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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】回転体情報取得システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
E21D9/087 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019078065
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020176407
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】竹中 計行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-036498(JP,A)
【文献】特開2013-224528(JP,A)
【文献】特表2017-511436(JP,A)
【文献】特開2015-124468(JP,A)
【文献】特開平09-291785(JP,A)
【文献】特開2016-044431(JP,A)
【文献】特開2002-213181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、
前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、
前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、
前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、
前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、
前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、
前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、
前記回転体の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられた前記無線発信機と前記アンテナとの接近を検出する接近検出部と、を備え、
前記情報処理装置は、前記接近検出部で前記接近を検出したときに、前記無線通信機に、給電用の電波を送信させると共に、この電波の送信に応じて前記無線発信機から送信された前記回転体情報を受信させる制御を行う回転体情報取得システム。
【請求項2】
地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、
前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、
前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、
前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、
前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、
前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、
前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、を備え
前記掘削機はシールドマシンであり、
前記検出器は、掘進方向の軸力を検出する軸力検出器、温度を検出する温度検出器、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器のうち少なくとも1つを含む回転体情報取得システム。
【請求項3】
前記回転体の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられた前記無線発信機と前記アンテナとの接近を検出する接近検出部を更に備え、
前記情報処理装置は、前記接近検出部で前記接近を検出したときに、前記無線通信機に、給電用の電波を送信させると共に、この電波の送信に応じて前記無線発信機から送信された前記回転体情報を受信させる制御を行う請求項に記載の回転体情報取得システム。
【請求項4】
前記アンテナは、チャンバー内の前記本体側の上部に取り付けられている請求項2又は3に記載の回転体情報取得システム。
【請求項5】
前記シールドマシンは、泥土圧式のシールドマシンであり、
前記無線発信機は、前記回転体の背面側であって且つ前記回転体の回転によって前記本体側の上部に取り付けられた前記アンテナと対向可能な位置に取り付けられており、
前記本体側の上部の前記アンテナとは異なる位置であって且つ前記回転体の回転によって前記無線発信機と対向可能な位置に取り付けられた、少なくとも自身と前記無線発信機との間に介在する介在物を除去する除去装置を備える請求項4に記載の回転体情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機の掘削用の回転体に係る情報を取得する回転体情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカッターヘッド等の掘削用の回転体の回転によって地盤中を掘削する掘削機がトンネルの施工に用いられている。このような掘削機としては、土砂等の比較的軟弱な地盤中を掘削するシールドマシンや、岩盤等の比較的硬質の地盤中を掘削するTBM(Tunnel Boring Machine)などが知られている。これらの掘削機は、円周状又は放射状に設置されたビットと呼ばれる刃によって土や岩盤を削りながら掘進していく。そのため、ビット等の回転体を構成する部品の摩耗が激しく、トンネル施工中に何度も部品交換をする必要がある。そのため、部品の交換時期や状況を把握するために、ビット摩耗量などの回転体の状態に係る情報を取得する装置が考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ビットの摩耗量を検出し、検出した摩耗量の情報を含む信号を、超音波によってチャンバー内の泥水中を介して伝搬させて本体側に送り、本体側でこの信号を受信するビット摩耗検知装置が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、カッターヘッドに設置された複数個のセンサで検出されたデータを、変換装置によってシリアル通信で本体側の回転接続装置に伝送する構成のデータ転送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-224528号公報
【文献】特開2017-101388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のビット摩耗検知装置は、泥土圧式のシールド工法の1つである気泡シールド工法に適用した場合に、この工法では加泥材として気泡を用いるため、チャンバー内にはシェービングクリーム状の気泡が注入される。そのため、超音波による信号の送信時に、気泡に対して超音波が反射し信号が伝搬しにくくなり、正常な通信を行えないという問題がある。また、上記特許文献2に記載のデータ転送装置は、スリップリングを介して回転体側の情報を本体側へと送るように構成されているため、センサの数が多くなると引き出し配線も多くなり、スリップリングが大型化するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、回転体側で検出した回転体の状態に係る情報を、本体側でより好適に取得することの可能な回転体情報取得システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、前記回転体の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられた前記無線発信機と前記アンテナとの接近を検出する接近検出部と、を備え、前記情報処理装置は、前記接近検出部で前記接近を検出したときに、前記無線通信機に、給電用の電波を送信させると共に、この電波の送信に応じて前記無線発信機から送信された前記回転体情報を受信させる制御を行う
