を回転させ、これによりロック構成(50)を解除するための作動機構(59)を含み得る。非限定的な一例において、作動機構(59)は、回転ディスク(59)の引張及び回転動作によりリング(40)を回転させてロック構成を解除するように、最上部のリング(41)に連結されたシート部(20)の上面に回転ディスク(59)を含む、又は備えている。図9に示されるように、椅子(10)は一体型の携帯ストラップ(99)を含み得る。
【0028】
図12A図12B図13図14図16、及び図17に示される本発明の別の実施形態において、本発明は、机展開位置と、机収納位置とを有する折り畳み可能な机(100)である。折り畳み可能な机(100)は、(A)折り畳み可能な机(100)の脚体として中心的に位置付けられる、或いは、折り畳み可能な机の机部分の下側への収納のために周辺に位置付けられる、折り畳み可能な椅子(10)を含む脚部(10)を含んでいる。
【0029】
各折り畳み可能な椅子(10)は、机(100)の脚部(10)として使用され、或いは、収納された椅子(10)は既に上述した椅子(10)の任意の適切なバージョンであってもよい。非限定的な一例において、各折り畳み可能な椅子(10)は、シート部(20);シート部から下方へ伸びる入れ子式側壁(30)であって、該入れ子式側壁は、異なる直径の複数のリングを含み、最上部のリング(41)がシート部(20)の底面に取り付けられ且つ最小の直径を有し、及び最下部のリング(49)が最大の直径を有するように、連続的に配置されており、前記入れ子式は、椅子(10)が所望の高さに設定され且つロックされるように、完全に開いている或いは部分的に折り畳まれる展開位置と、完全に収縮した位置において全てのリング(40)がシート部の底面に隣接して配置される収縮位置とを有するように構成され、ここでリングの各々は、高さを有し、且つ、隣接するリング(40)に対して選択的に各リング(40)をロックするロック構造を備えて構成された一体型ユニットである、入れ子式側壁;及び異なる直径のリング(40)に対しほぼ垂直である折り畳み可能な椅子(10)の高さに沿って中心に配置されたセキュリティーロック(60)であって、ロック構造を固定するように構成される、セキュリティーロック(60)を含み得る。
【0030】
折り畳み可能な机(100)は更に、それ自体で2つのセグメントに折り畳み可能であり、且つ、折り畳み可能な椅子(10)の展開位置にある折り畳み可能な椅子のシート部を机展開位置において受け入れるための少なくともひとつの中央ピン(120)を備えた下面を有している、机部分(110)を含み得る。
【0031】
図12A、更には図17に示される1つの非限定的な実装において、机部分(110)は、机部分(110)の各セグメント(112)(114)(共に、机部分(110)の下側部を備えている)の下側にある2つの中央ピン(120)の他、第1の完全に収縮された椅子(10)及び第2の完全に収縮された椅子(10)を受け入れるための2対の周辺ピン(130)(中央ピン(120)よりも周辺的に位置していることから「周辺」と呼ばれる)を有している。
【0032】
中央ピン(120)及び周辺ピン(130)は、バネにより制御され、且つ、脚部として機能する展開した椅子を固定する、或いは机(100)により収納される収縮された椅子(10)を固定するように回転可能である、ピンに取り付けられた安定化ロック(140)を有している。図12Aに見られる1つの実装において、安定化ロック(140)は、中央ピン(120)上に据え付けられ且つ脚部(10)に対して旋回する、アーチ形の回転可能部分を有している。同様に、図13及び図15に見られるように、安定化ロック(140)は、周辺ピン(130)上に据え付けられ、収縮された椅子(10)を遮断するために図16のその位置から旋回する。
【0033】
図14は、机(100)の脚部(10)として機能する椅子(10)を示し、且つ、机(100)の周りに座る人用に使用可能な3つの椅子(10)も図示する。ユーザーが椅子及び机(100)を使用し終えると、机(100)の脚部として示されるこれら3つの椅子及び4つの椅子は、机部分(110)が2つのセグメント(112)(114)へと折り畳まれる前後に、机部分(110)の下側に収納され得る。
【0034】
従って、幾つかの実施形態において、机部分(110)の下側はまた、机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子のシート部を受け入れるための少なくとも1つの中央ピン(120)を有している。幾つかの実施形態において、机(100)は、(バネ収容部(141)内の)バネにより制御され、且つ脚部を固定するように回転可能である、安定化ロック(140)を含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、2つのセグメント(112)(114)の各々の下面はまた、机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子(10)のシート部を受け入れるための少なくとも1つのピン、例えば少なくとも1つの周辺ピンを有している。幾つかの実施形態において、机(100)はまた、バネにより制御され、且つ机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子を固定するように回転可能である、更なる安定化ロック(140)を有している。1つのバージョンにおいて、2つのセグメント(112)(114)の各々の下面はまた、机収納位置において少なくとも1つの折り畳み可能な椅子(10)のシート部を受け入れるための少なくとも1つのピン、例えば少なくとも1つの周辺ピン(130)を有している。2つのセグメントの各々の下側は、机収納位置において2つの折り畳み可能な椅子の各々のシート部を受け入れるためのピンの対を含む、2対のピンを有し得る。
【0036】
本発明は限られた数の実施形態に関して記載されてきたが、多くの変形、修正、及び本発明の他の用途が行われ得ることが認識されるであろう。それ故、以下の特許請求の範囲内に挙げられる、請求された発明は、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
図1-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17