また、本発明の他の態様によれば、地盤中を掘削用の回転体の回転によって掘削できる掘削機の、前記回転体の状態に係る情報である回転体情報を取得する回転体情報取得システムであって、前記掘削機は、前記回転体と、該回転体の後方に位置して前記回転体を駆動する本体とを備えており、前記回転体に取り付けられ、前記回転体情報を検出する検出器と、前記回転体の背面側に取り付けられていると共に前記検出器に接続されている電波式の無線発信機と、前記回転体の回転によって移動する前記無線発信機と近接可能な位置であって且つ前記回転体の背面と対向する前記本体の表面位置に取り付けられたアンテナと、前記本体に取り付けられ、前記アンテナを介して前記無線発信機から無線送信された前記回転体情報を受信する無線通信機と、前記無線通信機で受信した前記回転体情報を処理する情報処理装置と、を備え、前記掘削機はシールドマシンであり、前記検出器は、掘進方向の軸力を検出する軸力検出器、温度を検出する温度検出器、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器のうち少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電波式の無線発信機を用いて回転体と本体との間で電波による無線通信を行うようにしたので、気泡中も信号を正常に伝搬させることが可能となり、且つ、センサを増やしても配線の増加が無いため受信側の装置の大型化を防ぐことが可能となる。その結果、回転体側で検出した回転体の状態に係る情報を、本体側でより好適に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転体情報取得システムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。
図3】(a)は、図2のA矢視図であり、(b)は、図2のB-B線断面図である。
図4】RFIDタグ10及びアンテナ30の防護形態の一例を示す図である。
図5】検出器20の防護形態の一例を示す図である。
図6】第1実施形態に係る回転体情報取得処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。
図8】左図は、図7のC矢視図の一部を示す図であり、右図は、図7のD-D線部分断面図である。
図9】第2実施形態の変形例に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。
図10】(a)及び(b)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の構成例と、この除去装置とRFIDタグとアンテナとの配置構成の一例とを示す図である。
図11】(a)~(c)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の動作を説明するための模式的な断面図である。
図12】第3実施形態に係るTBMの内部を側面方向からみた略式構成図である。
図13】(a)は、図10のE矢視図であり、(b)は、図10のF-F線断面図である。
図14】回転体情報取得システムの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、部材ないし部分の縦横の寸法や縮尺は実際のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法や縮尺は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る回転体情報取得システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、回転体情報取得システム1は、検出装置2と、アンテナ装置3と、リーダライタ40と、情報処理装置50と、回転位置検出装置60とを備える。
検出装置2は、n個(nは1以上の自然数)のRFID(Radio Frequency Identification)タグ10_1~10_nと、n個の検出器20_1~20_nとを備え、アンテナ装置3は、m個(mは1以上の自然数)のアンテナ30_1~30_mを備える。なお、「n≧m」の関係となる。
以下、区別する必要が無い場合に、RFIDタグ10_1~10_nを「RFIDタグ10」と称し、検出器20_1~20_nを「検出器20」と称し、アンテナ30_1~30_mを「アンテナ30」と称する。
【0012】
RFIDタグ10は、例えばシールドマシンやTBMのカッターヘッド(面板ともいう)等の掘削機の掘削用の回転体の背面に取り付けられる。実施形態に係るRFIDタグ10は、バッテリーを有さないパッシブ型のRFIDタグから構成されている。即ち、このRFIDタグ10は、図示省略するが、アンテナと、受信回路と、送信回路と、整流回路と、メモリとを含んで構成されている。RFIDタグ10は、本体側のアンテナ30から放射された電波を、アンテナを介して受信し、整流回路にて、受信した電波から駆動電力(直流電力)を生成する。そして、生成した駆動電力にて各回路を駆動し、受信回路にて、受信した電波を復調して電波に含まれるコマンドを抽出し、送信回路にて、抽出したコマンドに応じた応答信号を反射電波としてアンテナを介して出力する。
【0013】
具体的に、RFIDタグ10は、抽出したコマンドが、RFIDタグ10のデータを読み出すコマンドである場合は、送信回路にて、メモリに記憶されたデータに基づき搬送波を変調して応答信号を生成し、生成した応答信号を、アンテナを介して出力する。なお、メモリに記憶されたデータには、検出器20で検出された検出データ、RFIDタグ10の識別データ等が含まれている。
また、RFIDタグ10は、電気ケーブル10cを介して、生成した駆動電力を検出器20に供給して検出器20を駆動し、駆動した検出器20から検出情報を取得するように構成されている。
【0014】
検出器20は、掘削用の回転体における例えばビット等の検出対象の構成部品の近傍に取り付けられ、RFIDタグ10に電気ケーブル10cを介して接続される。検出器20としては、例えば、回転体の掘進方向の軸力を検出する軸力検出器(例えば、歪計、圧力計等)と、温度を検出する温度検出器(例えば、温度計等)とが挙げられる。加えて、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器(例えば、ビットと共に削られる抵抗体を有するもの等)と、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器(例えば、磁気センサ等)とが挙げられる。なお、検出器20は、これらに限定されず、回転体の状態に係る情報(回転体情報)を検出可能なものであれば、例えば、異常振動を検出する検出器(例えば、加速度計)等の他の検出器であってもよい。
【0015】
アンテナ30は、回転体の回転に伴って移動するRFIDタグ10と近接可能な位置であって且つ回転体の背面と対向する掘削機本体の表面位置に取り付けられる。アンテナ30は、電気ケーブル30cを介してリーダライタ40に接続されている。なお、近接可能な位置とは、回転体が特定の回転位置に回転したときにRFIDタグ10とアンテナ30とが信号(電波)を送受信可能に近接する位置となる。
アンテナ30としては、例えば、コイル状のループアンテナや、ダイポールアンテナなどが挙げられる。実施形態のアンテナ30は、ダイポールアンテナから構成されている。ここで、ダイポールアンテナは、ループアンテナと比較して、指向性が高く通信距離の長さで有利である。また、実施形態のRFIDタグ10のアンテナもダイポールアンテナから構成する。
【0016】
リーダライタ40は、図示省略するが、RFIDタグ10に対して電力を供給すると共にコマンドを送信するための電波を、アンテナ30を介して放射する発信部と、RFIDタグ10からの反射電波を受信し、それを増幅する増幅部とを備えている。実施形態の発信部は、回転体の回転によってアンテナ30に近接したRFIDタグ10に届く範囲(例えば1~5[m])に電波を放射するように構成されている。
即ち、本実施形態のRFIDタグ10は、リーダライタ40からの電波によって動作可能となっている。逆に、RFIDタグ10の近傍にアンテナ30が無い場合は、電波を受信できないため駆動電力を得られず動作できない。
【0017】
ここで、RFIDタグ10とリーダライタ40との間の電波の伝達方式として、例えば、UHF帯(900[MHz]帯の極超短波)や2.45[GHz]のマイクロ波などを用いる電波式のものと、電磁誘導現象を利用した電磁誘導式のものとがある。一般に、電波式の通信可能距離は、約0~5[m]であり、電磁誘導式の通信可能距離は、約0~1[m]である。実施形態では、電波式を採用し、また電波を泥水中に伝搬させることを考慮して、UHF帯(例えば、920[MHz])の電波にて通信を行う構成とする。
【0018】
情報処理装置50は、例えばPC(Personal Computer)等の情報処理機器から構成されており、回転位置検出装置60からの回転体の回転位置情報に基づき、リーダライタ40の動作を制御する。加えて、リーダライタ40から受信した検出器20の検出情報を処理する。ここで、実施形態では、各アンテナ30の設置位置と各RFIDタグ10の設置位置とが回転体の回転角度(機械角度)に対応付けられている。これにより、例えば、回転体の回転角度がα[°]のときは、アンテナ30_1とRFIDタグ10_1とが接近している状態であり、β[°]のときは、アンテナ30_1とRFIDタグ10_2とが接近している状態であると判定することが可能となる。
【0019】
情報処理装置50は、アンテナ30とRFIDタグ10とが接近している状態であると判定したときに、リーダライタ40に対して、給電用で且つ読出し用コマンドの送信用の電波の放射を指示する。以下、この電波を、「給電読出用電波」と称す。
回転位置検出装置60は、回転体に取り付けられる。回転位置検出装置60は、回転体の回転角度(例えば機械角度)を検出する検出器を備えている。具体的に、回転位置検出装置60は、例えば、レゾルバ、ホールセンサ、ロータリーエンコーダー等を含んで構成される。
【0020】
[第1実施形態]
次に、上記回転体情報取得システム1を回転体側に撹拌翼を備えた泥土圧式のシールドマシンに適用した第1実施形態を説明する。ここで、図2は、第1実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図2では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。また、図3(a)は、図2のA矢視図であり、(b)は、図2のB-B線断面図である。
【0021】
[構成]
図2に示すように、第1実施形態に係るシールドマシン100は、掘削機本体110と、掘削機本体110の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド120とを備える。掘削機本体110は、円筒状の外殻部111と、この外殻部111の内側に設けられた、排土装置112と、油圧モータ113とを備えている。
外殻部111は、前方(掘進方向)のカッターヘッド120側の端部に設けられた隔壁部111aと、隔壁部111aの外縁部から前方に突出して設けられた円筒状のフード部111bとを有している。隔壁部111a及びフード部111bとカッターヘッド120の背面部とで囲まれた内側にはチャンバー115が形成されている。隔壁部111aの中央には、回転支軸114の一端部が固定されており、回転支軸114の他端部は、チャンバー115を通じてカッターヘッド120の中央部に軸受を介して取り付けられている。
【0022】
排土装置112は、例えばスクリューコンベアを含んで構成されており、チャンバー115内の泥土を取り込んで地上に送るための装置である。
油圧モータ113は、カッターヘッド120に回転駆動力を付与する油圧式のモータである。油圧モータ113の回転軸は、歯車を介して、カッターヘッド120の回転用の大型の歯車に接続されており、油圧モータ113の回転駆動力により大型の歯車が回転駆動すると、この回転に伴って大型の歯車に接続されたカッターヘッド120が回転支軸114回りに回転する。
【0023】
また、図2及び図3(b)に示すように、油圧モータ113のチャンバー115内の部分のカッターヘッド120の背面と対向する面には、アンテナ30_1が取り付けられている。第1実施形態では、アンテナ装置3は、アンテナ30_1の単一の構成となっている。
また、図2に示すように、油圧モータ113の筐体の、外殻部111内の掘削機本体110側の部分の下部には、リーダライタ40が取り付けられている。また、リーダライタ40は、電気ケーブル40cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。なお、リーダライタ40への電源供給は、第1実施形態では、図示省略するが、電源ケーブルを介して外部の電源装置から供給している。また、アンテナ30_1への電源供給は、電気ケーブル30cを介してリーダライタ40から行われている。
また、カッターヘッド120の回転支軸114との接続部には、回転位置検出装置60が取り付けられている。回転位置検出装置60は、カッターヘッド120の回転位置情報を検出して、検出した回転位置情報を、電気ケーブル60cを介して情報処理装置50に送信する。
【0024】
一方、カッターヘッド120は、図2及び図3(a)に示すように、円環状のフレーム部121と、フレーム部121から内側の開口部を渡って平面視で略十字状に懸架して設けられたビット形成用のフレームであるビットフレーム123とを備える。加えて、ビットフレーム123の略十字状の中心部に掘進方向に突出して設けられたセンタービット122を備える。以下、センタービット122を境に、センタービット122の外周部からフレーム部121へと伸びる4本のビットフレーム部を、ビットフレーム部123A、123B、123C及び123Dと称す。
【0025】
ビットフレーム部123Aには、その幅方向の両端部に、幅方向に相対向する3対のビット124が長手方向に沿って所定間隔を空けて設けられている。また、ビットフレーム部123Aの長手方向のややセンタービット122寄りの位置に検出器20_1が取り付けられている。同様に、ビットフレーム部123Bには、その幅方向に相対向する2対のビット124が長手方向に沿って所定間隔を空けて設けられており、長手方向のセンタービット122寄りの位置に検出器20_2が取り付けられている。同様に、ビットフレーム部123Cには、その幅方向に相対向する3対のビット124が長手方向に沿って所定間隔を空けて設けられており、長手方向のフレーム部121側の端部位置に検出器20_3が取り付けられている。同様に、ビットフレーム部123Dには、その幅方向に相対向する3対のビット124が長手方向に所定間隔を空けて設けられており、長手方向のややフレーム部121寄りの位置に検出器20_4が取り付けられている。
【0026】
カッターヘッド120は、更に、背面側に掘削機本体110の隔壁部111a側に向かって突出して設けられた複数の撹拌翼126を備える。そして、ビットフレーム部123の検出器20の取付位置近傍の背面側にRFIDタグ10が取り付けられている。なお、背面側に撹拌翼126がある場合は、撹拌翼126の先端部にRFIDタグ10が取り付けられ、一方、撹拌翼126が無い場合は、ビットフレーム部123の背面にRFIDタグ10が取り付けられる。第1実施形態では、このようにして、RFIDタグ10_1~10_4が取り付けられている。
【0027】
[施工手順について]
次に、シールドマシン100によるトンネル施工手順の一例を説明する。
第1実施形態に係るシールドマシン100は、掘削面(切羽)の土砂をカッターヘッド120で切削し、切削した土砂をチャンバー115内に取り込む。更に、この取り込んだ土砂に対して加泥材を注入して撹拌翼126で練り混ぜて、塑性流動性と不透水性を持つ泥土に変換する。この泥土をチャンバー115と排土装置112の送土管内に充満させ、推進ジャッキの推力により泥土圧を発生させる。この圧力で地下水圧と土圧に対抗し切羽の安定を図る。そして、この安定状態を保ちながら、掘削、排土、掘進、トンネル壁の組立を繰り返し行っていく。隔壁部111aに取り付けた土圧計(図示略)により泥土圧を常時測定し、掘進時は、圧力が「泥土圧=土圧(静止土圧)+水圧」となるように掘進速度とスクリューコンベアの回転速度を制御する。また、トンネル壁の組立は、掘削箇所の崩落を防止するために行われ、シールドマシン100の後部(テール部)にて、図2に示すように、セグメント130をトンネル形状に合わせて筒状に組み立てることで行われる。
【0028】
[RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態]
次に、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態の一例を説明する。
図4は、RFIDタグ10及びアンテナ30の防護形態の一例を示す図である。また、図5は、検出器20の防護形態の一例を示す図である。
アンテナ30は、図4の右図に示すように、カッターヘッド120の背面と対面する位置に取り付けられている。具体的に、第1実施形態では、撹拌翼126が通るチャンバー115内の他の構成部が何も無い隔壁部111a側の取付箇所に設けられた凹部113dの内側にアンテナ30の全体が配置され、その状態の凹部113d内に固化体70の固化前の材料(例えば、熱硬化性の材料)が充填される。これにより、図4の右図に示すように、アンテナ30は、取付箇所の表面からチャンバー115内へと出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部113dの底部には、ケーブル引き出し用の孔113hが設けられており、この孔113h内を通って電気ケーブル30cがリーダライタ40側へと引き出されている。同様に、カッターヘッド120側(図4の例では撹拌翼126の先端部)に取り付けられたRFIDタグ10も、撹拌翼126の先端部に設けられた凹部126dの内側にRFIDタグ10の全体が配置され、その状態の凹部126d内に固化体70の固化前の材料が充填される。これにより、図4の左図に示すように、RFIDタグ10は、先端部の表面からチャンバー115内へと出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部126dの底部には、ケーブル引き出し用の孔126hが設けられ、この孔126h内を通って電気ケーブル10cが検出器20側へと引き出されている。更に、第1実施形態では、図5に示すように、検出器20も、ビットフレーム123の取付部に設けられた凹部123dの内側に全体が配置され、その状態の凹部123d内に固化体70の固化前の材料が充填される。これにより、図5に示すように、検出部20は、ビットフレーム123の表面から出っ張ることなく、露出部を含む全体が固化体70によって覆われた状態となる。また、凹部126dの底部には、ケーブル引き込み用の孔123hが設けられ、この孔123h内を通って電気ケーブル10cが検出器20側へと引き込まれている。ここで、固化体70は、水分が少なく且つ電磁波の減衰が少ない物質から構成されている。例えば、エポキシなどの樹脂から構成されている。
【0029】
即ち、カッターヘッド120やチャンバー115内は泥土にさらされるため、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30も泥土にさらされる。特に、チャンバー115内は撹拌翼126によって泥土が撹拌されるため、RFIDタグ10及びアンテナ30を剥き出しで設置すると、すぐに破損してしまう。そこで、第1実施形態では、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30をその取付部の内側に埋め込み、固化体70によって露出部分を被覆して、泥土から防護している。
【0030】
[回転体情報取得処理]
次に、情報処理装置50で実行される回転体情報取得処理の処理手順を説明する。
図6は、第1実施形態に係る回転体情報取得処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。ここで、回転体情報取得処理は、所定周期で繰り返し行われる処理である。
情報処理装置50のCPUにて回転体情報取得処理が開始されると、まず、図6に示すように、ステップS100に移行する。
【0031】
ステップS100では、情報処理装置50において、回転位置検出装置60からカッターヘッド120の回転位置情報を取得する。その後、ステップS102に移行する。ここで、情報処理装置50は、回転位置情報として、カッターヘッド120の回転支軸114回りの回転角度(機械角度)の情報を取得する。なお、回転位置検出装置60から、回転位置情報として、機械角度の情報を直接取得する構成に限らず、電気角度の情報を取得して、情報処理装置50側で取得した電気角度に基づき機械角度を算出する構成としてもよい。または、油圧モータの回転軸に回転位置検出装置60を設け、油圧モータの回転軸の回転角度情報を取得し、この回転角度から計算によりカッターヘッド120の回転角度を取得する構成としてもよい。
【0032】
ステップS102では、情報処理装置50において、ステップS100で取得した回転位置情報に基づき、アンテナ30_1がRFIDタグ10_1~10_4のうちのいずれか1つの取付位置の近傍にあるか否かを判定する。そして、近傍にあると判定した場合(Yes)は、ステップS104に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0033】
ここで、第1実施形態では、RFIDタグ10_1~10_4と、アンテナ30_1との取付位置は、カッターヘッド120の回転角度(機械角度)と対応付けられている。第1実施形態では、例えば、カッターヘッド120の機械角度がα[°]のときに、RFIDタグ10_1とアンテナ30_1とが近接する位置関係となり、機械角度がβ[°]のときに、RFIDタグ10_2とアンテナ30_1とが近接する位置関係となるといった情報(データテーブル)が、予め情報処理装置50の有する記憶装置(図示略)に記憶されている。従って、情報処理装置50は、この情報に基づき、取得した機械角度とデータテーブルの機械角度とを比較し、両者が一致したときに、RFIDタグ10とアンテナ30とが近接していると判定する。一方、両者が不一致のときに、近接していないと判定する。
【0034】
ステップS104に移行した場合は、情報処理装置50において、リーダライタ40に情報取得指示信号を送信して、ステップS106に移行する。
ステップS106では、情報処理装置50において、リーダライタ40からの検出情報及び識別情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
ステップS108に移行した場合は、情報処理装置50において、ステップS106で受信した検出情報を同じく受信した識別情報に対応付けて記憶装置に記憶する。その後、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0035】
[動作]
次に、第1実施形態に係る回転体情報取得システム1の動作例を説明する。
リーダライタ40、情報処理装置50及び回転位置検出装置60に電源が投入されると、情報処理装置50のCPUにて回転体情報取得処理が実行される。
その後、シールドマシン100による掘削作業が開始されたとする。掘削作業が開始されると油圧モータ113が駆動し、大型の歯車が回転駆動する。これにより、カッターヘッド120が回転して、掘削面の土砂が切削される。
情報処理装置50は、所定周期で回転位置検出装置60からの回転位置情報を取得し(ステップS100)、取得した回転位置情報(機械角情報)と、記憶装置に記憶されたデータテーブルの機械角情報とを比較する(ステップS102)。そして、両者が一致したと判定したときに(ステップS102のYes)、情報取得指示信号をリーダライタ40に送信する(ステップS104)。
【0036】
リーダライタ40は、情報処理装置50からの情報取得指示信号を受信したことに応じて、アンテナ30_1から、給電読出用電波を放射する。現在、掘削作業中であるため、電波はチャンバー115内の土砂に向かって放射される。
一方、RFIDタグ10_1~10_4のうちアンテナ30_1と近接状態にあるいずれか1つは、アンテナ30_1から放射された電波を受信したことに応じて駆動用の電力を生成する。この駆動用電力によって自身の各回路を駆動すると共に、生成した駆動電力を、検出器20_1~20_4のうち自身に接続された検出器20に供給する。
この検出器20は、RFIDタグ10からの駆動電力によって駆動し、自身の有する検出機能に応じた回転体情報を検出する。例えば、温度検出器であれば、回転体情報として温度を検出する。この検出された回転体情報は、電気ケーブル10cを介してRFIDタグ10に送られ、RFIDタグ10にてそのメモリに記憶される。
【0037】
また、RFIDタグ10は、受信した電波に含まれた読出し用コマンドに応じて、メモリに記憶された回転体情報と自身の識別情報とを読み出し、読み出した情報を含む電波を、アンテナを介して放射する。この放射された電波は、チャンバー115内の土砂内を伝搬してアンテナ30_1にて受信される。
リーダライタ40は、アンテナ30_1を介して受信した電波から検出情報及び識別情報を抽出し、抽出した検出情報及び識別情報を、電気ケーブル40cを介して情報処理装置50に送信する。
【0038】
情報処理装置50は、リーダライタ40から送信された検出情報及び識別情報を受信すると(ステップS106のYes)、受信した検出情報を同じく受信した識別情報に対応付けて記憶装置に記憶する(ステップS108)。
回転体情報取得システム1は、上記一連の動作を繰り返し行うことで、カッターヘッド120のビット摩耗量、掘進方向の軸力、温度等の回転体情報を取得する。
ここで、カッターヘッド120が掘削用の回転体に対応し、シールドマシン100が掘削機に対応し、RFIDタグ10が電波式の無線発信機に対応し、リーダライタ40が無線通信機に対応し、情報処理装置50(ステップS100~S102の処理部)が接近検出部に対応する。
【0039】
[第1実施形態の作用及び効果]
第1実施形態に係る回転体情報取得システム1は、地盤中をカッターヘッド120の回転によって掘削できるシールドマシン100の、カッターヘッド120の状態に係る情報である回転体情報を取得するシステムである。この回転体情報取得システム1は、回転体情報を検出する検出器20がカッターヘッド120に取り付けられ、RFIDタグ10がカッターヘッド120の背面に取り付けられていると共に検出器20に接続されている。加えて、アンテナ30がカッターヘッド120の回転によって移動するRFIDタグ10と近接可能な位置であって且つカッターヘッド120の背面と対向する掘削機本体110の表面位置に取り付けられている。更に、リーダライタ40が、掘削機本体110に取り付けられ、アンテナ30を介してRFIDタグ10から無線送信された回転体情報を受信する。なお更に、情報処理装置50が、リーダライタ40で受信した回転体情報を処理する。
【0040】
この構成であれば、回転体であるカッターヘッド120側に取り付けられたRFIDタグ10と、掘削機本体110側に取り付けられたアンテナ30との間で電波による回転体情報の無線通信処理を行うことが可能となる。これにより、気泡中も信号を正常に伝搬させることが可能となり、且つ、検出器20を増やしても配線の増加が無いため受信側の装置の大型化を防ぐことが可能となる。その結果、回転体側で検出した回転体情報を、本体側でより好適に取得することが可能となる。
【0041】
また、第1実施形態に係る回転体情報取得システム1は、更に、リーダライタ40が、アンテナ30を介して給電読出用電波を送信するように構成されており、RFIDタグ10が、給電読出用電波を受信して自身と検出器20の駆動用電力を生成するように構成されている。
この構成であれば、検出装置2(RFIDタグ10及び検出器20)側に電源が不要となるので、検出装置2のコンパクト化が可能になると共に、定期的なバッテリーの充電やRFIDタグ10の定期交換等の手間を不要とすることが可能となる。
【0042】
また、第1実施形態に係る回転体情報取得システム1は、更に、情報処理装置50が、回転位置検出装置60で検出した回転位置情報に基づき、カッターヘッド120の回転中心から径方向に離れた位置に取り付けられたRFIDタグ10とアンテナ30との接近を検出する。加えて、接近を検出したときに、リーダライタ40に、給電読出用電波を送信させると共に、この電波の送信に応じてRFIDタグ10から無線送信された回転体情報を受信させる制御を行う。
この構成であれば、アンテナ30とRFIDタグ10とが接近したときだけ、アンテナ30から電波を放射すればよいので、アンテナ30から常に電波を放射する構成と比較して消費電力を低減することが可能となる。
【0043】
また、第1実施形態に係る回転体情報取得システム1は、更に、検出器20が、掘進方向の軸力を検出する軸力検出器、温度を検出する温度検出器、ビットの摩耗を検出するビット摩耗検出器、ビットの回転情報を検出する回転情報検出器のうち少なくとも1つを含む。
この構成であれば、シールドマシン100のカッターヘッド120の掘進方向の軸力、温度、ビット摩耗、ビット回転情報の少なくとも1つを検出することが可能であり、この検出情報を、RFIDタグ10を介して電波によって無線送信することが可能となる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、上記回転体情報取得システム1を、固定翼を備えた泥土圧式のシールドマシンに適用した第2実施形態を説明する。ここで、図7は、第2実施形態に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図7では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。また、図8の左図は、図7のC矢視図の一部を示す図であり、図8の右図は、図7のD-D線部分断面図である。
【0045】
[構成]
図7に示すように、第2実施形態に係るシールドマシン200は、掘削機本体210と、掘削機本体210の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド220とを備える。掘削機本体210は、円筒状の外殻部211と、この外殻部211の内側に設けられた、排土装置212と、油圧モータ213とを備えている。
外殻部211は、前方(掘進方向)のカッターヘッド220側の端部に設けられた隔壁部211aと、隔壁部211aの外縁部から前方に突出して設けられた円筒状のフード部211bとを有している。隔壁部211aのカッターヘッド220と対向する側の面の中央より下部には、撹拌用の複数の固定翼215が設けられている。また、隔壁部211a及びフード部211bとカッターヘッド220の背面部とで囲まれた内側にはチャンバー216が形成されている。隔壁部111aの中央には、回転支軸214の中央部が固定されており、回転支軸214のカッターヘッド220側の端部は、チャンバー216を通じてカッターヘッド220の中央部に軸受を介して取り付けられている。
排土装置212は、上記第1実施形態の排土装置112と同様の構成を有している。
【0046】
油圧モータ213は、カッターヘッド220に回転駆動力を付与する油圧式のモータである。油圧モータ213の回転軸は、歯車を介して、カッターヘッド220の回転用の大型の歯車に接続されており、油圧モータ213の回転駆動により大型の歯車が回転駆動すると、この回転に伴って大型の歯車に接続されたカッターヘッド220が回転支軸214回りに回転する。
また、図7及び図8に示すように、固定翼215の先端部に、アンテナ30が取り付けられている。第2実施形態では、アンテナ装置3は、アンテナ30_1及び30_2を含む複数のアンテナから構成されている。
【0047】
また、図7に示すように、外殻部211内の掘削機本体210側の部分の回転支軸214の下部に設置された歯車を収容するフレームの表面上に、リーダライタ40が取り付けられている。また、リーダライタ40は、電気ケーブル40cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。なお、リーダライタ40及びアンテナ30への電源供給は、上記第1実施形態と同様となる。また、回転支軸214には、回転位置検出装置60が取り付けられている。また、回転位置検出装置60は、電気ケーブル60cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。
一方、カッターヘッド220は、図7及び図8の左図に示すように、円環状のフレーム部221と、フレーム部221の開口部の中央部に設けられたセンタービット222とを備えている。加えて、センタービット222の外周部からフレーム部221へと等間隔で放射状に伸びる平面視で細長い矩形状の6本のビットフレーム部223A、223B、223C、223D、223E及び223Fを備えている。
【0048】
ビットフレーム部223A~223Fには、その幅方向の両端部に、幅方向に相対向する7対のビット224が長手方向に沿って等間隔に並んで設けられている。また、ビットフレーム部223Aには、その幅方向の中央部に長手方向に沿って等間隔に3つの検出器20_1、20_2及び20_3が取り付けられている。また、ビットフレーム部223Dには、その幅方向の中央部に長手方向に沿って所定間隔を空けて2つの検出器20_4及び20_5が取り付けられている。また、ビットフレーム部223Eには、その幅方向の中央部に長手方向に沿って等間隔に3つの検出器20_6、20_7及び20_8が取り付けられている。また、ビットフレーム部223Fには、その幅方向の中央部に長手方向に沿って等間隔に3つの検出器20_9、20_10及び20_11が取り付けられている。
【0049】
更に、ビットフレーム部223Aの検出器20_1~20_3の取付位置近傍の背面側には、RFIDタグ10_1~10_3が取り付けられており、検出器20_1~20_3と電気ケーブル10cを介して接続されている。また、ビットフレーム部223Dの検出器20_4~20_5の取付位置近傍の背面側には、RFIDタグ10_4~10_5が取り付けられており、検出器20_4~20_5と電気ケーブル10cを介して接続されている。また、ビットフレーム部223Eの検出器20_6~20_8の取付位置近傍の背面側には、RFIDタグ10_6~10_8が取り付けられており、検出器20_6~20_8と電気ケーブル10cを介して接続されている。また、ビットフレーム部223Fの検出器20_9~20_11の取付位置近傍の背面側には、RFIDタグ10_9~10_11が取り付けられており、検出器20_9~20_11と電気ケーブル10cを介して接続されている。
なお、図示省略しているが、ビットフレーム部223B及び233Cにも複数の検出器20が取り付けられており、これら近傍の背面側にはRFIDタグ10がそれぞれ取り付けられている。
【0050】
ここで、トンネルの施工手順は、上記第1実施形態と同様となる。また、トンネル壁の組立は、シールドマシン200の後部(テール部)にて、図7に示すように、セグメント230をトンネル形状に合わせて筒状に組み立てることで行われる。また、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態は、上記第1実施形態と同様となっており、これらの露出部分の全体が固化体70によって被覆されている。
また、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、RFIDタグ10_1~10_nと、アンテナ30_1~30_mとの取付位置は、カッターヘッド220の回転角度(機械角度)と対応付けられている。従って、第2実施形態に係る回転体情報取得システム1の動作も上記第1実施形態と同様となるので説明を省略する。
【0051】
[第2実施形態の作用及び効果]
第2実施形態に係る回転体情報取得システム1は、上記第1実施形態の回転体情報取得システム1と同等の作用及び効果を奏する。
【0052】
[第2実施形態の変形例1]
次に、第2実施形態の変形例1を説明する。ここで、図9は、第2実施形態の変形例1に係るシールドマシンの内部を側面方向からみた略式構成図である。図9では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。例えば、シールドマシンを掘進させるための推進ジャッキ等の記載が省略されている。
【0053】
[構成]
本変形例は、上記第2実施形態において、固定翼215の先端部にアンテナ30を取り付けているのに対して、隔壁部211aのカッターヘッド220の背面と対向する側の面に専用の固定台を設け、この固定台上にアンテナ30を取り付けた点が上記第2実施形態と異なる。
以下、上記第2実施形態と同様の構成部については同様の符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0054】
本変形例1に係るシールドマシン200Aは、図9に示すように、上記第2実施形態のシールドマシン200において、チャンバー216内における隔壁部211aのカッターヘッド220の背面と対向する側の面の上部に、台形四角柱状の複数の固定台240を設けた構成となっている。そして、この複数の固定台240上には、それぞれアンテナ30が取り付けられている。具体的に、複数の固定台240は、回転支軸214よりも上部で且つ取り付けられたアンテナ30がカッターヘッド220側に設けられたRFIDタグ10と近接可能な位置に設けられている。
ここで、泥土圧式のシールドマシンは、重力の関係もあって土砂が下側に溜まりやすい。そのため、下側に設けられた固定翼215の先端部にアンテナ30を設けた場合、土砂の影響を受けやすくなり、破損しやすくなる。そこで、本変形例では、土砂の影響を受けにくい上方に専用の固定台240を設け、この固定台240上にアンテナ30を設けるようにした。
【0055】
[第2実施形態の変形例1の作用及び効果]
第2実施形態の変形例1は、上記第2実施形態の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。
第2実施形態の変形例1に係る回転体情報取得システム1は、アンテナ30を、チャンバー216内の掘削機本体210側の隔壁部211aの上部に設けられた固定台240上に取り付けた。
この構成であれば、アンテナ30が土砂の影響を受けにくくなり、下側の固定翼215に取り付けた場合と比較して、アンテナ30の破損を低減することが可能となる。また、上側は土砂の割合が上へいくほど小さくなって、気泡等の加泥材の割合が大きくなるため、下側の固定翼215にアンテナ30を取り付けた場合と比較して電波の伝搬効率を高めることが可能となる。
【0056】
[第2実施形態の変形例2]
次に、第2実施形態の変形例2を説明する。ここで、図10(a)及び(b)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の構成例と、この除去装置とRFIDタグとアンテナとの配置構成の一例とを示す図である。また、図11(a)~(c)は、第2実施形態の変形例2に係る除去装置の動作を説明するための模式的な断面図である。
【0057】
[構成]
第2実施形態は、アンテナ30を隔壁部211aの表面側の最上部に取り付けた点と、RFIDタグ10をカッターヘッド220の背面側のアンテナ30と対向可能な位置に取り付けた点と、が上記第2実施形態と異なる。加えて、RFID10とアンテナ30との間に介在する介在物を除去する除去装置250を備える点が、上記第2実施形態と異なる。
以下、上記第2実施形態及びその変形例1と同様の構成部については同様の符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
ここで、泥土圧式のシールド工法では、加泥材として、地盤条件に合わせて粘土、高分子材料、気泡などを用いる。本変形例2では、加泥材として、気泡を用いることとする。
即ち、本変形例2に係るシールドマシン200Aは、シールド工法として、気泡シールド工法を用いてトンネルを施工する。
【0058】
本変形例2に係る回転体情報取得システム1Aは、上記第2実施形態の回転体情報取得システム1に、除去装置250を追加した構成となっている。
除去装置250は、図10(a)に示すように、シールドマシン200Aのフード部211bの内周側であって且つ隔壁部211aの最上部に設けられている。また、シールドマシン200Aのカッターヘッド220の背面部の外周側端部には、撹拌翼260が設けられている。そして、撹拌翼260の先端部には、上記第1実施形態と同様の埋め込み構成且つ防護形態で複数のRFID10が配置されている。なお、これら複数のRFID10の各々は、図示省略するが、電気ケーブル10cを介して、各検出位置に取り付けられた検出部20と接続されている。
【0059】
除去装置250は、図10(b)に示すように、隔壁部211aの最上部にフード部211bの内周部に沿って取り付けられた平面視で円弧状の取付台251と、取付台251の周方向の両側にそれぞれ先端部がカッターヘッド220の背面部に向かって突設されたブラシ252とを備えている。更に、本変形例2では、取付台251の中央部に、上記第1実施形態と同様の埋め込み構成且つ防護形態でアンテナ30が配置されている。なお更に、取付台251の2つのブラシ252間の下部には円弧に沿って板面が湾曲した板状のひさし部251aがカッターヘッド220の背面部に向かって突設されている。
ブラシ252は、例えば、ナイロン等の化学繊維から構成されており、ブラシ先端が撹拌翼260の先端部に接触可能な状態で取り付けられている。
【0060】
ここで、カッターヘッド220による切削によって発生する重たい土砂は、重力によって、チャンバー216内の下側にその大部分が存在し、加泥材としてチャンバー216内に注入された気泡は、軽いため、チャンバー216内の下側で土砂と混ぜ合わされなかったものが上側に集まる。特に、チャンバー216内の最上部付近には、例えば、図11(a)に示すように、注入した気泡500によるエアー溜まりが発生し、RFID10とアンテナ30との間に介在して電波の進行を妨げる。このとき、撹拌翼260の先端部の表面には、チャンバー216の下側にて付着した泥土501が存在する場合もある。この泥土501もアンテナ30とRFID10_1~10_3との電波通信を妨げる要因となる。
【0061】
これに対して、本変形例2では、チャンバー216の隔壁211a側の上部に、上述した構成の除去装置250を設けた。これにより、カッターヘッド220が回転して、ブラシ252が撹拌翼260の先端部と対向且つ接触する位置を通過するときに、図11(b)に示すように、ブラシ252によって、撹拌翼260の先端部の表面側に存在する気泡500を除去することが可能である。加えて、先端部表面に付着した泥土501も除去することが可能である。更に、撹拌翼260がブラシ252の位置を通過した後は、ひさし部251aによって、下側からの気泡500の侵入を防ぐことが可能である。
これにより、ブラシ252の後に対向するアンテナ30と撹拌翼260の先端部との間には、図11(c)に示すように、気泡500や泥土501などの介在物が介在しない又は低減した状態となる。その結果、アンテナ30とRFID10_1~10_3との間に介在物が存在しない又は低減した状態で電波通信を行うことが可能となる。
【0062】
[第2実施形態の変形例2の作用及び効果]
第2実施形態の変形例2は、上記第2実施形態及びその変形例1の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。
第2実施形態の変形例2に係る回転体情報取得システム1Aは、泥土圧式のシールドマシンに適用され、RFIDタグ10が、カッターヘッド220の背面側であって且つカッターヘッド220の回転によって掘削機本体210側の上部に取り付けられたアンテナ30と対向可能な位置に取り付けられている。掘削機本体210側の上部のアンテナ30とは異なる位置であって且つカッターヘッド220の回転によってRFIDタグ10と対向可能な位置に取り付けられた、少なくとも自身とRFIDタグ10との間に介在する介在物(変形例2では気泡500及び泥土501)を除去する除去装置250を備える。
この構成であれば、アンテナ30とRFIDタグ10との間で電波通信を行う際に、両者間に介在する気泡500や泥土501などの介在物を事前に除去することが可能となる。これにより、除去しない場合と比較して、アンテナ30とRFIDタグ10との電波の伝搬効率を向上することが可能となる。
【0063】
[第3実施形態]
次に、上記回転体情報取得システム1をトンネルボーリングマシン(TBM)に適用した第3実施形態を説明する。ここで、図12は、第3実施形態に係るTBMの内部を側面方向からみた略式構成図である。図12では、説明に必要な構成部以外の部分を一部省略且つ簡略化して記載している。また、図13(a)は、図12のE矢視図であり、(b)は、図12のF-F線断面図である。
【0064】
[構成]
図12に示すように、第3実施形態に係るTBM300は、掘削機本体310と、掘削機本体310の前面に回転可能に取り付けられた掘削用の回転体であるカッターヘッド320とを備える。掘削機本体310は、円筒状の外殻部311と、この外殻部311の内側に設けられた、排土装置312と、油圧モータ313とを備えている。
排土装置312は、例えば、スクリューコンベア等から構成されており、カッターヘッド320で切削した岩盤のずりを、地上へと搬送するための装置である。
【0065】
油圧モータ313は、カッターヘッド320に回転駆動力を付与する油圧式のモータである。油圧モータ313の回転軸は、歯車を介して、カッターヘッド320の回転用の大型の歯車に接続されており、油圧モータ313の回転駆動により大型の歯車が回転駆動すると、この回転に伴って大型の歯車に接続されたカッターヘッド320が掘削機本体310の中心軸回りに回転する。
また、図12及び図13(b)に示すように、油圧モータ313のカッターヘッド320側の端部にアンテナ30_1が取り付けられ、排土装置312の排土管のカッターヘッド320側の端部にアンテナ30_2が取り付けられている。即ち、第3実施形態では、アンテナ装置3は、アンテナ30_1及び30_2から構成されている。
【0066】
また、図12に示すように、外殻部311内の油圧モータ313の下部に、リーダライタ40が取り付けられている。また、リーダライタ40は、電気ケーブル40cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。なお、リーダライタ40及びアンテナ30への電源供給は、上記第1実施形態と同様となる。また、油圧モータ313には、回転位置検出装置60が取り付けられている。また、回転位置検出装置60は、電気ケーブル60cを介して、外部の情報処理装置50に接続されている。
【0067】
一方、カッターヘッド320は、図12及び図13(a)に示すように、略円錐台形状のフレーム部321と、フレーム部321の中央部に設けられたセンタービット323とを備えている。加えて、センタービット323を中心に放射状に配列された複数のディスクビット322_1~322_19を備えている。
また、カッターヘッド320には、図示省略するが、前面と後面との間を貫通する開口部が形成されている。岩盤の掘削により生じたずりは、カッターヘッド320の開口部を通じて内部に送られるようになっている。
【0068】
ディスクビット322_1~322_19の背面部には、検出器20_1~20_19が取り付けられている。具体的に、ディスクビット322_i(iは1~19の自然数)の背面部に検出器20_iが取り付けられている。
また、図12に示すように、カッターヘッド320の背面部の各検出器20_1~20_19の背面側の位置に、RFIDタグ10_1~10_19が取り付けられている。具体的に、検出器20_iの背面側にRFIDタグ10_iが取り付けられている。
ここで、トンネルの施工手順は、掘削対象が岩盤となるため泥土圧等を考慮しなくて済む点が上記第1実施形態とは異なるが、掘削、掘削ずりの搬送、掘進、トンネル壁の組立といった大まかな手順は、上記第1実施形態と同様となる。また、RFIDタグ10、検出器20及びアンテナ30の防護形態は、上記第1実施形態と同様となっており、これらの露出部分の全体が固化体70によって被覆されている。
【0069】
また、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、RFIDタグ10_1~10_19と、アンテナ30_1~30_2との取付位置は、カッターヘッド320の回転角度(機械角度)と対応付けられている。また、第3実施形態の回転体情報取得システム1では、第1実施形態の回転支軸114のようなものが無いため、油圧モータ313の回転軸の回転角度からカッターヘッド320の回転位置情報(機械角度)を算出している。この点が上記第1実施形態と異なる。それ以外は、上記第1実施形態の回転体情報取得システム1と同様となるので動作の説明を省略する。
【0070】
[第3実施形態の作用及び効果]
第3実施形態に係る回転体情報取得システム1は、上記第1実施形態の回転体情報取得システム1と同等の作用及び効果を奏する。
【0071】
[他の変形例]
なお、上記第1及び第2実施形態では、泥土圧式のシールドマシンに本発明に係る回転体情報取得システム1を適用したが、この構成に限らない。例えば、泥水圧式のシールドマシンなどの他の方式のシールドマシンに本発明を適用してもよい。泥水圧式のシールドマシンの場合は、上記第1実施形態の撹拌翼126や、上記第2実施形態の固定翼215が無いため、上記第2実施形態の変形例と同様に固定台や取付台を設ける構成とする。そして、この固定台や取付台にアンテナ30を取り付ける。
また、上記第2実施形態の変形例2では、介在物の除去にブラシ252を用いる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、高圧水を噴射して介在物を除去する構成や、高圧水とブラシとを併用する構成など他の除去手段を有する構成としてもよい。
【0072】
また、上記第2実施形態の変形例2では、加泥材として気泡を用いた構成を説明したが、この構成に限らず、加泥材として気泡以外を用いた構成としてもよい。
また、上記第2実施形態の各変形例では、泥土圧式のシールドマシンにおいて、アンテナ30をチャンバー内の上側に配置する構成とした。また、変形例2では、RFIDタグ10を、カッターヘッド220の背面部の外周側の端部(アンテナ30と対向可能な位置)に配置する構成とした。これらの構成は、泥土圧式のシールドマシンに限らず、上記第3実施形態のTBMに適用してもよい。
【0073】
また、上記各実施形態では、アンテナ30と、リーダライタ40とを別々の構成として、1台のリーダライタ40に複数のアンテナ30を接続する構成としたが、この構成に限らない。例えば、アンテナ30とリーダライタ40とが一体となった構成のリーダライタ装置を用いる構成としてもよい。この構成とした場合に、例えば、アンテナからの電波の放射範囲を広げることで、1台のリーダライタ装置で複数台のRFIDタグに対応させて、アンテナの減少分をカバーすることが可能である。
また、上記各実施形態では、1台のRFIDタグ10に1台の検出器20を接続する構成としたが、この構成に限らない。例えば、図14の回転体情報取得システム1Bに示すように、1台のRFIDタグ10に2台の検出器20を接続する構成とするなど、1台のRFIDタグ10に複数台の検出器20を接続する構成としてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態では、1台のリーダライタ40に複数台のアンテナ30を接続する構成としたが、この構成に限らない。例えば、図14の回転体情報取得システム1Bに示すように、検出情報(回転体情報)の読み取り装置4として、k台(kは2以上の自然数)のリーダライタ40_1~40_kを備える構成としてもよい。この場合は、リーダライタ40_1~40_kのそれぞれに、1台又は複数台のアンテナ30を接続する構成となる。
また、上記第2実施形態の変形例では、固定台240の形状を台形四角柱形状としたが、この構成に限らない、アンテナ30を取り付け可能であれば、円錐台形状等の他の形状としてもよい。
【0075】
また、上記各実施形態では、RFIDタグ10をパッシブ型のタグから構成したが、この構成に限らず、バッテリーを内蔵したアクティブ型のタグから構成してもよい。また、RFIDタグ10を、アクティブ型のタグから構成した場合に、例えば、回転位置検出装置60からの回転位置情報をタグに有線又は無線で送信する構成にすると共に、タグは定期的にセンサ情報を取得し、このセンサ情報を回転位置情報と対応付けてメモリに記憶する構成としてもよい。この構成とした場合、リーダライタ40は、センサ情報と位置情報とが対応付けられた回転体情報をタグから読み出して、情報処理装置50に送信することが可能となる。これにより、取得した回転体情報から、どの回転位置でどのような検出情報が得られたのかを知ることが可能となる。
【0076】
また、上記各実施形態では、RFIDタグ10が検出器20に給電する構成としたが、この構成に限らず、例えば、カッターヘッドの内部にバッテリーを設置し、このバッテリーから給電する構成とするなど他の構成としてもよい。バッテリーを設置する構成とした場合には定期的に充電を行う。
また、上記各実施形態では、RFIDタグ10とアンテナ30との接近を検出して、両者が接近したと判定したときにアンテナ30から給電読出用電波を放射する構成としたが、この構成に限らない。例えば、アンテナ30から給電読出用電波を常に又は短い周期で連続的又は断続的に放射し、RFIDタグ10が近づいたらいつでも通信を行える構成としてもよい。この構成とした場合は、接近を検出する必要が無くなるため、回転位置検出装置60を不要とすることが可能となる。
また、上記各実施形態では、シールドマシン又はTBMに本発明を適用したが、この構成に限らず、同様の構成の掘削機であれば他の種類の掘削機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 回転体情報取得システム
2 検出装置
3 アンテナ装置
4 読み取り装置
10 RFIDタグ
20 検出器
30 アンテナ
40 リーダライタ
50 情報処理装置
60 回転位置検出装置
70 固化体
100、100A、200 シールドマシン
110、210、310 掘削機本体
111、211、311 外殻部
111a、211a 隔壁部
112、212、312 排土装置
113、213、313 油圧モータ
114、214 回転支軸
115、216 チャンバー
120、220、320 カッターヘッド
121、221、321 フレーム部
122、222、323 センタービット
123、223 ビットフレーム
124、224 ビット
126 撹拌翼
215 固定翼
240 固定台
300 TBM
322 ディスクビット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14